JP5464575B2 - 積層塗膜形成方法および塗装物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車車体などに形成される積層塗膜の形成方法、およびその方法により得られる積層塗膜を有する塗装物に関する。
自動車などの工業製品には、一般に、美的外観を与えるために積層塗膜が施されている。特に、自動車には質の高い外観を付与するために、電着塗装が施された基材上に、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜が順に形成されている。従前は、この中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜の三層積層塗膜は、1つ1つの塗膜を塗布後焼付硬化して形成されていた。しかし、省資源や省エネルギーが求められる近年は、ベース塗料を塗布後焼付硬化せずにクリヤー塗料を塗布し、その後ベース塗膜とクリヤー塗膜の両方を一度に焼付硬化する、いわゆる2コート1ベーク法による複層塗膜の形成方法や、それを更に進展させてベース塗膜だけでなく、中塗り塗膜も塗布後焼付硬化せずに形成して、三層(中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜)を一度に焼付硬化する、いわゆる3コート1ベーク法による複層塗膜形成方法などが提案されてきた。
このような焼付硬化回数を少なくする塗膜形成法は、必ずしも理想的な複層塗膜形成方法ではなく、各層間の混層やなじみ、硬化時の物理的あるいや化学的変化により塗膜外観に影響が出る可能性が増える。特に、ベース塗膜にアルミフレークなどの光輝性顔料を配合する、いわゆるメタリック塗膜の場合は、より注意深い制御が必要になってきている。
例えば、3コート1ベークの複層塗膜形成方法では、三層それぞれの塗料の調整など、多くの改良が提案されている。特開2007−75791号公報(特許文献1)には、中塗り塗料、ベース塗料およびクリヤー塗料の全ての組成を規定することにより、3コート1ベークにより形成された積層塗膜の塗膜外観、特に垂直面での塗膜外観を向上する技術が提案されている。
特開2007−75791号公報
本発明は、2コート1ベーク法または3コート1ベーク法による複層塗膜形成方法を改良し、得られる積層塗膜の塗膜外観の向上を図ることを目的とする。
本発明者らは、2コート1ベーク法または3コート1ベーク法による複層塗膜形成において、塗膜欠陥の原因が焼付硬化時に下層の未硬化塗膜から揮散する溶媒が硬化塗膜表面に溶剤の抜け跡を残すことに起因することを突き止めた。本発明は、2コート1ベーク法または3コート1ベーク法による複層塗膜形成における塗膜欠陥の改善方法を提案するものである。
本発明は、メラミン樹脂を塗料固形分に対して5質量%以上含有するメラミン硬化型ベース塗料組成物を被塗物に塗装して、未硬化のベース塗膜を形成する工程、
未硬化のベース塗膜の上に、2液型クリヤー塗料組成物を塗装して、未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、および
得られた未硬化のベース塗膜およびの未硬化のクリヤー塗膜を焼き付け硬化させる工程、
を包含する積層塗膜形成方法であって、
該2液型クリヤー塗料組成物が、
数平均分子量(Mn)1500〜6000、水酸基価100〜200であり、かつ該水酸基価のうち二級水酸基の割合が20〜100%である、水酸基含有アクリル樹脂(A)を含む主剤;および、
イソシアネート化合物(B)を含む硬化剤;
からなる2液型クリヤー塗料組成物である、
積層塗膜形成方法を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
上記メラミン硬化型ベース塗料組成物は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂を含むものが好ましい。
また、上記メラミン硬化型ベース塗料組成物は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリレート基を含有する多官能性不飽和モノマーを1〜20質量%含むモノマー混合物(a)を乳化重合して得られる架橋構造を有するコア部と、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物(b)を乳化重合して得られるシェル部とからなる、酸価1〜80mgKOH/gであるコアシェル型のアクリル樹脂エマルション(ア);ポリエーテルポリオール(イ);メラミン樹脂(ウ);を含む、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物であるものが好ましい。
またさらに、上記メラミン硬化型ベース塗料組成物は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOH/gであるアクリル樹脂(カ);メラミン樹脂(キ);重合微粒子(ク);を含む、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物であるものも好ましい。
前記の未硬化のベース塗膜を形成する工程においては、メラミン硬化型ベース塗料組成物が塗装される被塗物は、未硬化の中塗り塗膜を有する被塗物であり、かつ前記の焼き付け硬化させる工程において、未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベース塗膜およびの未硬化のクリヤー塗膜を焼き付け硬化させるのが好ましい。
本発明は、また、上記に記載の積層塗膜形成方法により得られる積層塗膜を有する塗装物も提供する。
本発明は、更に、上記に記載の積層塗膜形成方法において用いられる2液型クリヤー塗料組成物も提供する。
本発明者らの研究によれば、未硬化のベース塗膜およびクリヤー塗膜を形成し、その後焼き付け硬化する、いわゆる2コート1ベーク法による積層塗膜形成において、焼き付け硬化時に下層の未硬化塗膜(ベース塗膜)中に存在する溶媒が、上層(即ち、クリヤー塗膜層)を経て揮散するが、その際にクリヤー塗膜層が硬化を開始しているか硬化中である場合は、溶媒の抜け跡が生じて、その抜け跡が塗膜欠陥となることが解った。本発明では、この溶媒の抜け跡が生じないように、クリヤー塗料組成物の硬化が遅くなるように設計した。具体的には、クリヤー塗料組成物をイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル樹脂との組合せの2液型クリヤー塗料とし、そのアクリル樹脂の水酸基の一部または全部を二級水酸基に代えて立体障害により硬化剤(イソシアネート化合物)との反応を遅らせるように設計した。最上層のクリヤー塗膜層の硬化反応が遅くなれば、溶媒の揮散が生じたとしても、抜け跡などの塗膜欠陥が生じにくくなり、塗膜外観が向上するものと理解する。
本発明の方法である、ベース塗料組成物およびクリヤー塗料組成物を、順次ウェットオンウェットで塗装して得られる積層塗膜は、塗膜平滑性が高く、優れた塗膜外観を有している。また、本発明で用いられる2液型クリヤー塗料組成物は、主剤および硬化剤を混合した後の貯蔵安定性が高く、このため塗装作業性に優れるという利点もある。
本発明の積層塗膜形成方法においては、メラミン硬化型ベース塗料組成物および2液型クリヤー塗料組成物が用いられる。以下、各塗料組成物について記載する。
メラミン硬化型ベース塗料組成物
本発明の積層塗膜形成方法においては、ベース塗料組成物として、メラミン樹脂を塗料固形分に対して5質量%以上含有するメラミン硬化型ベース塗料組成物が用いられる。このメラミン硬化型ベース塗料組成物と、下記する2液型クリヤー塗料組成物とを用いて積層塗膜を形成することによって、クリヤー塗膜の硬化反応速度が遅くなるように設計することができ、これにより良好な塗膜外観を有する積層塗膜が得られるという利点がある。
本発明において用いられるメラミン硬化型ベース塗料組成物には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂が含まれるのが好ましい。なおこのメラミン硬化型ベース塗料組成物は、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物であってもよく、また溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物であってもよい。
メラミン硬化型ベース塗料組成物に、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのものアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂が含まれることによって、未硬化のベース塗膜およびクリヤー塗膜を一度に焼き付け硬化する際に、ベース塗膜の硬化を早めることができるという利点がある。なお上記アクリル樹脂がメラミン硬化型ベース塗料組成物に含まれることによって、ベース塗膜の硬化を早めることができる理由は以下の通りである。
メラミン硬化型ベース塗料組成物は、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物および溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の何れにおいても、アクリル樹脂(エマルション)の水酸基および/または酸基と、メラミン樹脂との反応によって硬化する硬化系である。そしてこのような硬化系において、アクリル樹脂(エマルション)に、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのものアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーに由来するカルボン酸基が含まれることによって、一般的なアクリル樹脂エマルションに含まれるアクリレート基に由来する酸基と比較してより強い酸である、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸に由来するカルボキシル基が、ベース塗料組成物中に存在することとなる。そして、このより強い酸が存在することによって、ベース塗料組成物の硬化開始温度が低温化し、これにより焼き付け硬化時においてベース塗料組成物がより速く硬化することとなる。このため、積層塗膜を形成する際、ベース塗膜中に含まれる溶媒の揮散がスムーズに行われ、積層塗膜の塗膜平滑性が向上することとなると考える。
以下、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物および溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の具体的態様について記載する。
水性メラミン硬化型ベース塗料組成物
本発明の積層塗膜形成方法に用いることができる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物として、アクリル樹脂エマルションおよびメラミン樹脂を含む水性塗料組成物が挙げられる。ここでアクリル樹脂エマルションが、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸からなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂であるのが好ましい。
このような水性メラミン硬化型ベース塗料組成物の具体例として、例えば、アクリル樹脂エマルション(ア);ポリエーテルポリオール(イ);メラミン樹脂(ウ);を含む水性塗料組成物が挙げられる。なお上記水性メラミン硬化型ベース塗料組成物は、上記成分(ア)〜(ウ)以外にも、その他の塗膜形成性樹脂、光輝性顔料、着色顔料などを必要に応じて含んでもよい。
アクリル樹脂エマルション(ア)
上記水性メラミン硬化型ベース塗料組成物に含まれるアクリル樹脂エマルション(ア)は、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリレート基を含有する多官能性不飽和モノマーを1〜20質量%含むモノマー混合物(a)を乳化重合して得られる架橋構造を有するコア部と、
マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸からなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを含むモノマー混合物(b)を乳化重合して得られるシェル部とからなる、
コアシェル型のアクリル樹脂エマルションであるのが好ましい。
コア部の調製に用いられるモノマー混合物(a)に含まれる上記多官能性不飽和モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、などを挙げることができる。上記多官能性不飽和モノマーの含有量が1質量%を下回ると得られる塗膜の意匠性が低下し、また、20質量%を超えると得られる塗膜の平滑性が低下する。好ましくは5〜15質量%である。コア部の調製に用いられるモノマー混合物(a)に上記多官能性不飽和モノマーが含まれることによって、コア部が架橋構造を有することとなる。
コア部の調製に用いられるモノマー混合物(a)はさらに、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、
水酸基含有不飽和モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物など。これらの中でより好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物である。)
(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなど)、
重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなど)、
重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレンおよびビニルナフタレンなど)、
重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、
α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレンなど)、
ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、
ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、
などが挙げられる。これらは所望性能に応じて種々選択することができる。
その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、水酸基含有不飽和モノマー、および(メタ)アクリルアミドなどの重合性アミド化合物が含まれる態様がより好ましい。
コア部の調製において水酸基含有不飽和モノマーを用いることによって、硬化性を確保することができる。またコア部の調製において重合性アミド化合物を用いることによって、耐溶剤性を向上することができる。
本発明においては、シェル部の調製に用いられるモノマー混合物(b)は、ジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルが含まれる。ここで、ジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを構成するジカルボン酸基含有不飽和モノマーは、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸である。
シェル部の調製に用いられるモノマー混合物(b)含まれる、ジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを構成するアルキル基は、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基であるのが好ましい。炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
アクリル樹脂エマルション(ア)の調製において用いられるジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルの量は、得られるアクリル樹脂エマルション(ア)の酸価が1〜80mgKOH/gの範囲となる量で用いられる。シェル部の調製に用いられるモノマー混合物(b)中における、ジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルの含有量は、0.2〜30質量%であるのが好ましい。コアシェル型のアクリル樹脂エマルションの酸価が1mgKOH/g未満である場合は積層塗膜の平滑性が低下し、80mgKOH/gを超える場合は、得られる積層塗膜の耐水性が劣ることとなる。
シェル部の調製に用いられるモノマー混合物(b)はさらに、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、モノマー混合物(a)において例示した、水酸基含有不飽和モノマー、エステル部の炭素数3以上の(メタ)アクリル酸エステル、重合性芳香族化合物、重合性ニトリル、α−オレフィン、ビニルエステル、ジエンなどが挙げられる。これらは所望性能に応じて種々選択することができる。
また本発明におけるアクリル樹脂エマルション(ア)においては、上記モノマー混合物(a)および上記モノマー混合物(b)は水酸基含有不飽和モノマーを含むのが好ましい。この場合、得られるアクリル樹脂エマルション(ア)の水酸基価は10〜150であるのが好ましく、20〜100であるのがより好ましい。上記水酸基価が10を下回ると充分な硬化性が得られないおそれがある。また150を超えると得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
また、アクリル樹脂エマルション(ア)のガラス転移温度(Tg)は、得られる塗膜の物性の観点から、−20〜80℃であることが好ましい。
なお、得られたアクリル樹脂エマルション(ア)の酸価、水酸基価およびTgは、上記アクリル樹脂エマルション(ア)を実測して求めることもできるが、上記モノマー混合物(a)およびモノマー混合物(b)における各種不飽和モノマーの配合量から計算によって求めることができる。本明細書においてアクリル樹脂エマルション(ア)の酸価、水酸基価およびTgは、上記モノマー混合物(b)中の各種不飽和モノマーの配合量から、酸価、水酸基価およびTgを計算によって求めた値である。
上記アクリル樹脂エマルション(ア)は、2段階の乳化重合によって調製される。すなわち、まず上記モノマー混合物(a)の乳化重合を行って架橋構造を有するコア部を得た後、上記モノマー混合物(b)を更に加えて乳化重合を行ってシェル部を得るという方法である。
ここで行われる乳化重合は、当業者において用いられる通常の方法を用いて行うことができる。具体的には、水、または必要に応じてアルコールなどの有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記モノマー混合物(a)または上記モノマー混合物(b)と、重合開始剤とを滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したモノマー混合物(a)またはモノマー混合物(b)を同様に滴下してもよい。
上記重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、カチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びに、レドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエートなど)および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリウム、過酸化アンモニウムなど)などが好ましい。
上記乳化剤としては、当業者によって通常用いられるものを挙げることができる。特に、反応性乳化剤、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)などが好ましい。また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いてもよい。
反応温度は重合開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。上記モノマー混合物(a)と上記モノマー混合物(b)との合計質量に対する重合開始剤の含有量は、一般に0.1〜5質量%であり、0.2〜2質量%であることが好ましい。
このようにして得られる上記アクリル樹脂エマルション(ア)の平均粒子径は0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。上記平均粒子径が0.01μm未満である場合、塗装作業性の向上が小さく、1.0μmを超える場合、得られる塗膜の外観が低下する恐れがある。この平均粒子径の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整することにより可能である。
上記アクリル樹脂エマルション(ア)は、必要に応じて塩基で中和することにより、pH=5〜10で用いることができる。これは、このpH領域における安定性が高いためである。この中和は、乳化重合の前または後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加することにより行うことが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法において用いられる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物中の上記アクリル樹脂エマルション(ア)の含有量は、塗料固形分中、5〜95質量%であることが好ましく、10〜85質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有量が上記範囲外である場合、塗装作業性や得られる塗膜の外観が低下する恐れがある。
その他の塗膜形成樹脂
本発明の積層塗膜形成方法に用いる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物は、アクリル樹脂エマルション(ア)以外にも、必要に応じてその他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。このようなものとしては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの塗膜形成性樹脂が利用できる。
また、上記その他の塗膜形成性樹脂は、数平均分子量3000〜50000、好ましくは6000〜30000である。3000より小さいと塗装作業性および硬化性が十分でなく、50000を超えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって塗装作業性が悪くなる。
上記その他の塗膜形成性樹脂は、酸価が10〜100mgKOH/gであるのが好ましく、20〜80mgKOH/gであるのがより好ましい。上限を超えると塗膜の耐水性が低下するおそれがあり、下限を下回ると樹脂の水分散性が低下するおそれがある。また、水酸基価は20〜180mgKOH/gであるのが好ましく、30〜160mgKOH/gであるのがより好ましい。上限を超えると塗膜の耐水性が低下するおそれがあり、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下するおそれがある。
なお、上記塗膜形成性樹脂としては、得られる塗膜のフリップフロップ性および耐チッピング性の観点から、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂であることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂は酸成分およびアルコール成分を縮重合して得られる。上記酸成分としては特に限定されず、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、無水フタル酸などの多価カルボン酸化合物およびそれらの無水物を挙げることができる。さらに、酸成分として、ジメチロールプロピオン酸などの1分子中にカルボン酸基と水酸基とを有する化合物を用いることができる。また、上記アルコール成分としては特に限定されず、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコール化合物を挙げることができる。
上記アルキド樹脂としては特に限定されず、上記酸成分、上記アルコール成分およびヤシ油、アマニ油などの油脂類を縮重合して得られる。さらに上記塗膜形成性樹脂は、必要に応じてジメチルエタノールやトリエチルアミンのような3級アミンなどの塩基によって中和され、水に溶解または分散されていてもよい。
上記水性ベース塗料における樹脂成分の内、上記アクリル樹脂エマルション(ア)とその他の塗膜形成性樹脂との配合割合は、その樹脂固形分総量を基準にして、アクリル樹脂エマルション(ア)が5〜95質量%、更に好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは20〜70質量%であり、その他の塗膜形成性樹脂が95〜5質量%、更に好ましくは90〜15質量%、特に好ましくは80〜30質量%である。アクリル樹脂エマルション(ア)の割合が5質量%を下回るとタレの抑制および塗膜外観が低下し、95質量%より多いと塗膜外観が悪くなる恐れがある。
ポリエーテルポリオール(イ)
上記水性メラミン硬化型ベース塗料組成物に含有されるポリエーテルポリオール(イ)は、1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量300〜3000であり、水トレランスが2.0以上であるのが好ましい。水性メラミン硬化型ベース塗料組成物がこのポリエーテルポリオールを含有することにより、塗膜のフリップフロップ性、耐水性、耐チッピング性を向上させることができる。
上記ポリエーテルポリオール1分子中における一級水酸基が平均0.02個未満である場合は、塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下するおそれがある。また、1分子中に一級水酸基を0.04個以上有することが好ましい。特に、1分子中に一級水酸基を1つ以上有することが更に好ましい。この一級水酸基の他、二級および三級水酸基を含めた水酸基の個数は、1分子中に少なくとも3個以上であることが塗膜の耐水性、耐チッピング性の観点から好ましい。また、水酸基価の観点から見た場合には、水酸基価が30〜700であることが好ましい。水酸基価が下限を下回ると硬化性が低下し、塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下するおそれがある。上限を超えると塗料安定性、塗膜の耐水性が低下する。特に好ましくは50〜500である。
また、上記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が300未満だと塗膜の耐水性が低下し、3000を超えると塗膜の硬化性、耐チッピング性が低下するおそれがある。好ましくは400〜2000である。尚、本明細書では、数平均分子量はスチレンポリマーを標準とするGPC法により決定される。
一方、上記ポリエーテルポリオールの水トレランスが2.0を下回ると、水分散性が低下し、塗膜外観が悪くなるおそれがある。特に、3.0以上であることが好ましい。
ここで用いる水トレランスとは、親水性の度合を評価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高いことを意味する。本明細書における水トレランス値の測定方法は、25℃の条件下で、100mlビーカー内に上記ポリエーテルポリオール0.5gをアセトン10mlに混合して分散させ、この混合物にビュレットを用い、脱イオン水を徐々に加え、この混合物が白濁を生じるまでに要する脱イオン水の量(ml)を測定する。この脱イオン水の量(ml)を水トレランス値とする。
この方法では、例えば、ポリエーテルポリオールが疎水性である場合、最初はポリエーテルポリオールとアセトンとが良相溶状態であったものが、少量の脱イオン水の添加により、不相溶状態となり、測定系に白濁を生じる。逆に、ポリエーテルポリオールが親水性である場合、ポリエーテルポリオールの親水性が高いものほど白濁を生じるまでに多くの脱イオン水を要する。従って、この方法によりポリエーテルポリオールの親水性/疎水性の度合を測定することができる。
上記ポリエーテルポリオールは、塗料樹脂固形分中で、1〜40質量%含有されることが好ましく、3〜30質量%が更に好ましい。上限を超えると塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下し、下限を下回ると塗膜の外観が低下する。
上記ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸類などの活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドが付加した化合物が挙げられる。活性水素原子含有化合物としては、例えば、水、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキシレングリコールなどの2価のアルコール、グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタンなどの4価アルコール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリンなどの5価アルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロースなどの6価アルコール、蔗糖などの8価アルコール、ポリグリセリンなど);多価フェノール類[多価フェノール(ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシンなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンなど)];ポリカルボン酸[脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸など)、芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸など)]など;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。特に一分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを形成するのに用いられる3価以上のアルコールとして好ましいものは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトールなどである。
上記ポリエーテルポリオールは、通常アルカリ触媒の存在下、前記活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを、常法により常圧または加圧下、60〜160℃の温度で付加反応を行うことにより得られる。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドが挙げられ、これらは1種または2種以上を併用することができる。2種以上を併用する場合の付加形式はブロックもしくはランダムのいずれでもよい。
尚、上記ポリエーテルポリオールは、市販されているものを使用することができ、例えば、プライムポールPX−1000、サンニックスSP−750、PP−400(上記いずれも三洋化成工業社製)、PTMG−650(三菱化学社製)などを挙げることができる。
また更に、上記ポリエーテルポリオールは顔料分散性を向上させるために特開昭59−138269号公報で示されるように、後述するアミノ樹脂やヒドロキシエチルエチレンイミン(例えば、相互薬工の「HEA」)、2−ヒドロキシプロピル−2−アジリジニルエチルカルボキシレート(例えば相互薬工「HPAC」)などの塩基性物質により変性することができる。変性剤の量は上記ポリエーテルポリオールに対し1〜10質量%が好ましい。1質量%未満では十分な変性効果が得られず、10質量%を超えると変性後のポリエーテルポリオールの安定性が悪くなる。
メラミン樹脂(ウ)
水性メラミン硬化型ベース塗料組成物中に含まれるメラミン樹脂(ウ)は、硬化剤として機能する成分である。メラミン樹脂(ウ)は特に限定されるものではなく、水溶性メラミン樹脂あるいは非水溶性メラミン樹脂を用いることができる。塗料の安定性の観点から、水トレランス値が3.0以上のメラミン樹脂を用いることが好ましい。なお、上記水トレランス値は、先のポリエーテルポリオールで述べた方法と同様にして測定することができる。
メラミン樹脂(ウ)の具体例として、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。なかでも、メトキシ基および/またはブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましく用いることができる。上記メトキシ基および/またはブトキシ基で置換されたメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有するものとして、サイメル325、サイメル327、サイメル370、マイコート723;メトキシ基とブトキシ基との混合タイプとして、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(何れも商品名、三井サイテック社製);ブトキシ基を単独で有するものとして、マイコート506、マイコート723(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(何れも商品名、三井化学社製)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水性メラミン硬化型ベース塗料組成物中におけるメラミン樹脂(ウ)の含有量は、塗料樹脂固形分100質量部に対して5質量%以上である。メラミン樹脂(ウ)の含有量は、硬化性の観点から5〜60質量部であることが好ましい。
光輝性顔料(エ)など
本発明の自動車車体の塗装仕上げ方法で用いられる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物は、上記各成分に加えて光輝性顔料および着色顔料を含むことができる。
上記光輝性顔料の形状としては特に限定されず、着色されたものであっても良いが、例えば、平均粒径(D50)が下限2μm、上限50μmの範囲内であり、厚みが下限0.1μm、上限5μmの範囲内であることが好ましい。また、上記平均粒径が下限10μm、上限35μmの範囲内であると、光輝感に優れるためより好ましい。
上記光輝性顔料としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウムなどの金属または合金などの無着色または着色された金属製光輝材およびその混合物などを挙げることができる。光輝性顔料としてさらに、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料などを用いることもできる。
上記着色顔料を含んでもよい。着色顔料としては特に限定されず、例えば、有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料などを挙げることができる。無機系の着色顔料としては特に限定されず、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタンなどを挙げることができる。
上記水性メラミン硬化型ベース塗料組成物中の全顔料濃度(PWC)、つまり光輝性顔料および着色顔料を含む全顔料濃度は、塗料樹脂固形分質量100質量部に対して、下限0.1質量部、上限50質量部の範囲内であることが好ましい。上記上限は、40質量部がより好ましく、30質量部が更に好ましい。上記全顔料濃度が50質量部を超えると、塗膜外観が低下するため好ましくない。上記下限は、0.5質量部がより好ましく、1.0質量部が更に好ましい。
本発明で用いられる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物が、平均厚み0.05〜0.20μm、平均粒子径10〜20μmである薄膜アルミニウム顔料などの鱗片状の光輝性顔料を含有する場合は、リン酸基含有アクリル樹脂を含有することが好ましい。このリン酸基含有アクリル樹脂は、下記の一般式(I):
CH=CXCO(OY)OPO(OH) (I)
[式中、Xは、水素原子またはメチル基、Yは、炭素数2〜4のアルキレン基、nは、3〜30の整数を表す。]
で表されるモノマーとその他のエチレン性モノマーとを共重合して得られるアクリル樹脂である。
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、上記鱗片状の光輝性顔料を良好に分散するために使用される。この樹脂は、酸価15〜200mgKOH/gで、かつリン酸基による酸価が10〜150mgKOH/gであり、数平均分子量が1000〜50000であることが好ましい。酸価が15mgKOH/g未満であると、鱗片状の光輝性顔料の分散を充分に図ることができない場合がある。また、酸価が200mgKOH/gを超えると、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。酸価15〜200mgKOH/gのうち、リン酸基による酸価が15〜100mgKOH/gであることが更に好ましい。
本発明で用いる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物が金属製光輝材を含んでいる場合、光輝材に対する腐食防止剤として、または、光輝材のぬれ性を良くし、得られる複層塗膜の物性を向上するために、アルキル基を有するリン酸基含有化合物を含むことが好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、8〜18であることが好ましく、10〜14であることがより好ましい。上記炭素数が8未満である場合、ぬれ性が低下して密着性が低下し、18を超える場合、塗料中で化合物の結晶が析出し、不具合が生じるおそれがある。
上記アルキル基を有するリン酸基含有化合物としては特に限定されず、例えば、モノ−またはジアルキルアシッドホスフェートなどを挙げることができる。上記モノ−またはジアルキルアシッドホスフェートとしては特に限定されず、例えば、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ−またはジ−イソデシルアシッドホスフェート、モノ−またはジ−トリデシルアシッドホスフェート、モノ−またはジ−ラウリルアシッドホスフェート、モノ−またはジ−ノニルフェニルアシッドホスフェートなどを挙げることができる。
本発明で用いる水性メラミン硬化型ベース塗料組成物が上記リン酸基含有化合物を含む場合、上記リン酸基含有化合物の含有量は、塗料樹脂固形分に対して下限0.1質量%、上限5質量%の範囲内であることが好ましい。上記下限は、0.2質量%がより好ましく、上記上限は、2質量%がより好ましい。上記含有量が0.1質量%未満である場合、腐食防止効果が十分でなく、ガスの発生や光輝材の変色が起こり、5質量%を超える場合、耐水性が低下する恐れがある。
他の成分
本発明における水性メラミン硬化型ベース塗料組成物中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤などを配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
水性メラミン硬化型ベース塗料組成物の製造
上記水性メラミン硬化型ベース塗料組成物の製造方法は、特に限定されず、上記成分をニーダーやロールなどを用いて混練、サンドグラインドミルやディスパーなどを用いて、水中に溶解および/または分散するなどの当業者に周知の全ての方法を用いることができる。
溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物
本発明の積層塗膜形成方法において用いることができる溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物として、例えば、アクリル樹脂およびメラミン樹脂を含む溶剤型塗料組成物が挙げられる。ここでアクリル樹脂が、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸からなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂であるのが好ましい。
このような溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の具体例として、例えば、酸価1〜80mgKOH/gであるアクリル樹脂(カ);メラミン樹脂(キ);重合微粒子(ク);を含む溶剤型塗料組成物が挙げられる。
アクリル樹脂(カ)は、上記の通り、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸からなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを含むモノマー混合物を重合して得られる樹脂であるのが好ましい。
アクリル樹脂(カ)の調製に用いられるモノマー混合物に含まれる、ジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステル以外の成分は、特に限定されず、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなどの(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物などの水酸基含有不飽和モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなどの重合性アミド化合物;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレンおよびビニルナフタレンなどの重合性芳香族化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの重合性ニトリル;
エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;
ブタジエン、イソプレンなどのジエン;
などが挙げられる。なお上記モノマー混合物には、水酸基含有モノマーが含まれることを条件とする。
アクリル樹脂(カ)の酸価が1mgKOH/g未満であると、塗膜物性に劣る場合があり、80mgKOH/gを超えると、塗膜の耐水性が後退しやすくなるおそれがある。より好ましくは、10〜45mgKOH/gである。
上記アクリル樹脂(カ)は、数平均分子量が1000〜20000であるのが好ましい。1000未満であると、耐候性などの塗膜物性に劣るおそれがある。また20000を超えると、樹脂の粘度が高くなり、多量の溶剤が必要となるおそれがある。
上記アクリル樹脂(カ)は、水酸基価(固形分)が10〜200であるのが好ましい。10未満であると、硬化不充分となって、塗膜物性が劣る恐れがある。また200を超えると、塗膜の可撓性や耐水性が低下する恐れがある。
上記アクリル樹脂(カ)の製造方法としては特に限定されず、例えば、通常のラジカル重合などの溶液重合などにより行うことができる。
溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物中におけるアクリル樹脂(カ)の含有量は、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物のアクリル樹脂(カ)、メラミン樹脂(キ)および重合微粒子(ク)などの塗膜形成樹脂の固形分に対して10〜90質量%であるのが好ましい。10質量%未満であると、堅牢度が低下するなど、塗膜物性に劣ることがあり、90質量%を超えると、塗膜が硬く脆くなり、耐チッピング性などの塗膜物性が劣ることがある。
本発明の溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物に含まれるメラミン樹脂(キ)は、特に限定されるものではなく、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物中に含まれるメラミン樹脂(ウ)に挙げられたメラミン樹脂などを用いることができる。
溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物中におけるメラミン樹脂(キ)の含有量は、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物のアクリル樹脂(カ)、メラミン樹脂(キ)および重合微粒子(ク)などの塗膜形成樹脂の固形分に対して5質量%以上である。メラミン樹脂(キ)の含有量は、5〜60質量部であるのが好ましく、15〜45質量%であるのが更に好ましい。メラミン樹脂(キ)の含有量が下限を下回ると硬化性が不十分となるおそれがあり、上限を上回ると硬化膜が堅くなり、塗膜にした場合にチッピング性が低下する恐れがある。
本発明の溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物に含まれる重合微粒子(ク)は、架橋重合体微粒子(ク−1)および非水ディスパージョン樹脂(ク−2)を含むのが好ましい。溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物中における重合微粒子(ク)の含有量は、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物のアクリル樹脂(カ)、メラミン樹脂(キ)および重合微粒子(ク)などの塗膜形成樹脂の固形分に対して1〜30質量部であるのが好ましい。
本発明の溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物に配合する架橋重合体微粒子(ク−1)は、有機溶剤に不溶であって、平均粒径(D50)が0.01〜1μmのものを用いる。平均粒径が上限を超えると安定性が低下する恐れがあり、また下限未満では生産設備上の困難性が高く、粒子形状の維持も困難になる恐れがある。架橋重合体微粒子は、乳化能を有する樹脂と重合開始剤との存在下において、水性媒体中で重合性モノマーを乳化重合させることにより調製することができる。乳化能を有する樹脂として、例えば、両イオン性基および2以上のヒドロキシル基を分子内に有するモノマーを、多価アルコール成分のひとつとして用いて合成した、アルキド樹脂あるいはポリエステル樹脂などの樹脂が挙げられる。
上記の両イオン性基として、例えば−N+−R−COO-または−N+−R−SO3 -(式中、RはC1〜C6の直鎖もしくは分岐状アルキレン基を表す)が挙げられる。このような両イオン性基と、2以上のヒドロキシル基とを有するモノマーを用いることによって、乳化能を有する樹脂を好適に調製することができる。このようなモノマーとして、ヒドロキシル基含有アミノスルホン酸型両性イオン化合物が樹脂合成上好ましく用いられる。具体的なモノマーとして、例えばビスヒドロキシエチルタウリンなどが挙げられる。
上記のモノマーを用いて合成される、両イオン性基を分子内に有する、乳化能を有する樹脂としては、酸価が30〜150mgKOH/g、好ましくは40〜150mgKOH/g、数平均分子量が500〜5000、好ましくは700〜3000のポリエステル樹脂であるのがより好ましい。これらの酸価および数平均分子量が上限を超える場合は、樹脂のハンドリング性が低下する恐れがある。また、これらの酸価および数平均分子量が下限を下回る場合は、塗膜にした場合に乳化能を有する樹脂が脱離したり、耐溶剤性が低下したりする恐れがある。
また架橋重合体微粒子の合成で用いられる、乳化重合される重合性モノマーとしては、分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーが用いられる。このような分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーは、全モノマー中の0.1〜70質量%の範囲で含有させることが好ましい。この量は、微粒子重合体が溶剤に溶解しないだけの充分な架橋が与えられる程度に選択される。
分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明で用いる架橋重合体微粒子(ク−1)は、塗膜化したときに性能を低下させるような低分子乳化剤あるいは保護コロイドを含まず、しかも分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーを共重合することにより架橋されている。そのため、得られる塗膜の耐水性、耐溶剤性および光沢などを向上させることができるという利点を有する。
非水ディスパージョン樹脂(ク−2)は、分散安定樹脂と有機溶剤との混合液中で、重合性モノマーを共重合させることにより、この混合液に不溶な樹脂粒子として調製することができる。なお「非水ディスパージョン」とは、非水分散型樹脂を意味し、有機溶媒を媒体として樹脂を分散安定化させたものである。
非水ディスパージョン樹脂(ク−2)における樹脂粒子は、非架橋樹脂粒子として調製することが好ましい。また、非架橋樹脂粒子を得るため分散安定樹脂の存在下で共重合させるモノマーは、ラジカル重合性の不飽和モノマーであれば特に制限されない。
但し、上記分散安定樹脂および非水ディスパージョン樹脂(ク−2)の合成において、官能基を有する重合性モノマーを用いることが好ましい。官能基を有する非水ディスパージョン樹脂(ク−2)は官能基を含有せしめた分散安定樹脂と共に後記硬化剤と反応して三次元に架橋した塗膜を形成することができるからである。
分散安定樹脂は、非水ディスパージョン樹脂(ク−2)を有機溶剤中で安定に合成できるものであれば特に限定されるものではない。分散安定樹脂として、具体的には、水酸基価(固形分)が10〜250、好ましくは20〜180であり、酸価(固形分)が0〜100mgKOH/g、好ましくは0〜50mgKOH/g、数平均分子量が800〜100000、好ましくは1000〜20000である、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリウレタン樹脂などを用いることが好ましい。これらの上限を上回ると樹脂のハンドリング性が低下し、非水ディスパージョン自身のハンドリングも低下する恐れがある。下限を下回ると塗膜にした場合に樹脂が脱離したり、粒子の安定性が低下したりする恐れがある。
分散安定樹脂の合成方法は、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合により得る方法、縮合反応や付加反応により得る方法などが好ましいものとして挙げられる。更に、上記分散安定樹脂を得るために用いられるモノマーとしては、樹脂の特性に応じて適宜選択され得るが、後述する非水ディスパージョンを合成するために用いられる重合性モノマーが有するような、水酸基、酸基などの官能基を有するものを用いることが好ましく、更に必要に応じて、グリシジル基、イソシアネート基などの官能基を有するものを用いてもよい。
非水ディスパージョン樹脂(ク−2)は、分散安定樹脂の存在下で重合性モノマーを重合させることによって得ることができる。重合性モノマーとして、ラジカル重合性のモノマーを用いることができる。
非水ディスパージョン樹脂(ク−2)の合成に用いられる重合性モノマーは、官能基を有するものを用いるのが好ましい。官能基を有する重合性モノマーとしてその代表的なものは以下のとおりである。水酸基を有する重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アリルアルコール、(メタ)メタクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物などが挙げられる。
一方、酸性基を有する重合性モノマーとしては、カルボキシル基、スルホン酸基などを有する重合性モノマーが挙げられる。カルボキシル基を有するものの例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。スルホン酸基を有する重合性モノマーの例としては、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸などが挙げられる。酸性基を有する重合性モノマーを用いる場合は、酸性基の一部はカルボキシル基であることが好ましい。
そのほかにも、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、アクリル酸イソシアナトエチルなどのイソシアネート基含有不飽和モノマーなどが、官能基を有する重合性モノマーとして挙げられる。
この他の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、メタクリル酸トリデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、油脂肪酸とオキシラン構造を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーとの付加反応物(例えば、ステアリン酸とグリシジルメタクリレートの付加反応物など)、炭素数3以上のアルキル基を含むオキシラン化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との付加反応物、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、イタコン酸エステル(イタコン酸ジメチルなど)、マレイン酸エステル(マイレン酸ジメチルなど)、フマール酸エステル(フマール酸ジメチルなど)、その他に、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製、商品名)、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、エチレン、プロピレン、ブタジエン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルピリジンなどの重合性モノマーが挙げられる。
非水ディスパージョン樹脂(ク−2)の調製において、分散安定樹脂と重合性モノマーとの構成比率は目的に応じて任意に選択できるが、例えば、該両成分の合計質量に基いて分散安定樹脂は3〜80質量%、特に5〜60質量%、重合性モノマーは97〜20質量%、特に95〜40質量%が好ましい。さらに有機溶剤中における分散安定樹脂と重合性モノマーとの合計濃度は合計質量を基準に、30〜80質量%、特に40〜60質量%が好ましい。
上記非水ディスパージョンを得るための重合反応は、ラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエートなどが挙げられる。これらの開始剤の使用量は重合性モノマー合計100質量部あたり0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部が望ましい。分散安定樹脂を含有する有機溶剤中での非水ディスパージョンを得るための重合反応は、一般に60〜160℃程度の温度範囲で約1〜15時間行うことが好ましい。
こうして得られる非水ディスパージョン樹脂(ク−2)は、水酸基価(固形分)が50〜400、好ましくは100〜300であり、酸価(固形分)が0〜200mgKOH/g、好ましくは0〜50mgKOH/g、平均粒径(D50)が0.05〜10μm、好ましくは0.1〜2μmであるものが好ましい。下限を下回ると粒子形状を維持できず、上限を上回ると塗料組成物に分散した場合の安定性が低下する。
また、上記非水ディスパージョンは架橋重合体微粒子と異なり、塗料組成物中においては粒子成分であるが、塗膜においては粒子構造を形成しない特徴を有する。つまり非水ディスパージョンは粒子内に架橋部位が存在しないため、焼き付け過程で粒子形状が変化し、樹脂成分となり得る点が架橋重合体微粒子とは異なる。
また、非水ディスパージョン樹脂(ク−2)として、例えば色材,48巻(1975)第686頁〜692頁中に記載されているNAD塗料に用いられるNAD(Non Aqueous Dispersion、非水系重合体分散液)と言われる樹脂粒子を使用することもできる。そして溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物に用いられる非水ディスパージョン樹脂(ク−2)は、上記などの非水ディスパージョン樹脂のうち、平均粒径(D50)が0.05〜10μmのものを用いるのが好ましい。
なお、本明細書中の「平均粒径」とは、一般に粒子の粒度(粒径が粗いか細かいか)を表わすために用いられるものであり、質量50%に相当するメジアン径や算術平均径、表面積平均径、体積面積平均径などが使用される。本明細書に示す平均粒径は、レーザー法によって測定された値で示している。レーザー法とは、粒子を溶媒に分散させ、その分散溶媒にレーザー光線を当て、得られた散乱光を捕捉、演算することにより、平均粒径、粒度分布などを測定する方法である。
上記溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物に含まれる架橋重合体微粒子(ク−1)とコアシェル構造を有する非水ディスパージョン樹脂(ク−2)との混合固形分質量比は、40/60〜60/40の範囲である。上記範囲を外れる場合は、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物に対して十分な粘性制御効果を付与することができない。すなわち、架橋重合体微粒子(ク−1)とコアシェル構造を有する非水ディスパージョン樹脂(ク−2)を上記範囲で併用することによって、より大きな構造粘性を発現させることができる。
上記溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物は、アクリル樹脂(カ)以外の塗膜形成性樹脂を含んでもよい。塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの塗膜形成性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、アミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂などの硬化剤と組み合わせて用いられる。顔料分散性あるいは作業性の点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とメラミン樹脂との組み合わせが好ましい。
上記溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物は、さらに、光輝性顔料や着色顔料を含むことができる。上記光輝性顔料や着色顔料としては、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物において含まれうる光輝性顔料や着色顔料に挙げられたものを用いることができる。溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物は、さらに体質顔料を含むことができる。
上記光輝性顔料および着色顔料を含めた溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物中の全顔料濃度(PWC)としては、1〜50%であり、好ましくは、1%〜40%であり、より好ましくは、1%〜30%である。上限を超えると塗膜外観が低下する恐れがある。
本発明で用いられる溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の塗装時の固形分量は、15〜70質量%であるのが好ましく、20〜50質量%であるのがより好ましい。上限を超えると、粘性が高すぎて塗膜外観が低下する恐れがある。また下限を下回ると、粘性が低すぎてなじみやムラなどの外観不良が発生する恐れがある。さらに上記範囲外では、塗料安定性が低下する傾向がある。
上記溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物は、溶液型であれば有機溶剤型、非水分散型のいずれでもよい。また溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物は、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤などを配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の製造
上記溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の製造方法は、特に限定されず、顔料などの配合物をニーダーまたはロールなどを用いて混練、分散するなどの当業者に周知の全ての方法を用いることができる。
2液型クリヤー塗料組成物
本発明において用いられる2液型クリヤー塗料組成物は、
数平均分子量(Mn)1500〜6000、水酸基価100〜200であり、かつ該水酸基価のうち二級水酸基の割合が20〜100%である、水酸基含有アクリル樹脂(A)を含む主剤;および、
イソシアネート化合物(B)を含む硬化剤;
からなる2液型クリヤー塗料組成物である。このクリヤー塗料組成物は、溶剤型であってもよく、水性型であってもよい。
主剤に含まれる、水酸基含有アクリル樹脂(A)は、数平均分子量(Mn)1500〜6000、水酸基価100〜200であり、かつこの水酸基価のうち二級水酸基の割合が20〜100%である、アクリル樹脂である。この水酸基含有アクリル樹脂(A)は、水酸基含有アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和基含有モノマーとを、通常の方法により共重合することにより調製することができる。但し、水酸基含有アクリルモノマーとして二級水酸基を有するアクリルモノマーを使用する必要がある。
水酸基含有アクリル樹脂(A)の合成に用いられる二級水酸含有アクリルモノマーの例としては、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、二級水酸基ではなく、一級水酸基を有するアクリルモノマーも用いることができ、その例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;プラクセルFM−1(商品名、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加物、ダイセル化学工業社製);ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを表す。
上記他のエチレン性不飽和基含有モノマーとしては特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系モノマー類;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー類;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系モノマー類;アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸基含有アクリル樹脂(A)は、数平均分子量(Mn)1,500〜6,000である。この数平均分子量(Mn)は2,000〜5,000であるのが好ましい。数平均分子量が1,500より小さいと、作業性および硬化性が十分でなく、6,000を超えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、作業性が悪くなる恐れがある。
水酸基含有アクリル樹脂(A)は、100〜200の水酸基価を有する。この水酸基価は110〜180であるのが好ましい。水酸基価が上限を超えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。さらに、本発明における水酸基含有アクリル樹脂(A)は、水酸基価のうち二級水酸基の割合が20〜100%であることを条件とする。水酸基価のうちの二級水酸基の割合は、好ましくは30〜100%である。二級水酸基の20%以下であると、硬化反応速度を遅延させることができず、外観の欠陥が多くなる傾向にある。二級水酸基が100%であっても、硬化反応速度の大幅な落ち込みはなく、作業性や硬化度にあまり悪影響を与えない。
また、水酸基含有アクリル樹脂(A)において、水酸基価のうち二級水酸基の割合が20〜100%であることによって、主剤および硬化剤を混合した後の貯蔵安定性(ポットライフ)が向上するという利点もある。
水酸基含有アクリル樹脂(A)は、酸価1〜45mgKOH/gであるのが好ましい。この酸価は2〜30mgKOH/gであるのがより好ましい。酸価が上限を超える場合は塗膜の耐水性が低下する恐れがあり、下限を下回る場合は塗膜の硬化性が低下する恐れがある。
硬化剤に含まれるイソシアネート化合物(B)は、塗料の硬化剤として用いられるイソシアネート化合物であれば、特に限定されない。代表的なイソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族環式イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチルなどの脂環族イソシアネート、これらのビューレット体、ヌレート体などの多量体および混合物を用いることができる。
本発明において用いられる2液型クリヤー塗料組成物において、主剤に含まれる水酸基含有アクリル樹脂(A)および硬化剤に含まれるイソシアネート化合物(B)の配合比は、目的により種々選択できる。本発明においては、イソシアネート化合物(B)のイソシアネート基(NCO)と水酸基含有アクリル樹脂(A)の水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が1/1.5〜1.5/1の範囲となる量で用いるのが好ましい。イソシアネート化合物(B)の含有量が上記下限を下回る場合は硬化性が不十分となる恐れがあり、一方上限を上回る場合は硬化膜が堅くなり脆くなる恐れがある。イソシアネート基(NCO)と水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が1/1.2〜1.2/1の範囲となる量で用いるのが特に好ましい。
上記した2液型クリヤー塗料組成物は、更に、粘性制御剤を含んでもよい。粘性制御剤を含むことによって、塗装作業性を向上させることができる。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば水性ベース塗料組成物において既に記載したものなどを使用することができる。また必要により、硬化触媒、表面調整剤などを含んでもよい。更に、公知の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などを含んでもよい。さらに公知のレオロジーコントロール剤、その他の表面調整剤などを添加してもよいし、粘度調整などの目的でアルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤などの溶剤を用いることもできる。これらの添加剤は、主剤および/または硬化剤に含めることができる。
2液型クリヤー塗料組成物における、主剤および硬化剤の混合時期については、使用前に主剤および硬化剤を混合して、通常の塗装方法により塗装してもよい。また、2液混合ガンでそれぞれの液をガンまで送液し、ガン先で混合する方法で塗装してもよい。
積層塗膜形成
基材
本発明の積層塗膜形成方法は、種々の基材、例えば金属、プラスチック、発泡体など、特に金属表面、および鋳造物に有利に用いることができる。中でも、カチオン電着塗装可能な金属製品に対し、特に好適に用いることができる。
上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛などおよびこれらの金属を含む合金が挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体および部品が挙げられる。これらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩、ジルコニウム塩などで化成処理されたものが特に好ましい。
また、本発明の積層塗膜形成方法に用いられる被塗物は、必要に応じて化成処理された基材上に電着塗膜が形成される。電着塗膜を形成する電着塗料としては、カチオン型およびアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組成物が防食性において優れた積層塗膜を与えるため好ましい。好ましく用いることができるカチオン型電着塗料組成物として、アミン変性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤および必要に応じた顔料などを含むカチオン電着塗料組成物が挙げられる。カチオン電着塗装は、電着塗料組成物に基材を浸漬し、次いで基材を陰極として陽極との間に電圧を印加して被膜を析出させることによって行われる。通電時間は、電着条件によって異なるが、一般には2〜4分程である。印加電圧は、基材を陰極として陽極との間において、例えば50〜450Vの電圧が印加される。こうして電着塗装した後、必要に応じた水洗処理などを行う。次いで、通常は140〜180℃で10〜30分間焼き付けることによって、電着塗膜が形成される。
積層塗膜形成
本発明における積層塗膜形成方法は、
被塗物に、未硬化のベース塗膜および未硬化のクリヤー塗膜を形成し、これら2層の未硬化塗膜を焼き付け硬化させる、いわゆる2コート1ベーク法、および
被塗物に、未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベース塗膜および未硬化のクリヤー塗膜を形成し、これら3層の未硬化塗膜を焼き付け硬化させる、いわゆる3コート1ベーク法、
の2態様が挙げられる。
2コート1ベーク法による積層塗膜形成
2コート1ベーク法による積層塗膜形成は、上記基材を被塗物として用いることができる。この基材には、次いで必要に応じて中塗り塗膜が形成される。中塗り塗膜の形成に用いることができる中塗り塗料組成物として、例えば、中塗り樹脂成分、顔料、そして水性溶媒および/または有機溶媒を含む、水性または溶剤型中塗り塗料組成物が挙げられる。ここで中塗り樹脂成分は、中塗り塗料樹脂および、必要に応じて中塗り硬化剤、から構成される。中塗り塗料樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく使用される。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中塗り塗膜を形成する方法として、スプレー法、ロールコーター法などを用いて中塗り塗料組成物を塗装する方法が挙げられる。塗装方法として具体的には、「リアクトガン」といわれるエアー静電スプレーを用いたり、「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」などといわれる回転霧化式の静電塗装機を用いたりして塗装するのが好ましい。この中で、回転霧化式の静電塗装機を用いて塗装するのが、特に好ましい。中塗り塗膜の好ましい乾燥膜厚は5〜80μmであり、10〜50μmがより好ましい。
中塗り塗膜の形成は、中塗り塗料組成物を塗装した後、硬化温度100〜180℃、好ましくは120〜160℃で、10〜30分間焼き付けることができる。
2コート1ベーク法による積層塗膜形成方法は、被塗物上に、メラミン硬化型ベース塗料組成物によりベース塗膜を、および2液型クリヤー塗料組成物によりクリヤー塗膜を、順次ウェットオンウェットで形成し、その後これらの2種の塗膜を一度に焼き付け硬化させる方法である。
メラミン硬化型ベース塗料組成物は、エアー静電スプレー塗装あるいはメタベル、μμベル、μベルなどの回転霧化式の静電塗装機により塗装することができる。ベース塗膜の乾燥膜厚は5〜35μmに設定することができ、好ましくは7〜30μmである。ベース塗膜の膜厚が35μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗膜にムラまたは流れが生じることがあり、5μm未満であると、下地隠蔽性が不充分となり、膜切れ(塗膜が不連続な状態)が生じることがあるため、いずれも好ましくない。
こうしてベース塗膜を形成した後、得られた塗膜を硬化させることなく次工程のクリヤー塗膜の形成工程に移る。ここで、2液型クリヤー塗料組成物を塗装する前に、加熱硬化(焼き付け)処理で用いられる温度より低い温度でプレヒートを行なってもよい。
本発明の積層塗膜形成方法では、未硬化のベース塗膜の上に、クリヤー塗料をウェットオンウェットで塗布し、未硬化のクリヤー塗膜を形成する。本発明においては、塗膜を形成する成分としての水酸基含有アクリル樹脂(A)およびその他の構成成分を含有する、いわゆる主剤と、主としてイソシアネート化合物(B)を含有する、いわゆる硬化剤とを、種々の方法により塗装前に予め混合し、塗装粘度に調整された、2液型クリヤー塗料組成物が用いられる。
本発明の塗膜形成方法において、上記ベース塗膜を形成した後に塗装されるクリヤー塗膜は、上記ベース塗膜に起因する凹凸、光輝性顔料が含まれる場合に起こるチカチカなどを平滑にし、保護するために形成される。2液型クリヤー塗料組成物の塗装方法として具体的には、先に述べたμμベル、μベルなどの回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成することが好ましい。
2液型クリヤー塗料組成物は、上述した静電塗装機の霧化方式、あるいは温度、湿度などの塗装環境などの要因を踏まえた経験的に求められた塗装粘度に、希釈媒体である有機溶剤を用いて希釈され、粘度調整される。一般に、温度が10℃〜40℃、湿度が10〜98%の範囲での塗装粘度は、15〜60秒(/20℃・No.4フォードカップ)であることが好ましい。この範囲外ではタレ、ワキなどの外観上の不具合が発生し易い。更に好ましくは18〜50秒(/20℃・No.4フォードカップ)である。
2液型クリヤー塗料組成物により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜80μm程度が好ましく、より好ましくは20〜60μm程度である。上限を超えると、塗装時にワキあるいはタレなどの不具合が起こることがある。また下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できないおそれがある。
上述のようにして得られた未硬化の2種類の塗膜は、同時に硬化させる、いわゆる2コート1ベークによって塗膜形成を行う。この方法は、ベース塗膜の焼き付け乾燥炉を省略することができ、経済性および環境面からも好ましい。
上記積層塗膜を硬化させる硬化温度を、例えば100〜180℃、好ましくは120〜160℃に設定することによって、良好な硬度を有する積層塗膜が得られる。上限を上回ると塗膜が固く脆くなる恐れがあり、下限を下回ると十分な硬化が得られない恐れがある。硬化時間は硬化温度により変化するが、120〜160℃で例えば10〜60分である。
本発明で形成される積層塗膜の膜厚は、多くの場合20〜150μmであり、好ましくは20〜100μmである。上限を超えると、冷熱サイクルなどの膜物性が低下し、下限を下回ると膜自体の強度が低下するおそれがある。
3コート1ベーク法による積層塗膜形成
3コート1ベーク法による積層塗膜形成は、上記基材を被塗物として、まず未硬化の中塗り塗膜を形成し、次いで未硬化のベース塗膜およびクリヤー塗膜を形成し、その後に3層の未硬化塗膜を一度に焼き付け硬化させることによって形成される。
3コート1ベーク法においては、まず、上記と同様に中塗り塗料組成物を塗装して、未硬化の中塗り塗膜を形成する。次いで、この未硬化の中塗り塗膜を加熱硬化させることなく、次工程のベース塗膜の形成工程に移る。ここで、ベース塗膜を形成する前に、加熱硬化(焼き付け)処理で用いられる温度より低い温度でプレヒートを行ってもよい。
メラミン硬化型ベース塗料組成物および2液型クリヤー塗料組成物の塗装は、上記と同様に行うことができる。こうして得られた、未硬化の中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜からなる積層塗膜を、上記と同様に焼き付け硬化させることによって、積層塗膜が得られることとなる。
本発明では、クリヤー塗料組成物に特定の2液型クリヤー塗料組成物を用い、その塗料組成物に用いる水酸基含有アクリル樹脂の水酸基の20〜100%を二級水酸基にした。このように二級水酸基を用いることによって、クリヤー塗料組成物の硬化反応が遅延することとなる。より具体的には、クリヤー塗料組成物の硬化開始温度が高くなる。クリヤー塗料組成物の硬化開始温度が高くなると、その下層、即ちベース塗膜から揮散する溶媒が、クリヤー塗膜が硬化を開始しない間に、揮散することとなる。このため、溶媒の抜け跡がクリヤー塗膜上に残らなくなるため、塗膜欠陥が生じず、外観が向上することとなる。
本発明においてはさらに、上記の通り、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸からなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーのモノアルキルエステルを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂を含むメラミン硬化型ベース塗料組成物を用いることによって、メラミン硬化型ベース塗料組成物の硬化開始温度を低温化することができ、これによりメラミン硬化型ベース塗料組成物の反応速度を早めることができる。
本発明では、好ましくは、それぞれの塗料の硬化開始温度が、クリヤー塗料組成物(またはクリヤー塗膜)>ベース塗料組成物(またはベース塗膜)の順になる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 水性メラミン硬化型ベース塗料組成物の製造
製造例1−1 アクリル樹脂エマルション(ア)の製造
反応容器に脱イオン水126.5部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、コア部の調製に用いるモノマー混合物(a)として、アクリル酸メチル33.70部、アクリル酸エチル34.88部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル7.42部、アクリルアミド4.00部、アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル,第一工業製薬社製)0.5部、アデカリアソープNE−20(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製、80%水溶液)0.5部、および脱イオン水80部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.24部、および脱イオン水10部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
次いで、シェル部の調製に用いるモノマー混合物(b)として、アクリル酸エチル15.84部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1.86部マレイン酸モノブチル6.4部、アクアロンHS−100.2部、および脱イオン水10部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.06部、および脱イオン水10部からなる開始剤溶液とを、80℃で0.5時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、脱イオン水67.1部およびジメチルアミノエタノール0.32部を加えpH6.5に調整し、平均粒子径150nm、不揮発分20%、固形分酸価20、水酸基価40のアクリル樹脂エマルション(ア)を得た。
製造例1−2 アクリル樹脂の製造
反応容器にジプロピレングリコールメチルエーテル23.89部およびプロピレングリコールメチルエーテル16.11部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら105℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル13.1部、アクリル酸エチル68.4部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル11.6部、メタクリル酸6.9部と、ジプロピレングリコールメチルエーテル10.0部およびt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。
さらに、ジプロピレングリコールメチルエーテル5.0部およびt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
脱溶剤装置により、減圧下(70torr)110℃で溶剤を16.11部留去した後、脱イオン水204部およびジメチルアミノエタノール7.14部を加えてアクリル樹脂B−1溶液を得た。得られたアクリル樹脂溶液の不揮発分は30.0%、固形分酸価40、水酸基価50、粘度は140ポイズ(E型粘度計1rpm/25℃)であった。
製造例1−3 リン酸基含有アクリル樹脂の製造
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、およびアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。
得られた樹脂は、酸価105mgKOH/g、うちリン酸基による酸価55mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量6000のアクリルワニス(不揮発分63%)であった。
製造例1−4 水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)の製造
先の製造例1−1で得られたアクリル樹脂エマルション樹脂(ア)を275部、10質量%ジメチルエタノールアミン水溶液10部、製造例1−2のアクリル樹脂を33部、ポリエーテルポリオール(イ)としてのプライムポールPX−1000(三洋化成工業社製2官能ポリエーテルポリオール、数平均分子量400、水酸基価278、一級/二級水酸基価比=63/37、水トレランス無限大)を10部、メラミン樹脂(ウ)としてのサイメル204(三井サイテック社製混合アルキル化型メラミン樹脂、水トレランス3.6ml)を25部、光輝性顔料(エ)としてアルペーストMH8801(旭化成社製アルミニウム顔料)21部、製造例1−3のリン酸基含有アクリル樹脂5部、ラウリルアシッドホスフェート0.3部とを添加し、均一分散することにより水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を得た。
製造例1−5 水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(II)の製造
マレイン酸モノブチル6.4部に代えてアクリル酸2.6部とし、アクリル酸エチル19.64部としたこと以外は製造例1−1と同様にして、平均粒子径150nm、不揮発分20%、固形分酸価20、水酸基価40のアクリル樹脂エマルション(イ)を得た後、アクリル樹脂エマルション(ア)に代えてアクリル樹脂エマルション(イ)を用いたこと以外は製造例1−4と同様にして水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(II)を得た。
製造例2 溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物の製造
製造例2−1 アクリル樹脂(カ)の製造
攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器にキシレン50部、n−ブタノール25部を仕込んだ。次に下記組成の溶液スチレン5.0部、マレイン酸モノブチル3.2部、メタクリル酸メチル20.0部、エチルアクリレート45.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレート6.6部、ブトキシメチルアクリルアミド5.0部、プラクセルFM−2 17.6部(ダイセル化学工業水酸基含有モノマー)、アゾビスイソブチロニトリル7.0部の内20部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を上昇させた。還流させながら上記混合溶液の残り87.7部を3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.2部とキシロール8部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌還流させて樹脂への変化率を上昇させた後、反応を終了させ、固形分55%、数平均分子量3800のアクリル樹脂ワニス(カ)を得た。
製造例2−2 架橋重合体微粒子(ク−1)の製造
両イオン性基を有するポリエステル樹脂の製造
攪拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、デカンターを備えた2Lコルベンに、ビスヒドロキシエチルタウリン134部、ネオペンチルグリコール130部、アゼライン酸236部、無水フタル酸186部およびキシレン27部を仕込み、昇温した。反応により生成する水をキシレンと共沸させ除去した。還流開始より約2時間をかけて温度を190℃にし、カルボン酸相当の酸価が145になるまで攪拌と脱水を継続し、次に140℃まで冷却した。次いで140℃の温度を保持し、「カージュラE−10」(シェル社製のバーサティック酸グリシジルエステル)314部を30分で滴下し、その後2時間攪拌を継続し、反応を終了した。このようにして得られたポリエステル樹脂は、酸価59、ヒドロキシル価90、数平均分子量1054であった。
架橋重合体微粒子の製造
攪拌機、冷却器、温度制御装置を備えた1Lの反応容器に、脱イオン水232部、上記の両イオン性基を有するポリエステル樹脂の製造で得たポリエステル樹脂10部およびジメチルエタノールアミン0.75部を仕込み、攪拌下温度を80℃に保持しながら溶解し、これにアゾビスシアノ吉草酸4.5部を脱イオン水45部とジメチルエタノールアミン4.3部に溶解した液を添加した。次いでメチルメタクリレート130部、スチレン40部およびエチレングリコールジメタクリレート140部からなる混合溶液を60分間を要して滴下した。滴下後、さらにアゾビスシアノ吉草酸1.5部を脱イオン水15部とジメチルエタノールアミン1.4部に溶かしたものを添加して80℃で60分間攪拌を続けたところ、固形分45%、pH7.2、粘度92cps(25℃)、粒子径0.1μmのエマルジョンが得られた。このエマルジョンを共沸を利用してキシロール溶液に置換し、架橋重合体微粒子粒径0.07μmで架橋重合体微粒子含量20質量%のキシロール分散体を得た。
製造例2−3 非水ディスパージョン(ク−2)の製造
分散安定樹脂の製造
攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器に酢酸ブチル90部を仕込んだ。次に、メチルメタクリレート38.9部、ステアリルメタクリレート38.8部、2−ヒドロキシエチルアクリレート22.3部およびアゾビスイソブチロニトリル5.0部からなる組成の溶液の内20部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を上昇させた。110℃で上記混合溶液の残り85部を3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.5部と酢酸ブチル10部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに2時間攪拌還流させて樹脂への変化率を上昇させた後、反応を終了させ、固形分50%、数平均分子量5600およびSP値9.5のアクリル樹脂を得た。
非水ディスパージョンの製造
攪拌機、冷却器、温度制御装置を備えた容器に酢酸ブチル90部、上記の(2−1)分散安定樹脂の製造で得たアクリル樹脂120部(固形分として60部)を仕込んだ。次に、スチレン7.0部、メタクリル酸1.8部、メチルメタクリレート12.0部、エチルアクリレート8.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート40.7部およびアゾビスイソブチロニトリル1.4部からなる組成の溶液を100℃で3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.1部と酢酸ブチル1部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌を続けたところ、固形分60%、粒子径180nmのエマルジョンを得た。このエマルジョンを酢酸ブチルで希釈し、粘度300cps(25℃)、粒子径180nmの非水ディスパージョン含量40質量%のコアシェル型酢酸ブチル分散体を得た。この非水ディスパージョン樹脂のTgは23℃、水酸基価は162であった。
製造例2−4 溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物(III)の製造
ステンレス容器に、製造例2−1のアクリル樹脂(カ)70部、ユーバン20N60(三井化学社製メラミン樹脂、固形分60%)30部、製造例2−2の架橋重合体微粒子(ク−1)5部、製造例2−3のコアシェル構造を有する非水ディスパージョン樹脂(ク−2)5部、アルミペースト91−0562(東洋アルミニウム社製アルミニウム顔料)15部、を秤量し、卓上攪拌機で攪拌して、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物(III)を調製した。
製造例2−5 溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物(IV)の製造
マレイン酸モノブチル3.2部に代えてアクリル酸0.8部とし、メタクリル酸メチル20.74部、エチルアクリレート46.67部としたこと以外は製造例2−1と同様にして、不揮発分55%、数平均分子量4000のアクリル樹脂ワニス(キ)を得た後、アクリル樹脂ワニス(カ)に代えてアクリル樹脂ワニス(キ)を用いたこと以外は製造例2−4と同様にして溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物(IV)を得た。
製造例3−1 水酸基含有アクリル樹脂(A−1)の製造
攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器に酢酸ブチル30gを仕込み120℃に昇温させた。次に下記組成の溶液(スチレン20部、n-ブチルアクリレート15.3部、n-ブチルメタアクリレート27.9部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部、アクリル酸0.8部)およびカヤエステルO 12部および酢酸ブチル6部を3時間かけて同時に滴下させた後30分間放置し、カヤエステルO 0.5部、酢酸ブチル4部の溶液を30分間かけて滴下し、反応溶液を1時間攪拌し樹脂への変化率を上昇させた後、反応を終了させ、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合100%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを得た。
製造例3−2 水酸基含有アクリル樹脂(A−2)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、2−ヒドロキシプロピルアクリレート32.4部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合100%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(A−2)のワニスを得た。
製造例3−3 水酸基含有アクリル樹脂(A−3)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート27部およびヒドロキシブチルアクリレート9部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合75%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(A−3)のワニスを得た。
製造例3−4 水酸基含有アクリル樹脂(A−4)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート18部およびヒドロキシブチルアクリレート18部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合50%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(A−4)のワニスを得た。
製造例3−5 水酸基含有アクリル樹脂(A−5)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート9部およびヒドロキシブチルアクリレート27部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合25%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(A−5)のワニスを得た。
比較製造例1 水酸基含有アクリル樹脂(比−1)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、ヒドロキシエチルメタクリレート32.4部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合0%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(比−1)のワニスを得た。
比較製造例2 水酸基含有アクリル樹脂(比−2)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、プラクセルFM−1(商品名、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加物、ダイセル化学工業社製)61部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合0%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(比−2)のワニスを得た。
比較製造例3 水酸基含有アクリル樹脂(比−3)の製造
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート36部の代わりに、4−ヒドロキシブチルアクリレート36部を用いたこと以外は、製造例3−1と同様に行い、固形分70%、数平均分子量3800、水酸基価140(うち二級水酸基の割合0%)、酸価6.2mg/KOHである、水酸基含有アクリル樹脂(比−3)のワニスを得た。
実施例1
2液型クリヤー塗料組成物の製造
1Lの金属製容器に、製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを245.3部、チバガイギー社製紫外線吸収剤「チヌビン384」5.6部、チバガイギー社製光安定剤「チヌビン123」5.6部、アクリル系表面調整剤5.6部、トルエン37.0部及びキシレン37.0部を順次添加し、ディスパーにて十分撹拌し、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。
別の金属製容器に、住友バイエルウレタン社製「ディスモジュールN−3300」(NCO有効成分22%)100.0部及び2−エチルエトキシプロパノールを順次添加し、十分撹拌し、2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を得た。
積層塗膜の形成
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦30cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料「パワートップU−50」(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた。得られた塗板に、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に予め希釈されたグレー中塗り塗料「オルガP−2」(日本ペイント社製ポリエステル・メラミン系塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で30分間、焼き付けた。
冷却後、 製造例2−4で調製した溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物(III)を、ソルベッソ150(エクソン石油社製炭化水素系溶剤)50部、酢酸エチル25部、トルエン25部からなる希釈シンナーにて、No.4フォードカップで12.5秒/20℃に希釈調整した。得られた希釈ベース塗料組成物を、乾燥膜厚で15μmとなるように、1.5分間隔の2ステージで「メタベル」(ランズバーグ社製回転霧化型静電塗装機)により塗装した。室温で10分間放置し、ベース塗膜を作成した。
上記の2液型クリヤー塗料組成物の製造により得られた主剤と硬化剤を、3/1(質量比(%))で混合し、クリヤー塗料組成物を得た。得られたクリヤー塗料組成物を、2−エチルエトキシプロパノール/キシレン=1/1からなる希釈溶剤を用いて、30秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に希釈した。上記製造例のクリヤー塗料を、乾燥膜厚40μmとなるように「マイクロベル」により、1ステージ塗装した。
2層の未硬化の塗膜が形成された被塗物を、室温にて、垂直状態で10分間放置した後、垂直の状態のままで、140℃の乾燥器で20分間焼き付けることにより、2コート1ベークによる積層塗膜が得られた。
実施例2
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、製造例3−2の水酸基含有アクリル樹脂(A−2)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
実施例3
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、製造例3−3の水酸基含有アクリル樹脂(A−3)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
実施例4
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、製造例3−4の水酸基含有アクリル樹脂(A−4)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
実施例5
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、製造例3−5の水酸基含有アクリル樹脂(A−5)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
実施例6
実施例1において、ベース塗料組成物を製造例1−4で得られた水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を用いて次の段落で記載するようにベース塗膜を形成すること以外は、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
製造例1−4により製造した水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を、脱イオン水を用いて30秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に希釈した。室温25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚20μmとなるようにメタリックベル(ABBインダストリーズ社製)で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1分間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行って、ベース塗膜を作成した。
実施例7
実施例2で採用した実施例1の複層塗膜形成において、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物を製造例1−4で得られた水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を用いて次の段落で記載するようにベース塗膜を形成すること以外は、実施例2と同様に積層塗膜を形成した。
製造例1−4により製造した水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を、脱イオン水を用いて30秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に希釈した。室温25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚20μmとなるようにメタリックベル(ABBインダストリーズ社製)で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1分間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行って、ベース塗膜を作成した。
実施例8
実施例3で採用した実施例1の複層塗膜形成において、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物を製造例1−4で得られた水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を用いて次の段落で記載するようにベース塗膜を形成すること以外は、実施例3と同様に積層塗膜を形成した。
製造例1−4により製造した水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(I)を、脱イオン水を用いて30秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に希釈した。室温25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚20μmとなるようにメタリックベル(ABBインダストリーズ社製)で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1分間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行って、ベース塗膜を作成した。
実施例9
実施例1において、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物を製造例1−5で得られた水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(II)を用いて次の段落で記載するようにベース塗膜を形成すること以外は、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
製造例1−4により製造した水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(II)を、脱イオン水を用いて30秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に希釈した。室温25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚20μmとなるようにメタリックベル(ABBインダストリーズ社製)で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1分間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行って、ベース塗膜を作成した。
実施例10
実施例1において、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物を製造例2−5で得られた水性メラミン硬化型ベース塗料組成物(IV)を用いること以外は、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
比較例1
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、比較例製造例1の水酸基含有アクリル樹脂(比−1)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
比較例2
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、比較例製造例2の水酸基含有アクリル樹脂(比−2)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
比較例3
製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、比較例製造例3の水酸基含有アクリル樹脂(比−3)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例1と同様に積層塗膜を形成した。
実施例6で採用した実施例1において用いて製造例3−1の水酸基含有アクリル樹脂(A−1)のワニスを、比較例製造例1の水酸基含有アクリル樹脂(比−1)のワニスに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、2液型クリヤー塗料組成物の主剤を得た。2液型クリヤー塗料組成物の硬化剤を実施例1と同様に調製し、実施例6と同様に積層塗膜を形成した。
上記実施例および比較例により得られた塗料組成物を用いて、下記評価を行った。なお評価結果は下記表に示す。
ポットライフ測定
得られた2液型クリヤー塗料組成物の主剤および硬化剤を3/1(質量比(%))で混合し、2−エチルエトキシプロパノール/キシレン=1/1からなる希釈溶剤を用いて、30秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に希釈した。この希釈した状態で、20℃で一定時間経過した時点の粘度を測定して粘度上昇率を求めた。この粘度上昇率を用いて、下記基準により評価した。
5秒以上の増粘までの時間が
◎:3時間を超える。
○:2時間以上3時間未満である。
△:1時間以上2時間未満である。
×:1時間未満である。
耐酸性試験
イオン交換水と試薬特級の硫酸により40%硫酸水溶液を作製した。次に、上記硫酸水溶液を、上記実施例および比較例により得られた複層塗膜上に0.5mlずつ滴下し、次いで加熱オーブン中に80℃で30分間保持した後、水洗した。その後、複層塗膜上のスポット跡を目視観察し、以下の基準に基づいて評価した。
◎:まったく痕跡なし
○:かすかに痕跡
△:リングがくっきり見える
×:塗膜が白化しリングがくっきりみえる
積層塗膜の外観評価
上塗り塗装後の総合塗膜に関しては、「Wave scan‐DOI」(ビック・ガードナー社(BYK‐Gardner GmbH)製を用いて総合外観を測定し、Wc値およびWb値を測定して評価した。Wc値およびWb値は、いずれも小さな数値ほど外観がより良好であることを示す。
Figure 0005464575
上記表中の実施例から明らかなように、2液型クリヤー塗料組成物として、所定量の二級水酸基を含む水酸基含有アクリル樹脂を用いることによって、クリヤー塗膜の硬化開始温度を、比較例のもの(二級水酸基を所定量含まないアクリル樹脂)より高く設定されることとなる。これにより、硬化開始温度がクリヤー塗膜>ベース塗膜の順になり、得られる積層塗膜の塗膜外観が向上することとなる。実施例においてはさらに、主剤および硬化剤を混合した後の貯蔵安定性(ポットライフ)も向上しており、塗装作業性に優れるものであることがわかる。また実施例においては、耐酸性も良好であり、積層塗膜の薬品耐性にも優れていることが確認できる。実施例6〜8では、メラミン硬化型ベース塗料組成物として水性のものを用いた例を示している。この例でも同様によい性能が得られている。実施例9および10は、メラミン硬化型ベース塗料組成物として、従来型のジカルボン酸基含有不飽和モノマーを用いない例であるが、高い性能を示しているものの、外観において若干劣る。
一方、比較例(従来の二級水酸基を含まないアクリル樹脂を用いるもの)では、クリヤー塗膜の硬化開始温度が低く、これに伴い積層塗膜の塗膜外観が悪くなっている。比較例においてはまた、ポットライフも短く、塗装作業性に劣ることが確認できる。
上記実験例から明らかなように、2コート1ベークの複層塗膜形成方法において、最上層のクリヤー塗膜が下層の塗膜より遅く硬化が始まることによって、外観がよくなる、即ち塗膜欠陥が少なくなることが理解できる。
本発明では、焼き付け工程が省略されているため経済的利点があり、さらにはCO排出量を削減できる利点がある、2コート1ベークの複層塗膜形成方法において、塗膜欠陥が少ない外観の優れた複層塗膜を提供することができる。

Claims (7)

  1. メラミン樹脂を塗料固形分に対して5質量%以上含有するメラミン硬化型ベース塗料組成物を被塗物に塗装して、未硬化のベース塗膜を形成する工程、
    未硬化のベース塗膜の上に、2液型クリヤー塗料組成物を塗装して、未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、および
    得られた未硬化のベース塗膜およびの未硬化のクリヤー塗膜を焼き付け硬化させる工程、
    を包含する積層塗膜形成方法であって、
    該2液型クリヤー塗料組成物が、
    数平均分子量(Mn)1500〜6000、水酸基価100〜200であり、かつ該水酸基価のうち二級水酸基の割合が20〜100%である、水酸基含有アクリル樹脂(A)を含む主剤;および、
    イソシアネート化合物(B)を含む硬化剤;
    からなる2液型クリヤー塗料組成物である、
    積層塗膜形成方法。
  2. 前記メラミン硬化型ベース塗料組成物は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOHであるアクリル樹脂を含む、メラミン硬化型ベース塗料組成物である、請求項1記載の積層塗膜形成方法。
  3. 前記メラミン硬化型ベース塗料組成物は、
    1分子中に2個以上の(メタ)アクリレート基を含有する多官能性不飽和モノマーを1〜20質量%含むモノマー混合物(a)を乳化重合して得られる架橋構造を有するコア部と、
    マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物(b)を乳化重合して得られるシェル部とからなる、
    酸価1〜80mgKOH/gであるコアシェル型のアクリル樹脂エマルション(ア);
    ポリエーテルポリオール(イ);
    メラミン樹脂(ウ);
    を含む、水性メラミン硬化型ベース塗料組成物である、請求項1または2記載の積層塗膜形成方法。
  4. 前記メラミン硬化型ベース塗料組成物は、
    マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらのモノアルキルエステルからなる群から選択されるジカルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる、酸価1〜80mgKOH/gであるアクリル樹脂(カ);
    メラミン樹脂(キ);
    重合微粒子(ク);
    を含む、溶剤型メラミン硬化型ベース塗料組成物である、請求項1または2記載の積層塗膜形成方法。
  5. 前記未硬化のベース塗膜を形成する工程において、メラミン硬化型ベース塗料組成物が塗装される被塗物が、未硬化の中塗り塗膜を有する被塗物であり、かつ
    前記焼き付け硬化させる工程において、未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベース塗膜およびの未硬化のクリヤー塗膜を焼き付け硬化させる、
    請求項1〜4いずれかに記載の積層塗膜形成方法。
  6. 前記請求項1〜5いずれかに記載の積層塗膜形成方法により得られる積層塗膜を有する塗装物。
  7. 前記請求項1〜5いずれかに記載の積層塗膜形成方法において用いられる2液型クリヤー塗料組成物。
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