JP5534738B2 - 印刷用ブランケットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特にエレクトロニクス分野において、オフセット印刷法によって微細なパターンを精密印刷するのに適した印刷用ブランケットを製造するための製造方法に関するものである。
オフセット印刷法は、インキパターンを簡易に、かつ少ない工程数で効率よく多量に、しかも安価に形成できる利点を有しており、また近年に至って印刷精度の向上が図られていることから、特にエレクトロニクス分野において利用が広まりつつある。
例えば電気配線のパターンや蛍光体のパターン、あるいはプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶ディスプレイパネル(LCD)の構成部品等における各種のパターンといった、微細でかつ高精度のパターンの形成が求められる分野において、前記オフセット印刷法が普及してきている。
オフセット印刷法では、版の表面に形成したインキパターンを、ゴム等のエラストマからなるエラストマ層を備えた印刷用ブランケットの、前記エラストマ層の表面に転写させたのち、印刷対象である基板の表面に再転写させることで、前記基板の表面に所定のインキパターンが形成される。
かかるオフセット印刷法においては、前記印刷用ブランケットのエラストマ層の表面性状、厚みおよびその精度、エラストマ層を形成するエラストマの物性等が印刷結果に大きな影響を及ぼす。
特に高い印刷精度が要求される精密印刷の分野では、前記エラストマ層の厚みが0.1mm以下といった非常に薄い印刷用ブランケットが必要とされる場合がある。
エラストマ層の表面ができるだけ平坦で、しかも厚みの精度等にも優れた印刷用ブランケットを製造する製造方法としては、例えば硬化性の液状エラストマを金型に流し込んで硬化させる注型法が知られている。
しかし注型法では、特に近年の、前記PDPやLCDの画面サイズの大型化等に対応した大面積の印刷用ブランケットであるほど、金型が大掛かりになる上、金型中央部の垂れ下がり等によって厚みの精度が低下しやすいという問題がある。
また前記大面積の印刷用ブランケットであるほど、例えば硬化後のエラストマ層の物性等を考慮して、液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いる等した際に、前記液状エラストマを金型内の全体に十分に行き渡らせることが難しくなるという問題もある。
そのため注型法は、大面積の印刷用ブランケットの製造には適していない。
別の製造方法としては、所定の下地上(例えば印刷用ブランケットの支持体となるフィルム基材の表面)に、例えばドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等を用いて、エラストマ層のもとになる液状エラストマを一定の厚みに塗布したのち、硬化させてエラストマ層を形成するコーティング法が知られている。
かかるコーティング法では、注型法のような大掛かりな金型を必要としない上、例えば平面性、水平性を維持したフィルム基材上に液状エラストマを塗布して、いわゆる液体のセルフレベリング効果により、エラストマ層の表面の平坦性と厚みの均一性とを維持した状態でエラストマを硬化させることで、前記表面ができるだけ平坦で、しかも厚みの精度等にも優れたエラストマ層を有する印刷用ブランケットを製造できる。
しかし従来のコーティング法では、エラストマ層の表面を露出させた状態でエラストマを硬化させており、前記表面は硬化の開始から終了までの間、空気に曝され続けることになるため、前記空気中に含まれる水分、酸素その他の不純物によって、特に露出した最表面においてエラストマの硬化が阻害されて、エラストマ層の全体で、エラストマを均一かつ十分に硬化させることができない場合がある。
そのため製造される印刷用ブランケットのエラストマ層が、使用したエラストマに見合う所定の物性を達成できず、印刷に影響が出るといった問題を生じるおそれがある。
また、先に説明したように液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いたりすると、前記液状エラストマをフィルム基材上に塗布する際に気泡が混入するいわゆる泡かみを生じやすく、前記気泡が欠陥となって硬化後のエラストマ層中に残留したり、あるいは前記ドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等をフィルム基材上で移動させた痕跡が、前記移動方向に沿う筋状の凹凸となって硬化後のエラストマ層の表面に残留したりして印刷に影響を及ぼすといった問題もある。
特許文献1には、第1のフィルム基材上に硬化性の液状エラストマを塗布して硬化または半硬化状態の第1のエラストマ層を形成する工程と、第2のフィルム基材上に硬化性の液状エラストマを塗布して半硬化または未硬化状態の第2のエラストマ層を形成する工程と、前記第1および第2のエラストマ層同士を重ね合わせ、圧着させて一つのエラストマ層とする工程と、前記エラストマ層の硬化を完了させた後に、前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方を前記エラストマ層から剥離する工程とを含む印刷用ブランケットの製造方法が記載されている。
特開2004−66690号公報
ところが前記製造方法では、特に先に説明したようにエラストマ層の厚みが0.1mm以下といった厚みの小さい印刷用ブランケットを製造することはできなかった。
すなわち厚みの小さいエラストマ層を形成するためには、前記エラストマ層のもとになる第1および第2エラストマ層の厚みをできるだけ小さくするのが望ましいが、かかる厚みの小さい、しかも厚みがほぼ均一でかすれ等のない第1または第2のエラストマ層を、それぞれ第1および第2のフィルム基材上に形成するのは容易でない。
特に硬化後のエラストマ層の物性等を考慮して、液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いた場合には、前記第1または第2のエラストマ層を形成するのが困難である。
本発明の目的は、エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造するための新規な印刷用ブランケットの製造方法を提供することにある。
本発明は、第1のフィルム基材上に、厚み0.01mm以上、0.15mm以下の、1層のみのエラストマ層を備えた印刷ブランケットを製造するための製造方法であって、
前記第1のフィルム基材上に硬化性の液状エラストマを塗布して、前記エラストマ層の厚みの200%以上、500%以下の厚みの、硬化前のエラストマ層を形成する工程、
前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を、前記硬化後の厚みとなるように厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる工程
前記圧着を維持しながら前記エラストマ層を硬化させる工程、および
前記エラストマ層が硬化した後に、前記第2のフィルム基材を前記エラストマ層から剥離する工程
を含むことを特徴とする印刷用ブランケットの製造方法である。
本発明によれば、たとえ液状エラストマとして粘度が高いものを用いる等して塗布工程で泡かみを生じたとしても、エラストマ層を、前記第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とで挟んで圧着ローラによって厚み方向に順次圧縮することにより、前記泡かみによって発生する気泡をエラストマ層中から押し出して除去できる。
また前記塗布工程で筋状の凹凸を生じたとしても、エラストマ層を、前記第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とで挟んで圧着ローラによって厚み方向に順次圧縮することによって前記凹凸をなくして、その表裏両面を、それぞれ第1および第2フィルムの表面に対応した平坦な面とすることができる。
またエラストマ層は、第1のフィルム基材上に1層のみ形成すればよい上、その厚みを、前記圧縮による塑性変形によって液状エラストマの塗布厚みより小さくできる。
またそのため前記塗布厚みは、目的とするエラストマ層の厚みに拘らず、たとえ液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いた際にもほぼ均一でかすれ等を生じにくい厚みに設定できる。具体的には、形成するエラストマ層の厚みの200%以上、500%以下に設定できる。
しかもエラストマ層の表裏両面を、前記第1および第2のフィルム基材で被覆して空気との接触を防止した状態でエラストマを硬化できる。
そのため本発明によれば、エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが0.01mm以上、0.15mm以下と小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造することができる。
前記液状エラストマとしては、室温硬化型の液状エラストマを用いるのが好ましい。前記室温硬化型の液状エラストマは、その名のとおり室温で硬化させることが可能で、硬化させるために加熱する必要がないため、印刷用ブランケットの製造工程および製造のための設備を簡略化できる上、加熱による膨張と冷却後の収縮過程を経ないため、エラストマ層の厚みの精度をさらに向上できる。
本発明によれば、エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造するための新規な印刷用ブランケットの製造方法を提供することができる。
本発明は、第1のフィルム基材上に、厚み0.01mm以上、0.15mm以下の、1層のみのエラストマ層を備えた印刷ブランケットを製造するための製造方法であって、
前記第1のフィルム基材上に硬化性の液状エラストマを塗布して、前記エラストマ層の厚みの200%以上、500%以下の厚みの、硬化前のエラストマ層を形成する工程、
前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を、前記硬化後の厚みとなるように厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる工程
前記圧着を維持しながら前記エラストマ層を硬化させる工程、および
前記エラストマ層が硬化した後に、前記第2のフィルム基材を前記エラストマ層から剥離する工程
を含むことを特徴とする。
すなわち本発明では、まず第1のフィルム基材上に、エラストマ層のもとになる硬化性の液状エラストマを塗布してエラストマ層を形成する。
第1のフィルム基材上に液状エラストマを塗布するためには、従来同様にドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等を用いるのが好ましい。これにより、できるだけ簡単な設備で精度良く液状エラストマを塗布することができる。
塗布厚みは、液状エラストマの硬化時の体積変化や、圧着工程でエラストマ層を厚み方向に圧縮することで塑性変形させて、最終製品である印刷用ブランケットのエラストマ層の厚み(0.01mm以上、0.15mm以下)にすること等を考慮して、上記厚みの200%以上、500%以下に設定す
液状エラストマは、1回の塗布で前記塗布厚みになるように塗布してもよいし、2回以上の複数回に分けて前記塗布厚みになるように塗布しても良い。
ただし複数回に分けて塗布する場合は、硬化の進行によって液状エラストマの粘度が徐々に上昇し、塗布しにくくなって前記泡かみや筋状の凹凸等を生じやすくなる上、塗布の工程数も増加するため、できれば1回の塗布で前記塗布厚みになるように塗布するのが好ましい。
前記液状エラストマは、例えば第1のフィルム基材上に塗布後、前記第1のフィルム基材を任意の台盤上に平面性、水平性を維持した状態で静置して硬化させるのが好ましい。これにより、先に説明したようにいわゆる液体のセルフレベリング効果により、エラストマ層の表面の平滑性と厚みの均一性を向上できる。
液状エラストマとしては、液状シリコーンゴム、液状フロロシリコーンゴム等の液状シリコーン系エラストマ、または液状フッ素ゴム、液状フッ素エラストマ等の液状フッ素系エラストマが好ましい。
また、液状エラストマは室温硬化型であるのが好ましい。室温硬化型の液状エラストマは、その名のとおり加熱しなくても室温(5〜35℃程度)で硬化させることが可能であるため、印刷用ブランケットの製造工程および製造のための設備を簡略化できる上、加熱による膨張と冷却後の収縮を経ないため、エラストマ層の厚みの精度をさらに向上できる。
前記室温硬化型の液状エラストマとしては、一液型および二液型の種々の室温硬化型の液状シリコーンゴム(以下「RTV液状シリコーンゴム」と記載する場合がある)が挙げられ、特に二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴムが好ましい。
前記二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴムは、硬化反応に際して反応副生成物を生じないため、エラストマ層の厚みの精度をより一層向上できる。
また気泡のもとになる前記反応副生成物を生じないため泡かみ等をさらに確実に防止できる。
これらの利点は、エラストマ層の両面が第1および第2のフィルム基材で被覆された状態で前記エラストマ層が硬化されるため前記反応副生成物の逃げ場がない本発明の製造方法において特に有効である。
前記二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴムとしては、例えば市販されている各種グレード品の中から、エラストマ層に求められる硬さ等の物理的特性や、オフセット印刷に用いるインキに対する耐性、親和性、離型性等の化学的特性、あるいは形成するインキパターンの種類等に応じた特性を有するエラストマ層を形成しうるものを選択して使用することができる。
前記二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴムとしては、例えば信越化学工業(株)製の品番KE106、KE1600、KE1606、KE1300、KE1310、KE1241等や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の品番TSE3450、TSE3455、TSE3457、TSE3466、TSE3402等が好ましい。
また液状フッ素系エラストマとしては、フッ素化ポリエーテル骨格の末端にシリコーン架橋反応基を導入した信越化学工業(株)製の商品名SIFELシリーズの液状フッ素エラストマが、特にインキやその溶剤に対する耐性に優れたエラストマ層を形成できる点で好ましい。
次いで、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねる。
第2のフィルム基材を重ねる理由の一つは、先に説明したように空気との接触によってエラストマの硬化が阻害されるのを防止することにある。
そのため前記第2のフィルム基材はエラストマ層が硬化する前、つまり液状エラストマを第1のフィルム基材上に塗布してエラストマ層を形成してから、前記エラストマ層を形成するエラストマの硬化が完了するまでの期間のうち任意の時点で、前記エラストマ層の表面に重ねるようにする。
ここで言う、エラストマの硬化が完了するまでの期間とは、エラストマ層上に第2のフィルム基材を重ねて圧着ローラで厚み方向に圧縮しても、前記エラストマ層が厚み方向に塑性変形されずに、圧縮力を取り除くと自身の弾性によってもとの厚みに戻るようになるまでの期間をさす。
前記期間は、たとえば同じ液状エラストマを、印刷用ブランケットを製造するのと同じ作業環境下で硬化させた際の粘度等の変化を測定し、前記粘度の場合は硬化の進行に伴う粘度上昇によって所定値に達するまでに要する時間でもって特定することができる。
特に前記期間内でも、前記エラストマ層が適度の流動性ないしは柔軟性を有している間(例えば粘度が、前記所定値より低い別の所定値に達するまでの間)に、第2のフィルム基材を重ねるようにするのが好ましい。
これにより、前記第2のフィルム基材を重ねた後の圧着ローラによる圧縮によって、エラストマ層を厚み方向にできるだけスムースに塑性変形させるとともに筋状の凹凸をなくさせたり、前記第2のフィルム基材に良好に圧着させたり、前記エラストマ層中からできるだけスムースに気泡を押し出して除去させたりすることができる。
特に、先に説明した二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴムは硬化によって反応副生成物を生じないため、第1のフィルム基材上に塗布して形成したエラストマ層上に、あまり時間をおかずに第2のフィルム基材を重ねることができ、作業時間を短縮して生産性を向上できる点で好ましい。
次いで、前記第2のフィルム基材を重ねたエラストマ層を、圧着ローラにより厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる。
詳しくは第1のフィルム基材、エラストマ層、および第2のフィルム基材の3層の積層体を、一対の圧着ローラ間を通過させたり、任意の台盤上にセットした第1のフィルム基材とエラストマ層との積層体のうちエラストマ層上に第2のフィルム基材を重ねながら圧着ローラを転動させたり、あるいは台盤上に保持した前記3層の積層体上で圧着ローラを転動させたりする。
そうすると、たとえ液状エラストマとして粘度が高いものを用いる等して塗布工程で泡かみを生じたとしても、エラストマ層を、前記第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とで挟んで圧着ローラによって厚み方向に順次圧縮することにより、前記泡かみによって発生する気泡をエラストマ層中から押し出して除去できる。
また前記塗布工程で筋状の凹凸を生じたとしても、エラストマ層を、前記第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とで挟んで圧着ローラによって厚み方向に順次圧縮することによって前記凹凸をなくして、その表裏両面を、それぞれ第1および第2フィルムの表面に対応した平坦な面とすることができる。
またエラストマ層は、第1のフィルム基材上に1層のみ形成すればよい上、その厚みを、前記圧縮による塑性変形によって液状エラストマの塗布厚みより小さくできる。
またそのため前記塗布厚みは、目的とするエラストマ層の厚みに拘らず、たとえ液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いた際にもほぼ均一でかすれ等を生じにくい厚みに設定できる。具体的には、形成するエラストマ層の厚み(0.01mm以上、0.15mm以下)の200%以上、500%以下に設定できる。
しかもエラストマ層の表裏両面を、前記第1および第2のフィルム基材で被覆して空気との接触を防止した状態でエラストマを硬化できる。
そのため次工程で前記第2のフィルム基材を前記エラストマ層から剥離することにより、前記エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが0.01mm以上、0.15mm以下と小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造できる。
圧縮後のエラストマ層の厚みは0.01mm以上、0.15mm以下に限定され、中でも0.05mm以上、特に0.08mm以上であるのが好ましく、0.12mm以下であるのが好ましい。
圧着ローラを用いた圧縮の条件は、上記エラストマ層の厚みの200%以上、500%以下の塗布厚みとなるように形成したエラストマ層を、上記エラストマ層の厚み範囲まで塑性変形できる任意の条件に設定すればよい。
第1および第2のフィルム基材としては、種々の樹脂のフィルムや金属の薄板等が挙げられる。
このうち樹脂のフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびその共重合物、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリイミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、TPXポリマ、およびポリパラキシレン等の樹脂からなるフィルムが好ましい。
また金属の薄板としては銅またはその合金、アルミニウムまたはその合金、ステンレス鋼、ニッケル等の金属からなる薄板が好ましい。
特に任意の厚み、および表面粗さを有するフィルム状に加工しやすい上、寸法安定性に優れたPETのフィルムが、前記第1および第2のフィルム基材として好ましい。
前記第1のフィルム基材は、製造後の印刷用ブランケットにおいてエラストマ層を背面側から支持するベース層として用いられる。
前記ベース層として機能するフィルム基材の厚みは、印刷用ブランケットに求められる機械的強度や全体の厚み等に応じて適宜設定できるが、先に説明した精密印刷用の印刷用ブランケットの場合は0.1mm以上、1.0mm以下、特に0.15mm以上、0.5mm以下であるのが好ましい。
前記フィルム基材の、エラストマ層を形成する側の表面は、前記エラストマ層の厚みにばらつきを生じさせないため適度に平坦であることが求められる。
例えば先に説明した厚み範囲を有するエラストマ層を備えた精密印刷用の印刷用ブランケットの場合、ベース層となる前記フィルム基材の表面は、日本工業規格JIS B0601:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」の付属書1で規定された十点平均粗さRzJIS94が0.01μm以上、5μm以下であるのが好ましい。
またベース層となるフィルム基材の、エラストマ層を形成する側の表面には、前記エラストマ層の密着性を高めるために、例えばプラズマ処理、フレーム処理等の前処理を施したり、あらかじめ任意のプライマ層を形成したりしてもよい。
2のフィルム基材は、圧着ローラを用いた圧縮後にエラストマ層から剥離される。
前記剥離されるフィルム基材の厚みは、圧着ローラによる圧縮力をエラストマ層に良好に伝達して前記エラストマ層を厚み方向に良好に塑性変形させるとともに、圧縮後のフィルム基材をエラストマ層から良好に剥離させることを考慮すると0.01mm以上、0.5mm以下、特に0.03mm以上、0.3mm以下であるのが好ましい。
また前記フィルム基材の、エラストマ層と接する側の表面の表面形状は、そのままエラストマ層の、インキパターンが転写される表面に転写されるため、前記表面はできるだけ平坦であることが求められる。
特に、先に説明した厚み範囲を有するエラストマ層を備えた精密印刷用の印刷用ブランケットの場合、前記フィルム基材の表面は、前記十点平均粗さRzJIS94が0.01μm以上、1μm以下であるのが好ましい。
表面の十点平均粗さRzJIS94が前記範囲内にあるフィルム基材を剥離した後のエラストマ層の表面は十点平均粗さRzJIS94が前記範囲内とされ、平坦であるためインキパターンに乱れを生じるおそれがなく、特に精密印刷用の印刷用ブランケットとして好適に使用できる。
前記フィルム基材はエラストマ層の硬化後に、すなわち圧着ローラを用いた圧縮後のエラストマ層を形成するエラストマを十分に硬化させてから剥離するのが好ましい。
そのためには前記圧縮後の積層体を、例えば2時間以上、48時間以下程度、特に室温で静置すればよい。
これにより、例えばフィルム基材の剥離時にエラストマ層の厚みや表面の平坦性が阻害されるのを防いで、前記のようにフィルム基材の表面粗さに対応した表面粗さを有するエラストマ層を形成できる。
なおフィルム基材を剥離した後のエラストマ層の表面は、場合によっては研磨等して、厚みや表面粗さ等をさらに調整してもよい。
以下の実施例、比較例の作業および評価は、いずれも温度23±1℃、相対湿度55±5%の環境下で実施した。
〈実施例1〉
二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴム〔信越化学工業(株)製のKE1606〕の主剤100質量部と硬化剤10質量部とを配合し、かく拌したのち脱泡して液状エラストマを調製した。
次に、第1のフィルム基材としての厚み0.30mmのPETフィルムを台盤上に平面性、水平性を維持した状態でセットし、前記PETフィルム上の縦120cm×横150cmの領域に、前記液状エラストマを、バーコータを用いて塗布厚みが0.30mmとなるように塗布したのち10分間静置して液状エラストマをセルフレベリングさせてエラストマ層を形成した。塗布直前の液状エラストマの粘度は60Pa・sであった。
次いで前記静置直後のエラストマ層の表面に、第2のフィルム基材としての厚み0.188mmのPETフィルムを重ねながら、その上から圧着ローラ(幅160cm、直径100mm)を転動させて、前記エラストマ層を厚み方向に順次圧縮しつつ前記PETフィルムを圧着させた。圧着ローラの圧接力はエアゲージ圧で0.5MPa、転動速度は5mm/sとした。
次いで24時間静置してエラストマを硬化させた後、前記第2のフィルム基材としての上側のPETフィルムを剥離して印刷用ブランケットを製造した。
前記印刷用ブランケットにおけるエラストマ層の厚みを、縦横それぞれ10cmおきに154点で測定したところ平均厚み0.10mm、厚みの最大値と最小値の差は0.012mmであって厚みの精度が高いことが判った。また前記エラストマ層の表面を目視にて観察したところ平坦で、インキパターンに影響を及ぼすような欠陥は見られなかった。
〈比較例1〉
フィルム基材としての厚み0.30mmのPETフィルムを台盤上に平面性、水平性を維持した状態でセットし、前記PETフィルム上の縦120cm×横150cmの領域に、実施例1で調整したのと同じ液状エラストマを、バーコータを用いて塗布厚みが0.10mmとなるように塗布したのち24時間静置してエラストマを硬化さて印刷用ブランケットを製造した。
前記印刷用ブランケットにおけるエラストマ層の厚みを、縦横それぞれ10cmおきに154点で測定したところ平均厚み0.10mm、厚みの最大値と最小値の差は0.020mmであって厚みの精度が実施例1よりも低いことが判った。また前記エラストマ層の表面を目視にて観察したところバーコータを移動させた痕跡が、前記移動方向に沿う筋状の凹凸となってエラストマ層の表面に残留していることが判った。

Claims (2)

  1. 第1のフィルム基材上に、厚み0.01mm以上、0.15mm以下の、1層のみのエラストマ層を備えた印刷ブランケットを製造するための製造方法であって、
    前記第1のフィルム基材上に硬化性の液状エラストマを塗布して、前記エラストマ層の厚みの200%以上、500%以下の厚みの、硬化前のエラストマ層を形成する工程、
    前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を、前記硬化後の厚みとなるように厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる工程
    前記圧着を維持しながら前記エラストマ層を硬化させる工程、および
    前記エラストマ層が硬化した後に、前記第2のフィルム基材を前記エラストマ層から剥離する工程
    を含むことを特徴とする印刷用ブランケットの製造方法。
  2. 前記液状エラストマとして室温硬化型の液状エラストマを用いる請求項1に記載の印刷用ブランケットの製造方法。
JP2009181880A 2009-08-04 2009-08-04 印刷用ブランケットの製造方法 Expired - Fee Related JP5534738B2 (ja)

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