JP5492048B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、クルーズ走行などの自動走行に移行する際に、運転者に与える違和感を抑えることを目的としている。
図1は実施形態に係るハイブリッド車両の概要構成図である。図1に示すハイブリッド車両は後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても本発明は適用可能である。
(駆動系の構成)
まず駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1に示すように、エンジン1から左右後輪(駆動輪)までのトルク伝達経路の途中に、モータ2及び自動変速機AT(=トランスミッションT/M)を介装する。エンジン1とモータ2との間に、第1クラッチ4を介装する。また、モータ2と駆動輪(後輪)との間のトルク伝達経路に第2クラッチ5を介装する。この例では、第2クラッチ5は、自動変速機AT(=トランスミッションT/M)の一部を構成する。自動変速機ATは、プロペラシャフト、ディファレンシャルDF、及びドライブシャフトを介して駆動輪7(後輪)に接続する。
上記モータ2は、例えばロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータである。モータ2は、後述するモータコントローラ23からの制御指令に基づき、後述のインバータ8で作り出した三相交流を印加することで制御出来る。このモータ2は、後述のバッテリ9からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできる(この状態を「力行」と呼ぶ)。また、モータ2は、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ9を充電することもできる(この動作状態を「回生」と呼ぶ)。このモータ2のロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結する。
上記自動変速機ATは、例えば、前進7速後退1速や前進6速後退1速等の有段階の変速比を、車速や後述の統合コントローラ21から入力した変速用アクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機である。ここで、上記第2クラッチ5は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用して構成する。
また、各輪には、それぞれブレーキユニット(不図示)を備える。各ブレーキユニットは、例えばディスクブレーキやドラムブレーキからなる。各ブレーキユニットは、油圧ブレーキ装置であっても、電動ブレーキ装置であっても良い。各ブレーキユニットは、ブレーキコントローラ25からの指令に応じて、対応する車輪に制動力を付与する。なお、ブレーキユニットは、全ての車輪に設ける必要はない。
符号33は運転者によって操作されるアクセルペダル33である。このアクセルペダル33のアクセル開度APOは、アクセルセンサ20によって検出され、アクセルセンサ20は、検出したアクセル開度APO情報を統合コントローラ21に出力する。
また、符号34はペダルアクチュエータ34である。ペダルアクチュエータ34は、車間制御コントローラ31からの指令に応じたペダル反力をアクセルペダル33に付与するアクチュエータである。
また符号27は車輪速センサである。車輪速センサ27は、検出した車輪速情報をブレーキコントローラ25に出力する。また、車輪速情報から求まる車速情報は、ブレーキコントローラ25から統合コントローラ21及び車間制御コントローラ31に出力される。
また符号29はブレーキスイッチ29である。ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダル(不図示)の操作を検出する。
符号28は、ステアリングスイッチである。ステアリングスイッチ28は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速等)の変更指示を運転者が行うための操作子である。ここで、本実施形態のオートクルーズ走行には、定速走行制御(定速クルーズ)及び車車間走行制御(車間クルーズ)の両方を含む。
符号18はバッテリ9の電圧を検出する電圧センサである。符号19はバッテリ9の電流を検出する電流センサである。
上記ハイブリッド車両の制御系は、図2に示すように、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、インバータ8と、バッテリコントローラ26と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、統合コントローラ21と、を有する。また、本実施形態のハイブリッド車両の制御系は、車間制御コントローラ31を有する。
なお、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、車間制御コントローラ31と、統合コントローラ21とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線(不図示)を介して接続する。
バッテリコントローラ26は、バッテリ9の充電状態をあらわすバッテリSOCを監視している。バッテリコントローラ26は、バッテリSOC情報を、モータ2の制御情報等として、CAN通信線を介して統合コントローラ21へ供給する。
上記統合コントローラ21は、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ10、モータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11、変速機入力回転数を検出するAT入力回転センサ12、変速機出力回転数を検出するAT出力回転センサ13からの情報を入力する。また、統合コントローラ21は、アクセルセンサ20からアクセル開度APO情報、バッテリコントローラ26からバッテリ9の蓄電状態SOCの情報を入力する。また、上記統合コントローラ21は、CAN通信線を介して取得した情報を出力する。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結で第2クラッチ5は開放のままでエンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータ2を回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
図3は、本実施形態の統合コントローラ21の制御における基本的な指令値の基本的な流れを示す概要構成図を例示するものである。また、図4は本実施形態の統合コントローラ21の制御を機能的に説明する機能ブロック図である。
統合コントローラ21は、図4に示すように、要求発電トルク演算部21A、要求エンジントルク演算部21B、モータ出力可能トルク演算部21C、目標駆動トルク演算部21D、車両状態モード決定部21E、エンジン始動制御部21F、エンジン停止制御部21G、目標エンジントルク算出部21H、目標モータトルク算出部21J、目標クラッチトルク算出部21Kを備える。
要求エンジントルク演算部21Bは、車速などの走行状態や要求発電トルク演算部21Aが演算した要求発電トルク等に基づき、エンジン1で発生すべき要求エンジントルクを演算する。
モータ出力可能トルク演算部21Cは、バッテリコントローラ26からのSOCなどのバッテリ情報や、車速などに基づき、モータ2が出力可能なモータ出力可能トルクを演算する。
ドライバ要求トルク演算部21Daは、少なくともアクセルペダル33のアクセル開度APO情報及び車速に基づき、ドライバ要求トルクを演算する。ドライバ要求トルク演算部21Daは、図3に示す例では、アクセル開度APO及び変速機入力回転数を入力し、ベーストルクマップを参照して基本ドライバ要求トルクを演算する。また、車速に基づき、クリープ・コースト駆動力テーブルを参照して第1の補正トルクを演算する。また、アクセル開度APO情報、変速機入力回転数、SOC等に基づく電力制限情報に基づき、MGアシストトルクMAPを参照して、第2の補正トルクを算出する。そして、ドライバ要求トルク演算部21Daは、演算した基本ドライバ要求トルク、第1の補正トルク、第2の補正トルクに基づき、最終的なドライバ要求トルクを求める。
車速リミッタトルク演算部21Ddは、ステアリングスイッチ28によって設定される設定車速及び現在の車速に基づき、上限の車速以下とするための車速リミッタトルクを演算する。
最終目標駆動トルク演算部21Deは、第1目標駆動トルク演算部21Dcが出力する第1目標駆動トルクと、車速リミッタトルク演算部21Ddが演算した車速リミッタトルクとのセレクトローを実施する。すなわち、第1目標駆動トルクを車速リミッタトルクで制限して、目標駆動トルクを求める。
エンジン始動判定処理部21Eaの処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS10では、下記条件を全て満足するか判定する。下記条件を全て満足する場合には、ステップS30に移行する。全ての条件を満足しない場合にはステップS20移行する。この判定によって、エンジン停止の処理を開始してからエンジンが停止するまでの間に上記起動操作を検出する。
(a)クルーズ制御中
(b)セットSW操作中
(c)車両状態モードがエンジン停止シーケンス中
ここで、クルーズ制御中とは、自動走行制御であるオートクルーズの制御が起動していることを指す。セットSW操作中とは、クルーズ制御開始のためにステアリングスイッチ28を操作を検知してから、予め設定した停止禁止時間の間であることを指す。車両状態モードが停止シーケンス中とは、エンジン停止指令がONとなって、エンジン停止のための処理中を指す。
(d)クルーズ制御が解除されている。
(e)現在の車両状態モードがHEVモード
(f)現在の車両状態モードがEVモード
ステップS30では、セット操作時エンジン始動要求を「ON」に設定してステップS100に移行する。
ステップS40では、セット操作時エンジン始動要求を「OFF」に設定してステップS100に移行する。
ステップS50では、セット操作時エンジン始動要求として前回値を保持して、ステップS100に移行する。
ステップS110では、クルーズ要求トルク(目標駆動トルク)が、予め設定した始動判定トルク以上か否かを判定する。始動判定トルク以上の場合には、ステップS140に移行する。クルーズ要求トルク(目標駆動トルク)が、始動判定トルク未満の場合にはステップS120に移行する。
ステップS140では、クルーズエンジン始動要求をONにしてステップS180に移行する。
ステップS150では、クルーズエンジン始動要求をONにしてステップS180に移行する。
ステップS170では、クルーズエンジン始動要求をOFFにしてステップS180に移行する。
ステップS177では、クルーズエンジン始動要求をOFFにしてステップS180に移行する。
(g)アクセル開度APOによる始動要求を満足する
(h)システムによる始動要求を満足するか否かを判定する。
(i)クルーズエンジン始動要求がON
アクセル開度APOによる始動要求は、現在のアクセル開度APOが予め設定した始動アクセル開度APO以上の場合に満足する。始動アクセル開度APOは、車速に応じて変更されても良い。
クルーズエンジン始動要求がONとは、クルーズエンジン始動要求がONの場合である。
ステップS190では、エンジン始動要求をONにしてステップS250に移行する。
ステップS200では、エンジン始動要求をOFFにしてステップS250に移行する。
ステップS250では、エンジン始動要求がONの場合には、現在の車両状態モードがHEVモードでなければ、エンジン始動フラグをONにして、エンジン始動制御部21Fを作動する処理を実行する。その後、復帰する。
(j)アクセル開度APOが予め設定したエンジン停止開度以下
(k)クルーズ要求トルク(目標駆動トルク)が予め設定したエンジン停止トルク以下
そして、エンジン停止要求がONの場合には、EVモードで無ければンジン停止フラグをONにして、エンジン停止制御部21Gを作動する処理を実行する。その後、復帰する。
エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動フラグがONの場合に作動して、モータ走行中にエンジン1を始動する処理を実施してHEVモードへの移行処理を行う。
エンジン始動制御部21Fは、モータ走行中にエンジン始動指令(エンジン始動フラグがON)を取得すると起動する。
まず第2クラッチ5を目標クラッチ伝達トルクにするための目標第2クラッチトルク指令を、ATコントローラ24に出力する。上記目標第2クラッチ伝達トルク指令TCL2は、エンジン始動処理前の出力トルク相当のトルクを伝達可能な伝達トルク指令であって、モータ2が出力する駆動力を増大したとしても出力軸トルクに影響を与えない範囲とする。ここで、ATコントローラ24は、指令に応じたクラッチ油圧が発生するように第2クラッチ油圧ユニットを制御する。
例えば、エンジン停止制御部21Gは、エンジン停止指令(エンジン停止フラグがON)を取得すると起動して、まず、ATコントローラ24に対して、第1クラッチ4を滑り締結する予め設定したトルク指令を出力する。同期をとって、モータコントローラ23に、モータ2を回転数制御する指令を出力する。これによって、第1クラッチ4によるエンジン1からのトルクを減少しつつ、モータトルクを増大して、目標駆動トルクを得る。目標モータトルクが目標駆動トルクとなったら、第1クラッチ4を目標クラッチ伝達トルク=0にするための目標第1クラッチ4トルク指令を、ATコントローラ24に出力する。その後、エンジンコントローラ22に対して目標エンジントルクにゼロを設定して出力する。これによって、エンジンは燃料カット(F/C)され、エンジンは空回りしている状態となる。
なお、図3におけるVAPO演算21Lは、クルーズ要求トルクから逆算して対応する推定アクセル開度を演算して、演算した推定アクセル開度を変速用アクセル開度としてATコントローラ24に出力する。
自動走行であるオートクルーズ走行の制御中でない場合には、アクセル開度APOに基づくドライバ要求トルクを目標駆動トルクとして、駆動源であるエンジン1及びモータ2の少なくとも一方の出力が制御される。そして、例えば、アクセルが踏み込まれて車両が所定車速以上となるなど、エンジン始動条件を満足すると、エンジン1が始動されて、HEVモードでの走行状態となり、また、例えばアクセルが踏み戻されて、エンジン停止条件を満足すると、エンジン1が停止されてEVモードに移行する。
運転者が自動走行であるオートクルーズ走行に移行する場合には、アクセルペダル33を踏み込み、設定車速以上に自車両を加速させてから、アクセルペダル33を戻してアクセルペダル33をOFFに、その後、クルーズセットのためにステアリングスイッチ28を操作する。
図9に示されるタイムチャートの場合には、アクセルペダル33が踏み込まれることで、目標駆動トルク(ドライバ要求トルク)が増大して車速も増加し、エンジン1が駆動源となるHEVモードでの走行が維持、若しくはHEVモード状態となっている。
その後、アクセルペダル33が戻されることで、車両状態モードがエンジン停止シーケンスのモードとなる。
続けて、ステアリングスイッチ28が操作されることで目標駆動トルク(自動制御要求トルク)とするために、エンジン始動状態を満足して、HEVモードに遷移する。
このとき、上記従来例のようなハイブリッド車両であれば、破線のように一旦、エンジン停止シーケンスからEVモードに移行し、さらに、エンジン始動シーケンスを経た後に、車両状態モードがHEVモードとなる。
この結果、エンジン1が停止して一旦EVモードに移行して再度エンジン1の始動という状態を低減できることから、運転者に与える違和感を低減することが出来る。
ここで、自動制御要求トルク演算部21Dbが自動走行手段を構成する。ステアリングスイッチ28が、運転者によって起動操作を行う操作子を構成する。
(1)自動走行手段は、運転者による起動操作によって作動して、運転者が設定した走行状態に自動調整するための目標駆動力(自動制御要求トルク)を算出する。そして、エンジン停止の処理を開始してからエンジンを停止するまでの間に上記起動操作を検出したとき、そのエンジン停止の処理を中止して、エンジンの運転を継続する。すなわち、上記起動操作を検出したときにエンジン停止の処理中と判定すると、エンジン停止の処理を中止して、EVモードに移行することなく、HEVモードに移行する処理を行うことで、エンジンの運転を継続する。
ここで、従来のハイブリッド車両にあっては、通常、エンジン停止シーケンスに移行すると、一度EVモードに移行してから、エンジン始動シーケンスを介してHEVモードとなる。
(2)上記自動走行手段は、運転者が設定した車速を目標車速とするための目標駆動力を算出する。
定速走行の自動走行の際には、エンジン運転状態での走行状態に成る可能性が高いので、より上述の効果を奏する。
2 モータ
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ
7 駆動輪
20 アクセルセンサ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルク演算部
21B 要求エンジントルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部(自動走行手段)
21Dc 第1目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動判定処理部
21Eb エンジン停止判定処理部
21F エンジン始動制御部
21G エンジン停止制御部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
21L VAPO演算
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 ATコントローラ
25 ブレーキコントローラ
26 バッテリコントローラ
28 ステアリングスイッチ
30 クルーズキャンセルスイッチ
31 車間制御コントローラ
Claims (3)
- 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてエンジン及びモータを備えるハイブリッド車両の走行を制御して、少なくともエンジンを駆動源として走行する車両状態モードであるHEVモードから、エンジンを停止してモータを駆動源として走行する車両状態モードであるEVモードに遷移する際には、エンジン停止処理を実行し、上記EVモードから上記HEVモードに遷移する際には、エンジン始動処理を実行する車両用走行制御装置であって、
運転者による起動操作によって作動して、運転者が設定した走行状態に自動調整するための目標駆動力を算出する自動走行手段を備え、
上記自動走行手段により算出された目標駆動力に基づく自動走行中であっても、走行状態に応じて、上記HEVモード又は上記EVモードのいずれかを選択的に設定可能であり、
上記エンジン停止処理を開始してからエンジンが停止するまでの間に上記起動操作を検出したとき、上記エンジン停止処理を中止して、上記EVモードに完全に遷移することなく、且つ、上記エンジン始動処理を実行することなくエンジンの運転を継続することを特徴とする車両用走行制御装置。 - 上記エンジンとモータとの間にクラッチが介装され、
上記エンジン停止処理は、上記クラッチの開放処理を含み、上記エンジン始動処理は、上記クラッチの締結処理を含むことを特徴とする請求項1に記載した車両用走行制御装置。 - 上記自動走行手段は、運転者が設定した車速を目標車速とするための目標駆動力を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した車両用走行制御装置。
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