JP5493335B2 - 溶銑の脱銅処理方法 - Google Patents

溶銑の脱銅処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5493335B2
JP5493335B2 JP2008284934A JP2008284934A JP5493335B2 JP 5493335 B2 JP5493335 B2 JP 5493335B2 JP 2008284934 A JP2008284934 A JP 2008284934A JP 2008284934 A JP2008284934 A JP 2008284934A JP 5493335 B2 JP5493335 B2 JP 5493335B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
copper
sulfur
mass
refining agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008284934A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010111908A (ja
Inventor
章敏 松井
祐一 内田
太 小笠原
直樹 菊池
康夫 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2008284934A priority Critical patent/JP5493335B2/ja
Publication of JP2010111908A publication Critical patent/JP2010111908A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5493335B2 publication Critical patent/JP5493335B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

本発明は、溶銑中に含まれる銅を除去する方法に関するものである。
製鋼工程で使用する鉄源は、鉄鉱石を高炉で還元して得られる溶銑が主体であるが、鉄鋼材料の加工工程で発生する鉄屑(鉄スクラップ)や、建築物及び機械製品などの老朽化に伴って発生する鉄屑も、かなりの量が使用されている。高炉での溶銑の製造には、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要するのに対し、鉄屑は還元が不要であり溶解エネルギーのみで済むという利点がある。従って、省エネルギー及びCO2削減による地球温暖化防止の観点からも、鉄屑利用の促進が望まれている。
従来は、鉄屑を転炉や電気炉などの製鋼炉へ直接投入して使用されることが多かった。しかし、鉄源として多様な鉄屑を使用すると、製造される溶鋼の成分調整が困難になるという問題があった。また、転炉は鉄屑の溶解熱として溶銑中炭素の燃焼熱を利用していることから、鉄屑の配合比率を高めるには限界があり、一方、電気炉はエネルギー利用効率が低く、生産性も低いという欠点を有している。そこで、近年、エネルギー効率の高い竪型炉を使用し、転炉の前工程で鉄屑を簡易且つ低コストな方法で溶解して溶銑を製造し、その溶銑を転炉で精錬して高級鋼を製造するという方法が注目されている。
ところで、鉄屑を再生利用する際に、これら鉄屑に含まれる銅や錫に代表されるトランプエレメントが、鉄屑溶解の過程で不可逆的に溶鉄中に混入する。トランプエレメントは鋼の性質を損なう成分であり、一定の濃度以下に保つ必要がある。そのため、高級鋼を製造する鉄源として、銅や錫を含む低級鉄屑の利用には限界があった。しかしながら、近年の鉄屑発生量の増加及びCO2発生低減のための鉄屑増使用要求を勘案すると、低級鉄屑の再生利用を進める必要がある。
現在の低級鉄屑を使用するための実用化技術としては、鉄屑を物理的に分解し、有害な成分を人力や磁力選別などの方法で分離して、分離したものを、有害成分をほとんど含有しない原料に配合して、鋼材の材料特性上問題の無い範囲内で使用する以外に、有効な方法は無い。このような方法では、銅と鉄とが分離しているような形状の鉄屑であれば処理できるが、銅と鉄とが合金化しているような鉄屑の場合には物理的分離が不可能である。更に、使用済み自動車などの鉄屑を大量に再生利用するには能率が悪く、今後予想される鉄屑多量発生時代に対応するための銅除去技術としては、十分な解決策には成り得ない。
一方、溶鉄に混入した後の脱銅方法について、実験室規模において以下に述べるような原理的発明が公知となっている。つまり、含銅高炭素溶鉄とFeS−Na2S系フラックスとを接触させ、溶鉄中の銅成分をCu2Sとしてフラックス中に分離除去する原理的技術知見が、非特許文献1及び非特許文献2に報告されている。この技術は、銅の除去技術として、前述の物理的除去方法に対して、より広い適用の可能性を提案するものである。
この原理的技術知見に基づいた脱銅処理方法として、特許文献1には、含銅鉄屑を加炭溶融して含銅高炭素溶鉄とした後、Na2Sを主成分とするフラックスと接触反応させて、溶鉄中の銅成分をCu2SとしてNa2S系フラックス中に分離除去する方法が開示されている。但し、特許文献1では340kg/t-鉄もの大量のフラックスを用いて精錬処理を行っており、精錬コストやフラックスのハンドリングの点で実用化が困難である。更には、反応温度を1200〜1500℃に保つための電気加熱装置を備えるとともに、大気との接触を断つための有蓋の反応容器を使用しているが、設備が大掛かりであり、設備的側面からも実用化技術として確立しているとは言いがたい。
特開平4−198431号公報 今井正等、鉄と鋼、vol.74(1988)No.4.p.640 王潮等、鉄と鋼、vol.77(1991)No.4.p.504
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、製鋼用の溶銑中に含まれる有害成分である銅を効率良く、且つ大掛かりな設備を必要とせずに除去する方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、反応容器内に収容された溶銑に、精錬剤として鉄−硫黄合金とNa2CO3とを添加し、該精錬剤によって溶銑中の銅を除去する溶銑の脱銅処理方法であって、脱銅処理前の溶銑中に含まれる硫黄質量S1(kg-S/t-溶銑)と前記精錬剤中の硫黄質量S2(kg-S/t-溶銑)との合計値(S1+S2)が5〜30kg-S/t-溶銑となり、且つ、前記Na2CO3の質量N1(kg-Na2CO3/t-溶銑)と前記合計値(S1+S2)との比(N1/(S1+S2))が0.5〜5となるように調整することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1の発明において、前記精錬剤は、予め鉄−硫黄合金とNa2CO3とが混合されたものであることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1または第2の発明において、前記精錬剤を溶銑に連続的に添加することを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1の発明において、前記精錬剤のうちで、鉄−硫黄合金のみを先に溶銑に添加し、溶銑中の硫黄含有量を高めた後に、Na2CO3を連続的に溶銑に添加することを特徴とするものである。
第5の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1または第2の発明において、前記精錬剤の総添加量のうちの30〜70質量%を脱銅処理の開始と同時に添加するまたは添加し始めて脱銅処理を施し、当該精錬剤の添加完了から少なくとも3分間経過した時点で脱銅処理を一旦中断して溶銑上に浮遊した脱銅スラグを反応容器外に除去し、その後、残りの精錬剤を添加するまたは添加し始めて再度脱銅処理を行うことを特徴とするものである。
第6の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1ないし第5の発明の何れかにおいて、脱銅処理終了後に、更に溶銑中の硫黄を除去することを特徴とするものである。
第7の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1ないし第6の発明の何れかにおいて、前記脱銅処理を機械攪拌式精錬装置で行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、銅と鉄とが合金化している鉄屑から持ち来たされる銅のように、物理的分離では従来分離困難であった銅であっても、効率良く溶銑から除去することが実現される。その結果、製鋼用溶銑の原料として従来使用困難であった、銅を多量に含む鉄屑の利用が可能となり、低級屑の利用促進やCO2削減などの工業上有益な効果を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
例えば、銅含有鉄屑を加炭溶解して炭素を含有した製鋼用溶銑を製造すると、鉄屑中の銅はほぼ全量が溶銑中に溶解する。本発明者らは、精錬剤を用いて溶銑中の銅を硫化銅(Cu2S)として除去することに着目し鋭意調査・研究を行った。その結果、溶銑からの脱銅反応には、(1)反応容器内の溶銑及びフラックスの硫黄含有量を高めること、(2)フラックスの塩基性を高めてCu2Sの活量を低下させること、(3)フラックスの溶融性を高めること、が重要であることを突き止めた。
先ず、(1)の硫黄含有量については、フラックス中の硫黄含有量を高めてもよいし、溶銑中の硫黄濃度を高めても、どちらでも構わないことが分かった。フラックス中の硫黄含有量を高める手段としては、工業的にも広く利用されている鉄−硫黄合金(フェロサルファー)を用いることがコスト面でも好ましい。また、鉄−硫黄合金は溶銑中の硫黄濃度を高めるために用いることも当然可能である。
次に、(2)及び(3)について説明する。フラックス中の硫黄含有量及び溶銑中の硫黄含有量を高めることでも脱銅反応は起こったが、脱銅量は極めて少量(Δ[%Cu]=0.01〜0.03質量%程度)で反応が停滞してしまった。この要因について本発明者らは考察を重ねた結果、塩基性フラックスを用いて脱銅スラグ中のCu2Sの活量を低下させる必要があることを見出した。そこで、Cu2Sの活量を低下させるべく、製鋼工程で一般的に用いられるCaO系フラックスの添加を試みた。しかしながら、CaO系フラックスを添加した場合、スラグが固化してしまい脱銅反応を促進することはできなかった。そこで、CaO系フラックスよりも低融点であり、CaOと同様に製鋼工程で一般的に用いられているNa2CO3(ソーダ灰)を用いて実験した。その結果、脱銅スラグの液相が確保でき、脱銅反応が促進されることが確認できた。
また、更なる実験・調査の結果、溶銑中の硫黄含有量とフラックス中の硫黄含有量との合計値、並びに、Na2CO3の添加量を最適な範囲に調整することが脱銅反応の促進には必要なことが明らかとなった。具体的には、処理前の溶銑中の硫黄含有量をS1(kg-S/t-溶銑)とし、フラックス中の硫黄含有量をS2(kg-S/t-溶銑)とすると、S1とS2との合計値(S1+S2)を5〜30kg-S/t-溶銑の範囲にするとともに、Na2CO3の添加量をN1(kg-Na2CO3/t-溶銑)とすると、N1と合計値(S1+S2)との比(N1/(S1+S2))を0.5〜5の範囲にすることが必要であることが分かった。
合計値(S1+S2)が5kg-S/t-溶銑よりも小さい場合には、溶銑中の銅を硫化除去するのに必要な硫黄分が不足し、脱銅率が低位となる。一方、合計値(S1+S2)が30kg-S/t-溶銑よりも大きい場合には、脱銅処理終了時の溶銑中の硫黄濃度が高くなり過ぎ、その後、溶銑中の硫黄を除去するのが困難となるため好ましくない。更に、比(N1/(S1+S2))が0.5よりも小さい場合には、Na2CO3添加によるCu2Sの活量低下の効果を十分に得ることができないために脱銅不良となる。一方で、比(N1/(S1+S2))を5よりも大きくした場合、若干の脱銅率の低下が見られた。この要因としてはフラックス中のNa2CO3が過剰になることで、メタル側の硫黄濃度が低下傾向になるためと推定される。また、当然のことながら、Na2CO3の使用量が増えてコスト面も悪化するため、好ましくない。このように、合計値(S1+S2)及び比(N1/(S1+S2))をそれぞれ最適な範囲にすることで効率良い脱銅を行うことが可能であることが分かった。ここで、脱銅率とは、「(処理前溶銑中銅濃度−処理後溶銑中銅濃度)×100/処理前溶銑中銅濃度」で表される値である。
また、本発明者らはフラックスの添加方法について調査を行った。その結果、鉄−硫黄合金とNa2CO3とを予め混合してから溶銑に連続的に添加することで、より一層の脱銅効率の向上が望めることが分かった。これは、連続的にフラックスを添加することで、溶融性の高いスラグを形成しうるためと考えられる。しかし、この方法ではフラックスの事前混合作業が必要となる。
そこで、本発明者らは更に検討を重ねた。その結果、フラックスのうちの鉄−硫黄合金のみを先に溶銑に添加して溶銑中の硫黄濃度を高めた後にNa2CO3を連続的に添加することでも、十分に効率の良い脱銅方法が得られることを見出した。この反応メカニズムについて本発明者らは以下のように類推している。
即ち、溶銑の硫黄濃度を高めることで、溶銑はFe相とFeS相との2相に分離することが知られている。このFeS相とNa2CO3とが反応することで脱銅能に優れた溶融スラグが形成され、銅を硫化除去することが可能になると考えられる。従って、先に鉄−硫黄合金を添加してFeS相を形成させておき、潤沢なFeS相にNa2CO3を添加していくことで溶融スラグを効率的に形成することができ、脱銅効率を高めることができると考えられる。この方法であれば、鉄−硫黄合金及びNa2CO3をそれぞれ別の供給系統から添加でき、Na2CO3は例えばロータリーフィーダーのような連続供給が可能な装置を用いて添加すればよく、また、事前混合作業を必要としないという利点もある。尚、逆にNa2CO3を先に添加した後に鉄−硫黄合金を添加する実験も行ったが、この場合は脱銅効率の向上は見られなかった。
また、本発明者らは更に脱銅効率を高める手段について調査し、脱銅処理を2回に分ける方法を見出した。その内容について以下に具体的に説明する。
前述の精錬剤の総添加量のうちの30〜70質量%を先ず処理開始と同時に一括添加する、または添加し始めて脱銅処理を行い、その後一旦処理を中断して、溶銑上に浮遊する脱銅スラグを除去し、その後、再度残りの精錬剤を一括添加する、または添加し始めて脱銅処理することで脱銅効率が向上することを見出した。つまり、脱銅処理の期間を2回に分けることで、更なる高効率化が可能であることが分かった。但し、最初に添加するフラックス量は総添加量のうちの30〜70質量%が好適であり、この範囲を外れる場合には、フラックスを2回に分ける効果を十分に享受できないことも分かった。更に、最初のフラックスを添加し終わった後、少なくとも3分間は脱銅処理を続けることが重要であることも分かった。これは、添加したフラックスが脱銅反応に寄与する時間が必要なためである。尚、この方法では、途中の脱銅スラグ除去作業のための時間やコストが必要となる。スラグ除去作業は、公知のスラグドラッガーを用いた方法でもよいし、反応容器を傾けて容器内のスラグを排出する方法でも何でもよく、各製鉄所の保有する設備状況に適したものが選択されることになる。
以上述べたように、本発明における脱銅処理は硫化反応であるので、脱銅処理後の溶銑中硫黄濃度が通常の溶銑と比較して極めて高くなる。従って、脱銅処理を行った後に、溶銑中の硫黄を除去する工程が必要となる。脱硫処理は、公知の機械攪拌式精錬装置による方法、ランスからの粉体吹き込みによる方法、転炉を使用する方法などの何れであってもよい。脱硫剤としては、CaOを主成分とする脱硫剤、カルシウムカーバイドを主成分とする脱硫剤、Na2CO3(ソーダ灰)を主成分とする脱硫剤、金属Mgなど種々の脱硫剤を使用することができる。また脱硫処理を実施する場合には、例えば脱銅処理を行った後に、脱銅スラグを除去してから、同一反応容器内で脱硫処理を行ってもよいし、別の容器に移し変えた後に行っても構わない。また、脱銅処理後の溶銑と、比較的硫黄濃度の低い、高炉から出銑された溶銑(「高炉溶銑」という)とを混合してから、混合溶銑で脱硫処理を実施しても構わない。
ところで、これまでに述べたように本発明における脱銅処理は、Fe相とFeS相とへの2相分離、及び速やかな溶融スラグの形成により行われることから、これらを促進させるために、メタル相とスラグ相の双方に攪拌を付与することが望ましい。溶銑及び溶銑上に存在するスラグを同時に攪拌する方法として、反応容器内の溶銑に浸漬させたインジェクションから攪拌用ガスを吹き込んでスラグと溶銑とを攪拌する方法、溶銑に浸漬させたインジェクションランスから粉体フラックスと攪拌用ガスとを同時に吹き込む方法も採り得るが、本発明においては、良好な攪拌が得られることから、機械攪拌式精錬装置を用いて脱銅処理を行うことが好ましい。機械攪拌式精錬装置としては、インペラー(「攪拌羽根」ともいう)を使用した攪拌が代表的である。つまり、反応容器内に収容された溶銑にインペラーを浸漬させ、このインペラーを、軸芯を回転軸として回転させ、溶銑及び溶銑上に添加されたフラックスを強制的に攪拌する方法であり、メタル相・スラグ相の双方に十分な攪拌を付与することができ、良好な脱銅効率を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、製鋼用溶銑中に含まれる有害成分である銅を、フラックスを用いて効率良く除去でき、その結果、製鋼用溶銑の原料として従来使用困難であった銅を多量に含む鉄屑の利用が可能となり、低級屑の利用促進やCO2削減などの工業上有益な効果を得ることができる。
鍋形状の反応容器に約5トンの製鋼用溶銑を装入して脱銅試験を行った。鍋上に設けた精錬剤供給用ホッパーから脱銅精錬用のフラックスを添加した。脱銅精錬用フラックスとしては、鉄−硫黄合金(フェロサルファー、硫黄含有量:48質量%)とソーダ灰(Na2CO3)とを用いた。鍋内溶銑の攪拌方法としては、溶銑にインジェクションランスを浸漬させて窒素ガスを吹き込んで攪拌する方法か、或いは耐火物で被覆したインペラーを溶銑に浸漬させ、インペラーを回転して攪拌する方法の何れかを用いた。表1に、実験条件及び実験結果を一覧で示す。尚、用いた溶銑の処理前温度は1200〜1500℃の範囲であり、溶銑成分は、表1以外の成分については、炭素が3.8〜5.2質量%、珪素が0.05〜0.54質量%、マンガンが0.05〜0.38質量%、燐が0.020〜0.185質量%の範囲であった。
Figure 0005493335
表1の本発明例1〜5に示すように、処理前の溶銑中の硫黄含有量(S1)とフラックス中の硫黄含有量(S2)との合計値(S1+S2)及びNa2CO3の使用量(N1)と合計値(S1+S2)との比(N1/(S1+S2))を本発明の範囲とすることで、良好な脱銅率が得られた。
一方、比較例1のように合計値(S1+S2)が5kg-S/t-溶銑より小さい場合においては、脱銅率が著しく低位となった。また、比較例2のように合計値(S1+S2)が30kg-S/t-溶銑より大きい場合では、脱銅率は良好なものの、脱銅処理後の溶銑中硫黄濃度が非常に高くなっている。更に、比較例3に示すように、比(N1/(S1+S2))が0.5より小さい場合にも脱銅率は低位となった。また、比較例4〜5のように、比(N1/(S1+S2))が5より大きい場合も、脱銅率はやや低位となる傾向が見られた。
本発明例6〜9は、攪拌手段としてインペラーを用いた試験の結果である。これらの試験結果に示すように、攪拌手段としてインペラーを用いることで、脱銅率のより一層の向上が確認できた。
また、本発明例10〜11のように、フラックスを事前に混合してから、溶銑に連続的に添加する方法でも脱銅率は向上し、更には、本発明例12〜13のように、先に鉄−硫黄合金を溶銑に添加し、その後、ソーダ灰を連続的に添加する方法でも脱銅率の向上が確認できた。
脱銅処理の途中で除滓作業を実施し、脱銅処理を2つに分割した脱銅試験を実施した。また比較のために、除滓作業を行わず、連続して脱銅処理する試験も実施した。
実施例1と同様に、鍋形状の反応容器に約5トンの製鋼用溶銑を装入して試験を行った。実験では攪拌装置としてインペラーを用いた。また、脱銅処理途中の除滓の影響のみを厳密に調査するために、溶銑の成分及び温度は可能な範囲で同一となるように調整した。即ち、脱銅処理前の溶銑中の硫黄濃度を0.071〜0.092質量%、銅濃度を0.33〜0.37質量%に調整するとともに、炭素濃度を4.4〜4.8質量%、珪素濃度を0.15〜0.20質量%、マンガン濃度を0.10〜0.17質量%、燐濃度を0.090〜0.110質量%に調整した。また、脱銅処理前の溶銑温度は1350〜1400℃の範囲で調整した。
更に、フラックス条件も統一すべく、鉄−硫黄合金を40kg/t-溶銑、Na2CO3を25kg/t-溶銑とし、事前に混合してから処理開始と同時に添加開始した。最初に投入するフラックスの添加が完了した後、3分間以上が経過した後に、インペラー攪拌を停止した。尚、最初に投入するフラックスの添加完了から3分間未満のうちに攪拌を停止した場合には、脱銅率の向上が認められなかったことは事前に確認している。攪拌停止後、反応容器を傾転させてスラグドラッガーにて脱銅スラグを除去し、その後、再度インペラーを浸漬し、溶銑を回転・攪拌させて残りのフラックスを添加した。試験結果を表2に示す。
Figure 0005493335
表2に示すように、最初に添加するフラックスの割合が総添加量の30〜70質量%の範囲の試験(本発明例15〜19)において、脱銅率が向上していることが分かる。上記範囲外のものについては、途中で除滓しても、途中除滓の無い場合(本発明例22)とほぼ同程度の脱銅率であった。

Claims (8)

  1. 反応容器内に収容された溶銑に、精錬剤として鉄−硫黄合金とNa2CO3とを添加し、該精錬剤によって溶銑中の銅を除去する溶銑の脱銅処理方法であって、脱銅処理前の溶銑中に含まれる硫黄質量S1(kg-S/t-溶銑)と前記精錬剤中の硫黄質量S2(kg-S/t-溶銑)との合計値(S1+S2)が5〜30kg-S/t-溶銑となり、且つ、前記Na2CO3の質量N1(kg-Na2CO3/t-溶銑)と前記合計値(S1+S2)との比(N1/(S1+S2))が0.5〜5となるように調整する(但し、溶銑中の銅濃度が0.45質量%のときに、精錬剤中の硫黄質量S 2 が22.5kg-S/t-溶銑で、且つ、Na 2 CO 3 の質量N 1 が90kg-Na 2 CO 3 /t-溶銑となる条件、及び、溶銑中の銅濃度が0.49質量%のときに、精錬剤中の硫黄質量S 2 が24.5kg-S/t-溶銑で、且つ、Na 2 CO 3 の質量N 1 が98kg-Na 2 CO 3 /t-溶銑となる条件を除く)ことを特徴とする、溶銑の脱銅処理方法。
  2. 前記精錬剤は、予め鉄−硫黄合金とNa2CO3とが混合されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱銅処理方法。
  3. 前記精錬剤を溶銑に連続的に添加することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱銅処理方法。
  4. 前記精錬剤のうちで、鉄−硫黄合金のみを先に溶銑に添加し、溶銑中の硫黄含有量を高めた後に、Na2CO3を連続的に溶銑に添加することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱銅処理方法。
  5. 反応容器内に収容された溶銑に、精錬剤として鉄−硫黄合金とNa 2 CO 3 とを添加し、該精錬剤によって溶銑中の銅を除去する溶銑の脱銅処理方法であって、脱銅処理前の溶銑中に含まれる硫黄質量S 1 (kg-S/t-溶銑)と前記精錬剤中の硫黄質量S 2 (kg-S/t-溶銑)との合計値(S 1 +S 2 )が5〜30kg-S/t-溶銑となり、且つ、前記Na 2 CO 3 の質量N 1 (kg-Na 2 CO 3 /t-溶銑)と前記合計値(S 1 +S 2 )との比(N 1 /(S 1 +S 2 ))が0.5〜5となるように調整し、前記精錬剤の総添加量のうちの30〜70質量%を脱銅処理の開始と同時に添加するまたは添加し始めて脱銅処理を施し、当該精錬剤の添加完了から少なくとも3分間経過した時点で脱銅処理を一旦中断して溶銑上に浮遊した脱銅スラグを反応容器外に除去し、その後、残りの精錬剤を添加するまたは添加し始めて再度脱銅処理を行うことを特徴とする、溶銑の脱銅処理方法。
  6. 前記精錬剤は、予め鉄−硫黄合金とNa 2 CO 3 とが混合されたものであることを特徴とする、請求項5に記載の溶銑の脱銅処理方法。
  7. 脱銅処理終了後に、更に溶銑中の硫黄を除去することを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の溶銑の脱銅処理方法。
  8. 前記脱銅処理を機械攪拌式精錬装置で行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の溶銑の脱銅処理方法。
JP2008284934A 2008-11-06 2008-11-06 溶銑の脱銅処理方法 Expired - Fee Related JP5493335B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008284934A JP5493335B2 (ja) 2008-11-06 2008-11-06 溶銑の脱銅処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008284934A JP5493335B2 (ja) 2008-11-06 2008-11-06 溶銑の脱銅処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010111908A JP2010111908A (ja) 2010-05-20
JP5493335B2 true JP5493335B2 (ja) 2014-05-14

Family

ID=42300693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008284934A Expired - Fee Related JP5493335B2 (ja) 2008-11-06 2008-11-06 溶銑の脱銅処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5493335B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5651978B2 (ja) * 2010-03-30 2015-01-14 Jfeスチール株式会社 硫化脱銅スラグからのナトリウム・硫黄成分の回収方法
JP6065538B2 (ja) * 2012-11-20 2017-01-25 Jfeスチール株式会社 溶銑の脱銅処理方法
KR101462168B1 (ko) * 2012-12-26 2014-11-14 주식회사 포스코 용철 처리장치 및 그 처리방법
KR101618305B1 (ko) 2014-11-18 2016-05-04 주식회사 포스코 구리 제거용 플럭스 및 이를 이용한 구리 제거 방법

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04198431A (ja) * 1990-11-29 1992-07-17 Nippon Steel Corp 鋼鉄中の銅の除去方法
JPH09143586A (ja) * 1995-11-28 1997-06-03 Ryokichi Shinpo 溶鉄中の銅の除去方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010111908A (ja) 2010-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5402005B2 (ja) 鋼屑中の銅の除去方法
JP5493335B2 (ja) 溶銑の脱銅処理方法
JP5326590B2 (ja) 溶銑からの銅及び硫黄の除去方法
JP5707668B2 (ja) 溶銑の脱銅処理方法
JP5625654B2 (ja) 溶銑の製造方法
JP2011080143A (ja) 溶銑の製造方法
JP6065538B2 (ja) 溶銑の脱銅処理方法
JP4714655B2 (ja) 含クロム溶鉄の脱硫方法
JP5581759B2 (ja) 鋼屑中の銅の除去方法
JP6542560B2 (ja) 非鉄製錬スラグの処理方法
JP5326591B2 (ja) 鋼屑を鉄源とした溶銑の製造方法
JP5581760B2 (ja) 鋼屑中の銅の除去方法及び鋼屑を鉄源とした溶鋼の製造方法
JP5970863B2 (ja) 溶銑の脱錫方法
JP6369699B2 (ja) 溶銑脱硫スラグからの精錬用フラックスの回収方法および溶銑の脱りん・脱硫方法
JP2019151535A (ja) リン酸スラグ肥料の製造方法
JP5365207B2 (ja) 鋼屑を鉄源とした溶鋼の製造方法
JP6947024B2 (ja) 溶銑脱硫方法
JP2011208172A (ja) 鉄スクラップを鉄源として利用した転炉脱炭精錬方法
JP6126355B2 (ja) 溶銑の脱硫処理方法
JP2020105544A (ja) 溶銑脱硫方法
JP2008240135A (ja) 使用済触媒を利用したMo含有鋼の溶製方法
JPH05239510A (ja) 低Si、低S、低P溶銑の製造方法
JPH04173913A (ja) Cu,Sn含有スクラップを原料とする転炉製鋼法および融体処理炉
TW201702388A (zh) 自鋁系廢觸媒中回收金屬合金的方法
JP2008214711A (ja) 含クロム溶鉄の脱硫方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110824

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120321

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5493335

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees