以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る基板処理装置を半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理装置に適用した場合について説明する。
上記レジスト塗布・現像処理装置は、図1及び図2に示すように、基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)が例えば13枚密閉収容されたキャリア20を搬入出するためのキャリアブロックS1と、複数個例えば5個の単位ブロックB1〜B5を縦に配列して構成された処理ブロックS2と、インターフェイスブロックS3と、第2の処理ブロックである露光装置S4と、を備えている。
上記キャリアブロックS1には、複数個(例えば4個)のキャリア20を載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリア20からウエハWを取り出すためのトランスファーアームCとが設けられている。このトランスファーアームCは、処理ブロックS2のキャリアブロックS1側に配置された基板収納部を構成する棚ユニットU1に設けられた受渡しステージ(図示せず)との間でウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
キャリアブロックS1の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理ブロックS2が接続されている。処理ブロックS2は、この例では、下方側から、下段側の2段が現像処理を行うための第1及び第2の単位ブロック(DEV層)B1,B2、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜(以下「第1の反射防止膜」という)の形成処理を行うための第1の反射防止膜形成用単位ブロックである第3の単位ブロック(BCT層)B3、レジスト液の塗布処理を行うための塗布膜形成用単位ブロックである第4の単位ブロック(COT層)B4、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜(以下「第2の反射防止膜」という)の形成処理を行うための第2の反射防止膜形成用単位ブロックである第5の単位ブロック(TCT層)B5として割り当てられている。ここで上記DEV層B1,B2が現像処理用の単位ブロック、BCT層B3、COT層B4、TCT層B5が塗布膜形成用の単位ブロックに相当する。
上記DEV層B1,B2は同様に構成されており、この場合、共通に形成されている。このDEV層B1,B2は、図1に示すように、DEV層B1,B2のほぼ中央には、DEV層B1,B2の長さ方向(図中Y方向)に、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3とを接続するためのウエハWの搬送領域R1が形成されている。この搬送領域R1は直状に形成されており、この搬送領域R1内に基板搬送手段であるメインアームA1が水平移動可能に配設されている。
上記メインアームA1は、後述するこの発明に係る基板処理装置30の冷却部40,現像処理部60のスピンチャック61との間でウエハの受け渡しを行うように構成されており、このために水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
第3〜第5の単位ブロックB3〜B5は、前面側に配設され、ウエハWに対して薬液を塗布するための液処理ユニットと、背面側に配設され、上記液処理ユニットにて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種の加熱ユニット等の処理ユニット(図示せず)と、前面側に配設される上記液処理ユニットと背面側に配設される加熱ユニット等の処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うための専用の基板搬送手段であるメインアームA1と同様の構造を有するメインアーム(図示せず)を備えている。
これら単位ブロックB3〜B5は、この例では、各単位ブロックB3〜B5の間で、上記液処理ユニットと、加熱ユニット等の処理ユニットと、搬送手段との配置レイアウトが同じに形成されている。ここで、配置レイアウトが同じであるとは、各処理ユニットにおけるウエハWを載置する中心つまり液処理ユニットにおけるウエハWの保持手段であるスピンチャックの中心や、加熱ユニットにおける加熱プレートや冷却プレートの中心が同じという意味である。
また、上記塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5は、いずれも同様に構成されている。具体的には、液処理ユニットとしてウエハWに対してレジスト液の塗布処理を行うための塗布ユニット(図示せず)が設けられ、COT層B4の棚ユニット(図示せず)には、レジスト液塗布後のウエハWを加熱処理する加熱ユニットや、レジスト液とウエハWとの密着性を向上させるための疎水化処理ユニットを備えている。すなわち、塗布ユニットと加熱ユニット及び疎水化処理ユニット(ADH)とをメインアームの搬送領域(メインアームA1の水平移動領域R1と同様の領域)によって区画するように構成されている。そして、このCOT層B4では、メインアームにより、棚ユニットU1の受渡しステージと、塗布ユニットと、棚ユニットの各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。なお上記疎水化処理ユニット(ADH)は、HMDS雰囲気内でガス処理を行なうものであるが、塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5のいずれかに設けられればよい。
また、BCT層B3は、液処理ユニットとして、ウエハWに対して第1の反射防止膜の形成処理を行うための第1の反射防止膜形成ユニット(図示せず)が設けられ、棚ユニット(図示せず)には、反射防止膜形成処理後のウエハWを加熱処理する加熱ユニットを備えており、COT層B4と同様に構成されている。すなわち、第1の反射防止膜形成ユニットと加熱ユニットとをメインアームの搬送領域(メインアームA1の水平移動領域R1と同様の領域)によって区画するように構成されている。そして、この第3の単位ブロックB3では、メインアームにより、棚ユニットU1の受渡しステージと、第1の反射防止膜形成ユニットと、棚ユニットの各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
また、TCT層B5は、液処理ユニットとして、ウエハWに対して第2の反射防止膜の形成処理を行うための第2の反射防止膜形成ユニット(図示せず)が設けられ、棚ユニット(図示せず)には、反射防止膜形成処理後のウエハWを加熱処理する加熱ユニットや、周辺露光装置(WEE)を備えている以外はCOT層B4と同様に構成されている。すなわち、第2の反射防止膜形成ユニットと加熱ユニット及び周辺露光装置(WEE)とをメインアームの搬送領域(メインアームA1の水平移動領域R1と同様の領域)によって区画するように構成されている。そして、このTCT層B5では、メインアームにより、棚ユニットU1の受渡しステージと、第2の反射防止膜形成ユニットと、棚ユニットの各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
また、処理ブロックS2には、棚ユニットU1に設けられた受渡しステージとインターフェイスブロックS3側の棚ユニットU2との間でウエハWの受け渡しを行う基板搬送手段であるシャトルアーム(図示せず)が水平のY方向に移動自在及び鉛直のZ方向に昇降自在に配設されている。
なお、シャトルアームの搬送領域と上記第1〜第5の単位ブロックB1〜B5のメインアームA1等の搬送領域R1等は、それぞれ区画されている。
また、処理ブロックS2とキャリアブロックS1との間の領域は、ウエハWの受渡し領域R2となっていて、この領域R2には、図1に示すように、トランスファーアームCとメインアームA1等,シャトルアームがアクセスできる位置に基板収納部である棚ユニットU1が設けられると共に、この棚ユニットU1に対してウエハWの受け渡しを行うための基板受渡し手段をなす受渡しアームDを備えている。この場合、棚ユニットU1は、メインアームA1等,シャトルアームの水平移動方向(Y方向)の軸線上に配置されており、メインアームA1等,シャトルアームの進退方向(Y方向)に第1の開口部11が設けられると共に、受渡しアームDの進退方向(X方向)に第2の開口部12が設けられている。
また、上記棚ユニットU1は、複数の載置棚13、及びレジスト塗布前にウエハWを所定温度に調整するためや、反射防止膜形成処理前にウエハWを所定温度に調整するためや、露光処理後に加熱処理されたウエハWを所定温度に調整するための冷却板14を備えている。
また、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間の領域には、図1に示すように、後述するインターフェイスアームFとメインアームA1シャトルアームがアクセスできる位置に基板収納部である棚ユニットU2が設けられると共に、この棚ユニットU2に対してウエハWの受け渡しを行うための基板受渡し手段をなす受渡しアームEを備えている。この場合、棚ユニットU2は、棚ユニットU1と同様に第1の開口部11が設けられると共に、受渡しアームDの進退方向(X方向)に第2の開口部12が設けられている。
一方、処理ブロックS2における棚ユニットU2の奥側には、インターフェイスブロックS3を介して第2の処理ブロックである露光装置S4が接続されている。インターフェイスブロックS3には、処理ブロックS2のDEV層B1,B2の棚ユニットU2の各部と露光装置S4とに対してウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアームFを備えている。このインターフェイスアームFは、処理ブロックS2と露光装置S4との間に介在するウエハWの搬送手段をなすものであり、この例では、上記DEV層B1,B2の受渡しステージ(図示せず)に対してウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
上記のように構成されるレジスト塗布・現像処理装置では、5段に積層された各単位ブロックB1〜B5の間で、上述の受渡しアームD,Eにより、それぞれ受渡しステージを介して、自由にウエハWの受け渡しを行なうことができると共に、上述のインターフェイスアームFにより、現像処理用の単位ブロックB1,B2を介して処理ブロックS2と露光装置S4との間でウエハWの受け渡しを行うことができるように構成されている。
次に、この発明に係る基板処理装置について、図1,図3ないし図12を参照して説明する。ここでは、DEV層B1に配設される基板処理装置を代表して説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態の基板処理装置30は、メインアームA1の搬送領域R1に関して対向する位置、すなわち、キャリアブロックS1側から見た両側に対向して配設されている。
上記基板処理装置30は、露光処理後のウエハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキングユニットと称せられる加熱ユニット(加熱部50)と、ウエハWを冷却するクーリングユニット(冷却部40)と、ウエハWに対して処理液である現像液の液膜を形成する現像ユニット(基板処理部60)とを一体ユニット化したものである。
本実施形態では、基板処理装置30は、図3及び図4に示すように、断熱性を有する筐体70内に、上下位置に配設される加熱部50及び冷却部40と、冷却部40の下方に配設され、基板搬送手段であるメインアームA1から受け取ったウエハWを冷却部40に受け渡すと共に、加熱部50に近接する位置に移動する昇降可能な基板支持部材である3本の支持ピン80と、加熱部50及び冷却部40を挟んで搬送領域R1と平行な両側の対向する位置に配設される基板処理部60(以下に現像処理部60という)と、冷却部40を、加熱部50の下方位置と、現像処理部60へのウエハWの受渡し位置に移動する移動機構90と、を具備する。
また、筐体70の搬送領域R1側の側壁には、冷却部40と対向する部位に基板搬入口71が設けられ、また、現像処理部60と対向する部位に基板搬出口72が設けられており、これら搬入口71及び搬出口72は、シャッター73によって開閉可能になっている。また、筐体70内の加熱部50及び冷却部40と現像処理部60との境界には、加熱部50における熱が現像処理部60側へ伝熱されるのを防止するための熱遮蔽部材74が配設されている。この場合、熱遮蔽部材74は、図示しない駆動機構によって上下方向に可動式に形成されている。
また、筐体70における加熱部50側の天井部には排気口75が設けられており、排気口75と排気装置(図示せず)とを排気管76を介して接続されている。
このように筐体70内の加熱部50側の天井部に排気口75を設けることにより、加熱部50の加熱処理の際に発生する排気ガスを外部に排気することができる。
上記加熱部50は、温度制御可能なヒーター52を内蔵した熱板51にて形成されている。熱板51に内蔵されたヒーター52は制御手段であるコントローラ100に電気的に接続されており、コントローラ100からの制御信号に基づいて、熱板51が所定温度例えば150℃に設定可能に形成されている。
また、上記冷却部40は、ウエハWを載置して冷却する冷却プレート41にて形成されている。冷却プレート41には、基板支持部材である3本の支持ピン80、及び現像処理部60に設けられる昇降可能な基板受渡し用支持部材である3本の受渡し用支持ピン65が昇降する際の干渉を回避するための2つのスリット42,43が設けられている。この場合、2つのスリット42,43は、同心円上に配置される3本の支持ピン80及び3本の受渡し用支持ピン65のうちの2本と残りの1本とが接触することなく貫挿するように平行に設けられている(図3参照)。また、冷却プレート41は、ウエハWを常温まで冷却する機能を有するものであればよく、例えばアルミニウム等の金属製部材に厚みをもたせて吸熱により冷却させるようにしてもよい。また、冷却プレート41に冷却媒体例えば冷却水を流す流路を設けてウエハWを冷却するようにしてもよい。
なお、3本の支持ピン80は、昇降機構例えばシリンダ装置81Aの昇降ロッド82に連結する水平保持板83上に立設されており、シリンダ装置81Aの駆動によって昇降し、冷却プレート41の上方で、メインアームA1との間でウエハWを受け取り、受け渡しする受け渡し位置と、受け渡し位置より上方に移動して熱板51に近接する加熱処理位置と、受け渡し位置より下方の待機位置に移動し得るように構成されている(図4参照)。シリンダ装置81Aはコントローラ100と電気的に接続されており、コントローラ100からの制御信号に基づいて、支持ピン80を上記受け渡し位置、加熱処理位置及び待機位置に移動することができるようになっている。
一方、現像処理部60は、図3及び図4に示すように、ウエハWを水平状態に保持するスピンチャック61と、スピンチャック61を鉛直軸回りに回転する駆動モータ62と、スピンチャック61に保持されたウエハWの周囲を囲むカップ63と、スピンチャック61に保持されたウエハWの表面に現像液を供給(吐出)する現像ノズル66及びウエハWの表面に洗浄液例えば純水を供給(吐出)する洗浄ノズル67とを具備している。この場合、現像ノズル66と洗浄ノズル67は、スピンチャック61の外方の加熱部50と反対側の位置に待機しており、例えばボールねじやタイミングベルト等にて形成されるノズル移動機構68によって水平のY方向に移動可能なノズルアーム68a,68bに装着されている。そして、ノズル移動機構68の駆動によってスピンチャック61の外方の待機位置とウエハW中心部上方位置に移動するように構成されている。上記駆動モータ62とノズル移動機構68はコントローラ100に電気的に接続されており、コントローラ100からの制御信号に基づいて制御されるようになっている。
また、現像処理部60には、上述した3本の受渡し用支持ピン65と、この受渡し用支持ピン65を昇降する昇降機構例えばシリンダ装置81Bが配設されている。この場合、3本の受渡し用支持ピン65は、シリンダ装置81Bの昇降ロッド82に連結する水平保持板83上に立設されており、シリンダ装置81Bの駆動によって昇降し、スピンチャック61の上方で、メインアームA1との間でウエハWを受け渡しする受け渡し位置と、受け渡し位置より下方の待機位置に移動し得るように構成されている(図4参照)。シリンダ装置81Bはコントローラ100と電気的に接続されており、コントローラ100からの制御信号に基づいて、受渡し用支持ピン65を上記受け渡し位置と待機位置に移動することができるようになっている。
次に、上記冷却プレート41の移動機構90について説明する。移動機構90は、図3,図5ないし図7に示すように、直線状に配設された、加熱部50(熱板51)及び冷却部40(ウエハWの受け渡し位置の冷却プレート41)と、両現像処理部60のスピンチャック61に対して平行方向に冷却プレート41を移動する水平移動部91と、冷却プレート41を鉛直方向に移動する昇降部92と、冷却プレート41を加熱部50(熱板51)の下方のウエハ受け渡し位置と、この受け渡し位置から基板搬入口71と反対側に後退位置に移動させる進退移動部93とで構成されている。
この場合、水平移動部91は、直線状に配設された加熱部50(熱板51)及び冷却部40(ウエハWの受け渡し位置の冷却プレート41)と、両現像処理部60のスピンチャック61に対して平行方向に配置されるガイドレール91aと、ガイドレール91aと平行に配設され、一端が駆動プーリ91bに掛け渡され、他端が従動プーリ91cに掛け渡された無端状のタイミングベルト91dと、駆動プーリ91bを駆動するモータ91eとを具備する。このように構成される水平移動部91のタイミングベルト91dを、ガイドレール91aに摺動自在に配設される摺動台91fを連結し、摺動台91fに立設される中空支持柱91gに昇降部92及び進退移動部93を介して取り付けられる冷却プレート41を直状に配設された冷却部40と現像処理部60に対して平行方向に移動することができる。なお、この場合、水平移動部91をタイミングベルト91dに代えてボールねじを用いてもよい。
なお、昇降部92は、図5及び図6に示すように、中空支持柱91g内に配設されるボールねじにて構成されており、ボールねじ軸92aに摺動可能に装着される昇降ブロック92bにブラケット92cを介して進退移動部93が水平に取り付けられている。進退移動部93は、ブラケット92cに固定された水平フレーム93aの両端部に装着される駆動プーリ93bと従動プーリ93cに掛け渡されるタイミングベルト93dと、駆動プーリ93bを駆動するモータ(図示せず)とで構成されている。このように構成される進退移動部93のタイミングベルト93dにブラケット93eを介して冷却プレート41が連結されている。なお、昇降部92をボールねじ機構に代えてタイミングベルトにしてもよく、また、進退移動部をタイミングベルト93dに代えてボールねじにしてもよい。
上記のように構成される冷却プレート41の移動機構90の各駆動部である水平移動部91,昇降部92及び進退移動部93は制御手段であるコントローラ100と電気的に接続されており、コントローラ100からの制御信号に基づいて、冷却プレート41を加熱部50の下方のウエハWの受け渡し位置に対して進退移動することができると共に、受け渡し位置から後退した冷却プレート41を現像処理部60のスピンチャック61の上方位置に対して進退移動することができる。
次に、第1実施形態の基板処理装置30の動作態様について説明する。
(S−1)まず、露光装置S4によって露光処理されたウエハWがメインアームA1によって基板処理装置30の基板搬入口71を介して筐体70内に搬入されると、支持ピン80が上昇してウエハWを受け取る。ウエハWを受け渡したメインアームA1は筐体70外に後退し、基板搬入口71のシャッター73が閉じる。
(S−2)支持ピン80が下降してウエハWを冷却プレート41に載置してウエハWを常温(例えば、23℃)まで冷却する(第1の冷却工程)。
(S−3)次に、支持ピン80が上昇して、冷却プレート41上のウエハWを支持し、上方に移動して熱板51の下面の近接位置に移動する。この状態で所定温度例えば150℃に設定された熱板51からの温度で、ウエハWは例えば7.5秒〜10秒間加熱処理(PEB処理)される(加熱工程)。
(S−4)加熱処理(PEB処理)された後、支持ピン80が下降してウエハWを冷却プレート41上に載置し、冷却プレート41によって加熱されたウエハWの温度を一気に常温まで冷やして、次の現像処理に移る前のウエハWの温度を一定に維持する(第2の冷却工程)。
(S−5)次に、移動機構90の駆動により、ウエハWを載置する冷却プレート41がウエハWの受け渡し位置から基板搬入口71側と反対側に後退し、隣接するいずれか一方の現像処理部60に移動した後、現像処理部60のスピンチャック61の上方位置に冷却プレート41を移動する(現像処理部への移動工程)。
(S−5)冷却プレート41がスピンチャック61の上方に移動されると、シリンダ装置81Aが駆動して、受渡し用支持ピン65が上昇して冷却プレート41上のウエハWを支持して冷却プレート41の上方に移動する。ウエハWを受け渡した冷却プレート41はスピンチャック61の上方から後退した後、初期位置すなわち熱板51の下方位置に移動し、次のウエハWの受け渡しに備える。
(S−6)冷却プレート41からウエハWを受け取った受渡し用支持ピン65は下降して、ウエハWをスピンチャック61上に載置する。スピンチャック61に保持されたウエハWは、スピンチャック61により回転され、ウエハ表面に現像ノズル66から供給(吐出)される現像液の液膜が形成され、洗浄ノズル67から供給(吐出)される洗浄液(純水)によって洗浄される(現像処理工程)。
(S−7)現像処理が終了した後、受渡し用支持ピン65が上昇してスピンチャック61上のウエハWを上方に移動し、基板搬出口72を介して筐体70内に進入するメインアームA1にウエハWを受け渡した後、受渡し用支持ピン65が下降する一方、メインアームA1は受け取ったウエハWを筐体70の外に搬出し、棚ユニットU1の受渡しステージに搬送する。
棚ユニットU1の受渡しステージに搬送されたウエハWは、トランスファーアームCによってキャリア20内に収納される。
なお、上述したように、ウエハWの加熱処理(PEB処理)に要する時間は、7.5秒〜10秒と、従来の加熱処理(PEB処理)に要する時間(約60秒)に比べて短い時間であるので、現像処理中に後続する露光済みのウエハWの第1の冷却工程、加熱処理工程(PEB処理工程)、第2の冷却工程を行って、別の現像処理部60に搬送して現像処理を同時に行うことができる。これによりスループットの向上が図れる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、加熱部50を、温度制御可能なヒーター52を内蔵した熱板51にて形成する場合について説明したが、第2実施形態の基板処理装置30Aでは、加熱部は光照射を利用した光照射加熱源55にて形成する。
第2実施形態の基板処理装置30Aは、図8に示すように、第1実施形態と同様に形成された筐体70内に配設される加熱部50Aが、同一平面上に配列される複数の発光ダイオード53(以下にLED53という)と、LED53への給電制御を行う制御電源54を具備する光照射加熱源55にて形成されている。この場合、LED53は、ウエハWを加熱することができる波長、例えば赤外線の波長を出力するものであればよい。
光照射加熱源55は、図9ないし図12に示すように、絶縁性を有する高熱伝導性材料、典型的にはAlNセラミックスからなる支持体56aと、支持体56aに電極56bを介して支持された多数のLED53と、支持体56aの裏面側に接合された高熱伝導性材料である銅または銅合金製の熱拡散部材56cとで構成された複数のLEDアレイ56を具備している。支持体56aには例えば銅に金メッキした導電性の高い電極56bがパターン形成されており、電極56bにLED53が導電性で高熱伝導性の接合材57aにより接合されている。また、支持体56aと熱拡散部材56cとは高熱伝導性の接合材57bにより接合される。高熱伝導性の接合材57a,57bとしては、信頼性の高いハンダや、より熱伝導率の高い銀ペーストを用いることが好ましい。
LEDアレイ56の裏面側の熱拡散部材56cと冷却部材56dとは、これらの間に高熱伝導性の接合材57cが介在された状態でねじ止めされている。接合材57cとしては、シリコングリースを好適に用いることができる。
このような構成により、LED53で発生した熱を、高熱伝導性の接合材57a、電極56b、支持体56a、高熱伝導性の接合材57b、熱拡散部材56c、高熱伝導性の接合材57cという熱伝導性の良好な経路を通って冷却部材4に極めて効果的に逃がすことができる。
一つのLED53と隣接するLED53の電極56bとの間はワイヤ56eにて接続されている。また、支持体56aの表面の電極56bが設けられていない部分には例えばTiO2を含有する反射層56fが設けられており、LED53から支持体56a側に射出された光を反射させて有効に取り出すことができるようになっている。反射層56fの反射率は0.8以上であることが好ましい。
隣接するLEDアレイ56の間には、例えばCu板に金メッキを施した反射板58が設けられており、これによりLEDアレイ56の全周が反射板58に囲まれた状態となっている。
個々のLED53は例えば透明樹脂からなるレンズ層56gで覆われている。レンズ層56gはLED53から射出する光を取り出す機能を有するものであり、LED53の側面からの光も取り出すことができる。このレンズ層56gの形状はレンズ機能を有すれば特に限定されるものではないが、製造の容易性および効率を考慮すると、略半球状が好ましい。このレンズ層56gは、屈折率の高いLED53と屈折率が1の空気との間の屈折率を有しており、LED53から空気中に光が直接射出されることによる全反射を緩和するために設けられる。
支持体56aと光透過部材59との間の空間は真空引きされており、光透過部材59の両側(上面と下面)が真空状態となる。したがって、光透過部材59が大気状態と真空状態との仕切りとして機能する場合よりも薄く構成することができる。
冷却部材56dの上方には、LED53への給電制御を行うための制御電源54が設けられており、制御電源54は制御手段であるコントローラ100に電気的に接続されており、LED53への給電を制御するようになっている。例えば、コントローラ100による制御によってLED53の印加電流を300mA〜400mAに設定することができる。
LEDアレイ56は図11に示すように六角状をなし、その3辺に反射板58が設けられている。そして、複数のLEDアレイ56が例えば図12に示すように隙間無く配置される。このとき、一つのLEDアレイ56の反射板58が設けられていない辺に、隣接するLEDアレイ56の反射板58が設けられている辺が来るようにして全てのLEDアレイ56が反射板58に囲まれた状態となるようにされる。これにより、反射板58が重なることがなく、LEDアレイ56の配置個数を最大にすることができる。
一つのLEDアレイ56には、1000〜2000個程度のLED53が搭載される。LED53としては、射出される光の波長が紫外光〜近赤外光の範囲、好ましくは0.36〜1.0μmの範囲のものが用いられる。このような0.36〜1.0μmの範囲の光を射出する材料としてはGaN、GaAs、GaP等をベースとした化合物半導体が例示される。この中では、特に加熱対象として用いられるシリコン製のウエハWに対する吸収率の高い950〜970nm付近の放射波長を有するGaAs系の材料からなるものが好ましい。
第2実施形態では、加熱部50Aを複数のLED53と、LED53への給電制御を行う制御電源54を具備する光照射加熱源55にて形成する場合以外は第1実施形態と同じであるので、その他の部分は同一符号を付して説明は省略する。
上記のように構成される第2実施形態では、メインアームA1によって搬送されたウエハWを冷却プレート41によって冷却(第1の冷却工程)した後、支持ピン80を上昇させてウエハWを加熱部50A(光照射加熱源55)に近接させて加熱処理する際、光照射加熱源55のLED53の印加電流を300mA〜400mAに設定し、加熱時間を2.5秒とすることによってウエハWの加熱処理(PEB処理)を行う。
加熱処理(PEB処理)されたウエハWは、支持ピン80の下降によって冷却プレート41上に載置されて一気に常温まで冷却されて、次の現像処理に移る前のウエハWの温度を一定に維持する(第2の冷却工程)。
以後、第1実施形態と同様に、移動機構90の駆動により、ウエハWを載置する冷却プレート41がウエハWの受け渡し位置から基板搬入口71側と反対側に後退し、隣接するいずれか一方の現像処理部60に移動した後、現像処理部60のスピンチャック61にウエハWを受け渡して現像処理する(現像処理工程)。
第2実施形態においては、ウエハWの加熱処理(PEB処理)に要する時間は、2.5秒と、従来の加熱処理(PEB処理)に要する時間(約60秒)に比べて極端に短い時間であるので、第1実施形態と同様に、現像処理中に後続する露光済みのウエハWの第1の冷却工程、加熱処理工程(PEB処理工程)、第2の冷却工程を行って、別の現像処理部60に搬送して現像処理を同時に行うことができる。
また、第2実施形態においては、ウエハWを加熱処理(PEB処理)していないタイミングで、光照射加熱源55のLED53の印加電流を設定以上にして温度を高めることにより、セルフクリーニングを行うことができ、加熱処理(PEB処理)により発生する昇華物{ウエハWの表面に形成されたレジスト膜に含有される酸発生剤例えばPAG(Photoacid generator)やレジストを構成する低分子樹脂等}のような異物を、筐体70、熱遮蔽部材74及び光透過部材59から除去し、排気口75から排気することができる。
また、第2実施形態においては、ウエハWに合わせた波長とレジストの材料に合わせた波長の複数のLEDをLED53に搭載することで、ウエハWとレジストを同時に加熱でき、より効率的な加熱処理(PEB処理)を行うことができる。
<その他の実施形態>
上記実施形態では、冷却部40を冷却プレート41にて形成すると共に、移動機構90によって冷却プレート41を現像処理部60に搬送する場合について説明したが、冷却部40を固定式の冷却プレートにし、別途に設けた搬送手段によって冷却部40のウエハWを現像処理部60に搬送するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ウエハWを基板搬送手段であるメインアームA1によって冷却部40に搬送し、ウエハWを加熱部50で加熱処理(PEB処理)し、冷却部40によって冷却した後、搬送手段(移動機構90又はメインアームA1)によってウエハWを現像処理部60に搬送して、現像処理、洗浄及び乾燥処理を連続的に行う場合について説明した。しかし、この発明に係る基板処理装置(方法)は、上記連続処理に限定されるものではなく、加熱処理(PEB処理)と現像処理と洗浄処理及び乾燥処理を別々に行う、複数枚のウエハWを一括して処理するバッチ式にも適用できる。
上記バッチ方式の基板処理装置としては、例えば図13に示すように、冷却部40と加熱部50と基板支持部材(図示せず)を具備する複数(図面では3個の場合を示す)の加熱処理ユニット(PEB処理ユニット)200と、貯留された現像液Rにより一括して現像処理を行う現像処理バッチ槽300と、現像処理後のウエハWに洗浄液(純水DW)を供給して洗浄処理を行い、ドライガスDGによる乾燥によって乾燥処理を行う洗浄・乾燥処理バッチ槽400と、加熱処理ユニット(PEB処理ユニット)200へのウエハWの搬送及び加熱処理ユニット(PEB処理ユニット)200によって加熱処理(PEBU処理)されたウエハWを加熱処理ユニット(PEB処理ユニット)200から搬出し、現像処理バッチ槽300に搬送する第1の基板搬送手段500と、現像処理されたウエハWを現像処理バッチ槽300から搬出し、洗浄・乾燥処理バッチ槽400へ搬送する第2の基板搬送手段600と、を具備する構造とすることができる。
なお、上記説明では、洗浄処理と乾燥処理を洗浄・乾燥処理バッチ槽400で行う場合について説明したが、洗浄処理と乾燥処理を別のバッチ槽で行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、半導体ウエハの露光後の加熱処理(PEB処理)、冷却処理、現像処理について説明したが、この発明に係る基板処理装置(基板処理方法)は、フラット・パネル・ディスプレー基板(FPD基板)の露光後の処理にも適用できることは勿論である。
次に、この発明に係る基板処理装置(基板処理方法)の評価実験について説明する。
<評価実験1>
実験条件
・加熱源:熱板
・レジスト:ArF液浸レジスト
・マスク:45nm 1:1
・露光量:21mJ/cm2
で露光後、表1に記載した温度.時間にて加熱し、冷却板で冷却した後、現像ノズル(GPノズル)で現像を行った。現像後のレジストパターンを線幅走査型電子顕微鏡(CD−SEM)にて観察したところ、表1に示すような結果が得られた。
上記実験の結果、従来の比較例1の条件では、線幅46.9nmのパターンが形成された。これに対して、実施例1の条件では、線幅46.3nm,実施例2の条件では、線幅40.4nmのパターンが形成され、通常の比較例1と同程度の線幅のパターンが形成できる。これにより、加熱温度を通常より35℃高め、加熱時間を通常より52.5秒又は50秒短くして、同程度の線幅が得られることが判った。
<評価実験2>
・加熱源:熱板(比較例2)、LED(実施例3,実施例4)
・レジスト:EUVレジスト
・マスク:150nm 1:1
・露光量:21mJ/cm2
でKrF露光機で露光後、従来の比較例2は95℃、60秒を熱板で加熱し、冷却板で冷却した。その後現像ノズル(LDノズル)で現像した。比較例3,4は、露光後、2.5秒間LEDを照射し、室温で自然冷却後、現像ノズル(LDノズル)で現像した。現像後のレジストパターンを線幅走査型電子顕微鏡(CD−SEM)にて観察したところ、表2に示すような結果が得られた。
上記実験の結果、従来の熱板を用いた比較例2の条件では、線幅151nmのパターンが形成された。これに対して、LEDを用いた実施例3の条件では、線幅191nm,実施例4の条件では、線幅102nmのパターンが形成できる。これにより、LEDの電流値を最適化すれば任意の線幅が得られることが推測でき、従来の熱板を用いた比較例2と同程度の線幅を得る場合において加熱時間を極端に短縮できることが判った。