JP5496721B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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本発明は、成膜装置および成膜方法に関する。
従来から、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のパワーデバイスのように、比較的膜厚の厚い結晶膜を必要とする半導体素子の製造には、エピタキシャル成長技術が活用されている。
エピタキシャル成長技術に使用される気相成長方法では、例えば、半導体基板上にシリコン(Si)結晶を成長させてSi単結晶基板を得ようとする場合に、シリコンウェハ等の半導体基板が配置された気相成長用の成膜室内を、常圧(0.1MPa(760Torr))、或いは減圧に保持する。
そして、半導体基板を加熱しながら、シリコン源となる原料ガスに、ボロン系のジボラン(B)、リン系のホスフィン(PH)、砒素系のアルシン(AsH)等のドーパントガスを混合したプロセスガスを気相成長用の成膜室内に供給する。すると、所定の温度以上に加熱された半導体基板の表面で、原料ガスの熱分解反応或いは水素還元反応が起こり、ボロン(B)、リン(P)、或いは砒素(As)がドープされた気相成長膜が成膜される。
膜厚の厚いエピタキシャルウェハを高い歩留まりで製造するには、均一に加熱されたウェハの表面に新たなプロセスガスを次々に接触させて成膜速度を向上させる必要がある。そこで、従来の成膜装置においては、例えば、ウェハを高速で回転させながらエピタキシャル成長させることが行われている。
また、膜厚の厚いエピタキシャルウェハを高い歩留まりで製造する別の方法として、プロセスガスの供給面からの装置の改善が図られている。すなわち、成膜装置の成膜室内にプロセスガスを供給する場合において、プロセスガスが効率良く半導体基板の表面に集められるように成膜装置上の工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、成膜室内に供給されたプロセスガスを整流し、ホルダーに保持された半導体基板に向かってプロセスガスを供給する整流板と、整流板下部に設置され、上端の内径より下端の内径が大きく、半導体基板上から外周方向に排出されるガスを下方に整流する環状の整流フィンとを備えた半導体製造装置が開示されている。こうした構造を備えることにより、プロセスガスの利用効率は向上する。
特開2009−231587号公報
図4は、エピタキシャル成長技術を用いる成膜装置の構成を説明するための模式的な断面図である。図4に示される成膜装置200は、上述のような半導体基板の高速回転と、プロセスガスの効率的な利用とが可能となるように構成されている。
図4に示す成膜装置200において、201は成膜室としてのチャンバ、202はチャンバ内壁を被覆して保護する中空筒状のライナ、203a、203bはチャンバを冷却する冷却水の流路、204はプロセスガス225を導入する供給部、205は反応後のプロセスガスの排気部、206は気相成長を行うウェハ等の半導体基板、207は半導体基板206を支持するサセプタ、208は図示しない支持部に支持されて半導体基板206を加熱するヒータ、209はチャンバ201の上下部を連結するフランジ部、210はフランジ部209をシールするパッキン、211は排気部205と配管を連結するフランジ部、212はフランジ部211をシールするパッキンである。
ライナ202は、通常は、石英製であって透明性を備える。ライナ202の頭部231の上部開口部には、半導体基板206の表面に対してプロセスガス225を均一に供給するためのガス整流板であるシャワープレート220が取り付けられている。
チャンバ201の底部には、チャンバ201の内部まで伸びる回転軸222が設けられている。回転軸222の上端には回転筒223が配設され、この回転筒223に上述のサセプタ207が取り付けられている。これにより、サセプタ207は、ヒータ208の上方のチャンバ201の内部で回転可能に配置されている。
成膜装置200では、チャンバ201内でサセプタ207により半導体基板206を支持する。そして、回転機構(図示せず)を設けた回転軸222によって、半導体基板206をサセプタ207上に載置された状態で回転させながら、ヒータ208によって1000℃以上に加熱する。この状態でチャンバ201内に反応性ガスを含むプロセスガス225を、供給部204からシャワープレート220の貫通孔221を介して供給する。
すると、半導体基板206表面で熱分解反応或いは水素還元反応が起こり、半導体基板206の表面に結晶膜が形成される。その際、気相成長反応に使用されたもの以外のプロセスガスは変性された生成ガスとなり、プロセスガス225とともにチャンバ201下部に設けられた排気部205から逐次排気される。
このように、成膜装置200においては、半導体基板206を高速で回転させながらエピタキシャル成長させることが行われている。これにより、均一に加熱された半導体基板の表面に新たなプロセスガスを次々に接触させて成膜速度が向上するようにしている。
さらに、図4に示す成膜装置200においては、シャワープレート220の貫通孔221が半導体基板206に対応する領域内にあるように配置されている。これにより、供給部204から供給されるプロセスガス225をサセプタ207上の半導体基板206の上に均一に供給することができる。
中空筒状の形状を有するライナ202は、シャワープレート220を支持する頭部231の内径がサセプタ207の配置された胴部230より小さくなるよう構成されている。すなわち、中空筒状の形状を有するライナ202は、半導体基板206の配置される胴部230に対して、シャワープレート220を上部にて支持するとともに、シャワープレート220を通過したプロセスガス225の流路となる頭部231の内径が小さくなっている。つまり、ライナ202は、所謂、胴部230に対して頭部231の断面積が絞られた構造を有していることになる。
上記のようにすることで、シャワープレート220の貫通孔221を出たプロセスガス225が拡散する無駄な空間を低減することができる。これにより、シャワープレート220から供給されるプロセスガス225が無駄なく半導体基板206の表面に集められ、プロセスガス225の効率的な利用が可能となるよう構成されている。
供給部204からチャンバ201内に供給されたプロセスガス225は、頭部231を通過して半導体基板206の表面に向かって効率よく流下する。このとき、半導体基板206表面でのプロセスガス225の流れをより均一にするよう、半導体基板206の周縁部分とライナ202との間の隙間は狭くなっている。具体的には、ライナ202の頭部231と胴部230との境にある、段部232の角部234と半導体基板206の周縁部分との間の隙間が狭くなっている。
しかしながら、ここで一つの問題が発生することが分かっている。すなわち、ヒータ208からの輻射熱は、半導体基板206だけでなく、成膜装置200を構成する部材の全てに伝わり、これらを昇温させる。かかる昇温は、半導体基板206やヒータ208のような高温部分の近傍において顕著である。
このため、半導体基板206やヒータ208に近い、ライナ202の胴部230と頭部231の境の部分には、相対的な高温部分が生じる。特に、半導体基板206やサセプタ207に近い、ライナ202の段部232の角部234で温度が非常に高くなる。一方、チャンバ201内に供給されたプロセスガス225は、頭部231を通過して半導体基板206の表面に向かって効率よく流下し、半導体基板206表面で成膜反応をするとともに、その一部は、段部232の角部234近傍で流れの方向を変え、半導体基板206の周縁方向に向かって流れた後、チャン場201の外部へ排出されることになる。
図5は、エピタキシャル成長技術を用いる成膜装置の問題点を説明する図である。
未反応のプロセスガス225が、上述のように、半導体基板206の周縁から排出される際などにおいて、チャンバ内壁を被覆するライナ202に生じた相対的な高温部分にプロセスガス225が接触すると、半導体基板206の表面と同様の熱分解反応或いは水素還元反応が起こる。その場合、図5に示すように、ライナ202の段部232の角部234には、プロセスガス225に由来するシリコン結晶235が形成されてしまう。
このようなシリコン結晶235の形成は、プロセスガス225の流路となる、段部232の角部234と半導体基板206の周縁部分との間の隙間をより狭くしてしまうことになる。
これにより、成膜時における半導体基板206の表面でのプロセスガス225の流れの状態が変化してしまう。つまり、プロセスガス225の流れが均一な下で半導体基板206へ結晶膜を形成することができなくなる。
また、ここで生成されるシリコン結晶235は、半導体基板206表面に成膜される気相成長膜と略同質である。このようなシリコン結晶235の形成は、ライナ202に透明性が求められる場合にそれを失わせることになる。
こうしたライナ202の失透が問題となる場合、例えばフッ酸を用いた洗浄により回復させることが可能である。しかしながら、形成されたシリコン結晶を完全に除去するのは容易ではない。そして、シリコン結晶の塊は、成膜装置200の稼動に伴う昇温、降温が繰り返されることで欠片が剥離し、チャンバ201内にパーティクルとして滞留する。そして、後に生産される半導体基板に成膜される気相成長膜を汚染し、品質を低下させる要因となる。
よって、成膜装置200を継続的に稼動させるためには、上述したシリコン結晶235を除去し、チャンバ201内を清浄に保持しなければならない。そのためには、定期的に成膜装置200の稼動を停止し、チャンバ201のメンテナンスを行なう必要がある。
このメンテナンス作業は、チャンバ201内を洗浄する等の作業を行なうだけでなく、再度稼動するための環境を整えることが必須となるため、相応の時間を要する。例えば、内部の洗浄が完了したチャンバ201を、外気によってパーティクル汚染させないことに留意した慎重な作業や、組み立て直したチャンバ201を所定の真空度に調整することには、相応の時間と労力を要する。したがって、パーティクルを除去するメンテナンス作業を定期的に行なう必要性がある成膜装置200では、稼働率をある一定以上に向上させることができないという問題があった。
以上述べたように、従来の成膜装置200においては、生産される半導体基板の品質に対する問題と、品質維持に必要な作業等のために生じる稼働率の低下という問題があった。
本発明は、かかる問題点を克服し、気相成長によって、プロセスガスによるチャンバ内部への副生成物の形成を防止させることができる成膜装置、およびこれを用いた成膜方法を提供するものである。
また、本発明は、チャンバ上に副生成物の形成が生じたとしても、それを除去して、生産する半導体基板の品質を低下させることが無く、装置の稼働率を従来よりも向上させることができる成膜装置、およびこれを用いた成膜方法を提供するものである。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の成膜装置は、成膜室と、その成膜室内にプロセスガスを供給する供給部と、成膜室の底部に設けられた排気部と、胴部と、その胴部より断面積の小さい頭部と、その胴部とその頭部とをつなぐ段部とからなり、成膜室の内壁を被覆する筒状のライナと、成膜室内のライナの胴部内に設けられ、基板が載置されるサセプタとを有する。そして、塩化水素ガスを成膜室のライナ内に供給するようライナの頭部の周囲にはガス流路が配設されていることを特徴とする。
そして、塩化水素ガスをライナ内に供給するためのガス流路のガス出口が、ライナの段部に設けられていることが好ましい。
また、ガス流路のガス出口は、ライナの頭部の周囲を囲むように、ライナの段部に設けられていることが好ましい。
そして、ガス流路はライナ内に、塩化水素ガスを供給するとともに水素ガスの供給もするよう構成されることが好ましい。
本発明の成膜方法では、プロセスガスを成膜室の頂部から流下し、回転筒に支持されたサセプタ上に載置した基板を加熱しつつ前記基板に前記プロセスガスを接触させて所定の膜を形成する。そして、成膜室の内壁を、サセプタが配設される胴部と、その胴部より断面積が小さい頭部と、胴部と頭部をつなぐ段部とからなる筒状のライナで被覆し、ライナの段部に設けられたガス出口からライナ内に塩化水素ガスを含むガスを供給しながら、プロセスガスを成膜室の頂部から流下し、基板にプロセスガスを接触させて所定の膜を形成することを特徴とする。
本発明の成膜装置によれば、チャンバ内に供給される塩化水素(HCl)ガスを用いることにより、成膜処理の際に、チャンバ内壁に副生成物が付着するのを抑制することができる。そして、成膜処理の際に副生成物が発生して、チャンバ内壁に副生成物が付着しても、チャンバ内に供給される塩化水素(HCl)ガスを用いてこれを除去することができる。したがって、高品質のエピタキシャル基板を製造することが可能である。
そして、本発明の成膜装置によれば、チャンバ内壁に副生成物が付着するのを抑制することができ、成膜装置のメンテナンス作業を容易にし、また、成膜装置の稼働率を向上することが可能となる。
本発明の成膜方法によれば、チャンバ内に供給される塩化水素ガスを用いることにより、成膜処理の際に、チャンバ内壁に副生成物が付着するのを抑制することができる。そして、成膜処理の際に副生成物が発生して、チャンバ内壁に副生成物が付着しても、チャンバ内に供給される塩化水素ガスを用いてこれを除去することができる。したがって、高品質のエピタキシャル基板を製造することが可能である。
そして、本発明の成膜方法によれば、チャンバ内壁に副生成物が付着するのを抑制することができ、使用する成膜装置のメンテナンス作業を容易にし、また、成膜装置の稼働率を向上して成膜作業効率を向上することが可能となる。
本実施の形態の成膜装置の模式的な断面図である。 本実施の形態の成膜装置の要部拡大図である。 本実施の形態の成膜装置の別の例の模式的な断面図である。 エピタキシャル成長技術を用いる成膜装置の構成を説明するための模式的な断面図である。 エピタキシャル成長技術を用いる成膜装置の問題点を説明するための成膜装置の要部拡大図である。
図1は、本実施の形態の成膜装置の模式的な断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の成膜装置50は、成膜室としてのチャンバ1と、チャンバ1内壁を被覆して保護する中空筒状のライナ2と、チャンバ1を冷却する冷却水の流路3a、3bと、プロセスガス25を導入する供給部4と、反応後のプロセスガスを排気する排気部5と、シリコンウェハ等の基板である半導体基板6を載置してこれを支持する回転式のサセプタ7と、図示しない支持部に支持されて半導体基板6を加熱するヒータ8と、チャンバ1の上下部を連結するフランジ部9、フランジ部9をシールするパッキン10と、排気部5と配管を連結するフランジ部11と、フランジ部11をシールするパッキン12とを有する。
中空筒状のライナ2の周囲にはガス流路26が周設されており、また、チャンバ1の上部の側壁部には、ガス供給部42が設けられている。このガス供給部42は、ガス流路26に接続しており、後に説明するように、ライナ2の周囲に周設されたガス流路26に対し、塩化水素(HCl)ガスや水素ガスなどのガス41を供給できるように構成されている。
尚、塩化水素ガスは、例えば塩化水素ボンベである塩化水素供給部(図示されない)からガス供給部42に供給される。また、水素ガスは、例えば水素ボンベである水素ガス供給部(図示されない)からガス供給部42に供給される。これらは、それぞれ独立にまたは混合されて、ガス流路26へと供給される。
サセプタ7には、半導体基板6が載置される。半導体基板6は、気相成長を行う対象となるウェハ等である。半導体基板6を支持するサセプタ7は、回転筒23に支持され、さらに、回転軸22を介して図示されない回転機構に接続されている。
具体的には、チャンバ1底部には、チャンバ1の内部まで伸びる回転軸22が設けられており、この回転軸22の上端には回転筒23が配設され、この回転筒23に上述のサセプタ7が取り付けられている。したがって、サセプタ7は、ヒータ8の上方であってチャンバ1の内部で回転可能に配置されている。気相成長反応時においては、サセプタ7を回転させることで、その上に載置された半導体基板6が高速に回転する。
チャンバ1のライナ2の底部には、半導体基板6を載置するサセプタ7やヒータ8の周囲を覆うようにしてリフレクタ45が立設されている。このリフレクタ45は、ヒータ8から熱を反射して、サセプタ7上に載置された半導体基板6への加熱効率を向上させるとともに、ライナ2内の半導体基板6やヒータ8の周囲の過度の温度上昇を抑制するよう働く。リフレクタ45は、高耐熱性を有するよう、カーボン(C)にSiC(炭化珪素)コートして構成された部材からなることか好ましい。
チャンバ1のフランジ部9と、排気部5のフランジ部11には、シールのためにパッキン10、12を用いている。このパッキン10、12はフッ素ゴム製であり、耐熱温度は約300℃である。したがって、チャンバ1を冷却する冷却水の流路3a、3bを設けることは、パッキン10、12が熱で劣化するのを防止できる点から、特に有効である。
成膜装置50においては、チャンバ1内でサセプタ7上に載置された半導体基板6は、回転機構(図示せず)に接続されたサセプタ7を介して回転しながら、ヒータ8によって1000℃以上に加熱される。この状態でチャンバ1内に反応性ガスを含むプロセスガス25が、供給部4から、ガスの整流板であるシャワープレート20の貫通孔21を介して、供給される。
また、チャンバ1の上部の側壁部にあるガス供給部42からはガス41が供給されている。ガス41は、塩化水素ガスや水素ガス等を含んでなる。
半導体基板6の表面で熱分解反応或いは水素還元反応が起こると、半導体基板6の表面には結晶膜が形成される。その際、気相成長反応に使用されたもの以外のプロセスガスは、変性された生成ガスとなり、プロセスガス25やガス41とともにチャンバ1下部に設けられた排気部5から逐次排気される。
成膜装置50においては、半導体基板6を高速で回転させながらその表面にエピタキシャル成長膜を形成させることが可能である。そして、均一に加熱された半導体基板6の表面に新たなプロセスガス25を次々に接触させて成膜速度を向上させることができるように構成されている。
以下、成膜装置50の主要な構成部分についてより詳細に説明する。
中空筒状のライナ2は、例えば石英製であり、透明性を備える。そして、その頭部31の上部開口部には、半導体基板6の表面に対してプロセスガス25を均一に供給できるよう、ガスの整流板であるシャワープレート20が取り付けられている。このシャワープレート20には、プロセスガス25を供給するための貫通孔21が複数個設けられている。
図1に示す、本実施の形態の成膜装置50においては、供給部4から供給されるプロセスガス25をサセプタ7上の半導体基板6上に均一に供給できるよう、シャワープレート20の貫通孔21を半導体基板6に対応する領域内に配置している。
尚、ライナ2を配設するのは、成膜装置のチャンバの壁がステンレス製であることによる。すなわち、成膜装置50では、このステンレス製の壁を気相反応系内に露出させないように、ライナ2でその全面を被覆している。このようにすることで、半導体基板6表面の結晶膜形成時のパーティクルや金属汚染、あるいはチャンバ1のステンレス製の壁の侵食を防ぐ効果が得られる。
中空筒状のライナ2は、シャワープレート20を支持する頭部31と、内部にサセプタ7が配置されてプロセスガス25による半導体基板6表面での気相反応が行われる胴部30とを有する。頭部31の内径は胴部30より小さいので、頭部31の断面積は胴部30より小さく、ライナ2は頭部31が絞られた構造を有する。
このように、中空筒状のライナ2において、頭部31が絞られた構造を備えるのは、シャワープレート20をその上部開口部で支持するとともに、シャワープレート20を通過したプロセスガス25の半導体基板6に向けた流路となるようにするためである。
この絞られた構造の頭部31の内径は、シャワープレート20の貫通孔21の配置と半導体基板6の大きさに対応するように決められる。これにより、シャワープレート20の貫通孔21を出た後、プロセスガス25が拡散する無駄な空間を低減させることができ、シャワープレート20から供給されるプロセスガス25を無駄なく半導体基板6の表面に集めて、プロセスガス25が効率的に利用されるようにしている。このようにライナ2の形状を改善することにより、半導体基板6表面での高効率の気相成長反応を実現できる。
中空筒状の形状を有するライナ2においては、それぞれの内径が異なるために断面積の異なる胴部30と頭部31とを繋ぐ境に、断面積の違いに由来する段部32が形成されている。この段部32の角部34は、胴部30と頭部31とが接合する部分でもあり、頭部31がチャンバ1の上方に向けての立ち上がる付け根となっている。
このように、ライナ2は、胴部30と頭部31とそれらの境にある段部32とからなる。段部32の角部34近傍には、段部32を貫通して頭部31の立ち上がり部分を包囲するよう、隙間38が設けられている。この隙間38は、上述したガス流路26に接続しており、後述するように、ガス流路26に供給されたガス41を噴出すガス出口44を構成する。
ライナ2では、プロセスガス25が拡散する無駄な空間を無くすよう、頭部31の付け根である段部32の角部34の下面側が、半導体基板6やサセプタ7の上方にせり出す構造となっている。すなわち、角部34の下面側が半導体基板6やサセプタ7近傍に位置する構造となっている。
ライナ2の頭部31の周囲には、上述したように、ガス流路26が周設されている。ライナ2の頭部31は筒状の形状を有するが、それを包囲するガス流路26も筒状の壁部からなり、ライナ2の頭部31とガス流路26とにより二重管構造を構成している。ガス流路26は、その上部において、チャンバ1の上部側壁部に設けられたガス供給部42に接続している。これにより、ガス供給部42に供給された塩化水素ガスや水素ガス等であるガス41は、ライナ2の頭部31を包囲するガス流路26に供給されることになる。
ガス流路26は、その下部において、ライナ2の段部32に設けられた、段部32を貫通して頭部31の立ち上がり部分を包囲するよう設けられた隙間38に接続している。したがって、この隙間38は、ガス流路26に供給されたガス41の出口となり、ガス41を噴出するガス出口44を構成する。
このとき、ガス出口44は、ライナ2の頭部31の周囲を包囲するように設けられており、このガス出口44は、隙間38を挟んで、サセプタ7と対向し、サセプタ7の直上付近に位置するようになっている。
次に、サセプタ7の直上付近に位置するガス出口44の配置と、ガス流路26を通って、そこから噴出される塩化水素ガスや水素ガス等のガス41の作用について説明する。
上述のように、本実施の形態の成膜装置50においては、ライナ2は、胴部30に対し、所謂、頭部31が絞られた構造を有する。
したがって、チャンバ1の頂部に設けられた供給部4から成膜装置50のチャンバ1内に供給されたプロセスガス25は、流路となる頭部31を通過して半導体基板6の表面に向かって効率よく流下する。このとき、半導体基板6表面でのプロセスガス25の流れをより均一にするよう、半導体基板6の周縁部分とライナ2との間の隙間38は狭くなるよう構成されている。具体的には、ライナ2の頭部31と胴部30との境にある段部32の角部34と半導体基板6の周縁部分との間の隙間38は狭くなっている。
このように、ライナ2の段部32の角部34と半導体基板6の周縁部分との間の隙間38を狭くすることにより、プロセスガス25が半導体基板6近傍に到達した後、プロセスガス25の半導体基板6表面から、サセプタ7を支持する回転筒23の側方に流れ出る速度を速めている。このようにすることで、ライナ2の頭部31上方へとプロセスガス25が巻き上がるのを防止している。
しかしながら、ここで一つの問題が発生することは上述した通りである。すなわち、ヒータ8からの輻射熱は、半導体基板6だけでなく、成膜装置50を構成する部材全てに伝わり、これらの部材を昇温させる。かかる昇温は、半導体基板6やヒータ8のような高温部分の近傍において顕著である。
このため、半導体基板6やヒータ8に近い、ライナ2の胴部30と頭部31の境の部分には相対的な高温部分が生じる場合がある。特に、半導体基板6やサセプタ7に近い部分、すなわち、ライナ2の胴部30と頭部31の境にある段部32の角部34では、温度が非常に高くなってしまう。
既に述べたように、チャンバ1の内面のライナ2に生じた相対的な高温部分に、例えばシリコン源となる原料ガスを含んで構成されたプロセスガス25が接触すると、半導体基板6の表面と同様の熱分解反応或いは水素還元反応が起こる。したがって、チャンバ1内のライナ2の段部32の角部34には、何らかの防御手段を施さない限り、図5に示したようなプロセスガス25に由来するシリコン結晶235が生成されてしまうことになる。
このようなシリコン結晶の形成は、ライナ2を汚すとともに、プロセスガス25の流路となる、ライナ2の段部32の角部34と半導体基板6の周縁部分との間の隙間38を想定されたものより狭くしてしまうことになる。
その結果、半導体基板6の表面における成膜時のプロセスガス25の流れの状態が変化して、均一な流れの下で半導体基板6へ成膜することができなくなる。
そこで、本実施の形態の成膜装置50では、ライナ2の段部32の角部34に、ガス出口44が設ける。ガス供給部42に塩化水素ガスが導入されると、この塩化水素ガスは、ガス流路26を通ってガス出口44から噴き出す。その結果、高温に昇温したライナ2の半導体基板6やサセプタ7に近い部分、すなわち、ライナ2の段部32の角部34において、プロセスガス25に由来するシリコン結晶が付着するのを抑制できる。
図2は、本実施の形態の成膜装置のガス出口とそこから噴き出る塩化水素ガスの作用を説明する図である。図2では、図1に示した成膜装置50の要部を拡大して示している。
本実施の形態の成膜装置50では、サセプタ7上に半導体基板6が載置され、サセプタ7はこれによって半導体基板6を支持する。このとき、図2に示すように、ガス出口44は隙間38を挟んでサセプタ7と対向し、サセプタ7の直上付近に位置する。したがって、ガス流路26に導入された塩化水素ガス等のガス41は、ガス出口44から噴き出し、ライナ2の段部32の角部34にある、サセプタ7と段部32との間の隙間38に放出される。
隙間38では、サセプタ7上の半導体基板6の周縁部側に向かって、半導体基板6上でのエピタキシャル膜形成に使用された後の変性ガスや、プロセスガス25のうちの反応に使用されなかった一部のガスが流れを形成している。
したがって、隙間38に放出された塩化水素ガスは、隙間38に向かって流れてくる一部のプロセスガス25と反応する。その結果、隙間38を流れるプロセスガス25が、高温に昇温した段部32の角部34に触れて分解反応を起こし、副生成物を生成する。これにより、シリコン結晶が角部34に付着するのが抑制される。
例えば、プロセスガス25がシリコン源となる原料ガスを含んで構成されている場合、副生成物としてシリコン結晶が生成され、ライナ2の高温部分に付着する可能性があるが、塩化水素ガスは、その流れてくる原料ガスと反応してガス状のSiCl化合物を形成し、上述した流れに乗せてこれを半導体基板6周辺から排出してしまう。
このように、ガス出口44から噴き出るガス41は、サセプタ7上に半導体基板6が載置された状態において、半導体基板6やサセプタ7の上方にせり出す構造を備えたライナ2の段部32の角部34をカバーしてこれを保護する役割を果たしている。
このとき、上記したSiCl化合物の形成反応に用いられなかった、ガス41の残りの塩化水素ガスは、上述したプロセスガス25等による流れがあるために、半導体基板6の中心部側に向かうことはない。すなわち、未反応の塩化水素ガスは、プロセスガス25等の流れに乗って、半導体基板6の周縁部側に排出される。よって、半導体基板6上でのエピタキシャル膜成長反応に悪影響を及ぼすことや、形成されたエピタキシャル膜に望ましくない影響を及ぼすことは回避される。
そしてまた、この隙間38を通過するプロセスガス25により、ライナ2の段部32の角部34近傍にシリコン結晶が付着してしまったとしても、その部分が加熱された状態で塩化水素ガスが導入されることにより、シリコン結晶と塩化水素ガスが反応して、SiCl化合物が形成される。このSiCl化合物は、プロセスガス25の流れに乗って半導体基板6の周縁部側から排出される。
さらに、プロセスガス25により、半導体基板6を載置するサセプタ7にシリコン結晶が付着してしまう場合があるが、このようなサセプタ7へのシリコン結晶の付着についても、ガス出口44から噴き出されるガス41は有効である。すなわち、ガス出口44は、サセプタ7の直上に位置しており、ガス出口44から噴き出されるガス41は、サセプタ7にまで到達する。そこで、ライナ2の段部32の角部34と同様、これをプロセスガス25からカバーすることが可能となる。
また、たとえサセプタ7にシリコン結晶が付着してしまっても、通常サセプタ7は高温の状態にあり、付着したシリコン結晶も高温にあるので、シリコン結晶と塩化水素ガスが反応してSiCl化合物が形成される。このSiCl化合物は、プロセスガス25の流れに乗って半導体基板6の周縁部側から排出される。
尚、ガス供給部42に供給されるガス41の量や、ガス41における塩化水素ガスの濃度は、そこに供給される塩化水素ガスと水素ガスの量によって所望の値とすることが可能である。半導体基板6上でのエピタキシャル膜成長反応に悪影響を及ぼさないよう、また、形成されたエピタキシャル膜に望ましくない影響を与えることのないよう、ガス出口44から隙間38に噴き出るガス41の量や、ガス41が含有する塩化水素ガスの濃度が決められることが望ましい。
次に、本実施の形態の成膜方法について説明する。この成膜方法では、上述した成膜装置50を使用する。
成膜装置50において、サセプタ7は回転筒23に装着され、回転軸22を介して図示されない回転機構に接続されて回転可能とされている。
成膜装置50のチャンバ1の内壁には、これを被覆する中空筒状のライナ2が設けられている。このチャンバ1の内壁を被覆するライナ2には、内部にサセプタ7が配置される胴部30と、その胴部30より小さな内径を有して絞られた構造の頭部31と、胴部30と頭部31との境に位置する段部32とが設けられている。
そして、その頭部31を流路として、プロセスガス25が効率良くサセプタ7上の半導体基板6に到達することができるようにされている。
チャンバ1上部の側壁部には、塩化水素(HCl)ガスや水素ガスなどを含んでなるガス41をチャンバ1内に供給するためのガス供給部42が設けられている。
尚、塩素ガスは、例えば塩化水素ボンベである塩化水素供給部(図示されない)からガス供給部42に供給され、水素ガスは、例えば水素ボンベである水素ガス供給部(図示されない)からガス供給部42に供給される。
ライナ2の頭部31の周囲には、ガス流路26が周設されている。ライナ2の頭部31は筒状の形状を有するが、それを包囲するガス流路26も筒状の壁部からなり、ライナ2の頭部31とガス流路26とにより二重管構造を構成している。
ガス流路26は、その上部において、上述の、チャンバ1の側壁に設けられたガス供給部42に接続している。したがって、ガス供給部42に供給された塩化水素ガスや水素ガスなどのガス41は、ライナ2の頭部31を包囲するガス流路26に供給されることになる。
ライナ2の段部32の角部34近傍には、段部32を貫通して頭部31の立ち上がり部分を包囲するよう、隙間38が設けられている。
ガス流路26は、その下部において、ライナ2の段部32に設けられた隙間38に接続している。したがって、この隙間38は、ガス流路26に供給されたガス41の出口となり、ガス41を噴き出すガス出口44を構成する。
このとき、ガス出口44は、上述のように、ライナ2の頭部31の周囲を包囲するように設けられおり、ガス出口44は、サセプタ7の直上付近に位置する。
したがって、ライナ2の段部32における角部34の先端近傍には、ガス出口44が形成されており、ガス供給部42に供給されたガス41をそのガス出口44からライナ2内に供給することができる。その結果、ガス出口44から噴き出したガス41は、さらに、ライナ2の段部32における角部34の下面側と、サセプタ7の上面との間にある隙間38を通って、半導体基板6の側方およびサセプタ7の側方を通過し、最終的にチャンバ1底部から装置外に排気される。
以上の構成を備える成膜装置50を用いた、本実施形態の成膜方法では、チャンバ1の外周に設けた冷却水の流路3a、3bによりチャンバ1を冷却しながら、プロセスガス25をチャンバ1の頂部に設けられた供給部4から導入し、ガスの整流板であるシャワープレート20の貫通孔21を介してプロセスガス25を流下させる。そして、下方に配設された回転式のサセプタ7上に載置された半導体基板6を加熱しながらプロセスガス25を接触させることで、半導体基板6の表面に結晶膜を形成する。
このとき、ガス供給部42へ塩化水素ガスを含んだガス41を供給する。すなわち、プロセスガス25をチャンバ1の頂部に設けられた供給部4から導入するのと同時に、塩化水素ガスを含んだガス41の供給を開始する。そして、半導体基板6表面でのエピタキシャル膜形成のためのプロセスガス25がチャンバ1内に供給されている間は、常に、ガス供給部42からの塩化水素ガスを含んだガス41の供給を続ける。
隙間38では、サセプタ7上の半導体基板6の周縁部側に向かって、半導体基板6上でのエピタキシャル膜形成に使用された後の変性ガスや、プロセスガス25の反応に使用されなかったガスの一部が流れを形成している。
したがって、ガス41が塩化水素ガスを含んで構成されている場合、この隙間38に放出された塩化水素ガスは、この隙間38に向かって流れてくるプロセスガス25と反応する。その結果、隙間38を流れるプロセスガス25が、高温に昇温した段部32の角部34に触れて分解反応を起こし、副生成物を形成して、シリコン結晶が段部32に付着するのを抑制する。
例えば、プロセスガス25がシリコン源となる原料ガスを含んで構成されている場合、副生成物としてシリコン結晶が生成され、ライナ2の高温部分に付着する可能性があるが、塩化水素ガスは、その流れてくる原料ガスと反応してガス状のSiCl化合物を形成し、上述した流れに乗せてこれを半導体基板6周辺から排出してしまう。
したがって、このガス41のガス出口44からの噴き出しによるカバーによって、チャンバ1内の不純物となるプロセスガス25由来のシリコン結晶が、ライナ2の段部32周辺などに付着するのを抑制しながら、半導体基板6表面に所望の結晶膜を形成することができる。
以上のようにして、半導体基板6の表面に所定の膜厚のエピタキシャル膜が形成される。成膜を終えた後は、プロセスガス25の供給を終了する。このとき同時に、ガス供給部42からのガス41の供給も、エピタキシャル膜の形成の終了とともに終了することができるが、放射温度計(図示せず)による測定により、半導体基板6が所定の温度より低くなったのを確認してから終了するようにしてもよい。
例えば、エピタキシャル膜の形成の終了とともに、先ずプロセスガス25の供給を終了し、供給部4からはチャンバ1内部に対し、キャリアガスである水素ガスのみを供給する。そして、ガス供給部42に対しては塩化水素ガスを含むガス41の供給を継続し、ガス出口41からの塩化水素ガスの噴出を継続する。
このとき、エピタキシャル膜形成終了直後のサセプタ7は非常に高温の状態であり、シリコン結晶等の副生成物が付着していた場合、ガス出口41からの塩化水素ガスと反応して、このシリコン結晶は除去される。
そして、サセプタ7からシリコン結晶等の副生成物が除かれた後は、ガス供給部42に供給するガス41を、塩化水素の含まれないガス41に切り替える。例えば、水素ガスのみからなるガス41に切り替える。その結果、ガス流路26やガス出口44がパージされ、ガス流路26へチャンバ1内の汚染されたガスが侵入することを防ぐとともに、サセプタ7や半導体基板6が冷却される。
チャンバ1内の汚染されたガスがガス流路26内に侵入すると、次にエピタキシャル膜形成を行うときに塩化水素ガスを含むガス41がガス流路26に供給され、それとともに、ガス出口44から噴出されることになる。その結果、ガス流路26から押し出されたれた汚染されたガスは、半導体基板6上でのエピタキシャル膜形成に悪影響を及ぼす可能性がある。よって、上述した水素ガスによるガス流路26のパージは非常に重要な工程となる。
その後は、半導体基板6が所定の温度まで冷却されたのを確認してから、供給部4からのチャンバ1内への水素ガスの供給とガス供給部42への水素ガスの供給を停止し、チャンバ1の外部に半導体基板6を搬出する。
そして、成膜装置50の外で、上記気相反応後の半導体基板6を回収する。
尚、半導体基板6としては、例えば、シリコンウェハ、特にパワー半導体などの用途で使用される300mmのシリコンウェハなどを挙げることができる。このとき、例えば、パワー半導体の用途では、300mmのシリコンウェハ上に10μm以上、多くは10μm〜100μm程度の厚膜が形成される。
また、供給部4からチャンバ1に供給するプロセスガス25の供給流量の設定は、例えばキャリアガス:Hを20〜100SLM(Standard Liter per Minutes:標準リットル毎分)、反応性ガス:ジクロロシラン(SiHCl)を50sccm(standard cubic centimeter per minutes:標準cc毎分)〜2SLMと設定し、その他のドーパントガス:ジボラン(B)またはホスフィン(PH)を微量だけ加えるよう設定する。そのようにジボランを導入すればp型、ホスフィンを導入すればn型の導電性を示す膜が形成される。そしてチャンバ1内の圧力を例えば1333Pa〜常圧に制御する。以上の条件を満たし、チャンバ1内で半導体基板6上の気相成長を開始する。
また、半導体基板6を支持するサセプタ7は、回転軸22を介して図示されない回転機構に接続されている。そして、気相成長反応時においては、サセプタ7を回転させることにより、その上に載置された半導体基板6を高速に回転する。そして、厚膜を形成する場合、成膜時において半導体基板6の回転数を特に高くするのがよく、例えば、900rpm程度の回転数とするのがよい。
上述のプロセス条件で半導体基板6が気相成長反応を行う間、ヒータ8は半導体基板6を常に1000℃以上に加熱している。そのため、チャンバ1全体の温度があまりに高くなってしまうと、上述のようにチャンバ1のフランジ部9をシールしているフッ素ゴム製のパッキン10や、排気部5と排気配管を連結しているフランジ部11のシールをしているパッキン12を劣化させる。
そこで、パッキン10、12の劣化を抑制する目的からも、チャンバ1の外周に設けた冷却水の流路3a、3bに水温約20℃程度の冷却水を循環させて、熱の輻射を受けやすいチャンバ1やパッキン10、12などを冷却水の循環によって冷却する。
尚、このときの冷却手段は水以外でも良く、空気などの成膜装置50から効果的に熱を奪うことが出来るものであれば良い。
以上のように、本実施の形態である成膜装置およびそれを用いた成膜方法では、従来から問題となっていたチャンバ内におけるライナ上に生じる副生成物の堆積を抑制し、メンテナンスの頻度を低減させることによりメンテナンス作業の労力を軽減させるとともに、使用する装置の稼働率を向上させることが出来る。ひいては、プロセス条件を安定化させることにより高品質のウェハ等半導体基板を生産可能にする。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
すなわち、本発明の成膜装置の一例として、エピタキシャル成長装置について説明したが、これに限るものではなく、シリコンウェハ表面に所定の結晶膜を気相成長させるための装置であれば構わない。例えば、ポリシリコン膜を成長させることを目的とした成膜装置であっても本発明と同様の作用効果を得ることができる。
また、SiC(炭化珪素)基板表面にSiC結晶膜を気相成長させるため、1650℃での加熱など、より高温での基板加熱を必要とする成膜装置であっても本発明と同様の作用効果を得ることができる。
図3は、本実施の形態の成膜装置の別の例の模式的な断面図である。
尚、図3に示す成膜装置150は、プロセスガス25の流路となるライナ2の頭部31が短くなるよう構成されて、それに対応してチャンバ1の高さが低くなるように構成されている以外、図1に示す上述の成膜装置50と同様の構成を有している。したがって、それぞれの間で共通する目的と作用効果の部位については、便宜上、同じ符号を使用して示した。
図3に示す成膜装置150は、半導体基板6にSiC基板を使用し、SiC基板表面にSiC結晶膜を気相成長させるための成膜装置である。この成膜装置150では、基板表面にSiC結晶膜を気相成長させるため、ヒータ8を使用し、1650℃での加熱など、上述の成膜装置50などより高温での基板加熱を必要とする。
成膜装置150において、ライナ2の頭部31は、成膜装置50と同様、供給部4から供給されたプロセスガス25が、シャワープレート20を通過し、半導体基板6に向かって流下する際のプロセスガス25の流路となっている。このとき、成膜装置150では、SiC結晶膜を形成するため非常に高温での基板加熱がなされるため、ライナ2の頭部31は非常に高温に昇温してしまう。
したがって、シラン(SiH)等の分解反応を起こしやすい原料ガスを含むプロセスガス25が、昇温されたライナ2の頭部31に触れると分解反応を起こして、副生成物としてシリコンを成分に含む結晶が生成され、その高温の部位に副生成物が付着してしまう。
そのため、シャワープレート20を通過した半導体基板6までの流路の距離は短い方が好ましく、ライナ2の頭部31はより低い高さであることが好ましい。
成膜装置150では、塩化水素ガスなどからなるガス41が供給されるガス供給部42に接続するガス流路26を設けるスペースを確保することを考慮に入れながら、副生成物の付着が抑制されるよう、ライナ2の頭部31の高さ、すなわち、チャンバ1の高さが設定されている。
このような構造の成膜装置150では、ライナ2の段部32に設けられたガス出口44からライナ2内に塩化水素ガスを含むガス41を供給しながら、プロセスガス25をチャンバ1の頂部にある供給部4から流下し、半導体基板6にプロセスガスを接触させてSiCエピタキシャル膜を形成する。
このとき、ガス供給部42に供給されたガス41はライナ2の頭部31周囲のガス流路26の内部全域に行渡り、その後、下方のガス出口44は噴出される。このガス出口44から噴き出る塩化水素ガスは、隙間38を流れてくるプロセスガス25に含まれる原料ガスと反応し、ライナ2上での副生成物付着を抑制し、プロセスガス25の流れに乗せて半導体基板6周辺から排出することが可能となる。
そして、成膜装置150においては、チャンバ1の内壁を被覆するライナ2の頭部31は、高温条件に耐えられるよう、カーボン(C)にSiCコートして構成された部材を使用することが好ましい。また、同様に、ライナ2の頭部31の周囲に周設されるガス流路26も高温条件に耐えられるよう、カーボン(C)にSiCコートして構成された部材を使用することが好ましい。
また、シャワープレート20は、成膜時の温度の上昇が800℃程度までである場合、汚染源となる不純物の発生が少ない石英材料を用いて構成されることが好ましい。また、成膜時の温度上昇が800℃を超える場合、高い耐熱性を有する、カーボン(C)にSiCコートして構成された部材や、カーボンにTaC(タンタルカーバイト)コートして構成された部材を用いて構成されることが好ましい。
さらに、装置の構成や制御の手法など、本発明に直接必要としない部分などについては記載を省略したが、必要とされる装置の構成や、制御の手法などを適宜選択して用いることができる。
また、本発明を説明するために示した図において、説明のために必要な構成以外は省略し、縮尺等に就いても原寸大のものとは一致させず、明確に視認できるよう適宜変更した。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更し得る全ての気相成長装置および各部材の形状は、本発明の範囲に包含される。
1、201 チャンバ
2、202 ライナ
3a、3b、203a、203b 流路
4、204 供給部
5、205 排気部
6、206 半導体基板
7、207 サセプタ
8、208 ヒータ
9、11、209、211 フランジ部
10、12、210、212 パッキン
20、220 シャワープレート
21、221 貫通孔
22、222 回転軸
23、223 回転筒
25、225 プロセスガス
26 ガス流路
30、230 胴部
31、231 頭部
32、232 段部
34、234 角部
38 隙間
41 ガス
42 ガス供給部
44 ガス出口
45 リフレクタ
50、150、200 成膜装置
235 シリコン結晶

Claims (4)

  1. 成膜室と、
    前記成膜室内にプロセスガスを供給する供給部と、
    前記成膜室の底部に設けられた排気部と、
    胴部と、前記胴部より断面積の小さい頭部と、前記胴部と前記頭部とをつなぐ段部とからなり、前記成膜室の内壁を被覆する筒状のライナと、
    前記成膜室内の前記ライナの胴部内に設けられ、SiC基板が載置されるサセプタとを有する成膜装置であって、
    塩化水素ガスを前記成膜室の前記ライナ内に供給するガス流路が前記ライナの頭部の周囲に配設され
    前記ガス流路のガス出口は、前記ライナの段部に設けられ、前記サセプタの直上に位置することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記ガス流路の前記ガス出口は、前記ライナの頭部の周囲を囲むように前記ライナの段部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記ガス流路は、前記ライナ内に塩化水素ガスを供給するとともに水素ガスの供給もするよう構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. プロセスガスを成膜室の頂部から流下し、回転筒に支持されたサセプタ上に載置したSiC基板を加熱しつつ前記SiC基板に前記プロセスガスを接触させて所定の膜を形成する成膜方法において、
    前記成膜室の内壁を、前記サセプタが配設される胴部と、前記胴部より断面積が小さい頭部と、前記胴部と前記頭部をつなぐ段部とからなる筒状のライナで被覆し、
    前記ライナの段部に設けられ前記サセプタの直上に位置するガス出口から前記ライナ内に塩化水素ガスを含むガスを供給しながら、前記プロセスガスを前記成膜室の頂部から流下し、前記SiC基板に前記プロセスガスを接触させて所定の膜を形成することを特徴とする成膜方法。
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