JP5535352B1 - エレベータ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術においては、例えば、停電時の運転の点でさらなる改善の余地がある。
【解決手段】実施形態のエレベータは、昇降路を昇降可能なカゴと、制御装置とを備える。前記制御装置は、動力用電源からの電力によって前記カゴを昇降する通常運転と、前記動力用電源の停電時に蓄電装置からの電力によって前記カゴを昇降する停電時運転とを切り替えて実行可能である。前記制御装置は、前記停電時運転を行っている状態で、前記動力用電源が停電から復旧した際に、前記カゴに呼びが登録されている場合、当該カゴが当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が予め設定された通常運転復帰判定距離より長い場合には前記停電時運転を継続する。前記制御装置は、前記予想昇降距離が前記通常運転復帰判定距離以下である場合には前記停電時運転から前記通常運転に復帰する。
【選択図】図1
【解決手段】実施形態のエレベータは、昇降路を昇降可能なカゴと、制御装置とを備える。前記制御装置は、動力用電源からの電力によって前記カゴを昇降する通常運転と、前記動力用電源の停電時に蓄電装置からの電力によって前記カゴを昇降する停電時運転とを切り替えて実行可能である。前記制御装置は、前記停電時運転を行っている状態で、前記動力用電源が停電から復旧した際に、前記カゴに呼びが登録されている場合、当該カゴが当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が予め設定された通常運転復帰判定距離より長い場合には前記停電時運転を継続する。前記制御装置は、前記予想昇降距離が前記通常運転復帰判定距離以下である場合には前記停電時運転から前記通常運転に復帰する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、エレベータに関する。
従来、エレベータは、昇降路内を乗りかごが移動することにより、乗りかご(カゴ)を任意の階床に移動させる。このようなエレベータは、停電時にバッテリの電力を用いて、乗りかごを運転する制御を実行する場合がある。
ところで、従来技術においては、例えば、停電時の運転の点でさらなる改善の余地がある。
実施形態のエレベータは、昇降路を昇降可能なカゴと、制御装置とを備える。前記制御装置は、動力用電源からの電力によって前記カゴを昇降する通常運転と、前記動力用電源の停電時に蓄電装置からの電力によって前記カゴを昇降する停電時運転とを切り替えて実行可能である。前記制御装置は、前記停電時運転を行っている状態で、前記動力用電源が停電から復旧した際に、前記カゴに呼びが登録されている場合、当該カゴが当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が予め設定された通常運転復帰判定距離より長い場合には前記停電時運転を継続する。前記制御装置は、前記予想昇降距離が前記通常運転復帰判定距離以下である場合には前記停電時運転から前記通常運転に復帰する。
[実施形態]
図1は、実施形態に係るエレベータの概略構成例を示すブロック図である。図2は、実施形態に係るエレベータにおける制御の一例を説明するフローチャートである。図3は、変形例に係るエレベータにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
図1は、実施形態に係るエレベータの概略構成例を示すブロック図である。図2は、実施形態に係るエレベータにおける制御の一例を説明するフローチャートである。図3は、変形例に係るエレベータにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態のエレベータ1は、図1に示すように、典型的には、停電状態においても蓄電装置としてのバッテリ12を用いて、停電時運転としての停電時継続運転を行うことができるエレベータ電源バックアップシステムでもある。エレベータ1は、動力用電源50からの電力とバッテリ12からの電力とによって運転可能である。
エレベータ1は、カゴ2、カウンタウェイト3、メインロープ4、巻上機5、制御装置10等を含んで構成される。エレベータ1は、カゴ2とカウンタウェイト3とをメインロープ4で連結したいわゆるつるべ式のエレベータである。エレベータ1は、乗場6が設けられる。
カゴ2は、建物に設けられた昇降路7を昇降可能である。カゴ2は、カゴ呼び登録装置8、荷重検出器2a等を含んで構成される。カゴ呼び登録装置8は、カゴ2の内部に設けられる。カゴ呼び登録装置8は、利用者による操作入力に応じていわゆるカゴ呼び登録等を行う。荷重検出器2aは、カゴ2内の積載荷重を検出する。
カウンタウェイト3は、カゴ2に対するつり合おもりである。
メインロープ4は、昇降路7の上部(あるいは機械室等)に設けられた巻上機5のメインシーブ5aやそらせシーブ5b等に掛けられる。メインロープ4は、一端にカゴ2が接続され、他端にカウンタウェイト3が接続される。
巻上機5は、例えば、動力を発生させる電動機(モータ)5cを有する。電動機5cは、動力用電源50、バッテリ12から制御装置10等を介して電力が供給される。巻上機5は、電動機5cが駆動することで、この電動機5cに連結されたメインシーブ5aが回転駆動する。そして、巻上機5は、メインシーブ5aとメインロープ4との間に生じる摩擦力を利用してメインロープ4を電動で巻き上げる。また、電動機5cは、回生発電も可能である。つまり、この電動機5cは、いわゆる回転電機であり、供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能(力行機能)と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。
乗場6は、カゴ2が着床可能な各エレベータ停止階床に設けられる。各乗場6は、乗場呼び登録装置9等を含んで構成される。乗場呼び登録装置9は、利用者による操作入力に応じていわゆる乗場呼び登録等を行う。
本実施形態の制御装置10は、運転制御装置11、蓄電装置としてのバッテリ12、電源制御装置13等を含んで構成される。
運転制御装置11は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、対応するエレベータ1の仕様等の情報を記憶する。運転制御装置11は、種々のセンサ、検出器、荷重検出器2a、カゴ呼び登録装置8、乗場呼び登録装置9、電源制御装置13等のエレベータ1の各部と電気的に接続される。運転制御装置11は、エレベータ1の各部の動作を統括的に制御する。運転制御装置11は、例えば、カゴ呼び登録装置8、乗場呼び登録装置9等への利用者からの操作入力に応じて、巻上機5の駆動を制御し、カゴ2を昇降路7内で昇降させる。これにより、エレベータ1は、カゴ2を呼び登録に応じて指定された目的階に移動させることができる。
ここで、本実施形態の複数のエレベータ1は、上述したように、動力用電源50から電力が供給されると共に、さらに、バッテリ12が設けられる。動力用電源50は、主にエレベータ1の通常運転時に利用される主電源である。動力用電源50は、典型的にはいわゆる商用電源(三相交流電源)等が用いられるが、例えば、自家発電機器等を用いてもよい。
一方、バッテリ12は、主にエレベータ1の停電時、すなわち、動力用電源50からの電力供給が停止した停電時に利用される非常用の補助電源であるが、エレベータ1の通常運転時に動力用電源50からの電力をアシストする目的で利用することもできる。バッテリ12は、典型的にはいわゆる蓄電池(二次電池)等が用いられる。バッテリ12は、それぞれ電流計12a、電圧計12bが設けられている。各電流計12a、各電圧計12bは、電源制御装置13等を介して運転制御装置11にそれぞれ検出値を送信することができる。
電源制御装置13は、バッテリ12の充放電を制御するものである。電源制御装置13は、運転制御装置11、バッテリ12が接続されると共に、動力用電源50も接続される。電源制御装置13は、例えば、動力用電源50から供給される交流を整流して直流に変換するコンバータ装置、コンバータ装置で変換された直流を整流する平滑コンデンサ、平滑コンデンサで平滑された直流を巻上機5の電動機5c等で使用可能な交流に変換するインバータ装置等を含む電気回路を有している。
また、電源制御装置13は、動力用電源50からの電力の供給状態に応じてエレベータ1を運転させる電力を適宜切り替えると共に、バッテリ12の充放電制御を行うことが可能になっている。電源制御装置13は、動力用電源50とバッテリ12との少なくともいずれか一方から供給される電力を、エレベータ1を駆動させる電力として使用し、運転制御装置11は、この電力を用いて各部を作動させ、エレベータ1を運転させる。電源制御装置13は、例えば、動力用電源50が健全である通常運転時には、カゴ2の移動に使用する電力として、動力用電源50から供給される電力を主に使用し、動力用電源50の停電時は、カゴ2の移動に使用する電力として、バッテリ12から供給される電力を使用する。なお、電源制御装置13は、通常運転時に動力用電源50からの電力をアシストする目的で、バッテリ12から供給される電力を使用してもよい。また、電源制御装置13は、エレベータ1の通常運転時に動力用電源50から供給される電力の一部、あるいは、通常運転時、停電時のエレベータ1の回生運転時に電動機5cによって回生発電された回生電力を利用してバッテリ12を充電することができる。
上記のように構成されるエレベータ1は、通常運転として、利用者によりカゴ呼び登録装置8、乗場呼び登録装置9等を介してカゴ2の呼び操作が行われた場合、下記のように動作する。すなわち、エレベータ1は、カゴ呼び登録装置8、乗場呼び登録装置9等から運転制御装置11にこれに応じたカゴ呼び登録信号、乗場呼び登録信号が入力される。そして、エレベータ1は、運転制御装置11がこのカゴ呼び登録信号、乗場呼び登録信号に応じてカゴ2のカゴ呼び登録、あるいは、乗場呼び登録を行う。そして、運転制御装置11は、カゴ呼び登録、乗場呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、カゴ2の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、カゴ2が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するようにカゴ2の着床順序を定める。そして、運転制御装置11は、巻上機5を駆動制御し、カゴ2を目的の階床へと移動させる。これにより、エレベータ1は、カゴ2が昇降路7内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗場6に移動する。そして、エレベータ1は、カゴ2が目的階の乗場6に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、運転制御装置11がカゴ2及び乗場6の扉14を開放する。これにより、乗場6で待機している利用者は、カゴ2内に乗り込むことが可能となり、また、カゴ2内の利用者は乗場6に降りることが可能となる。
そして、本実施形態の制御装置10の運転制御装置11は、動力用電源50の停電状態においても、バッテリ12によって停電時継続運転を行うことができる。つまり、本実施形態の制御装置10は、上記で説明した通常運転と、後述の停電時継続運転(停電時運転)とを切り替えて実行可能である。
通常運転とは、動力用電源50の健全時の運転であり、動力用電源50からの電力によってカゴ2を昇降させる運転である。なお、制御装置10は、上述のように当該通常運転では、さらにバッテリ12の電力をアシスト電量として用いてもよい。
一方、停電時継続運転とは、通常運転とは異なる運転であり、動力用電源50の停電時の運転である。停電時継続運転とは、動力用電源50の停電時にバッテリ12からの電力によってカゴ2を昇降させる運転である。さらに言えば、停電時継続運転とは、動力用電源50の停電時にバッテリ12からの電力によってカゴ2の昇降を継続する運転である。停電時継続運転は、例えば、通常運転に対して種々の制限を設けて、当該通常運転の場合と比較して、電力使用量を抑制してカゴ2を昇降させる運転としてもよい。運転制御装置11は、例えば、停電時継続運転では、通常運転の場合と比較して、カゴ2の昇降速度を相対的に低くすることで、電動機5cの負荷を抑制し、通常運転の場合と比較して電力使用量を抑制する。また、運転制御装置11は、例えば、停電時継続運転では、カゴ2内に設けられるカゴ案内装置、乗場6に設けられる乗場案内装置等を制御して停電時継続運転に関する案内(例えば、待ち時間やサービス可能な残り時間、階段利用を促す案内等)を行うようにしてもよい。これにより、エレベータ1は、当該エレベータ1が停電時継続運転中であることを利用者に周知させることができる。
典型的には、運転制御装置11は、動力用電源50の健全時には通常運転を行う。そして、運転制御装置11は、動力用電源50が停電した場合、電源制御装置13の制御により電源系統が切り替えられて、通常運転から停電時継続運転に切り替える。また、運転制御装置11は、動力用電源50の停電が復旧した場合、電源制御装置13の制御により電源系統が切り替えられて、停電時継続運転から通常運転に復帰する。
ところで、本実施形態のエレベータ1は、上述のように動力用電源50の停電が復旧(復電)した際に、カゴ2の次の停止階への着床後、ただちに電源系統を切り替えて停電時継続運転から通常運転に復帰すると、例えば、電力事情が不安定な環境などで断続的な停電が発生する場合等に、種々の問題が発生するおそれがある。この場合、エレベータ1は、例えば、停電が断続的に発生すると、通常運転と停電時継続運転とを短期間に交互に繰り返す状態となるため、例えば、強制的な減速が多発するおそれがある。これにより、エレベータ1は、乗客に不快感を与えると共に用品の寿命にも影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本実施形態のエレベータ1は、動力用電源50が停電し停電時継続運転を行っている状態で、当該動力用電源50が停電から復旧した際に、カゴ2の所定階への着床後に、停電時継続運転から通常運転へ復帰させる場合に、特定の条件下では通常運転には復帰させずに、停電時継続運転を維持する。
具体的には、制御装置10の運転制御装置11は、動力用電源50が停電し停電時継続運転を行っている状態で、当該動力用電源50が停電から復旧した際に、例えば、カゴ2の所定階への着床後(例えば、直近の目的階、次の停止階等)に、カゴ2内の乗客の有無、移動距離、バッテリ12の残存蓄電量、着床後の運転方向等を確認する。
そして、運転制御装置11は、カゴ2の着床後にカゴ2に呼びが登録されていない場合、すなわち、カゴ2が所定階に着床した後に応答すべき呼びが登録されていない場合には、ただちに、電源制御装置13の制御により電源系統を切り替えて、停電時継続運転から通常運転に復帰し、カゴ2を待機させる。エレベータ1は、カゴ2の着床後に当該カゴ2に呼びが登録されておらず、カゴ2内に乗客がいないと推定できる状態では、上記のような強制的な減速が生じたりや乗客に不快感を与えたりすることはないので、すみやかに停電時継続運転から通常運転に復帰させても問題ない。
一方、運転制御装置11は、カゴ2の着床後にカゴ2に呼びが登録されている場合、すなわち、カゴ2が所定階に着床した後に応答すべき呼びが登録されている場合には、カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際に予想される昇降距離に基づいて、停電時継続運転から通常運転への復帰の可否を判定する。カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際に予想される昇降距離とは、カゴ2が当該登録されている呼びに応じた目的階に移動する際に予想される昇降行程に相当する。以下、カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際に予想される昇降距離を「予想昇降距離」という場合がある。
運転制御装置11は、動力用電源50が停電から復旧した際に、カゴ2の現在位置、当該カゴ2に登録されている呼びに応じた目的階の位置、各階床間の距離等に基づいて、カゴ2の着床後に、当該カゴ2に現在登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離を算出する。
そして、運転制御装置11は、カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が予め設定された通常運転復帰判定距離より長い場合には停電時継続運転を継続する。一方、運転制御装置11は、当該予想昇降距離が通常運転復帰判定距離以下である場合には、電源制御装置13の制御により電源系統を切り替えて、停電時継続運転から通常運転に復帰する。ここで、上記通常運転復帰判定距離は、例えば、当該エレベータ1が設置されている建物周辺の電力事情等に基づいて予め実験等に応じて任意に設定した値を用いればよい。
次に、図2のフローチャートを参照して制御装置10による制御の一例を説明する。ここでは、動力用電源50が停電しており、停電時継続運転が行われている状態から通常運転に復帰する際の制御を説明する。
まず、制御装置10の電源制御装置13は、動力用電源50の作動状態に基づいて、動力用電源50の停電が復旧したか否かを判定する(ステップST1)。制御装置10は、電源制御装置13により動力用電源50の停電が復旧していないと判定された場合(ステップST1:No)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
制御装置10の運転制御装置11は、電源制御装置13により動力用電源50の停電が復旧したと判定された場合(ステップST1:Yes)、カゴ2を次の停止階に着床させる(ステップST2)。
次に、運転制御装置11は、カゴ2にカゴ呼び残っているか否か、すなわち、カゴ2に呼びが登録されているか否かを判定する(ステップST3)。
運転制御装置11は、カゴ2にカゴ呼び残っている、すなわち、カゴ2に呼びが登録されていると判定した場合(ステップST3:Yes)、次のカゴ呼びに応答した場合の予想昇降距離を算出し、当該予想昇降距離が通常運転復帰判定距離よりも長いか否かを判定する(ステップST4)。
運転制御装置11は、予想昇降距離が通常運転復帰判定距離よりも長いと判定した場合(ステップST4:Yes)、通常運転には復帰せず、停電時継続運転を維持して(ステップST5)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
運転制御装置11は、ステップST3にて、カゴ2にカゴ呼び残っていない、すなわち、カゴ2に呼びが登録されていないと判定した場合(ステップST3:No)、電源制御装置13の制御により電源系統を切り替えて、停電時継続運転から通常運転に復帰し(ステップST6)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
運転制御装置11は、ステップST4にて、予想昇降距離が通常運転復帰判定距離以下であると判定した場合(ステップST4:No)、電源制御装置13の制御により電源系統を切り替えて、停電時継続運転から通常運転に復帰し(ステップST6)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
上記のように構成されるエレベータ1は、動力用電源50の停電時にバッテリ12の電力を使って停電時継続運転を行うことで、カゴ2の昇降を継続することができる。このとき、エレベータ1は、停電時継続運転では、通常運転の場合と比較して、電力使用量を抑制してカゴ2を昇降させることができるので、停電時継続運転をより長い時間、継続することができる。この結果、エレベータ1は、より長い時間、停電時継続運転によってカゴ2を昇降させることができるので、例えば、動力用電源50の停電時であっても、建物内のより多くの人がエレベータ1を利用することができる。
そして、エレベータ1は、停電時継続運転の状態で動力用電源50が停電から復旧した場合、次の停止階までは停電時継続運転を継続する。そして、エレベータ1は、カゴ2が次の停止階に着床した後、カゴ2に呼びが登録されている場合、カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が通常運転復帰判定距離より長い場合には停電時継続運転を継続する。これにより、エレベータ1は、昇降距離が相対的に長いがために、カゴ2に登録されている呼びに応じた目的階までの走行中に再度停電する可能性が比較的に高いものと推定できる場合に、停電時継続運転を維持することができる。この結果、エレベータ1は、例えば、電力事情が不安定な環境などで断続的に停電が発生するような場合等に、通常運転と停電時継続運転とを短期間に交互に繰り返す状態となることを抑制することができる。したがって、エレベータ1は、断続的な停電にともなって通常運転と停電時継続運転との切り替えが頻発することを抑制することができるので、強制的な減速が多発することを抑制することができ、例えば、乗客に不快感を与えることを抑制し、用品の寿命の低下を抑制することができる。
一方、エレベータ1は、停電時継続運転の状態で動力用電源50が停電から復旧した際に、カゴ2が次の停止階に着床した後、カゴ2に呼びが登録されている場合、カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が通常運転復帰判定距離以下である場合には停電時継続運転から通常運転に復帰する。これにより、エレベータ1は、カゴ2に登録されている呼びに応じた目的階までの走行中に再度停電する可能性が比較的に低いものと推定できる場合に停電時継続運転から通常運転に復帰することができる。
また、エレベータ1は、停電時継続運転の状態で動力用電源50が停電から復旧した際に、カゴ2が次の停止階に着床した後、カゴ2に呼びが登録されていない場合、ただちに、停電時継続運転から通常運転に復帰し、カゴ2を待機させる。この場合、エレベータ1は、可能な場合には、動力用電源50の復旧後にすみやかに、電源系統をバッテリ12から動力用電源50に切り替えることができるので、バッテリ12の電力消費を抑制することができる。
以上で説明したエレベータ1は、昇降路7を昇降可能なカゴ2と、制御装置10とを備える。制御装置10は、動力用電源50からの電力によってカゴ2を昇降する通常運転と、動力用電源50の停電時にバッテリ12からの電力によってカゴ2を昇降する停電時継続運転とを切り替えて実行可能である。制御装置10は、停電時継続運転を行っている状態で、動力用電源50が停電から復旧した際に、カゴ2に呼びが登録されている場合、当該カゴ2が当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が予め設定された通常運転復帰判定距離より長い場合には停電時継続運転を継続する。制御装置10は、上記予想昇降距離が通常運転復帰判定距離以下である場合には停電時継続運転から通常運転に復帰する。したがって、エレベータ1は、動力用電源50の停電時であっても、バッテリ12からの電力を用いた停電時継続運転によって運転を継続することができると共に、例えば、動力用電源50の断続的な停電にともなって通常運転と停電時継続運転との切り替えが頻発することを抑制することができるので、停電時の運転を適正に行うことができる。
なお、上述した実施形態に係るエレベータは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明した運転制御装置11は、例えば、エレベータ1の状態や動力用電源50の状態等に応じて通常運転復帰判定距離を可変としてもよい。この場合、運転制御装置11は、例えば、図3の変形例に示すように、ステップST3にて、カゴ2にカゴ呼びが残っていると判定した後(ステップST3:Yes)、ステップST4の処理の前に、エレベータ1の状態や動力用電源50の状態等に応じて通常運転復帰判定距離を設定する処理を行うようにするとよい(ステップST4a)。
例えば、運転制御装置11は、動力用電源50の安定度、言い換えれば、断続的な停電状態の発生のし難さに応じて通常運転復帰判定距離を可変とする。この場合、運転制御装置11は、例えば、停電時継続運転の終了から当該停電時継続運転の再開までの期間、又は、動力用電源50の停電からの復旧から当該動力用電源50の再停電までの期間を記憶、学習しておき、当該期間に基づいて動力用電源50の安定度を推定するようにしてもよい。この場合、運転制御装置11は、例えば、停電時継続運転の終了から当該停電時継続運転の再開までの期間、動力用電源50の停電からの復旧から再停電までの期間が相対的に短い場合には動力用電源50の安定度が相対的に低く、動力用電源50による電力供給状態が安定していないと推定する。一方、運転制御装置11は、例えば、停電時継続運転の終了から当該停電時継続運転の再開までの期間、動力用電源50の停電からの復旧から再停電までの期間が相対的に長い場合には動力用電源50の安定度が相対的に高く、動力用電源50による電力供給状態が安定していると推定する。
そして、運転制御装置11は、推定した動力用電源50の安定度を、通常運転復帰判定距離の設定に反映させる。ここでは、運転制御装置11は、動力用電源50の安定度が相対的に高い場合に、通常運転復帰判定距離を相対的に長くし、動力用電源50の安定度が相対的に低い場合に、通常運転復帰判定距離を相対的に短くする。
これにより、エレベータ1は、動力用電源50の安定度が相対的に高く、動力用電源50による電力供給状態が比較的に安定していると推定できる場合には、通常運転復帰判定距離を長くし、停電時継続運転から通常運転に復帰させ易くすることができる。一方、エレベータ1は、動力用電源50の安定度が相対的に低く、動力用電源50による電力供給状態が比較的に安定していないと推定できる場合には、通常運転復帰判定距離を短くし、停電時継続運転から通常運転に復帰させ難くすることができる。したがって、エレベータ1は、サービス性が低下する時間を極力短縮することができる。
また、運転制御装置11は、例えば、バッテリ12の残存蓄電量に応じて通常運転復帰判定距離を可変としてもよい。この場合、運転制御装置11は、例えば、バッテリ12の電流計12a、電圧計12bから電源制御装置13等を介して検出結果を定期的に受信し、当該検出結果に基づいて、バッテリ12の電流値、電圧値を監視し、バッテリ12の残存蓄電量を監視する。
そして、運転制御装置11は、バッテリ12の残存蓄電量を、通常運転復帰判定距離の設定に反映させる。ここでは、運転制御装置11は、バッテリ12の残存蓄電量が相対的に少ない場合に、通常運転復帰判定距離を相対的に長くし、バッテリ12の残存蓄電量が相対的に多い場合に、通常運転復帰判定距離を相対的に短くする。
これにより、エレベータ1は、バッテリ12の残存蓄電量が少なく、当該バッテリ12の電力により停電時継続運転を継続できる時間が相対的に短い場合には、通常運転復帰判定距離を長くし、停電時継続運転から通常運転に復帰させ易くすることができる。一方、エレベータ1は、バッテリ12の残存蓄電量が多く、当該バッテリ12の電力により停電時継続運転を継続できる時間が相対的に長い場合には、通常運転復帰判定距離を短くし、停電時継続運転から通常運転に復帰させ難くすることができる。したがって、エレベータ1は、バッテリ12の残存蓄電量が少ない場合には、相対的に早期に通常運転に復帰することができるので、バッテリ12の残存蓄電量が少ない状況下では、当該バッテリ12の電力消費を抑制することができ、適正に停電時継続運転から通常運転に復帰することができる。
なお、運転制御装置11は、上記に限らず、動力用電源50の安定度とバッテリ12の残存蓄電量との両方に応じて通常運転復帰判定距離を可変としてもよいし、さらに他のパラメータ、例えば、カゴ2内の乗客の有無、着床後の運転方向等を、通常運転復帰判定距離の設定に反映させてもよい。
以上で説明した実施形態、変形例に係るエレベータによれば、停電時の運転を適正に行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 エレベータ
2 カゴ
3 カウンタウェイト
4 メインロープ
5 巻上機
6 乗場
7 昇降路
8 カゴ呼び登録装置
9 乗場呼び登録装置
10 制御装置
11 運転制御装置
12 バッテリ(蓄電装置)
13 電源制御装置
14 扉
50 動力用電源
2 カゴ
3 カウンタウェイト
4 メインロープ
5 巻上機
6 乗場
7 昇降路
8 カゴ呼び登録装置
9 乗場呼び登録装置
10 制御装置
11 運転制御装置
12 バッテリ(蓄電装置)
13 電源制御装置
14 扉
50 動力用電源
Claims (4)
- 昇降路を昇降可能なカゴと、
動力用電源からの電力によって前記カゴを昇降する通常運転と、前記動力用電源の停電時に蓄電装置からの電力によって前記カゴを昇降する停電時運転とを切り替えて実行可能である制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記停電時運転を行っている状態で、前記動力用電源が停電から復旧した際に、前記カゴに呼びが登録されている場合、当該カゴが当該登録されている呼びに応答した際の予想昇降距離が予め設定された通常運転復帰判定距離より長い場合には前記停電時運転を継続し、前記予想昇降距離が前記通常運転復帰判定距離以下である場合には前記停電時運転から前記通常運転に復帰することを特徴とする、
エレベータ。 - 前記制御装置は、前記動力用電源の安定度に応じて前記通常運転復帰判定距離を可変とするものであり、
前記動力用電源の安定度が相対的に高い場合に、前記通常運転復帰判定距離を相対的に長くし、
前記動力用電源の安定度が相対的に低い場合に、前記通常運転復帰判定距離を相対的に短くする、
請求項1に記載のエレベータ。 - 前記制御装置は、前記停電時運転の終了から当該停電時運転の再開までの期間、又は、前記動力用電源の停電からの復旧から当該動力用電源の再停電までの期間に基づいて前記動力用電源の安定度を推定する、
請求項2に記載のエレベータ。 - 前記制御装置は、前記蓄電装置の残存蓄電量に応じて前記通常運転復帰判定距離を可変とするものであり、
前記蓄電装置の残存蓄電量が相対的に少ない場合に、前記通常運転復帰判定距離を相対的に長くし、
前記蓄電装置の残存蓄電量が相対的に多い場合に、前記通常運転復帰判定距離を相対的に短くする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ。
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