以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100は、原稿を読取って生成された画像データに応じて、所定の記録紙に多色又は単色の画像を形成する。画像形成装置100は、本体装置110と、自動原稿送り装置120とにより構成されている。本体装置110は、光走査装置1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、及び排紙トレイ91を備えて構成されている。画像形成装置100は、これらの他にも画像形成装置として機能するために必要な構成要素をも備えている。
本体装置110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられた画像読取り装置90が配置され、原稿載置台92の上には自動原稿送り装置120が取り付けられている。自動原稿送り装置120は、原稿載置台92の上に自動的に原稿を搬送する。自動原稿送り装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手で置くことができるようになっている。
本画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像データ、即ち、これら4色の成分に分解された画像データである。したがって、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、及びクリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられ、これらによって、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローを処理する4つの画像ステーションが構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための装置であり、図2に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
光走査装置1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。光走査装置1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズ及びミラー等の光学要素とが配置されている。光走査装置1としては、このような構成以外に、発光素子をアレイ状に並べた例えばEL又はLED書込みヘッドを用いるものも採用できる。
光走査装置1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。クリーナユニット4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去及び回収する。
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、YMCKの各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。各中間転写ローラ64は、対応する感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するために、後述する転写バイアスを供給する。
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなどを用いることも可能である。
上述のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61上で積層される。このように積層された画像情報(トナーの濃淡分布)は、中間転写ベルト61が回転されて、記録紙と中間転写ベルト61との接触位置に配置される転写ローラ10によって記録紙上に転写される。
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを記録紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方には硬質材料(金属等)が用いられ、他方には弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、発泡性樹脂ローラ等)が用いられる。
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、又は転写ローラ10によって記録紙上に転写が行なわれずに中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去されて回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、クリーニング部材として、例えば中間転写ベルト61に接触するクリーニングブレードが配置されており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録紙を蓄積しておくためのトレイであり、本体装置110の光走査装置1の下側に設けられている。また手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。また、本体装置110に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みの記録紙をフェイスダウンで、即ち印刷面を下にして集積するためのトレイである。
本体装置110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の記録紙を、転写ローラ10及び定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るために、略鉛直方向に記録紙搬送路Sが形成されている。給紙カセット81又は手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの記録紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、11b、複数の搬送ローラ12a〜12e、レジストローラ13、転写ローラ10、及び定着ユニット7等が配置されている。
搬送ローラ12a〜12eは、記録紙の搬送を促進及び補助するための小型のローラであり、記録紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に配置され、給紙カセット81から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に配置され、手差し給紙カセット82から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。
レジストローラ13は、記録紙搬送路Sを搬送される記録紙を一旦保持する。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録紙の先端とが一致するタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する。
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転する。また、ヒートローラ71は、温度検出器(図示せず)からの信号に基づいて、制御部によって所定の定着温度に設定されており、加圧ローラ72とともにトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融、混合、及び圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
記録紙の搬送経路に関して具体的に説明する。上述のように、画像形成装置100には予め記録紙を収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82から記録紙を給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、記録紙を1枚ずつ記録紙搬送路Sに導くようになっている。
給紙カセット81,82から搬出される記録紙は、記録紙搬送路Sの搬送ローラ12a,12eによってレジストローラ13まで搬送され、記録紙の先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ10に投入され、記録紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録紙は定着ユニット7を通過することによって記録紙上の未定着トナーが熱で溶融、及び固着され、記録紙搬送路Sの最後に配置された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
上記の搬送経路は、記録紙に対する片面印字要求のときのものである。両面印字要求のときには、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過した記録紙の後端部分が、搬送経路の最終の搬送ローラ12bによって把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによって記録紙を搬送ローラ12c,12dに導く。その後記録紙は、レジストローラ13まで搬送され、上記と同様に記録紙裏面に印字が行なわれた後に排紙トレイ91に排出される。
以下に、画像形成装置100における記録紙の斜行補正、即ちレジストローラ13の直前で記録紙に撓みを形成する処理に関して説明する。
図3を参照して、レジストローラ13は、第1駆動ローラ130及び第1従動ローラ132から構成される。第1駆動ローラ130及び第1従動ローラ132は、所定ニップで圧接され、間に記録紙を挟んで搬送することができる。第1従動ローラ132は、第1駆動ローラが、後述するモータによって駆動されることによって受動的に駆動される。搬送ローラ12e(レジスト前ローラ)は、第2駆動ローラ140及び第2従動ローラ142から構成される。第2駆動ローラ140及び第2従動ローラ142は、所定ニップで圧接され、間に記録紙を挟んで搬送することができる。第2従動ローラ142は、第2駆動ローラ140がモータによって駆動されることによって受動的に駆動される。
レジストローラ13とレジスト前ローラ12eとの間には、第1搬送ガイド150及び第2搬送ガイド152が配置されている。第1搬送ガイド150及び第2搬送ガイド152は、所定の間隔を空けて配置されている。第1搬送ガイド150には、第2搬送ガイド152との距離が大きくなるように、凹部を備えている。これによって、記録紙が細かく折れ曲がって座屈するようなことがなく、記録紙を一方向に緩やかに撓ませることができる。
レジスト前ローラ12eの近傍(記録紙搬送路Sの上流側)には、給紙カセット81又は手差し給紙カセット82から、記録紙搬送路Sに沿って搬送されてくる記録紙の先端を検出するセンサ160が配置されている。センサ160は、搬送される記録紙の先端を検出できるものであればよい。センサ160は、例えばアクチュエータを備えたフォトセンサである。また、記録紙搬送路Sを挟んで、発光素子及び受光素子を対向させて配置して、センサ160を構成してもよい。
図4を参照して、レジストローラ13及び搬送ローラ12eを駆動するための機構は、制御部(以下、CPUという)200と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)202と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)204と、通電が遮断された場合にもデータを保持する不揮発性記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)206と、タイマ208と、モータドライバ210と、レジストローラ駆動モータ212と、搬送ローラ駆動モータ214とを備えている。レジストローラ駆動モータ212は、第1駆動ローラ130を駆動させるためのモータである。搬送ローラ駆動モータ214は、第2駆動ローラ140を駆動させるためのモータである。
レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214はステッピングモータである。ステッピングモータは、入力パルスの周波数によって回転速度が決まる。モータドライバ210から所定シーケンスのパルス信号を受信し、それに応じて駆動状態(回転状態)を変化させる。モータドライバ210には、CPU200から所定の制御信号(レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214の起動及び停止等のタイミングを示す信号)が送信される。これを受けて、モータドライバ210は、CPU200からの制御信号(命令)に対応するシーケンスのパルス信号をROM202から読出し、レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214に出力する。モータドライバ210は、例えば汎用又は専用電子回路及びそれを稼働させるプログラムとして実現することができる。また、モータドライバ210は、ASIC等の半導体装置を備えた専用電子回路として実現することもできる。
図5を参照して、画像形成装置100において斜行補正を実行するプログラムに関して説明する。最初の状態では、レジストローラ13及びレジスト前ローラ12eは停止している。また、ROM202又はHDD206には、後述する時間Ta〜Tcが記憶されている。
ステップ300において、CPU200は、センサ160が記録紙を検出したか否かを判定する。具体的には、CPU200は、センサ160からの信号が、記録紙を検出したときに出力されるレベルであるか否かを判定する。例えば、センサ160からの出力信号は、記録紙の未検出時にはローレベルであり、記録紙の検出時にハイレベルになる。記録紙を検出したと判定された場合、制御はステップ302に移行する。そうでなければ、ステップ300が繰返される。
ステップ302において、CPU200は、搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eを回転させるための制御信号をモータドライバ210に送信する。これによって、モータドライバ210は、上記したように、所定のシーケンスのパルス信号を搬送ローラ駆動モータ214に出力し、搬送ローラ駆動モータ214が回転を開始する。また、CPU200は、タイマ208から現在時刻を取得し、開始時刻としてRAM204の所定領域に記憶する。
ステップ304において、CPU200は、搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eが回転を開始してから、所定の時間Taが経過したか否かを判定する。具体的には、CPU200は、タイマ208から現在時刻を取得し、ステップ302でRAM204に記憶した開始時刻からの経過時間を求め、得られた値が時間Taよりも大きいか否かを判定する。時間Taが経過したと判定された場合、制御はステップ306に移行する。そうでなければ、ステップ304が繰返される。
この段階は、図6の時刻t1〜t3の期間である。図6の上段のグラフはレジストローラの速度Vrの時間変化を示し、下段のグラフはレジスト前ローラの速度Vpの時間変化を示す。時刻t1に、センサ160によって記録紙の先端が検出され、即ち、レジスト前ローラ12eの直近に記録紙が来たことが検出され、レジスト前ローラ12eが回転を開始し、記録紙を第1搬送ガイド150及び第2搬送ガイド152の間に導入する。その後、時刻t2で、記録紙の先端がレジストローラ13に当接するが、レジストローラ13は停止しているので、記録紙は第1搬送ガイド150に沿って撓む。図7を参照して、(A)はセンサ160が記録紙180を検出した状態を示し、(B)は記録紙180の先端がレジストローラ13に当接した状態を示し、(C)は記録紙180が第1搬送ガイド150に沿って撓んだ状態を示す。
ステップ306において、CPU200は、レジストローラ13を回転させるための制御信号をモータドライバ210に送信する。これによって、モータドライバ210は、所定のシーケンスのパルス信号をレジストローラ駆動モータ212に出力し、レジストローラ駆動モータ212が回転を開始する。また、CPU200は、タイマ208から現在時刻を取得し、開始時刻としてRAM204の所定領域に一時記憶する。
ステップ308において、CPU200は、レジストローラ13が回転を開始してから、所定の時間Tbが経過したか否かを判定する。具体的には、CPU200は、タイマ208から現在時刻を取得し、ステップ306でRAM204に記憶した開始時刻からの経過時間を求め、得られた値が時間Tbよりも大きいか否かを判定する。時間Tbが経過したと判定された場合、制御はステップ310に移行する。そうでなければ、ステップ308が繰返される。この段階は、図6の時刻t3〜t4の期間である。レジスト前ローラ12eは一定の最終速度Vcで回転しているが、レジストローラ13は最終速度Vcには達していないので、レジストローラ13から記録紙が送り出される速度よりも、レジスト前ローラ12eが記録紙を第1搬送ガイド150及び第2搬送ガイド152の間に導入する速度が速いので、記録紙はさらに撓む。この状態を図7の(D)に示す。図7の(D)において、破線は(C)の状態の記録紙180を示しており、記録紙180は(C)の状態よりも撓んでいる。
ステップ310において、CPU200は、搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eを停止させるための制御信号をモータドライバ210に送信する。これによって、モータドライバ210は、所定のシーケンスのパルス信号を搬送ローラ駆動モータ214に出力し、搬送ローラ駆動モータ214が回転を停止する。また、CPU200は、タイマ208から現在時刻を取得し、開始時刻としてRAM204の所定領域に一時記憶する。
ステップ312において、CPU200は、搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eを停止させてから、所定の時間Tcが経過したか否かを判定する。具体的には、CPU200は、タイマ208から現在時刻を取得し、ステップ310でRAM204に記憶した開始時刻からの経過時間を求め、得られた値が時間Tcよりも大きいか否かを判定する。時間Tcが経過したと判定された場合、制御はステップ314に移行する。そうでなければ、ステップ312が繰返される。この期間(図6の時刻t4〜t5の期間)では、レジストローラ13は回転しているが、レジスト前ローラ12eは停止しているので、レジスト前ローラ12eが記録紙を第1搬送ガイド150及び第2搬送ガイド152の間に導入することなく、レジストローラ13から記録紙が送り出され、記録紙の撓みが軽減される。この状態を図7の(E)に示す。図7の(E)では、記録紙180は、(D)の破線で示した状態に戻り、撓みが軽減されている。なお、実際には、モータの立上り時間を考慮すると、時刻t5からの立上り時間の間にも、記録紙の撓みが軽減される。
ステップ314において、CPU200は、搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eを回転させるための制御信号をモータドライバ210に送信する。これによって、モータドライバ210は、所定のシーケンスのパルス信号を搬送ローラ駆動モータ214に出力し、搬送ローラ駆動モータ214が回転を開始する。
ステップ316において、CPU200は、レジストローラ13が記録紙の搬送を完了したか否かを判定する。例えば、レジストローラ13の下流側に、記録紙の後端を検出するためのセンサが配置されていれば、CPU200は、そのセンサの信号レベルを判定する。また、ステップ314で搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eの回転を開始してから所定の時間が経過したか否かを判定してもよい。記録紙の搬送を完了したと判定された場合、制御はステップ318に移行する。そうでなければ、ステップ316が繰返される。
ステップ318において、CPU200は、レジストローラ13及び搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eを停止させるための制御信号をモータドライバ210に送信する。これによって、モータドライバ210は、所定のシーケンスのパルス信号をレジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214に出力し、レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214が停止する。
ステップ320において、CPU200は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、画像形成装置100の電源がOFFされることである。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻る。これによって、画像形成装置100がユーザによって操作され、所定部数の印刷が指示された場合、所定部数の印刷が完了するまで上記の処理が繰返される。
以上によって、レジスト前ローラ12eに記録紙が搬送されてきた時点(時刻t1)で、レジスト前ローラ12eの回転を開始し、記録紙の先端を、停止しているレジストローラ13に当接させ(時刻t2)、その後もレジスト前ローラ12eを回転させることによって、第1搬送ガイド150及び第2搬送ガイド152の間で記録紙を適切に撓ませることができる。記録紙が適切に撓んだ時点(時刻t3)で、レジストローラ13の回転を開始し、所定時間(Tb)が経過した時点(時刻t4)で、レジスト前ローラ12eを停止させ、所定時間(Tc)が経過した時点(時刻t5)で、レジスト前ローラ12eを再度回転させるので、図8に示すように、斜行補正のために必要な撓み以上に記録紙が撓んで座屈することを抑制することができる。その後、レジスト前ローラ12eを、停止させる前の一定の速度(Vc)に戻し、レジストローラ13を、レジスト前ローラ12eと同じ一定の速度(Vc)になるまで加速することが好ましい。その場合、レジスト前ローラ12eとレジストローラ13とが同じ速度になった後(時刻t6以降)は、記録紙の適切な撓みが維持された状態で、記録紙がレジストローラ13によって搬送される。したがって、斜行補正された記録紙が転写ローラ10に供給される。なお、記録紙がレジスト前ローラ12eから離れた場合には、記録紙の撓みは維持されないが、レジストローラ13によって記録紙の斜行補正は維持される。
なお、時間Ta〜Tcは、画像形成装置の仕様(単位時間当たりの処理枚数等)、レジストローラ及び搬送ローラを駆動するステッピングモータの特性、記録紙を撓ませる量等を考慮して適宜設定すればよい。
上記では記録紙を搬送する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、原稿をスキャン位置に搬送する自動原稿送り装置120にも適用可能である。以下、具体的に説明する。
図9を参照して、自動原稿送り装置120は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により画像読取り装置90の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。自動原稿送り装置120が開かれたときには、画像読取装置90のプラテンガラス44が開放され、プラテンガラス44上に原稿が載置される。
画像読取装置90は、プラテンガラス44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48等を備えている。プラテンガラス44上に載置された原稿を読取る場合、第1走査ユニット45及び第2走査ユニット46が使用される。
第1走査ユニット45は、照明装置51及び第1反射ミラー52を備えている。照明装置51は、LEDアレイ77及び導光部材78を備えている。第1走査ユニット45は、副走査方向Yへと原稿サイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、プラテンガラス44上の原稿を照明装置51によって露光し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。これにより原稿表面の画像(カラー又は白黒の文字、図形、写真などを含む)を副走査方向Yに走査する。第2走査ユニット46は、第2反射ミラー53及び第3反射ミラー54を備えている。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿の画像を繰り返し主走査方向(図9の紙面に垂直な方向)に走査し、1回走査する度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。これによって、原稿がスキャンされて、画像データが生成される。
画像読取装置90は、プラテンガラス44上の静止原稿だけではなく、自動原稿送り装置120により搬送されている原稿表面の画像を読取ることができる。この場合には、図9に示すように第1走査ユニット45を原稿読取ガラス84下方の読取領域に移動させ、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を配置する。この状態で、自動原稿送り装置120による原稿の搬送を開始する。
自動原稿送り装置120では、ピックアップローラ55を原稿トレイ56上の原稿に押し当てた状態で回転させて1枚の原稿を引き込み、搬送し、原稿の先端をレジストローラ85に突き当てて、原稿の先端を揃えてから、原稿を原稿読取ガラス84と読取ガイド板86との間を通過させ、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する。
原稿の搬送に際し、第1走査ユニット45の照明装置51により、原稿読取ガラス84を介して原稿表面を照明し、原稿表面からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。これにより原稿表面の画像を読取る。
原稿の裏面を読取る場合には、中間トレイ67をその軸69の周りに、1点鎖線で示すように回転させておき、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する途中で、排紙ローラ58を停止させて、原稿を中間トレイ67上に受ける。この状態で、排紙ローラ58を逆回転させて、反転搬送路68を介して原稿をレジストローラ85へと導いて、原稿の表裏を反転させる。原稿表面の画像の読取と同様に、原稿裏面の画像を読取り、中間トレイ67を、実線で示す元の位置に戻して、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する。
レジストローラ85によって搬送される原稿が斜行して、原稿読取ガラス84と読取ガイド板86との間を通過すれば、原稿が斜め方向にスキャンされることになり、好ましい画像データを得ることができない。したがって、画像形成するときと同様に原稿の斜行補正を行なうことが好ましい。
原稿の表面を読取る場合には、レジストローラ85を、記録紙を搬送するためのレジストローラ13とし、ピックアップローラ55をレジスト前ローラ12eとして、上記したステップ300〜ステップ318と同様の処理を実行すればよい。また、原稿の裏面を読取る場合には、レジストローラ85を、記録紙を搬送するためのレジストローラ13とし、逆回転させる排紙ローラ58をレジスト前ローラ12eとして、上記したステップ300〜ステップ318と同様の処理を実行すればよい。これによって、原稿の表面及び裏面の何れを読取る場合にも、原稿を斜行補正して原稿読取ガラス84と読取ガイド板86との間を通過させることができる。
なお、ピックアップローラ55をレジスト前ローラ12eとして使用する代わりに、ピックアップローラ55とレジストローラ85との間の原稿搬送経路に沿って(例えば、ピックアップローラ55よりもレジストローラ85に近い位置に)、新たな搬送ローラを設置し、それをレジスト前ローラ12eとして、上記したステップ300〜ステップ318と同様の処理を実行してもよい。その場合、原稿の裏面を読取る場合にも、その新たな搬送ローラをレジスト前ローラ12eとして、上記したステップ300〜ステップ318と同様の処理を実行すればよい。
上記では、CPU200が、時間の経過に応じて記録紙の撓み量を調節する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、CPU200は、所定数のパルスがレジストローラ駆動モータ212又は搬送ローラ駆動モータ214に送信されたか否かを判定することによって、記録紙の撓み量を調節してもよい。CPU200は、レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214に送信されたパルス数を、例えばモータドライバ210から取得することができる。
また、レジストローラ13の回転を開始してから時間Tbの後に、搬送ローラを完全に停止させる場合を説明したが、これに限定されない。例えば、図10及び図11に示すように、レジストローラ13の回転を開始してから時間Tb(時刻t3〜t4の間)の後に、搬送ローラ(レジスト前ローラ)12eを一旦減速させた後、停止する前に再度加速してもよい。これによっても、図8に示すように、斜行補正のために必要な撓み以上に記録紙が撓んで座屈することを抑制することができる。例えば、レジストローラ13が所定の一定速Vcになるまでに要する時間が短い場合には、図10又は図11のような制御でもよい。
また、図6に示したように、レジストローラ13及びレジスト前ローラ12eの回転を制御する場合、画像形成装置100の記録紙搬送機構の特性に応じて、斜行補正のために記録紙を適切に撓ませるためのパルス信号のシーケンスを特定することができる。即ち、レジストローラ13及びレジスト前ローラ12eの定速回転速度Vc、レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214の制御特性に応じて、t1〜t3の期間、t3〜t4の期間、t4〜t5の期間、停止状態から定速回転になるまでの立上り時間、定速回転から停止するまでの立下り時間等を、適切に決定することができる。決定されたパルスシーケンスを使用する場合には、時間の経過、又は、モータに送信されたパルス数を判定することは不要であり、例えば、センサ160によって記録紙の先端がレジスト前ローラ12eに達したことが検出された場合、CPU200からモータドライバ210に所定の信号を送信するだけでよい。その後は、モータドライバ210が、ROM202から、所定のシーケンスのパルス信号(図6に示したような速度波形全体を生成するパルスシーケンス)を読出して、レジストローラ駆動モータ212及び搬送ローラ駆動モータ214に出力すればよい。
CPU200が時間経過、又は、モータに送信されたパルス数を判定してモータドライバ210を制御する場合には、CPU200が制御できるのは制御信号を送信するタイミングであるので、CPU102が制御信号をモータドライバ210に送信する時刻t1、t4、t5(図6参照)でローラの速度波形が決まる。しかし、図6に示したような波形全体のパルスシーケンスを予め決定しておく場合には、最初の時刻t1のみが制御対象となり、その後のパルスシーケンスは全て決定されている。
なお、記録紙の搬送が完了するタイミングもほぼ一定になるので、レジストローラ13及びレジスト前ローラ12eを停止させるタイミングも含めたパルスシーケンスを決定することができる。そのようなパルスシーケンスを使用すれば、レジストローラ13の下流側に記録紙の終端を検出するためのセンサを配置しなくてもよい。
また、上記では、レジストローラ13及びレジスト前ローラ12eのそれぞれを駆動するモータを備える場合を説明したが、これに限定されない。例えば、電磁クラッチを用いて、1台のモータでレジストローラ13及びレジスト前ローラ12eを駆動してもよい。即ち、モータの回転をレジストローラ13に伝達する第1の電磁クラッチと、モータの回転をレジスト前ローラ12eに伝達する第2の電磁クラッチとを設け、第1及び第2の電磁クラッチにCPUから制御信号を供給して、第1及び第2の電磁クラッチを連結又は開放させる。これによって、図6のように、レジストローラ13及びレジスト前ローラ12eの回転を制御することができる。
上記では、ステップ300において、センサ160によって記録紙が検出されるとレジスト前ローラ12eの回転を開始し、記録紙の先端がレジストローラ13の近傍に到達してもレジスト前ローラ12eの回転を停止させずに、記録紙の先端をレジストローラに当接させる場合を説明したが、これに限定されない。従来技術と同様に、記録紙の先端がレジストローラ13の近傍に到達したときに、レジスト前ローラ12eを一旦停止させてもよい。その場合には、レジスト前ローラ12eのこの停止状態から、時刻t1においてステップ302を実行すればよい。この場合、時刻t1〜t2の間は短時間であり、低速度で記録紙の先端がレジストローラ13に当接するので、打突音(衝突音)を抑制することができる。
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。