本発明に係る食器乾燥機の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機を示した外観斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機から食器カゴを除いて示した外観斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の乾燥室内における排水の様子を示した正面の断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の本体内部を示した平面図である。
なお、図1は蓋体11が閉じた状態、図2は蓋体11が開いた状態を示す。
本実施形態に係る食器乾燥機1は、主に本体10、本体10とともに乾燥室13を形成する蓋体11、蓋体11を本体10に開閉自在に支持させるヒンジ15、ヒンジ15に配置されて蓋体11の開閉状態を検知する開閉検知部16、食器カゴ18および操作部19を備える。本体10と蓋体11とは乾燥室13を形成する。食器カゴ18は、この乾燥室13に配置され、食器などの被乾燥物を収納する。
蓋体11は、ヒンジ15により本体10に支持された透明合成樹脂製の固定蓋体11aと前面蓋体11bと中間蓋体11cとからなる。固定蓋体11aは本体10に固定される。一方、前面蓋体11bと中間蓋体11cとはヒンジ15を軸に順次回転する。図2に示すように、蓋体11は、開いた状態においては重なり合って収納される。また、図1に示すように、蓋体11は閉じた状態においては前面蓋体11bと中間蓋体11cとが食器乾燥機1手前に順次回転し、乾燥室13を密閉する。
なお、本実施形態においては、蓋体11の開口部側を手前(正面)側、蓋体11の固定部側を奥側という。また、手前側および奥側と直交する面を、それぞれ側面という。
食器カゴ18は、例えばステンレス製であり、乾燥室13に取り外し自在に配置される。また、食器カゴ18内には、箸やスプーンなどの食器を立てて収納するスタンド21が配置される。
本体10は、例えば合成樹脂製の矩形の容器状をなし、乾燥室13底面を形成する仕切板32によって本体10内部と乾燥室13とが仕切られている。なお、本体10内部は、乾燥室13以外の空間であり、仕切板32より下部をいう。図3に示すように、仕切板32は、乾燥室13で発生した水分(被乾燥物に付着した水分)を本体10内部に排水する排水孔33を有する。仕切板32は、排水孔33に水分を流れ込ませるため、排水孔33が設けられた位置が最も低くなる(本体10の底面に近くなる)ような傾斜を有する。排水孔33から排水された水分は、本体10内部に配置された水受カップ34に回収される。
図2に示すように、本体10は、食器乾燥機1の図示右手前側に引出41を有する。引出41には、静電ミスト発生装置43(マイナスイオン発生装置)を収納する収納室41aおよび送風機44の吸気口41bが設けられる。静電ミスト発生装置43は、被乾燥物および乾燥室13の除菌作用を有する静電ミスト(マイナスイオンによって帯電したミスト)を発生させる装置である。この静電ミスト発生装置43および引出41の構成については後述する。
なお、食器乾燥機1は、引出41に静電ミスト発生装置43の収納室41aと吸気口41bとを一体に備える。また、静電ミスト発生装置43(引出41)は、本体10内部において送風機44およびヒータ45を介して排水孔33(水受カップ34)と対向する位置に配置されるのが好ましい。例えば、図4に示すように、静電ミスト発生装置43が本体10内部の右側、排水孔33が左側に設けられる。静電ミスト発生装置43を設けたこと、および他の本体10の内部構成物との関係により、排水孔33近傍に設置される水受カップ34の容量を減少させないためである。
図4に示すように、本体10内部には送風機44、ヒータ45、静電ミスト発生装置43が主に設けられる。
送風機44は、モータ44aとこのモータ44aにより回転するファン44bを備える。送風機44は、引出41に設けられた吸気口41bより吸気された空気をヒータ用風路47および静電ミスト用風路48に送風する。ヒータ用風路47および静電ミスト用風路48は、本体10内部に設けられる。ヒータ用風路47は、ヒータ45に空気を送風するための風路である。静電ミスト用風路48は、静電ミスト発生装置43に空気を送風するための風路である。静電ミスト用風路48は、静電ミストを乾燥室13に運ぶために十分な量の送風を行うことができればよいため、ヒータ用風路47よりも風量が小さくなるように構成される。
ヒータ45により加熱された空気は、ヒータ用風路47から送風された空気によって温風吹出口49(図2参照)より吹き出され、乾燥室13の被乾燥物を乾燥させる。また、静電ミスト発生装置43で発生した静電ミストは静電ミスト用風路48から送風された空気とともに静電ミスト吹出口50(図2参照)より吹き出される。この静電ミストは、乾燥室13内に供給されて被乾燥物および乾燥室13を除菌する。
なお、静電ミスト用風路48は、風路幅を可変式にし、風路幅の調整により風量を調整するようにしてもよい。ヒータ用風路47と静電ミスト用風路48は、ヒータ45の下流で分岐してもよい。ヒータ用風路47と静電ミスト用風路48は、独立ではなく共通の風路であってもよい。この場合、静電ミスト発生装置43をヒータ45よりも下流側に配置させることが好ましい。
図2に示すように、本体10は、温風吹出口49を乾燥室13の奥壁面10aに、静電ミスト吹出口50を右側壁面10bに有する。静電ミスト吹出口50は、温風吹出口49(温風吹出口49が設けられた奥壁面10a)の近傍に設けられるのが好ましい。静電ミスト吹出口50から吹き出された静電ミストが温風吹出口49から吹き出された温風によって運ばれるため、静電ミストを乾燥室13内に充満させることができ、除菌性能を高く保つことができる。なお、温風吹出口49と静電ミスト吹出口50とは、同一平面(例えば乾燥室13の奥壁面10a)に設けてもよい。
また、温風吹出口49と静電ミスト吹出口50は、本体10における食器カゴ18の食器載置面より下方位置であって、食器カゴ18底面と仕切板32との間に配置される。被乾燥物などの障害物が存在しないため、温風吹出口49と静電ミスト吹出口50は、温風および静電ミストを効率よく乾燥室13内全体に充満させることができる。
本体10には使用者が各種指示入力を行うための操作部19が設けられる。
図5は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機に設けられた操作部の一例を示した図である。
図5に示すように、食器乾燥機1の操作部19は、入/切ボタン51、乾燥時間設定ボタン53aおよび除菌乾燥ボタン53bを備える。入/切ボタン51は、食器乾燥機1の電源を入れたり切ったりする指示を受け付ける。乾燥時間設定ボタン53aは、乾燥運転の運転時間の設定を受け付ける。乾燥時間設定ボタン53aは、入力を受け付けるごとに例えば20分、40分、60分と設定値が変化する。除菌乾燥ボタン53bは、温風による乾燥のみを行う「乾燥運転コース」と、温風による乾燥と静電ミストによる除菌とを行う「乾燥・除菌運転コース」との2つの運転コースを切り替える指示を受け付ける。各運転コースの詳細な説明は後述する。
操作部19は、給水確認ランプ54、乾燥運転ランプ55および除菌運転ランプ56を有する。給水確認ランプ54は、静電ミスト発生装置43のタンク61に対する給水を通知するランプである。乾燥運転ランプ55は、乾燥運転の運転時間を通知するランプである。乾燥運転ランプ55は、設定された運転時間が20分であることを示す20分ランプ55a、40分であることを示す40分ランプ55b、60分であることを示す60分ランプ55cを有する。除菌運転ランプ56は、乾燥運転とともに除菌運転が行われる旨を示すランプである。
図6は、本発明に係る食器乾燥機のヒンジおよび開閉検知部を示した斜視図である。
図7は、本発明に係る食器乾燥機のヒンジおよび開閉検知部を示した斜視断面図である。
図8は、本発明に係る食器乾燥機のヒンジを示した断面図である。
図9から図11は、本発明に係る食器乾燥機の開閉検知部を示した断面図である。
なお、図9は蓋体11を全開に開いた状態を示した図であり、図10は蓋体11を閉じる途中もしくは開く途中を示した図であり、図11は蓋体11を閉じた状態を示した図である。
先ず、図6から図8に示すように、食器乾燥機1のヒンジ15は、本体10に固定された固定蓋体11aに形成された内スリーブ61と、中間蓋体11cに形成された中スリーブ62と、前面蓋体11bに形成されたジャーナル軸受部63と、前面蓋体11bに固定された回転規制部材65と、を備える。ヒンジ15は、内スリーブ61の外周に重ねられた中スリーブ62によって固定蓋体11aに中間蓋体11cを開閉自在に軸支させる。また、ヒンジ15は、中スリーブ62の外周をジャーナル部とするジャーナル軸受部63によって固定蓋体11aに中間蓋体11cを介して前面蓋体11bを軸支させる。
図9から図11に示すように、回転規制部材65は、ヒンジ15の回転中心を囲む環状部材であり、ジャーナル軸受部63とともに回転一体の係止突起66、67を備える。一方、中間蓋体11cは、係止突起66、67に対応させた係止突起68を備える。これら係止突起66、67と係止突起68とは、蓋体11を開くときまたは閉じるときに適宜の回転位相で引っ掛かり合い中間蓋体11cおよび前面蓋体11bの開閉を一旦規制して蓋体11が勢いよく開いたり閉じたりすることを防ぐ。他方、これら係止突起66、67と係止突起68とは、蓋体11を開閉させる力が適宜に強くなると引っ掛かりが外れて中間蓋体11cおよび前面蓋体11bの規制を解除して開閉を許す。
一方、図6から図11に示すように、食器乾燥機1の開閉検知部16は、蓋体11の開閉動作に連動された作用部71と、作用部71に押圧されて移動し蓋体11の開閉状態を検知する押圧部72と、本体10の外面よりも突出させて配置されるとともに押圧部72を摺動自在に保持するスリーブ73と、押圧部72連動させて揺動するアーム75と、アーム75によって接点が開閉されるマイクロスイッチ76(開閉器)と、を備える。
また、開閉検知部16は、アーム75およびマイクロスイッチ76が収容されたスイッチボックス77を備える。
作用部71は、ヒンジ15の回転規制部材65に形成された舌片であり、蓋体11(より詳しくは、前面蓋体11b)の開閉に連動してヒンジ15の回転軸芯の回りを旋回する。また、作用部71は、蓋体11が全閉位置に近づくと、ヒンジ15の回転軸芯から遠ざかる方向へ徐々にまたは段階的に押圧部72を押圧する押圧面71aを有するカムである。開閉検知部16は、作用部71の形状を適宜に調整(作用部71の旋回方向へ押圧面71aを適宜に延長もしくは短縮させる)ことで蓋体11が全閉したことを検知する蓋体11の開度および検知に係る遊びを適宜に設定できる。
押圧部72は、棒状に形成されて、その移動方向である長手方向を上下に指向させるとともにスイッチボックス77の内側から本体10の内外を貫通させてヒンジ15の下方に配置される。押圧部72は、蓋体11が全閉位置に近づくと作用部71によってヒンジ15の回転軸芯から遠ざかる方向へ徐々にまたは段階的に押し下げられて本体10の内側へと移動する。また、押圧部72は、コイルスプリングなどの弾性体78によってヒンジ15の回転軸芯方向へ付勢される。弾性体78の付勢力は、作用部71による押圧力よりも十分に小さい。
スリーブ73は、スイッチボックス77の外側に設けられた支柱によって保持される。スリーブ73は、本体10の貫通孔10cに配置されて棒状の押圧部72を摺動自在に保持しつつ、押圧部72と本体10との隙間を埋めて水分などの異物が本体内に侵入することを防ぐとともに、押圧部72を円滑に上下動させる。
アーム75は、スイッチボックス77内に揺動自在に支持されるとともに押圧部72に連結される。アーム75は、作用部71による押圧部72の移動(上下動)をアーム75の揺動軸芯回りの回転運動に変換する。また、アーム75は、揺動する自由端側を屈曲させて揺動軸芯よりも上方へ指向させて形成される。
マイクロスイッチ76は、押圧部72の側方に配置されており、かつアーム75の揺動軸よりも上方に配置される。マイクロスイッチ76は、アーム75の揺動によって開閉される接点を有する。
スイッチボックス77は、マイクロスイッチ76を保護する覆いであり、その内部空間を2つの空間に仕切る区画壁81を備える。区画壁81は、スイッチボックス77の天壁から略鉛直方向に垂下された壁であり、スイッチボックス77内を押圧部72およびアーム75の揺動軸に近い側が収容されたリンク機構収容室82と、マイクロスイッチ76とアーム75の自由端側が収容されたスイッチ室83と、に区画する。区画壁81は、万一、押圧部72を伝わるなどしてスイッチボックス77内に水分が侵入しても、これがマイクロスイッチ76に到達することを防ぐ。
このように構成された食器乾燥機1の開閉検知部16は、蓋体11の開閉状態をカムとしての作用部71と、リンク機構としての押圧部72およびアーム75と、を順次に介してマイクロスイッチ76に伝達し、その接点を電気的に開閉させる。
図12は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機を示した機能ブロック図である。
図12に示すように、本実施形態に係る食器乾燥機1は、タイマ88、メモリ89および電源投入検知部91を有する。各ランプの点灯制御は、制御部87により行われる。タイマ88は、後述する乾燥運転および除菌運転を行う際に必要な時間などの計測を行う。メモリ89は、前回の運転コースや静電ミスト発生装置43が設置されてからの経過期間を記憶する。電源投入検知部91は、電源プラグ(図示せず)が家庭用コンセントに差し込まれ、食器乾燥機1に電源が投入されたか否かを検知する。
図13は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の静電ミスト発生装置の電源供給系統を示した概略的な回路図である。
図13に示すように、食器乾燥機1は、交流電源Eに接続された制御部87から高電圧電源92を経て静電ミスト発生装置43に電力を供給する。
高電圧電源92は、例えば約4kVから約10kVのDCマイナス電圧を発生させる電源であり、食器乾燥機1の本体10内部の所定位置に配置される。
静電ミスト発生装置43は、高電圧電源92の負極に電気的に接続される。
そして、開閉検知部16のマイクロスイッチ76は、制御部87と高電圧電源92とを電気的に接続させる一方の電力線93に設けられる。開閉検知部16は、蓋体11が閉じられた状態にあるとき、マイクロスイッチ76の接点を閉じて制御部87と高電圧電源92とを導通させる。他方、開閉検知部16は、蓋体11が開かれた状態にあるとき、マイクロスイッチ76の接点を開いて制御部87と高電圧電源92との回路を遮断させる。
また、食器乾燥機1は、高電圧電源92を跨いで静電ミスト発生装置43と制御部87とを電気的に接続(直結)させる抵抗95を備える。静電ミスト発生装置43は、高電圧電源92の動作の如何に関わらず抵抗95によって制御部87を経て接地される。抵抗95は、約10MΩから約500MΩの範囲の電気抵抗を有し、約100MΩの電気抵抗を有することが好適である。
次に、引出41およびこの引出41に収納された静電ミスト発生装置43について説明する。
図14は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の引出および静電ミスト発生装置の外観を示した斜視図である。
図14に示すように、送風機44の吸気口41bは、引出41の手前側に設けられる。吸気口41bには、吸気フィルタ96が取り外し可能に配置される。静電ミスト発生装置43を収納する収納室41aは、引出の奥側に設けられる。静電ミスト発生装置43は、収納室41aから取り外し可能に配置される。
図15は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の静電ミスト発生装置を示した分解斜視図である。
図15に示すように、静電ミスト発生装置43は、主にタンク61、汲水芯97、保水体98、接続電極99、ミスト発生電極101を備える。
タンク61は、水道水などの水を所定量貯水する。タンク61は、パッキン102を介してタンク蓋103により密閉される。タンク蓋103は、タンク61に対して取り外し可能になっており、使用者により適宜給水が可能である。タンク蓋103には、挿通孔103aが設けられる。ミスト発生電極ケース105に保持された汲水芯97は、この挿通孔103aからタンク61内の水に浸される。ミスト発生電極ケース105には、吸水性および保水性を有する保水体98が配置される。保水体98は汲水芯97と接しており、汲水芯97によりタンク61から汲まれた水を保持する。保水体98は、例えばセラミックス材料、合成樹脂材料もしくは金属材料の多孔体、または繊維体により形成される。
ミスト発生電極101は、保水体98に対して上部に突出するように配置される。ミスト発生電極101は、ミスト発生電極台106に保持された状態で配置される。ミスト発生電極101は、棒状体に形成され、例えばセラミックス繊維、有機繊維、金属繊維により形成される。ミスト発生電極101は、静電ミストの放出量に応じて複数本設けられる。なお、食器乾燥機1の高さ方向に伸びたミスト発生電極101および汲水芯97の高さは、食器乾燥機1機体の寸法に影響を及ぼす。このため、ミスト発生電極101および汲水芯97の高さをできる限り抑制することにより、食器乾燥機1機体の高さを抑制できコンパクト化を実現することができる。ミスト発生電極101は、例えば14mm以下の高さであることが好ましい。汲水芯97は、例えば35mm以下の高さであることが好ましい。
ミスト発生電極ケース105には、高電圧電源92の負極と接続可能な接続電極99が保持される。接続電極99は保水体98に接続され、保水体98を負に帯電させる。
静電ミスト発生装置43のタンク蓋103より上部の構成(ミスト発生電極ケース105、汲水芯97、保水体98、ミスト発生電極台106、ミスト発生電極101および接続電極99)は、電極カバー107により覆われる。電極カバー107は、引出41の挿入方向に伸びた接続電極99をカバーする突起部107aを有する。この突起部107aは、本体10内に設けられた静電ミスト発生装置検知スイッチ108(後述)と接触し、静電ミスト発生装置43の設置の有無を検知させる構造(機能)を有する。電極カバー107に静電ミスト発生装置検知スイッチ108と接触する構造を持たせることで、構造の簡素化を図ることができる。
なお、静電ミスト発生装置43の構成については、例えば特開2006−212156号公報(機能性成分含有ミストの発生装置)および特開2008−212887号公報(静電霧化装置)に記載された技術を適用することができる。
図16は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の本体内部と静電ミスト発生装置との関係を示した縦断面図である。
本体10内部には、高電圧電源92の負極と接続された接続端子109が接続電極99に対応する位置に配置される。接続端子109は、安全上の観点から接続端子ケース111に覆われている。また、接続端子ケース111よりさらに本体10内部の奥側には、静電ミスト発生装置43が引出41とともに本体10に設置されたことを検知する静電ミスト発生装置検知スイッチ108(検知部)が設けられる。
静電ミスト発生装置検知スイッチ108は、スイッチシャフト112およびマイクロスイッチ113を備える。スイッチシャフト112は、引出41の出し入れ方向(図9の矢印A方向)に移動可能となっている。スイッチシャフト112は、静電ミスト発生装置43が設置されて電極カバー107の突起部107aにより本体10奥方向(図示右方向)に押し出されると、マイクロスイッチ113のレバーに接触する。これによりマイクロスイッチ113はオンし、静電ミスト発生装置43の装着を検知する。
静電ミスト発生装置43は、引出41とともに本体10に設置されると、接続電極99が接続端子109と接触する。また、電極カバー107の突起部107aがスイッチシャフト112と接触しマイクロスイッチ113により静電ミスト発生装置43の設置が検知される。すると、高電圧電源92の負極に接続された接続電極99に電圧が印加される。接続電極99に接続された保水体98が負に帯電されると、電流は最も放電しやすい場所を求めて流れる。通常、電子は先端がとがっている場所や金属など通電性に優れた場所に集まる性質を有する。このため、電子はミスト発生電極101へと集まる。すると、ミスト発生電極101において自然放電現象が起こり、その放電作用でイオン風が発生する。このイオン風を利用し、水はピコサイズまたはナノサイズ(500pm〜5000pm程度)の目に見えない微細なミストとしてミスト発生電極101から空気中に放出される。
次に、食器乾燥機1の運転コースについて説明する。
図17は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の各運転コースの一例を説明するチャート図である。
乾燥運転コースは、ヒータ45により加熱されて送風機44より送風された空気(温風)により被乾燥物を乾燥させる温風運転と、送風機44より送風された空気で乾燥物を冷却させる冷却運転とからなるコースである。例えば、乾燥運転コースは、運転開始からヒータ45および送風機44がONされて温風運転が50分間継続され、その後(運転終了10分前)ヒータ45がOFFされて冷却運転が10分間継続される(全体で60分)。乾燥運転コースにおいては、静電ミスト発生装置43はOFFされたままである。
乾燥・除菌運転コースは、温風運転と冷却運転に加え静電ミストを吹き出す除菌運転を行うコースである。例えば、乾燥・除菌運転コースは、乾燥運転から40分後に静電ミスト発生装置43がONされて除菌運転が10分間継続され、その後(運転終了10分前)静電ミスト発生装置43がOFFされる。乾燥・除菌運転コースにおけるヒータ45および送風機44の動作は、乾燥運転コースと同様である。
ここで、制御部87は、各ボタンに対する使用者からの指示に基づいて、乾燥運転コースと乾燥・除菌運転コースとの切り替えや各ランプの点灯制御を行う。食器乾燥機1に電源が供給された後、制御部87の制御に基づいて行われる食器乾燥機1の詳細な動作について説明する。
図18は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機により実行される電源投入(ON)後処理を説明するフローチャートである。
ステップS1において、制御部87は、食器乾燥機に電源が投入されたか否かの判定を行う。具体的には、制御部87は、電源投入検知部91により電源が投入されたことを検知したか否かの判定を行う。制御部87は、電源が投入されていないと判定した場合(ステップS1のNO)、電源が投入されるまで待機する。
一方、制御部87は、電源が投入されたと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、食器乾燥機1を待機状態にする。待機状態は、送風機44、ヒータ45がONであり、各ランプ(給水確認ランプ54、乾燥運転ランプ55、除菌運転ランプ56)が消灯の状態である。ステップS3において、制御部87は、入/切ボタン51がONされたか否かの判定を行う。制御部87は、入/切ボタン51が依然としてOFF状態であると判定した場合(ステップS3のNO)、電源判定ステップS1に戻り以降の処理を繰り返す。
一方、制御部87は、入/切ボタン51がONされたと判定した場合(ステップS3のYES)、ステップS4において、静電ミスト発生装置43が設置されたか否かの判定を行う。具体的には、制御部87は、静電ミスト発生装置検知スイッチ108が静電ミスト発生装置43の設置を検知したか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が設置されたと判定した場合(ステップS4のYES)、乾燥運転処理(図19)へ進む。一方、制御部87は、静電ミスト発生装置が設置されていないと判定した場合(ステップS4のNO)、正常に乾燥・除菌運転コースを行うことができないため、静電ミスト発生装置43の設置を促す静電ミスト発生装置設置通知処理(図22)へ進む。
図19は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機により実行される乾燥運転処理を説明するフローチャートである。
使用者は前回と同様の運転コースを選択することが多いため、食器乾燥機1は、利便性を良くするために入/切ボタン51がONされると前回の運転コースを自動的に運転するようにしている。具体的には、ステップS11において、制御部87は、前回の運転コースがメモリ89に記憶されているか否かの判定を行う。制御部87は、前回の運転コースがメモリ89に記憶されていると判定した場合(ステップS11のYES)、ステップS12において、記憶されているコースは乾燥運転コースであるか否かの判定を行う。制御部87は、記憶されているコースが乾燥運転コースではない、すなわち除菌運転コースであると判定した場合(ステップS12のNO)、除菌運転処理(図20)へ進む。制御部87は、記憶されているコースが乾燥運転コースであると判定した場合(ステップS12のYES)、ステップS13において、ヒータ45、送風機44をONにする。また、制御部87は、前回の乾燥コースの運転時間に対応する乾燥運転ランプ55を点灯させる。その後、処理はステップS16に進む。
制御部87は、ステップS11において前回の運転コースがメモリ89に記憶されていないと判定した場合(ステップS11のNO)、ステップS14において、ヒータ45、送風機44をONにして温風運転を開始する。また、制御部87は、ここでは初期設定として運転時間20分を示す20分ランプ55aを点灯させる。
ステップS15において、制御部87は、運転時間などの時間を計測するためのタイマ88をリセットする。ステップS16において、制御部87は、温風運転に設定された運転時間が経過したか否かの判定を行う。温風運転に設定された時間は、例えば運転開始から運転終了10分前までの時間である。制御部87は、温風運転に設定された運転時間が経過したと判定した場合(ステップS16のYES)、加温された食器等を冷却させるために、ステップS17において、送風機44をONに維持し、ヒータ45をOFFにして冷却運転を開始する。また、制御部87は、点灯中の乾燥運転ランプ55を点滅させる。使用者に冷却運転中である旨を通知するためである。
ステップS18において、制御部87は、今回の運転コースをメモリ89に記憶する。制御部87は、冷却運転に設定された時間(例えば10分)が経過すると、電源ON後処理(図18)の待機ステップ2へ戻り、乾燥運転を終了する。
一方、使用者は、食器の量等に応じて運転開始直後や運転途中に乾燥時間の変更を望むことがあるため、適宜、乾燥時間を変更できるようになっている。具体的には以下のステップ(S16、S19、S20〜S23)により行う。
制御部87は、温風運転に設定された運転時間が経過していないと判定した場合(ステップS16のNO)、ステップS19において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。
制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS19のYES)、ステップS20において、乾燥運転時間が40分に設定されたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥運転時間が40分に設定されたと判定した場合(ステップS20のYES)、ステップS23に進む。制御部87は、乾燥運転時間が40分に設定されていないと判定した場合(ステップS20のNO)、ステップS21において、乾燥運転時間が60分に設定されたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥運転時間が60分に設定されたと判定した場合(ステップS21のYES)、ステップS23に進む。制御部87は、乾燥運転時間が60分に設定されていないと判定した場合(ステップS21のNO)、ステップS22において、乾燥運転時間が20分に設定されたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥運転時間が20分に設定されていないと判定した場合(ステップS22のNO)、ステップS20に戻り乾燥時間が設定されるまでステップS20〜ステップS22を繰り返す。
制御部87は、乾燥運転時間が設定されたと判定した場合(ステップS20〜S22のYES)、ステップS23において、ヒータ45および送風機44をONに維持する。また、制御部87は、設定された乾燥時間に応じた乾燥運転ランプ55を点灯させる。その後、処理はステップS16に戻る。
一方、使用者は、乾燥・運転コースの運転開始直後や運転途中に、除菌・乾燥運転コースに運転の切替えを望むことがあるため、適宜、運転コースの変更をできるようにするために、制御部87はステップS19において乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS19のNO)、ステップS24において、除菌乾燥ボタン53bがONされたか否かの判定を行う。制御部87は、除菌乾燥ボタン53bがONされたと判定した場合(ステップS24のYES)、除菌運転処理(図20)へ進む。
このとき、制御部87は、除菌乾燥ボタン53bがONされていないと判定した場合(ステップS24のNO)、ステップS25において、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した場合(ステップS25のNO)、ステップS16に戻り以降の処理を繰り返す。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS25のYES)、正常に除菌・乾燥運転コースを行なうことができないため、静電ミスト発生装置設置通知処理(図15)に進む。
図20は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機により実行される除菌運転処理を説明するフローチャートである。
図21は、図20に続けて本発明の実施形態に係る食器乾燥機により実行される除菌運転処理を説明するフローチャートである。
ステップS31において、制御部87は、電源投入後(電源ON後処理(図18)のステップS1のYES)、静電ミスト発生装置43が外された後、再度設置されたか否かの判定を行う。このステップS31は、食器乾燥機1が水量センサや重量センサを有していない形態の場合、静電ミスト発生装置43のタンク61に貯水されていることを直接的に検知することができないため、静電ミスト発生装置43が外されたか否かで、間接的にタンク61に給水が行われたか否かを判定するための処理である。すなわち、静電ミスト発生装置43が外された後設置されなければタンク61に給水されることは無く、正常な運転を行なうことができない。このため、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されていないと判定した場合(ステップS31のNO)、ステップS33に進む。
一方、制御部87は、電源投入後静電ミスト発生装置43が外された後設置されたと判定した場合(ステップS31のYES)、ステップS32において、静電ミスト発生装置43が設置されてから所定期間(ここでは1週間)経過したか否かの判定を行う。このステップS32は、水量センサや重量センサを有していない形態の場合、静電ミスト発生装置43のタンク61に貯水されていることを直接的に検知することができないため、所定期間を経過したことで、間接的にタンク61内の水が空になったか否かを判定するための処理である。このため、この所定期間は、例えば通常の使用(例えば1日3回運転)を行った場合に、タンク61内の水が完全に空にならない期間に設定していることが好ましい。
ここで、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されると、設置されてからの経過時間をタイマ88により計測し、所定期間経過すると使用者に通知を行う。この通知により、タンク61内の水が空になる前に給水の必要を使用者に知らせることができるとともに、除菌乾燥運転コースの未実施期間が長くなった場合などにおいても、定期的に給水を促すことで、タンク61内の水の交換が行われ、タンク61内を清潔に保つことができる。この通知は、具体的には、制御部87により、静電ミスト発生装置43が設置されてから1週間経過したと判定した場合(ステップS32のYES)、ステップS33において、給水確認ランプ54を点滅させて行う。
次に、ステップS34において、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたと判定した場合(ステップS34のYES)、タンク61内に給水がなされたとみなして電源ON後処理(図18)の待機ステップS2に戻り、制御部87は、送風機44およびヒータ45をOFFにし、各ランプを消灯する。
制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されていないと判定した場合(ステップS34のNO)、タンク61内に給水されることはないため、ステップS35において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS35のYES)、除菌・乾燥運転コースは正常に行うことはできないかもしれないが、タンク61内に貯水されていなくても乾燥運転コースは正常に行うことができるため、乾燥運転処理(図19)の運転時間設定ステップS20へ進む。制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われた場合には、使用者は乾燥・除菌運転コースをキャンセルし、乾燥運転コースを行うことを意図しているとみなす。
一方、制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS35のNO)、ステップS36において、給水確認ランプ54の点滅から所定時間T1(例えば10分)が経過したか否かの判定を行う。制御部87は、時間T1が経過していないと判定した場合(ステップS36のNO)、使用者に給水が必要であることを継続して知らせるために、ステップS34に戻り以降の処理を繰り返す。一方、制御部87は、時間T1が経過したと判定した場合には(ステップS36のYES)、使用者がその場を離れているなどこれ以上通知を継続する必要がないと判断して、電源ON後処理(図18)の待機ステップ2に戻り、給水確認ランプ54の点滅を停止する。
制御部87は、ステップS32において電源投入後、静電ミスト発生装置43が設置されてから1週間経過していないと判定した場合(ステップS32のNO)、ステップS37において、ヒータ45および送風機44をONに維持し、除菌運転ランプ56を点灯して乾燥・除菌運転コースをスタートする。ステップS38において、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS38のYES)、正常な運転を行なうことができないため、ステップS39において、ヒータ45および送風機44をOFFにする。また、制御部87は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は静電ミスト発生装置設置通知処理(図22)に進む。
制御部87は、ステップS38において静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した場合(ステップS38のNO)、ステップS40において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS40のYES)、ステップS41において、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は乾燥運転処理(図19)の運転時間設定ステップS20へ進む。
一方、制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS40のNO)、ステップS42において、温風運転開始から(ヒータ45および送風機44がONされてから)所定時間T2が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T2は、温風運転を開始してから(乾燥運転処理(図19のタイマリセットステップS15から)除菌運転を開始するまでの予め設定された時間であり(図17においては40分)、除菌運転の開始を判定するための時間である。制御部87は、時間T2が経過していないと判定した場合(ステップS42のNO)、ステップS38に戻る。
一方、制御部87は、時間T2が経過したと判定した場合(ステップS42のYES)、図21に示すように、ステップS43において、静電ミスト発生装置43をONにする。すなわち、制御部87は、乾燥運転と並行して除菌運転を開始する。ここで、除菌・乾燥運転コースを開始してから時間T2後に静電ミスト発生装置43を開始する理由は、静電ミストは金属製の食器類や食器カゴ18に帯電するが、高湿の状態ではその帯電量が少なくなることを出願人は発見したため、除菌運転前に温風運転により乾燥室13内を高湿の状態にするためである。ステップS44において、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS44のYES)、正常な運転を行なうことができないため、ステップS39(図20)においてヒータ45、送風機44および静電ミスト発生装置43をOFFにする。また、制御部87は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は静電ミスト発生装置設置通知処理(図22)に進む。
一方、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した場合、(ステップS44のNO)、ステップS45において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS45のYES)、ステップS41(図20)において、静電ミスト発生装置43をOFFにする。また、制御部87は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は乾燥運転処理(図19)の運転時間設定ステップS20へ進み、乾燥運転へ移行する。食器乾燥機1は乾燥時間設定ボタン53aの操作が行なわれた場合、使用者は乾燥・除菌運転コースをキャンセルして乾燥運転コースで運転させることを意図しているとみなすためである。
制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS45のNO)、ステップS46において、除菌運転が開始されてから(静電ミスト発生装置43がONされてから)所定時間T3が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T3は、除菌運転の終了を判定するための予め設定された時間である(図17においては10分)。制御部87は、除菌運転が開始されてから時間T3が経過していないと判定した場合(ステップS46のNO)、ステップS44に戻る。
制御部87は、除菌運転が開始されてから時間T3が経過したと判定した場合(ステップS46のYES)、ステップS47において、ヒータ45および静電ミスト発生装置43をOFFにする。すなわち、制御部87は、冷却運転を開始する。ここで、出願人は、予め乾燥室13内を高温・高湿にすることで金属製の食器類や食器カゴ18などの帯電量が小さくなる現象を発見した。しかし、高湿の状態でイオンを発生させたとしても、金属製の食器類や食器カゴ18などには人には感じない程度の微量な帯電が残留している可能性がある。そこで、この冷却運転は加温された食器などを冷却するためのものであるが、静電ミスト発生装置43もOFFすることにより冷却運転と並行してこの帯電を自然放電させ、使用者に対する安全性を高めるためている。さらに、出願人は、抵抗95を経て接地された静電ミスト発生装置43によって金属製の食器類や食器カゴ18などの帯電が速やかに放電されることを発見した。例えば、除菌運転終了直後における金属製の食器類や食器カゴ18などの帯電電位は約1.0kVに達することがある。そして、帯電した金属製の食器類や食器カゴ18などを0.1kv以下に自然放電させる場合は、約10分から約15分の時間を要する。一方、抵抗95によって静電ミスト発生装置43を接地させると、所望の除菌性能を維持可能な静電ミストの発生量を確保しつつ、金属製の食器類や食器カゴ18などの帯電電位を速やかに0.1kv以下に放電させることができる。具体的には、約500MΩの電気抵抗を有する抵抗95では約3秒から約5秒、約100MΩの電気抵抗を有する抵抗95では約1秒で金属製の食器類や食器カゴ18などの帯電電位を放電させることができる。
ステップS48において、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS48のYES)、正常な運転が行なえないため、ステップS39(図20)において送風機44をOFFにする。また、制御部87は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は静電ミスト発生装置設置通知処理(図22)に進む。
一方、制御部87は、静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した(ステップS48のNO)、ステップS49において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS49のYES)、ステップS41(図13)において、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は乾燥運転処理(図12)の運転時間設定ステップS20へ進む。
制御部87は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS49のNO)、ステップS50において、冷却運転開始から(ヒータ45および静電ミスト発生装置43がOFFされてから)所定時間T4が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T4は、冷却運転の終了を判定するための予め設定された時間である(図17においては10分)。制御部87は、冷却運転が開始されてから時間T4が経過していないと判定した場合(ステップS50のNO)、ステップS48に戻る。
一方、制御部87は、時間T4が経過したと判定した場合、ステップS51において、今回の運転コースをメモリ89に記憶する。その後、処理は電源ON後処理(図18)の待機ステップS2に戻り、乾燥・除菌運転コースを終了する。
図22は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機により実行される静電ミスト発生装置設置通知処理を説明するフローチャートである。
ステップS61において、制御部87は、給水確認ランプ54を点滅させる。制御部87は、静電ミスト発生装置検知スイッチ108の検知に基づき静電ミスト発生装置43が設置されていないと判断した場合、例えば操作部19の除菌運転ランプ56を点滅させることにより使用者に通知する。これにより使用者は、乾燥・除菌運転コースが行い得ない状況であることを目視で容易に確認することができる。なお、静電ミスト発生装置43が設置されていない場合は、静電ミスト発生装置43が収納されていない引出41が本体に挿入された場合や、引出41そのものが挿入されていない場合を含む。また、給水確認ランプ54の点滅は、電源が供給された状態で開始すればよく、上記のように入/切ボタン51がONされてからだけでなく、電源が投入されていれば静電ミスト発生装置43の設置状態に応じて(ステップS1、S4)点滅を開始してもよい。
ステップS62において、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたか否かの判定を行う。制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されていないと判定した場合(ステップS62のNO)、ステップS63において、給水確認ランプ54の点滅から所定時間T5(例えば10分)が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T5は、使用者がその場を離れているなどこれ以上通知を継続する必要がないかどうかの判定を行なうためのものである。制御部87は、時間T5が経過していないと判定した場合(ステップS63のNO)、ステップS62に戻る。
制御部87は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたと判定した場合(ステップS62のYES)、および時間T5が経過したと判定した場合(ステップS63のYES)、電源ON後処理(図18)の待機ステップS2に戻り、給水確認ランプ54の点滅を消灯する。
制御部87は、図18から図22において特に図示しないが、ステップ3において入/切ボタン51がON状態の際は、どのステップにおいても、入/切ボタン51がOFFされたか否かを検知しており、乾燥運転コースや除菌・乾燥運転コースの運転中であっても、入/切ボタン51がOFFされた場合には、電源ON後処理(図18)の待機ステップS2に戻るようになっている。
図23は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の蓋体の開閉にともなう静電ミスト発生装置の給電/遮断制御を説明するフローチャートである。
図23に示すように、食器乾燥機1は、開閉検知部16が蓋体11の開状態を検出したとき、静電ミストの発生を停止する静電ミスト発生装置43を備える。具体的には、食器乾燥機1は、蓋体11が閉じられた状態にあるとき(ステップS70のYES)、制御部87と高電圧電源92との電気回路を接続させて給電可能な状態にする(ステップS71)。他方、食器乾燥機1は、蓋体11が開かれた状態にあるとき(ステップS70のNO)、制御部87と高電圧電源92との電気回路を遮断させる(ステップS72)。
開閉検知部16(より詳しくは、マイクロスイッチ76)は、制御部87における静電ミスト発生装置のON/OFF制御にかかわらずこの制御を行う。すなわち、開閉検知部16は、静電ミスト発生装置43がONされていても(図21のステップS43からステップS46)、静電ミスト発生装置43がOFFされていても(その他の場合)、蓋体11が開かれれば制御部87と高電圧電源92との電気回路を遮断させて静電ミスト発生装置43をOFFさせる。また、開閉検知部16は、一旦制御部87と高電圧電源92との電気回路を遮断させても、蓋体11が閉められれば制御部87と高電圧電源92との電気回路を接続させて給電可能な状態にするので、制御部87によって除菌運転処理(図13、図14)の実行中、特に静電ミスト発生装置43のON制御(図21のステップS43からステップS46)の実行中に蓋体11が閉められれば、静電ミスト発生装置43のONを再開させる。
図24および図25は、本発明の実施形態に係る食器乾燥機の開閉検知部の他の例を示した側面図である。
なお、図24は蓋体11が閉じた状態、図25は蓋体11が開いた状態を示す。
図24に示したように、食器乾燥機1Aの開閉検知部16Aは、作用部71Aの移動にともなう磁界の変化から蓋体11の開閉状態を検知する磁気センサ115を備える。
作用部71Aは、ヒンジ15のジャーナル軸受部63に設けられ、前面蓋体11bとともに移動(ヒンジ15の回転軸芯回りを旋回)する。
磁気センサ115は、所謂ホールIC(Integrated Circuit)を用いて構成される。
このように構成された食器乾燥機1Aの開閉検知部16Aは、蓋体11とともに移動する作用部71Aの磁界を磁気センサ115で検知し、制御部87と高電圧電源92との電気回路を開閉させる。
本実施形態においては、主に食器などの乾燥物を乾燥させる機能を有する食器乾燥機1について説明した。しかし、食器を洗浄する機能を備えた洗浄機能付食器乾燥機に本発明を適用してもよい。また、本実施形態においては、蓋体11の開閉と静電ミスト発生装置43の電源遮断処理との間に制御部87による制御を介在させないことで、蓋体11の開放時に静電ミスト発生装置43を機械的にONさせない構成について説明したが、蓋体11の開閉状態の検出結果を制御部87に入力して、静電ミスト発生装置43の他に、ヒータ45、モータ44a、ファン44b、各ランプ55〜56、タイマ88等の電気部品を制御するようにしてもよい。
本実施形態に係る食器乾燥機1によれば、蓋体11の開閉に連動させて静電ミスト発生装置43をON/OFFさせる開閉検知部16を蓋体11の縁部で押圧させる必要が無くなる。このことによって、本実施形態に係る食器乾燥機1は、本体10と蓋体11との組み合わせのズレに起因した開閉検知部16の誤検知を防ぐ。また、開閉検知部16は、作用部71の形状を適宜に調整し、もしくは作用部71Aの取付位置を適宜に調整することによって蓋体11の開閉検知に係る遊びの幅を調整できる。さらに、開閉検知部16は、ヒンジ15からヒンジ15下方の本体10内部に渡って構成されるため、使用者や被乾燥物の不意の接触による破損の可能性が極めて低い。
また、本実施形態に係る食器乾燥機1によれば、除菌運転中であっても蓋体11が開かれると、即座に静電ミスト発生装置43をOFFさせ、かつ金属製の食器類などの被乾燥物や食器カゴ18の帯電電位を低減させるので、使用者が不意に蓋体11を開いても静電気の放電を起こすことなく使用者に対する不快感を抑制することができる。
したがって、本実施形態に係る食器乾燥機1によれば、蓋体11の開閉を確実に検出できるとともに使用者や被乾燥物の不意の接触を生じ難く、蓋体11の閉じ具合に対する開閉検出の遊びを適宜に設定できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。