JP5552509B2 - 超仕上研削装置 - Google Patents
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Description
球面ころの表面の平滑化処理に、従来、図13に示される超仕上研削装置8が使用されている。超仕上研削装置8は、2つの揺動アーム81,82および2つの揺動リンク83,84が4つの揺動軸85〜88で平行に連結され、揺動アーム81,82の下方端が保持軸89,90に揺動可能に支持されたものである。超仕上砥石91を保持する砥石保持装置92は、2つの揺動軸93,94により揺動リンク83,84に揺動可能に保持されている。
駆動モータ97とコンロッド96の一端とは、駆動モータ97の回転中心P1周りに回転する偏心カム99に連結軸100により回動可能に連結されている。
ところで、超仕上砥石91の振幅(揺動角度)は、超仕上げ対象物(ワーク)Wの大きさ、形状により変更される。超仕上研削装置8は、揺動角度が偏心カム99の回転中心P1と連結軸100の中心P2との距離R1により決まるため、揺動角度を変更するには、クランプボルト98,98,98をゆるめ、調整ノブ101によりウォーム102を回して偏心カム99を中心P3周りに回転させ、連結軸100(の中心P2)と回転中心P1との距離を変更後の揺動角度に対応する値R2に変更する作業が必要であった。
砥石91の揺動過程の速度を多様に変化させることができなかった。
これに対して、駆動モータにACサーボモータを使用し、揺動アームにおける保持軸に揺動可能に支持された端部をタイミングベルトによりACサーボモータの駆動軸に連結し、駆動軸を正逆回転させることにより平行リンク機構を動作させる、超仕上げを行う研削装置が開示されている(特許文献1)。
しかし、前述したように、球面ころ軸受は大型の機械設備にも使用され、径の大きな軸受に使用される球面ころ軸受はその球面ころも大きく、研削装置の平行リンク機構も大きなものが必要となる。特許文献1に開示された研削装置は、揺動アームおよび揺動リンクに軽量化が図られているが、平行リンク機構が大きくなる(揺動アームが長くなる)とそれに応じて揺動時の慣性力が大きくなり、安定した駆動のためには不釣り合いな高出力の駆動モータが必要となる。
「非固定的に連結」とは、ねじ軸を貫通させたナットの直線移動をこれに連結された揺動アームが阻止することが無い程度に互いの相対位置変更を許容して連結された状態をいう。
超仕上研削装置における連結手段は、一端がナットに連結され他端が揺動アームに連結されたコンロッドで実現される。
駆動源であるサーボモータは、好ましくは、ねじ軸の両端にそれぞれに1つずつ連結される。
リンク機構部3は、2つの揺動リンク11a,11b、2つの揺動アーム12a,12bおよびリンクベース13等からなる。
2つの揺動リンク11a,11bは、断面形状が矩形の細長い棒状で、2つの形状および大きさは同じである。
揺動アーム12a,12bは、いずれもその細くなった一端が、一方の揺動リンク11aにおける異なる端に、揺動軸14,15によって揺動可能に連結されている。また、揺動アーム12a,12bは、長手方向の中間部分が、もう一方の揺動リンク11bにおける異なる端に、揺動軸16,17によって揺動可能に連結されている。2つの揺動リンク11a,11bは、2つの揺動アーム12a,12bに対して同じ側に位置する。
一方の揺動アーム12aにおける揺動軸14,16および保持軸18の軸心は一つの仮想平面内に存在し、他方の揺動アーム12bにおける揺動軸15,17および保持軸19の軸心は、一方の揺動アーム12aの各軸心を含む仮想平面に平行な仮想平面内に存在する。
リンクベース13は、図示しない角柱状のコラムに上下動可能に保持されている。コラムには、ねじ軸が上下方向に延びたボールねじ、ボールねじのねじ軸を駆動するサーボモータが備えられ、リンクベース13は、ボールねじのナットと一体化されて上下動する。リンクベース13は、一端にリンクベース13を含むリンク機構部3全体の重さに略等しいバランスウェイトが連結されたチェーンの他端に連結されている。コラムの上端にはチェーンが噛み合うスプロケットが設けられており、スプロケットが定滑車として機能し、
ボールねじによるリンクベース13の上下を円滑に行わせる。また、リンクベース13は、コラムに固定されたサーボモータにより任意の高さに移動し、静止する。
リンク駆動部2は、ボールねじ21、ナット支持材22、コンロッド23およびガイドレール24等からなる。
ねじ軸211は、水平に配されて、その両端は、超仕上げ装置1の架台に固定された2つの後述するサーボモータ41,42の駆動軸にそれぞれカップリングケース43,44を介して連結されている。
コンロッド23は、断面形状が略矩形の厚板状であって、一端が回動可能にコンロッド回動軸223に連結され、他端が揺動アーム12bの駆動伝達軸121に回動可能に連結されている。超仕上研削装置1においては、コンロッド23は、揺動アーム12を挟んで揺動リンク11a,11bの反対側に配されている。
砥石保持装置4は、ベース35、第1介在部36、第2介在部37および砥石保持部38からなる。
ベース35は、一方の表面に、突出元を短尺の底面(上底)および突出端を長尺の底面(下底)とする断面台形のアリ351が突出して上下方向に延びている。ベース35は、アリ351が延びた方向を揺動リンク11a,11bに直交させ、その上下の端近傍がそれぞれ異なる一方の揺動リンク11a(,11b)に、揺動軸352,353によって揺
動可能に支持されている。
砥石保持装置4は、例えば研削対象物の加工面の曲率が小さい(曲率半径が大きい)ときは、砥石保持部38を上昇させて超仕上砥石39の研削面の振動中心からの距離を大きくし、この逆に加工面の曲率が大きいときには、砥石保持部38を下降させて超仕上砥石39の研削面の振動中心からの距離を小さくすることができる。
超仕上研削装置1は、リンクベース13をコラムに対して上下動させること、および砥石保持装置4の上下動によって、加工面の曲率が異なる種々の研削対象物に対応することができる。リンクベース13の上下動がサーボモータで行われることにより、研削が終了したワークの取り出し時に砥石保持装置4を上昇させ、未研削のワークのセット時に正確に砥石保持装置4を下降させることができる。
コントローラは、超仕上げ加工条件、演算処理結果、エンコーダの出力データおよびサーボアンプの制御プログラム等を記憶するRAM、演算処理を行うCPU、大容量磁気ディスク等の記憶装置、超仕上げ加工条件等を入力しかつ超仕上げ加工の状況を表示させる入出力装置(タッチパネル)、ならびに異常を知らせる警報装置等からなる。
次に超仕上げ加工時の超仕上研削装置1の動作を説明する。
図6は球面ころW湾曲表面の超仕上げ加工における超仕上研削装置1の動作図である。図6(a)はナット212が右端に移動し超仕上砥石39が角度θ振れた図、図6(c)はナット212が左端に移動し超仕上砥石39が角度−θ振れた図である。
動(単振動、サインカーブ)でなく、振動の1周期で多段的に振動速度を変化させること、および1サイクルの研削加工の途中で振動速度を段階的に変更することが可能である。これらの一連の動作条件は、都度入力するのではなく、個別のプログラムとして記憶装置に保存してワークWが変更されるごとに対応プログラムを呼び出して、または単一のプログラムにおける変数の扱いでワークWごとに保存された一連のパラメータを記憶装置から読み出すようにすることもできる。
ワークWが、水平に並んで同一方向に回転する2つのロール51,51(図4参照)の間に搬送され、回転を始める。ロッドを伸張させるための所定の圧力の圧縮空気がエアシリンダ385に供給されて、超仕上砥石39の研削面がワークWの湾曲表面に押し当てられる。これと同時に、コントローラは、サーボモータ41,42を、設定された振動速度に応じた回転速度で正逆回転を繰り返すよう制御し、研削加工を開始させる。コントローラは、ナット212の原点位置(揺動アーム12bの傾斜角度がゼロの位置)をマスターサーボモータ41における回転角として記憶しており、ナット212が原点位置の両側に距離±Xの間で往復移動を繰り返すように、サーボアンプに対してサーボモータ41,42の駆動指令を発する。距離±Xは、超仕上砥石39を角度±θで振動させるためのナット212の移動距離である。
原点位置の設定(記憶)は、縦ロッド12a,12bが完全に垂直になるようナット212を移動させることにより始められる。
図7を参照して、縦ロッド12a,12bが完全に垂直になったら、位置決め治具45を縦ロッド12b側に移動させて、縦ロッド12bに設けられた孔46に嵌め入れられている円柱形の基準ピン47を、位置決め治具45の縦ロッド12b側端部に設けられた溝に収める。この溝は、基準ピン47の外径より僅かに大きな内径の半円形断面を有する。位置決め治具45を縦ロッド12bに向けて水平に移動させたときその溝に基準ピン47が嵌り込めば、縦ロッド12a,12bが完全に垂直になったときである。
なお、位置決め治具45は、縦ロッド12a,12bの垂直が確認されると、溝から基準ピン47が抜け出る位置まで(図7では左方向に)移動される。
縦ロッド12a,12bを傾斜角度θ傾ける場合には、予め計算された傾斜角度θに対応する原点位置からの距離Xまでナット212を移動させる。次にナット212を原点位置に戻し、さらに逆方向に距離X移動させて縦ロッド12a,12bを傾斜角度−θまで傾斜させる。
ナット212は、コンロッド23を介して揺動アーム12bを往復揺動させる。揺動アーム12bは、リンク機構部3全体を往復揺動させる。揺動軸352,353によって揺動リンク11a,11bに支持された砥石保持装置4は、揺動アーム12a,12bと同じように、設定された振動角度±θ内で往復揺動を繰り返す。
1bと同一方向に振動する。
コントローラは、入力された動作条件に従って研削加工を制御し、全ての研削加工が終了する(または設定加工時間が経過する)と、サーボモータ41,42を制御してナット212を原点に移動させる。
超仕上研削装置1は、サーボモータ41,42を使用するため、超仕上砥石39の振動角度および振動速度の変更をデータ入力またはプログラム変更等で容易に行うことができる。
超仕上研削装置1は、研削条件の変更をタッチパネル(操作盤)等から簡単に行うことができる。
超仕上研削装置1Bは、リンク機構部3、リンク駆動部2、4つの砥石保持装置4B,4B,4B,4B、駆動装置5および制御装置等からなる。
超仕上研削装置1Bは、2つの揺動リンク11a,11bに並列に4つの砥石保持装置4B,4B,4B,4Bが、揺動可能に連結されている。また、砥石保持装置4Bは、4つの並列設置を可能とするために、超仕上研削装置1の砥石保持装置4に比べて細長く設計されている。このことを除き、超仕上研削装置1Bは前述した超仕上研削装置1とその構造、動作は同一である。したがって、図8において超仕上研削装置1と同一の構造、作用を有するものについては超仕上研削装置1におけるものと同一の符合を付し、その説明を省略する。
超仕上研削装置1Cのリンク機構部3Cは、砥石保持装置4Cが保持する超仕上砥石39Cの研削面が、保持軸18,19を含む仮想平面に対して揺動リンク11bの反対側に配されるように、揺動アーム12a,12bの中間に連結された揺動リンク11bが保持軸18,19に近づけられている。このように構成された超仕上研削装置1Cでは、砥石保持装置4Cの揺動中心(軸)Oの先に位置する超仕上砥石39Cの研削面は、ナット212の移動方向、すなわち揺動リンク11a,11bの移動方向と逆の方向に移動(振動)する。砥石保持装置4Cに保持された超仕上砥石39Cは、その研削面が、幅方向両端に比べて中央が凸となった湾曲面に形成されている。超仕上研削装置1Cは、図9に示されるような、周面における軸方向中央部分がへこんだ鼓状の回転体(ワークW)の表面の研削に使用される。
図10は異形のワークWと超仕上砥石39,39Cとの関係を示す図である。
超仕上研削装置1,1Bは、図10(a)に示される、軸心を含む断面形状が点対称でなく周面が凸状に湾曲するワークWaの超仕上げ加工を、コントローラの制御プログラムの変更または制御定数の変更により行うことができる。ワークWaの超仕上げ加工は、超仕上砥石39の振動の中心(砥石保持装置4の揺動の中心)OHの垂直面からの傾斜角度がゼロではなく、ワーク回転用ロールに保持されたワークWaの軸方向における周面の母
線の中央と砥石保持装置4の揺動中心(軸)Oとを含む面の(垂直面からの)傾斜角度−α(α>0)が採用される。コントローラは、入力されたこの傾斜角度−αから、マスターサーボモータ41における揺動中心の回転角の値を算出し、この回転角のときを振動角度ゼロとし、入力されたと振動角度θ(θ>0)に基づいてマスターサーボモータ41およびスレーブサーボモータ42に正逆回転動作を行わせる。
リンク駆動部2Dは、ボールねじ21、ナット支持材22D、連結ピン55Dおよびガイドレール24,24等からなる。ボールねじ21およびガイドレール24,24の基本的な構成は、超仕上研削装置1のリンク駆動部2におけるものと同じである。
超仕上研削装置1Dにおける上記以外の構成は、超仕上研削装置1におけるものと同じであり、その説明を省略する。
超仕上研削装置1,1B,1Cにおいて、ナット212および揺動アーム12bとコンロッド23との連結部分のいずれか一方を、揺動不能に固着してもよい。その場合、固着されない側の連結部分は、コンロッド23が揺動アーム12bの保持軸19(揺動中心O)とは反対側に移動可能に形成される。
超仕上研削装置1,1B,1C,1Dにおいて、ガイドレールをナット支持材22,22に固着し、レール案内溝をカバー31に設けても、上記ガイドレール24,24およびレール案内溝222,222と同じ作用効果を奏する。また、これらを各1対でなく、それぞれ1つずつとしても、ボールねじ21の動作精度および耐久性の向上が期待できる。
その他、超仕上研削装置1,1B,1C,1D、および超仕上研削装置1,1B,1C,1Dの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
4,4B 砥石保持装置
11a,11b 揺動リンク
12a,12b 揺動アーム
14〜17 (リンク駆動部の)揺動軸
21 ボールねじ
22,22D ナット支持材(ナットに一体化された部材)
23 コンロッド(連結手段)
24 ガイドレール
31 カバー
41 サーボモータ(マスターサーボモータ)
42 サーボモータ(スレーブサーボモータ)
55D 連結ピン(連結手段)
122D 連結ピン移動孔(連結手段)
211 ねじ軸
212 ナット
222 レール案内溝
352,353 (砥石保持装置の)揺動軸
Claims (5)
- 2つの揺動リンクおよび2つの揺動アームが4点の揺動軸で連結された平行リンクに、前記揺動アームにおける揺動軸の並びに平行に並ぶ2つの揺動軸によって砥石保持装置が揺動可能に連結された超仕上研削装置であって、
駆動源としてのサーボモータと、
ねじ軸およびナットにより構成され前記サーボモータにより前記ねじ軸が回転するボールねじと、
前記ナットに前記揺動アームを非固定的に連結する連結手段と、を有し、
前記ねじ軸が前記揺動リンクに平行である
ことを特徴とする超仕上研削装置。 - 前記連結手段は、一端が前記ナットに連結され他端が前記揺動アームに連結されたコンロッドを有する、
請求項1に記載の超仕上研削装置。 - 前記連結手段は、
前記ナットおよび前記揺動アームのいずれか一方を貫通する孔である連結ピン移動孔と、
前記ナットおよび前記揺動アームのいずれか一方に一体化され前記連結ピン移動孔に前記ナットの直線移動が可能なように嵌め入れられた棒状の連結ピンと、を有する
請求項1に記載の超仕上研削装置。 - 前記サーボモータは、前記ねじ軸の両端にそれぞれに1つずつ連結された
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超仕上研削装置。 - 前記ねじ軸の両端間に前記ボールねじと前記砥石保持装置とを隔てるカバーを備え、
前記カバーには、いずれも前記ねじ軸に平行に延びた、棒状のガイドレールおよびこのガイドレールが嵌り込んで摺動可能なレール案内溝のいずれか一方が設けられ、
前記ナットまたは前記ナットに一体化された部材に前記ガイドレールおよび前記レール案内溝のいずれか他方が設けられた
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の超仕上研削装置。
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