JP5544706B2 - 不飽和カルボン酸系架橋重合体およびこの重合体の製造方法 - Google Patents

不飽和カルボン酸系架橋重合体およびこの重合体の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、水溶性増粘剤として広く使用されている不飽和カルボン酸系重合体およびその製造方法に関するものである。
より具体的には、重合体が架橋構造を有し、かつ水溶性である不飽和カルボン酸系架橋重合体およびその製造方法に関するもので、不飽和カルボン酸系重合体の製造技術に関するものである。
アクリル酸に代表される不飽和カルボン酸の重合体は、その水溶液の特性、すなわち、その粘性やイオン性を利用して、塗料、接着剤、シーリング剤の増粘剤として、顔料や骨材の沈降防止剤、乾電池の金属粉の分散安定剤などとして様々な分野で使用されている。
特に、水可溶性有機溶剤中での沈殿重合において粉末状で得られる、架橋構造を有し、かつ水溶性である不飽和カルボン酸系重合体は、その特異な粘性における特性、すなわち、チキソトロピック性を生かして、クリーム、ローション、歯磨き、シャンプーなどの化粧品に特に愛用されている。
かかるこの沈殿重合に関し、出願人は、長期に渡って開発を行なっているもので、これまでにも、その技術に関して種々の提案を行なってきている。
例えば、特開昭52−127993号公報(以下、特許文献1)において、水可溶性有機溶媒中でアクリル酸ソーダ水溶液を重合する水溶性ポリカルボン酸の製法を提案している。
具体的には、重合物が餅状で反応器壁に付着したり、含水量が大で、不溶解物の多い重合物が得られるという問題点を、α、β−不飽和カルボン酸又はこれを主体とする他の共重合可能なビニル化合物との混合単量体を、逐次投入し重合させつつ、同時にアルカリの逐次投入により、重合の間に中和反応を行なう技術である。
また、特開昭55−48212号公報(以下、特許文献2)では、アクリルアマイドとアクリル酸及び架橋剤を加え重合する、新規な水溶性架橋共重合体の製造方法を提案している。
この提案は、低粘度品か水不溶解物しか得られないという問題点を、架橋剤として、ビニル基を2個以上有する単量体を0.5〜15重量%用いることにより、高粘度で不溶解物の少ない、アルカリによっても粘度低下の少ない水溶性架橋重合体を容易に且つ、経済的に有利に粉体ないし水溶液として製造する技術に関するものである。
特開昭52−127993号公報(特許請求の範囲) 特開昭55−48212号公報(特許請求の範囲)
前記の水溶性架橋重合体は、その粘性特性、すなわち、チキソトロピック性を利用して幅広く利用されてきている。
その利用範囲の拡大につれて、水溶性架橋重合体の品質の向上が強く求められている。
特に、
1)より増粘効果を有するもの;
例えば、pH6〜8における0.25質量%水溶液のブルックフィールド粘度を5,000mPa・s以上、0.5質量%水溶液のブルックフィールド粘度を10,000mPa・s以上にするもの。
2)水溶液とした際の清澄性(透明性);
例えば、0.5質量%水溶液の透過度(420nm)が80%以上のもの。
3)残存する未反応単量体や有機溶剤が少ないもの;
例えば、5000ppm以下、あるいは1000ppm以下のもの。
4)長期の保存においても、水溶液の粘度低下の少ないもの。
の特性の改良が強く望まれている。
前記1)〜4)は、水溶性架橋重合体に求められる特性である。
そのような特性を有する水溶性架橋重合体を製造する方法としては、当然のことに、従来から問題とされている、以下のような欠点が生じないものでなければならない。
すなわち、重合体の沈殿に際し、重合体の凝集が生成し、生成した凝集体が反応釜の壁面や攪拌翼へ付着し、反応混合物のスラリー粘度を上昇させ、製品である粉末の粒度を大きくし、場合によっては、塊状となり粉末化できないこと。
さらに、付着物によって熱伝導の低下により未反応モノマーが増加すること、付着領域での過熱による品質のバラツキが生じること、収量の低下が発生すること。
さらにまた、凝集体の反応釜の壁面や攪拌翼への付着により、熱伝導が不均化されることによる溶剤の突沸など、の製造時の操業安全上の問題が生じること、などが解決されることである。
この発明はかかる現状に鑑み、広く要望されている品質の向上された水溶性架橋重合体を、安全に製造して提供することを目的とするものである。
発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行い、特定の架橋剤を併用することにより、目的を達成しうることを見出し、この発明を完成させたものである。
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、
不飽和カルボン酸系単量体を、
アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートから選択された架橋剤(A)と、
多価アリルエーテルから選択された架橋剤(B)共存下に、水可溶性有機溶剤中で沈殿重合させることによって生成し水溶性であること
を特徴とする不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末。である。
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末において、
前記架橋剤(A)と架橋剤(B)の構成割合
質量比で1:0.5〜1:20であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末において、
前記不飽和カルボン酸系単量体は、
炭素数3〜5個のオレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩と、30質量%以下の共重合し得る単量体とから構成されるものであること
を特徴とするものである。
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末において、
前記オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩は、
その20〜100モル%が、オレフィン系不飽和カルボン酸の塩であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末において、
前記不飽和カルボン酸系架橋重合体は、
pH6〜8における0.5質量%水溶液の透過度(420nm)が80%以上、
pH6〜8における0.25質量%水溶液のブルックフィールド粘度が5,000mPa・s以上、
0.5質量%水溶液のブルックフィールド粘度が10,000mPa・s以上のものであること
を特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項6に記載の発明は、
不飽和カルボン酸系単量体を、
アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートから選択された架橋剤(A)と、
多価アリルエーテルから選択された架橋剤(B)存下に、水可溶性有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤を用いて重合させ、
得られる水溶性の重合体を、粉末状態で取得すること
を特徴とする不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法である。
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法において、
前記水可溶性有機溶剤は、
メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はメチルエチルケトンであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項6又は7に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法において、
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、
単量体100質量部当たり0.10質量部以下であること
を特徴とするものである。
この発明の不飽和カルボン酸系架橋重合体は、以下の品質・特性を有するものである。
1)pH6〜8における0.25質量%水溶液のブルックフィールド粘度を5,000mPa・s以上、0.5質量%水溶液のブルックフィールド粘度を10,000mPa・s以上にするという優れた増粘効果を有する。
2)0.5質量%水溶液の透過度(420nm)が80%以上という清澄性(透明性)に優れた水溶液を調製し得る。
3)残存する未反応単量体や有機溶剤が、5000ppm以下、さらには1000ppm以下と少ない。
4)長期の保存においても水溶液の粘度低下が少ない。
5)混合溶剤、単一の溶剤系にいずれにおいても、品質上のバラツキが少なく、かつ操業も安全に行える。
また、この発明の不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法は、単一溶剤での操業が可能で、回収溶剤の管理が簡素化された商業的にも有効な方法である。
この発明における不飽和カルボン酸系架橋重合体を構成する単量体は、不飽和カルボン酸系単量体を主体とするものである。
前記不飽和カルボン酸系単量体としては、炭素数3〜5個を有するオレフィン系不飽和カルボン酸とその塩が、この発明にとり好ましいものとして例示される。
かかるカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸などが挙げられる。
それらの塩としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸およびそのナトリウム塩は、得られる重合体の増粘剤としての性能も良好なため特に好ましく、アクリル酸は、市場からの入手が容易で、さらに好ましい。
不飽和カルボン酸系架橋重合体を構成する単量体としては、前記した不飽和カルボン酸系単量体と共重合し得る単量体が、不飽和カルボン酸系単量体とともに併用される。
この不飽和カルボン酸系単量体と共重合し得る単量体としては、一般的に広く使用されている単量体が挙げられる。
具体的には、例えば、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル等である。
前記のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、オクチル等のエステル類、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート等のエーテル結合を有するエステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有エステル類などが挙げられる。
前記アクリルアミド類、メタクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
さらに、不飽和カルボン酸系架橋重合体を構成する単量体として、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメチルメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリルスチレン共重合体等のマクロモノマー類なども使用可能である。
同様に、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらのエステル類なども使用できる。
さらに、必要に応じて、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなども使用できる。
これら不飽和カルボン酸系単量体と共重合し得る単量体は、不飽和カルボン酸系架橋重合体に求められる特性に応じて、その使用量が定められる。
通常は、不飽和カルボン酸系架橋重合体を構成する単量体中の30質量%以下で用いられる。
その量を超えると、水溶性を損なう、さらには高粘度のものが得られ難くなるなどの問題が発生することがある。
この発明の目的を達成するためには、不飽和カルボン酸系架橋重合体を構成する単量体中の20〜100mol%が不飽和カルボン酸の塩であることが好ましく、その量が40〜95mol%であることがさらに好ましい。
不飽和カルボン酸の塩が少ないと、水可溶性有機溶剤中に析出した重合体が凝集し易くなり、製造上の種々の問題を発生させることになり、塊状になり易く、粉状の重合体が得られ難くなる。
この発明においては、下記2種の架橋剤を併用することを特徴とするもので、この2種の架橋剤を併用することにより、前記した効果を生じせしめるものである。
(A)多価ビニルエステル、多価アリルエステルおよび多価ビニルアマイドから選択された架橋剤。
)多価アリルエーテルから選択された架橋剤。
これら架橋剤の具体例としては、以下のようなものが例示される。
)としては、
アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジアリルフタレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなど
が挙げられる。
なお、この発明においては、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートから選択される。
また、)としては、
テトラアリルオキシエタン、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、アリルサッカロース、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテルなど
が挙げられる。
この発明において、上記架橋剤()と()の併用割合は、目的とする水溶性架橋共重合体の増粘特性によるが、():()=1:0.5〜1:20であることが好ましい。
より好ましくは、1:1〜1:10、特に好ましいのは1:2〜1:8の割合である
この併用割合において、前記()が多いと、増粘水溶液の耐熱性が劣り、耐紫外線への安定性が劣り、特にアルカリ領域での粘度低下が生じやすくなる。
逆に()が多いと、増粘した水溶液の透明度が劣り、低粘度となり易い。
また、前記の架橋性単量体の使用量は、()と()の総量で、単量体100質量部に対して0.1〜2.0質量部が好ましい。
より好ましくは、0.2〜1.5質量部である。特に好ましいのは、0.3〜1.2質量部である。
使用量が0.1質量部より少ないと、溶解した水溶液が増粘せずに糸引き状態になりやすく、また逆に多すぎても、過架橋状態となり増粘しなくなる。
この発明において、不飽和カルボン酸系架橋重合体は水可溶性有機溶剤を媒体とする沈殿重合で製造されるものである。
使用される水可溶性有機溶剤としては、単量体は溶解するが、重合体は溶解しない溶剤が用いられる。
具体的な溶剤としては、前記した先行技術によって示されているが、ケトン、エステル、アルコール、炭素数4〜12個を有する脂肪族炭化水素、および炭素数6〜8個を有する芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1種以上からなる溶剤が挙げられる。
回収溶剤の再使用の観点から、単一の溶剤が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノールが、市場からの入手状況から好ましく用いられる。
特に、連鎖移動の少ないメタノールが好ましく、連鎖移動が少ないことにより、ポリマー鎖の長い重合体が得られ、高粘度を達成しやすい。
また、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類も、一般に、連鎖移動が少ないため高分子量の重合体を得るのに好ましい。
この発明において、不飽和カルボン酸系単量体の重合には、ラジカル開始剤を用いることが好ましく、過酸化物系、アゾ系などのラジカル開始剤から選ばれた1種又は2種以上の混合物が使用できる。
その使用量は単量体100質量部に対して、0.001〜0.10質量部が好ましく、より好ましくは、0.002〜0.05質量部である。
ラジカル開始剤が少ないと、重合反応が進まなく、よって重合体粉末が得られない。
重合反応が開始したとしても収率が悪く乾燥工程で不具合の発生、乾燥が充分に出来ず、粉末製品に大量の未反応単量体の残存や、製品としての価値が生じ得ない結果となり易い。
ラジカル開始剤が多いと、重合が急激に進み、重合反応の制御が難しくなり易く、場合によっては制御が出来ない事態が生じるかも知れない。
仮に、重合反応が制御できたとしても、ポリマー鎖が短くなるため、増粘水溶液の粘度が低くなってしまう結果となる傾向が強い。
これらのラジカル開始剤は、使用量と使用溶剤の組合せを検討し、水可溶性有機溶剤に溶解できる範囲で使用するのが好ましい。
具体的なラジカル開始剤としては、過酸化物系として、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
アゾ系としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などが挙げられる。
重合方法としては、前記したように、単量体中の20〜100mol%が不飽和カルボン酸の塩、さらには、その量が40〜95mol%であると、単量体一括重合、単量体及び重合開始剤を分割添加しての重合、単量体及び重合開始剤を連続添加しての重合のいずれでも、良好に重合が行なわれ重合体が得られる。
しかも、その重合に際し、生成した重合体が凝集して、反応釜の壁面や攪拌翼に付着するということもなく、反応混合物のスラリー粘度が非常に高くなることもない。
さらに、製品である粉末の粒度を大きくし、重合体を塊状化し、粉末化ができない、付着物によって熱伝導の低下による未反応モノマーの増加、付着領域での過熱による品質上のバラツキ、収量の低下などの問題を惹起させず、不均化された熱伝導によって溶剤が突沸するなどの、操業安全上の問題も発生させない。
この発明における重合方法としては、重合温度を50℃以上で、使用する溶剤系の大気圧下の沸点温度以下で行うことが好ましい。
重合温度が50℃未満では、ラジカル開始剤の分解が進まず、収率を向上させることが困難になる。
この重合は、通常、使用する溶剤系を還流した状態で重合することが好ましい。
その際、幾分かの減圧を施すことによって、溶剤の還流温度を下げて、ポリマー凝集物の発生による溶剤の突沸をより効果的に抑えることが可能となる。
もちろん、密閉容器での自己加圧下、強制加圧下でも重合は可能であるが、溶剤の突沸が起り易くなるため、あまり好ましくはない。
以下、この発明の不飽和カルボン酸系架橋重合体およびこの重合体の製造方法を、実施例に基づきより詳細に説明する。
なお、重合体の特性評価は、以下の方法で行った。
<ブルックフィールド粘度>
0.2質量%および0.5質量%水溶液粘度は、重合体粉末がイオン交換水に完全に溶解したことを目視確認した後に、温度25℃の恒温槽で1時間以上保持して、素早くRB80H型粘度計にて測定した。
使用したローター番号および回転数は、以下を適応した。
0〜2,000mPa・s :H3ローター、20rpm
2,000〜10,000mPa・s:H5ローター、20rpm
10,000mPa・s以上 :H6ローター、20rpm
<透過度(420nmおよび600nm)>
0.5質量%の重合体粉末を、イオン交換水に溶解した水溶液を用いて、島津製作所製分光光度計UV−1650PCにて、420nmおよび600nmの波長にて透過度を測定した。
対照とした液は、重合体粉末を溶解する際に用いたイオン交換水を使用した。
<実施例1>
1Lのフラスコに290gのメタノール、100gのアクリル酸、0.20gのメタクリル酸アリル及び1.10gのトリメチロールプロパンジアリルエーテル(ネオアリルT−20<ダイソー(株)製>)を仕込み、18gの苛性ソーダフレーク及び9gのイオン交換水を内温が40℃以下に保つようにゆっくりと添加した。
1Lフラスコを十分に窒素置換しながら昇温し、内温を温度68℃に維持したら開始剤ACVA(4、4’-アゾビスシアノ吉草酸)0.008gを添加した。
反応液が白濁した時点を反応開始として8時間、溶剤の還流が治まらないように、外温を管理して重合を継続した。
その後、内温を温度30℃になるまで冷却し、内温が温度50℃以上にならないように33gの苛性ソーダフレークをゆっくりと投入した。
反応スラリー液を、濾過洗浄した後、温度100℃で6時間真空乾燥して、重合体粉末を得た。
<実施例2〜18および比較例1〜8>
表1,2および3に示した条件下に、実施例1と同様にして、重合体粉末を得た。
但し、実施例6においては、以下のように単量体の一部を連続して添加し重合させた。
1Lのフラスコに、250gのメタノール、70gのアクリル酸、0.09gのメタクリル酸アリル及び0.47gのペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ネオアリルP−30M<ダイソー(株)製>)を仕込み、8gの苛性ソーダフレーク及び15gのイオン交換水を、内温が温度40℃以下に保つようにゆっくりと添加した。
別途、100mlビーカーに、30gのアクリル酸と0.08gのメタクリル酸アリルを混合し、50mlビーカーに48質量%のNaOH水溶液21gを用意した。
1Lフラスコを十分に窒素置換しながら昇温させ、内温を温度68℃に維持したら、開始剤ABAH0.005gを添加した。
反応液が白濁した時点を反応開始として、その10分後に先に用意したモノマー溶液とNaOH水溶液を、別々の口より2.5時間かけて連続的に投入した。
投入が終了してから6時間、溶剤の還流が治まらないように、外温を管理して重合を継続した。
その後、内温を温度30℃になるまで冷却し、内温が温度50℃以上にならないように33gの苛性ソーダフレークをゆっくりと投入した。
反応スラリー液を、濾過洗浄した後、温度100℃で6時間真空乾燥して、重合体粉末を得た。
実施例1〜18および比較例1〜8で得られた重合体粉末の特性を、前記評価方法で測定し、表1、2及び3に示した。
なお、表中の略号は、以下のものを示す。
ATBS:2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸
AMA :メタクリル酸アリル
ネオアリルT−20<ダイソー(株)製>:トリメチロールプロパンジアリルエーテル
ネオアリルT−30M<ダイソー(株)製>:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル
TAE :テトラアリルオキシエタン
TAIC:トリアリルイソシアヌレート
ACVA:4,4’−アゾビスシアノ吉草酸
ABAH:2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
AVDN:2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル
Figure 0005544706
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この発明の不飽和カルボン酸系架橋重合体は、水溶性で、チキソトロピック性を有し、高粘度を付与可能なものである。
したがって、粉末状であることも付加して、クリーム、ローション、歯磨き、シャンプーなどの香粧品業界を始めとして、塗料、接着剤、シーリング剤等の業界においても広く使用される可能性を有し、延いては、重合体を製造する化学業界において、広く利用されるものである。

Claims (8)

  1. 不飽和カルボン酸系単量体を、
    アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートから選択された架橋剤(A)と、
    多価アリルエーテルから選択された架橋剤(B)共存下に、水可溶性有機溶剤中で沈殿重合させることによって生成し水溶性であること
    を特徴とする不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末
  2. 前記架橋剤(A)と架橋剤(B)の構成割合
    質量比で1:0.5〜1:20であること
    を特徴とする請求項1に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末
  3. 前記不飽和カルボン酸系単量体は、
    炭素数3〜5個のオレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩と、30質量%以下の共重合し得る単量体とから構成されるものであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末
  4. 前記オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩は、
    その20〜100モル%が、オレフィン系不飽和カルボン酸の塩であること
    を特徴とする請求項3に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末
  5. 前記不飽和カルボン酸系架橋重合体は、
    pH6〜8における0.5質量%水溶液の透過度(420nm)が80%以上、
    pH6〜8における0.25質量%水溶液のブルックフィールド粘度が5,000mPa・s以上、
    0.5質量%水溶液のブルックフィールド粘度が10,000mPa・s以上のものであること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体粉末
  6. 不飽和カルボン酸系単量体を、
    アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートから選択された架橋剤(A)と、
    多価アリルエーテルから選択された架橋剤(B)存下に、水可溶性有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤を用いて重合させ、
    得られる水溶性の重合体を、粉末状態で取得すること
    を特徴とする不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法。
  7. 前記水可溶性有機溶剤は、
    メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はメチルエチルケトンであること
    を特徴とする請求項6に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法。
  8. 前記ラジカル重合開始剤の使用量は、
    単量体100質量部当たり0.10質量部以下であること
    を特徴とする請求項6又は7に記載の不飽和カルボン酸系架橋重合体の製造方法。
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