JP5468742B2 - 緑茶抽出物、その用途及び製造方法 - Google Patents

緑茶抽出物、その用途及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲食品用素材として使用することによって好適な緑色の緑茶飲料又は緑茶風味の食品を提供可能な緑茶抽出物、これを飲食品用素材として用いた飲料等の用途、並びに、緑茶抽出物の製造方法に関する。
急須等に茶葉を投入して熱水等により抽出して飲用に供する緑茶飲料は、近年、容器詰飲料製品として普及したことにより、従来に比べて飲用が容易になっている。また、緑茶には茶カテキンが含まれていることが知られており、茶カテキンが心臓病や癌の予防に有効であることが報告され、茶カテキンの保健効果が明らかになるにつれて、茶カテキンの含有量を高めた飲料なども市場に流通し、茶カテキンの積極的な摂取が浸透しつつある。
水又は熱水で茶葉を抽出した緑茶から水を除去した茶抽出乾燥物は、粉末茶として流通しており、水又は湯に溶かして茶飲料を調製したり、飲食品の調理の際に茶の風味を加えるための添加物として利用することができる。
一方、茶抽出物に含まれるカテキン類などの各種機能性成分は、健康志向の高まりにより、健康食品やサプリメント等の成分としての需要が高い。このため、これらの成分を精製するために、吸着剤や有機溶剤等を用いて茶抽出物を分離・精製する方法が提案されている。例えば、下記特許文献1には、緑茶抽出物を有機溶媒と水の重量比が91/9〜97/3の混合溶液に分散し、活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触させて、非重合カテキン類を25〜90重量%含有する精製緑茶抽出物を製造することが開示されている。又、下記特許文献2には、緑茶抽出物をマクロポーラス極性樹脂クロマトグラフィーに附した後に、前記樹脂に吸着したカテキンを極性溶出溶媒を用いて溶出させて濃縮することが開示されている。
特開2005−270094号公報 特開2001−097968号公報
茶葉を熱水で抽出した直後の緑茶飲料は、概して黄色〜黄緑色を呈し、このような色によって新鮮さや品質の高さを感じることができる。
しかし、緑茶の呈色成分は、熱や空気酸化によって分解し易いため、乾燥によって得られる粉末茶の場合は、熱水に溶解したり食品に添加しても、好ましい緑茶の色を示した飲食品は得られず、色あせやくすみを感じる色相となる。このため、緑茶飲料や緑茶風味の飲食品を調理・製造する際に粉末茶を用いる場合には、好ましい色相を得るために着色剤や粉砕茶葉を使用する必要が生じる。昨今の自然志向・健康志向の観点から着色剤の使用は好ましくなく、又、粉砕茶葉は固体であるので、飲料への添加には不向きである。
本発明の課題は、広範囲の飲食品に適用可能であり、新鮮さや品質の高さを感じられるような好ましい緑茶の色を飲食品に付与することが可能な緑茶抽出物を提供することである。
本発明の他の課題は、好ましい緑茶の色を飲食品に与えることが可能で、カテキン類の含有量が高い茶抽出物を効率よく提供することである。
本発明の他の課題は、好ましい緑茶の色を飲食品に与えることが可能な茶抽出物を簡便且つ安価に供給可能な茶抽出物の製造方法を提供することである。
又、本発明の他の課題は、カテキン類の含有量が高く、好ましい緑茶の色を飲食品に与えることが可能な茶抽出物を利用した飲食品及び飲食品製造用素材を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、緑茶葉からの抽出条件を工夫することによって、カテキンの含有量が高く、緑茶の好ましい緑色を呈する緑茶抽出物を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
発明の一態様によれば、緑茶抽出物の製造方法は、分光色差計によって測定されるXYZ表色系におけるX値が7〜30、Y値が8〜34、Z値が4〜15であり、総カテキン含有量が30質量%以上である緑茶抽出物の製造方法であって、緑茶葉を第1の含水有機溶剤で抽出する第1抽出工程と、前記第1抽出工程後の緑茶葉を第2の含水有機溶剤で抽出する第2抽出工程と、前記第1抽出工程で得られる抽出液及び前記第2抽出工程で得られる抽出液に含まれる抽出物を合わせて回収する回収工程とを有し、前記第1の含水有機溶剤の有機溶剤濃度をP[%、容積/容積]、前記第2の含水有機溶剤の有機溶剤濃度をQ[%、容積/容積]とした時、P及びQが下記式を満たすことを要旨とする。
20≦P≦90、80≦Q、且つ、9980≦(33P+100Q)
本発明によれば、高価な設備や特殊な装置を使う必要がなく、簡便な方法によって、カテキンの含有量が高く好ましい緑茶の色を呈する茶抽出物を適正な収量で製造し、提供することができる。本発明によって得られる茶抽出物を用いて、好ましい緑茶の色を有する茶飲料や緑茶風味の飲食品を提供することができ、本発明の茶抽出物を含有する色素剤、フレーバー等の飲食品製造用素材を提供して、飲食品の調理等に利用することができる。従って、食品加工、染色、アメニティ等を含む様々な分野において、添加物、色素剤等における新規素材として緑茶抽出物の用途を更に開発することができる。
緑茶飲料に含まれる呈色成分としては、フラボノール類、フラボン類及びクロロフィル(クロロフィルa及びクロロフィルb)などが知られている。フラボノール類やフラボン類は固体状では白〜黄色、溶液状では無色〜鮮黄色を呈する水溶性成分である。他方、クロロフィルは脂溶性成分ではあるが、茶葉組織が微小破片に破砕されたり界面活性機能を有する成分が作用する場合には、水又は熱水による抽出液に少量含まれて緑色を呈する。
水又は熱水による緑茶抽出液の乾燥によって得られる粉末茶は、フラボノール類やフラボン類が熱や空気酸化によって変質することによって変色・退色し、これを水に溶解しても、元のような鮮やかな緑茶の色を再現することは難しく、食品に添加しても好ましい緑茶の色は得られ難い。呈色成分の変質は、極僅かな量であっても、その色に及ぼす影響は大きいので、還元剤などのような分解反応を防止する手段によって変色を防止するのは非常に難しい。
好ましい緑茶の色を有する抽出物を得るための方策として、有機溶剤、特に、親水性有機溶剤を利用してクロロフィル等の他の呈色成分を取り込むことが考えられるが、この場合、カテキン等の水溶性成分の抽出率が極端に低下し、本来の茶の成分が得られなくなるので、風味として好ましくない。含水有機溶剤による抽出では、中間的な性質の抽出となるが、水溶性成分及び呈色成分の何れについても満足な結果を得ることは難しい。
上記を鑑みて、様々な抽出条件における抽出物を検討したところ、異なる濃度の含水有機溶剤を用いた複数の抽出工程によって、本来の茶の成分を好適に含有し、且つ、好ましい緑茶の色を呈する緑茶抽出物を得ることが可能であることを見出し、本発明の緑茶抽出物を成すに至った。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の緑茶抽出物は、緑茶葉を含水有機溶剤を用いて抽出し乾燥して得られる抽出物である。原料として用いる緑茶葉は、一般に不発酵茶として分類されるものであれば特に制限はなく、樹種、部位等や製法の非本質的相違によって限定されるものではない。
本発明の緑茶抽出物は、分光色差計を用いて測定されるXYZ表色系(数値が小さい方が色が濃い)によるX値が7〜30、Y値が8〜34、Z値が4〜15となり、視覚的には緑色が強く鮮やかな色であり、水又は熱水に溶解した状態においても、緑茶葉の熱水抽出液の天然色に比べて鮮やかな緑色を呈する。これに対して、一般的な水系の抽出によって得られる緑茶抽出物は、X値が33〜35、Y値が35〜37、Z値が17〜20となり、何れの値も淡色を示す。本発明のような色相の緑茶抽出物は、水又は含水有機溶剤を用いた従来の抽出方法によって得るのは難しい。色相の相違は、本発明における抽出が、フラボノール類及びフラボン類などの水溶性成分だけでなく、クロロフィル等の脂溶性成分も抽出し得ることが一因である。尚、それ以外に考えられる要素として、有機酸やアミノ酸等のpH環境等を変化し得る成分の抽出バランスなども色相に関与し得ると思われれる。物質の呈色は、pH等の環境によって大きく変動するので、抽出物の色は、呈色成分の含有量だけでなく、含まれる成分のバランスによっても影響を受けると考えられ、含まれる成分の種類、含有量及び組成バランスが異なると、色相が大きく異なる可能性がある。茶葉には、アミノ酸や有機酸、ミネラルなどのpHに影響を与える成分が多数含まれていることから、通常の水系抽出による緑茶抽出物とは異なる成分の存在、成分バランスの変動及び存在状態によって、本発明の緑茶抽出物が上記のような表色値を示す抽出物になることも考えられる。
更に、本発明の緑茶抽出物は、総カテキン含有量が30質量%以上の抽出物として得られ、通常の茶抽出物より強い風味を有する。この点において、有機溶剤を用いた従来の抽出によって得られる抽出物とは異なり、カテキンの含有量を増加するために含水有機溶剤を用いて抽出した場合には、得られる抽出物の色相が変化して、上記のような表色値のものは得難くなる。つまり、単一の抽出によっては、本発明の緑茶抽出物を得ることは難しく、本発明の緑茶抽出物を効率良く得るには、複数の抽出工程を設けて、各々、適正に濃度を調節した含水有機溶剤を用いて行うことが必要である。以下に、本発明の緑茶抽出物を得るための製造方法について説明する。
本発明の緑茶抽出物の製造方法は、含水有機溶剤を用いる2種類の抽出工程において緑茶葉を抽出する方法であり、含水有機溶剤を構成する有機溶剤は、親水性有機溶剤である。つまり、異なる含水率の親水性有機溶剤水溶液を用いて第1及び第2の抽出工程を実施し、第1の抽出工程は、カテキンの抽出に重きが置かれ、第2の抽出工程は、呈色成分に重きが置かれる。
カテキンは、有機溶剤濃度が20〜90%程度の含水有機溶剤を用いた抽出において好適に抽出され、抽出率は、有機溶剤濃度が50〜60%程度の含水有機溶剤を用いた時に最も高くなる。一方、呈色成分の抽出率は、使用する含水有機溶剤の有機溶剤濃度が約75%以下になるとかなり低下し、特に濃度が50%以下の含水有機溶剤では著しく低い。従って、抽出物が好ましい緑茶の色を有するためには、有機溶剤濃度が80%程度以上、好ましくは90%程度以上の含水有機溶剤を用いた呈色成分用の抽出を少なくとも1工程行う必要がある。但し、この濃度ではカテキンの抽出率が低いので、カテキンを抽出するための別工程が必要となるが、これについては、前述の適正濃度の抽出溶媒を用いて効率よくカテキンを抽出すればよいと考えられる。しかし、この際、カテキン抽出用の工程において有機溶剤濃度が50%以下の含水有機溶剤を用いると呈色成分の抽出が期待できないので、抽出物総量における呈色成分の割合が不足しないようにバランスを考慮する必要が生じる。つまり、両抽出工程の抽出バランスが重要となる。
抽出バランスについて検討すると、各抽出工程における溶媒の有機溶剤濃度の加重平均値が所定値以上となるように各有機溶剤濃度を設定することで呈色成分を良好に抽出可能であることが判明した。具体的には、第1抽出工程における第1含水有機溶剤の有機溶剤濃度をP[%、容積/容積]、第2抽出工程における第2含水有機溶剤の有機溶剤濃度をQ[%、容積/容積]として、2つの工程における適正な有機溶剤濃度の範囲を式によって表すと、以下のようになり、2つの工程における含水有機溶剤の有機溶剤濃度P,Qの加重平均値は、約75.04%以上となる。
20≦P≦90、80≦Q、且つ、9980≦(33P+100Q)
上記式を満たす濃度P及びQの含水有機溶剤を用いて第1及び第2抽出工程を実施することによって、両工程の抽出液から合わせて回収される緑茶抽出物は、前述の範囲の表色値XYZを示し、総カテキン含有量が30質量%以上となる。
第1抽出工程及び第2抽出工程は、行う順序によって各抽出工程における抽出組成が変動する。含水率の低い抽出溶媒を用いた抽出を先に行うと、抽出溶媒と茶葉との馴染みが良好でないため、呈色成分の抽出が遅滞し、良好な緑色の抽出物を効率よく得ることが難しくなる。これに対し、含水率が高い溶媒による抽出を先行させると、緑茶葉への水の浸透によって有機溶剤と茶葉とが馴染み易くなるので、この後に含水率が低い溶媒による抽出を行った時、結果として後続の抽出効率が改善されて呈色成分の抽出が容易になる。つまり、緑茶葉へ水を浸透させて有機溶剤との馴染みを良くするには、緑茶葉に最初に接触させる抽出溶媒がある程度の水を含むことが重要であり、この点について好ましい有機溶剤濃度は85%以下である。
このようなことから、第1抽出工程及び第2抽出工程の順序は、第1抽出工程より後に第2抽出工程を行うように設定し、濃度Pより濃度Qが高くなるように設定するのが好適である。第1抽出工程における有機溶剤濃度Pは85%以下に設定することが好ましく、より好ましくは80%以下とし、特に60〜80%が最適である。第2抽出工程における濃度Qは、含水状態で有れば良く、好ましくは80〜99.5%の範囲、より好ましくは90〜99.5%の範囲がよい。このように設定することにより、茶葉への水の浸透及び溶剤との馴染みが好適に進行し、何れの工程においても良好な抽出効率で実施することができ、緑茶抽出物を効率よく得ることができる。
第1抽出工程及び第2抽出工程は、その一方又は両方について複数回繰り返して行っても良く、両工程を交互に複数回繰り返しても良い。第1抽出工程の回数を増やすことによって、カテキン類等の抽出量増加による収率向上が可能であり、第2抽出工程の回数又は抽出時間を増加することによって呈色成分の抽出率が向上するので、X値:7〜18、Y値:8〜19、Z値:4〜8の抽出物が得られ、視覚的には緑色の色相がより強くなり、深い緑色となる。Y値が18以下の濃い鮮緑色を呈し、カテキン含有量が30%以上となるような緑茶抽出物は、単一濃度の含水有機溶剤での抽出によって得るのは困難である。
上記抽出溶媒を構成する有機溶剤としては、アルコール及びケトン等の水溶性有機溶剤が好適に用いられ、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等の低分子量脂肪族アルコール、アセトン等の低分子量脂肪族ケトン等が挙げられ、特に、メタノール、エタノール及びアセトンが好ましい。上記第1含水溶媒及び第2含水溶媒を構成する有機溶剤は、同一でも異ってもよく、複数種の水溶性有機溶剤の混合物であってもよい。
各抽出工程において使用する含水有機溶剤の量は、緑茶葉の乾燥質量に対して4〜6ml/gが好ましく、3ml/g未満の溶剤量においては膨潤した茶葉の充分な浸漬が難しくなる。茶葉に対する抽出溶媒の使用量が多い方が、抽出物の量が増加するが、溶媒の容積当たりの抽出率としては、一度の抽出で使用するよりも複数回数の抽出に分けて使用した方が高いので、1回当たりの溶剤使用量を減量して、第1及び/又は第2抽出工程を複数回数行うことによって、溶剤の使用総量が同じであっても抽出効率を改善できる。第1抽出工程に使用する抽出溶媒量(総量)と第2抽出工程に使用する抽出溶媒量(総量)との割合(容積/容積)は、目的とする呈色や収率に応じて適宜調整することができ、概して、2/1〜1/2程度の範囲が好ましい。
抽出時間、つまり、茶葉と抽出溶媒とを接触させる時間は、茶葉成分を充分且つ効率的に溶出可能であればよく、概して10〜60分程度が好ましい。抽出は常温程度において好適に行われるので、作業性の問題等が生じない範囲で適宜設定することができる。
第1及び第2抽出工程で得られた抽出液は合わせて均一に混合した後に、有機溶剤を除去し乾燥することによって、粉末状の緑茶抽出物が得られる。乾燥方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥又は減圧留去が好ましい。有機溶剤濃度の異なる抽出液を合わせた時、有機溶剤濃度の高い第2工程の抽出液に含まれる親油性が高い成分が不安定化し、これが乾燥時の析出核となって他の成分の析出が促進されるので、微細粒子の粉末状析出物が得られ易く、乾燥も行い易い。
このようにして得られる緑茶抽出物は、前述したように鮮やかな緑色を示し、カテキンを30質量%以上の割合で含有して通常の緑茶より強い風味を保持する。緑茶抽出物は20質量%程度以上の収率(原料茶葉の乾燥質量を基準とする)で得ることが可能であり、特別の装備を必要とすることなく一般的な抽出設備を用いて簡易に実施することができる。
得られた緑茶抽出物は、従来の粉末茶と同様に使用でき、緑茶飲料の製造やカテキン素材として健康食品等の製造に利用できるだけでなく、その鮮やかな緑色を利用して、飲食品やサプリメント等の着色剤としても利用できる。従来の粉末茶や緑茶抽出物、カテキン含有素材などに配合してインスタントティーを調製したり、これを水に溶解して加熱状態でペットボトルや缶などの飲料容器に充填して容器詰め飲料を製造することができる。
以下に記載する実施例及び比較例の各手順に従って緑茶の茶葉から抽出される抽出液を収集し、濾過及び乾燥を行うことによって、緑茶抽出物を得た。得られた緑茶抽出物は、収量を測定した後、分光色差計(SE6000、日本電色工業株式会社製)を用いてXYZ表色系による色評価を行った。
更に、緑茶抽出物50mgを100mlのメスフラスコに秤取して水を用いて溶解し、溶液を100mlに定容した。この溶液を0.45μmバーサポアフィルターを通過させたものを分析試料として、下記の手順に従って総カテキンの定量を行った。
<総カテキンの定量方法>
(-)-カテキン、(-)-Cg、(-)-EC、(-)-ECg、(-)-GC、(-)-GCg、(-)-EGC及び(-)-EGCgを各10mgずつ100mlのメスフラスコに秤取し、0.5質量%アスコルビン酸−0.01質量%EDTA二ナトリウム水溶液を用いて溶解し、100mlに定容した。この溶液の一部を用いて、2倍又は5倍に純水で希釈した希釈液を調製して、1倍、2倍及び5倍の標準液とした。
上記3種の標準液を、各々、0.45μmバーサポアフィルターを通過させた後に、HPLC分析を下記の条件で行い、得られたクロマトグラムにおける各成分のピーク面積を測定して、ピーク面積と各成分の濃度とから検量線を作成した。
上記の検量線を用いて、実施例及び比較例で得られた分析試料のHPLC分析による各成分の濃度を求め、8成分の合計含有量を算出して、茶抽出物の総カテキン量とした。
<HPLCの分析条件>
HPLC装置:島津製LC−10AD二液高圧グラジエントシステム
カラム:YMC J'sphere ODS-H80 250×3.0 mmI.D.
移動相A: 水:アセトニトリル:リン酸=94.9:5.0:0.1
移動相B: 水:アセトニトリル:リン酸=49.9:50.0:0.1
検出:UV検出器 230nm
試料注入量:5μL
送液量:0.43ml/分
(送液グラジエント)
時間 移動相A 移動相B
0分 95% 5%
5分 95% 5%
10分 90% 10%
15分 90% 10%
25分 80% 20%
40分 80% 20%
45分 20% 80%
50分 20% 80%
51分 95% 5%
65分 95% 5%
(実施例1〜18)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、表1に記載される溶媒濃度Pの含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓し抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表1記載の溶媒濃度Pの含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。更に、前抽出の溶媒で湿った状態の抽出残渣に表1記載の溶媒濃度Qの含水エタノール320mlを注ぎ、10分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液3を得た。抽出液1〜3を混合し、No.2濾紙で濾過して濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥を行って緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収率(得られた抽出物の原料緑茶葉に対する質量百分率)、XYZ表色系による色評価(X、Y及びZ値)及びカテキン含有量(質量百分率)を表2に示す。
(表1)
実施例 溶媒濃度P(V/V) 溶媒濃度Q(V/V)
1 20.0% 99.5%
2 30.0% 99.5%
3 40.0% 99.5%
4 50.0% 99.5%
5 60.0% 99.5%
6 70.0% 99.5%
7 80.0% 99.5%
8 90.0% 99.5%
9 30.0% 90.0%
10 40.0% 90.0%
11 50.0% 90.0%
12 60.0% 90.0%
13 70.0% 90.0%
14 80.0% 90.0%
15 90.0% 90.0%
16 60.0% 80.0%
17 70.0% 80.0%
18 80.0% 80.0%
(表2)
実施例 X Y Z 総カテキン量(%) 収率(%) 評価
1 22.56 25.57 9.22 31.79 23.85 ○
○ ○ ○ ○ ○
2 22.18 25.07 9.77 32.00 25.71 ○
○ ○ ○ ○ ○
3 20.71 23.41 9.82 30.46 24.98 ○
○ ○ ○ ○ ○
4 20.40 22.99 10.42 32.51 25.04 ○
○ ○ ○ ○ ○
5 19.69 22.08 8.57 34.28 27.29 ○
○ ○ ○ ○ ○
6 20.06 22.51 8.99 34.12 21.62 ○
○ ○ ○ ○ ○
7 16.12 17.69 6.97 36.48 20.81 ○
○ ○ ○ ○ ○
8 17.06 18.59 8.84 37.19 3.85 △
○ ○ ○ ○ ×
9 27.63 31.15 12.23 32.33 23.83 ○
○ ○ ○ ○ ○
10 29.51 33.02 13.33 31.56 23.41 ○
○ ○ ○ ○ ○
11 23.84 26.61 12.27 33.17 25.40 ○
○ ○ ○ ○ ○
12 29.32 32.31 14.98 34.47 25.05 ○
○ ○ ○ ○ ○
13 29.17 32.26 14.31 35.78 22.30 ○
○ ○ ○ ○ ○
14 19.17 20.99 9.20 36.77 20.89 ○
○ ○ ○ ○ ○
15 16.73 18.45 5.99 35.83 4.19 △
○ ○ ○ ○ ×
16 23.06 25.89 10.64 33.34 25.80 ○
○ ○ ○ ○ ○
17 26.43 29.41 12.26 35.87 21.41 ○
○ ○ ○ ○ ○
18 24.24 26.44 12.59 36.62 20.09 ○
○ ○ ○ ○ ○
(比較例1〜13)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、表3に記載される溶媒濃度Pの含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓し抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表3記載の溶媒濃度Pの含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。更に、前抽出の溶媒で湿った状態の抽出残渣に表3記載の溶媒濃度Qの含水エタノール320mlを注ぎ、10分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液3を得た。抽出液1〜3を混合し、No.2濾紙で濾過して濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥を行って緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を表4に示す。
(表3)
比較例 溶媒濃度P(V/V) 溶媒濃度Q(V/V)
1 10.0% 99.5%
2 10.0% 90.0%
3 20.0% 90.0%
4 10.0% 80.0%
5 20.0% 80.0%
6 30.0% 80.0%
7 40.0% 80.0%
8 50.0% 80.0%
9 60.0% 75.0%
10 70.0% 75.0%
11 50.0% 70.0%
12 60.0% 70.0%
13 70.0% 70.0%
(表4)
比較例 X Y Z 総カテキン量(%) 収率(%) 評価
1 27.03 30.60 11.32 23.04 21.56 ×
○ ○ ○ × ○
2 32.00 35.68 12.86 25.53 21.96 ×
× × ○ × ○
3 31.80 35.29 13.87 31.34 23.09 ×
× × ○ ○ ○
4 31.68 35.10 13.51 23.59 21.70 ×
× × ○ × ○
5 32.93 36.59 14.20 25.67 23.86 ×
× × ○ × ○
6 32.58 36.49 14.26 24.24 24.45 ×
× × ○ × ○
7 31.82 35.49 14.66 27.56 24.81 ×
× × ○ × ○
8 31.26 34.72 14.74 32.24 25.00 ×
× × ○ ○ ○
9 33.07 36.23 17.12 32.97 22.64 ×
× × × ○ ○
10 35.14 38.53 18.43 34.21 20.05 ×
× × × ○ ○
11 32.37 35.46 15.90 32.36 25.43 ×
× × × ○ ○
12 32.07 34.95 16.15 33.93 23.93 ×
× × × ○ ○
13 32.56 35.46 17.31 33.55 20.85 ×
× × × ○ ○
表2から解るように、実施例1〜18の緑茶抽出物は、何れも分光色差計による緑色の適正な範囲の値を示しており、総カテキン含有量も30%以上である。特に、第2抽出工程の有機溶剤濃度が90%以上である実施例1〜15の緑茶抽出物は、緑色の色相が好ましく、第1抽出工程の有機溶剤濃度が50〜60%である実施例4,5,11,12は、収率も良好である。実施例8及び15では抽出物の収率が低いが、これは、第1抽出工程の抽出溶媒の含水率が低いためにカテキン等の抽出が不足すると共に、有機溶剤との馴染みが全体に不十分で抽出効率が良くないことによると考えられる。
一方、表4によれば、比較例1〜13の緑茶抽出物は、色評価及び総カテキン含有量の少なくとも一方が不充分である。比較例1は好ましい緑色であるが、カテキンの含有量が低く、比較例3,8〜13は、カテキンの含有量は良好であるが、赤色に関するX値が高く、視覚的に黄緑色の色合いであり、好ましい緑色ではない。比較例2,4〜7は、カテキン含有量及び色合いの何れも満足なものではない。
溶媒濃度Pをx軸、溶媒濃度Qをy軸とするグラフに表2及び表4の結果をプロットすると、良好な緑茶抽出物が得られた実施例9〜11,16〜18と、色差値が規定外である比較例2〜3,6〜10とを境界線によって区分すると、この境界線は、9980=(33x+100y)とすることができ、実施例は、9980≦(33x+100y)を満たし、比較例2〜13では、9980>(33x+100y)となる。この境界線は、主に、呈色成分の抽出に関する境界線となる。
(実施例19〜22)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、表5記載の有機溶剤濃度Iの含水エタノール320mlを注ぎ、表5記載の抽出時間Iの間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表5記載の有機溶剤濃度IIの含水エタノール320mlを注ぎ、表5記載の抽出時間IIの間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。更に、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表5記載の有機溶剤濃度IIIの含水エタノール320mlを注ぎ、表5記載の抽出時間IIIの間静置した後にコックを開栓して抽出液3を得た。抽出液1〜3を混合し、No.2濾紙で濾過した後に、濾液を減圧濃縮して凍結乾燥を行い、緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を表6に示す。
(表5)
実施例 濃度I 抽出時間 濃度II 抽出時間 濃度III 抽出時間
(V/V) I (V/V) II (V/V) III
5 60.0% 30分 60.0% 30分 99.5% 10分
19 60.0% 30分 60.0% 30分 99.5% 30分
20 60.0% 30分 60.0% 30分 99.5% 60分
21 60.0% 30分 99.5% 10分 99.5% 10分
22 60.0% 30分 99.5% 30分 99.5% 30分
(表6)
実施例 X Y Z 総カテキン量(%) 収率(%) 評価
5 19.69 22.08 8.57 34.28 27.29 ○
○ ○ ○ ○ ○
19 18.37 20.59 9.26 34.10 29.19 ○
○ ○ ○ ○ ○
20 17.06 19.19 7.63 35.13 25.51 ○
○ ○ ○ ○ ○
21 7.64 8.48 4.31 33.68 21.13 ○
○ ○ ○ ○ ○
22 14.91 16.75 6.96 34.04 22.43 ○
○ ○ ○ ○ ○
(実施例23〜24)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、表7記載の有機溶剤濃度Iの含水エタノール320mlを注ぎ、表7記載の抽出時間Iの間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表7記載の溶媒濃度Iの含水エタノール320mlを注ぎ、表7記載の抽出時間Iの間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。更に、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表7記載の溶媒濃度IIの含水エタノール320mlを注ぎ、表7記載の抽出時間IIの間静置した後にコックを開栓して抽出液3を得た。更に、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に表7記載の溶媒濃度IIの含水エタノール320mlを注ぎ、表7記載の抽出時間IIの間静置した後にコックを開栓して抽出液4を得た。抽出液1〜4を混合してNo.2濾紙で濾過し、濾液を減圧濃縮して凍結乾燥を行い、緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を表8に示す。
(表7)
実施例 濃度I 抽出時間 濃度II 抽出時間
(V/V) I (V/V) II
23 60.0% 30分 99.5% 10分
24 60.0% 30分 99.5% 30分
(表8)
実施例 X Y Z 総カテキン量(%) 収率(%) 評価
23 17.27 19.41 7.58 35.11 24.35 ○
○ ○ ○ ○ ○
24 13.70 15.46 5.41 34.33 28.54 ○
○ ○ ○ ○ ○
実施例19〜24から、高濃度溶媒を用いる第2抽出工程の回数又は抽出時間を増やすことによって、緑色が濃い緑茶抽出物が得られることが解る。これらの結果は、緑茶葉に含まれる親油性の高い成分は、親水性の高い成分に比べて溶出に時間を要する傾向があることを意味する。一方、低濃度溶媒を用いる第1抽出工程の回数を増やすことによって、カテキン等の水溶性成分の抽出量が増えて収率が向上する。従って、収率の点では、第1抽出工程の回数が2回以上であることが好ましく、第2抽出工程の回数及び抽出時間は、求める色調に応じて適宜調節することが可能であり、抽出時間は概して10〜30分程度が適切である。
(実施例25〜26)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、有機溶剤濃度60(V/V)%の含水有機溶媒(実施例25:含水アセトン、実施例26:含水メタノール)320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に前述と同じ含水有機溶媒320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。更に、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に有機溶剤濃度99.5(V/V)%の含水有機溶媒(実施例25:含水アセトン、実施例26:含水メタノール)320mを注ぎ、10分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液3を得た。抽出液1〜3を混合してNo.2濾紙で濾過し、濾液を減圧濃縮して凍結乾燥を行い、緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を表9に示す。
(表9)
実施例 X Y Z 総カテキン量(%) 収率(%) 評価
25 16.37 18.11 7.76 36.60 31.24 ○
○ ○ ○ ○ ○
26 26.89 29.98 12.38 34.73 26.83 ○
○ ○ ○ ○ ○
実施例25〜26の結果、抽出溶媒を構成する親水性有機溶剤としてアセトン及びメタノールも使用でき、好ましい緑茶抽出物が得られることが解る。
(実施例27)
細かく粉砕した緑茶葉80gに、有機溶剤濃度80(V/V)%の含水エタノール431mlを注ぎ、45分間室温で静置した後に抽出溶媒を撹拌した、更に45分間室温で静置して抽出液1を緑茶葉から分取した。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に95(V/V)%の含水エタノール300mlを注ぎ、60分間室温で静置した後に抽出液2を緑茶葉から分取した。更に、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に95(V/V)%の含水エタノール300mlを注ぎ、45分間室温で静置した後に抽出溶媒を撹拌し、更に45分間室温で静置して抽出液3を緑茶葉から分取した。抽出液1〜3を混合してNo.2濾紙で濾過し、濾液を減圧濃縮して噴霧乾燥を行い、緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を表10に示す。
(実施例28)
実施例27と同様にして抽出液1〜3の混合物を得た。これを、No.2濾紙で濾過した後に濾液を減圧濃縮し、更に減圧留去によって乾燥を行い、緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を表10に示す。
(表10)
実施例 X Y Z 総カテキン量(%) 収率(%) 評価
27 14.15 14.69 4.11 38.58 27.40 ○
○ ○ ○ ○ ○
28 11.62 12.26 6.79 41.45 23.90 ○
○ ○ ○ ○ ○
実施例27〜28の色評価の結果から、緑茶葉を粉砕することによって、茶葉への有機溶剤の浸透が良くなり、呈色成分の抽出効率が向上することが解る。また、噴霧乾燥又は減圧乾燥によっても色に影響を与えずに緑茶抽出物の乾燥が可能であることが明らかである。
(実施例29)
市販の緑茶抽出物(テアフラン30F、株式会社伊藤園製)と実施例5の緑茶抽出物とを2:1の割合(質量比)で混合してインスタントティーを調製した。これを、カテキン濃度が800ppmになるように水に溶解し、酸化防止剤としてアスコルビン酸を加えて炭酸水素ナトリウムでpH6.3に調整することにより、容器詰茶飲料を調製した。
実施例5の緑茶抽出物を用いなかったこと以外は上記と同様にして、カテキン濃度が800ppm、pH6.3の容器詰茶飲料を調製した。
上記の2つの茶飲料を比較したところ、実施例5の緑茶抽出物を配合した茶飲料の方が緑茶風味が良好に感じられ、視覚的には実施例5の緑茶抽出物を配合した方が格段に鮮やかな緑色を呈し、実施例5の緑茶抽出物を含まない茶飲料の色は、黄色であった。
(実施例30)
テアフラン30Fと実施例5の緑茶抽出物との割合を1:1に変更したこと以外は実施例29と同様にしてインスタントティーを作成した。これを用いて同様に茶飲料を調製したところ、風味は上質な緑茶風味であり、視覚的には緑色を含んだ鮮緑色であった。
(比較例14)
特開2005−224142号公報を参照して、緑茶葉125gを70℃の温水を用いて10分抽出し、106μmのメッシュで荒濾過した後、3000rpmで10分間遠心分離を行った。これを、No.2濾紙で濾過して温水抽出液を得た。
他方、濃度95 (V/V)%に調製した含水エタノール15gに緑茶葉(煎茶)5gを加えて攪拌しながら5分間抽出し、106μmのメッシュを通して茶葉を除き、No.2濾紙で濾過を行って、含水エタノール抽出物を得た。
前記で得た温水抽出液と含水エタノール抽出液とを混合し、濃縮して凍結乾燥を行って緑茶抽出物18.77g得た。得られた抽出物の収率、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を測定したところ、X値:31.88、Y値:35.58、Z値:12.85、総カテキン量:26.32%、収率:14.44%であった。この抽出物の色は、視覚的には黄緑色であった。
(比較例15)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、濃度80(V/V)%の含水エタノール320mlを注ぎ、10分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に、濃度60(V/V)%の含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。更に、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に、濃度60(V/V)%の含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液3を得た。抽出液1〜3を混合してNo.2濾紙で濾過し、濾液を減圧濃縮して凍結乾燥を行い、緑茶抽出物15.25gを得た。得られた抽出物の収量、XYZ表色系による色評価及びカテキン量をを測定したところ、X値:32.71、Y値:35.65、Z値:16.53、総カテキン量:34.50%、収率:19.06%であった。この抽出物の色は、視覚的には緑色を示さず、黄色であった。
(比較例16)
緑茶葉90gに80℃の熱水を900ml加え、15分間抽出して抽出液1を得た。抽出後の抽出残渣に90℃の熱水を700ml加え、10分間抽出して抽出液2を得た。抽出液1及び2を混合し、3000rpmで10分間遠心分離を行って上澄みを回収し、No.2濾紙で濾過した炉液を減圧濃縮した後に凍結乾燥して緑茶抽出物20.7gを得た。得られた抽出物の収率、XYZ表色系による色評価及びカテキン量をを測定したところ、X値:33.57、Y値:37.23、Z値:17.65、総カテキン量:24.62%、収率:23.0%であった。この抽出物の色は、視覚的には黄色であった。
(実施例31)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、濃度80(V/V)%の含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液を得た。これを減圧濃縮した後に凍結乾燥して緑茶抽出物4.6gを得た。得られた抽出物の収率、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を測定したところ、X値:23.14、Y値:26.24、Z値:11.63、総カテキン量:37.43%であり、収率:5.83%であった。この抽出物は、総カテキン量において良好で、視覚的には鮮緑色であったが、収率が極めて低かった。
(比較例17)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉80gを入れ、濃度99.5(V/V)%の含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液1を得た。次いで、前抽出溶媒で湿った状態の抽出残渣に、濃度99.5(V/V)%の含水エタノール320mlを注ぎ、30分間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。抽出液1,2を混合してNo.2濾紙で濾過し、濾液を減圧濃縮した後に凍結乾燥して緑茶抽出物1.62gを得た。得られた抽出物の収率、XYZ表色系による色評価及びカテキン量を測定したところ、X値:16.53、Y値:18.35、Z値:7.56、総カテキン量:20.56%であり、収率:2.02%であった。この抽出物は、視覚的には鮮緑色であったが、総カテキン量が少なく、収率が著しく低かった。

Claims (7)

  1. 分光色差計によって測定されるXYZ表色系におけるX値が7〜30、Y値が8〜34、Z値が4〜15であり、総カテキン含有量が30質量%以上である緑茶抽出物の製造方法であって、緑茶葉を第1の含水有機溶剤で抽出する第1抽出工程と、前記第1抽出工程後の緑茶葉を第2の含水有機溶剤で抽出する第2抽出工程と、前記第1抽出工程で得られる抽出液及び前記第2抽出工程で得られる抽出液に含まれる抽出物を合わせて回収する回収工程とを有し、前記第1の含水有機溶剤の有機溶剤濃度をP[%、容積/容積]、前記第2の含水有機溶剤の有機溶剤濃度をQ[%、容積/容積]とした時、P及びQが下記式を満たす緑茶抽出物の製造方法
    20≦P≦90、80≦Q、且つ、9980≦(33P+100Q)
  2. 前記緑茶抽出物が粉末状である請求項1記載の緑茶抽出物の製造方法
  3. 前記有機溶剤は、エタノール、メタノール及びアセトンからなる群より選択される1種又は2種以上の混合物である請求項1又は2に記載の緑茶抽出物の製造方法。
  4. 前記第1の含水有機溶剤及び前記第2の含水有機溶剤は、有機溶剤として同一の親水性有機溶剤を含有する請求項1〜3の何れかに記載の緑茶抽出物の製造方法。
  5. 前記有機溶剤濃度Qは、前記有機溶剤濃度Pより高く、80〜99.5%の範囲である請求項1〜4の何れかに記載の緑茶抽出物の製造方法。
  6. 前記回収工程は、前記第1抽出工程で得られる抽出液と前記第2抽出工程で得られる抽出液との混合物を調製する混合工程と、前記混合物を乾燥する乾燥工程とを有する請求項1〜5の何れかに記載の緑茶抽出物の製造方法。
  7. 前記第1抽出工程及び前記第2抽出工程の少なくとも一方を2回以上繰り返し、前記第1の含水有機溶剤総量と前記第2の含水有機溶剤総量との割合は、容積比で2/1〜1/2の範囲である請求項1〜6の何れかに記載の緑茶抽出物の製造方法。
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