JP5515403B2 - 食品用品質改良剤および食品 - Google Patents

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Description

本発明は食品用品質改良剤および該食品用品質改良剤を含有する食品に関する。
澱粉を含有する食品は、加工や調理時後、保存期間中に澱粉粒の老化が進行し、しっとり感が失われ、パサツキ感が出、硬い食感になる。更に、澱粉を含有する食品は老化臭がする場合もある。また、冷凍食品では、冷凍保存中の氷結晶の粗大化や水分の気化により食品組織の破壊が起こったり、解凍時に離水が発生したりする。更に、餅や団子に含まれる餡においても経時的に水が分離する。
保存中の食品における上記の問題に対処するために幾つかの品質改良剤方法が提案されている。
例えば、油脂、有機酸モノグリセリド、ジグリセリド、乳化剤、糖類、及び水を特定の割合で混合した乳化油脂組成物を、冷凍食品に添加することにより、冷凍保存後の柔らかさ、しっとり感を維持すると共に、食感、風味などの低下を防止する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、油脂、デキストリン類、及び乳化剤を含有する水中油型乳化油脂組成物を、澱粉質食品生地に練り込むことにより、冷凍、冷蔵保存時の硬化、乾燥、食感低下などの澱粉老化現象を抑制する方法も知られている(特許文献2参照)。
また、グルコマンナンのゲル化特性を利用した方法も知られている。例えば、グルコマンナンを含む糖液中に、内相(分散相)にアルカリ水溶液を含むW/Oエマルションが均一に分散したPH4〜8の液状食品素材の製造方法が知られている(特許文献3参照)。また、各種食品に上記の液状食品素材を配合することにより、食品の物性、食感、風味向上、チルド耐性、冷凍耐性などの保存安定性を効果的に改善する方法も知られている(特許文献4参照)。更に、餅類の硬化を防止するために、天然多糖類のプルランと、二糖類、乳化剤を使用する方法が知られている(特許文献5参照)。
特開平5−236919号公報 特開2001−95489号公報 特開2003−88306号公報 特開2003−235474号公報 特開平5−84046号公報
しかしながら、従来の技術では、充分満足のいく品質改良効果は得られていない。しかも、従来の乳化油脂組成物は、製造時の乳化温度や時間のコントロールが難しいこと、組成物の安定性を維持することが困難であるといった問題がある。また、グルコマンナンを配合する場合は、グルコマンナンとアルカリを徐々に相互作用させるために、複合型エマルションなどを使用する必要があり、製造方法が複雑であり、更に、エマルションの安定性を長期間維持するのも困難である。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、製造方法が簡単であり、保存安定性にも優れ、パン類、マドレーヌ、カステラ、ケーキ等の洋菓子類、フィリング
類、麺類(冷凍麺、乾麺、即席フライ麺等)などの澱粉含有食品、餅、餡、団子等の和菓子類、惣菜類、水産練製品類、冷凍餃子等の冷凍食品などの各種食品に添加した際に、加工や調理直後の食感や風味を長期間に亘って維持できる食品用品質改良剤を提供することにある。
そこで、本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、乳化剤と糖類と有機酸モノグリセリドが水溶液中で形成する特定の構造体(ラメラ構造体)を含有する組成物が、優れた食品用品質改良剤と成り得ることを見出し、すでに提案した(国際公開第200
8/068890号パンフレット参照)。更に、本発明者は、上記組成物にグルコマンナ
ンを含有させれば、より優れた食品用品質改良剤と成り得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものであり、次の[1]〜[]に記載された事項により特定される
[1]乳化剤ゲル形成物質および水を含有し、該ゲル形成物質が、グルコマンナンであり、該乳化剤が、有機酸モノグリセリドと、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤とを含有し、該有機酸モノグリセリド以外の乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、ゲル形成物質の含有量が0.01〜10質量%であり、有機酸モノグリセリドの含有量が0.01〜50質量%であり、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤の含有量が0.001〜50質量%であり、水の含有量が30〜95質量%であり、かつ、有機酸モノグリセリドがラメラ構造体を形成することを特徴とする食品用品質改良剤
[2]さらに、糖類を含有する上記[1]に記載の食品用品質改良剤。
]有機酸モノグリセリドが、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる上記[又は2]に記載の食品用品質改良剤。
]有機酸モノグリセリドを構成する有機酸が、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸及びフマル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、上記[]〜[]の何れかに記載の食品用品質改良剤
[5]上記[1]〜[]の何れかに記載の食品用品質改良剤を含有することを特徴とする食品。
本発明の食品用品質改良剤は、製造方法が簡単であり、保存安定性にも優れ、各種食品に添加した際に、加工や調理直後の食感や風味を長期間に亘って維持できる。なお、本発明の食品用品質改良剤の優れた効果は、水分保持力による澱粉の老化防止やタンパク質の変性抑制によるものと推定される。さらに具体的には、本発明の食品用品質改良剤は、次のとおりの効果を奏する。
(1)食品の加熱、冷凍などのヒートショックでも水を保持し、熱による障害を少なくする。
(2)小麦粉、及び澱粉食品の生地物性を改良し、多くの水を添加しても機械耐性を向上
させる。
(3)畜肉、及び魚肉の臭のマスキング効果があり、素材の味を生かす。
(4)食品の低カロリー化(油脂代替)が可能になる。
(5)食品の美味しさを向上させる。
以下、本発明を詳細に説明するが、この説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、その要旨を超えない限り、以下の内容に限定されるものではない。
先ず、本発明の食品用品質改良剤について説明する。本発明の食品用品質改良剤は、乳化剤およびゲル形成物質を含有し、かつ、乳化剤としてラメラ構造体を形成する乳化剤を必須成分として含有する。更に、本発明の食品用品質改良剤は、必要に応じて、糖類やその他の成分を含有させることができる。
本発明で使用される乳化剤としては、少なくともラメラ構造を形成する乳化剤を含有する。ラメラ構造体を形成する乳化剤としては、ラメラ構造体を形成し得る乳化剤であれば限定されないが、具体的には、ショ糖脂肪酸エステルや、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドなどが挙げられ、特にモノグリセリン脂肪酸エステルである有機酸モノグリセリドが好ましい。
また、ラメラ構造を形成する乳化剤のほかに、ラメラ構造を形成しない乳化剤(以下、その他の乳化剤という場合がある。)を含有することが好ましい。
なお、後述するとおり、ラメラ構造体を形成する乳化剤と、その他の乳化剤とは、含有させる目的が異なる場合がある。そのような場合は、ラメラ構造体を形成する乳化剤と同一の化合物を、その他の乳化剤として併せて用いてもよい。
以下、ラメラ構造体を形成する乳化剤として有機酸モノグリセリドを用いる場合について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、有機酸モノグリセリドによってラメラ構造体を形成する場合の、その他の乳化剤は特に制限されないが、ショ糖脂肪酸エステルやモノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、特にショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
その他の乳化剤を含有させる主な目的は、以下の2点にある。すなわち、一つは、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体を食品用品質改良剤中に均一に分散させることである。他の一つは、後述する食品用品質改良剤の調製方法において、W/O型エマルションを均一に乳化させることである。
その他の乳化剤であるショ糖脂肪酸エステルを、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体を食品用品質改良剤中に均一に分散させるために用いる場合は、親水性が高く(HLB値は、5〜18が好ましく、より好ましくは8〜15である。)、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。構成する脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では、炭素数14〜18の飽和脂肪酸が好ましい。また、構成する脂肪酸の70質量%以上がステアリン酸である脂肪酸が更に好ましい。
その他の乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体を食品用品質改良剤中に均一に分散させるために用いる場合は、ショ糖脂肪酸エステルと同様に、親水性が高く、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。斯かるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、ポリグリセリンの平均重合度が通常2〜20、好ましくは3〜10であるものが好ましい
。なお、ポリグリセリンは重合度が均一なものであっても、異なる重合度の混合物であってもよい。また、構成する脂肪酸は、炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸であるものが好ましい。さらに、構成する脂肪酸の70質量%以上がステアリン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルが特に好ましい。
有機酸モノグリセリドのラメラ構造体を食品用品質改良剤中に均一に分散させるために用いる場合、その他の乳化剤の含有量は、食品用品質改良剤中に、通常0.001〜50質量%、好ましくは0.005〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%である。
一方、その他の乳化剤を含有させる後者の目的、すなわち、W/O型エマルションを均一に乳化させるために用いる乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルともにHLB値が4以下の親油性のものが好ましい。この場合、W/O型エマルション中の乳化剤の含有量は、通常0.001〜20質量%、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
その他の乳化剤として用いるショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルは、それ自体既知の食品用乳化剤であり、市販されているものを使用できる。ショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「リョートーシュガーエステルS−1670」、「リョートーシュガーエステルP−1670」、「リョートーシュガーエステルM−1695」、「リョートーシュガーエステルO−1570」、「リョートーシュガーエステルS−1170」、「リョートーシュガーエステルS−570」、「リョートーシュガーエステルS−370」、「リョートーシュガーエステルB−370」、「リョートーシュガーエステルS−170」、「リョートーシュガーエステルER−190」、「リョートーシュガーエステルPOS−135」(以上、三菱化学フーズ社製、商品名);「DKエステルF−160」、「DKエステルF−140」、「DKエステルF−110」、「DKエステルF−70」、「DKエステルF−50」(以上、第一工業製薬社製、商品名)等が挙げられる。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「リョートーポリグリエステルS−10D」、「リョートーポリグリエステルP−8D」、「リョートーポリグリエステルM−10D」、「リョートーポリグリエステルL−10D」、「リョートーポリグリエステルS−24D」、「リョートーポリグリエステルS−28D」、「リョートーポリグリエステルO−15D」、「リョートーポリグリエステルO−50D」、「リョートーポリグリエステルB−100D」、「リョートーポリグリエステルER−60D」(以上、三菱化学フーズ社製、商品名);「SYグリスターMSW−7S」、「SYグリスターMS−5S」、「SYグリスターMS−3S」、「SYグリスターTS−3S」、「SYグリスターMO−5S」、「SYグリスタML−750」、「SYグリスターHB−750」、「SYグリスターCR−500」(以上、阪本薬品工業社製、商品名);「サンソフトQ−18S」、「サンソフトQ−14S」、「サンソフトQ−12S」、「サンソフトA−141E」、「サンソフトA−17E」(以上、太陽化学社製、商品名)、「ポエムDP−95RF」、「ポエムTRP−97RF」(以上、理研ビタミン社製、商品名)等が挙げられる。
食品用品質改良剤中の上記の乳化剤の含有量は、通常0.001〜50質量%、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
上記の乳化剤の含有量が余りにも少ない場合は、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散が不十分となる。また、上記の乳化剤の含有量が余りにも多い場合は、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体による水分保持が不十分となる傾向がある。
本発明で使用されるゲル形成物質としては、特に制限されず、それ自体が水に膨潤する
、すなわち含水ゲルを形成するもので、食用のものであればよい。具体的には、グルコマンナン、ガラクトマンナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸類、ポリグルタミン酸類などが挙げられ、特にグルコマンナンが好ましい。また、これらゲル形性物質に対して、適宜、ゲル化促進剤を加えてもよい。
ゲル形成物質としてグルコマンナンを用いる場合、グルコマンナンとしては、特に制限されず、如何なる由来のものであってもよい。グルコマンナンはコンニャク芋に含まれる多糖類であり、D−グルコースとD−マンノースがほぼ1:1.6のモル比で、β−1,4結合により多数結合した複合多糖類(難消化性多糖類)であって、その分子量は約100万〜200万である。
グルコマンナンとしては、通常、コンニャク芋を乾燥、粉末化して得られるコンニャク粉、コンニャク粉を精製したコンニャク精粉等を用いることができる。風味や色の点から、グルコマンナンとしては除蛋白したコンニャク粉が特に好ましい。このような除蛋白したコンニャク粉としては、例えば「レオレックスRS」(商品名、清水化学社製)等が挙げられる。
なお、ゲル形成物質としてグルコマンナンを用いる場合は、アルカリ成分を添加することによって容易にゲル化を促進することができる。
食品用品質改良剤の調製に際して、ゲル形成物質の使用形態は特に限定されないが、水膨潤液や油に分散させた状態で使用するのが好ましい。水膨潤液として用いる場合、水膨潤液中のゲル形成物質の含有量は、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。一方、油に分散させて使用する場合は、油分散液中のゲル形成物質の含有量は、通常10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
食品用品質改良剤中のゲル形成物質の含有量は、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である。ゲル形成物質の含有量が余りにも少ない場合は、十分な水分保持力が得られないため澱粉の老化抑制やタンパク質の変性抑制を達成できない。また、ゲル形成物質の含有量が余りにも多い場合は、ゲル形成物質水膨潤液の粘度が著しく増大し、その他成分と均一に混合できない状態となる傾向がある。
本発明で使用する有機酸モノグリセリドは、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と有機酸1分子が結合した構造を有し、一般的には、特開平4−218597号公報、特許第3823524号公報等に記載されている方法に従って、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸のモノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物をそのまま使用してもよい。
本発明の食品用品質改良剤中の有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中の有機酸モノグリセリドを蒸留等で精製すればよく、また、純度の高い有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば「ポエムB−30」(商品名、理研ビタミン社製)、「ステップSS」(商品名、花王社製)等が挙げられる。また、有機酸モノグリセリドの有機酸部分が一部中和されたものを使用してもよい。
有機酸モノグリセリドを構成する有機酸は限定されないが、例えば、コハク酸、クエン
酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらの中では、食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸が好ましく、特にコハク酸が好ましい。また、異なる有機酸からなる有機酸モノグリセリドの混合物であってもよい。
有機酸モノグリセリドを構成する脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などが挙げられる。これらの中では風味の観点からステアリン酸を主成分とする脂肪酸が好ましい。また、異なる脂肪酸からなる有機酸モノグリセリドの混合物であってもよい。
上記の有機酸モノグリセリドと水との混合物は、これらの量比、温度変化により様々な相構造(相状態)をとることが可能である。これらの相構造のうち、本発明では保水力に優れるラメラ液晶構造体(本発明では、これを「ラメラ構造体」と略称することがある)を利用する。
ラメラ構造体は、有機酸モノグリセリドを水に分散させるだけで常に生じるものではないが、有機酸モノグリセリドを含有する水分散液を物理的に攪拌して再分散せしめることにより、分散液として調製することができる。ここで、有機酸モノグリセリドのラメラ液晶構造体は、それ自体が既知の相構造であり、その詳細は、例えば日高徹著「食品用乳化剤」第2版(株式会社幸書房、1987年)第74〜83頁等に記載されている。
有機酸モノグリセリドによってラメラ構造体を形成する場合、その調製条件は有機酸モノグリセリドの種類によっても異なるが、有機酸モノグリセリドと水との量比(質量比)は、通常1:1000〜10:1、好ましくは1:100〜1:1、再分散時の温度は、通常30〜90℃、好ましくは50〜70℃である。
上記の物理的分散には、例えば気泡の混入を避けるため、例えばアンカーミキサー等を使用してゆっくりと撹拌する。撹拌速度は、通常10〜100rpm、好ましくは20〜50rpmである。すなわち、使用する有機酸モノグリセリドの種類に応じて適当な撹拌速度で撹拌することでラメラ構造体が得られる。また、ラメラ構造体の確認は、例えば偏光顕微鏡による観察によって、ラメラ層構造の存在を確認することで容易に行うことができる。
上記の方法で得られた水溶液中のラメラ構造体は比較的安定ではあるが、水を除去して乾燥固化すると、その構造は変化する。従って、ラメラ構造体を分散した水溶液は、通常、本発明の食品用品質改良剤を製造するまでの工程で乾燥固化させずに使用する。更には、本発明の食品用品質改良剤も、通常、乾燥固化させずに使用する。
また、ラメラ構造体を分散した水溶液に高い剪断をかけると、ラメラ構造が変化する場合があるため、本発明の食品用品質改良剤を製造するまでの工程で高い剪断をかけないことが好ましい。更には、本発明の食品用品質改良剤に対しても、高い剪断をかけないことが好ましい。具体的には、例えば処理圧力20MPa(ゲージ圧)以上の高圧ホモジナイザーやコロイドミルなどの使用は避けた方が好ましい。
コハク酸モノグリセリドの場合は、例えば、脂肪酸がステアリン酸であれば、温度50℃以上でラメラ構造体が形成される。上記の加熱温度は、通常40〜100℃、好ましくは40〜80℃、更に好ましくは50〜70℃である。一般的に、脂肪酸鎖長が長くなるにつれて、ラメラ構造体の形成温度が高くなる。この温度範囲で、アンカーミキサー等を用いて、コハク酸モノグリセリドと水の混合物を、上記のように、ゆっくりと撹拌することによりコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体が調製できる。この場合、コハク酸モノグリセリドの水分散液中の含有量は、通常0.001〜50質量%、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
食品用品質改良剤中の有機酸モノグリセリドの含有量は、本発明の食品用品質改良剤を適用する食品によっても異なるが、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.02〜20質量%、更に好ましくは、0.05〜10質量%である。有機酸モノグリセリドの含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良効果が不十分となり、有機酸モノグリセリドの含有量が余りにも多い場合は、食品用品質改良剤中に均一に分散しなくなる傾向がある。
以上、ラメラ構造体を有機酸モノグリセリドによって形成する場合について述べたが、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤、例えばショ糖脂肪酸エステルによってラメラ構造体を形成する場合についても、上記の有機酸モノグリセリドに代えて同様に適用することができる。なお、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤によってラメラ構造体を形成する場合には、その他の乳化剤として有機酸モノグリセリドを用いることもできる。
本発明の食品用品質改良剤には、必要に応じて、さらに糖類を含有させることができる。本発明で使用される糖類としては、特に制限されないが、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖および糖アルコール;各種オリゴ糖;それらの混合物などを使用することができる。これらの中ではオリゴ糖が好ましい。
上記のオリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、それらのシラップ等が挙げられる。上記の糖類は、目的に応じ、適宜選択して使用され、例えば、飲食品の冷凍耐性を向上させる場合にはマルトオリゴ糖や糖アルコールが好ましい。本発明の食品用品質改良剤の調製においては、通常、糖類は水溶液として使用され、例えばシラップの場合はそのまま使用することもできる。
食品用品質改良剤の調製に際して、糖類の使用形態は特に限定されないが、水溶液として用いるのが好ましい。この場合、水溶液中の糖類の含有量は、通常10〜90質量%、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは60〜80質量%である。
食品用品質改良剤中の糖類の含有量は、通常1〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。糖類の含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良剤の保存安定性に劣り、糖類の含有量が余りにも多い場合は、糖の種類によっては結晶が析出したり、粘度が高くなるため作業性が悪くなる傾向がある。
本発明の食品用品質改良剤には、必要に応じて、さらにエタノール等のアルコールを含有させることができる。食品用品質改良剤中のアルコールの含有量は、通常1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%である。アルコールの含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良剤の保存中の微生物増殖を抑制する効果が不十分となり、アルコールの含有量が余りにも多い場合は、アルコール臭が強くなる。エタノール等のアルコールを併用することにより、保存安定性をより一層向上させることができる。
なお、本発明の食品用品質改良剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、前記以外の乳化剤(例えば、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)、澱粉(例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、さご澱粉、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、甘藷澱粉等の天然澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉、過ヨウ素酸酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉等の化工澱粉、粒状化澱粉、アルファ化澱粉、湿熱処理澱粉などの加工澱粉等)、有機酸(例えば、フマル酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸等)、油脂(例えば、コーン油、菜種油、米油、オリーブ油、ゴマ油、大豆油、椿油、サフラワー油、綿実油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、乳脂等)、リポ蛋白(例えば、乳性蛋白とレシチンと水の混合物、卵黄蛋白とレシチンと水の混合物、大豆蛋白とレシチンと水の混合物、トウモロコシ蛋白とリン脂質と水の混合物等)アルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の塩基性塩類)、低分子ゼラチン、VCパルミテート、甘味料、香料(例えば、オレンジフラワーウオーター、バターフレーバー、ミルクフレーバー等)、ビタミン、抗酸化剤などのそれ自体既知の配合剤を加えてもよい。
上記成分を含有する食品用品質改良剤において残部は通常、水である。食品用品質改良剤中の水の含有量は、通常20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%である。水の含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良剤の粘度の増大により作業性が悪くなり、水の含有量が余りにも多い場合は、乳化剤やゲル形成物質の量が少なくなるため、食品用品質改良剤の効果が弱くなることがある。
本発明の食品用品質改良剤の調製方法は特に限定されず、上記成分の混合が可能な方法であれば、如何なる方法であってもよい。具体的には、例えば次の方法によって製造することができる。
先ず、ゲル形成物質の水膨潤液に、水相と油相とを乳化剤を用いて乳化して調製したW/O型エマルションを加えて撹拌して混合液を得る。ここで、ゲル形成物質としてグルコマンナンを用いる場合は、W/O型エマルションを形成する水相にアルカリ剤を含有しておくとよい。なお、W/O型エマルションに使用する乳化剤は、ラメラ構造体を形成する乳化剤ではない。これとは別に、有機酸モノグリセリド等によってラメラ構造体が形成された水分散液を調製する。該水分散液の調製に際しては、ラメラ構造を安定化させるために、その他の乳化剤を含有させておくことが好ましい。調製した該水分散液を前記の混合液に加えて撹拌することによって食品用品質改良剤が製造される。
あるいは、別の方法として、有機酸モノグリセリド等によってラメラ構造体が形成された水分散液に、グルコマンナンを油脂に分散させた分散液を混合し、この混合液に上記と同様に調製したW/O型エマルションと乳化剤水溶液を加えて撹拌する。
次に、必要に応じて、さらに糖液を加えて撹拌する。撹拌条件に特に制限はなく、例えばプロペラミキサー等を用いてゆっくり撹拌すればよい。撹拌(混合)時の温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜60℃である。
この際、エタノール等のアルコールやその他の成分を添加することにより、各食品の特性に応じた品質改良剤とすることができる。
上記した各成分の添加順序は、具体的な実施態様の一例であり、これに限定されるものではない。
本発明の食品用品質改良剤は、調製後、必要に応じ、プレート式殺菌機などを使用した一般的な加熱殺菌などを行い、飲食品の食感や物性の改良剤として、様々な飲食品に使用することができる。
次に、本発明の食品について説明する。本発明の食品は、前記の食品用品質改良剤を含有することを特徴とする。食品としては、例えば、パン類、菓子類、惣菜類、フィリング類、麺類、和菓子類、水産練製品類などが挙げられる。
食品に対する食品用品質改良剤の添加量は、食品の全量(100質量%)に対して、通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜10質量%であ
る。このような食品に対する本発明の食品用品質改良剤の添加方法は、小麦粉などに直接混合する、生地に練りこむ、水で希釈して加えるなどである。
本発明の食品用品質改良剤は、各食品の特性に応じて、上記した成分の含有量を調整することにより、より適切な品質改良剤とすることができる。以下、各種の食品へ適用する場合の好適な態様、その効果等について説明する。
なお、以下に記載する各種の食品へ適用する場合の好適な態様において、各成分の「含有量」とは、食品用品質改良剤中の当該成分の含有量を意味し、食品用品質改良剤の「添加量」とは、当該食品の全量(100質量%)に対する添加量を意味する。
1)和洋菓子類
本発明において和洋菓子類とは、一般的に和菓子や洋菓子といわれるもの全てを含むものである。和洋菓子類用品質改良剤として、好ましい成分と含有量は次のとおりである。
ラメラ構造体を形成する乳化剤以外の乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、その含有量は、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.003〜3質量%である。糖類としては、オリゴ糖が好ましく、その含有量は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。ゲル形成物質としてはグルコマンナンが好ましく、その含有量は、好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.3〜0.8質量%である。ラメラ構造体を形成する乳化剤としては、コハク酸モノグリセリドが好ましく、その含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜5質量%である。
更に、その他の成分として、澱粉0.1〜5質量%、油脂(例えばコーン油)0.1〜5質量%、アルカリ剤(NaPO・12HO、及びNa)0.01〜3質量%、VCパルミテ−ト0.0001〜1質量%、香料(例えばオレンジフラワーウオーター)0.001〜1質量%等を含有することが好ましい。
また、残部は通常、水であり、その含有量は、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜40質量%である。
上記品質改良剤の和洋菓子類への添加量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
上記品質改良剤は、和洋菓子類へ使用することにより、次の効果を奏する。
(1)冷凍、冷蔵耐性の付与、及び食感劣化防止。
(2)風味(卵風味)の強化。
(3)澱粉の老化防止。
(4)保湿性の向上。
(5)O/W型クリーム(アイスクリーム、ソフトクリーム)の保型性、及び食感の改良。
2)餡類
本発明において餡類とは、一般的に餡といわれるもの全てを含むものである。餡類用品質改良剤として、好ましい成分と含有量は次のとおりである。
ラメラ構造体を形成する乳化剤以外の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの両者を含有することが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.003〜3質量%である。糖類としては、オリゴ糖が好ましく、その含有量は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは40〜70質量%である。ゲル形成物質としてはグルコマンナンが好ましく、その含有量は、好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.3〜0.8質量%である。ラメラ構造体を形成する乳化剤としては、コ
ハク酸モノグリセリドが好ましく、その含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜5質量%である。
更に、その他の成分として、油脂(例えばコーン油)0.1〜5質量%、リポ蛋白(例えば乳性蛋白とレシチンと水の混合物)0.001〜1質量%、アルカリ剤(NaPO・12HO、及びNa)0.01〜3質量%、VCパルミテ−ト0.0001〜1質量%、香料(例えばオレンジフラワーウオーター)0.001〜1質量%等を含有することが好ましい。
また、残部は通常、水であり、その含有量は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
上記品質改良剤の餡類への添加量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
上記品質改良剤は、餡類へ使用することにより、次の効果を奏する。
(1)冷凍流通などによる解凍時の離水現象の抑制。
(2)澱粉の老化による食感、及び風味劣化の改善。
(3)色相向上(色が黒っぽくなり、ツヤがでる)。
(4)ほう餡機操作時(炊き上げ時)の乾燥防止。
(5)シャリ(砂糖が結晶化して大きくなったもの)防止。
3)パン類
本発明においてパン類とは、一般的にパンといわれるもの全てを含むものである。パン類用品質改良剤として、好ましい成分と含有量は次のとおりである。
ラメラ構造体を形成する乳化剤以外の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの両者を含有することが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.001〜10量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.003〜3質量%である。糖類としては、オリゴ糖が好ましく、その含有量は、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜50質量%である。ゲル形成物質としてはグルコマンナンが好ましく、その含有量は、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.5〜2質量%である。ラメラ構造体を形成する乳化剤としては、コハク酸モノグリセリドが好ましく、その含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜5質量%である。
更に、その他の成分として、澱粉1〜5質量%、有機酸(例えばフマル酸)0.01〜5質量%、低分子ゼラチン0.01〜5質量%、油脂(例えばコーン油)0.1〜5質量%、リポ蛋白(例えば乳性蛋白とレシチンと水の混合物)0.01〜10質量%、アルカリ剤(NaPO・12HO、及びNa)0.01〜6質量%、VCパルミテ−ト0.0001〜1質量%、香料(例えばオレンジフラワーウオーター)0.001〜1質量%等を含有することが好ましい。
また、残部は通常、水であり、その含有量は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%である。
上記品質改良剤のパン類への添加量は、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜20質量%である。
上記品質改良剤は、パン類へ使用することにより、次の効果を奏する。
(1)香味の持続、及びベークド臭の発現及び持続。
(2)機械耐性の向上(生地の機械への付着防止)、及びしっとり感の付与。
(3)冷凍パン生地のガス保持力向上による風味、及びボリュームアップ。
(4)グルテンのネットワーク強化、保水性向上による澱粉の老化抑制。
4)麺類
本発明において麺類とは、一般的に麺と通常いわれるもの全てを含むものである。麺類用品質改良剤として、好ましい成分と含有量は次のとおりである。
ラメラ構造体を形成する乳化剤以外の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルが好ましく、その含有量は、好ましくは0.001〜10量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。ゲル形成物質としてはグルコマンナンが好ましく、その含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。ラメラ構造体を形成する乳化剤としては、コハク酸モノグリセリドが好ましく、その含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜5質量%である。
更に、その他の成分として、澱粉1〜5質量%、油脂(例えばコーン油)0.1〜5質量%、リポ蛋白(例えば乳性蛋白とレシチンと水の混合物)0.001〜1質量%、アルカリ剤(NaPO・12HO、及びNa)0.01〜6質量%等を含有することが好ましい。
また、残部は通常、水であり、その含有量は、好ましくは30〜99質量%、より好ましくは50〜95質量%である。
上記品質改良剤の麺類への添加量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
上記品質改良剤は、麺類へ使用することにより、次の効果を奏する。
(1)良好な喉越し、及び弾力向上など食感の改質。
(2)湯伸び、澱粉の溶出抑制など経時変化の抑制。
(3)チルド、冷凍耐性(澱粉の老化抑制)。
(4)電子レンジ耐性。
(5)風味の発現(小麦粉本来の風味)。
(6)機械耐性の向上(生地の機械への付着防止)。
(7)ほぐれ性の改善。
5)水産練製品類
本発明において水産練製品類とは、一般的に水産練製品といわれるもの全てを含むものである。水産練製品類用品質改良剤として、好ましい成分と含有量は次のとおりである。
ラメラ構造体を形成する乳化剤以外の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルが好ましく、その含有量は、好ましくは0.001〜10量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。糖類としては、オリゴ糖が好ましく、その含有量は、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜50質量%である。ゲル形成物質としてはグルコマンナンが好ましく、その含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。ラメラ構造体を形成する乳化剤としては、コハク酸モノグリセリドが好ましく、その含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜5質量%である。
更に、その他の成分として、澱粉1〜5質量%、油脂(例えばコーン油)0.1〜5質量%、アルカリ剤(NaPO・12HO、及びNa)0.01〜6質量%等を含有することが好ましい。
また、残部は通常、水であり、その含有量は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
上記品質改良剤の水産練製品類への添加量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好
ましくは1〜30質量%である。
上記品質改良剤は、水産練製品類へ使用することにより、次の効果を奏する。
(1)ソフトで弾力のある食感。
(2)等級の低いすり身でも洋上すり身並の品質が得られる。
(3)風味の改質。
(4)コストダウン(増加水系でも冷凍耐性、食感、風味に優れたものができる)。
6)その他の食品類
本発明の食品用品質改良剤は、皮膜機能を有しており、(1)果物、野菜、肉、魚、花の鮮度保持、(2)煮野菜の煮崩れ防止、変色防止、風味、及び栄養素の保持、(3)発酵食品の変色防止、離水防止(キムチ、漬物)等として使用できる。
また、本発明の食品用品質改良剤は、油脂代替機能を有しており、(1)練りパイ、折パイなどに使用される油脂機能代替(生地の伸展性アップ、収縮防止、及び低カロリー化)、(2)ハム、ソーセージなどの注入油脂の代替(結着性の向上、及び低カロリー化)等にも使用することができる。
これら食品類への添加量や使用方法等は特に限定されず、対象となる食品とその使用目的に応じた量と方法を採用すればよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の実験例においては、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドのみが、本発明におけるラメラ構造体を形成する乳化剤であり、これ以外の乳化剤は全て、本発明における、その他の乳化剤に該当する。
〔実験例1〕餡の評価
1.食品用品質改良剤Aの調製
グルコマンナン(清水化学社製「レオックスRS」)2.1gを水道水219.94gに膨潤させ、香料製剤(協和香料興産社製「オレンジフラワーウォーターAS−1671」)0.042gとエタノール0.021gを加えて撹拌した。一方、コーン油83.77gにリポ蛋白(下記方法により調製した。)25.13gを分散させ、NaPO・12HO 4.188gとNa 0.084gを水道水86.289gに溶解した水溶液を混合し、VCパルミテート(三菱化学フーズ社製「ビタミンCパルミテート」)0.05gとポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製「サンソフト818SK」)0.503gを加えてホモミキサーにより40℃で乳化してW/O型エマルションを調製した。
このW/O型エマルションのうち、8.36gをグルコマンナン膨潤液に混合し、ホモミキサーで均一に混合して混合液を得た。
別途、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド(花王社製「ステップSS」)0.42gとHLB値が11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルS−1170」)0.7gとを水道水48.4gに分散させ、撹拌しながら60℃まで昇温してコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体を形成させ、該ラメラ構造体の分散液を前記の混合液に加えた後、さらに、マルトースシロップ(日本食品化工社製「MC−45」)294gとオリゴ糖(日本食品化工社製「フジオリゴ#360」)126gを混合して撹拌し、食品用品質改良剤700gを調製した。これを食品用品質改良剤Aとした。なお、食品用品質改良剤A中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。
<リポ蛋白の調製方法>
<配合>
乳性蛋白(太陽化学社製「サンラクトN−21」) 32.1%
大豆レシチン(辻製油社製) 12.9%
水道水 55.0%
なお、水道水としては、神奈川県横浜市の水道水を用いた(以下の実験例でも同様である)。
<製法>
(1)37〜38℃で「サンラクトN−21」を水道水にTKホモミキサー(6000rp
m×5min)により分散した。
(2)さらに、37〜38℃で大豆レシチンを加え、TKホモミキサー(6000rpm×
5min)で分散した。
(3)150mlポリ容器4本に充填し、冷蔵保管した。
2.餡の調製と評価
上記食品用品質改良剤を炊き上げ後の餡に全量に対して1.5%となるように混合し、Brix(餡に含まれるショ糖の質量%濃度)55の黒こし餡(餡A)を製造した。この餡A、及び以下の餡B〜Dについて、製造直後の外観観察を実施した。その評価結果を表1に示す。
また、−30℃で1ヶ月冷凍保存後に解凍したサンプル(餡A〜D)についてパネラー12名による官能評価を実施した。その評価結果を表2に示す。
なお、表2中の数字は、各官能試験において評価した人の数である。
なお、表1、及び表2中のサンプル(餡A〜D)は、それぞれ次のとおりである。
実施例1(餡A):上記方法で製造した黒こし餡。
比較例1(餡B):食品用品質改良剤の代わりにトレハロースを餡の全量に対して3.0質量%添加して製造した黒こし餡。
比較例2(餡C):食品用品質改良剤を添加せずに上記と同様の方法で製造した黒こし餡。
比較例3(餡D):食品用品質改良剤B(下記方法で調製した食品用品質改良剤であり、国際公開第2008/068890号パンフレットの実施例2参照)を餡の全量に対して1.5質量%添加して製造した黒こし餡。
3.食品用品質改良剤Bの調製
HLB値が11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルS−1170」)35gを室温でエタノール50gに分散し、その後、75℃に加温したオリゴ糖水溶液(三和澱粉工業社製「オリゴトース」)680gと混合し、30分間攪拌した。一方、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド(花王社製「ステップSS」)35gを脱塩水200gに分散し、60℃まで昇温しながら攪拌し、ラメラ構造体の水分散液を得た。前記のオリゴ糖液を55℃まで冷却し、上記のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を加えて20分間攪拌した。次いで、45℃まで冷却することにより、食品用品質改良剤Bの1000gを調製した。なお、食品用品質改良剤B中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。
Figure 0005515403
Figure 0005515403
表1と表2の結果から、本発明の食品用品質改良剤を添加した黒こし餡Aは、他の黒こし餡B〜Dに比べて色が黒くツヤがあり、食感に優れ、しっとり感やソフトさを維持していることが分かる。
〔実験例2〕ホイップクリームの評価
4.食品用品質改良剤Cの調整
500mlビーカーに水道水141.8gを秤取り、TKホモミキサーで攪拌しながら、グルコマンナン(清水化学社製「レオックスRS」)2.31gを加え、更に攪拌しながら澱粉(日本食品加工社製、ネオビスT−100)6.72gを加えて均一に分散した。これに、香料製剤(協和香料興産社製「オレンジフラワーウォーターAS−1671」)0.042gとエタノール0.021gを攪拌しながら加えて混合液を得た。
別途、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド(花王社製「ステップSS」)0.44gを水道水48.4gに分散させ、撹拌しながら60℃まで昇温してコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体を形成させ、該ラメラ構造体の分散液を前記の混合液に加えた。さらにマルトースシロップ(日本食品化工社製「MC−45」)343gとオリゴ糖(日本食品化工社製「フジオリゴ#360」)147gを混合して加え、ラメラ構造体含有液を得た。
一方、コーン油89.05gにポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製「サンソフト818SK」)0.61gを加えて、TKホモミキサーを用いて80℃で溶解した後、60℃に温度を下げ、更にVCパルミテート(三菱化学フーズ社製「ビタミンCパルミテート」)0.06gを加え分散させた。これに、NaPO・12HO 5.1gとNa 0.5gを水道水104.68gに溶解した水溶液を少しづつ加え、ホモミキサーにより5000rpmで15分攪拌してW/O乳化物を得た。
得られたW/O乳化物のうち6.87gを前記のラメラ構造体含有液に加え、TKホモミキサーを用いて均一分散し、混合物700gを得た。なお、食品用品質改良剤C中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。
5.ホイップクリームの調整と評価
純正生クリーム(明治乳業社製、十勝フレッシュ100(商品名):乳脂肪47%)191.9g、30%合成クリーム(メグミルク社製、乳脂肪30%)89.1gとグラニュー糖89.1gに食品用品質改良剤を加え、キッチンエイドミキサーで、粉砕した氷でボールを冷却しながら150rpmの条件でホイップし、3.5分の時間で十分にホイップされたことを確認した。なお、食品用品質改良剤は、全量に対して1%または3%となるように添加し、それぞれ評価した。
食品用品質改良剤として、食品用品質改良剤A,BまたはCを用いて得られたホイップクリームおよび食品用品質改良剤を添加しないホイップクリームについて、以下の方法により、保形性、離水試験および硬さ測定を行った。結果を表3に示す。
<ホイップクリームの性状および保形性試験>
ホイップクリームを絞り袋に入れ、20cm×15cm角のステンレス製のトレー2個の上にそれぞれ、約5gずつ、横3個、縦4個の計12個となるように絞った。絞った際のホイップクリームの性状を目視で観察し、以下の基準で判定した。
A:絞った形状がそのまま維持され、絞った先端部のエッジがシャープである。
B:絞った形状が維持されず、絞った先端部のエッジも鈍い。
保形性試験は、2個のトレーのうち一方は、長辺方向30°の傾斜角度に立てかけ、他方は水平にして静置した。何れも、風の影響を受けないように上面は覆っておき、1hr経過毎にホイップクリームの形状を確認した。水平に静置したトレー上のホイップクリームの形状に対して、傾斜したトレー上のホイップクリームの形状が変化した(斜めに崩れ始めた)時間を確認した。絞った12個のホイップクリームのうち1個でも変形すれば、その時間とした。なお、試験は20℃で行った。
<離水試験>
10メッシュのステンレス製の金網の上に置いた直径60mm×高さ35mmの円筒状の型に、ホイップクリーム約29〜32gを絞った後、ゆっくりと型を外した。これを金網ごとロート台に載せ、ホイップクリームから離水した水をロートを介してメスシリンダーに回収した。30分ごとに離水の有無を確認し、メスシリンダーに水が溜まり始めた時間を離水時間とした。なお、試験は20℃で行った。
<硬さ測定>
直径5.5cm、容量100mlのカップにホイップクリームを入れ、レオメーター(サン科学社製「RHEO METER CR−500DX」)を使用し、5mm/minの速度で45°コーンアダプターをホイップクリーム中に押し込み、コーンの上面がクリームの上面と同じレベルまで押し込んだ時の応力を測定した。数値はn=3の平均値とした。なお、ホイップクリームの硬さは、150〜200N程度が最も好ましい。
Figure 0005515403
表3から、食品用品質改良剤Aまたは食品用品質改良剤Cを含有する場合は、食品用品質改良剤を含有しない場合や、食品用品質改良剤Bを含有する場合に較べて保形性および硬さが有意に良好であることが分かる。また、離水時間についても、食品用品質改良剤を含有しない場合に較べて有意に良好であることが分かる。
〔実験例3〕畜肉ハンバーグの評価
6.食品用品質改良剤Dの調整
リポ蛋白10.5gを水道水35gに分散し、モーターに碇型の攪拌羽根を付け、150rpmで攪拌しながら以下の材料を順次加えて混合物を得た。なお、リポタンパクの調整は、食品用品質改質剤Aと同様である。
(1)澱粉(日本食品加工社製、ネオビスT−100(商品名))15.68gを水道水70.7gに分散させた分散液
(2)香料製剤(協和香料興産社製、「オレンジフラワーウォーターAS−1671」)0.041gとエタノール0.021g
(3)フマル酸(川崎化成工業社製)0.7gを水道水150gに70℃で加温溶解した溶液
(4)低分子ジェラチン(新田ゼラチン社製、イクオスHDL−50F)0.7gを水道水70gに60℃で加温溶解した溶液
(5)コハク酸ステアリン酸モノグリセリド(花王社製「ステップSS」)0.42gを水道水66.1gに分散させ、撹拌しながら60℃まで昇温して形成させた、コハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散液
(6)マルトースシロップ(日本食品化工社製「MC−45」)147gとオリゴ糖(日本食品化工社製「フジオリゴ#360」)63gの混合物
得られた混合物をニーダーに移し、47rpmで混練りし、これに、グルコマンナン(清水化学社製「レオックスRS」)10.77gおよびコーン油14.32gを練ったものを加えて、さらによく混練りした。
一方、コーン油82.97gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製「サンソフト818SK」)0.611gを加えて、80℃でホモミキサーで溶解した。これを60℃に温度を下げた後、更にVCパルミテート(三菱化学フーズ社製「ビタミンCパルミテート」)0.032gを加えて分散させた。これに、NaPO・12HO 6.62gとNa 0.662gを水道水109.15gに溶解した水溶液を混合し、ホモミキサーにより5000rpmで15分攪拌してW/O乳化物を得た。
HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルS−1170S」)0.1gを水道水0.5gに分散させて60℃まで昇温して
得た分散液の上に、上記のW/O乳化物のうち12.53gを加えて混合しておき、これをニーダー中の混合物に加えた。その後、60℃で30分、さらに80℃に昇温した後に15分混練することにより、混合物700gを得た。なお、食品用品質改良剤D中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。
7.畜肉ハンバーグの調整と評価
玉ねぎ166.7gをみじん切りにし、サラダ油で色づくまで炒め、皿に広げて冷却した。ボールに合挽き肉550g、前記の炒めた玉ねぎ、牛乳で湿らせた食パン25g、卵83.3g、コショー0.8g、ナツメグ1.7g、塩5.8gを併せた。これに食品用品質改良剤41.7g(添加量4.8%)を加え、手で十分に練り混ぜた。生地に粘りが出た後、100gずつに分け、空気を抜きながら120mm×90mm×厚さ13mmの楕円形状に成形した。成形したハンバーグを金網の上に載せ、230℃で8分間焼成して調理した後、冷ました。これを樹脂製の袋で真空パックし、急速冷凍機で−40℃に冷凍した後、家庭用冷凍庫に移して2週間冷凍保存した。
食品用品質改良剤として、食品用品質改良剤DまたはBを用いて得られたハンバーグおよび食品用品質改良剤を添加しないハンバーグについて、以下の方法により、焼成時の重量変化、硬さ測定および官能評価を行った。結果を表4に示す。
<焼成時の重量変化>
ハンバーグの焼成前の重量と焼成後の重量とを測定し、以下の式より重量変化を算出した。各サンプルについてn=5の平均値とした。
重量変化(%)=(焼成後の重量/焼成前の重量)×100
<硬さの測定>
レオメーター(サン科学社製「RHEO METER CR−500DX」)を使用し、5mm/minの速度で、50mm×50mmのアダプターを「モード:1」の条件で畜肉ハンバーグの中央部に押し込んだ。各サンプルについて、応力が20Nに達した時のアダプターの進入距離(mm)を測定した。進入距離が大きいほど、ハンバーグが柔らかいことを意味する。なお、測定は以下の2条件にて行った。
(1)焼成直後のもの
(2)2週間冷凍したものを冷凍庫から取り出し、600Wの電子レンジにて3分間加熱したもの
<官能評価>
2週間冷凍したものを冷凍庫から取り出し、600Wの電子レンジにて3分間加熱したハンバーグについて12名のパネラーが食味を行い、ふっくら感、ジューシー感の観点から、以下の基準で評価し、その平均値を算出した。
評価基準: 良い=5、やや良い=4、普通=3、やや悪い=2、悪い=1
Figure 0005515403
表4から、食品用品質改良剤Dを含有する場合は、食品用品質改良剤を含有しない場合や、食品用品質改良剤Bを含有する場合に較べて、焼成時の重量変化が小さいことが分かる。また、硬さ測定の結果から、焼成直後、電子レンジ加熱後、電子レンジ再加熱後の何れにおいても、食品用品質改良剤Dを含有する場合が最も柔らかさを保持していることが分かる。さらに、官能評価の結果から、冷凍保管して解凍した後においても、食品用品質改良剤Dを含有する場合は、食感が良好であることが分かる。
〔実験例4〕麺の評価
8.食品用品質改良剤Eの調整
リポ蛋白1.05gを水道水252.04gに分散し、モーターに碇型の攪拌羽根を付け、150rpmで攪拌しながら以下の材料を順次加えて混合物を得た。なお、リポタンパクの調整は、食品用品質改質剤Aと同様である。
(1)澱粉(日本食品加工社製、ネオビスT−100(商品名))15.68gを水道水260gに分散させた分散液
(2)コハク酸ステアリン酸モノグリセリド(花王社製「ステップSS」)0.42gを水道水66.1gに分散させ、撹拌しながら60℃まで昇温して形成させた、コハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散液
得られた混合物をニーダーに移し、47rpmで混練りし、これにグルコマンナン(清水化学社製「レオックスRS」)16.17gおよびコーン油21.56gを練ったものを加えて、さらによく混練りした。
上記の混練り物に、HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルS−1170S」)0.7gを水道水35gに分散させて60℃まで昇温して得た分散液を加え、さらに、NaPO・12HO 0.41gとNa 0.04gを水道水30gに60℃に加温溶解した水溶液を加えた。60℃で30分、さらに80℃に昇温した後に15分混練することにより、混合物700gを得た。なお、食品用品質改良剤E中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。
9.麺の調整と評価
小麦粉100部、水道水26部、食塩1部、食品用品質改良剤1部を真空ミキサーに投入し、そぼろ状(粗い粒状)になるまで練った後、この混合物を10mm、5mm、3mmの厚さに順次圧延した。これをロールに巻きつけて室温下で40分熟成した後、製麺機で麺を作り、98℃の熱風乾燥機で乾燥した。得られた麺を室温下で2時間静置した。
食品用品質改良剤として、食品用品質改良剤EまたはBを用いて得られた麺および食品用品質改良剤を添加しない麺について、以下の方法により、茹で麺の性状および麺の強度について評価を行った。結果を表5に示す。
<茹で麺の性状評価>
麺を茹でた後、茹でた麺を箸で持ち上げた際、および、麺を皿に移した後に箸で麺を持ち上げた際、の麺の状態を目視で観察し、以下の基準で判定した。
A:茹でた麺、皿に移動した麺の何れも、1本ずつの麺が単独で持ち上がる。
B:茹でた麺は箸で掻き混ぜなければ1本ずつに解れず、皿に移動した麺は塊となり1本ずつに解れない。
<麺の強度>
麺を3分間熱湯で茹でた後に採取し、レオメーター(サン科学社製「RHEO METER CR−500DX」)を用いて、引張り試験用アタッチメント(No.36)を「モード:1」の条件で、チャック間が約30mmとなるように巻きつけ、60mm/minの速度で引張り試験を行い、破断強度を測定した。各サンプルについてn=10の平均値とした。
Figure 0005515403
表5から、食品用品質改良剤Eを含有する場合は、食品用品質改良剤を含有しない場合や、食品用品質改良剤Bを含有する場合に較べて、茹で麺の性状が良好であり、かつ破断強度が高いため弾力性に優れることが分かる。
本発明の食品用品質改良剤は、製造方法が簡単であり、保存安定性に優れ、各種食品に添加した際に、化工や調理直後の食感や風味を長期間に亘って維持することができ、パン類、菓子類、惣菜類、フィリング類、麺類、和菓子類、水産練製品類などの品質改良剤として有用である。

Claims (5)

  1. 乳化剤ゲル形成物質および水を含有し、
    該ゲル形成物質が、グルコマンナンであり、
    該乳化剤が、有機酸モノグリセリドと、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤とを含有し、
    該有機酸モノグリセリド以外の乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、
    ゲル形成物質の含有量が0.01〜10質量%であり、有機酸モノグリセリドの含有量が0.01〜50質量%であり、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤の含有量が0.001〜50質量%であり、水の含有量が30〜95質量%であり、かつ、有機酸モノグリセリドがラメラ構造体を形成することを特徴とする食品用品質改良剤。
  2. さらに、糖類を含有する請求項1に記載の食品用品質改良剤。
  3. 有機酸モノグリセリドが、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる請求項1又は2に記載の食品用品質改良剤。
  4. 有機酸モノグリセリドを構成する有機酸が、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸及びフマル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3の何れか1項に記載の食品用品質改良剤。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の食品用品質改良剤を含有することを特徴とする食品。
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