JP5591215B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、DCリンク電圧の脈動成分を抽出し、その振動の微分量を得る代わりに、位相進みとなる量を生成する、疑似微分を用いた方法で所定時間当たりの変化量を得、その信号を用いてインバータ出力電圧の周波数を補正することで、DCリンク電圧の脈動を抑制させる方式を採用している。そして、DCリンク電圧の微分信号を生成する位相進み処理は、特に、電源周波数の6倍の周波数成分に対し特定の位相進み量が生じるような設計を行う。
直流リンク部の電圧を検出する電圧検出部、この電圧検出部で検出した電圧の交流成分を抽出するフィルタ部、フィルタ部で抽出した交流成分を90度進めた進相交流成分を出力する位相進み手段、交流成分にゲインp(pは、インバータの出力の上昇に応じて増大する、0≦p≦1の範囲で変動する変数)を乗算した値と、進相交流成分にゲイン(1−p)を乗算した値とを加算した値を出力する重み付け部、およびこの重み付け部の出力に所定のゲインを乗算した補正信号を出力するゲイン部を備え、
制御部は、電圧指令に補正信号を加算した信号に基づきインバータを制御するものである。
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の構成図である。三相交流電源1の交流電力を直流電力に変換して直流リンク部5に出力するコンバータ2と、直流リンク部5の直流電力を入力として交流電力を出力し、交流負荷としての負荷モータ3に交流電力を供給するインバータ4とを備え、コンバータ・インバータ間に接続され直流電力をやりとりする直流リンク部5にはコンデンサ6が接続されている。制御部としての制御ユニット7は、後述するように、電圧指令に基づきインバータ4を制御する。
そして、電圧検出部8によりDCリンク電圧Vdcを採取し、制御ユニット7にてゲート信号Gu+、Gu−、Gv+、Gv−、Gw+、Gw−を生成する。
制御ユニット7の入力は、DCリンク電圧Vdcと速度指令である周波数指令ω*とであり、出力は、ゲート信号Gu+、Gu−、Gv+、Gv−、Gw+、Gw−となる。
電圧指令発生部としてのV/fテーブル9では、周波数指令ω*を入力しそのテーブル9を介して電圧指令振幅V*を出力する。また、周波数指令ω*を積分器10により積分して電圧指令の位相θ*を出力する。
ゲート信号生成部11では、DCリンク電圧Vdc、電圧指令振幅V*(V’*)、位相θ*を用いて、出力電圧指令を生成し、PWM処理によりGu+、Gu−、Gv+、Gv−、Gw+、Gw−を生成する。ゲート信号生成部11において、DCリンク電圧Vdcはゲート信号生成のパルス幅補正に用いられる。
補正信号Vcmpは次の手順で計算を実施する。先ず、フィルタ部としてのハイパスフィルタ13を用いて、DCリンク電圧Vdcの脈動成分(交流成分)VdcACを抽出する。脈動成分VdcACに位相進み手段14を用いて、元の信号から90度位相を進め、位相進み脈動成分VdcAC90を出力する。
位相進み手段14の具体的な手法として、VdcACを微分して90度進みとする方法や、VdcACを3/4周期遅らせることで、90度進み相当にする方法がある。
なお、ゲイン16およびゲイン17で設定する変数pは、後述する変数p算出部26により算出される。
加算器18の出力にゲイン部19のゲインKを乗算して補正信号Vcmpを生成する。そして加算器20を用いて、電圧指令振幅V*をV’*に補正して出力する。
図4は、図3の電力変換装置のDCリンク電圧Vdcの脈動周波数成分に着目したモデルである。交流電源22、ACリアクトル23、コンデンサ6、電流源24で構成される。
交流電源22は、コンバータ2により発生するDCリンク電圧Vdcの脈動を模擬した交流電源である。三相交流電源1が三相であるので、ここでは電源周波数の6倍の周波数fを持つ。
また、図3にはLC共振が発生する、電圧または電流の経路の一例を併記している。図3に示す経路において、電流が2回ACリアクトル21を通過することになるので、図4に示すACリアクトル23の大きさは、ACリアクトル21の2倍のインダクタンス値となる。
ところで、この発明における共振抑制制御の動作を解明するには、脈動成分に係る補正信号Vcmpを印加したときの電流源24、即ち、その電流の挙動を検討する必要がある。その場合、電流源の形では、解析が必ずしも簡便でないので、先ず、解析の前段階として、図4の電流源24が、後述の図7に示すような、抵抗を直列に接続した回路で表現できることを、(1)式および以下の(2)〜(8)式により説明する。
その結果、iq、vqは一定値であることから、(4)式に示されたモータの脈動電力ΔPの第1項vqΔiqは、Δvqに比べて約90度遅れ、第2項Δvqiqは同位相となる。
即ち、モータ負荷が大きい場合は、iqが大きくなり、(4)式の第2項が支配的になり、従って、Δvq→ΔPの位相特性は、ほぼ同位相となる。
逆に、モータ負荷が小さい場合は、iqが小さくなり、(4)式の第1項が支配的になり、Δvq→ΔPの位相特性は、ほぼ90度遅れになる。
ここでは、この重み付け部15のゲイン16および17で設定する変数pを(7)式で決定する。
変数pは、(8)式の範囲を取るものとする。
これは、Pout>Pmaxとなる場合、即ち、出力電力値Poutが過負荷となる場合で、p>1となり、重み付けの安定した算出が不可となるので、p=1に近似するものである。
以下、その変数pの算出方法について説明する。dq変換器40により、位相角指令θ*を用いて電流検出部(図示せず)からの負荷モータ3の電流検出値iu、iv、iwのq軸電流成分iq’を導出する。乗算器41により、iq’に電圧指令値V*(補正前の値)を乗算して出力電力値P’outを導出する。
最後に、除算器43により、出力電力値Poutを出力電力定格値Pmaxで除算することにより、変数pを導出する。
なお、ローパスフィルタ42を用いない場合、出力電力値の瞬時値、波高値等を使用して変数pを算出しても良い。
逆に、q軸電流成分iq、従って、出力電力値Poutが小さいほど、90度位相進み(位相進み手段14を経た出力)のVdcAC90を多く反映させる。これはモータ負荷が小さい場合に相当する。VdcAC→ΔPの特性が90度遅れとなるため、VdcACの位相を進ませることで、VdcACとΔPとをほぼ同相とするものである。
即ち、この重み付け処理により、図4の電流源24を抵抗RdのみのR回路とみなすことができる。図4のモデルの電流源24をR回路に置換した回路図を図7に示す。
先ず、共振抑制をしない場合について考える。図8は、電流源24に流れる電流を0、即ち、Rd→∞とした時の等価モデルである。
電源電圧vsrからコンデンサ間電圧vdcrの伝達関数を導出する。回路方程式から(A−1)〜(A−2)式を導出することができる。
但し、以下のラプラス変換した式上では、電圧vsrとしてVsr、電圧vdcrとしてVdcr、電流i1としてI1、電流i2としてI2の符号をそれぞれ使用している。
但し、ωcは共振周波数fcの角振動数である。
回路方程式から(B−1)〜(B−3)式を導出することができる。
また、(B−10)式より、モータ・インバータを模擬したR回路のインピーダンスを小さくするほど、脈動が小さくなる。そして、このインピーダンスを小さくすることは、先の図2の共振抑制制御ブロック12におけるゲイン19のゲインKを大きく設定することに対応する。
この実施の形態2においては、重み付け部15のゲイン16および17で設定する変数pを(2−1)式で決定する。
変数pは、(2−2)式の範囲を取るものとする。
以下、その変数pの算出方法について説明する。dq変換器40により、位相角指令θ*を用いて電流検出部(図示せず)からの負荷モータ3の電流検出値iu、iv、iwのq軸電流成分iq’を導出する。
最後に、除算器43により、q軸出力電流値iqoutをq軸出力電流設定値iqmaxで除算することにより、変数pを導出する。
また、一般的に、q軸電流が大きいほど出力電力も大きくなる傾向があるので、変数pを(7)式に基づき算出する先の実施の形態1の場合とほぼ同様、VdcACの位相進み量をコントロールしてこのVdcACに基づき作成する補正信号VcmpをΔPとほぼ同相とすることができる。これにより、モータ負荷の大小によらず、高い共振抑制効果を発揮できる。そのため少ない補償量で共振抑制の効果が得られるので、インバータ出力電圧飽和を防ぐことができる。
この実施の形態3においては、重み付け部15のゲイン16および17で設定する変数pを(3−1)式で決定する。
変数pは、(3−2)式の範囲を取るものとする。
以下、その変数pの算出方法について説明する。電流検出部(図示せず)からの負荷モータ3の電流検出値iu、iv、iwに基づき(3−3)式により導出する電流実効値irms’を用いる。
最後に、除算器43により、出力電流実効値irmsoutを出力電流設定実効値irmsmaxで除算することにより、変数pを導出する。
また、一般的に、出力電流実効値が大きいほど出力電力も大きくなる傾向があるので、変数pを(7)式に基づき算出する先の実施の形態1の場合とほぼ同様、VdcACの位相進み量をコントロールしてこのVdcACに基づき作成する補正信号VcmpをΔPとほぼ同相とすることができる。これにより、モータ負荷の大小によらず、高い共振抑制効果を発揮できる。そのため少ない補償量で共振抑制の効果が得られるので、インバータ出力電圧飽和を防ぐことができる。
一般的に、直流リンク部5のコンデンサ6のDC電圧Vdcは、無負荷時に最も高くなり、負荷が大きくなるほど、DC電圧Vdcは低くなることが知られている。この実施の形態4では、この特性を変数pの値を決定するのに利用する。
即ち、実施の形態4においては、重み付け部15のゲイン16および17で設定する変数pを(4−1)式で決定する。
Vdcmaxが265Vであるのは、電源200V系において、無負荷時のVdcDC値を採用している。逆に、Vdcminが250Vであるのは、定格出力時のVdcDC値を採用している。
以下、その変数pの算出方法について説明する。ローパスフィルタ42を用いて、Vdcの脈動成分、即ち、Vdcに重畳している電源周波数の6倍の成分を除去して直流電圧VdcDCを導出する。従って、ローパスフィルタ42のカットオフ周波数は100Hz程度にすればよい。
反面、直流電圧VdcDCと負荷量との間の経験的な特性に基づいて変数pを設定しているため、共振抑制の効果としては、負荷量の変化に追従し得るという点で従来の装置より優れているが、既述した各実施の形態と比較するとやや劣ると言わざるを得ない。
先の実施の形態1〜4では、V/f制御をベースとしたモータ制御系への適用例について示したが、この発明は速度制御系や電流制御系をベースとしたモータ制御系へ適用してもよい。図13は、実施の形態5における制御ユニット7の内部構成図で、同期モータに速度制御系を適用した場合の共振抑制制御ブロック図である。
先の実施の形態1で説明した制御ブロックを速度制御系に置き換えたものであり、共振抑制制御は、q軸電圧指令vq*に補正を加えることで実現している。共振抑制制御ブロック27は図2で説明したものと同じものを採用することができる。
DCリンク電圧Vdc、d軸電圧指令vd*、補正付q軸電圧指令vq’*、位相角θを用いて、ゲート信号生成部35にて、逆dq変換し各相の出力電圧指令を生成し、PWM処理によりゲート信号Gu+、Gu−、Gv+、Gv−、Gw+、Gw−を生成する。
即ち、図14(a)に示すように、図6の変数p算出部26のq軸電流iq’に替わって、図13の制御ブロック上で得られるq軸電流指令iq*を使用することにより、dq変換器40を省略することができる。
また、図14(b)に示すように、図10の変数p算出部26のq軸電流iq’に替わって、図13の制御ブロック上で得られるq軸電流指令iq*を使用することにより、dq変換器40を省略することができる。
但し、図14は、ローパスフィルタ42を設けない場合で示しているが、必要に応じて設けても良い。
また、各実施の形態では、交流負荷として誘導モータを例に説明したが、他の種類のモータ、例えば、同期モータなどを駆動する場合でも、更には、モータ以外の交流負荷にも本発明は適用可能で、同様の効果を奏するものである。
5 直流リンク部、6 コンデンサ、7 制御ユニット、8 電圧検出部、
9 V/fテーブル、11,35 ゲート信号生成部、
12,27 共振抑制制御ブロック、13 ハイパスフィルタ、14 位相進み手段、
15 重み付け部、16,17 ゲイン、18,20 加算器、19 ゲイン部、
21,23 ACリアクトル、24 電流源、25 R回路、26 変数p算出部、
40 dq変換器、41 乗算器、42 ローパスフィルタ、43 除算器、
29,31,33 PI制御器。
Claims (9)
- 交流電源と直流リンク部との間に接続され前記交流電源の交流電力を直流電力に変換して前記直流リンク部に出力するコンバータ、前記直流リンク部と交流負荷との間に接続され前記直流リンク部の直流電力を交流電力に変換して前記交流負荷に出力するインバータ、前記直流リンク部に接続されたコンデンサ、および電圧指令に基づき前記インバータを制御する制御部を備えた電力変換装置であって、
前記直流リンク部の電圧を検出する電圧検出部、この電圧検出部で検出した電圧の交流成分を抽出するフィルタ部、前記フィルタ部で抽出した交流成分を90度進めた進相交流成分を出力する位相進み手段、前記交流成分にゲインp(pは、前記インバータの出力の上昇に応じて増大する、0≦p≦1の範囲で変動する変数)を乗算した値と、前記進相交流成分にゲイン(1−p)を乗算した値とを加算した値を出力する重み付け部、およびこの重み付け部の出力に所定のゲインを乗算した補正信号を出力するゲイン部を備え、
前記制御部は、前記電圧指令に前記補正信号を加算した信号に基づき前記インバータを制御することを特徴とする電力変換装置。 - 前記変数pは、下式により算出することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
p=Pout/Pmax
但し、Pout:前記インバータの出力電力値
Pmax:前記インバータの出力電力設定値 - 前記変数pは、下式により算出することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
p=iout/imax
但し、iout:前記インバータの出力電流値
imax:前記インバータの出力電流設定値 - 前記インバータが、3相(u,v,w相)交流を出力する場合、
前記変数pは、下式により算出することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
p=irmsout/irmsmax
但し、irmsout:前記インバータの出力電流実効値=√(iu2+iv2+iw2)
irmsmax:前記インバータの出力電流設定実効値 - 前記変数pは、下式により算出することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
p=(Vdcmax−Vdcout)/(Vdcmax−Vdcmin)
但し、Vdcout:前記直流リンク部の直流電圧値
Vdcmax:前記直流リンク部の直流電圧最大値
Vdcmin:前記直流リンク部の直流電圧最小値 - 請求項2ないし5のいずれか1項において、前記変数pの算出に使用する各出力値(Pout、iout、irmsout、Vdcout)には、ローパスフィルタを介することにより脈動成分を除いた値を使用するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
- 前記交流負荷は交流モータであり、前記制御部は、速度指令に基づき前記電圧指令を発生する電圧指令発生部を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記電圧指令発生部は、(電圧/周波数)=一定の関係に基づき、前記速度指令から電圧指令を発生するV/f制御部であり、
前記制御部は、前記V/f制御部からの前記電圧指令に前記補正信号を加算した信号に基づき前記インバータを制御することを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。 - 前記電圧指令発生部は、速度検出値が前記速度指令に追従するように、dq2軸直交座標上のq軸電圧指令を発生する速度指令部であり、
前記制御部は、前記速度指令部からの前記q軸電圧指令に前記補正信号を加算した信号に基づき前記インバータを制御することを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
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