JP5612870B2 - 褥瘡改善作用を有する組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、褥瘡改善作用を有する組成物に関する。より詳しくは、乳酸菌を有効成分として含む褥瘡改善作用を有する組成物、並びに、その医薬、試薬、および飲食品としての用途に関する。
褥瘡は、持続的圧迫により皮膚、皮下脂肪組織、筋肉への血流が途絶え、これらの組織が死滅した状態である。褥瘡の予防または治療においては、局所の血流を確保するために、体圧分散を目的とした看護、予防、栄養管理、スキンケアを含めた局所療法が実施されている。褥瘡の局所療法においては、褥瘡の状態を正しく判断し、その状態に適した処置、外用薬、および創傷被覆材を選択し、患者に適用する必要がある。これまでの褥瘡の局所療法においては、高度な専門的知識が必要であったことから、より簡便な新たな治療法の開発が求められている。
ところで、近年、乳酸菌などの腸内細菌について、疾病の予防効果や疾病の症状の改善効果などを検証し、簡便に摂取でき、安全性の高い医薬や飲食品として利用しようとする試みがなされている。
例えば、ヒト腸管から単離された乳酸菌であるエンテロコッカス・フェカリス・EC-12株(以下、単に「EC-12」と略することがある)について、本願出願人は、絨毛の委縮を抑制する効果および腸管上皮細胞増殖抑制効果(特許文献1、非特許文献1)、腸内細菌叢の改善効果、便通促進効果、および便通改善作用のメカニズム(特許文献2、非特許文献2〜4)、リステリア菌感染に対する生体防御効果(非特許文献5)、薬剤耐性菌の排除効果(特許文献3)、自然免疫および獲得免疫の活性化効果(非特許文献6)、接触性皮膚炎に対する炎症抑制効果(特許文献4)、I型アレルギー反応(喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎)の軽減効果(特許文献5、非特許文献7)、リウマチ性関節炎の改善効果(特許文献6)、ハンセン病(らい病)の予防効果(特許文献7)、抗腫瘍効果(非特許文献8)、および火傷の治癒促進効果(非特許文献9)などを報告している。
上記報告も含め、これまで、乳酸菌などの腸内細菌について様々な疾患に対する症状改善効果が報告されてきたが、いまだ褥瘡改善に応用した例は報告されていない。
特開2008-255080号公報 特開2004−51530号公報 特開2006-89421号公報 特開2006-28050号公報 特開2007-91694号公報 特開2007-254333号公報 特開2007-290992号公報
吉田容子ら, 第62回日本栄養・食料学会大会 講演要旨集p247(2008) Microb. Ecol. Health Dis., 17(2), 107-113(2005) Microb. Ecol. Health Dis., 16(4), 188-194(2004) Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 60589-1-4(2007) J. New Rem. & Clin., 53(3), 78-88(2004) Animal Sci. J., 78, 92-97(2007) Skin Research, Suppl. 10, 38-44(2008) 大塚昌孝ら、第15回 日本バイオセラピー学会 抄録集p110(2002) 山田薫ら、第147回 日本獣医学会学術集会 講演要旨集p295(2009)
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、褥瘡改善作用を有する組成物であって、簡便に投与または摂取することができ、かつ、高い安全性を有する組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、褥瘡のモデルマウスにおける、乳酸菌の効果を検討した。具体的には、このモデルマウスに、乳酸菌の一例としてエンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)を摂取させ、その褥瘡改善作用を評価した。その結果、このモデルマウスでは、褥瘡形成後早期から褥瘡面積の減少が認められ、また、褥瘡形成後の初期において、種々の炎症性サイトカインや成長因子の高発現が認められたことから、創傷治癒が促進されていることが判明した。さらに、褥瘡形成後の後期では、炎症性サイトカインや成長因子の発現が減少し、対照と比較して正常な状態に早く向かっていることが判明した。このように、エンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)は、褥瘡形成後の早期の段階から、その改善作用を示した。さらに、陰性対照群およびエンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)を同日投与した群との比較により、この効果は、特に、エンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)を褥瘡の形成前から予防的に投与した場合に顕著であることも判明した。
以上から、本発明者らは、エンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)が、褥瘡の予防や早期段階での治癒のための医薬や飲食品として極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
(1)乳酸菌を有効成分として含んでなる、褥瘡の改善に用いられる組成物。
(2)乳酸菌が、エンテロコッカス属に属するものである、(1)に記載の組成物。
(3)乳酸菌が、エンテロコッカス・フェカリスである、(1)に記載の組成物。
(4)医薬組成物である、(1)に記載の組成物。
(5)経口的に投与されるものである、(4)に記載の組成物。
(6)褥瘡が形成される前に予防的に投与される、(4)に記載の組成物。
(7)飲食品である、(1)に記載の組成物。
(8)経口的に摂取されるものである、(7)に記載の組成物。
(9)褥瘡が形成される前に摂取される、(7)に記載の組成物。
(10)褥瘡を改善するために用いられる旨の表示を付した、(4)または(7)に記載の組成物。
本発明の組成物を医薬品として投与あるいは飲食品として摂取することによって、生体における褥瘡の改善を図ることができる。特に、本発明の組成物は、褥瘡形成前に予防的に投与することにより、顕著な効果を得ることができる。本発明の組成物は、褥瘡の予防や褥瘡の早期段階での治癒において有用である。また、本発明の組成物の有効成分は、乳酸菌であり、安全性が高い。このため、医薬として用いた場合には経口投与することができ、これまでの褥瘡の局所療法と異なり、簡便で、しかも、褥瘡の患者への負担も少ない。また、本発明の組成物は、健康食品などの飲食品として、健常者が日常的に容易に摂取して、褥瘡の予防を図ることができる。
「予防的EC-12投与群」、「同日EC-12投与群」、「生理食塩水投与群」における、褥瘡形成後3日目から11日目の褥瘡面積縮小率を示す図である。「予防的EC-12投与群」の最大褥瘡面積を100として、傷面積縮小率を算出した。
本発明は、乳酸菌を有効成分として含んでなる、褥瘡の改善に用いられる組成物を提供する。
本発明において「褥瘡」とは、持続的圧迫により皮膚、皮下脂肪組織、筋肉への血流が途絶え、これらの組織が死滅した状態を意味する。本発明において「褥瘡の改善作用」とは、乳酸菌の投与もしくは摂取により、褥瘡が生じにくくなること、生じる褥瘡が軽度となること、褥瘡の悪化を抑制すること、褥瘡の治癒が早まることを含む意である。また、形成された褥瘡が治癒に至るまでの過程において、全体を改善する場合のみならず、特定のステージを改善することも含む意である。褥瘡の改善作用は、例えば、本実施例に示すように、褥瘡面積の測定や炎症性サイトカインや成長因子の発現の測定により評価することができる。
本発明の組成物の有効成分である「乳酸菌」としては、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ラクトバシルス属、ストレプトコッカス属、および、ラクトコッカス属に属するものが例示されるが、褥瘡改善作用を有する限り、特に制限されない。
エンテロコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコツカス・フェシウムが挙げられ、ビフィドバクテリウム属に属する細菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・プレーべ、ビフィドバクテリウム・ビフィダムが挙げられ、ラクトバシルス属に属する細菌としては、ラクトバシルス・アシドフィラス、ラクトバシルス・カゼイ、ラクトバシルス・サリバリウスが挙げられ、ストレプトコッカス属に属する細菌としては、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィラス等が挙げられ、ラクトコッカス属に属する細菌としては、例えば、ラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス等が挙げられる。本発明の組成物に用いる乳酸菌は、好ましくは、エンテロコッカス属に属するものであり、特に好ましくは、エンテロコッカス・フェカリスである。
なお、本実施例において用いたエンテロコッカス・フェカリス・EC-12株(EC-12)は、2005年2月25日(原寄託日)、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託された(受託番号は、FERM BP-10284)。エンテロコッカス・フェカリスとしては、EC-12株の他、ATCC19433、ATCC14508、ATCC23655、IFO16803、IFO16804等の菌株を利用することができる。
これらの乳酸菌は、1種のみを本発明の組成物に用いることもできるが、2種以上の菌種を配合して本発明の組成物に用いることもできる。また、本発明の組成物において、乳酸菌は、生菌として、また、死菌体として用いることができる。死菌体は、耐熱性に優れ、品質が安定しており、無味無臭である点で、本発明の組成物の有効成分として好ましい。本発明の組成物における死菌体としては、加熱殺菌した菌体を用いることができる。加熱殺菌した菌体は、乳酸菌を常法に従って培養して得られた培養物から、例えば、濾過、遠心分離等の方法により菌体を回収し、水洗後、水等に懸濁して120℃以下(好ましくは80〜120℃)、30分以内(3秒〜30分間)加熱処理した後、必要に応じて濃縮、乾燥することにより調製できる。なお、エンテロコッカス・フェカリス・EC-12株の加熱殺菌菌体の微細粉末は、商品名「EC-12(イーエフパワー)」(コンビ株式会社製)として市販されている。
本発明の組成物は、褥瘡改善作用を有する医薬組成物、飲食品(動物用飼料を含む)、あるいはモデル動物実験などに用いられる試薬の形態であり得る。
本実施例において、エンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)を褥瘡のマウスモデルに摂取させると、褥瘡形成後早期から褥瘡面積の有意な減少が認められた。また、この効果は、特に、エンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)を褥瘡の形成前から予防的に投与した場合に大きかった。従って、本発明の組成物は、特に予防的に投与される医薬組成物または予防的に(日常的に)摂取される飲食品として好適に用いることができ、これにより褥瘡の予防や早期段階での治癒を行うことができる。
また、本実施例におけるマウスモデルでは、エンテロコッカス・フェカリス(EC-12株)を摂取させると、褥瘡形成後の初期において、対照と比較して、炎症性サイトカインや成長因子が高発現し、創傷治癒が促進されていることが認められ、さらに、褥瘡形成後の後期になると、対照と比較して炎症性サイトカインや成長因子の発現が減少し、対照よりも正常な状態に早く向かっていることが認められた。従って、本発明の組成物は、褥瘡形成後の初期における炎症性サイトカインや成長因子(例えば、IL-1α遺伝子、TNF-α遺伝子、TGF-β遺伝子、FGF-7遺伝子、FGF-10遺伝子)の発現抑制を促進するための組成物として、また、褥瘡形成後の後期における炎症性サイトカインや成長因子(例えば、IL-1α遺伝子、IL-8遺伝子、TNF-α遺伝子、TGF-β遺伝子、FGF-10遺伝子)の発現抑制を促進するための組成物として用いることもできる。
本発明における組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤などとして、経口的または非経口的に使用することができる。本発明は、腸内細菌である乳酸菌を有効成分とする組成物であり、経口により、簡便に投与もしくは摂取することができる。すなわち、本発明の組成物の好ましい投与もしくは摂取の方法は、経口による投与もしくは摂取である。
これら製剤化においては、薬理学上もしくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合には、褥瘡の予防や治療に用いられる公知の医薬組成物と併用してもよい。
本発明の組成物を飲食品として用いる場合、当該飲食品は、例えば、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、病者用食品、あるいは動物用飼料であり得る。本発明の飲食品は、上記のような組成物として摂取することができる他、種々の飲食品として摂取することもできる。飲食品の具体例としては、ジュース、清涼飲料水、茶飲料、ドリンク剤、ゼリー状飲料、機能性飲料等の各種飲料;ビール等のアルコール飲料;飯類、麺類、パン類およびパスタ類等の炭水化物含有食品;魚肉ハム、ソーセージ、水産練り製品等の練製品;カレー、あんかけ、中華スープ等のレトルト製品;スープ類;牛乳、乳飲料、アイスクリーム、チーズ、ヨーグルト等の乳製品;みそ、ヨーグルト、乳酸菌、発酵飲料、漬け物等の発酵物;豆製品;ビスケット、クッキーなどの洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、グミ、ゼリー、プリンなどの冷菓や氷菓などの各種菓子類;インスタントスープ、インスタントみそ汁等のインスタント食品、電子レンジ対応食品等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状またはゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。
本発明の組成物は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物などを対象とすることができる。具体的には、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、サルなどが挙げられるが、これらに制限されない。
本発明における飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。当該飲食品においては、褥瘡の改善に有効な1種もしくは2種以上の成分(例えば、栄養素など)を添加してもよい。また、褥瘡の改善以外の機能を発揮する他の成分あるいは他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。
本発明の組成物を投与または摂取する場合、その投与量または摂取量は、対象の年齢、体重、褥瘡の症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品など)などに応じて、適宜選択される。例えば、1回当たりの乳酸菌の投与量または摂取量は、一般に、0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重であり、好ましくは、1mg/kg体重〜10mg/kg体重である。本発明は、このように、乳酸菌を対象に投与もしくは摂取させることを特徴とする、対象における褥瘡の改善方法をも提供するものである。
本発明の組成物の製品(医薬品、飲食品、試薬)またはその説明書は、褥瘡を改善するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品または説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装などに表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物などに表示を付したことを意味する。褥瘡を改善するために用いられる旨の表示においては、乳酸菌を投与もしくは摂取することにより褥瘡が改善される機序についての情報を含むことができる。機序としては、例えば、褥瘡に関連する炎症性サイトカインや成長因子(例えば、IL-1α遺伝子、IL-8遺伝子、TNF-α遺伝子、TGF-β遺伝子、FGF-7遺伝子、FGF-10遺伝子)についての、その作用や発現に関する情報が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1] マウスモデルにおける、EC-12の褥瘡改善効果の検討
供試動物として、BALB/c系10週齢マウスオスを用いた。「生理食塩水投与群(コントロール群)」、「予防的EC-12投与群」、「同日EC-12投与群」を試験群として設定し、各群について15頭(計45頭)のマウスを用いた。
マウスを馴化後、麻酔下において、市販バリカンを用いて背部正中の毛刈りを行った後、除毛クリームにて除毛を行った。除毛部は、蒸留水で丁寧に拭った。毛刈りの翌日、背部正中皮膚を持ち上げて、マグネットプレート(直径12mm×厚さ5mm,1180G)2個で挟み、12時間保持した後、12時間マグネットを外した(装着9時;脱着21時)。このサイクルを3日間連続して繰り返し、褥瘡を作成した。なお、褥瘡作成時のみ個別飼育を行った。褥瘡作成時、鎮痛剤としてブプレノルフィン(2mg/kg)を皮下投与した。褥瘡作成方法については、Stadler et al.(J. Invest. Surg. 2004. 17:221-227)に準拠して行った。
「予防的EC-12投与群」および「同日EC-12投与群」においては、EC-12を生理食塩水で懸濁し、EC-12が10mg/kg(体重)となるように、毎日、マウスに強制経口投与した。「生理食塩水投与群」には、滅菌生理食塩水を経口投与した。「予防的EC-12投与群」へのEC-12の投与、および「生理食塩水投与群」への生理食塩水の投与は、褥瘡開始の7日前から開始し、剖検まで1日1回朝9時に行った。「同日EC-12投与群」へのEC-12投与は、褥瘡作成日から開始し,剖検まで1日1回朝9時に行った。
創傷部の状態は、毎日観察して写真撮影を行い、創傷部面積を写真の画像解析により測定した。褥瘡作成後、3日、6日、11日に各群5頭ずつ剖検を行った。ソムノペンチル(シェリングプラウ)を腹腔投与し、深麻酔後、放血にて屠殺した。傷面積縮小率を、「予防的EC-12投与群」の最大褥瘡面積を100とした時の値として算出した。
その結果、傷面積縮小率については、褥瘡形成後4日目より、「予防的EC-12投与群」が、「同日EC-12投与群」および「生理食塩水投与群」と比較して低値を示した(図1)。
本発明者らは、さらに、創傷部サンプルについて、サイトカインおよび成長因子のmRNA発現を確認した。
公知のサイトカインのうち、IL-8は、IL-1やTNFなどの炎症性サイトカインの刺激により、白血球をはじめ、繊維芽細胞や内皮細胞などの種々の細胞から産生される白血球遊走因子(leukocyte chemotactic factor)である。また、IL-1αは、種々の免疫担当細胞に多彩な生理活性を有するが、その最も重要な働きとして、ヘルパーT細胞のIL-2産生を誘導し、IL-2を介してT細胞の分化・増殖を促進させることが知られている。また、TNF-αは、IL-1やPGE2、コラゲナーゼなどの産生を介して発熱や種々の炎症反応を惹起することから、炎症反応におけるメディエーターの一つであると考えられている。
また、公知の成長因子のうち、TGF-βは、組織が傷害を受けた際、マクロファージの傷害部位への遊走を促進することが知られている。マクロファージ自体もTGF-βを分泌するため、この分泌により線維芽細胞が増加し、創傷治癒プロセスが相乗的に促進される。また、FGF-7は、線維芽細胞のみならずさまざまな細胞に対し増殖、分化などの活性を示す多機能性シグナル分子であり、別名、KGF(ケラチノサイト増殖因子)と呼ばれている。また、FGF-10は、繊維芽細胞増殖因子のファミリーで、FGF-7のサブファミリーに位置づけられている。
本実施例においては、サイトカインとして上記のIL-1α、IL-8、およびTNF-αについて、成長因子として上記のTGF-β、FGF-7、およびFGF-10について、その発現の検討を行った。
具体的には、創傷部サンプルからRNA抽出後、逆転写によりcDNAを合成し、該cDNAを鋳型とし、表1に記載のプライマーを用いてreal-time PCR(Rotor-Gene 6200 (Qiagen社))を行なった。
なお、RNA抽出には、QuickGene 810 system及びQuickGene RNA tissue kit SII(富士フイルム社)を使用し、逆転写にはPrimeScript RT reagent kit (Perfect Real Time; Takara Bio)を使用した。作業は取扱説明書に準拠して実施した。測定値はGAPDHにて補正した。
Figure 0005612870
その結果、「予防的EC-12投与群」における皮膚褥瘡組織中のmRNA発現量については、褥瘡作成後3日目では、IL-8以外の炎症性サイトカインおよびすべての成長因子において、「同日EC-12投与群」および「生理食塩水投与群」と比較して上昇していた(表2、表3)。一方、褥瘡作成後6日目では、「予防的EC-12投与群」では、すべて炎症性サイトカインおよびFGF-7以外の成長因子の発現が、「同日EC-12投与群」および「生理食塩水投与群」と比較して低下していた(表2、表3)。
Figure 0005612870
Figure 0005612870
褥瘡の発生から治癒に至るまでの過程は、一般に、(1)出血凝固期、(2)炎症期、(3)増殖期、(4)成熟期、の4つのステージに分類されるが、「予防的EC-12投与群」においては、「同日EC-12投与群」および「生理食塩水投与群」と比較して、褥瘡発生4日目には、褥瘡面積の有意な減少が認められた。また、褥瘡発生3日目において、炎症性サイトカインおよび成長因子の高い発現が見られ、その後、褥瘡発生6日目においては、これらの発現が劇的に低下していた。これら事実から、特に、EC-12を褥瘡形成前から投与することで、褥瘡発生初期の褥瘡の治癒に効果があることが示された。また、これら事実から、EC-12は、褥瘡の予防にも有用であることが示唆された。
以上説明したように、本発明の組成物を医薬品として投与あるいは飲食品として摂取することによって、生体における褥瘡の改善を図ることができる。本発明の組成物の有効成分たる乳酸菌は、腸内細菌であり、経口により投与もしくは摂取することができる。本発明の組成物は、安全性が高く、簡便に投与もしくは摂取できるため、褥瘡の改善作用を有する新たな医薬や健康食品などとしての利用が期待される。

Claims (4)

  1. エンテロコッカス属に属する乳酸菌を有効成分として含んでなる、褥瘡の改善に用いるための医薬組成物。
  2. 乳酸菌が、エンテロコッカス・フェカリスである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 経口的に投与されるものである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 褥瘡が形成される前に予防的に投与される、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
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