JP3155603B2 - リグノセルロース物質の液化溶液の製造法 - Google Patents

リグノセルロース物質の液化溶液の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材などリグノセルロ
ース物質を直接液化して、生分解性または生物崩壊性な
どを有する、種々の樹脂原料として有用な、木材液化溶
液を効率よく製造する方法に関するものである。このリ
グノセルロース液化溶液は接着剤、成形材料、発泡体、
塗料、充填材料等の幅広い分野で樹脂原料としての利用
が期待される。
【0002】
【従来の技術】木材を含むリグノセルロース物質の利用
の一環として、これを液化して溶液となし、得られた木
材溶液を種々の樹脂原料として利用することが提案され
ている。この液化の手段として大別して、木材などリグ
ノセルロース物質を化学修飾して、この化学修飾したも
のを有機溶剤に溶解する手段と、木材などリグノセルロ
ース物質を無修飾で直接液化する手段がある。
【0003】この化学修飾を全く行わない無処理木材な
どリグノセルロース物質を液化させる方法としては、こ
れまでに種々の提案がなされている。たとえばフェノー
ル類またはビスフェノール類の存在下で200〜260
℃の高温、加圧下で加熱する方法が提案された(特開昭
61−261358号)。
【0004】引続き同様に、無処理の木材などリグノセ
ルロース物質を多価アルコール類、オキシエーテル類、
環状エーテル類、ケトン類に液化溶解しうることも提案
された(特開昭62−79230号)。
【0005】また、木材などリグノセルロース物質に、
塩素化などハロゲンによる前処理を施し、次にフェノー
ル化合物などの液化溶解剤を含む処理液中で、200〜
260℃の高温で液化溶解処理することにより、リグノ
セルロース物質の液化溶液を効率よく、安価に製造し得
ることも提案されている(特開昭63−17961
号)。そしてこれら木材を化学修飾することなしに、フ
ェノール類や多価アルコール類、ポリエチレングリコー
ルなどに場合により酸触媒の存在下、100〜300℃
の温度で加熱し、液化溶解して得た溶液から接着剤や発
泡体を調製する技術も見出されている(特開平1−45
440号、特開平1−158021号、特開平1−15
8022号)。
【0006】また、他方で、木粉やババスヤシなどリグ
ノセルロース物質を酸触媒存在下で、フェノール類と反
応させながら100〜200℃程度の温度で液化し、水
酸化バリウムを添加して中和したのち、減圧蒸留により
遊離フェノールを分離、除去することによって、ヘキサ
メチレンテトラミン存在下で、ノボラック樹脂などと同
様加熱により3次元硬化することを特徴とする成形用樹
脂が得られることが知られた(特開平3−263417
号など)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来法に於いて、ポリ
エチレングリコールのような官能基数の少ない多価アル
コールでリグノセルロース物質を液化溶解すると、樹種
の違いにより液化反応挙動に差を生じ、得られた液状物
の特性が異なる場合がある。また、官能基数が少ない多
価アルコールで液化溶解すると、得られた液化物の反応
性が低く、例えば、この液化物から発泡体を作る場合に
は、発泡適性が悪く満足すべき物性が得られない場合が
多い。
【0008】そこで、3官能以上の官能基を有する多価
アルコール類(脂肪族多価アルコール、ポリエーテルポ
リオールおよびポリエステルポリオール)を用いて、無
処理木材を酸触媒存在下、100〜200℃で液化溶解
させ、木材などの樹種の影響をなくし、反応性の高い有
用な樹脂原料を得るといったことが行われるようになっ
た。その結果、多くの場合において、発泡適性のすぐれ
た液化樹脂液が得られ、また物性のすぐれた発泡体も得
られるようになって来ている。その中で、ポリカプロラ
クトンポリオールは、それ自身生分解性高分子ないしオ
リゴマーであるという特徴を持ち、リグノセルロース液
化性も高く、物性のすぐれた発泡体を導きやすいという
特徴も見出されている。その半面、ポリカプロラクトン
ポリオールは価格的にポリウレタン原料のポリオールと
してかなり高価であり、またカプロラクトンオリゴマー
はその使用に際しては、分子量が制限されるという難点
がある。
【0009】本発明が解決しようとする課題は、これ等
2つの問題点を解決することであり、即ち常圧でより低
い温度、より低い触媒添加量を用いて、無処理木材など
リグノセルロースを、液化溶解させて反応性の高い有用
な樹脂原料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は木材などリグノ
セルロース物質あるいはセルロースを酸触媒の存在下、
ε−カプロラクトンなど環状エステルおよびグリセリン
など多価アルコール類の存在下で、100〜200℃未
満という比較的低い温度で、常圧下加熱することによ
り、木材などリグノセルロースあるいはセルロースをア
ルコリシス、加水分解などで低分子化すると共に、低分
子化したリグノセルロースあるいはセルロース成分、ε
−カプロラクトンなど環状エステルおよびグリセリンな
ど多価アルコールとの間での2者ないし3者の反応をも
伴うリグノセルロースないしセルロース物質の液化によ
り溶液状物が得られるという新しい事実に基づいて完成
されたものである。
【0011】本発明は反応系に加えられる環状エステル
および多価アルコールの総量に対し、0.75重量%な
ど比較的少量の硫酸といった酸触媒の存在下で、液化を
進めうるという特徴を有すると共に、環状エステルと多
価アルコールとの反応、それを前提とした環状エステル
の重縮合、高分子化、両成分の低分子化した木材成分と
の反応が、各様に反応条件により起こり得、生成する液
化物の反応性の調節も可能となり、十分高い反応性のも
のが得られると共に、液化物の粘度なども可変となり、
発泡体などを作る際も架橋反応により良好な製品が得ら
れるなど多くの利用および応用の可能性を有している。
【0012】
【発明の作用並びに構成】本発明において出発原料とし
て用いるリグノセルロース物質ないしセルロース物質
は、木粉、木材繊維、木材チップや単板くずなどの木材
を粉砕したもの、およびワラやモミガラ等の植物繊維
素、GP(グランドパルプ)、TMP(サーモメカニカ
ルパルプ)、古紙等の紙、パルプ類など各種のものが含
まれ、従来この種の分野において使用されて来たものが
いずれも使用される。
【0013】この際の木材の種類としては各種のものが
広く包含され、代表例としては例えばマカンバ、シトカ
スプルース、スギ、アカマツ、ポプラ、ラワン等が例示
出来る。また、粉砕物の粒度は充分に液化、溶解しうる
程度でよい。
【0014】本発明において使用される環状エステルと
しては、公知の方法で開還反応して重合するもので良
く、例えば、プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、
α,α′−ビスクロロメチルプロピオラクトン、α,α
−ジメチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクト
ン、β−エチル−δ−バレロラクトン、3,4,5−ト
リメトキシ−δ−バレロラクトン、1,4−ジオキサン
−2−オン、グリコリド、トリメチルカルボネート、ネ
オペンチルカルボネート、エチレンオキサレート、プロ
ピレンオキサレート、ε−カプロラクトン、α−メチル
−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクト
ン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−7
−イソプロピル−ε−カプロラクトン、3,3,5−ト
リメチル−ε−カプロラクトン、シス−ジサリシリド、
トリサリシリド等が挙げられる。これらの環状エステル
のうちで、工業的に入手し易く、取扱いが容易で、リグ
ノセルロースを液化しやすいε−カプロラクトンを用い
るのが有利である。
【0015】また、本発明に使用しうる多価アルコール
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジ
オール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタン
ジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカン
ジオール、ピナコール、シクロペンタン1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン1,4−ジオール、ビスフェノール
A、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロ
ピレン−ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレン
グリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、トリエタノールアミン、1,2,6
−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、メチル
グルコシド、ソルビトール、マンニトール、スークロー
スなど、およびこれらを出発物質とするポリエーテルポ
リオールなどの3官能以上の官能基を有する多価アルコ
ールが挙げられる。これらの多価アルコールのうちで、
安価で、工業的に入手しやすく、ポリカプロラクトンの
原料として使われる場合もあるグリセリンを用いるのが
有利である。
【0016】液化溶解に際しては、上記の環状エステル
と多価アルコールを必ず併用するが、それぞれより1種
ずつを選んで用いてもよく、またそれぞれから1種ない
し2種以上を適宜に選んで3種以上に混合して用いるこ
ともできる。
【0017】さらに、溶液の粘度を低めたり、液化溶解
を助長する目的で、液化溶解時に最初から、あるいはそ
の途中で、水あるいは1価アルコール類、2価アルコー
ル類、多価アルコール類、アセトン、酢酸エチルなどの
有機溶媒の1種または2種以上を添加、共存させること
も可能である。この際の1価アルコールとしては、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコー
ルなど、また2価以上のアルコールとしては上記に記載
したものなどが例示出来る。
【0018】本発明においては、環状エステルと多価ア
ルコールの混合液100重量部に対して、木材などのリ
グノセルロース物質を5〜500重量部の割合で加える
ことが好ましい。5重量部未満でも液化物を得ることは
可能であるが、樹脂化を目的とする場合などでは、特に
好適とはいいがたい。また、あまり多量加えると液化が
不充分となる傾向がある。
【0019】なお、本発明でいう液化溶解反応とは、木
材などのリグノセルロース物質が環状エステルと多価ア
ルコールの混合液および両者の反応生成物と反応して、
固相から液相へ少なくとも75%液化することを言う。
【0020】本発明においては、この反応は特に酸触媒
の存在下で常圧で行うものである。酸触媒としては、無
機酸、有機酸、更にはルイス酸でも良く、例えば硫酸、
塩酸。トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩
化アルミニウム、塩化亜鉛や三フッ化ホウ素などが好ま
しいものとして例示される。使用量は環状エステルと多
価アルコールの混合液100重量部に対し、通常0.1
〜20重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0021】反応温度は100〜200℃、好ましくは
130〜180℃、特に好ましくは150〜160℃で
ある。液化反応中適宜撹拌を行うことが好ましい。この
撹拌により、懸濁液にトルクを付加して、液化溶解の能
率を高めることが出来る。液化溶解は15分〜数時間で
達成される。このようにして得られた木材などリグノセ
ルロース物質の液状化物中の木材などリグノセルロース
物質の濃度は、その溶液の利用目的によって異なるが、
重量比で最大90%までの範囲である。
【0022】溶解のための装置としては、この反応を実
施できる装置であれば良く、通常耐酸性の高い内壁と還
流装置、望ましくは減圧蒸留などによる濃縮装置を備え
たものであり、特に液化溶解の初期には反応系物質全体
が良く混和し、その後期には充分な撹拌が可能な装置
や、反応期間を通じてそのような混和と撹拌が効率的に
行われ得るような装置を用いると、液化溶解を助長し、
反応条件を緩和することが出来るので望ましい。
【0023】本発明においては、またリグノセルロース
物質に予め前処理を施してから、本反応に供することも
出来る。この前処理により、更に容易に液化溶解せしめ
ることもできる。この前処理は、特開昭63−1796
1号に開示のハロゲンによる前処理がいずれも有効に適
用できる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、従来不可能と考えられ
ていた無処理木材などのリグノセルロース物質の環状エ
ステルと多価アルコール混合液への液化溶液を、100
〜200℃未満好ましくは130〜180℃という温度
で常圧の反応で得ることが出来る。その反応には、リグ
ノセルロースのアルコリシス、加水分解などと共に、環
状エステルと多価アルコールの反応、それらのリグノセ
ルロース低分子化物との反応、環状エステルの重縮合反
応などが含まれ、得られた液化液状物は反応性が高く、
しかも液化条件でその反応性を制御することが出来るな
どの特徴も認めうるものとなっている。
【0025】また、木材などが環状エステルと多価アル
コールとの混合液と、酸触媒存在下で、100〜200
℃特に130〜180℃という比較的低温で常圧下加熱
されるだけで、液化溶解し、木材の液化収率が平均98
%もの高い収率で、液状物が得られるという新事実は、
本発明者により初めて見出されたものである。そのさい
の酸触媒として例えば硫酸が用いられるが、その濃度を
環状エステルと多価アルコールとの混合液量に対し、
0.75重量%以下といった低い値としても、液化の目
的を十分達しうるという特徴も見出されている。得られ
た液状物は多くの官能基を有するために反応性が高く、
例えばウレタン発泡により発泡体を目的とする場合に
は、特にウレタン発泡に適した“ポリオール”樹脂原料
となる。
【0026】このように本発明の方法は、極めて容易に
液化溶液を得ることが出来るものであり、工業化に適
し、ウレタン発泡用ポリオール原料など極めて実用的で
あり、木材などのリグノセルロース原料の有効利用に極
めて有用である。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。
【0028】
【実施例1】乾燥マカンバ木粉(20〜80メッシュ)
3gを、予めその全量に対し、0.75重量%の硫酸(9
7%硫酸)を均一に混合したグリセリンとε−カプロラ
クトン混合溶液(混合比、グリセリン/ε−カプロラク
トン=1/3(w/w))9gと共に、還流コンデンサ
ーと撹拌機を備えた50ml容ガラス反応フラスコに投入
し、150℃の油浴中に約1時間静置し、引続き1時間
撹拌して反応させた。反応終了後、油浴から引上げ、直
ちに加えた硫酸と等量の水酸化バリウム8水和物を加え
て中和し、反応を停止した。可溶化の程度を知るため
に、反応生成物は過剰のジオキサンに投入し、希釈し
た。
【0029】次いでガラス繊維濾紙(TOYO GA−
100;1μm径粒子保持)を用いて、上記の希釈反応
液を瀘過し、液化物と不溶解残渣を分離した。不溶解残
渣は更に1,4−ジオキサンを用いて数回洗浄し、予備
乾燥の後105℃で4時間乾燥し、秤量して不溶解残渣
率を求めた。得られた不溶解残渣率は13.1%であっ
た。なお、後記の表5最下段に示されているように、液
化生成物のOH値は236.2(KOHmg/g)であっ
た。
【0030】
【実施例2−10】実施例1において、その条件を表1
に示す所定条件、すなわち、乾燥マカンバ木粉3gに対
し、硫酸触媒[0.75重量%/(グリセリン+ε−カ
プロラクトン)]を均一に混合したグリセリン/ε−カ
プロラクトン[1/3(w/w)]混合液量を、3、
6、12、15、18、21、24、30及び36gそ
れぞれ加えて、その他の条件は実施例1の条件で液化溶
解を行った。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【実施例11〜30】実施例1において、その条件を表
2に示す所定条件、すなわち、乾燥マカンバ木粉3gに
対し、硫酸触媒[0.75重量%/(グリセリン+ε−
カプロラクトン)]を均一に混合したグリセリン/ε−
カプロラクトン混合液量を9または12g添加する場合
について、グリセリンとε−カプロラクトンの添加比を
後者の添加率[ε−カプロラクトン添加率(%)]で0
〜100%の範囲で変化させ、その他の条件は実施例1
と同じ条件として、液化溶解を行った。結果を表2に示
す。残渣率を最小にするグリセリン/ε−カプロラクト
ン混合比が存在し、その比は1/3付近にあることが知
られる。
【0033】
【表2】
【0034】
【実施例31〜37】実施例1において、その条件を表
3に示す所定条件、すなわち、反応時間のみ変化させた
条件として、液化溶解を行った。結果を表3に示す。1
50分間の反応で残渣率が最小になることがわかる。そ
れ以上の液化時間をとると液化成分間の反応が起こり残
渣率がかえって高くなった。
【0035】
【表3】
【0036】
【実施例38〜42】実施例1において、その条件を表
4に示す所定条件、すなわち、反応温度のみ変化させた
条件として、液化溶解を行った。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】実施例1の結果も合わせ考えると、150
℃で残渣率13.1%であり、160℃さらには180
℃では残渣率が更に少なくなっていることが判る。しか
し、160℃および180℃で液化した場合、残渣は減
少するものの瀘過のさいの目詰まりがひどかった。これ
は、可溶化物中に高分子量の成分が存在していることを
意味している。カプロラクトンが重合し、高分子化した
ためと考えられる。このことは硫酸およびグリセリンと
ε−カプロラクトンをここでの場合と同じ比率でとり、
木粉なしで反応(160or180℃、2時間)させる
と、より低温での反応の場合と比べ、反応溶液は著しく
着色して、一部がゲル状となり、ジオキサンに溶解する
ものの、瀘過のさいに目詰まりを起こしたこと、および
残渣のIRスペクトルの比較で、高温反応物の場合ほ
ど、リグニンの存在を示す815cm-1のベンゼンの非対
称三置換体の吸収には変化がないのに対し、1720cm
-1のホモおよびグラフトポリマー(ポリカプロラクト
ン)のエステル結合に由来すると考えられるC=Dの吸
収が増大することから一応裏付けられる。したがって、
ここでの条件よりも高温を用いると、液化中にカプロラ
クトンの重合(その間にグリセリンや低分子化した木材
成分との反応を併起していると考えられる)が進み、み
かけの残渣率はさらに増加することとなろう。
【0039】
【実施例43−51】実施例1において、その条件を表
5に示す所定条件、すなわち、触媒添加量(触媒濃度)
のみ変化させた条件、として液化溶解を行った。その結
果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】表5より、不溶解残渣量は、硫酸触媒を少
量添加することで急激に減少し、再び増加する。すなわ
ち、触媒の添加量には適値が存在することがわかる。こ
れは触媒の添加料が多すぎると反応が進みすぎ、また、
リグニンなど木材成分低分子化物の再縮合を招くためと
考えられる。
【0042】また、表5の触媒適値付近までの部分で
は、反応生成物すなわち液化溶液全体としての水酸基価
(OH値)をも測定した結果も併記した。不溶解残渣量
の減少とともにOH値も明確に低下しており、液化が進
む条件での場合ほど反応により水酸基量が減るというこ
とが知られる。この結果も、本発明の液化が組成成分間
での反応を伴うことを示しているといえる。
フロントページの続き (72)発明者 津ケ谷 仁 姫路市網干区新在家1239番地 ダイセル 化学工業株式会社 総合研究所内 (72)発明者 白川 欣一 大阪府大阪市福島区大開4丁目1番186 号 レンゴー株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−227434(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/11

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リグノセルロース物質を酸触媒、環状エス
    テルおよび多価アルコールの存在下で、加熱することを
    特徴とするリグノセルロース物質の液化溶液の製造法。
  2. 【請求項2】加熱温度が100〜200℃の範囲であ
    り、酸触媒が無機酸、有機酸およびルイス酸から選ばれ
    た少なくとも1種である請求項1に記載の製造法。
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