JP5551042B2 - 化学的機械的研磨法およびそれに用いられるスラリー - Google Patents

化学的機械的研磨法およびそれに用いられるスラリー Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置の製造に好適に使用することができる化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下「CMP」と略称することがある)用スラリーおよび該スラリーを用いる化学的機械的研磨法に関する。本発明のCMP用スラリーは、特にシャロー・トレンチ分離(Shallow Trench Isolation)領域を形成する工程において好適に使用することができる。
半導体回路の高性能化は、回路を構成するトランジスタ、抵抗、配線等の微細化がなされ、高密度化と同時に高速応答化により達成された。加えて、配線の積層化により、さらなる高密度化、高集積化が可能となった。これらを可能とした半導体装置の製造技術として、シャロー・トレンチ分離、メタルプラグ、ダマシンプロセスなどが挙げられる。シャロー・トレンチ分離は、素子分離の1種であり、このシャロー・トレンチ分離領域を形成する工程などに欠かす事のできない技術がCMPである。シャロー・トレンチ分離領域などの微細なパターンは、フォトリソグラフィによって形成されるが、微細化が進むにつれ、フォトリソグラフィに用いる投影レンズの焦点深度が浅くなり、ウエハの凹凸をそれ以内に収めなければならないため、要求される平坦性が高くなる。CMPで加工面を平坦化することによって、ナノオーダーレベルで平坦である面が得られ、三次元配線、すなわち積層化による高性能化が可能となる。
シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程においては、基板上に成膜された余分な絶縁膜(酸化ケイ素など)を除くためにCMPが使用され、研磨を停止させる目的で前記絶縁膜の下にストッパ膜が用いられる。ストッパ膜には、一般的には窒化ケイ素などが使用され、前記絶縁膜(酸化ケイ素など)とストッパ膜(窒化ケイ素など)との研磨速度比を大きくすることで、研磨終了ポイントを設定することが容易になる。
従来、水溶性高分子(ポリアクリル酸など)と、β−シクロデキストリンと、コロイダルシリカと、水とを含有する化学的機械的研磨用スラリーが知られている(特許文献1参照)。該文献では、第1の絶縁膜(SiOCなどの低誘電率材料)上の第2の絶縁膜(SiO2などの高誘電率材料)を除去するために、前記スラリーを用いることが記載されている。
さらに、酸(カルボキシ基を有する有機酸など)および包接化合物(シクロデキストリンなど)を含む研磨液も知られている(特許文献2参照)。該文献では、半導体集積回路のバリア層と層間絶縁膜との化学的機械的研磨のために、前記研磨液を用いることが記載されている。
また、水、酸化セリウム(研磨材微粒子)およびキレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)を含む半導体装置研磨用研磨剤組成物も知られている(特許文献3参照)。該文献では、素子分離構造を有する基板表面を平坦化するために、前記組成物を用いて化学的機械的研磨することが記載されている。
特開2009−158810号公報 特開2009−302255号公報 国際公開第WO01/080296号
シャロー・トレンチ分離領域は、一般に、以下のような工程を経て形成される。
図1〜図5は、半導体装置の製造プロセスでのシャロー・トレンチ分離領域の形成工程を段階的に示した模式断面図である。なお、図1〜5は、基板(ウエハ)1中に1個の半導体装置の部分が形成されることを示しているが、実際には、1枚の基板に対してシャロー・トレンチ分離領域を有する半導体装置が複数作製され、ダイシングによって、個々の半導体装置(チップ)に分離される。また、図中の各部の寸法は、理解を容易にするために設定したもので、各部と各部との間の寸法比は、実際のものとは必ずしも一致しない。
まず基板1表面の酸化絶縁膜2(酸化ケイ素など)上に、ストッパ膜3が積層される。次いで、酸化絶縁膜2およびストッパ膜3が積層された基板1に、フォトリソグラフィによりレジスト膜(不図示)を積層し、エッチングした後、レジスト膜を除去することによって、溝4(エッチング部分)が形成される(図1)。この溝4を埋めるように、CVDなどによって絶縁膜5(酸化ケイ素など)が積層される(図2)。この絶縁膜5が積層された基板1のCMPによる研磨では、ストッパ膜3と絶縁膜5とを平坦に研磨して、平坦なシャロー・トレンチ分離領域6を形成することが理想的である(図3)。
しかし、ストッパ膜3の部分と溝4の部分とでは高さに違いがあるため(図1)、CVDなどでは、初期段差D1を有する絶縁膜5が形成される(図2)。そのため、その後のCMPによる研磨では、ストッパ膜3と絶縁膜5との間に段差D2(図4)が形成されるという問題があった。
さらに、基板はうねりを有しているため、実際上、基板全域において均一に研磨することは困難である。そのため、基板上の全てのストッパ膜3が完全に露出するまで研磨を行なうと、早い段階でストッパ膜3が露出した部分では、溝4内に充填されている絶縁膜5がさらに研磨されてしまうという問題(過剰研磨)が生ずる。この過剰研磨の部分では、段差がさらに大きくなってしまう(図5)。図5中のD3は、過剰研磨による段差の増加量である。
この点、特許文献1〜3には、CMPにおいてストッパ膜と絶縁膜との間の段差ストッパ膜3と絶縁膜5との間の段差D2を小さくするということについては、記載も示唆もなく、本発明者らが確認したところ、該文献に記載のスラリー等を用いたCMPでは、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差ストッパ膜3と絶縁膜5との間の段差D2を小さくすることはできなかった。また、特許文献1〜3には、過剰研磨による段差の増加についても、何ら記載されていない。
従って、本発明は、被研磨膜を平坦化する性能(以下、「平坦化性能」と略称することがある)に優れるCMP用スラリー(特に、シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程において、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差を極めて小さくすることができ、さらには過剰研磨による段差の増加も抑制できるCMP用スラリー)を提供することを目的とする。
上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、特定組成のCMP用スラリーが平坦化性能に優れ、これを用いれば、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差を極めて小さくすることができることを見出し、本発明を完成した。本発明は以下の通りである。
[1] 3個以上8個以下の酸性基を有し、最も離れた酸性基の間にある原子数が4〜12であるキレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)、酸化セリウム砥粒(c)並びに水(d)を含有し、
前記キレート剤(a)の含有量が、スラリー全量中、0.02〜2.0質量%であり、
前記オリゴ糖および/またはその誘導体(b)の含有量が、スラリー全量中、0.02〜2.0質量%である、
化学的機械的研磨用スラリー。
[2] 前記キレート剤(a)と前記オリゴ糖および/またはその誘導体(b)との質量比が、1/10〜10/1である上記[1]に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
[3] 前記オリゴ糖および/またはその誘導体(b)が、環状オリゴ糖および/またはその誘導体である上記[1]または[2]に記載の化学的機械的研磨スラリー。
[4] 環状オリゴ糖が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンよりなる群から選ばれる1種または2種以上である上記[3]に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
[5] 前記キレート剤(a)が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)よりなる群から選択される1種または2種以上である、上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の化学的機械的研磨用スラリー。
[6] pHが、3.0〜12.5である上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の化学的機械的研磨用スラリー。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の化学的機械的研磨用スラリーを用いる化学的機械的研磨法。
[8] シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程で用いられる、上記[7]に記載の化学的機械的研磨法。
本発明のCMP用スラリーを用いれば、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差を極めて小さくすることができる。そのため、本発明のCMP用スラリーは、シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程に特に好適に用いることができる。
エッチングによって溝を形成した基板の模式断面図である。 CVDによって絶縁膜を積層した基板の模式断面図である。 理想的なCMPによって絶縁膜を研磨した基板の模式断面図である。 実際上のCMPによって絶縁膜を研磨した基板の模式断面図である。 過剰研磨した基板の模式断面図である。
本発明のCMP用スラリーは、キレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)、酸化セリウム砥粒(c)および水(d)を含有する。本発明のCMP用スラリーは、キレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)および酸化セリウム砥粒(c)を併用することで、被研磨膜の凸部を選択的に研磨することが可能であり、その結果、ストッパ膜3と絶縁膜5との段差D2(図4)を低減することができる。
本発明のCMP用スラリーを用いることによって、ストッパ膜3と絶縁膜5との段差D2を低減できる理由は定かではないが、添加剤であるキレート剤(a)とオリゴ糖および/またはその誘導体(b)とが複合体を形成し、ストッパ膜3および絶縁膜5への添加剤の吸着性が向上するためであると本発明者らは推定している。より詳しくは、研磨初期では、絶縁膜5の凹部では加わる圧力が低いため、吸着した添加剤が保護膜として機能すると考えられる。絶縁膜5の凸部では、加わる圧力が高いために添加剤が剥がれて、上記のような保護機能は発揮されず、初期段差D1が低減される。その後、研磨が進行し、ストッパ膜3露出後では、ストッパ膜3では研磨が進行しなくなり、絶縁膜5においても添加剤が保護膜として機能し、段差増加量D3が抑制されると考えられる。但し、本発明は、このような推定メカニズムに限定されない。
以下、本発明で用いるキレート剤(a)、オリゴ糖またはその誘導体(b)、酸化セリウム砥粒(c)並びに水(d)について順に説明する。
キレート剤(a)は、3個以上8個以下の酸性基を有し、最も離れた酸性基の間にある原子数が4〜12である。キレート剤(a)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。キレート剤(a)の含有量は、スラリー全量中、0.02〜2.0質量%の範囲にある。前記キレート剤(a)がスラリー全量中、0.02質量%未満であると、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差が大きくなり、また、過剰研磨時に段差増加量が大きくなる場合がある。一方、キレート剤(a)の含有量が、スラリー全量中、2.0質量%を超える場合には、CMP用スラリー中の酸化セリウム砥粒(c)が凝集する傾向にある。ストッパ膜と絶縁膜との間の段差、過剰研磨時の段差増加量の低減、および研磨剤中の酸化セリウム砥粒の凝集を抑制する観点から、キレート剤(a)の含有量は、スラリー全量中、0.03〜1.0質量%の範囲にあることが好ましく、0.04〜0.5質量%の範囲にあることがより好ましい。
キレート剤(a)は、3個以上8個以下の酸性基を有する。キレート剤(a)の酸性基が3個未満である場合には、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差を充分に抑制することができない。その理由として、酸性基が3個未満であると、キレート剤(a)とオリゴ糖および/またはその誘導体(b)との間で複合体が充分に形成されないことなどが推定される。段差の抑制効果を充分に確保するために、キレート剤(a)の酸性基は4個以上であることが好ましい。一方、キレート剤(a)の入手容易性の観点から、酸性基は7個以下であることがより好ましく、6個以下であることがさらに好ましい。
酸性基としては、例えば、カルボキシ基(−COOH)およびホスホノ基(−P(O)(OH)2)などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。酸性基は、遊離酸の形態だけでなく、塩の形態(例えば−COONa)であってもよい。塩形態の酸性基に含まれる陽イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオンおよびカリウムイオン)およびアルカリ金属イオン(例えば、カルシウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられる。半導体装置製造の際の金属汚染を回避するために、酸性基は、遊離酸の形態、或いはアンモニウム塩またはアミン塩の形態が好ましい。
キレート剤(a)において、最も離れた酸性基(例えばカルボキシ基またはホスホノ基)の間にある原子数が4〜12であることも必要である。前記原子数が4未満であると、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差を充分に抑制することができない。一方、前記原子数が12を超えるキレート剤(a)の入手は困難である。前記原子数は、好ましくは4〜10、より好ましくは4〜8である。
キレート剤(a)として、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジアミン四酢酸(DPTA)、グリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(GEDTA)、(S,S)−エチレンジアミン二琥珀酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸などが挙げられる。ストッパ膜と絶縁膜との間の段差の低減、過剰研磨時の段差増加量の低減、工業的な入手容易性等の観点から、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジアミン四酢酸(DPTA)がより好ましく、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)がさらに好ましい。
次にオリゴ糖および/またはその誘導体(b)について説明する。本発明において「オリゴ糖」とは、単糖類が、結合位置を問わずに、2個以上20個以下で結合した化合物をいう。
単糖類は、D−体、L−体のいずれでもよい。単糖類としては、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、ラムノース、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース等が挙げられる。
オリゴ糖および/またはその誘導体(b)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。オリゴ糖および/またはその誘導体(b)の含有量は、スラリー全量中、0.02〜2.0質量%の範囲にある。オリゴ糖および/またはその誘導体(b)が、スラリー全量中、0.02質量%未満であると、ストッパ膜と絶縁膜との間の段差が大きくなり、また、過剰研磨時の段差増加量が大きくなる。一方、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)の含有量が、スラリー全量中、2.0質量%を超える場合には、CMP用スラリー中の酸化セリウム砥粒(c)が凝集する。ストッパ膜と絶縁膜との間の段差の低減、過剰研磨時の段差増加量の低減、および研磨剤中の酸化セリウム砥粒(c)の凝集を抑制する観点から、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)の含有量は、スラリー全量中、0.03〜1.0質量%の範囲にあることがより好ましく、0.04〜0.5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
オリゴ糖および/またはその誘導体(b)は、キレート剤(a)と良好に複合体を形成して充分な段差抑制効果を発揮するためには、オリゴ糖が環化した環状オリゴ糖および/またはその誘導体であることが好ましい。
環状オリゴ糖としては、例えば、シクロデキストリン、シクロマンニン、シクロアワオドリン、イソサイクロマルトペンタオース、イソサイクロマルトヘキサオース、環状ニゲロシルニゲロース、環状ニゲロシルトリサッカライドなどが挙げられる。工業的な入手容易性および水溶性の観点から、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが好ましい。
オリゴ糖または環状オリゴ糖の誘導体としては、
(a)オリゴ糖または環状オリゴ糖の有するヒドロキシ基の水素原子が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基で置換されたアルコキシ化誘導体、
(b)オリゴ糖または環状オリゴ糖の有するヒドロキシ基と、カルボン酸(例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸等のヒドロキシカルボン酸)のカルボキシ基とが反応して得られるエステル化誘導体
などが挙げられる。
キレート剤(a)とオリゴ糖および/またはその誘導体(b)との質量比(即ち、[キレート剤(a)]/[オリゴ糖および/またはその誘導体(b)])は、1/10〜10/1であることが好ましい。前記質量比が1/10より小さくても、また10/1を超えても、段差抑制効果が減少する傾向がある。段差抑制効果の観点から、前記質量比は、1/7〜7/1であることがより好ましく、1/4〜4/1であることがさらに好ましい。
次に酸化セリウム砥粒(c)について説明する。酸化セリウム砥粒(c)の平均粒径は、0.5〜1,000nmの範囲にあることが好ましい。前記平均粒径が0.5nm未満であると、研磨速度が低下する場合がある。一方、前記平均粒径が1,000nmよりも大きいと、研磨傷が発生する傾向にある。研磨速度および研磨傷抑制の観点から、前記平均粒径は1〜700nmの範囲にあることがより好ましく、5〜500nmの範囲にあることがさら好ましい。
酸化セリウム砥粒(c)の平均粒径は、大塚電子株式会社製の粒径測定装置「ELSZ−2」を用いて測定することができる。詳しくは、該装置で、酸化セリウム砥粒(c)の分散水を25℃の温度下にて動的光散乱法で2回測定し(ピンホール径50μm、25℃の水の屈折率1.33、並びに前記分散水の粘度0.89cPおよび比誘電率78.3の設定)、キュムラント解析によって、酸化セリウム砥粒(c)の平均粒径および粒径分布をそれぞれ求めることができる。
酸化セリウム砥粒(c)の含有量は、スラリー全量中、0.1〜3.0質量%の範囲にあることが好ましい。この含有量が0.1質量%未満であると、研磨速度が低下することがあり、3.0質量%を超えると、酸化セリウム砥粒(c)が凝集し易くなる。研磨速度の確保および凝集抑制の観点から、前記含有量は、0.2〜2.0質量%の範囲にあることがより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲にあることがさら好ましい。
本発明のCMP用スラリーは、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化セリウム砥粒(c)以外の研磨砥粒を含んでいてもよい。酸化セリウム砥粒(c)以外の研磨砥粒としては、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどが挙げられる。
本発明のCMP用スラリーは、酸化セリウム砥粒(c)の凝集を防止するために、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の分散剤を含有することができる。
前記分散剤としては、例えば、水溶性アニオン性分散剤、水溶性ノニオン性分散剤、水溶性カチオン性分散剤、水溶性両性分散剤等が挙げられる。水溶性アニオン性分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリスルホン酸およびそれらの塩等が挙げられる。水溶性ノニオン性分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、N−置換ポリアクリルアミド、N,N−置換ポリアクリルアミド等が挙げられる。水溶性カチオン性分散剤としては、ポリエチレンイミンおよびポリアリルアミンの塩等が挙げられる。水溶性両性分散剤としては、カチオン性、アニオン性の不飽和二重結合を有する単量体を共重合した重合体、末端にアニオンおよびカチオンをそれぞれ有するベタイン等が挙げられる。
前記分散剤は、酸化セリウム砥粒(c)を、水等の分散媒中に安定的に分散させるために好適である。
本発明のCMP用スラリーは、本発明の特徴を阻害しない範囲で、アニオン性高分子化合物、ノニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、両性高分子化合物、多糖類を含有していてもよい。前記アニオン性高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸およびポリスルホン酸の塩等が挙げられる。前記ノニオン性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、N−置換ポリアクリルアミド、N,N−置換ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられる。前記カチオン性高分子化合物としては、ポリエチレンイミンおよびポリアリルアミンの塩等が挙げられる。前記両性高分子化合物としては、カチオン性およびアニオン性の不飽和二重結合を有する単量体を共重合してなる共重合体等が挙げられる。前記多糖類としては、たとえば、デキストラン、グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、ヘパリン、アガロース等が挙げられる。
さらに本発明のCMP用スラリーは、本発明の特徴を阻害しない範囲で、分子量10〜1,000の低分子化合物を含有していてもよい。前記低分子化合物としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペラジン、イミダゾール、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミン類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;蟻酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、サリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸類;グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン等のアミノ酸類;ジオキサン、ジメチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;過酸化水素、過硫酸アンモニウム等の酸化剤;ベンゾトリアゾール、チアベンダゾール等の錯形成剤などが挙げられる。
本発明のCMP用スラリーは、例えば、キレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)、酸化セリウム砥粒(c)をそれぞれ含有する三つの水溶液またはスラリーを別々に保存する3液式のCMP用スラリーとして保存してもよい。また、酸化セリウム砥粒(c)を含有するスラリーと、キレート剤(a)並びにオリゴ糖および/およびその誘導体(b)の混合水溶液とを別々に保存する2液式のCMP用スラリーとして保存してもよい。また、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)並びに酸化セリウム砥粒(c)を混合したスラリーと、キレート剤(a)の水溶液とを別々に保存する2液式のCMP用スラリーとして保存してもよい。また、キレート剤(a)および酸化セリウム砥粒(c)を混合したスラリーと、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)の水溶液とを別々に保存する2液式のCMP用スラリーとして保存してもよい。また、キレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)、並びに酸化セリウム砥粒(c)を混合した1液式のCMP用スラリーとして保存してもよい。
前記2液または3液式CMP用スラリーの前記水溶液またはスラリーの配合を、適宜調整することによって、研磨速度および段差抑制効果などを調整することができる。2液式のCMP用スラリーを用いる方法としては、例えば、(1)酸化セリウム砥粒(c)を含有するスラリーと、キレート剤(a)並びにオリゴ糖および/またはその誘導体(b)の混合水溶液とを別々の配管で送液し、これらの配管を合流させて供給配管出口の直前で混合して、研磨パッド上に供給する方法、(2)研磨直前に、酸化セリウム砥粒(c)を含有するスラリーと、キレート剤(a)並びにオリゴ糖および/またはその誘導体(b)の混合水溶液とを混合する方法等が挙げられる。更に、前記のように、2液式のCMP用スラリーのスラリーおよび水溶液を配管内で混合する場合、または研磨直前に混合する場合に、必要に応じて、脱イオン水を追加して、CMP用スラリーの研磨特性を調整することもできる。なお、前記方法は、別の2液式のCMP用スラリーまたは3液式のCMP用スラリーを用いる方法に適用することができる。
本発明のCMP用スラリーのpHは3.0〜12.5の範囲にあることが好ましい。前記pHが3.0未満であると、研磨速度が低下することがあり、前記pHが12.5を超えると、被研磨膜の平坦性が低下する傾向にある。研磨速度および被研磨膜の平坦性の観点から、前記pHは3.3〜12.0の範囲にあることがより好ましく、3.5〜11.7の範囲にあることがさらに好ましい。
CMP用スラリーのpHは、pHメータを用いて測定することができる。詳しくは、後述の実施例に記載の方法でpHを測定することができる。
本発明のCMP用スラリーのpHを調整するために、pH調整剤(酸または塩基)を用いてもよい。pH調整剤として塩基を使用する場合、半導体装置製造での金属汚染を防止するために、塩基は有機アミンまたはアンモニア水であることが好ましい。
本発明のCMP用スラリーは、水(d)を含有する。水(d)はCMP用スラリーの分散媒であり、半導体装置製造での汚染を防止するために、脱イオン水が好ましく、蒸留水がより好ましく、超純水がさらに好ましい。水(d)の含有量は、CMP用スラリーから必須成分(キレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)、並びに酸化セリウム砥粒(c))および任意成分(例えば分散剤)の含有量を除いた残余の量である。
本発明のCMP用スラリーは、各種半導体装置、MEMS等の製造プロセス等に用いることができる。例えば、所定の配線を有する配線板に形成された酸化ケイ素膜、ガラス等の絶縁膜;ポリシリコン、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta、TaN等を主として含有する膜;フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス;ITO等の無機導電膜;ガラスおよび結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路;光ファイバーの端面;シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶;青色レーザLED用サファイヤ基板;SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッド等;メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂;を研磨することができる。特に、本発明のCMP用スラリーを、シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程でのCMPに用いることが好ましい。
本発明は、CMP法も提供する。本発明のCMP法は、上述した本発明のCMP用スラリーを用いることを特徴とする。本発明のCMP法は、シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程で用いられることが好ましい。
研磨定盤上に固定した研磨パッドに、被研磨膜を形成した基板を押し当て、基板と研磨パッドとの間に本発明のCMP用スラリーを供給しながら、基板と研磨パッドとを相対的に動かして、基板上の被研磨膜を研磨するCMP法が、本発明の一態様として挙げられる。以下、例示のために、ストッパ膜3(窒化ケイ素など)上に絶縁膜5(酸化ケイ素など)が積層された基板(図2)を用いて、本発明の一態様を説明する。
本発明のCMP法では、一般的な研磨装置を使用することができる。一般的な研磨装置は、通常、研磨パッドと、研磨パッドを固定するための研磨定盤と、研磨定盤を回転させるためのモータと、モータの回転数を調整するコントローラと、基板を保持するホルダーとを有する。研磨パッドは、例えば、両面テープ等を用いて研磨定盤に固定される。
研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、一般的な合成樹脂、不織布、織布、人工皮革などを使用することができる。
前記合成樹脂としては、例えば熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂などの架橋ゴム、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。前記合成樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。さらに前記合成樹脂を、添加剤などと組み合わせて使用することができる。耐磨耗性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。
前記合成樹脂は発泡構造であってもよい。発泡構造の合成樹脂の製造方法としては、例えば、(1)微小中空体を合成樹脂中に分散させる方法;(2)1種または2種以上の水溶性高分子化合物を合成樹脂中に分散させた後、前記水溶性高分子化合物を溶出させる方法;(3)超臨界発泡を用いる方法;(4)高分子化合物微粒子を焼結し、連通孔構造を形成させる方法;が挙げられる。
前記研磨パッドは、研磨パッド内に砥粒を内包していてもよい。
前記研磨パッドには、CMP用スラリーが溜まるような穴加工および/または溝加工が施されていることが好ましい。特に制限するものではないが、溝構造としては、格子状、放射状、螺旋状、同心円状などの構造を挙げることができる。前記溝構造および穴構造の種類は、一つだけでもよく、二つ以上であってもよい。また、前記研磨パッドは、単層構造でもよく、クッション層などを有する積層構造でもよい。
コンディショナーを用いて、前記研磨パッドの表面粗さを、被研磨膜の研磨に好適な範囲に調整してもよい。前記コンディショナーとしては、例えば、ダイアモンド粒子をニッケル電着等により担体表面に固定したものなどが挙げられる。前記表面粗さの調整法としては、前記コンディショナーを研磨装置に取り付け、前記研磨パッド上に前記コンディショナーを押し付ける方法などが挙げられる。
研磨条件としては、特に制限はない。但し、効率的に研磨するために、研磨定盤および基板それぞれの回転速度は300rpm以下が好ましく、基板にかける圧力は、研磨後に傷が発生させないために150kPa以下が好ましい。研磨している間、研磨パッドには、CMP用スラリーをポンプ等で連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨層の表面が常にCMP用スラリーで覆われていることが好ましい。
研磨終了後の基板は、流水で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて乾燥させることが好ましい。このように、本発明のCMP用スラリーで研磨することによって、ストッパ膜3と絶縁膜5との間の段差D2が抑制された平坦なシャロー・トレンチ分離領域6を形成することができ、基板全面にわたって平滑な面を得ることができる。この基板の上に、さらに、タングステン配線、銅配線などが形成される。このような工程を繰り返すことにより、積層構造の半導体装置を製造することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(1)CMP用スラリーのpH測定
標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液:pH4.00(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液:pH7.00(25℃)、ホウ酸塩pH緩衝液:pH9.00(25℃))を用いて、pHメータ(株式会社堀場製作所製「pHメータ F22」)を3点較正した後、該pHメータの電極をCMP用スラリーに入れてから2分間以上経過してpH値が安定した後に、その値を測定した。
(2)CMP用スラリーの調製
[実施例1]
酸化セリウム砥粒のスラリー(昭和電工株式会社製研磨剤「GPL−C1010」、スラリー中の酸化セリウム砥粒含有量:10質量%)50g、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(キレスト株式会社製)1.0g、α−シクロデキストリン(日本食品加工株式会社製)2.0gおよび蒸留水を、1Lメスシリンダー中で混合し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、必要に応じて0.1Mアンモニア水(関東化学株式会社製)または0.1M塩酸(和光純薬工業株式会社製)を加えてpHを5.0とした後、蒸留水で全量を1,000gとして、酸化セリウム砥粒含有量0.5質量%、EDTA含有量0.1質量%およびα−シクロデキストリン含有量0.2質量%のCMP用スラリーを得た。
[実施例2]
EDTA含有量を0.05質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[実施例3]
α−シクロデキストリン含有量を0.3質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[実施例4]
α−シクロデキストリン含有量を0.1質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[実施例5]
α−シクロデキストリンの代わりにγ−シクロデキストリン(和光純薬株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のγ−シクロデキストリンの含有量0.2質量%)。
[実施例6]
α−シクロデキストリンの代わりにトレハロース(株式会社林原生物化学研究所製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のトレハロースの含有量0.3質量%)。
[実施例7]
EDTAの代わりにエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)(キレスト株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[実施例8]
EDTAの代わりにN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)(株式会社同仁化学研究所製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[実施例9]
EDTAの代わりに1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)(キレスト株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のPDTAの含有量0.12質量%)。
[実施例10]
EDTAの代わりにジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)(株式会社同仁化学研究所製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のDTPAの含有量0.15質量%)。
[実施例11]
EDTAの代わりにトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)(株式会社同仁化学研究所製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のTTHAの含有量0.17質量%)。
[比較例1]
酸化セリウム砥粒50g、EDTA1.0g、および蒸留水を1Lメスシリンダー中で混合し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、塩酸(和光純薬工業株式会社製)を加えてpHを5.0とした後、蒸留水で全量を1,000gとして、酸化セリウム砥粒含有量0.5質量%およびEDTA含有量0.1質量%のCMP用スラリーを得た。
[比較例2]
酸化セリウム砥粒50g、α−シクロデキストリン2.0g、および蒸留水を1Lメスシリンダー中で混合し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、塩酸を加えてpHを8.0とした後、蒸留水で全量を1,000gとして、酸化セリウム砥粒含有量0.5質量%およびα−シクロデキストリン含有量0.2質量%のCMP用スラリーを得た。
[比較例3]
EDTA含有量を0.01質量%、α−シクロデキストリン含有量を0.3質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[比較例4]
α−シクロデキストリン含有量を0.005質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[比較例5]
α−シクロデキストリン含有量を3.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[比較例6]
EDTA含有量を3.0質量%、α−シクロデキストリン含有量を0.1質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した。
[比較例7]
酸化セリウム砥粒50g、コハク酸(和光純薬株式会社製)1.0g、α−シクロデキストリン2.0g、および蒸留水を1Lメスシリンダー中で混合し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、塩酸を加えてpHを5.0とした後、蒸留水で全量を1,000gとして、コハク酸含有量0.1質量%、酸化セリウム砥粒含有量0.5質量%およびα−シクロデキストリン含有量0.2質量%のCMP用スラリーを得た。
[比較例8]
酸化セリウム砥粒の代わりにヒュームドシリカ砥粒「Semi−Sperse 25」(キャボットマイクロエレクトロニクス社製)を用い、且つスラリーのpHを6.5としたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のヒュームドシリカ砥粒の含有量5質量%)。
[比較例9]
EDTAの代わりにニトリロ三酢酸(NTA)(株式会社同仁化学研究所製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CMP用スラリーを調製した(スラリー全量中のNTA含有量0.1質量%)。
(絶縁膜の研磨試験)
試験基板としてSKW製パターンウエハ「SKW3−2」を用いた。前記ウエハは、図2に示すように、酸化絶縁膜2(酸化ケイ素)、ストッパ膜3(窒化ケイ素)、溝4、絶縁膜5(酸化ケイ素)が形成されたものである(酸化絶縁膜2の厚さ:10nm、ストッパ膜3の厚さ:150nm、ストッパ膜3の幅:100μm、溝4の深さ(ストッパ膜3の表面から溝4の底部までの距離):500nm、溝4の幅:100μm、絶縁膜5の平均厚さ:600nm)。研磨装置(MAT社製「BC−15」)の基板保持部に前記ウエハを固定した。一方、研磨定盤にはΦ380mmの無発泡ポリウレタン研磨パッドを両面テープで貼り付けた。コンディショナー(株式会社アライドマテリアル社製、直径19.0cm)を用い、圧力3.48kPa、定盤回転数100rpm、コンディショナー回転数140rpmで同方向に回転させ、純水を定量送液ポンプ(東京理科器械株式会社製「RP−1000」)にて毎分150mLで供給しながら60分間、研磨パッドのコンディショニングを行った。前記研磨パッド上に前記のようにして調製したCMP用スラリーを、毎分120mLで供給しながら、前記ウエハを研磨した(研磨定盤の回転速度100rpm、ウエハの回転速度99rpm、ウエハへの荷重23.4kPa)。ストッパ膜3(窒化ケイ素)上の絶縁膜5(酸化ケイ素)が消失し、ストッパ膜3が露出した時点をジャスト研磨として研磨を終了し、ウエハを蒸留水で洗浄および乾燥した。ジャスト研磨後のストッパ膜3と絶縁膜5との間の段差D2(図4)は、表面粗さ測定機を用いて測定した。詳しくは、表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製小形表面粗さ測定機「SJ−400」)を用い、標準スタイラス、測定レンジ:80μm、JIS2001、GAUSSフィルタ、カットオフ値λc:2.5mm、カットオフ値λs:8.0μmの設定でジャスト研磨後のウエハを測定し、断面曲線から段差D2を算出した。結果を下記表1〜4に示す。
ジャスト研磨後のウエハを、図5に示すようにさらに過剰研磨して、段差増加量D3を測定した。詳しくは、研磨開始からジャスト研磨までの研磨時間の15%に相当する時間だけ、ジャスト研磨後のウエハをさらに研磨し、段差D2の場合と同様にして段差増加量D3(図5)を算出した。結果を下記表1〜4に示す。
Figure 0005551042
Figure 0005551042
Figure 0005551042
Figure 0005551042
上記表1〜4に示す実施例1〜11および比較例1〜9の結果から明らかなように、本発明のCMP用スラリーを用いれば、ジャスト研磨後の段差および過剰研磨後の段差増加量を抑制しながら、効率的な研磨が可能である。
1 基板
2 酸化絶縁膜(酸化ケイ素など)
3 ストッパ膜(窒化ケイ素など)
4 溝(エッチング部分)
5 絶縁膜(酸化ケイ素など)
6 シャロー・トレンチ分離領域
D1 初期段差
D2 段差
D3 段差増加量

Claims (5)

  1. 3個以上8個以下の酸性基を有し、最も離れた酸性基の間にある原子数が4〜12であるキレート剤(a)、オリゴ糖および/またはその誘導体(b)、酸化セリウム砥粒(c)並びに水(d)を含有し、
    前記キレート剤(a)の含有量が、スラリー全量中、0.02〜2.0質量%であり、
    前記オリゴ糖および/またはその誘導体(b)の含有量が、スラリー全量中、0.02〜2.0質量%であり、
    前記オリゴ糖が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンよりなる群から選ばれる1種または2種以上であり、
    シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程で用いられる、
    化学的機械的研磨用スラリー。
  2. 前記キレート剤(a)と前記オリゴ糖および/またはその誘導体(b)との質量比が、1/10〜10/1である請求項1に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
  3. 前記キレート剤(a)が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)よりなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1または2に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
  4. pHが、3.0〜12.5である請求項1〜のいずれか一項に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の化学的機械的研磨用スラリーを、シャロー・トレンチ分離領域を形成する工程で用いる化学的機械的研磨法。
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