JP5587545B2 - 射出積層成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルムインサート成形による、金型表面の微細凹凸を転写させた射出積層成形体の製造方法に関する。
合成樹脂成形品の表面に模様付けし加飾する方法として、予め印刷などを施した樹脂シートあるいはフィルム等の印刷材を成形金型内にセットし、金型内に合成樹脂を射出して樹脂シートと合成樹脂と一体化する合成樹脂の成形方法(フィルムインサート成形)が知られている。
この方法は、成形物の表面に直接印刷や着色を施すことが困難な形状の成形物であっても、合成樹脂成形品の表面に模様付けすることができる特徴を有する。また、フィルムインサート成形では、樹脂シートに印刷等で形成した模様層を、樹脂シートと合成樹脂成形品との間に形成することができるため、合成樹脂成形品の表面に印刷等を施す方法に比べ、耐擦傷性に優れるとともに、経年変化が生じにくいという利点を有しており、各種機器表面の加飾に多く用いられている。
フィルムインサート成形により得られる成形品は、多種多様な用途があり、例えば浴室構成材などへの用途が考えられる。また、近年の浴室構成材では、その意匠性等を向上させるため、表面に模様を付与した模様付成形品が提案されている(特許文献1参照)。このような浴室構成材は、表面の意匠性が重視されてはいるが、排水性(速乾燥性)は不十分であり、また、浴室構成材の素材は、比較的撥水性の高い熱可塑性樹脂やFRP等のプラスチック類が多く用いられていることから、入浴後の浴室構成材上の湯水は、その浴室構成材上で接触角の大きな水玉を形成し、翌日になってもこの水玉状の残水が乾きにくく、自然乾燥せずに残ってしまう。
そこで、表面に水の凝集現象を防ぎ、水膜を形成するための親水性を示す微細凹凸が施されることにより、自然乾燥で短時間のうちに乾燥状態にすることができる成形品が提案されている(特許文献2参照)。
更に、光の反射や照り返しを防止するために、表面に微細凹凸を施したフィルムインサート成形品が提案されている(特許文献3乃至5参照)。
特開2002−54295号公報 特許第3991277号公報 特開2000−158479号公報 特開平7−156196号公報 特開平7−156197号公報
浴室構成材は、排水性、乾き性、ノンスリップ性(転倒防止)等の顧客要求から、微細凹凸加工、細かい排水溝加工等が施されてきた。これに伴い、表面用金型の形状も従来金型に比べ、より微細な凹凸、艶消し形状に変化している。
しかしながら、これまでのフィルムインサート成形方法で、前述した微細凹凸や、微細で複雑な金型形状を転写しようとしても十分に転写させることができず、その表面を親水化させることができなかった。
また、光の反射や照り返しを防止するために、表面に微細凹凸を施したフィルムインサート成形品が提案されているが、最表層を軟化温度の低い材料にする必要があり、表面の耐熱不足によるベタツキや微細凹凸の耐久不足という問題があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、意匠性に優れる積層成形体であって、積層シートと成形用樹脂との接着強度が大きく、例えば浴室など、湯水を使用した環境下でも剥離などが生じず、積層成形体表面の残水も自然乾燥で短時間のうちに乾燥状態にすることができ、しかも、光の反射や照り返しを防止することができる積層成形体及び積層成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、次のものに関する。
(1) 転写シート層、模様層、アクリル系バインダー層を有する積層シートと、熱可塑性樹脂からなる基材層とを備え、
前記転写シート層が、表面の全部又は一部に親水化するための微細凹凸であり、60°グロス値が10以下であり、微細凹凸を有する射出積層成形体の製造方法であって、
該射出積層成形体は、金型キャビティ表面を交互に加熱冷却できる射出成形金型を用い、金型キャビティを加熱して射出し、射出後に前記金型キャビティ表面温度を前記熱可塑性樹脂の加重たわみ温度より低くしてから射出積層成形体を脱型するように繰り返し上下させる以下の工程によるヒートサイクル法を用いて得られる射出積層成形体の製造方法。
(工程1)表面に微細凹凸を有する金型側に、転写シート層、模様層、アクリル系バインダー層を有する積層シートをセットし、型締めする工程。
(工程2)金型キャビティ表面を加熱媒体として蒸気を使用し加熱して、積層シートの動的粘弾性率が500MPa以下になる温度かつ動的弾性率が10MPa以上になる温度に保った状態の型内に前記熱可塑性樹脂を射出する工程。
(工程3)射出完了後に金型キャビティ表面を冷却媒体として水を使用し冷却して、前記熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度未満になる温度かつ積層シートの動的粘弾性率が500MPa未満になる温度であって、冷却固化が促進可能な温度まで冷却した後、60°グロス値が10以下であり、転写率が70%以上であり、親水化するための微細凹凸を前記転写シート層の表面の全部又は一部に有する射出積層成形体を脱型する工程。

本発明によれば、フィルムインサート成形により表面に親水化するための微細凹凸を高転写率で形成させることができるため、排水性・乾燥性・滑りにくさ・耐久性・生産性・清潔性に優れ、しかも光の反射や照り返しを効率よく防止することができる積層成形体及び積層成形体の製造方法を提供できる。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
本発明における表面に親水化するための微細凹凸、又は、60°グロス値が10以下である微細凹凸を設けた積層成形体は、図1に示すように、転写シート層1、模様層2、バインダー層3を有する積層シート4と、基材層5とを備えた構造である。
本発明における親水化するための微細凹凸1a、又は、60°グロス値が10以下である微細凹凸1aとは、表面粗さ形状測定機で評価長さ20mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値0.08mm、フィルタ種別ガウシン、カットオフ比300に設定し、任意に選んだ3箇所以上を測定したときに、算術平均粗さRa(JIS B0601−1994)の平均値が0.5μm以上であるように施されたものであり、より好ましくは0.7μm以上であるように施されたものである。
また、微細凹凸1aは、金型表面の全部又は一部に予め形成し、フィルムインサート成形時に金型の形状を転写させて転写シート層1の外表面の全部又は一部に形成する。
本発明における転写シート層1は、三次元形状に加工可能な熱可塑性樹脂シートを用いることができる。例えばポリエチレンテレフタレート系、アクリル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ナイロン系、ポリエステル系、フッ素系、塩化ビニル系、ポリカーボネート系、ポリカーボネートポリブチレンテレフタレート系、アモルファスポリエチレンテレフタレート系、ポリアタリロニトリル系等の各種樹脂シートが使用でき、使用環境や用途に応じて選択して用いることができる。
転写シート層1に用いる樹脂シートは、厚さが25μm〜5000μmとすることが好ましく、25μmより薄いと三次元形状を転写する際の延伸に追随できず、破れや皺が発生し易くなってくる。一方、5000μmより厚いと成形金型の屈曲部に追随できない場合が生じ、精度の高い積層成形体を製造することが徐々に困難となる。
転写シート層1に用いる樹脂シートは、模様層やバインダー層との接着力を高めるために物理的あるいは化学的な接着処理を、樹脂シートの片面又は両面に塗布装置や印刷機を用いて施すことができ、一般的な易接着処理剤をコートする方法や、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、アクリル変成シリコーン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、合成ゴム系ラテックス形接着剤、イソシアネート系接着剤、エマルジョン形接着剤、ホットメルト形接着剤、シランカップリング剤等のような各種接着剤を塗布したり、コロナ処理、サンディング処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理等の処理を施すことができる。
また、接着処理時には必要に応じて接着処理剤に充填材、発泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤の添加や着色加工ができる。
転写シート層1に用いる樹脂シートには、防カビ・抗菌剤を含有でき、市販の工業用抗菌剤を使用できる。通常、工業用抗菌剤は無機系抗菌剤と有機系抗菌剤に大別されるが、本発明の転写シート層1には何れの抗菌剤も用いることができる。
なお、転写シート層1に用いる樹脂シートは顔料又は染料などで着色加工されたものであってもよい。
本発明における模様層2は、グラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、昇華転写印刷、スプレー吹き付け、蒸着等により形成することができる。印刷形態は、印刷完了時に模様がクリアシートと反対側に形成される正印刷と模様がクリアシート側に形成される逆印刷があり、どちらの形態でも使用が可能である。
また、模様層2に使用するインキは、ウレタン系、塩酢ビ系、アクリル系、塩酢ビ・アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、硝化綿(ニトロセルロース)系等の各種樹脂に顔料又は染料を混合したもの等が使用でき、導電材、金属を用いたインキ等であってもよい。模様は、木目、石調、抽象柄、金属調等いずれでもよく、特に制限されるものではない。
本発明におけるバインダー層3は、積層シート4と、基材層5になる樹脂を接着させるための層であり、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレンブチルアルコール系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、塩酢ビ系等の各種バインダーのほか、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、アクリル変成シリコーン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、合成ゴム系ラテックス形接着剤、イソシアネート系接着剤、エマルジョン形接着剤、ホットメルト形接着剤、シランカップリング剤等のような各種接着剤を用いることができる。
また、バインダー層3には、必要に応じて充填材、発泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤の添加や着色加工ができる。
なお、バインダー層は2層以上設けてもよい。
使用するバインダーは、樹脂に適した感熱性、感圧性を有するものを選択できる。
また、バインダー層3は、グラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、昇華転写印刷、スプレー吹き付け、ロールコーター等により形成することができ、フィルム状になったバインダーを用いることもできる。
バインダー層3には、インサート成形時の樹脂の流動圧から模様層を保護するため、繊維状の補強材を含有することもでき、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、天然繊維、金属繊維、セラミックス繊維等、種々の繊維を使用でき、必要に応じて繊維に接着処理等を施すことができる。また、繊維の形態は平織り、朱子織り、不織布、マット等何れの形態であってもよい。
また、補強層は2層以上設けてもよく、異種の補強材を併用できる。
模様付けは、補強材として用いる紙類、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の有機繊維の織布、あるいはガラス等の無機繊維の不織布等に行うことができ、必要に応じて織布及び/又は不織布にインク定着用処理を施すことができる。
また、繊維の目付け量は、15g/m〜250g/m程度であることが好ましく、30g/m〜100g/mがより好ましい。この目付け量が、15g/m未満では、繊維表面へのインキ付着面積が少なく、徐々に模様が粗くなり鮮明性が低下する傾向があり、250g/mを超えると、他層との接着が徐々に損なわれる傾向がある。
本発明における基材層5は、射出成形時に射出した樹脂により形成される層であり、基材層5に用いる樹脂は、ABS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などを使用することができる。
本発明における積層シート4と基材層5となる樹脂をフィルムインサート成形した積層成形体の断面は図1に示すようなものが考えられ、積層成形体は、図2に示すような以下の工程で作製することができる。
(工程1)表面に微細凹凸を有する金型(可動型6)側に積層シート4をセットし、型締めする工程。
(工程2)金型キャビティ表面を積層シート4の動的粘弾性率が500MPa以下になる温度かつ動的弾性率が10MPa以上になる温度に保った状態の型内に熱可塑性樹脂8を射出する工程。
(工程3)射出完了後に金型キャビティ表面を積層シートの動的粘弾性率が500MPa未満になる温度かつ前記熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度未満であって、冷却固化が促進可能な温度に冷却し、積層成形体を脱型する工程。
積層シート4は、必要に応じてトリミングすることができる。トリミングは、射出成形を行う前に積層成形体のサイズに合わせ、予めトリミングする場合と、射出成形を行った後に脱型し、余分な積層シート4をトリミングする場合がある。
積層成形体は、親水化するための微細凹凸、又は60°グロス値が10以下である微細凹凸を設けた射出成形用金型で、積層シート4と基材層5となる樹脂をフィルムインサート成形し、金型の形状を積層シートの転写シート層1に転写させて作製する。
積層成形体の作製時に使用する射出成形用金型は、例えば可動型6と固定型7とからなる。固定型6と可動型7のうち、転写シート層1が接する側の可動型6には、全面又は一部に親水化するための微細凹凸6a、又は、60°グロス値が10以下である微細凹凸6aが施されている。
また、可動型6には、積層シートを固定するための真空吸引孔やクランプ部材を設けることができる。
積層成形体の作製時に使用する積層シート4は、可動型6と固定型7との間にセットし、真空吸引孔やクランプ部材で積層シート4を固定することができる。積層シート4をセット後、キャビティに熱可塑性樹脂8を射出することで、キャビティで射出成形と同時に積層シート4を樹脂に接着一体化して積層成形体を形成することができる。
積層成形体の作製時の射出成形方法は、熱可塑性樹脂を射出成形する際に、金型のキャビティ表面が交互に加熱冷却される射出成形金型を用いて、金型のキャビティ表面温度を繰り返し上下させるヒートサイクル射出成形法を適用して成形を行う。例えば特許第3977565号で示すような、蒸気と水の組み合わせによりキャビティ表面を短時間で加熱冷却するヒートサイクル射出成形方法が適用される。
積層成形体の作製時の射出成形条件は、可塑性樹脂の荷重たわみ温度より+120〜200℃高い樹脂温度で射出し、金型キャビティ表面を、積層シート4の熱変形温度弾性率が500MPa以下になる温度体、好ましくは200MPa以下になる温度体に金型キャビティ表面を加熱し温度を保ち、転写シート層1を軟化させ、型内に熱可塑性樹脂を射出する。射出充填後、金型キャビティ表面を熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度未満の温度、好ましくは荷重たわみ温度より10℃から50℃低い温度で冷却し、積層成形体を脱型する。
以下、実施例により本発明を説明する。
試験例1)
縦200mm、横200mm、厚さ0.18mmの易接着処理を施したポリエステル系フィルムA−1532(東洋紡績株式会社製)の易接着処理面にウレタン系インキ(株式会社千代田グラビヤ製)を用いてグラビア印刷で模様層を印刷し、さらにバインダー層を形成して積層シートを得た。得られた積層シートを、微細凹凸を形成した射出成形機の金型に装着し、基材層用の樹脂としてABS樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製)を樹脂温度230℃、金型温度140℃の条件で射出成形して積層シートと基材層となるABS樹脂を接着一体化させた後、金型温度を40℃まで冷却してから脱型させ、表面に微細凹凸を有する縦200mm横200mmの積層成形体を得た。なお、金型は、微細凹凸の算術平均粗さRaの平均値が1.1μmであるものを用いた。
試験例2)
縦200mm、横200mm、厚さ0.18mmのコロナ処理を施したポリエステル系フィルムA−1538(東洋紡績株式会社製)のコロナ処理面にウレタン系インキ(株式会社千代田グラビヤ製)を用いてグラビア印刷で模様層を印刷、さらにバインダー層を形成して積層シートを得た。得られた積層シートを、微細凹凸を形成した射出成形機の金型に装着し、基材層用の樹脂としてABS樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製)を樹脂温度230℃、金型温度140℃の条件で射出成形して積層シートと基材層となるABS樹脂を接着一体化させた後、金型温度を40℃まで冷却してから脱型させ、表面に微細凹凸を有する縦200mm横200mmの積層成形体を得た。なお、金型は、微細凹凸の算術平均粗さRaの平均値が1.1μmであるものを用いた。
(実施例3)
縦200mm、横200mm、厚さ0.18mmのコロナ処理を施したポリエステル系フィルムA−1538(東洋紡績株式会社製)のコロナ処理面に塩酢ビ・アクリル系インキ(株式会社千代田グラビヤ製)を用いてグラビア印刷で模様層を印刷、さらにバインダー層を形成して積層シートを得た。得られた積層シートを、微細凹凸を形成した射出成形機の金型に装着し、基材層用の樹脂としてABS樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製)を樹脂温度230℃、金型温度140℃の条件で射出成形して積層シートと基材層となるABS樹脂を接着一体化させた後、金型温度を40℃まで冷却してから脱型させ、表面に微細凹凸を有する縦200mm横200mmの積層成形体を得た。なお、金型は、微細凹凸の算術平均粗さRaの平均値が1.1μmであるものを用いた。
(比較例1)
縦200mm、横200mm、厚さ0.18mmの易接着処理を施したポリエステル系フィルムA−1532(東洋紡績株式会社製)の易接着処理面にウレタン系インキ(株式会社千代田グラビヤ製)を用いてグラビア印刷で模様層を印刷、さらにバインダー層を形成して積層シートを得た。得られた積層シートを、微細凹凸を形成した射出成形機の金型に装着し、基材層用の樹脂としてABS樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製)を樹脂温度230℃、金型温度を50℃に一定に保たれた状態で射出成形して積層シートと基材層となるABS樹脂を接着一体化させた後、一定に保たれた金型温度の状態で冷却し脱型させ、表面に微細凹凸を有する縦200mm横200mmの積層成形体を得た。なお、金型は、微細凹凸の算術平均粗さRaの平均値が1.1μmであるものを用いた。
(比較例2)
縦200mm、横200mm、厚さ0.18mmの接着処理を施さないポリエステル系フィルム(東洋紡績株式会社製)にウレタン系インキ(株式会社千代田グラビヤ製)を用いてグラビア印刷で模様層を印刷、さらにバインダー層を形成して積層シートを得た。得られた積層シートを、鏡面の射出成形機の金型に装着し、基材層用の樹脂としてABS樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製)を樹脂温度230℃、金型温度140℃の条件で射出成形して積層シートと基材層となるABS樹脂を接着一体化させた後、金型温度を40℃まで冷却してから脱型させ、表面に微細凹凸を有する縦200mm横200mmの積層成形体を得た。
(試験方法)
(1)転写性の評価
得られた縦200mm横200mmの積層成形体の表面を、表面粗さ形状測定機サーフコム130A(株式会社東京精密製)で評価長さ20mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値0.08mm、フィルタ種別ガウシン、カットオフ比300に設定し、任意に選んだ3箇所以上を測定したときの算術平均粗さRa(JIS B0601−1994)の平均値を求め、型に対する転写率を算出して転写性を評価した。転写率が90%以上の場合を○、70%以上90%未満の場合△を、70%未満の場合を×とした。
(2)親水性の評価
得られた縦200mm横200mmの積層成形体の転写シート層側に水をかけた際、水の凝集現象を防ぎ、水膜を形成した場合を○、水の一部が凝集した場合を△、水が凝集した場合を×として評価した。
(3)乾燥性の評価
得られた縦200mm横200mmの成形体に水をかけた際、自然乾燥による乾燥時間の比較を行った。
(4)耐温水性の評価
得られた積層成形体、縦50mm横50mmのサンプルを50℃の温水に24時間全面浸漬する試験を行った際、試験後に積層シートが剥離しない場合を○、一部剥離した場合を△、全部剥離した場合を×とした。
(5)光沢度
得られた縦200mm横200mmの成形体の鏡面光沢度(JIS Z8741 60度鏡面光沢)を測定した。
その結果、上記実施例において、表面に親水化するための微細凹凸、又は60°グロス値が10以下である微細凹凸を有し、意匠性に優れる積層成形体は、積層シートと成形用樹脂との接着強度が大きく、温水を使用した環境下でも剥離などが生じず、自然乾燥で短時間のうちに乾燥状態にすることができた。また、表面光沢度が極めて低いフィルムインサート成形品が低コストで得られるため、自動車内装部品や家電部品などにも適する。
Figure 0005587545


本発明における積層成形体の構成を示す断面図である。 本発明における積層成形体の製造方法を示す断面図である。
符号の説明
1 転写シート層
1a 微細凹凸
2 模様層
3 バインダー層
4 積層シート
5 基材層
6 可動型
7 固定型
8 熱可塑性樹脂

Claims (1)

  1. 転写シート層、模様層、アクリル系バインダー層を有する積層シートと、熱可塑性樹脂からなる基材層とを備え、
    前記転写シート層が、表面の全部又は一部に親水化するための微細凹凸であり、60°グロス値が10以下であり、微細凹凸を有する射出積層成形体の製造方法であって、
    該射出積層成形体は、金型キャビティ表面を交互に加熱冷却できる射出成形金型を用い、金型キャビティを加熱して射出し、射出後に前記金型キャビティ表面温度を前記熱可塑性樹脂の加重たわみ温度より低くしてから射出積層成形体を脱型するように繰り返し上下させる以下の工程によるヒートサイクル法を用いて得られる射出積層成形体の製造方法。
    (工程1)表面に微細凹凸を有する金型側に、転写シート層、模様層、アクリル系バインダー層を有する積層シートをセットし、型締めする工程。
    (工程2)金型キャビティ表面を加熱媒体として蒸気を使用し加熱して、積層シートの動的粘弾性率が500MPa以下になる温度かつ動的弾性率が10MPa以上になる温度に保った状態の型内に前記熱可塑性樹脂を射出する工程。
    (工程3)射出完了後に金型キャビティ表面を冷却媒体として水を使用し冷却して、前記熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度未満になる温度かつ積層シートの動的粘弾性率が500MPa未満になる温度であって、冷却固化が促進可能な温度まで冷却した後、60°グロス値が10以下であり、転写率が70%以上であり、親水化するための微細凹凸を前記転写シート層の表面の全部又は一部に有する射出積層成形体を脱型する工程。
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