以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−電気自動車の駆動系の構成−
まず、本発明の実施形態に係るモータ搭載構造を備える電気自動車の駆動系の構成について図1〜図3を参照して説明する。この電気自動車1(以下、車両とも言う)は、家庭用電源など外部電源からの外部電力が供給されて充電されたバッテリ3の電力を、モータ29,37に供給して駆動輪31,31を駆動させる後輪駆動方式の電池式電気自動車である。
バッテリ3は、モータ29,37にインバータを介して接続されていて、外部電力及びモータ29,37からの回生電力が供給されて充電される。そして、バッテリ3は、その充電電力をモータ29,37に供給して駆動させるようになっている。
上記モータ29,37は、回転子と、固定子と、出力軸と、これらを収容するモータケース29a,37aとを有していて、この出力軸が駆動輪31,31に駆動軸(ドライブシャフト)27,27を介して連結されている。そして、モータ29,37は、バッテリ3から電力が供給されて駆動輪31,31を駆動させるようになっている。また、モータ29,37は、発電機として機能することにより、回生制動力を発生させるようになっている。尚、本実施形態では、車両1の制動として、モータ29,37による回生制動と制動装置による油圧制動があるが、その制動に占める回生制動の割合が高いことが望ましい。
−電気自動車のモータ搭載構造−
次に、電気自動車1の車体構造について図1〜図6を用いて説明する。図1は、モータ搭載構造を備える電気自動車1の前部構造を示す側面図、図2は、電気自動車1の後部構造を示す側面図、図3は、電気自動車1の後部構造を示す平面図、図4は、電気自動車1の後部構造を示す正面図、図5は、後輪用ブレーキキャリパーの内部構造を示す正面図、図6は、電気自動車1の制動時に発生するピッチングモーメント及びアンチピッチングモーメントの説明図である。尚、これらの図では、図を見易くするため、部材の図示を省略したり、その図示を簡略化したりしている。
車両1前部には、ダッシュパネル5によって車室7と仕切られた、ダッシュパネル5の車両前方空間としての前室9が設けられている。この前室9の車幅方向両側には、車両前後方向に延びるようにフロントサイドフレーム11,11がそれぞれ配設されている。この各フロントサイドフレーム11は、ダッシュパネル5の車両前方において車両前後方向に延びる第1水平部11aと、この第1水平部11aの後端から車両後方に行くに従って下方に傾斜する傾斜部11bと、この傾斜部11bの後端から車室7の底面を形成するフロアパネル13に沿うように車両後方に延びる第2水平部11cとを有している。
上記ダッシュパネル5は、フロアパネル13の前端から上方に延びており、その下部前面には、車幅方向に延びてフロントサイドフレーム11,11の各傾斜部11b,11bに連結されるダッシュクロスメンバ19が設けられている。
フロアパネル13の車幅方向中央部には、上方に膨出するようにフロアトンネル13aが形成されている。このフロアトンネル13aは、ダッシュパネル5から車室7内を車両後方に延びてフロアパネル13のキックアップ部13bに達している。
フロアパネル13の車両前後方向中央部には、上方に立ち上がるようにキックアップ部13bが形成されており、このキックアップ部13bの上端から車両後方に延びるようにリアフロアパネル13cが形成されている。このリアフロアパネル13cの車幅方向両端部の下面には、車両前後方向に延びるようにリアサイドフレームがそれぞれ設けられている。
キックアップ部13bの後面には、リアフロアパネル13cの前端部の下方において車幅方向に延びてリアサイドフレームの各前端部に連結されるNo.3クロスメンバ21が設けられている。リアフロアパネル13cの車両前後方向中央部の下面には、車幅方向に延びてリアサイドフレームの各車両前後方向中央部に連結されるNo.4クロスメンバ23(第1クロスメンバ)が設けられている。リアフロアパネル13cの後端部の下面には、車幅方向に延びてリアサイドフレームの各後端部に連結されるNo.5クロスメンバ25(第2クロスメンバ)が設けられている。これらのNo.3、No.4及びNo.5クロスメンバ21,23,25は、その下面の高さ位置が略同じである。尚、リアフロアパネル13cのNo.4クロスメンバ23よりも車両後方側が荷室フロアを構成している。
次に、モータ29,37を車両1後部に搭載した電気自動車1後部のモータ搭載構造について説明する。
リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方における後輪用駆動軸27,27よりも車両前方には、左後輪用モータ29(第1モータ)が、その出力軸が車両前後方向に向きかつモータケース29aから車両後方に突出するように設けられている。この左後輪用モータ29は、その出力軸が左後輪31に左後輪用減速装置33、傘歯車装置35及び左後輪用駆動軸27を介して連結されていて、左後輪31を駆動させるようになっている。
左後輪用減速装置33は、左後輪用モータ29の回転速度を減速してこのモータ29の動力を傘歯車装置35の左後輪用ピニオンギヤ35aに伝達する遊星歯車装置である。左後輪用減速装置33は、リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方における左後輪用モータ29の車両後方(No.4クロスメンバ23の下方)に配置されていて、サンギヤと、リングギヤと、プラネタリキャリアと、出力軸と、これらを収容するギヤケース33aとを有している。
リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方における後輪用駆動軸27,27よりも車両後方には、右後輪用モータ37(第2モータ)がその出力軸が車両前後方向に向きかつモータケース37aから車両前方に突出するように設けられている。つまり、後輪用モータ29,37は、車両前後方向に離間して対向配置されている。このため、後輪用モータ29,37のトルク反力の、車体への入力を低減することができる。右後輪用モータ37は、左後輪用モータ29よりも高さ位置が高い。このように、後輪用モータ29,37は上下にオフセット配置されているため、オーバーハング部の地上高を確保することができる。右後輪用モータ37は、その出力軸が右後輪31に右後輪用減速装置39、上記傘歯車装置35及び右後輪用駆動軸27を介して連結されていて、右後輪31を駆動させるようになっている。
右後輪用減速装置39は、右後輪用モータ37の回転速度を減速してこのモータの動力を傘歯車装置35の右後輪用ピニオンギヤ35dに伝達する遊星歯車装置である。右後輪用減速装置39は、リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方における右後輪用モータ37の車両前方に配置されていて、サンギヤと、リングギヤと、プラネタリキャリアと、出力軸と、これらを収容するギヤケース39aとを有している。
上記傘歯車装置35は、平行でなく相交わる、減速装置33,39の出力軸と傘歯車装置35の出力軸35c,35fとの2軸間に回転力を伝達するものである。傘歯車装置35は、リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方における左後輪用減速装置33と右後輪用減速装置39との間に配置されていて、左後輪用減速装置33の出力軸に連結された左後輪用ピニオンギヤ35aと、この左後輪用ピニオンギヤ35aに噛み合う左後輪用ベベルギヤ35bと、この左後輪用ベベルギヤ35bから車両左方に延びて、左後輪用駆動軸27にジョイント41を介して連結された左後輪用出力軸35c(後述する後輪用動力伝達装置の出力軸)と、右後輪用減速装置39の出力軸に連結され、左後輪用ピニオンギヤ35aの車両後方に配置された右後輪用ピニオンギヤ35dと、この右後輪用ピニオンギヤ35dに噛み合い、左後輪用ベベルギヤ35bの車両右方に配置された右後輪用ベベルギヤ35eと、この右後輪用ベベルギヤ35eから車両右方に延びて、右後輪用駆動軸27にジョイント41を介して連結された右後輪用出力軸35f(後輪用動力伝達装置の出力軸)と、これらを収容するギヤケース35gとを有している。左後輪用出力軸35c及び右後輪用出力軸35fは、ギヤケース35gから車幅方向外側にそれぞれ突出している。尚、図3では、傘歯車装置35の内部構造を示している。
以上のように、左後輪用モータ29、左後輪用減速装置33、傘歯車装置35、右後輪用減速装置39及び右後輪用モータ37は、この順に車両前後方向に直列配置されている。そして、左後輪用減速装置33、右後輪用減速装置39及び傘歯車装置35は、後輪用モータ29,37の動力を後輪31,31に伝達する後輪用動力伝達装置を構成している。
リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方には、後輪31,31用のパーキング機構内蔵型ディスクブレーキ43(制動装置。以下、後輪用ディスクブレーキという)が設けられている。この後輪用ディスクブレーキ43は、後輪31,31外、すなわち車体側に配置された所謂インボードブレーキであり、傘歯車装置35の左後輪用出力軸35cの突出部に一体的に支持された左後輪用ブレーキディスク43aと、傘歯車装置35の右後輪用出力軸35fの突出部に一体的に支持された右後輪用ブレーキディスク43bと、傘歯車装置35の上方にこれに跨るように配置され、ブレーキパッドやピストンなどが収容された後輪用ブレーキキャリパー43cとを有している。
この後輪用ブレーキキャリパー43c内の左端部には、左後輪用ブレーキディスク43aをその両側から締め付けることにより、左後輪31に油圧制動力を発生させる左後輪用ブレーキパッド43dと、この左後輪用ブレーキパッド43dの車両右方に配置され、ブレーキペダル操作時に左後輪用ブレーキパッド43d側に向かって進むことにより、左後輪用ブレーキパッド43dを左後輪用ブレーキディスク43aに押し付ける左後輪用ブレーキピストン43eとが組み込まれている。一方、後輪用ブレーキキャリパー43c内の右端部には、右後輪用ブレーキディスク43bをその両側から締め付けることにより、右後輪31に油圧制動力を発生させる右後輪用ブレーキパッド43fと、この右後輪用ブレーキパッド43fの車両左方に配置され、ブレーキペダル操作時に右後輪用ブレーキパッド43f側に向かって進むことにより、右後輪用ブレーキパッド43fを右後輪用ブレーキディスク43bに押し付ける右後輪用ブレーキピストン43gとが組み込まれている。以上のように、後輪用ブレーキキャリパー43cは左後輪用ブレーキキャリパーと右後輪用ブレーキキャリパーを兼ねているため、これらのブレーキキャリパーを別々に設ける場合と比較して、後輪用ブレーキキャリパー43c全体の車幅方向長さを短縮することができる。
また、後輪用ブレーキキャリパー43c内の車幅方向中央部には、後輪用パーキングブレーキカム43hと、この後輪用パーキングブレーキカム43hの車両左方に配置され、左後輪用ブレーキピストン43eに連結された左後輪用プッシュロッド43iと、後輪用パーキングブレーキカム43hの車両右方に配置され、右後輪用ブレーキピストン43gに連結された右後輪用プッシュロッド43jとが組み込まれている。後輪用パーキングブレーキカム43hには後輪用パーキングブレーキカムレバー43kが一体的に支持されており、この後輪用パーキングブレーキカムレバー43kには1本の後輪用パーキングブレーキケーブル43lの一端部が留められている。この後輪用パーキングブレーキケーブル43lは、後輪用ブレーキキャリパー43cの車幅方向中央部から車両前方に延びている。このように、後輪用パーキングブレーキケーブル43lを1本にしているので、パーキングブレーキ機構の構造を簡略化することができる。
そして、後輪用パーキングブレーキカム43hは、パーキングブレーキ操作時に後輪用パーキングブレーキケーブル43lが引っ張られると、後輪用パーキングブレーキカムレバー43kが回動するのに伴って回動し、この回動によって左後輪用プッシュロッド43iが左後輪用ブレーキパッド43d側に向かって進み、この前進によって左後輪用ブレーキピストン43eが左後輪用ブレーキパッド43dを左後輪用ブレーキディスク43aに押し付け、左後輪31に制動力が発生する。また、後輪用パーキングブレーキカム43hが上述の如く回動すると、この回動によって右後輪用プッシュロッド43jが右後輪用ブレーキパッド43f側に向かって進み、この前進によって右後輪用ブレーキピストン43gが右後輪用ブレーキパッド43fを右後輪用ブレーキディスク43bに押し付けて、右後輪31に制動力が発生する。
上記左後輪用モータ29のモータケース29aと上記左後輪用減速装置33のギヤケース33aとは、一体的に結合されている。また、上記右後輪用モータ37のモータケース37aと上記右後輪用減速装置39のギヤケース39aとは、一体的に結合されている。さらに、左後輪用減速装置33のギヤケース33aと右後輪用減速装置39のモータケース37aと上記傘歯車装置35のギヤケース35gとは、一体的に結合されている。さらにまた、上記後輪用ブレーキキャリパー43cは、傘歯車装置35の出力軸35c,35fと同軸に回転可能に支持されている。以上のように、後輪用モータ29,37と減速装置33,39と傘歯車装置35とは一体化されて、後輪用ブレーキキャリパー43cが傘歯車装置35の出力軸35c,35f周りに回転可能に支持された後側一体化ユニット45を構成している。この後側一体化ユニット45は、左後輪用モータ29のモータケース29aの上部後方に設けられた1つのマウント47(例えばラバーブッシュ)を介してNo.4クロスメンバ23の下面に、右後輪用モータ37のモータケース37aの上部後面にそれぞれ設けられた2つのマウント47,47を介してNo.5クロスメンバ25の下面に弾性支持されている。このように、後側一体化ユニット45は車体に弾性支持されているため、後輪用モータ29,37の振動が車体に伝達することを抑制することができる。また、後側一体化ユニット45は、左後輪用モータ29に設けられたマウント47を介して車体に、左後輪用モータ29の車両後方に離間配置された右後輪用モータ37に設けられたマウント47,47を介して車体に支持されているため、前後のマウント47間の距離を長くすることができる。
リアサスペンション49(後輪31,31側のサスペンション)には、車幅方向に延びる上下のアッパーアーム及びロアアームを、後輪31が取り付けられたナックルで繋いだ格好の所謂E型マルチリンク式のものが採用されている。このリアサスペンション49は、車幅方向外側端部がナックル49aに、内側端部がリアサスペンションクロスメンバ(不図示)に取り付けられたフロントアッパーアーム49bと、車幅方向外側端部がナックル49aに、内側端部がリアサスペンションクロスメンバに取り付けられたフロントロアアーム49cと、車幅方向外側端部がナックル49aに、内側端部がリアサスペンションクロスメンバに取り付けられたリアロアアーム49dと、車両前後方向に延びて、後端部がナックル49aに、前端部が車体に取り付けられたトレーリングアーム49eと、下端部がリアロアアーム49dに支持され、上端部が車体に取り付けられたスプリング49fと、下端部がナックル49aに、上端部が車体に取り付けられたダンパー49gとを有している。上記リアサスペンションクロスメンバは、後側一体化ユニット45の下方に車幅方向に延びるように配置され、車体フレームに取り付けられている。
左右のリアサスペンション49,49におけるフロントアッパーアーム49bの車体側への取り付け端部(車幅方向内側端部)から、レバー51が車幅方向内側に延長されている。このレバー51の先端部(車幅方向内側端部)には、トルクロッド53,55の一端側が回転可能に取り付けられており、その他端側は、後輪用ブレーキキャリパー43cに回転可能に取り付けられている。具体的には、左側トルクロッド53(第1トルクロッド)は、一端側が荷重を左後輪31側の左側リアサスペンション49のスプリング49fに伝達する左側レバー51に、他端側が後輪用ブレーキキャリパー43cの左端部に取り付けられている。一方、右側トルクロッド55(第2トルクロッド)は、一端側が荷重を右後輪31側の右側リアサスペンション49のスプリング49fに伝達する右側レバー51に、他端側が後輪用ブレーキキャリパー43cの右端部に取り付けられている。これにより、車両1制動時には、地面と後輪31との間に発生する制動力F2により、車両1の重心CG(重心高H)周りにピッチングモーメント(F2×H)が発生し、このモーメントにより、前後輪31,65の上下荷重移動W2が発生し、この結果、前後輪31,65の車高変化(ピッチング)が起きる。このとき、後輪用ブレーキキャリパー43cに発生する制動反力B2をトルクロッド53,55からレバー51を経由して、後輪3の上下荷重移動を抑制するようにリアサスペンション49のスプリング49fに作用させることにより、車両1制動時のピッチングを抑制することができる。
ここで、車両1の制動時に発生する車両1の重心CG周りのピッチングモーメントとアンチピッチングモーメントの詳細について図6を用いて説明する。
車両1の制動時には、地面と後輪31との間に発生する前後の制動力F2により、重心高Hの車両1の重心CG周りのピッチングモーメントM(F2×H)が発生する。このモーメントにより、ホイールベースをモーメントアームとして前後輪31,65に上下荷重移動W2が発生し、この結果、前後輪31,65の上下方向の車高変化(ピッチング)が起きる。
インホイールブレーキを備える車両では、地面と後輪31との間に発生する制動力F2はすべて、サスペンション経由で車体に伝達される。一方、本発明のようにインボードブレーキを備える車両1では、地面と後輪31との間に発生する制動力F2は、インボードブレーキ経由で半径Rの後輪31中心周りのモーメント(F2×R)として車体に伝達され、サスペンション経由で後輪31中心に作用する制動力F2として車体に伝達される。
ここで、サスペンションジオメトリーによるアンチピッチング角は、インホイールブレーキでは、地面とホイールとの接地点とサスペンションの瞬間回転中心とが地面となす角であるのに対し、インボードブレーキでは、ホイール中心とサスペンションの瞬間回転中心とが地面となす角であるので、アンチピッチング角は小さくなる。したがって、サスペンションにより車両1の制動時に発生する、アンチピッチングモーメントは小さくなる。
ところが、後輪用ブレーキキャリパー43cに発生する制動反力B2は、回転可能な後輪用ブレーキキャリパー43に一端側が取り付けられたトルクロッド53,55から、リアサスペンション49のフロントアッパーアーム49bを経由し、リアサスペンション49のスプリング49fに後輪31,31の上下荷重移動W2を減少するように作用するので、車両1制動時に後輪31,31が浮くことが抑制される。つまり、後輪用ブレーキキャリパー43に発生した制動反力B2に相当するアンチピッチングモーメントが発生し、ピッチング(ダイブ)を抑制することができる。
尚、バッテリ3は、フロアトンネル13a内やリアフロアパネル13cの下方における左後輪用モータ29の車幅方向両側に配置されている。また、本実施形態では、モータを車両1前部に搭載していないが、ここでは、その詳細な説明を省略する。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、後輪用ディスクブレーキ43を後輪31,31外、すなわち車体側に配置しているので、ばね下重量を減らすことができ、乗り心地を向上させることができる。
また、後輪用モータ29,37と減速装置33,39と傘歯車装置35とを一体化して、後輪用ブレーキキャリパー43cを傘歯車装置35の出力軸35c,35f周りに回転可能に支持した後側一体化ユニット45としているので、これらの車両1への組み付け性を向上させることができる。
さらに、一端側がリアサスペンション49のフロントアッパーアーム49bから延長されたレバー51に、他端側が後輪用ブレーキキャリパー43cに取り付けられたトルクロッド53,55を設けているので、このトルクロッド53,55により、車両1制動時のピッチングを抑制することができる。
つまり、車両1制動時に後輪用ブレーキキャリパー43cに発生する制動反力B2が後輪側トルクロッド53,55からレバー51を経由して、リアサスペンション49のスプリング49fに後輪31の上下荷重移動W2を減少するように作用するので、車両1制動時に後輪31が浮くことが抑制される。すなわち、車両1制動時のピッチングを抑制することができる。
さらにまた、後輪用ブレーキキャリパー43cの車幅方向中央部から、左右の後輪31,31用の後輪用パーキングブレーキケーブル43lが1本だけ延びているので、左後輪31用のパーキングブレーキケーブルと右後輪31用のパーキングブレーキケーブルとを1本ずつ配索する場合と比較して、その配索性を向上させることができる。
また、後輪用モータ29,37を、その出力軸が車両前後方向に向くように配置しているので、モータを、その回転軸が車幅方向に向くように配置する場合と比較して、モータ29,37の車幅方向長さを短くすることができる。このため、リアサスペンション49のロアアーム49c,49dの長さを長くすることができ、サスペンションジオメトリーが変化することを抑制することができる。
さらに、左後輪用モータ29を、その回転軸が車両前後方向に向くように後輪用駆動軸27,27よりも車両前方に配置しており、右後輪用モータ37を、その回転軸が車両前後方向に向くように後輪用駆動軸27,27よりも車両後方に配置している。つまり、モータ29,37を2つ、その回転軸が車両前後方向に向くように車両前後方向に対向配置している。このため、モータを2つ、その回転軸が車幅方向に向くように車幅方向に並列配置する場合と比較して、モータ29,37の回転軸方向長さを長くすることができ、モータ出力を容易に向上させることができる。
また、左後輪用モータ29を、リアフロアパネル13cの下面に車幅方向に延びるように設けられたNo.4クロスメンバ23に支持しており、右後輪用モータ37を、リアフロアパネル13cの下面におけるNo.4クロスメンバ23の車両後方に車幅方向に延びるように設けられたNo.5クロスメンバ25に支持しているので、これらのモータ29,37を車両前後方向に長いスパンで車体に安定支持することができる。
また、右後輪用モータ37を、左後輪用モータ29よりも高さ位置を高くしているので、オーバーハングの地上高を確保することができる。
尚、本実施形態では、リアサスペンション49にE型マルチリンク式のものを採用しているが、ロアアームを有する限り、これに限定されず、例えば、ダンパーを内蔵し、スプリングを取り付けたストラットを縦に置き、その上端部を車体に取り付け、下端部をロアアームで支持する構造のストラット式のものを採用してもよい。この場合、トルクロッド53,55の一端側をそのロアアームから延長されたレバーに、他端側を後輪用ブレーキキャリパー43cに取り付けてもよい。但し、トルクロッド53,55は、車両1制動時にそのレバーの先端を押し下げるように、後輪31,31中心よりも車両前方に配置することが望ましい。
(実施形態2)
本実施形態に係る電池式電気自動車1は、モータを実施形態1のように車両1前部ではなく、車両1後部に搭載した前輪駆動方式のものである。以下、電気自動車1前部のモータ搭載構造について図7〜図11を用いて説明する。図7は、電気自動車1の前部構造を示す側面図、図8は、電気自動車1の前部構造を示す平面図、図9は、前側一体化ユニットを示す側面図、図10は、図9のX−X線矢視断面図、図11は、電気自動車の制動時に発生するピッチングモーメント及びアンチピッチングモーメントの説明図である。尚、これらの図では、図を見易くするため、部材の図示を省略したり、その図示を簡略化したりしている。
上記両フロントサイドフレーム11,11の第1水平部11a,11aの前端部の間には、車幅方向に延びて各第1水平部11a,11aに連結されるボディクロスメンバ15が架設されている。フロントサイドフレーム11,11の第1水平部11a,11a後端部及び傾斜部11b,11bの下方には、車幅方向に延びて傾斜部11b,11bの各後端部に連結されるフロントサスペンションクロスメンバ(不図示)が設けられている。
前室9前部の車幅方向中央部には、前輪用モータ63が、その出力軸が車両前後方向に向きかつモータケース63aから車両後方に突出するように設けられている。この前輪用モータ63は、その出力軸が左右の前輪65,65(駆動輪)に前輪用減速装置67、差動歯車装置69及び左右の前輪用駆動軸71,71を介して連結されていて、両前輪65,65を駆動させるようになっている。
前輪用減速装置67は、前輪用モータ63の回転速度を減速してこのモータ63の動力を差動歯車装置69に伝達する遊星歯車装置である。前輪用減速装置67は、前室9の車幅方向中央部における前輪用モータ63の車両後方に配置されていて、サンギヤと、リングギヤと、プラネタリキャリアと、出力軸と、これらを収容するギヤケース67aとを有している。
差動歯車装置69は、車両1がカーブを曲がるときに、内輪差(内側と外側の前輪65,65の速度差)を吸収しながら、前輪用モータ63の動力を左右の前輪65,65に振り分けて伝達するとともに、モータ63の回転速度を最終的に減速してモータ63の動力を前輪65,65に伝達するものである。差動歯車装置69は、前室9の車幅方向中央部における前輪用減速装置67の車両後方に配置されていて、前後のデフピニオンと、左サイドギヤと、右サイドギヤと、リングギヤと、左サイドギヤから車両左方に延びて、左前輪用駆動軸71にジョイント41を介して連結された左前輪用出力軸69a(後述する前輪用動力伝達装置の出力軸)と、右サイドギヤから車両右方に延びて、右前輪用駆動軸71にジョイント41を介して連結された右前輪用出力軸69b(前輪用動力伝達装置の出力軸)と、これらを収容するギヤケース69cとを有している。左前輪用出力軸69a及び右前輪用出力軸69bは、ギヤケース69cから車幅方向外側にそれぞれ突出している。
以上のように、前輪用モータ63、前輪用減速装置67及び差動歯車装置69は、この順に車両前後方向に直列配置されている。そして、前輪用減速装置67及び差動歯車装置69は、前輪用モータ63の動力を前輪65,65に伝達する前輪用動力伝達装置を構成している。
前室9の車幅方向中央部には、前輪65,65用のパーキング機構内蔵型ディスクブレーキ73(制動装置。以下、前輪用ディスクブレーキという)が設けられている。この前輪用ディスクブレーキ73は、前輪65,65外に配置されたインボードブレーキであり、差動歯車装置69の左前輪用出力軸69aの突出部に一体的に支持された左前輪用ブレーキディスク73aと、差動歯車装置69の右前輪用出力軸69bの突出部に一体的に支持された右前輪用ブレーキディスク73bと、差動歯車装置69の上方にこれに跨るように配置され、ブレーキパッドやピストンなどが収容された前輪用ブレーキキャリパー73cとを有している。
この前輪用ブレーキキャリパー73c内の左端部には、左前輪用ブレーキディスク73aをその両側から締め付けることにより、左前輪65に油圧制動力を発生させる左前輪用ブレーキパッド73dと、この左前輪用ブレーキパッド73dの車両右方に配置され、ブレーキペダル操作時に左前輪用ブレーキパッド73d側に向かって進むことにより、左前輪用ブレーキパッド73dを左前輪用ブレーキディスク73aに押し付ける左前輪用ブレーキピストン73eとが組み込まれている。一方、前輪用ブレーキキャリパー73c内の右端部には、右前輪用ブレーキディスク73bをその両側から締め付けることにより、右前輪65に油圧制動力を発生させる右前輪用ブレーキパッド73fと、この右前輪用ブレーキパッド73fの車両左方に配置され、ブレーキペダル操作時に右前輪用ブレーキパッド73f側に向かって進むことにより、右前輪用ブレーキパッド73fを右前輪用ブレーキディスク73bに押し付ける右前輪用ブレーキピストン73gとが組み込まれている。以上のように、前輪用ブレーキキャリパー73cは左前輪用ブレーキキャリパーと右前輪用ブレーキキャリパーを兼ねているため、これらのブレーキキャリパーを別々に設ける場合と比較して、前輪用ブレーキキャリパー73c全体の車幅方向長さを短縮することができる。
また、前輪用ブレーキキャリパー73c内の車幅方向中央部には、前輪用パーキングブレーキカム73hと、この前輪用パーキングブレーキカム73hの車両左方に配置され、左前輪用ブレーキピストン73eに連結された左前輪用プッシュロッド73iと、前輪用パーキングブレーキカム73hの車両右方に配置され、右前輪用ブレーキピストン73gに連結された左前輪用プッシュロッド73jとが組み込まれている。前輪用パーキングブレーキカム73hには前輪用パーキングブレーキカムレバー73kが一体的に支持されており、この前輪用パーキングブレーキカムレバー73kには1本の前輪用パーキングブレーキケーブル73lの一端部が留められている。この前輪用パーキングブレーキケーブル73lは、前輪用ブレーキキャリパー73cの車幅方向中央部から車両後方に延びている。このように、前輪用パーキングブレーキケーブル73lを1本にしているので、パーキングブレーキ機構の構造を簡略化することができる。
そして、前輪用パーキングブレーキカム73hは、パーキングブレーキ操作時に前輪用パーキングブレーキケーブル73lが引っ張られると、前輪用パーキングブレーキカムレバー73kが回動するのに伴って回動し、この回動によって左前輪用プッシュロッド73iが左前輪用ブレーキパッド73d側に向かって進み、この前進によって左前輪用ブレーキピストン73eが左前輪用ブレーキパッド73dを左前輪用ブレーキディスク73aに押し付けて、左前輪65に制動力が発生する。また、前輪用パーキングブレーキカム73hが上述の如く回動すると、この回動によって右前輪用プッシュロッド73jが右前輪用ブレーキパッド73f側に向かって進み、この前進によって右前輪用ブレーキピストン73gが右前輪用ブレーキパッド73fを右前輪用ブレーキディスク73bに押し付けて、右前輪65に制動力が発生する。
上記前輪用モータ63のモータケース63aと上記前輪用減速装置67のギヤケース67aとは、一体的に結合されている。また、前輪用減速装置67のギヤケース67aと上記差動歯車装置69のギヤケース69cとは、一体的に結合されている。さらに、上記前輪用ブレーキキャリパー73cは、差動歯車装置69の出力軸69a,69bと同軸に回転可能に支持されている。以上のように、前輪用モータ63と減速装置67と差動歯車装置69とは一体化されて、前輪用ブレーキキャリパー73cが差動歯車装置69の出力軸69a,69b周りに回転可能に支持された前側一体化ユニット75を構成している。この前側一体化ユニット75は、前輪用モータ63のモータケース63aの、上部前方の車幅方向両側にそれぞれ設けられた2つのマウント47,47を介してボディクロスメンバ15の下面に、差動歯車装置69のギヤケース69cの下部後方に設けられた1つのマウント47を介してフロントサスペンションクロスメンバの上面に弾性支持されている。このように、前側一体化ユニット75は車体に弾性支持されているため、前輪用モータ63の振動が車体に伝達することを抑制することができる。また、前側一体化ユニット75は、前輪用モータ63の上部前方に設けられたマウント47,47を介して車体に、差動歯車装置69の下部後方に設けられたマウント47を介して車体に支持されているため、前後のマウント47間の距離を長くすることができる。
フロントサスペンション77(前輪65,65側のサスペンション)には、ダンパーを内蔵し、スプリング77aを取り付けたストラット77bを縦に置き、その上端部を車体に取り付け、下端部をロアアーム77cで支持する構造のストラット式のものが採用されている。
左右のフロントサスペンション77,77におけるロアアーム77cの車体側への取り付け端部(車幅方向内側端部)から、レバー78が車幅方向内側に延長されている。このレバー78の先端部(車幅方向内側端部)には、トルクロッド79,81の一端側が回転可能に取り付けられており、その他端側は、前輪用ブレーキキャリパー73cに回転可能に取り付けられている。具体的には、左側トルクロッド79(第1トルクロッド)は、一端側が荷重を左前輪65側の左側フロントサスペンション77のスプリング77aに伝達する左側レバー78に、他端側が前輪用ブレーキキャリパー73cの左端部に取り付けられている。一方、右側トルクロッド81(第2トルクロッド)は、一端側が荷重を右前輪65側の右側フロントサスペンション77のスプリング77aに伝達する右側レバー78に、他端側が前輪用ブレーキキャリパー73cの右端部に取り付けられている。
そして、前輪用ブレーキキャリパー73cに取り付けられた前輪側トルクロッド79,81は、フロントサスペンション77のロアアーム77cに作用するので、車両1制動時に前輪65,65が沈むことが抑制される。つまり、図11に示すように、車両1制動時には、地面と前輪65との間に発生する制動力F1により、車両1の重心CG(重心高H)周りにピッチングモーメント(F1×H)が発生し、このモーメントにより、前後輪31,65の上下荷重移動W1が発生し、この結果、前後輪31,65の姿勢変化(ピッチング)が起きる。このとき、前輪用ブレーキキャリパー73cに発生する制動反力B1をトルクロッド79,81からレバー78を経由して、前輪65,65の上下荷重移動を抑制するようフロントサスペンション77のスプリング77aに作用させることにより、車両1制動時のピッチングを抑制することができる。
次に、モータを車両1後部に搭載していない電気自動車1後部のモータレス構造について図12及び図13を用いて説明する。図12は、電気自動車1の後部構造を示す側面図、図13は、電気自動車1の後部構造を示す平面図である。尚、これらの図では、図を見易くするため、部材の図示を省略したり、その図示を簡略化したりしている。
リアフロアパネル13cの車幅方向中央部の下方には、パーキング機構を内蔵していない後輪用ディスクブレーキ43が設けられている。この後輪用ディスクブレーキ43は、後輪31,31外に配置されたインボードブレーキであり、ブレーキケース43lと、このブレーキケース43lの左端部に軸支され、左後輪用ブレーキ軸43mにジョイント41を介して連結された左後輪用ブレーキディスク43aと、ブレーキケース43lの右端部に軸支され、右後輪用ブレーキ軸43mにジョイント41を介して連結された右後輪用ブレーキディスク43bと、ブレーキケース43lの上方にこれに跨るように配置された後輪用ブレーキキャリパー43cとを有している。この後輪用ブレーキキャリパー43cは、ブレーキ軸43mと同軸に回転可能に支持され、ブレーキケース43lに対し回転可能に配置されている。左後輪用ブレーキ軸43m及び右後輪用ブレーキ軸43mは、左右の後輪31,31にそれぞれ連結されている。
後輪用ブレーキキャリパー43c内の左端部には、図示省略するが、左後輪用ブレーキパッドと、この左後輪用ブレーキパッドの車両右方に配置された左後輪用ブレーキピストンとが組み込まれている。一方、後輪用ブレーキキャリパー内の右端部には、図示省略するが、右後輪用ブレーキパッドと、この右後輪用ブレーキパッドの車両左方に配置された右後輪用ブレーキピストンとが組み込まれている。
後輪用ディスクブレーキ43は、ブレーキケース43lの前部から車両前方に延びるように設けられた板状の取付部材83及びマウント47を介してNo.4クロスメンバ23の下面に、ブレーキケース43lの後部から車両後方に延びるように設けられた板状の取付部材83及びマウント47を介してNo.5クロスメンバ25の下面に弾性支持されている。
リアサスペンション49には、左右のトレーリングアーム49h,49hをクロスビーム49iと呼ばれる梁で繋いだ形式のトーションビーム式のものが採用されている。
ブレーキ軸43mの車両後方で且つブレーキディスク43a,43bの下方には、両トレーリングアーム49h,49hを連結する連結リンク57が車幅方向に延びるように配置されている。この連結リンク57の車幅方向中央部には、トルクロッド53,55の一端側が回転可能に取り付けられており、その他端側は、後輪用ブレーキキャリパー43cに回転可能に取り付けられている。具体的には、左側トルクロッド53は、一端側が荷重をリアサスペンション49の左側スプリングに伝達する連結リンク57に、他端側が後輪用ブレーキキャリパー43cの左端部に取り付けられている。一方、右側トルクロッド55は、一端側が荷重をリアサスペンション49の右側スプリングに伝達する連結リンク57に、他端側が後輪用ブレーキキャリパー43cの右端部に取り付けられている。これにより、車両1制動時に後輪31,31が浮くことが抑制される。つまり、後輪用ブレーキキャリパー43cに発生した制動反力B2は、トルクロッド53,55から連結リンク57を経由して、リアサスペンション49に後輪31の上下荷重移動W2を減少するように作用するので、後輪31の浮きを抑制し、ピッチング(ダイブ)を抑制することができる。
尚、バッテリ3は、フロアトンネル13a内やリアフロアパネル13c前部の下方に配置されている。
その他の構成は実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、前輪用ディスクブレーキ73を前輪65,65外、すなわち車体側に配置しているので、ばね下重量を減らすことができ、乗り心地を向上させることができる。
また、前輪用モータ63と減速装置67と差動歯車装置69とを一体化して、前輪用ブレーキキャリパー73cを差動歯車装置69の出力軸69a,69b周りに回転可能に支持した前側一体化ユニット75としているので、これらの車両1への組み付け性を向上させることができる。
さらに、一端側がフロントサスペンション77のロアアーム77cから延長されたレバー78に、他端側が前輪用ブレーキキャリパー73cに取り付けられたトルクロッド79,81を設けているので、このトルクロッド79,81により、車両1制動時のピッチングを抑制することができる。
つまり、車両1制動時に前輪用ブレーキキャリパー73cに発生する制動反力B1がトルクロッド79,81からレバー78を経由して、フロントサスペンション77のスプリング77aに荷重変化W1を減少するように作用するので、車両1制動時に前輪65,65が沈むことが抑制される。すなわち、車両1制動時のピッチングを抑制することができる。
さらにまた、前輪用ブレーキキャリパー73cの車幅方向中央部から、左右の前輪輪65,65用の前輪用パーキングブレーキケーブル73lが1本だけ延びているので、左前輪65用のパーキングブレーキケーブルと右前輪65用のパーキングブレーキケーブルとを1本ずつ配索する場合と比較して、その配索性を向上させることができる。
また、前輪用モータ63を、その出力軸が車両前後方向に向くように配置しているので、モータを、その回転軸が車幅方向に向くように配置する場合と比較して、モータ63の車幅方向長さを短くすることができる。このため、フロントサスペンション77のロアアーム77cの長さを長くすることができ、サスペンションジオメトリーが変化することを抑制することができる。
尚、本実施形態では、フロントサスペンション77にストラット式のものを採用しているが、ロアアームを有する限り、これに限定されず、例えば、ダブルウイッシュボーン式のものを採用してもよい。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、制動装置にディスクブレーキを採用しているが、駆動輪外に配置する限り、これに限定されず、例えばドラムブレーキを採用してもよい。
また、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記各実施形態の構成要素を任意に組み合わせてもよい。例えば、実施形態1の、モータを2つ搭載した構造を電気自動車1前部の構造に採用したり、実施形態2の、モータを1つ搭載した構造を電気自動車1後部に採用したりしてもよい。また、実施形態1の電気自動車1後部のモータ搭載構造と実施形態2の電気自動車1前部のモータ搭載構造を組み合わせることにより、電気自動車1を四輪駆動方式のものにしてもよい。この場合、パーキングブレーキ機構は、前輪用ディスクブレーキ73及び後輪用ディスクブレーキ43のいずれか一方に内蔵すればよい。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。