JP2010245400A - 複合積層板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】(i)低コスト・短時間で製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複合積層板1は、Siチップ(電子部品)6の放熱板として用いられるものである。複合積層板は、(a)CFRPプリプレグから成るCFRP層2と、(b)CFRP層に接合されており、且つ、CFRP層の上面に配置された第1金属板(金属層)3fと、(c)CFRP層に接合されており、且つ、CFRP層2の下面に配置された第2金属板3sと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子の放熱板に関する。
Siチップなどの半導体チップに取り付けられる放熱板は、通常、高熱伝導性を有する工業材料である、アルミニウムや銅から形成される。
近年、コンピュータの高性能化に伴い、半導体チップの発熱量及び発熱密度が飛躍的に増大している。このため、放熱板には、従来よりも高い熱伝導性が求められている。
例えば、Siチップの熱膨張率は、室温において、約3×10−6[1/K]である。一方、アルミニウムの熱膨張率は、23.5×10−6[1/K]であり、銅の熱膨張率は、17×10−6[1/K]である。このように、Siチップと、放熱板の材料とで、熱膨張率に大きな差があるために、Siチップの発熱量が増大すると、Siチップと放熱板との間に大きな熱応力が発生し、各部材において破損(部材間の剥離、チップの亀裂など)が発生する。そこで、放熱板には、熱伝導性が高いことに加え、熱膨張性が低いことが求められる。
非特許文献1及び特許文献1乃至4には、高熱伝導性及び低熱膨張性を有する材料として、アルミや銅などの金属に、炭素繊維(繊維軸方向の熱膨張率:−1×10−6[1/K])を混合した複合材料が開示されている。炭素繊維と金属とを混合した複合材料においては、炭素繊維の熱膨張率が小さいため、炭素繊維によって、金属の熱膨張が抑制される。
「PM法による炭素繊維/金属基複合材料の創製とその熱伝導・熱膨張特性」、「粉体及び粉末冶金」、社団法人 粉体粉末冶金協会、2004年10月発行、第51巻第10号、p.730−735
特開平11−199949号公報 特開2001−131795号公報 特開2001−122672号公報 特開2005−187301号公報
しかし、炭素繊維と、放熱板の金属(アルミニウム、銅など)とを接合するためには、両者を、高温(1000度以上)、且つ、高圧(100気圧以上)の条件下で接触させる必要があり、製造コスト及び製造時間の点で問題がある(問題1)。
また、炭素繊維及び金属(アルミニウム、銅など)の界面付近には化合物(脆化物)が生成される。そして、炭素繊維及び金属は、この化合物の脆性破壊により剥離しやすい。両者が剥離してしまうと、金属の熱膨張が、炭素繊維によって抑制されなくなり、また、熱伝導性が低下する。さらに、通常、この化合物の熱伝導率は低い。
そのため、上記の技術においては、(i)金属の高熱伝導性、並びに、(ii)炭素繊維の低熱膨張性及び高熱伝導性が、放熱板に十分に活かされていない(問題2)。
そこで、本発明の目的は、(i)低コスト・短時間で製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板及びその製造方法を提供することである。
特開2004−289114号公報には、低熱膨張性を有する材料として、炭素繊維強化樹脂が開示されている。炭素繊維強化樹脂においては、炭素繊維の外周が、合成樹脂によって覆われている。本発明には、このような炭素繊維強化樹脂が用いられている。
(1) 上記の課題を解決するために、本発明に係る複合積層板は、電子部品の放熱板として用いられるものであって、CFRPプリプレグから成るCFRP層と、前記CFRP層に接合されており、且つ、前記CFRP層における一方の面に配置された金属層と、を有する。
CFRP層と金属層との接合において、必要となる温度条件は、100℃ないし200℃程度であり、また、圧力条件は、数気圧ないし数十気圧程度である。そのため、本構成に係る複合積層板は、炭素繊維と金属とを直接接合する場合に比べて、比較的低コスト且つ短時間での製造が可能である。
さらに、炭素繊維及び合成樹脂については接着性が高く、また、金属及び合成樹脂についても接着性が高い。そのため、本構成では、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。
また、炭素繊維及び金属層の界面においては、界面強度(接着強度)が大きく、両者は剥離しにくい。そのため、この複合積層板においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。
また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。さらに、炭素繊維は、高い熱伝導性を有する。
これらの結果として、本構成の複合積層板においては、金属の高熱伝導性、並びに、炭素繊維の低熱膨張性及び高熱伝導性が、放熱板に十分に活かされる。
そして、CFRP層及び金属層の厚みを適切に設定することにより、複合積層板全体の膨張量(長さ又は体積の変化量)、及び、電子部品の膨張量を同等にすることができ、その結果、電子部品と複合積層板との間の熱応力を抑制できる。
以上のように、本構成により、(i)低コスト・短時間で製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板が得られる。
なお、「金属層」には、金属板、及び金属薄膜が含まれる。また、金属層は、放熱機能のみを有していてもよいし、端子、電極、又は電線として機能してもよい。金属層の材料としては、室温(20℃)での熱伝導率が、100W/(m・K)以上のものが望ましく、具体的には、アルミニウム、金、銀、銅、マグネシウム、タングステン、モリブデン、亜鉛などを利用できる。また、金属層の厚さに関しては、100 μm〜3 mmのものが望ましい。
また、「放熱板」は、放熱機能のみを有するものであってもよいし、絶縁体との組み合わせにより、基板としても機能するものであってもよい。
複合積層板に実装される「電子部品」には、半導体素子、LEDなどが含まれる。また、半導体素子の材料としては、Si、SiC、GaN、Ge、GaAsなどを利用できる。また、半導体素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよい。
「CFRP」(Carbon Fiber Reinforced Plastics;炭素繊維強化プラスチック)においては、炭素繊維の周囲が、合成樹脂によって覆われている。CFRPに含まれる合成樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。
CFRP層の炭素繊維については、ピッチ系炭素繊維が望ましいが、PAN系炭素繊維であってもよい。CFRP層は、放熱機能のみを有していてもよいし、金属層と同様に、端子、電極、又は電線として機能してもよい。
「プリプレグ」とは、複数本の炭素繊維に、合成樹脂を含浸させた、最終硬化前のシートのことである。CFRP層は、複数枚のプリプレグを積み重ねた集合体(積層体)、または一枚のプリプレグから成る。CFRP層が複数のプリプレグから成る場合には、それぞれのプリプレグの繊維方向は、全てが同じ方向に沿って揃えられていてもよいし、それぞれのプリプレグの繊維方向が、シートごとに異なる方向に沿って揃えられていてもよい。また、二種類の繊維方向のシートを、交互に積層させたものであってもよい。また、一枚のプリプレグに含まれる炭素繊維が、複数の繊維方向を有していてもよい(複数の炭素繊維が織られた状態になっていてもよい)。CFRP層に含まれる炭素繊維の繊維方向に関しては、少なくとも直交する二方向が含まれていることが望ましい。
また、プリプレグの積層方向に関して、ある位置を中心として、各プリプレグの繊維方向が対称となるように、複数のプリプレグが積層していてもよい。
CFRPの炭素繊維は、合成樹脂によって覆われているため、基本的に、炭素繊維と金属板とは直接接触しないが、炭素繊維と金属板とが、一部(微小領域)において接触していてもよい。
炭素繊維及び金属層の界面における接着強度を高めるために、金属板の表面に、細かい凹凸を形成してもよい。ここで、この凹凸における二つの山の間隔は、10μm〜200μmの範囲内であることが望ましい。このような凹凸は、例えば、金属表面をサンドペーパーで擦ることによって形成される。
金属層及びCFRP層は、極めて薄い樹脂層により接着されており、両者は熱的に接続される。この薄い樹脂層は、例えば、ホットプレス工程で、余分な樹脂を搾り出すことにより得られる。
他の金属層が、CFRP層における他方の面に接合されていてもよい。すなわち、二つの金属層が、CFRP層の両面に接合されていてもよい。
(2) 上記(1)の特徴に加えて、本発明に係る複合積層板は、前記CFRP層における他方の面に配置された、他の金属層をさらに有していてもよい。また、この複合積層板では、前記電子部品の発熱時において、前記金属層、前記CFRP層、及び前記他の金属層の総熱膨張量が、前記電子部品の熱膨張量と同程度であってもよい。
この構成では、複合積層板の温度上昇に伴う、複合積層板全体の膨張量(長さ又は体積の変化量)が、電子部品の膨張量と同等となるので、電子部品と複合積層板との間の熱応力を確実に緩和できる。
なお、実装される「電子部品」の、発熱時の温度、線膨張率、熱膨張量などは、予め与えられている(所与である)ものとする。
「総熱膨張量」とは、複合積層板の温度上昇に伴う、複合積層板全体の膨張量(長さ、面積又は体積の変化量)のことであり、ある温度環境下において、一つの複合積層板につき、一つの値として定まる。また、熱膨張量及び総熱膨張量の比較については、同一方向に関する膨張量で比較するものとする。
総熱膨張量を長さの変化量とした場合に、この総熱膨張量ΔL[mm]は、例えば、以下のようにして計算される。ここでは、各層(金属層、他の金属装置、及びCFRP層)のヤング率がほぼ同一である場合の計算例について説明する。
(i)まず、平均線膨張率αa[1/K]を次の式1から求める。
(式1)
αa=(αm×Tm+αc×Tc+αn×Tn)/(Tm+Tc+Tn)
αm:金属層の線膨張率[1/K]
αn:他の金属層の線膨張率[1/K]
αc:CFRP層の線膨張率[1/K]
Tm:金属層の厚さ[mm]
Tn:他の金属層の厚さ[mm]
Tc:CFRP層の厚さ[mm]
ここで、αcは、全ての繊維方向に関する、CFRP層の線膨張率の平均値(例えば、二方向の繊維方向を有するものについては、それぞれの方向の線膨張率を合計したものを、二で割った値)であるとする。
(ii)次に、発熱体である電子部品の発熱時の温度(所与)、並びに、各層の材料における各種物性及び大きさから、複合積層板全体の温度(平均温度Ta)を算出する。そして、平均温度Ta、及び、上記の平均線膨張率αaから、次の式を用いて総熱膨張量ΔL[mm]を計算する。
ΔL=αa×L×ΔT
L :複合積層板の長さ[mm]
ΔT:温度変化量[K]
ΔTは、電子部品の発熱前における複合積層板全体の温度Toと、平均温度Taとの差である。
上記の計算方法は一例であり、総熱膨張量は、他の計算により求められてもよい。例えば、各層(金属層、他の金属装置、及びCFRP層)のヤング率が異なる場合には、上記の式1の代わりに、次の式1’を用いて、平均線膨張率αa[1/K]を求める。
(式1’)
αa=(αm×Em×Tm+αc×Ec×Tc+αn×En×Tn)/(Em×Tm+Ec×Tc+En×Tn)
Em:金属層のヤング率[Pa]
En:他の金属層のヤング率[Pa]
Ec:CFRP層のヤング率[Pa]
また、αm=αn、且つ、Em=Enのときには、αaは、次の式1’’から求められる。
(式1’’)
αa=(αm×Em×(Tm+Tn)+αc×Ec×Tc)/(Em×(Tm+Tn)+Ec×Tc)
総熱膨張量及び電子部品の熱膨張量が「同程度」であるとは、熱膨張量(又は総熱膨張量)を長さの変化量とした場合に、下記の関係が成立することをいう。
0.5<(ΔL/ΔLd)<2.0
ΔL :総熱膨張量(絶対値)
ΔLd:電子部品の熱膨張量(所与;絶対値)
総熱膨張量及び電子部品の熱膨張量の関係については、(a)0.5<(ΔL/ΔLd)<1.5となること、(b)0.75<(ΔL/ΔLd)<2.0、又は、(c)0.75<(ΔL/ΔLd)<1.5となることがより望ましく、(d)ΔL/ΔLd=1となることがさらに望ましい。
(3) 上記の課題を解決するために、本発明に係る複合積層板の製造方法は、電子部品の放熱板として用いられる複合積層板を製造する方法であって、CFRPプリプレグから成るCFRP層を形成する、CFRP層形成工程と、金属層を、前記CFRP層における一方の面に配置する、金属層配置工程と、ホットプレス法により各層を接合する、ホットプレス工程と、を有する。
本方法によると、複合積層板を、比較的低コスト且つ短時間で製造できる。また、本方法によると、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。また、この方法により製造された複合積層板においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。
以上のように、本方法によると、(i)低コスト・短時間で複合積層板を製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板が得られる。
また、本構成では、ホットプレス工程においてホットプレス法を用いるため、CFRPの余分な合成樹脂を絞り出し、炭素繊維と金属層との間の合成樹脂を薄くすることができる。そのため、複合積層板の熱伝導性を高くすることができる。
なお、「ホットプレス法」とは、ホットプレス装置を用いて、CFRP層及び金属層に、高温下で圧力を加える工法のことである。真空状態(10−4Pa以下)でホットプレスを行なってもよい。
ホットプレスは、例えば、以下のような条件で行なわれることが望ましい。
加工温度:100℃ないし200℃(複合積層板の表面温度)
加工圧力:数気圧ないし数十気圧
真空度:10−4Pa以下
上記の工程の前後、及び、上記の工程間に、別の工程が設けられてもよい。
例えば、ホットプレス工程を実施する前に、金属層に加えて、他の金属層を、CFRP層における他方の面に配置してもよい。すなわち、二つの金属層を、CFRP層の両面に配置してもよい。
また、「金属層」、「放熱板」、「電子部品」、「CFRP」、及び「プリプレグ」については、上記と同様であるために説明を省略する。
(4) 上記の課題を解決するために、本発明に係る複合積層板は、電子部品の放熱板として用いられるものであって、CFRPプリプレグから成る第1CFRP層と、CFRPプリプレグから成る第2CFRP層と、前記第1CFRP層及び前記第2CFRP層の間に配置された、絶縁体から成る絶縁層と、前記第1CFRP層に接合されており、且つ、前記第1CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第1金属層と、を有し、前記絶縁体においては、20℃での熱伝導率が、70W/(m・K)以上であり、且つ、熱膨張率が、前記電子部品と同程度である。
本構成に係る複合積層板は、比較的低コスト且つ短時間での製造が可能である。また、本構成では、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。また、この複合積層板においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。
以上のように、本構成により、(i)低コスト・短時間で製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板が得られる。
なお、実装される「電子部品」の、発熱時の温度、線膨張率、熱膨張量などは、予め与えられている(所与である)ものとする。
「放熱板」は、放熱機能を有するプリント基板(プリント配線板;表面に電線パターンが形成された基板)であってもよい。すなわち、本構成の複合積層板を、プリント基板として使用してもよい。また、プリント基板は、片面基板であってもよいし、両面基板であってもよい。また、「放熱板」は、放熱機能のみを有するものであってもよい。
絶縁層の材料である「絶縁体」としては、AlN(熱伝導率:150W/(m・K)、熱膨張率:4.7×10−6[1/K])、ダイヤモンド(熱伝導率:500〜1000W/(m・K)、熱膨張率:2.2×10−6[1/K])、Si(窒化ケイ素;熱伝導率:70W/(m・K)、熱膨張率:3.4×10−6[1/K])など(及び、これらに少量の不純物が含まれたもの)を利用できる。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法などにより測定されるものとする。
また、電子部品及び絶縁体の熱膨張率が「同程度」であるとは、複合積層板に平行な(積層方向に垂直な)全ての方向に関して、下記の関係が成り立つことをいう。
0.3<(α1/α2)<3.0
α1:絶縁体の線膨張率(絶対値)[1/K]
α2:電子部品の線膨張率(絶対値)[1/K]
電子部品及び絶縁体の熱膨張率の関係については、複合積層板に平行な(積層方向に垂直な)全ての方向に関して、(a)0.3<(α1/α2)<1.5となること、(b)0.5<(α1/α2)<3.0となること、又は(c)0.5<(α1/α2)<1.5となることがより望ましく、また、(d)α1/α2=1となってもよい。
絶縁層と、第1CFRP層及び第2CFRP層とは、直接接合されていてもよいし、金属層(第2金属層、第3金属層)を介して接合されていてもよい。
第1金属層に加え、他の金属層(第4金属層)が、第2CFRP層の、絶縁層に向いていない方の面に接合されていてもよい。
また、「電子部品」、「CFRP」、及び「プリプレグ」については、上記と同様であるために説明を省略する。また、「第1金属層」については、上記の「金属板」と同様であるため、説明を省略する。
(5) 上記(4)の特徴に加えて、本発明に係る複合積層板においては、前記絶縁層と、前記第1CFRP層とは、第2金属層を介して接合されており、前記絶縁層と、前記第2CFRP層とは、第3金属層を介して接合されていてもよい。この構成では、絶縁層と、第1CFRP層及び第2CFRP層とが確実に結合する。
なお、第2、第3金属層の材料としては、室温(20℃)での熱伝導率が、100W/(m・K)以上のものが望ましく、具体的には、アルミニウム、金、銀、銅、マグネシウム、タングステン、モリブデン、亜鉛などを利用できる。
第2金属層及び第1CFRP層は、樹脂層によって接着されて、両者は熱的に接続される。また、第3金属層及び第2CFRP層についても、樹脂層によって接着され、両者は熱的に接続される。
絶縁層及び第2金属層は、拡散接合によって、又は、薄い接着剤層を介して結合しており、両者は熱的に接続される。また、絶縁層及び第3金属層についても、拡散接合によって、又は、薄い接着剤層を介して結合しており、両者は熱的に接続される。
(6) 上記(5)の特徴に加えて、本発明に係る複合積層板は、前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層をさらに有していてもよい。また、この複合積層板において、前記第1金属層、前記第2金属層、前記第3金属層、前記第4金属層の順に、質量が大きくなっていてもよい。
複合積層板においては、各金属層が熱膨張性を増大させ、各CFRP層が熱膨張性を抑制する。
複合積層板に電子部品が設置された状態では、複合積層板は、電子部品に近い位置で高温となり、電子部品から離れるに従い、温度が低くなる。
本構成では、第1金属層、第2金属層、第3金属層、第4金属層の順に、質量が大きくなっているので、電子部品から離れるに従い、熱膨張性が高くなっている。そのため、複合積層板の温度上昇に伴う、(i)第1積層体の膨張量(長さ又は体積の変化量)、(ii)絶縁層の膨張量、及び(iii)第2積層体の膨張量を、それぞれ、電子部品の膨張量と同等にすることができる。従って、(A)第1積層体と電子部品との間における熱応力、(B)第1積層体と絶縁層との間における熱応力、及び(C)絶縁層と第2積層体との間における熱応力、を確実に緩和できる。
なお、第4金属層には、金属板、及び金属薄膜が含まれる。また、第4金属層は、放熱機能のみを有していてもよいし、端子、電極、又は電線として機能してもよい。第4金属層の材料としては、室温(20℃)での熱伝導率が、100W/(m・K)以上のものが望ましく、具体的には、アルミニウム、金、銀、銅、マグネシウム、タングステン、モリブデン、亜鉛などを利用できる。
各層の材料の「質量」については、例えば、材料の体積[mm]×材料の密度[g/mm]の計算により求めることができる。
また、金属層とCFRP層とは、強固に結合しているため、金属層とCFRP層との間に生じる熱応力については、ここでは問題としない。
(7) 上記(5)又は(6)の特徴に加えて、本発明に係る複合積層板は、前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層をさらに有していてもよい。また、この複合積層板においては、前記第1CFRP層の質量よりも、前記第2CFRP層の質量が小さくてもよい。
複合積層板においては、各金属層が熱膨張性を増大させ、各CFRP層が熱膨張性を抑制する。
複合積層板に電子部品が設置された状態では、複合積層板は、電子部品に近い位置で高温となり、電子部品から離れるに従い、温度が低くなる。
本構成では、第1CFRP層の質量よりも、第2CFRP層の質量が小さいので、第1積層体(第1CFRP層、及び、これを挟む二つの金属層)よりも、第2積層体(第2CFRP層、及び、これを挟む二つの金属層)の熱膨張性が高くなる(熱膨張し易くなる)。そのため、この複合積層板においては、電子部品から離れるに従い、熱膨張性が高くなっている。そのため、複合積層板の温度上昇に伴う、(i)第1積層体の膨張量、(ii)絶縁層の膨張量、及び(iii)第2積層体の膨張量を、それぞれ、電子部品の膨張量と同等にすることができる。従って、(A)第1積層体と電子部品との間における熱応力、(B)第1積層体と絶縁層との間における熱応力、及び(C)絶縁層と第2積層体との間における熱応力、を確実に緩和できる。
なお、「第4金属層」については、上記と同様であるために説明を省略する。また、金属層とCFRP層とは、強固に結合しているため、金属層とCFRP層との間に生じる熱応力については、ここでは問題としない。
(8) 上記(5)乃至(7)のいずれかの特徴に加えて、本発明に係る複合積層板は、前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層をさらに有していてもよい。また、この複合積層板では、前記電子部品の発熱時における、(i)前記第1金属層、前記第1CFRP層、及び前記第2金属層を含む第1積層体の総熱膨張量、(ii)前記絶縁層の熱膨張量、並びに、(iii)前記第3金属層、前記第2CFRP層、及び前記第4金属層を含む第2積層体の総熱膨張量のそれぞれが、前記電子部品の熱膨張量と同程度であってもよい。
この構成では、複合積層板の温度上昇に伴う、(i)第1積層体の膨張量、(ii)絶縁層の膨張量、及び(iii)第2積層体の膨張量が、それぞれ、電子部品の膨張量と同等となる。そのため、(A)第1積層体と電子部品との間における熱応力、(B)第1積層体と絶縁層との間における熱応力、及び(C)絶縁層と第2積層体との間における熱応力、を確実に緩和できる。
なお、実装される「電子部品」の、発熱時の温度、線膨張率、熱膨張量などは、予め与えられている(所与である)ものとする。
「第1積層体の総熱膨張量」及び「第2積層体の総熱膨張量」については、それぞれ、上記(1)の説明における「総熱膨張量」と同様に説明される。すなわち、第1積層体に関しては、上記(1)の説明中の金属層、他の金属層、及びCFRP層を、それぞれ第1金属層、第2金属層、及び第1CFRP層と読み替えればよく、また、第2積層体に関しては、上記(1)の説明中の金属層、他の金属層、及びCFRP層を、それぞれ第3金属層、第4金属層、及び第2CFRP層と読み替えればよい。第1積層体の総熱膨張量は、ある温度環境下において、一つの第1積層体につき、一つの値として定まり、また、第2積層体の総熱膨張量は、ある温度環境下において、一つの第1積層体につき、一つの値として定まる。また、熱膨張量(総熱膨張量)の比較については、同一方向に関する膨張量で比較するものとする。
また、第1積層体の総熱膨張量、絶縁層の熱膨張量、及び、第2積層体の総熱膨張量のそれぞれが、電子部品の熱膨張量と「同程度」であるとは、熱膨張量(又は総熱膨張量)を長さの変化量とした場合に、第1積層体、絶縁層、及び第2積層体のそれぞれにおいて、下記の関係が成立することをいう。
0.5<(ΔL/ΔLd)<2.0
ΔL :(i)第1積層体若しくは第2積層体の総熱膨張量、又は、(ii)絶縁層の熱膨張量(絶対値)
ΔLd:電子部品の熱膨張量(所与;絶対値)
第1積層体の総熱膨張量、絶縁層の熱膨張量、及び、第2積層体の総熱膨張量の関係については、(a)0.5<(ΔL/ΔLd)<1.5となること、(b)0.75<(ΔL/ΔLd)<2.0、又は、(c)0.75<(ΔL/ΔLd)<1.5となることがより望ましく、(d)ΔL/ΔLd=1となることがさらに望ましい。
また、金属層とCFRP層とは、強固に結合しているため、金属層とCFRP層との間に生じる熱応力については、ここでは問題としない。「第4金属層」については、上記と同様であるために説明を省略する。
(9) 上記(5)乃至(8)のいずれかの特徴に加えて、本発明に係る複合積層板は、前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層と、前記第4金属層の、前記第2CFRP層に向いていない方の面に設けられた、金属製の冷却板と、をさらに有していてもよい。また、この複合積層板では、前記電子部品の発熱時において、前記第1金属層の熱膨張量が、前記電子部品と同程度であり、且つ、前記第4金属層の熱膨張量が、前記冷却板と同程度であってもよい。
この構成では、複合積層板の温度上昇に伴う、(i)第1金属層の膨張量、及び、電子部品の膨張量が同等となり、また、(ii)第4金属層の膨張量、及び、冷却板の膨張量が同等となる。そのため、(A)第1積層体と電子部品との間の熱応力、及び(B)第2積層体と冷却板との間の熱応力、を確実に緩和できる。
なお、実装される「電子部品」の、発熱時の温度、線膨張率、熱膨張量などは、予め与えられている(所与である)ものとする。
「冷却板」の材料としては、室温(20℃)での熱伝導率が、100W/(m・K)以上のものが望ましく、具体的には、アルミニウム、金、銀、銅、マグネシウム、タングステン、モリブデン、亜鉛などを利用できる。冷却板は、平板状のものであってもよいし、平板状の本体部及び冷却フィンから成るものでもよい。
「第1金属層の熱膨張量」とは、(電子部品が実装され、且つ、発熱している状態で)第1CFRP層によって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第1金属層の熱膨張量(長さ、面積又は体積の変化量)のことである。また、「第4金属層の熱膨張量」は、第2CFRP層によって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第4金属層の熱膨張量のことである。また、熱膨張量(総熱膨張量)の比較については、同一方向に関する膨張量で比較するものとする。
また、第1金属層の熱膨張量が、電子部品の熱膨張量と「同程度」であるとは、熱膨張量を長さの変化量とした場合に、下記の関係が成立することをいう。
0.5<(ΔLm1/ΔLd)<2.0
ΔLm1:第1金属層の熱膨張量(絶対値)
ΔLd:電子部品の熱膨張量(所与;絶対値)
第1金属層の熱膨張量と、電子部品の熱膨張量との関係については、(a)0.5<(ΔLm1/ΔLd)<1.5となること、(b)0.75<(ΔLm1/ΔLd)<2.0、又は、(c)0.75<(ΔLm1/ΔLd)<1.5となることがより望ましく、(d)ΔLm1/ΔLd=1となることがさらに望ましい。
また、第4金属層の熱膨張量が、冷却板の熱膨張量と「同程度」であるとは、熱膨張量を長さの変化量とした場合に、下記の関係が成立することをいう。
0.5<(ΔLm4/ΔLr)<2.0
ΔLm4:第4金属層の熱膨張量(絶対値)
ΔLr:冷却板の熱膨張量(所与;絶対値)
第4金属層の熱膨張量と、冷却板の熱膨張量との関係については、(a)0.5<(ΔLm4/ΔLr)<1.5となること、(b)0.75<(ΔLm4/ΔLr)<2.0、又は、(c)0.75<(ΔLm4/ΔLr)<1.5となることがより望ましく、(d)ΔLm4/ΔLr=1となることがさらに望ましい。
第2金属層と絶縁層とで、熱膨張量が同程度であってもよいし、異なっていてもよい。また、第3金属層と絶縁層とで、熱膨張量が同程度であってもよいし、異なっていてもよい。
また、金属層とCFRP層とは、強固に結合しているため、金属層とCFRP層との間に生じる熱応力については、ここでは問題としない。「第4金属層」については、上記と同様であるために説明を省略する。
(10) 上記(5)乃至(9)のいずれかの特徴に加えて、本発明に係る複合積層板では、前記電子部品の発熱時において、前記第2金属層における熱膨張量、及び、前記第3金属層における熱膨張量が、前記絶縁層の熱膨張量と同程度であってもよい。
この構成では、複合積層板の温度上昇に伴う、(i)第2金属層の膨張量及び絶縁層の膨張量が同等となり、また、(ii)第3金属層の膨張量、及び、絶縁層の膨張量が同等となる。そのため、(A)第1積層体と絶縁層との間の熱応力、(B)第2積層体と絶縁層との間の熱応力、を確実に緩和できる。
なお、実装される「電子部品」の、発熱時の温度、線膨張率、熱膨張量などは、予め与えられている(所与である)ものとする。
「第2金属層の熱膨張量」とは、(電子部品が実装され、且つ、発熱している状態で)第1CFRP層によって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第2金属層の熱膨張量(長さ、面積又は体積の変化量)のことである。「第3金属層の熱膨張量」は、第2CFRP層によって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第3金属層の熱膨張量のことである。また、熱膨張量(総熱膨張量)の比較については、同一方向に関する膨張量で比較するものとする。
また、第2金属層の熱膨張量、及び、第3金属層の熱膨張量のそれぞれが、絶縁層の熱膨張量と「同程度」であるとは、熱膨張量を長さの変化量とした場合に、下記の関係が成立することをいう。
0.5<(ΔL/ΔLz)<2.0
ΔL :第2金属層又は第3金属層の熱膨張量(絶対値)
ΔLz:絶縁層の熱膨張量(絶対値)
第2金属層の熱膨張量、第3金属層の熱膨張量、及び、絶縁層の熱膨張量の関係については、(a)0.5<(ΔL/ΔLd)<1.5となること、(b)0.75<(ΔL/ΔLd)<2.0、又は、(c)0.75<(ΔL/ΔLd)<1.5となることがより望ましく、(d)ΔL/ΔLd=1となることがさらに望ましい。
第1金属層と電子部品とで、熱膨張量が同程度であってもよいし、異なっていてもよい。また、第4金属層と冷却板とで、熱膨張量が同程度であってもよいし、異なっていてもよい。
また、金属層とCFRP層とは、強固に結合しているため、金属層とCFRP層との間に生じる熱応力については、ここでは問題としない。
(11) 上記の課題を解決するために、本発明に係る複合積層板の製造方法は、電子部品の放熱板として用いられる複合積層板を製造する方法であって、CFRPプリプレグから成る第1CFRP層を形成する、第1CFRP層形成工程と、CFRPプリプレグから成る第2CFRP層を形成する、第2CFRP層形成工程と、前記第1CFRP層及び前記第2CFRP層の間に、絶縁体から成る絶縁層を配置する、絶縁層配置工程と、第1金属層を、前記第1CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置する、第1金属層配置工程と、ホットプレス法により各層を接合する、ホットプレス工程と、を有し、前記絶縁体においては、20℃での熱伝導率が、70W/(m・K)以上であり、且つ、熱膨張率が、前記電子部品と同程度である。
本方法によると、複合積層板を、比較的低コスト且つ短時間で製造できる。また、本方法によると、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。また、この方法により製造された複合積層板においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。
以上のように、本方法によると、(i)低コスト・短時間で複合積層板を製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板が得られる。
また、本構成では、ホットプレス工程においてホットプレス法を用いるため、CFRPの余分な合成樹脂を絞り出し、炭素繊維と金属層との間の合成樹脂を薄くすることができる。そのため、複合積層板の熱伝導性を高くすることができる。
なお、第1CFRP層形成工程、第2CFRP層形成工程、絶縁層配置工程、及び第1金属層配置工程については、ホットプレス工程の前に行なわれれば良く、どのような順序で行なわれても良い。また、これらの工程の前後及び工程間に、別の工程が設けられてもよい。
例えば、ホットプレス工程を実施する前に、第1金属層に加えて、他の金属層(第4金属層)を、第2CFRP層の、絶縁層に向いていない方の面に配置してもよい。
また、「絶縁体」、「第1金属層」、「放熱板」、「電子部品」、「CFRP」、及び「プリプレグ」については、上記と同様であるために説明を省略する。
本発明の第1実施形態に係る複合積層板の断面図である。 CFRPプリプレグの斜視図である。 第2実施形態に係る複合積層板の断面図である。 第3実施形態に係る複合積層板の断面図である。 第4実施形態に係る複合積層板の断面図である。 第5実施形態に係る複合積層板の断面図である。
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明における「上下左右」は、図中における上下左右であるとする。
複合積層板1は、発熱体であるSiチップ(電子部品)6の放熱板として利用される。また、複合積層板1は、三層構造になっており、第1金属板(金属層)3f、CFRP層2、及び、第2金属板(他の金属層)3sを有する。Siチップ6は、はんだ付けにより、第1金属板3fの表面に固定されている。複合積層板1及びSiチップ6によって、冷却構造体が構成されている。
(CFRP層)
CFRP層は、積層された(積み重ねられた)四枚のCFRPプリプレグ20から成る。それぞれのCFRPプリプレグ20は、複数本の炭素繊維21と、エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)22とを有する。
以下、具体的に説明する。それぞれのCFRPプリプレグ20において、複数の炭素繊維21は、同じ方向に沿うように、揃えて配置されている。そして、複数の炭素繊維21に、エポキシ樹脂22を含浸させることにより、一枚のCFRPプリプレグ20が形成される。
図2に示すように、四枚のCFRPプリプレグ20において、炭素繊維21の繊維方向(炭素繊維21が延びる方向)は、最上部及び最下部の二枚が同一で、また、中央の二枚が同一である。また、最上部及び最下部の二枚と、中央の二枚とでは、繊維方向が異なっている。具体的には、最上部及び最下部のCFRPプリプレグ20においては、全ての炭素繊維21が、方向L1(0度方向;図の矢印L1方向参照)に沿って延びるように配置されている。一方、中央の二枚のCFRPプリプレグ20においては、全ての炭素繊維21が、方向L1に垂直な方向である、方向L2(90度方向;図の矢印L2方向参照)に沿って延びるように配置されている。なお、方向L1及び方向L2は、各CFRPプリプレグ20に対して平行(積層方向Hに対して垂直)である。
このように、CFRP層2においては、四枚のCFRPプリプレグ20が、上から順に、0度方向、90度方向、90度方向、0度方向となるように積層されている。また、このCFRP層2においては、プリプレグの積層方向H(図の矢印H方向参照;プリプレグが積み重ねられる方向)に関するある位置を中心として、各CFRPプリプレグ20の繊維方向の配置が対称となっている。具体的には、四枚のCFRPプリプレグ20の中央位置(積層方向Hに関する中央位置)を基準として、上の二枚と、下の二枚とで、繊維方向が対称になっている。このように、各CFRPプリプレグ20を対称に配置することにより、CFRP層2の反りを抑制できる。
図1に示すように、各CFRPプリプレグ20において、それぞれの炭素繊維21の外周は、エポキシ樹脂22によって覆われている。なお、図1の正面方向は、図2の矢印A方向に相当する。
(金属層)
第1金属板3f及び第2金属板3sは、アルミニウム薄板である。また、第1金属板3f及び第2金属板3sは、CFRP層2に接合されている。第1金属板3fは、CFRP層2における一方の面(上面)に配置されており、第2金属板3sは、CFRP層2における他方の面(下面)に配置されている。
(複合積層板)
複合積層板1は以上のように構成されており、複合積層板1においては、第1金属板3f、CFRP層2、及び、第2金属板3sが、熱的に接続された状態となっている。そして、Siチップ6で発生した熱は、第1金属板3f、CFRP層2及び第2金属板3sへと伝えられる。
なお、第2金属板3sはなくてもよい。また、CFRP層2に含まれるCFRPプリプレグ20の枚数は四枚には限られない。また、CFRP層においては、CFRPプリプレグ20が、上から順に、0度方向、60度方向、−60度方向、−60度方向、60度方向、0度方向、となるように積層していてもよく、また、上から順に、0度方向、45度方向、90度方向、−45度方向、―45度方向、90度方向、45度方向、0度方向、となるように積層していてもよい。
(製造方法)
次に、複合積層板1の製造方法について説明する。まず、四枚のCFRPプリプレグを積層させて、CFRP層2を形成する(CFRP層形成工程)。次に、第1金属板3fを、CFRP層2の上面に配置し、第2金属板3sを、CFRP層2の下面に配置する(金属層配置工程)。
次に、ホットプレス法により各層を接合する(ホットプレス工程)。本工程では、第1金属板3f及び第2金属板3sと、CFRP層2のエポキシ樹脂22とが結合する。エポキシ樹脂は、熱伝導率が低いので、量が多すぎると、放熱板の熱伝導性を低下させてしまう。そのため、本工程では、金属層との結合に必要なだけの厚さのエポキシ樹脂を残して、余分なエポキシ樹脂が絞り出される(排除される)。また、エポキシ樹脂22は熱硬化性樹脂なので、本工程において、エポキシ樹脂が硬化し、且つ、その硬化過程において、余分なものが絞り出される。
以上のようにして、複合積層板1が製造される。
(効果)
次に、複合積層板1及びその製造方法により得られる効果について説明する。複合積層板1は、Siチップ(電子部品)6の放熱板として用いられるものであって、(a)四枚のCFRPプリプレグ20から成るCFRP層2と、(b)CFRP層2に接合されており、且つ、CFRP層2における一方の面(上面)に配置された第1金属板(金属層)3fと、(c)CFRP層2に接合されており、且つ、CFRP層2における他方の面(下面)に配置された第2金属板3sと、を有する。
CFRP層2と金属層(第1金属板3f及び第2金属板3s)との接合において、必要となる温度条件は、100℃ないし200℃程度であり、また、圧力条件は、数気圧ないし数十気圧程度である。そのため、本構成に係る複合積層板1は、炭素繊維と金属とを直接接合する場合に比べて、比較的低コスト且つ短時間での製造が可能である。
さらに、炭素繊維及び合成樹脂については接着性が高く、また、金属及び合成樹脂についても接着性が高い。そのため、本構成では、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。
また、炭素繊維及び金属層の界面においては、界面強度(接着強度)が大きく、両者は剥離しにくい。そのため、この複合積層板1においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。
また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。さらに、炭素繊維は、高い熱伝導性を有する。
これらの結果として、本構成の複合積層板1においては、金属の高熱伝導性、並びに、炭素繊維の低熱膨張性及び高熱伝導性が、放熱板に十分に活かされる。
そして、CFRP層2及び金属層の厚みを適切に設定することにより、複合積層板1の全体の膨張量、及び、Siチップ6の膨張量を同等にすることができ、その結果、Siチップ6と複合積層板1との間の熱応力を抑制できる。
以上のように、本構成により、(i)低コスト・短時間で製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板1が得られる。
複合積層板1の製造方法は、(a)CFRPプリプレグから成るCFRP層2を形成する、CFRP層形成工程と、(b)第1金属板(金属層)3fを、CFRP層2における一方の面に配置し、第2金属板3sを、CFRP層2における他方の面に配置する、金属層配置工程と、(c)ホットプレス法により各層(第1金属板3f、CFRP層2、及び第2金属板3s)を接合する、ホットプレス工程と、を有する。
本方法によると、複合積層板1を、比較的低コスト且つ短時間で製造できる。また、本方法によると、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。また、この方法により製造された複合積層板1においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。
以上のように、本方法によると、(i)低コスト・短時間で複合積層板を製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板1が得られる。
また、本構成では、ホットプレス工程においてホットプレス法を用いるため、CFRPの余分な合成樹脂を絞り出し、炭素繊維と金属層との間の合成樹脂を薄くすることができる。そのため、複合積層板の熱伝導性を高くすることができる。
また、放熱板において、CFRPとアルミニウムとを組み合わせることにより、CFRPのみから放熱板を形成する場合に比べて、より低いコストで複合積層板を製造できる。
さらに、CFRPは比較的軽い材料であるので(CFRPの比重:1.5〜2.0程度)、複合積層板におけるCFRPの質量比率を高めることにより、金属のみから成る従来の放熱板に比べて、複合積層板を軽量化できる。
また、CFRP層の両面に金属板を配置することにより、CFRP層の炭素繊維を保護することができる。
また、特に、ピッチ系の炭素繊維は、高い熱伝導性を有する。そのため、ピッチ系の炭素繊維をCFRP層2に用いることにより、複合積層板1の熱伝導性を、金属単体(アルミ、銅など)から成る放熱板の場合よりも高くすることができる。
また、上記のホットプレス工程を、真空状態で実施することにより、CFRP層のボイド(微小な空間)を減らすことができる。これにより、複合積層板1の熱伝導性をさらに高められる。
また、CFRP層2において、二種類の繊維方向(方向L1及び方向L2)に沿って炭素繊維21が配置されているため、熱膨張の抑制効果(金属層の熱膨張を抑制する効果)が、二方向に及ぶ。なお、CFRP層の繊維方向の数を増やせば、抑制効果の作用方向が増える。
(実施例1)
次に、複合積層板1の実施例について説明する。複合積層板1にSiチップ6を取り付けて、温度サイクル試験を行なった。試験条件は以下の通りである。
(試験条件)
Siチップの熱膨張率:3.0×10−6[1/K]
試験温度範囲(温度変化の範囲):−40℃〜+125℃
(複合積層板)
また、複合積層板として、以下のようなものを使用した。
複合積層板(全体)の厚さ:1mm
CFRP層の厚さ:0.8mm(各CFRPプリプレグ20の厚さ:0.2mm)
第1金属板(アルミニウム)の厚さ:0.1mm
第2金属板(アルミニウム)の厚さ:0.1mm
CFRPの炭素繊維:ピッチ系
CFRPの合成樹脂:エポキシ樹脂
CFRPの繊維方向:上から、0度方向、90度方向、90度方向、0度方向
ホットプレス条件:130℃、5気圧、真空度10−5Pa
この複合積層板(全体)の、0度方向及び90度方向に関する、熱伝導率(室温条件下)及び熱膨張率は、以下のようになった。なお、これらの値は、0度方向及び90度方向でほぼ同一の値となった。
熱伝導率:455W/(m・K)
熱膨張率:3.6×10−6[1/K]
複合積層板の熱伝導率は、銅(397W/(m・K))よりも高くなり、熱膨張率は、Siチップの熱膨張率と同程度となった。
(比較例)
また、比較例として、アルミニウム(単体)の放熱板にSiチップ6を取り付けて、上記と同じ条件で試験を行なった。
比較例に係るアルミニウム放熱板の厚さは、1mmである。
(試験結果)
比較例に係る放熱板においては、760サイクル(温度サイクル)で、Siチップ及び放熱板の界面に亀裂が生じた。
一方、本実施例にかかる複合積層板においては、10000サイクルの時点でも、Siチップ及び第1金属板の界面において、亀裂及び剥離が生じなかった。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図3は、第2実施形態に係る複合積層板の断面図である。以下、上記の実施形態とは異なる部分を中心に説明し、上記の実施形態と同様の事項については、その説明を省略する。
複合積層板101においては、第2金属板103sの形状のみが、上記の第2金属板3sと異なる。具体的には、第2金属板103sの厚さは、第1金属板3fよりも厚く、第2金属板103sの質量は、第1金属板3fの質量よりも大きい。そのため、複合積層板101においては、上部より下部のほうが、熱膨張性が高い。なお、第1金属板3f、CFRP層2、及び第2金属板103sの面積(それぞれの上面の面積)は同一である。また、第2金属板103sもまた、アルミニウムから形成されている。
そして、複合積層板101においては、Siチップ6の発熱時において、第1金属板3f、CFRP層2及び第2金属板103sの総熱膨張量ΔLが、Siチップ6の熱膨張量ΔLdと同程度になっている。すなわち、0.5<(ΔL/ΔLd)<2.0の関係が成立している。
また、複合積層板101は、冷却板104の上に配置されている。冷却板104は、板状の本体部104vと、複数の冷却フィン104tを有する。本体部104vは、積層方向Hに対して垂直に形成されている。また、それぞれの冷却フィン104tは、本体部104vから、積層方向Hに沿って延びている。なお、それぞれの冷却フィン104tと本体部104vとは、押し出し工法などにより一体的に形成されていてもよいし、分離形成されたものを一体化してもよい。また、各冷却フィン104tの間を、冷却水が流れるようにしてもよい。
(効果)
本実施形態により得られる効果について説明する。複合積層板101は、CFRP層2における他方の面(下面)に配置された、第2金属板(他の金属層)103sを有している。また、この複合積層板101では、Siチップ6の発熱時において、第1金属板3f、CFRP層2、及び第2金属板103sの総熱膨張量が、Siチップ6の熱膨張量と同程度である。
この構成では、複合積層板101の温度上昇に伴う、複合積層板101の全体の膨張量(長さ又は体積の変化量)が、Siチップ6の膨張量と同等となるので、Siチップ6と複合積層板101との間の熱応力を確実に緩和できる。
また、複合積層板101が積層構造になっていることによって、積層方向に関する各位置での熱膨張性を、段階的に設定することができる。
また、第1金属板3f、又は、第2金属板103sの厚さを変更することにより、CFRP層の熱膨張性を、過度に低くならないように、プラス側(増大させる側)に調整することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図4は、第3実施形態に係る複合積層板の断面図である。以下、上記の実施形態とは異なる部分を中心に説明し、上記の実施形態と同様の事項については、その説明を省略する。なお、符号202f、202s、203f、203sを付した部分は、上記の実施形態において、符号2、2、3f、3sを付した部分に相当する。
複合積層板201は、第1積層体210、絶縁層204、及び第2積層体211を有する。第1積層体210及び第2積層体211は、それぞれ、上記の複合積層板1に相当する。
第1積層体210は、第1金属板(第1金属層)203f、第1CFRP層202f、及び第2金属板(第2金属層)203sを有する。
また、第2積層体211は、第3金属板(第3金属層)203t、第2CFRP層202s、及び第4金属板(第4金属層)203yを有する。第1金属板203f、第2金属板203s、第3金属板203t、及び第4金属板203yは、アルミニウム板である。
第1金属板203fは、第1CFRP層202fに接合されており、且つ、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いていない方の面(上面)に配置されている。第4金属板203yは、第2CFRP層202sに接合されており、且つ、第2CFRP層202sの、絶縁層204に向いていない方の面(下面)に配置されている。
絶縁層204と、第1CFRP層202fとは、第2金属板203sを介して接合されている。また、絶縁層204と、第2CFRP層202sとは、第3金属板203tを介して接合されている。
絶縁層204は、第1CFRP層202f及び第2CFRP層202sの間に配置されている。また、絶縁層204は、絶縁体であるAlN(窒化アルミニウム)から成る。絶縁層204の室温(20℃)での熱伝導率は、150W/(m・K)であり、絶縁層204は、高熱伝導性を有している。また、複合積層板201に平行な(積層方向Hに垂直な)全ての方向に関して、次の関係が成立している。
(α1/α2)=1.57
0.3<(α1/α2)<3.0
α1:絶縁体の線膨張率(絶対値)[1/K]
α2:Siチップ6の線膨張率(絶対値)[1/K]
すなわち、絶縁体の熱膨張率(4.7×10−6[1/K])は、Siチップ6の熱膨張率(3.0×10−6[1/K])と同程度である。
複合積層板201においては、第1積層体210、絶縁層204、及び、第2積層体211が、熱的に接続された状態となっている。また、表面の金属層である、第1金属板203f及び第4金属板203yは、放熱板として機能することに加えて、電極としても機能する。なお、第2金属板203s、第3金属板203t、第4金属板203yはなくてもよい。
(効果)
本実施形態により得られる効果について説明する。複合積層板201は、Siチップ6の放熱板として用いられるものであって、(a)四枚のCFRPプリプレグ20から成る第1CFRP層202fと、(b)四枚のCFRPプリプレグ20から成る第2CFRP層202sと、(c)第1CFRP層202f及び第2CFRP層202sの間に配置された、絶縁体(AlN)から成る絶縁層204と、(d)第1CFRP層202fに接合されており、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いていない方の面(上面)に配置された第1金属板(第1金属層)203fと、(e)第1CFRP層202fに接合されており、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いている方の面(下面)に配置された第2金属板203sと、(f)第2CFRP層202sに接合されており、第2CFRP層202sの、絶縁層204に向いている方の面(上面)に配置された第3金属板203tと、(g)第2CFRP層202sに接合されており、第2CFRP層202sの、絶縁層204に向いていない方の面(下面)に配置された第4金属板203yと、を有し、絶縁体(AlN)においては、20℃での熱伝導率が、70W/(m・K)以上であり、且つ、熱膨張率が、Siチップ6と同程度である。
本構成に係る複合積層板201は、比較的低コスト且つ短時間での製造が可能である。また、本構成では、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層(第1金属板203f、第2金属板203s、第3金属板203t、及び第4金属板203y)が強固に結合する。また、この複合積層板201においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。
以上のように、本構成により、(i)低コスト・短時間で製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板201が得られる。
また、複合積層板201において、絶縁層204と、第1CFRP層202fとは、第2金属板(第2金属層)203sを介して接合されており、絶縁層204と、第2CFRP層202sとは、第3金属板(第3金属層)203tを介して接合されている。この構成では、絶縁層204と、第1CFRP層202f及び第2CFRP層202sとが確実に結合する。
(製造方法)
次に、複合積層板201の製造方法について説明する。まず、四枚のCFRPプリプレグ20を積層させて、第1CFRP層202fを形成する(第1CFRP層形成工程)。また、四枚のCFRPプリプレグを積層させて、第2CFRP層202sを形成する(第2CFRP層形成工程)。
次に、第1金属板203fを、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いていない方の面(上面)に配置する(第1金属層配置工程)。
また、第2金属板203sを、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いた方の面(下面)に配置する(第2金属層配置工程)。
また、第3金属板203tを、第2CFRP層202sの、絶縁層204に見た方の面(上面)に配置する(第3金属層配置工程)。
また、第4金属板203yを、第2CFRP層202sの、絶縁層204に向いていない方の面(下面)に配置する(第4金属層配置工程)。
次に、第1CFRP層202f及び第2CFRP層202sの間に、絶縁体から成る絶縁層204を配置する(絶縁層配置工程)。
次に、ホットプレス法により各層(第1金属板203f及び第1CFRP層202f、第1CFRP層202f及び第2金属板203s、第2金属板203s及び絶縁層204、絶縁層204及び第3金属板203t、第3金属板203t及び第2CFRP層202s、並びに、第2CFRP層202s及び第4金属板203y)を接合する(ホットプレス工程)。以上のようにして、複合積層板201が製造される。
(効果)
本製造方法により得られる効果について説明する。複合積層板201の製造方法は、(a)CFRPプリプレグから成る第1CFRP層202fを形成する、第1CFRP層形成工程と、(b)CFRPプリプレグから成る第2CFRP層202sを形成する、第2CFRP層形成工程と、(c)第1CFRP層202f及び第2CFRP層202sの間に、絶縁体から成る絶縁層204を配置する、絶縁層配置工程と、(d)第1金属板203fを、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いていない方の面に配置する、第1金属層配置工程と、(e)第2金属板203sを、第1CFRP層202fの、絶縁層204に向いている方の面に配置する、第2金属層配置工程と、(f)第3金属板203tを、第2CFRP層202sの、絶縁層204に向いている方の面に配置する、第3金属層配置工程と、(g)第4金属板203yを、第2CFRP層202sの、絶縁層204に向いていない方の面に配置する、第4金属層配置工程と、(h)ホットプレス法により各層を接合する、ホットプレス工程と、を有し、絶縁体においては、20℃での熱伝導率が、70W/(m・K)以上であり、且つ、熱膨張率が、電子部品と同程度である。
本方法によると、複合積層板201を、比較的低コスト且つ短時間で製造できる。また、本方法によると、合成樹脂を介して、炭素繊維及び金属層が強固に結合する。また、この方法により製造された複合積層板201においては、炭素繊維によって、金属層の熱膨張が抑制される。また、炭素繊維及び金属層の界面付近には、熱伝導性を阻害するような化合物が形成されない。
以上のように、本方法によると、(i)低コスト・短時間で複合積層板を製造でき、且つ、(ii)高熱伝導性及び低熱膨張性を有する複合積層板201が得られる。
また、本構成では、ホットプレス工程においてホットプレス法を用いるため、CFRPの余分な合成樹脂を絞り出し、炭素繊維と金属層との間の合成樹脂を薄くすることができる。そのため、複合積層板201の熱伝導性を高くすることができる。
(実施例2)
次に、複合積層板201の実施例について説明する。複合積層板201にSiチップ6を取り付けて、温度サイクル試験を行なった。試験条件は以下の通りである。
(試験条件)
Siチップの熱膨張率:3.0×10−6[1/K]
試験温度範囲(温度変化の範囲):−40℃〜+125℃
(複合積層板)
また、複合積層板として、以下のようなものを使用した。
複合積層板(全体)の厚さ:2.5mm
第1CFRP層の厚さ:0.8mm(各CFRPプリプレグ20の厚さ:0.2mm)
第2CFRP層の厚さ:0.8mm(各CFRPプリプレグ20の厚さ:0.2mm)
第1金属板(アルミニウム)の厚さ:0.1mm
第2金属板(アルミニウム)の厚さ:0.1mm
第3金属板(アルミニウム)の厚さ:0.1mm
第4金属板(アルミニウム)の厚さ:0.1mm
絶縁層(AlN)の厚さ:0.5mm
CFRPの炭素繊維:ピッチ系
CFRPの合成樹脂:エポキシ樹脂
CFRPの繊維方向:上から、0度方向、90度方向、90度方向、0度方向
ホットプレス条件:130℃、5気圧、真空度10−5Pa
この複合積層板(全体)の、0度方向及び90度方向に関する、熱伝導率(室温条件下)及び熱膨張率は、以下のようになった。なお、これらの値は、0度方向及び90度方向でほぼ同一の値となった。
熱伝導率:368W/(m・K)
熱膨張率:4.3×10−6[1/K]
複合積層板の熱伝導率は、銅(397W/(m・K))と同程度となり、熱膨張率は、Siチップの熱膨張率と同程度となった。
(試験結果)
本実施例にかかる複合積層板においては、10000サイクルの時点でも、Siチップ及び第1金属板の界面において、亀裂及び剥離が生じなかった。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図5を用いて説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図5は、第4実施形態に係る複合積層板の断面図である。以下、上記の実施形態とは異なる部分を中心に説明し、上記の実施形態と同様の事項については、その説明を省略する。なお、符号302f、302s、303f、303s、303t、303y、310、311を付した部分は、上記の実施形態において、符号202f、202s、203f、203s、203t、203y、210、211を付した部分に相当する。
複合積層板301は、第1積層体310、絶縁層204、及び第2積層体311に加え、冷却板304を有する。冷却板304は、アルミニウム製であり、第4金属板303yの下面(第2CFRP層302sに向いていない方の面)に配置されている。冷却板304の面積(上面の面積)は、第1積層体310、絶縁層204及び第2積層体311の面積とは異なっており、冷却板304の面積の方が大きい。なお、冷却板の面積は、第1積層体310、絶縁層204及び第2積層体311の面積と同程度であってもよい。
複合積層板301においては、第2CFRP層302sが、四層構造ではなく、二層構造になっている。具体的には、第2CFRP層302sには、上から順に、0度方向、90度方向となるように積層された、二層のCFRPプリプレグ20が含まれる。そして第1CFRP層302fの質量よりも、第2CFRP層302sの質量が小さい。
また、第1金属板303f、第2金属板303s、第3金属板303t、第4金属板303yの順に、質量が大きくなっている。そして、第1金属板303f及び第2金属板303sの合計質量よりも、第3金属板303t及び第4金属板303yの合計質量が大きい。
(製造方法1)
次に、複合積層板301の製造方法について説明する。本製造方法においては、まず、Siチップ6の発熱時における、各層の膨張量[mm]を求め、その値から、各層の材料の物性値を計算により求める。以下、具体的に説明する。
(i)発熱体であるSiチップ6の発熱時の温度、(ii)各層の材料における各種物性(熱伝導率など)を考慮した上で、各層の材料の質量を決定する。
具体的には、第1CFRP層302fの質量よりも、第2CFRP層302sの質量を小さくする。
また、第1金属板303f、第2金属板303s、第3金属板303t、第4金属板303yの順に、質量を大きくする。そして、第1金属板303f及び第2金属板303sの合計質量よりも、第3金属板303t及び第4金属板303yの合計質量を大きくする。以上のようにして、第1金属板303f、第2金属板303s、第3金属板303t、第4金属板303y、第1CFRP層302f、第2CFRP層302sの質量を決定し、そこから各材料のサイズを設定する(設計工程)。
その後、第1CFRP層形成工程、第2CFRP層形成工程、第1金属層配置工程、第2金属層配置工程、第3金属層配置工程、第4金属層配置工程、絶縁層配置工程、及びホットプレス工程を実施する。以上のようにして、複合積層板301が製造される。
(効果)
本実施形態により得られる効果について説明する。複合積層板301は、第2CFRP層302sに接合されており、且つ、第2CFRP層302sの、絶縁層204に向いていない方の面に配置された第4金属板(第4金属層)303yを有している。また、この複合積層板301において、第1金属層、第2金属層、第3金属層、第4金属層の順に、質量が大きくなっている。
複合積層板301においては、各金属層が熱膨張性を増大させ、各CFRP層が熱膨張性を抑制する。
複合積層板301にSiチップ6が設置された状態では、複合積層板301は、Siチップ6に近い位置で高温となり、Siチップ6から離れるに従い、温度が低くなる(図5の左側に示す温度分布参照)。
本構成では、第1金属層、第2金属層、第3金属層、第4金属層の順に、質量が大きくなっているので、Siチップ6から離れるに従い、熱膨張性が高くなっている。そのため、複合積層板301の温度上昇に伴う、(i)第1積層体310の膨張量(長さ又は体積の変化量)、(ii)絶縁層204の膨張量、及び(iii)第2積層体311の膨張量を、それぞれ、Siチップ6の膨張量と同等にすることができる。従って、(A)第1積層体310とSiチップ6との間における熱応力、(B)第1積層体310と絶縁層204との間における熱応力、及び(C)絶縁層204と第2積層体311との間における熱応力、を確実に緩和できる。
また、複合積層板301は、第2CFRP層302sに接合されており、且つ、第2CFRP層302sの、絶縁層204に向いていない方の面に配置された第4金属板(第4金属層)303yを有している。また、この複合積層板301においては、第1CFRP層302fの質量よりも、第2CFRP層302sの質量が小さい。
本構成では、第1CFRP層の質量よりも、第2CFRP層の質量が小さいので、第1積層体310(第1CFRP層302f、並びに、これを挟む第1金属板303f及び第2金属板303s)よりも、第2積層体311(第2CFRP層302s、並びに、これを挟む第3金属板303t及び第4金属板303y)の熱膨張性が高くなる(熱膨張し易くなる)。そのため、この複合積層板301においては、Siチップ6から離れるに従い、熱膨張性が高くなっている。そのため、複合積層板301の温度上昇に伴う、(i)第1積層体310の膨張量、(ii)絶縁層204の膨張量、及び(iii)第2積層体311の膨張量を、それぞれ、Siチップ6の膨張量と同等にすることができる。従って、(A)第1積層体310とSiチップ6との間における熱応力、(B)第1積層体310と絶縁層204との間における熱応力、及び(C)絶縁層204と第2積層体311との間における熱応力、を確実に緩和できる。
また、第1金属板303f及び第4金属板303yは、放熱板として機能することに加えて、電極としても機能する。
また、複合積層板301が積層構造になっていることによって、積層方向に関する各位置での熱膨張性を、段階的に設定することができる。
また、各金属板の厚さを変更することにより、CFRP層の熱膨張性を、過度に低くならないように、プラス側(増大させる側)に調整することができる。
(製造方法2)
次に、上記とは異なる観点から、複合積層板301の製造方法について説明する。本製造方法においては、まず、Siチップ6の発熱時における、各層の膨張量[mm]を求め、その値から、各層の材料の物性値を計算により求める。以下、具体的に説明する。
ここでは、簡単な式により説明するため、第1積層体310の各層(第1金属板303f、第2金属板303s、及び第1CFRP層302f)のヤング率が同等であり、また、第2積層体311の各層(第3金属板303t、第4金属板303y、及び第2CFRP層302s)のヤング率についても同等であるとする。但し、これらのヤング率は異なっていてもよい(上記の式1’参照)。
第1積層体310の平均線膨張率α[1/K]は、次の式で表わされる。
α=(αm×Tm+αc×Tc+αn×Tn)/(Tm+Tc+Tn)
αm:第1金属板303fの線膨張率[1/K]
αn:第2金属板303sの線膨張率[1/K]
αc:第1CFRP層302fの線膨張率[1/K]
Tm:第1金属板303fの厚さ[mm]
Tn:第2金属板303sの厚さ[mm]
Tc:第1CFRP層302fの厚さ[mm]
ここで、αcは、0度方向、及び、90度方向のそれぞれの繊維方向に関する、第1CFRP層302fの線膨張率の平均値である。
また、第2積層体311の平均線膨張率β[1/K]は、次の式で表わされる。
β=(βm×Sm+βc×Sc+βn×Sn)/(Sm+Sc+Sn)
βm:第3金属板303tの線膨張率[1/K]
βn:第4金属板303yの線膨張率[1/K]
βc:第2CFRP層302sの線膨張率[1/K]
Sm:第3金属板303tの厚さ[mm]
Sn:第4金属板303yの厚さ[mm]
Sc:第2CFRP層302sの厚さ[mm]
また、絶縁層204の線膨張率をγ[1/K]とする。
(i)発熱体であるSiチップ6の発熱時の温度、(ii)各層の材料における各種物性(熱伝導率など)、及び(iii)サイズ(厚さ、体積、重量など)から、第1積層体310の全体の温度(平均温度T)[K]、第2積層体311の全体の温度(平均温度T)[K]、絶縁層204の温度(温度T)[K]が算出される。この時点において、「各種物性」については、仮定した値を用いる。
そして、平均温度(T、T、及びT)、及び、上記の平均線膨張率(α、β、及びγ)[1/K]から、次の式を用いて、第1積層体310の総熱膨張量ΔL1[mm]、第2積層体311の総熱膨張量ΔL2[mm]、絶縁層204の熱膨張量ΔL3[mm]が計算される。
ΔL1=α×L1×ΔT
ΔL2=β×L2×ΔT
ΔL3=γ ×L3×ΔT
L1:第1積層体310の長さ(方向L1に関する長さ)[mm]
L2:第2積層体311の長さ(方向L1に関する長さ)[mm]
L3:絶縁層204の長さ(方向L1に関する長さ)[mm]
ΔT:第1積層体310全体の温度変化量(平均)[K]
ΔT:第2積層体311全体の温度変化量(平均)[K]
ΔT:絶縁層204の温度変化量[K]
ΔT、ΔT、及びΔTは、それぞれ、Siチップ6の発熱前における、それぞれの平均温度と、発熱後におけるそれぞれの平均温度(T、T、又はT)との差である。
本実施形態においては、L1=L2=L3=L4とする。すなわち、Siチップ6の長さL4[mm](下記参照)を基準として、第1積層体310、第2積層体311、及び絶縁層204の長さ、及びその変化について計算する。
そして、Siチップ6の熱膨張量ΔL4は、次の式により計算される。
ΔL4=ε×L4×ΔT
L4:Siチップ6の長さ(方向L1に関する長さ)[mm]
ε :Siチップ6の線膨張率[1/K]
ΔT:Siチップ6の温度変化量[K]
ΔTは、Siチップ6の発熱前における、Siチップ6の温度と、発熱後における温度との差である。
そして、本製造方法においては、Siチップ6の発熱時に、ΔL1、ΔL2及びΔL3に関して、次の式2の関係が成立するように、各層の材料の各種物性値(αm、αn、αc、Tm、Tn、Tc、βm、βn、βc、Sm、Sn、Sc、γ、及びその他の物性値)及び大きさ(厚さ、体積、質量など)を設定する(設計工程)。なお、「≒」は、「同程度」であることを示す。
ΔL1≒ΔL2≒ΔL3≒ΔL4 (式2)
その後、第1CFRP層形成工程、第2CFRP層形成工程、第1金属層配置工程、第2金属層配置工程、第3金属層配置工程、第4金属層配置工程、絶縁層配置工程、及びホットプレス工程を実施する。複合積層板301は、このような観点から製造されてもよい。
なお、設計工程において、各層の材料の選択を行なってもよい。また、上記の設計工程では、方向L1に関する長さを用いて、膨張量を比較しているが、他の方向に関する長さを用いて、膨張量を比較してもよい。また、長さ(L1、L2、L3、L4)及び熱膨張量(ΔL1、ΔL2、ΔL3、ΔL4)を使用せずに、面積又は体積を用いて膨張量を比較してもよい。また、長さ、面積又は体積を使用せずに、長さ変化の割合(ΔL/L:線膨張率×温度変化量)を用いて、間接的に膨張量を比較してもよい。
また、設計工程においては、ΔL1、ΔL2及びΔL3に関して、次の関係が成立するように、各種物性値を設定してもよい。この場合に、ΔL1≒ΔL2でなくてもよく、また、ΔL4≒ΔL3でなくてもよい。
ΔL4≒ΔL1
ΔL1≒ΔL3
ΔL2≒ΔL3
(効果)
本製造方法、及び、本製造方法を経た複合積層板301により得られる効果について説明する。複合積層板301は、第2CFRP層302sに接合されており、且つ、第2CFRP層302sの、絶縁層204に向いていない方の面に配置された第4金属板(第4金属層)303yを有している。また、この複合積層板301では、Siチップ6の発熱時における、(i)第1積層体310の総熱膨張量、(ii)絶縁層204の熱膨張量、及び、(iii)第2積層体311の総熱膨張量のそれぞれが、Siチップ6の熱膨張量と同程度である。
この構成では、複合積層板301の温度上昇に伴う、(i)第1積層体310の膨張量(長さ又は体積の変化量)、(ii)絶縁層204の膨張量、及び(iii)第2積層体311の膨張量が、それぞれ、Siチップ6の膨張量と同等となる。そのため、(A)第1積層体310とSiチップ6との間における熱応力、(B)第1積層体310と絶縁層204との間における熱応力、及び(C)絶縁層204と第2積層体311との間における熱応力、を確実に緩和できる。
(複合積層板の設計例)
ここで、製造方法2の設計手法を用いた、複合積層板301の設計例について説明する。まず、各層の線膨張率を、以下のように設定する。
Siチップ6の線膨張率ε: 3×10−6[1/℃]
第1積層体310の平均線膨張率α:4×10−6[1/℃]
絶縁層204の線膨張率γ: 6×10−6[1/℃]
第2積層体311の平均線膨張率β:15×10−6[1/℃]
そして、各層の温度分布が、以下のようになるとする。
Siチップ6の温度変化量ΔT:100[℃]
第1積層体310全体の温度変化量(平均)ΔT:75[℃]
絶縁層204の温度変化量ΔT:50[℃]
第2積層体311全体の温度変化量(平均)ΔT:20[℃]
この条件下では、各層において、長さの変化率(線膨張率×温度変化量)は、以下のように同一となる。そのため、(A)第1積層体310とSiチップ6との間における熱応力、(B)第1積層体310と絶縁層204との間における熱応力、及び(C)絶縁層204と第2積層体311との間における熱応力、が確実に緩和される。
ε×ΔT = 3×10−4[−]
α×ΔT = 3×10−4[−]
γ×ΔT = 3×10−4[−]
β×ΔT = 3×10−4[−]
例えば、上記のような観点から、複合積層板301を設計することができる。
(製造方法3)
次に、さらに異なる観点から、複合積層板301の製造方法について説明する。本製造方法においては、まず、各層の熱膨張量[mm]を求め、その値から、各層の材料の物性値を計算により求める。以下、具体的に説明する。
本製造方法においては、Siチップ6の発熱時において、次の式3、式4、及び式5の関係が成立するように、各層の材料の各種物性値及び大きさ(厚さ、体積、質量など)を設定する(設計工程)。なお、「≒」は、「同程度」であることを示す。
ΔLm1≒ΔLd (式3)
ΔLm4≒ΔLr (式4)
ΔLm2≒ΔLm3=ΔLz (式5)
ΔLm1:第1金属板303fの熱膨張量
ΔLm2:第2金属板303sの熱膨張量
ΔLm3:第3金属板303tの熱膨張量
ΔLm4:第4金属板303yの熱膨張量
ΔLr:冷却板304の熱膨張量
ΔLz:絶縁層204の熱膨張量
ΔLd:電子部品の熱膨張量(所与)
なお、第1金属板303fの熱膨張量ΔLm1は、(Siチップ6が実装され、且つ、発熱している状態で)第1CFRP層302fによって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第1金属板303fの熱膨張量である。
第2金属板303sの熱膨張量ΔLm2は、第1CFRP層302fによって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第2金属板303sの熱膨張量である。
第3金属板303tの熱膨張量ΔLm3は、第2CFRP層302sによって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第3金属板303tの熱膨張量である。
第4金属板303yの熱膨張量ΔLm4は、第2CFRP層302sによって熱膨張を抑制されたことを考慮した、第4金属板303yの熱膨張量である。
その後、第1CFRP層形成工程、第2CFRP層形成工程、第1金属層配置工程、第2金属層配置工程、第3金属層配置工程、第4金属層配置工程、絶縁層配置工程、及びホットプレス工程を実施する。複合積層板301は、このような観点から製造されてもよい。
(効果)
本製造方法、及び、本製造方法を経た複合積層板301により得られる効果について説明する。複合積層板301は、第2CFRP層302sに接合されており、且つ、第2CFRP層302sの、絶縁層204に向いていない方の面に配置された第4金属板(第4金属層)303yと、第4金属板303yの、第2CFRP層302sに向いていない方の面に設けられた、アルミニウム製の冷却板304と、をさらに有する。また、この複合積層板301では、Siチップ6の発熱時において、第1金属板303fの熱膨張量が、Siチップ6と同程度であり、且つ、第4金属板303yの熱膨張量が、冷却板304と同程度である。
この構成では、複合積層板301の温度上昇に伴う、(i)第1金属板303fの膨張量(長さ又は体積の変化量)及びSiチップ6の膨張量が同等となり、また、(ii)第4金属板303yの膨張量、及び、冷却板304の膨張量が同等となる。そのため、(A)第1積層体310とSiチップ6との間の熱応力、及び(B)第2積層体311と冷却板304との間の熱応力、を確実に緩和できる。
また、複合積層板301では、Siチップ6の発熱時において、第2金属板303sにおける熱膨張量、及び、第3金属板303tにおける熱膨張量が、絶縁層204の熱膨張量と同程度である。
この構成では、複合積層板301の温度上昇に伴う、(i)第2金属板303sの膨張量(長さ又は体積の変化量)及び絶縁層204の膨張量が同等となり、また、(ii)第3金属板303tの膨張量、及び、絶縁層204の膨張量が同等となる。そのため、(A)第1積層体310と絶縁層204との間の熱応力、(B)第2積層体311と絶縁層204との間の熱応力、を確実に緩和できる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図6を用いて説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図6は、第5実施形態に係る複合積層板の断面図である。以下、上記の第1実施形態とは異なる部分を中心に説明し、上記の実施形態と同様の事項については、その説明を省略する。
複合積層板401においては、第2金属板403sの形状のみが、第1実施形態の第2金属板3sと異なる。具体的には、第2金属板403sは、板部403vと、複数の冷却フィン403tとを有する。それぞれの冷却フィン403tは、板部403vから、積層方向Hに沿って延びている。また、第2金属板403sもまた、アルミニウムから形成されている。なお、それぞれの冷却フィン403tと板部403vとは、押し出し工法などにより一体的に形成されていてもよいし、分離形成されたものを一体化してもよい。また、各冷却フィン403tの間を、冷却水が流れるようにしてもよい。
また、第2金属板403sには、複数の冷却フィン403tが設けられているために、第2金属板403sの質量は、第1金属板3fの質量よりも大きい。複層積層板は、このように構成されていてもよい。
(他の実施形態について)
本発明の実施の形態は、上記の実施形態には限られない。例えば、複合積層板は、Siチップのような半導体素子だけでなく、LEDなどの、発熱量が多い他の電子部品が設置されてもよい。
また、ここでは、絶縁層が一層のみの複合積層板について説明したが、絶縁層が二層あってもよい。また、積層体(第1積層体及び第2積層体)の数も、二つには限られない。例えば、複合積層体が、上から、第1積層体、第1絶縁層、第2積層体、第2絶縁層、及び第3積層体と積層された構成を有していてもよい。
また、図5の冷却板304はなくてもよく、複合積層板が、第1積層体310、絶縁層204、第2積層体311から成っていてもよい。
また、ここでは、製造方法1、製造方法2及び製造方法3を、別方法として説明したが、これらについては、単独実施には限られず、これらのうち二種または三種を組み合わせて実施してもよい。例えば、製造方法2の設計工程を実施して各材料の概略的な設計を行なってから、製造方法3の設計工程を実施して、詳細な設計を行なってもよい。
また、上記の複合積層板は、実装される「電子部品」の、発熱時の温度、線膨張率、熱膨張量などが、予め与えられている(所与である)場合に、その値を用いて設計される。ここで、「電子部品」の発熱時の温度が、一定でない場合には、電子部品の温度として、発熱時における電子部品の温度の平均値(相加平均、相乗平均、調和平均などによる平均値)を用いればよい。
本発明は、半導体素子の放熱板として利用することができる。
1 複合積層板
2 CFRP層
20 CFRPプリプレグ
21 炭素繊維
22 熱硬化性樹脂
3f 第1金属板(金属層)
3s 第2金属板(他の金属層)
404 放熱台
450 ボンディングワイヤ
6 Siチップ(電子部品)

Claims (11)

  1. 電子部品の放熱板として用いられる複合積層板(1)であって、
    CFRPプリプレグから成るCFRP層(2)と、
    前記CFRP層に接合されており、且つ、前記CFRP層における一方の面に配置された金属層(3f)と、を有することを特徴とする複合積層板。
  2. 前記CFRP層における他方の面に配置された、他の金属層(103s)をさらに有し、
    前記電子部品の発熱時において、前記金属層、前記CFRP層、及び前記他の金属層の総熱膨張量が、前記電子部品の熱膨張量と同程度であることを特徴とする、請求項1に記載の複合積層板。
  3. 電子部品の放熱板として用いられる複合積層板を製造する方法であって、
    CFRPプリプレグから成るCFRP層を形成する、CFRP層形成工程と、
    金属層を、前記CFRP層における一方の面に配置する、金属層配置工程と、
    ホットプレス法により各層を接合する、ホットプレス工程と、を有することを特徴とする、複合積層板の製造方法。
  4. 電子部品の放熱板として用いられる複合積層板(201)であって、
    CFRPプリプレグから成る第1CFRP層(202f)と、
    CFRPプリプレグから成る第2CFRP層(202s)と、
    前記第1CFRP層及び前記第2CFRP層の間に配置された、絶縁体から成る絶縁層(204)と、
    前記第1CFRP層に接合されており、且つ、前記第1CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第1金属層(203f)と、を有し、
    前記絶縁体においては、20℃での熱伝導率が、70W/(m・K)以上であり、且つ、熱膨張率が、前記電子部品と同程度であることを特徴とする複合積層板。
  5. 前記絶縁層と、前記第1CFRP層とは、第2金属層(203s)を介して接合されており、
    前記絶縁層と、前記第2CFRP層とは、第3金属層(203t)を介して接合されていることを特徴とする、請求項4に記載の複合積層板。
  6. 前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層(303y)をさらに有し、
    前記第1金属層、前記第2金属層、前記第3金属層、前記第4金属層の順に、質量が大きくなっていることを特徴とする、請求項5に記載の複合積層板。
  7. 前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層(303y)をさらに有し、
    前記第1CFRP層の質量よりも、前記第2CFRP層の質量が小さいことを特徴とする、請求項5又は6に記載の複合積層板。
  8. 前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層(303y)をさらに有し、
    前記電子部品の発熱時における、(i)前記第1金属層、前記第1CFRP層、及び前記第2金属層を含む第1積層体の総熱膨張量、(ii)前記絶縁層の熱膨張量、並びに、(iii)前記第3金属層、前記第2CFRP層、及び前記第4金属層を含む第2積層体の総熱膨張量のそれぞれが、前記電子部品の熱膨張量と同程度であることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の複合積層板。
  9. 前記第2CFRP層に接合されており、且つ、前記第2CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置された第4金属層(303y)と、
    前記第4金属層の、前記第2CFRP層に向いていない方の面に設けられた、金属製の冷却板(304)と、をさらに有し、
    前記電子部品の発熱時において、前記第1金属層の熱膨張量が、前記電子部品と同程度であり、且つ、前記第4金属層の熱膨張量が、前記冷却板と同程度であることを特徴とする、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の複合積層板。
  10. 前記電子部品の発熱時において、前記第2金属層における熱膨張量、及び、前記第3金属層における熱膨張量が、前記絶縁層の熱膨張量と同程度であることを特徴とする、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の複合積層板。
  11. 電子部品の放熱板として用いられる複合積層板(201)を製造する方法であって、
    CFRPプリプレグから成る第1CFRP層(202f)を形成する、第1CFRP層形成工程と、
    CFRPプリプレグから成る第2CFRP層(202s)を形成する、第2CFRP層形成工程と、
    前記第1CFRP層及び前記第2CFRP層の間に、絶縁体から成る絶縁層(204)を配置する、絶縁層配置工程と、
    第1金属層(203f)を、前記第1CFRP層の、前記絶縁層に向いていない方の面に配置する、第1金属層配置工程と、
    ホットプレス法により各層を接合する、ホットプレス工程と、を有し、
    前記絶縁体においては、20℃での熱伝導率が、70W/(m・K)以上であり、且つ、熱膨張率が、前記電子部品と同程度であることを特徴とする、複合積層板の製造方法。
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