JP5569538B2 - 活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、前者のプレス法は加熱、加圧及び冷却のサイクルで製造するため、生産性が悪いという問題があった。又、後者のキャスト法は、金型にモノマーを流し込んで重合するため製作時間が長くかかるとともに金型が多数個必要なため、製造コストが上がるという問題があった。
また、別の活性エネルギー線硬化型光学材料用組成物も開示されている(特許文献9〜11)。
本発明者は、得られる硬化物がスタンパーからの離型性や転写フィルムへの密着性に優れ、かつ高屈折率を両立でき、得られる硬化物は熱による着色が少ない活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物を見出すことを課題として鋭意検討を行った。
下記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は下記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)(成分B)、
成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物(成分C)、
光重合開始剤(成分D)、
フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)、並びに、
組成物に溶解性を有する亜リン酸エステル化合物(成分F)、を含有し、
成分A、B及びCよりなる硬化性成分中に、成分Aを5〜70重量%、成分Bを10〜90重量%、成分Cを0.1〜60重量%それぞれ含有し、
硬化性成分の合計100重量部に対して、成分Dを0.01〜20重量部、成分Eを0.01〜5重量部、及び成分Fを0.01〜5重量部それぞれ含有し、
前記成分Cは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を硬化性成分中に0.5〜30重量%含有するものである
活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<3>成分CとしてN−ビニルカルバゾールを前記硬化性成分中に0.5〜40重量%含有する、<1>又は<2>に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<4>成分Cとして、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びN−ビニルカルバゾールを前記硬化性成分中に合計0.5〜30重量%含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<5>成分Eとして下記式(3)で表される化合物を含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<6>成分Eとして、上記式(3)においてXが1つ以上のカルボン酸エステル結合を有する化合物(成分E1)を含む、<5>に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<7>成分E1が下記式(4)で表される化合物である、<6>に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<8>成分E1が、下記式(5)で表される化合物である、<6>に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
P(OR10)3 ・・・(6)
〔但し、式(6)において、R10はアルキル基又は芳香族基を表す。〕
<10>さらに、紫外線吸収剤(成分G)を含有する、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<11>硬化後の25℃、ナトリウムD線における屈折率が1.570以上である、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
<12>レンズシート製造用である、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物、
<13>エポキシ(メタ)アクリレート(成分A)、前記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は前記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)(成分B)、成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物(成分C)、光重合開始剤(成分D)、フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)、並びに、組成物に溶解性を有する亜リン酸エステル化合物(成分F)、を含有し、成分A、B及びCよりなる硬化性成分中に、成分Aを5〜70重量%、成分Bを10〜90重量%、成分Cを0.1〜60重量%それぞれ含有し、硬化性成分の合計100重量部に対して、成分Dを0.01〜20重量部、成分Eを0.01〜5重量部、及び成分Fを0.01〜5重量部それぞれ含有し、前記成分Cは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を硬化性成分中に0.5〜30重量%含有するものである活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物の光学部材前駆体としての使用。
<14>エポキシ(メタ)アクリレート(成分A)、前記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は前記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)(成分B)、成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物(成分C)、光重合開始剤(成分D)、フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)、並びに、組成物に溶解性を有する亜リン酸エステル化合物(成分F)、を含有し、成分A、B及びCよりなる硬化性成分中に、成分Aを5〜70重量%、成分Bを10〜90重量%、成分Cを0.1〜60重量%それぞれ含有し、硬化性成分の合計100重量部に対して、成分Dを0.01〜20重量部、成分Eを0.01〜5重量部、及び成分Fを0.01〜5重量部それぞれ含有し、前記成分Cは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を硬化性成分中に0.5〜30重量%含有するものである硬化型組成物を準備する工程、並びに、上記組成物に活性エネルギー線を照射する工程、を含む光学部材の製造方法。
なお、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、成分A〜成分Fについて説明する。
成分Aは、エポキシ(メタ)アクリレートである。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物である。
ここで、エポキシ樹脂とは、分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、反応により硬化する低分子化合物又はポリマー(高分子)をいう。この分野での慣例に従い、本明細書では、硬化性のエポキシ基を分子内に2個以上有するものであれば、分子量が1,000以上のポリマーの他に分子量が1,000未満の低分子化合物であってもエポキシ樹脂と呼ぶことがある。
エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社のjER−827(エポキシ当量:180〜190g/eq)、jER−828(エポキシ当量:184〜194g/eq)、jER−834(エポキシ当量:230〜270g/eq)等を例として挙げることができる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社のjER−806(エポキシ当量:160〜170g/eq)、jER−807(エポキシ当量:160〜175g/eq)等を挙げることができる。
エポキシ樹脂としては、これらに限定することなく種々の構造のエポキシ樹脂や、種々のエポキシ当量のエポキシ樹脂を使用することができる。
成分Bは、下記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は下記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)である。
前記式(1)及び式(2)におけるl及びmは、アルキレンオキサイドの付加数を表し、1分子当たりの平均付加数を意味する。
これらの中でも、室温で液状であり扱いやすく、入手しやすい点で、o−フェニルフェニル(メタ)アクリレート及びo−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。さらにこれらの中でも、組成物の粘度を低く抑えることができることから、mp=0であるo−フェニルフェニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明の組成物は、成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物を含有する。
成分Cとしては、種々の化合物が使用でき、ビニル化合物及び(メタ)アクリレート等が挙げられ、(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレートの具体例としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、単官能(メタ)アクリレートという)及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、多官能(メタ)アクリレートという)が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用でき、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。オリゴマーの好ましい分子量範囲は、重量平均分子量で500〜40,000である。
成分Cの含有割合は、成分A、B及びCよりなる硬化性成分の合計量中に、0.1〜60重量%である。成分Cの割合が0.1重量%に満たないと、硬化性が低下したり、組成物の密着性が低下し、60重量%を超えると得られる光学部材の屈折率が低下してしまう。
3官能以上の(メタ)アクリレートの含有割合としては、硬化性成分の合計中に0.5〜30重量%であり、好ましくは5〜20重量%である。
0.5重量%以上とすることにより、転写フィルムへの密着性に優れるものとすることができるうえ、硬化物が柔軟性に優れるため、脆くなりレンズ形状に欠陥が出ることを防止することができる。一方、30重量%以下とすることで、十分な離型性が得ることができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートは、市販されており、東亞合成(株)製、アロニックスM−305(以下、「アロニックス」の記載は省略)、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−402、M−404、M−408及びM−450等が挙げられる。
N−ビニルカルバゾールの含有割合としては、硬化性成分の合計中に0.5〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。
3官能以上の(メタ)アクリレート及びN−ビニルカルバゾールの含有割合としては、これらの合計量が、硬化性成分の合計中に0.5〜40重量%を配合することが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。
成分A、B及びCの含有率の合計は100重量%である。
成分Dの光重合開始剤は、前記した成分A〜Cを紫外線又は可視光線の照射により硬化させるために配合するものである。
成分Dの具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
成分Dは、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
本発明では、硬化物の経時での着色を著しく低く抑える目的で、組成物に、フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R(Rは炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)及び亜リン酸エステル化合物(但し、組成物に溶解性を有するもの)(成分F)を配合する。
以下、成分E及び成分Fについて説明する。
成分Eは、フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物である。
成分EのRが示すアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
フェニル基の基−C(CH3)2Rの置換数としては、1個又は2個が好ましい。また、置換位置は、フェノール性水酸基の隣であることが好ましく、3,5−ジ置換−4−フェノールである、いわゆるヒンダードフェノール類であることがより好ましい。
式(3)の化合物としては、下記式(3A)又は/及び式(3B)で表される化合物が好ましい。
1価の基としては、アルキル基、1つ以上のエステル結合(−COO−及び/又は−OCO−)を有する脂肪族基、ベンゾトリアゾイル基及びヒンダードアミノ骨格を含む基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数2以上20以下のアルキル基が、硬化物の着色防止に優れる点で好ましい。
1つ以上のエステル結合を有する基としては、アルコキシカルボニルアルキル基が例示でき、−R11COOR9で表される基であることが好ましい。ここで、R11は、エチレン基等の炭素数1〜12のアルキレン基であり、R9は炭素数1〜20のアルキル基を表す。R11としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。
2価の基としては、炭素数2以上20以下のアルキレン基及び炭素数2以上20以下の1つ以上のエステル結合を有する基等が挙げられる。1つ以上のエステル結合を有する基としては、1価〜4価のアルキル基、エステル結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた構造を2以上連結し、かつ1つ以上の、好ましくは1〜4の、エステル結合を有する2価の基が例示でき、スピロオルソエーテル環及び1つ以上のエステル結合を有する2価の基であることが好ましい。
3価の基としては、イソシアヌル基(1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン−1,3,5−トリイル基)等が挙げられる。
4価の基としては、1つ以上のエステル結合を有する基等が挙げられ、1価〜4価のアルキル基、エステル結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた構造を2以上連結し、かつ1つ以上の、好ましくは1〜4の、エステル結合を有する4価の基が好ましく挙げられる。より具体的には、C(CH2OCOR11−)4等が挙げられる。R11は、前記と同様に、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、前記と同様のものが好ましい。
式(4)において、R9の炭素数が1以上であると、組成物に対する溶解性が十分であり、又、炭素数が20以下であると、少量で所望の効果を得ることができ、均一な組成物が得られる。
成分Fは、亜リン酸エステル化合物であり、組成物に溶解性を有する。本発明において「溶解性を有する」とは、組成物を−10℃で7日間静置し、析出が見られないことを意味する。
成分Fとしては、下記式(6)〜(8)で表される化合物等が挙げられる。
〔式(6)において、R10は炭素数1〜20のアルキル基又は芳香族基を表す。複数個のR10は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。〕
〔式(7)において、R12は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R13は炭素数6〜10の芳香環を有する2価の基を表す。複数個のR12は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。〕
R10及びR14の芳香族基としては、フェニル基、アルキル置換フェニル基等が挙げられる。アルキル置換フェニル基において、アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも良い。炭素数としては1〜18のものが挙げられ、組成物に対する溶解性に優れるため炭素数としては6〜15のものが好ましい。
P(ORal)3 ・・・(6-1)
RarOP(ORal)2 ・・・(6-2)
(RarO)2P(ORal) ・・・(6-3)
(RarO)3P ・・・(6-4)
(6-2)>(6-1)>(6-3)>(6-4)
(6-1):亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸トリラウリル
(6-2):亜リン酸フェニルジアルキル(アルキル基としては炭素数8〜12のもの)
(6-3):亜リン酸ジフェニルアルキル(アルキル基としては炭素数8〜12のもの)
(6-4):亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(4‐ノニルフェニル)、亜リン酸トリス(2,4‐ジ−t−ブチル)
成分E及び成分Fが、それぞれ0.01重量部に満たないと、組成物を硬化した硬化物において、熱や光による着色が発生してしまい、5重量部を超えると、析出して均一な組成物が得られず、又、硬化性が低下してしまう。
本発明の組成物は、前記成分A〜Fを必須とするものであるが、目的に応じて種々の任意成分を配合することができる。
以下、それぞれの成分について説明する。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
紫外線吸収剤としては、種々の化合物を使用できるが、組成物に溶解するものが好ましい。
紫外線吸収剤の具体例としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤は市販されており、BASFジャパン製の、TINUVIN PS、TINUVIN 99−2、TINUVIN 109、TINUVIN 384−2、TINUVIN 900、 TINUVIN 928等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、TINUVIN 479、TINUVIN 460等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの中でも、揮発性が低く、さらに光学部材の使用環境において問題となることが多い長波長の紫外線領域における紫外線吸収能力が高い、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、TINUVIN 900、TINUVIN 928等が好ましい。
紫外線吸収剤が0.01重量部以上であると、光学部材の使用環境における着色を抑えることができ、5重量部以下であると、組成物に対する十分な溶解性と、良好な活性エネルギー線硬化性を保つことができる。
本発明の組成物は、前記した成分A〜Fを必須とし、これらを前記の配合割合で含有するものである。
成分Aは、常温で粘度が高かったり、固体であるものも多いため、組成物が室温で液状にならない場合は、組成物を撹拌・混合した後に加熱しても良い。加熱温度としては、50〜100℃が好ましい。
レンズシートとしては、更に詳細には、ビデオプロビェクター、プロジェクションテレビ及び液晶ディスプレイ等用途が挙げられる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
具体的には、レンズ形状を有するスタンパーに組成物を塗布し、フィルム又はシート基材(以下これらをまとめて「フィルム基材」という。)でラミネートした後に、活性エネルギー線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。
紫外線照射には、一般に紫外線硬化型組成物の硬化に用いられる超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク及びキセノンランプ、LED等を使用すれば良い。好ましくは、波長365nmを中心とした紫外線が比較的多い高圧水銀灯又はメタルハライドランプを使用するのが好ましい。紫外線の照射量は200mJ/cm2以上あれば硬化させることができ、300〜2,000mJ/cm2が好適である。
比較的膜厚の薄いレンズシートを製造する場合は、本発明の組成物を、目的のレンズの形状を有するスタンパーと称される金型に塗布し、該組成物の層を設け、その層の上にレンズシートを転写させる透明基板を密着させる。
次いで、透明基板側から活性エネルギー線を照射して、組成物を硬化させ、この後、金型から剥離させる。
次いで、透明基板側から活性エネルギー線を照射して、組成物を硬化させ、この後、金型から脱型させる。
下記表1に示す(成分A)〜(成分F)を使用し、常法に従い撹拌・混合して活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物を製造した。
●成分A
・OT−2501:ビスフェノールA型エポキシアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックスOT−2501)
・TO−1463:o−フェニルフェノキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックスTO−1463)
・TO−2344:o−フェニルフェニルアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックスTO−2344)
・M−305:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレート混合物〔東亞合成(株)製 アロニックスM−305〕
・M−211B:ビスフェノールA EO付加物のジアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックスM−211B〕
・POA:フェノキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックスM−100〕
・M−1600:ポリエーテル系ウレタンアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックスM−1600〕
・NVC:N−ビニルカルバゾール〔和光純薬(株)製N−ビニルカルバゾール〕
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 イルガキュア184)
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(BASF社製 ルシリンTPO)
・AO−50:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〔(株)アデカ製AO−50、式(3)においてR1がオクタデシル基である化合物〕
・AO−80:3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〔(株)アデカ製AO−80、式(5)の化合物〕
・135A:亜リン酸ジフェニルイソデシル〔(株)アデカ製 アデカスタブ135A〕
・3010:亜リン酸トリイソデシル〔(株)アデカ製 アデカスタブ3010〕
・T−928:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASFジャパン社製TINUVIN 928
・T−900:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASFジャパン社製TINUVIN 900
・HQ:ハイドロキノン
・412:ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)〔(株)アデカ製 AO−412S〕
・GP:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン〔住友化学(株)製 スミライザーGP〕
前記で得られた組成物を使用して、下記の方法に従い評価した。
それらの結果を表2に示す。
E型粘度計を用いて、25℃における粘度を測定した。
尚、比較例2の組成物は、粘度が高すぎて測定できなかった。
得られた組成物を使用し、コンベアを備えた高圧水銀ランプを用いて、365nm付近の照射量が500mJ/cm2となるような条件で硬化させたものを使用した。
得られた硬化物について、ナトリウムD線における屈折率(25℃)を、(株)アタゴ製アッベ屈折計DR−M2により測定した。
転写フィルムに対する密着性について、碁盤目試験で評価した。
基材フィルムとして、ポリエチレンレテフタレート(以下、PETという)フィルム〔東洋紡績(株)製コスモシャインA4300〕を用い、バーコーターを用いて膜厚30μmで塗布し、屈折率試験と同様の条件で紫外線照射を行った。
得られた硬化物を使用し、JIS K5400に記載の方法に従い、硬化物層のもろさやフィルム基材への付着性を測定し、次の3段階で評価した。
○:碁盤目残数90以上、△:碁盤目残数70以上、×:碁盤目残数69以下
レンズ形状を有するニッケル製スタンパーに、膜厚50μmで得られた組成物を塗布し、膜厚100μmのPETフィルムでラミネートした。
ついで、屈折率試験と同様の条件で紫外線照射を行い硬化物を作製した。
ニッケルスタンパーとPETフィルムとの間を90°に保ち剥離試験を、サンプル幅50mm、引張り速度1m/minで行い、剥離強度を測定した。剥離強度が200g/50mm以下かつ全ての樹脂硬化物が転写フィルムに密着しているものを、スタンパーからの離型性が良いと判断した。
前述の剥離試験の結果得られたレンズを顕微鏡観察により、レンズ形状に欠陥がないかを確認した。
顕微鏡としては、キーエンス(株)製デジタルマイクロスコープVH−6300を用い、倍率1500倍でレンズ形状を観察した。欠陥がないものを○、欠陥が認められたものを×とした。
組成物を−10℃の冷蔵庫にて7日間静置し、析出の有無を目視で確認し、以下の基準で判定した。
○:7日後も析出が見られない。×:1〜2日後に析出が見られた。
転写フィルム密着性評価と同様の方法で作製した試験片を用い、80℃×500時間後の着色を評価した。積分球式分光透過率測定器(村上色材技術研究所社製DOT−3C)を使用し、試験前の試験体のYI値、並びに、耐熱試験後の試験体のYI値を測定した。尚、後記表においては、試験後の着色について、ΔYI(各試験後の試験体BのYI値と各試験前の試験体BのYI値との差)で示した。
一方、成分Aを含まない比較例1の組成物は、屈折率は高くなるものの、転写フィルムへの密着性が低く、良好なレンズ形状も得られなかった。又、硬化性成分が成分Aのみである比較例2の組成物は、粘度が高すぎ室温での取り扱いに問題がある上、密着性やレンズ形状にも問題があった。さらに、成分Aを必須としない組成物では、比較例3〜7で明らかなように、十分に高い屈折率が得られないものであった。成分E以外のフェノール系酸化防止剤を含む比較例5の組成物は、熱による着色が大きくなった。又、成分F以外のイオウ系酸化防止剤を含む比較例6の組成物は、熱による着色を防ぐことはできるが、低温で析出しやすいため組成物の安定性に問題があった。又、同一分子中にフェノール性水酸基とリンとを有する酸化防止剤を用いた比較例7の組成物は、熱による着色が大きくなる傾向が見られた。成分A〜C成分を含むが、成分E及び成分Fを含まない比較例8及び同9の組成物は、屈折率、密着性及び離型性に優れるものであったが、熱による着色が大きいものとなってしまった。NVCを含む実施例4の組成物は、さらに屈折率に優れるものであった。成分A及び成分Bを含まず、成分CとしてNVCのみを含む組成物(比較例10)は、融点が高く、成分Dを配合しても室温で結晶化するため、低温安定性試験以外の評価はできなかった。
Claims (14)
- エポキシ(メタ)アクリレート(成分A)、
下記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は下記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)(成分B)、
成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物(成分C)、
光重合開始剤(成分D)、
フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)、並びに、
組成物に溶解性を有する亜リン酸エステル化合物(成分F)、を含有し、
成分A、B及びCよりなる硬化性成分中に、成分Aを5〜70重量%、成分Bを10〜90重量%、成分Cを0.1〜60重量%それぞれ含有し、
硬化性成分の合計100重量部に対して、成分Dを0.01〜20重量部、成分Eを0.01〜5重量部、及び成分Fを0.01〜5重量部それぞれ含有し、
前記成分Cは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を硬化性成分中に0.5〜30重量%含有するものである
活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 成分Aがビスフェノール型エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 成分CとしてN−ビニルカルバゾールを前記硬化性成分中に0.5〜40重量%含有する、請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 成分Cとして、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びN−ビニルカルバゾールを前記硬化性成分中に合計0.5〜30重量%含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 成分Eとして、上記式(3)においてXが1つ以上のカルボン酸エステル結合を有する化合物(成分E1)を含む、請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 成分Fが下記式(6)で表される化合物である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
P(OR10)3 ・・・(6)
〔但し、式(6)において、R10はアルキル基又は芳香族基を表す。〕 - さらに、紫外線吸収剤(成分G)を含有する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 硬化後の25℃、ナトリウムD線における屈折率が1.570以上である、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- レンズシート製造用である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- エポキシ(メタ)アクリレート(成分A)、
下記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は下記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)(成分B)、
成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物(成分C)、
光重合開始剤(成分D)、
フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)、並びに、
組成物に溶解性を有する亜リン酸エステル化合物(成分F)、を含有し、
成分A、B及びCよりなる硬化性成分中に、成分Aを5〜70重量%、成分Bを10〜90重量%、成分Cを0.1〜60重量%それぞれ含有し、
硬化性成分の合計100重量部に対して、成分Dを0.01〜20重量部、成分Eを0.01〜5重量部、及び成分Fを0.01〜5重量部それぞれ含有し、
前記成分Cは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を硬化性成分中に0.5〜30重量%含有するものである
活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物の光学部材前駆体としての使用。
- エポキシ(メタ)アクリレート(成分A)、
下記式(1)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−1)及び/又は下記式(2)で表されるモノ(メタ)アクリレート(成分B−2)(成分B)、
成分A及び成分B以外のエチレン性不飽和化合物(成分C)、
光重合開始剤(成分D)、
フェニル基に少なくとも1個の基−C(CH3)2R5(R5は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)が置換したフェノール化合物(成分E)、並びに、
組成物に溶解性を有する亜リン酸エステル化合物(成分F)、を含有し、
成分A、B及びCよりなる硬化性成分中に、成分Aを5〜70重量%、成分Bを10〜90重量%、成分Cを0.1〜60重量%それぞれ含有し、
硬化性成分の合計100重量部に対して、成分Dを0.01〜20重量部、成分Eを0.01〜5重量部、及び成分Fを0.01〜5重量部それぞれ含有し、
前記成分Cは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を硬化性成分中に0.5〜30重量%含有するものである
硬化型組成物を準備する工程、並びに、
上記組成物に活性エネルギー線を照射する工程、を含む、
光学部材の製造方法。
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