JP5590835B2 - 導電性シート - Google Patents
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Description
本発明では、導電性繊維、粒子Aを含有しているため加工性を考慮すると、溶融賦形法の中でも、押出成形、カレンダー成形が好ましい。
導電性繊維は、繊維径0.005〜1mm、繊維長さ0.1〜5mm、アスペクト比(繊維長さ/繊維径)5〜1000のものが使用でき、成形加工中での分散性、絡み易さの面から繊維径0.01〜0.1mm、繊維長さ0.5〜2mm、アスペクト比20〜200のものが好ましい。導電性繊維の絡み易さの面から形状は湾曲しているものが好ましい。
導電性繊維の添加量は20〜100重量部であり、20重量部未満であると導電性繊維同士の繋がりが少なくなるため導電性が劣り、100重量部を超えると加工性が悪くなる。導電性繊維の添加量は、導電性、加工性の面から30〜80重量部が好ましい。
粒子Aとしては、前述した本発明に用いられる熱可塑性樹脂と同種のものからなる粒子、架橋された樹脂(例えば、架橋塩化ビニル樹脂、部分架橋アクリル樹脂、完全架橋アクリル樹脂等)からなる粒子、ゴム(天然ゴム、NBR、SBR、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム等)からなる粒子、加硫したゴムからなる粒子、ポリエステルチップ等の合成樹脂製チップ、木粉などが挙げられ、熱可塑性樹脂との密着性の面から好ましくは熱可塑性樹脂と組成的に近似した成分のものがよい。例えば、熱可塑性樹脂として、塩化ビニル樹脂100重量部(重合度700)に可塑剤のDOP50〜70重量部を添加した塩化ビニル系樹脂(1)を使用する場合、粒子Aとしては、塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部に可塑剤のDOP20〜30重量部を添加した塩化ビニル系樹脂(2)から得られる粒子が好適に使用できる。塩化ビニル系樹脂(1)の成形加工温度は150〜160℃であり、この温度では成形温度が180〜190℃である塩化ビニル系樹脂(2)は成形中に溶融しづらく形状を保持することができる。
また、熱可塑性樹脂が塩化ビニル系樹脂の場合、粒子Aとしては、架橋塩化ビニル樹脂からなる粒子、ポリエステル系の樹脂からなる粒子がよい。ポリエステル系の樹脂からなる粒子は、ポリ塩化ビニル系樹脂の加工温度において溶融せず、また任意の粒子径に容易に粉砕することができるため、導電性繊維の配向を阻害し導電性を向上しかつ導電性シートの表面に顕著に露出し外観不良とならない最適な粒子径をもった粒子Aを簡便に製造することができる。さらに、ポリエステル系の樹脂からなる粒子は、任意に着色することができ本発明の導電性シートの意匠性を向上させることが可能となる。以上の点からポリエステル系の樹脂からなる粒子は、粒子Aとして好適に用いることができる。
このように粒子Aは、ベースとなる熱可塑性樹脂の成形温度で溶融しないものを選定する必要がある。
このように粒子Aは、その近傍において導電性繊維の成形方向への配向を乱し、導電性繊維の絡み合いを形成させるために添加されるものである。また、粒子Aが大きすぎると外観不良を起こすこととなる。このような粒子Aの作用は導電性シートの厚み寸法に対する粒子Aの大きさが影響すると考えられるため、導電性繊維の絡み合い効果と導電性シートの外観を考慮すると、導電性繊維および粒子Aを含有する熱可塑性樹脂層の厚みに対し、粒子Aの長径を20〜350%とすることが好ましい。
ここで、粒子Aの短径と長径の比が1:5〜1:100であり、粒子Aが扁平な形状となる場合、粒子Aが導電性繊維および粒子Aを含有する熱可塑性樹脂層において層状に位置することがあり、この層状に位置した粒子Aによって、粒子Aの層間の導電性繊維の繋がりが断絶されるおそれがある。したがって、この場合、粒子Aの長径が大きくなる(公称目開き1mmを通過しないもの)と導電性が低下する要因となる。
また、複層導電性シートの意匠性を向上させるために、表層である導電シート側にエンボスを施すことができる。
<熱可塑性樹脂>
(1)PVC 品名:TH−1000(P=1000) 大洋塩ビ(株)製
<導電性繊維>
(2)炭素繊維 (径:0.013mm 長さ:0.7mm)
(3)ステンレス繊維 (径:0.010mm 長さ:0.2mm)
<粒子>
(4)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:1〜1:5であり、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過しないもの。)
(5)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:5〜1:100であり、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過しないもの。)
(6)粒子: 厚み0.3mmのPVC製シート[PVC樹脂(P=1300)100重量部、DOP30重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部からなる配合 成形加工温度:200℃]を粉砕機で粉砕して得られた不定形粒子のうち、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過せず、短径と長径の比が1:1〜1:5であるもの。
(7)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:1〜1:5であり、公称目開き1.18mmのふるいを通過し公称目開き1mmのふるいを通過しないもの。)
(8)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:50〜1:150であり、公称目開き2.8mmのふるいを通過し公称目開き1mmのふるいを通過しないもの。)
(9)粒子: 厚み0.3mmのPVC製シート[PVC樹脂(P=1000)100重量部、DOP50重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部からなる配合 成形加工温度:160℃]を粉砕機で粉砕して得られた不定形粒子のうち、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過せず、短径と長径の比が1:1〜1:5であるもの。
表1に示すNo.1の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
表1に示すNo.2の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.4mmの導電性シートを得た。
表1に示すNo.3の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.3mmの導電性シートを得た。
表1に示すNo.4の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.6mmの導電性シートを得た。
表1に示すNo.5の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.6mmの導電基材層を得、さらに表1に示すNo.6の配合組成を180℃の温度で0.4mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層導電性シートを得た。
<実施例7>
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.5mmの導電基材層を得、さらに表1に示すNo.7の配合組成を180℃の温度で0.5mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層導電性シートを得た。
表2に示すNo.8の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
表2に示すNo.9の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
表2に示すNo.10の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
表2に示すNo.11の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.4mmの導電性シートを得た。
表2に示すNo.12の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.3mmの導電性シートを得た。
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.5mmの導電基材層を得、さらに表2に示すNo.13の配合組成を180℃の温度で0.4mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層シートを得た。
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.5mmの導電基材層を得、さらに表2に示すNo.14の配合組成を180℃の温度で0.5mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層シートを得た。
[電気性能]
電気性能の試験はIEC 61340−4−1に準じた方法で行い、以下の基準で評価した。
◎:印加電圧10Vで測定し、体積抵抗値が1.0×104Ω以上、1.0×105Ω未満。
○:印加電圧10Vで測定し、体積抵抗値が1.0×105Ω以上、1.0×106Ω未満。
△:印加電圧100Vで測定し、体積抵抗値が1.0×106Ω以上、1.0×1010Ω未満。
×:印加電圧100Vで測定し、体積抵抗値が1.0×1010Ω以上。
[加工性]
加工性は、カレンダー成形状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:バンク回りが安定し、加工上問題がない。
△:バンク回りがやや不安定であるが加工上問題にならない。
×:バンク回りが不安定であり、加工上問題である。
[外観]
シート外観は、成形したシートにプレス加工を施したものを目視で観察し、以下の基準で評価した。ただし実施例6、7、比較例6、7についてはエンボス加工を施すため、プレス加工は施さないものとした。
○:表面が均一で粒子由来の凹凸がない状態。
△:表面に粒子由来の凹凸が部分的にある状態。
×:表面全体に粒子由来の凹凸が広く発生している状態。
[密着性]
粒子とベース樹脂との密着性は、成形したシートを180°に折り曲げた時のシートの折り目部分に発生する粒子周辺の割れについて目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、ベース樹脂についての説明は段落0019に記載している。
○:割れが発生しない
△:割れが少し見られる
×:大きな割れが見られる
2 導電性繊維
3 粒子A
4 粒子Aの短径
5 粒子Aの長径
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂100重量部に対して導電性繊維20〜100重量部と粒子A20〜100重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物をカレンダー成形により成形してなり、上記粒子Aは公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き106μmのふるいを通過せず、前記粒子Aの長径が前記導電性繊維及び前記粒子Aを含有する熱可塑性樹脂層の厚みに対し20〜350%であり、上記カレンダー成形による成形中に粒子Aが形状を保持していることを特徴とする導電性シート。
- 前記熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂であり、前記粒子Aが塩化ビニル樹脂、架橋塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂より選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性シート。
- 上記粒子Aの短径と長径の比が1:5〜1:100であることを特徴とする請求項1に記載の導電性シート。
厚みが0.3mm〜0.6mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性シート。 - 導電性材料を含有する導電基材層に、請求項1から3のいずれかに記載の導電性シートを表面層として積層した複層導電性シート。
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