JP5461180B2 - β−ピネン系共重合体及びその製造方法 - Google Patents

β−ピネン系共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、従来よりも耐熱性が高く、かつ耐光性の高い新規なβ−ピネン系共重合体及びそれからなる成形体及びその製造法に関する。
近年、光学用樹脂への要求はますます高度になり、耐熱性及び耐光性に優れ、吸水性が低く、かつ高い透明性を有する樹脂が求められている。しかし、従来の光学用樹脂においてはこれらの要求性能が高い次元でバランスよく備わっておらず、光学用樹脂として種々の欠点を有する。
例えば、透明性の高い光学用樹脂としては、従来ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等が使用されてきた。ポリメタクリル酸メチルは透明性が高く、複屈折率が小さい等、光学的な性質は優れているが、吸水性が大きいため寸法が変化し易く、また耐熱性も低いという欠点を有する。一方、ポリカーボネートはガラス転移温度(Tg)が高く耐熱性は優れているが、吸水性がやや大きく、アルカリによる加水分解を起こしやすいという欠点を有する。
耐熱性が高く、吸水性が小さく、かつ透明性に優れた光学用樹脂としてはノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物やノルボルネン系モノマーとエチレンとの付加型共重合体が知られている(特許文献1〜4)。しかしながら、ノルボルネン系モノマーとして使用しているテトラシクロドデセン類の多環モノマーは、その製造が必ずしも容易ではなく、重合触媒にモリブデン、タングステンの塩化物等のレアメタルを使用する必要がある。
上記の課題を改善した光学用樹脂としてβ−ピネン系重合体が提案されている(特許文献5、非特許文献1〜2)。β−ピネン系重合体は耐熱性が高く、吸水性が低い材料である。また、近年問題となっている二酸化炭素の排出を抑える、カーボンニュートラル材料としても注目されている。しかしながら、より高い耐熱性と耐光性を両立するβ−ピネン系重合体はなかった。すなわち特許文献5に記載のβ−ピネンとインデンの共重合体(実施例7〜12)は、耐熱性は高いもののβ−ピネン由来のオレフィン性二重結合やインデン由来の芳香族環が残っており、酸化劣化し易いため、光や熱で着色し易いという問題点を有していた。また非特許文献1に記載のβ−ピネン系重合体は耐光性の高い例もあるが、その場合耐熱性が不十分であった。
特開昭64−24826号公報 特開昭60−168708号公報 特開昭61−115912号公報 特開昭61−120816号公報 特開2002−121231号公報
Satoh他、「Biomass-derived heat-resistant alicyclic hydrocarbon polymers:poly(terpenes) and their hydrogenated derivatives」、Green Chemistry、2006年、第8巻、878〜882頁 Keszler他、「Synthesis of High Moleculer Weight Poly(β−Pinene)」、Advances in Polymer Science、1992年、第100巻、1〜9頁
従って本発明の目的は、耐熱性及び耐光性に優れ、吸水性が低く、高い透明性有するβ−ピネン系共重合体及びその成形体を提供することにある。
すなわち本発明は、
β−ピネン単位30〜80質量%及び芳香族系単量体単位70〜20質量%からなり、オレフィン性二重結合を80モル%以上かつ芳香族単量体由来の芳香族環を50モル%以上水素化してなるβ−ピネン系共重合体、並びに該β−ピネン系共重合体からなる成形体である。
また本発明は、
β−ピネン及び芳香族系単量体を共重合してなる共重合体を、カーボンに固定したパラジウム触媒の存在下で、オレフィン性二重結合および芳香族環を水素化することを特徴とする、上記のβ−ピネン系共重合体の製造方法である。
本発明のβ−ピネン系共重合体は、耐熱性及び耐光性に優れ、吸水性が低く、高い透明性を有するため、特に光学用途に好適である。
[I]β−ピネン及び芳香族系単量体からなる共重合体
本発明のβ−ピネン系共重合体は、β−ピネン単位および芳香族系単量体単位を構造単位として含有する共重合体を、水素化してなる重合体である。水素化に供する共重合体は、β−ピネンおよび芳香族系単量体を含むモノマーを共重合して得られる。
・β−ピネン
本発明に用いるβ−ピネンとしては公知のものが利用可能である。すなわち、松等の植物から採取されたものや、α−ピネン等、他の原料から合成したβ−ピネン等も利用可能である。
・芳香族系単量体
本発明に用いる芳香族系単量体としては、芳香族基を有する重合性の単量体であれば特に制限はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、1−ビニルナフタレン、インデン等を挙げることができる。入手性およびβ−ピネンと共重合し易い点から、スチレン、α−メチルスチレン、インデンが好ましい。これらの芳香族系単量体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に用いる共重合体は、上記のβ−ピネンおよび芳香族系単量体を所定の共重合比で組合せて重合した共重合体である。共重合体の具体例としてはβ−ピネン/スチレン共重合体、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体、β−ピネン/3−メチルスチレン共重合体、β−ピネン/4−メチルスチレン共重合体、β−ピネン/4−エチルスチレン共重合体、β−ピネン/4−t−ブチルスチレン共重合体、β−ピネン/1−ビニルナフタレン共重合体、β−ピネン/インデン共重合体等が挙げられる。
共重合体の構造は特に制限されず、例えばランダム、ブロックおよびテーパードのいずれの共重合体でもよい。共重合体は耐熱性の観点からランダム共重合体が特に好ましい。
本発明に用いる共重合体中のβ−ピネン単位と芳香族系単量体単位との質量比(β−ピネン/芳香族系単量体)は、水素化反応後に得られる共重合体の耐熱性および機械的な強度の観点から、30/70〜80/20の範囲が好ましく、40/60〜80/20の範囲がより好ましい。β−ピネンが少なすぎると水素化後に得られる共重合体の耐熱性が低くなり、β−ピネンが多すぎると水素化後に得られる共重合体が脆くなってしまう。
・他の共重合単量体
本発明の共重合体は、β−ピネンおよび芳香族系単量体と共重合可能な他の単量体単位を構成単位として含有していてもよい。共重合可能な単量体はビニル単量体であれば特に制限はなく、具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、ノルボルネン等のオレフィン類;リモネン、α−ピネン、ミルセン、カンフェン、カレン等のβ−ピネン以外のテレピン油由来の二重結合含有化合物;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、アリルアルコール等が挙げられる。また、2官能性の単量体、例えばp−ジビニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル等を含有することも可能である。これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共重合可能な単量体をβ−ピネンおよび芳香族系単量体と共重合する場合、その共重合量はポリマー中の全モノマー単位あたり0.001〜20モル%が好ましく、0.01〜10モル%がより好ましい。共重合量が多すぎると、重合が困難になる可能性があり、また耐熱性も低下する場合が多い。
・数平均分子量
本発明で使用するβ−ピネンおよび芳香族系単量体を含有する共重合体の数平均分子量は特に限定されないが、水素化後に得られる共重合体の力学的物性や加工性の観点から、約1万〜100万g/モルが好ましい。数平均分子量が小さすぎると機械的強度が不足し、大きすぎると成形が困難になる。ここで、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の分子量を意味する。
・水素化物
水素化に供する共重合体は、β−ピネン単位に由来するシクロヘキセン環のオレフィン性二重結合と、芳香族系単量体由来の芳香族環を有する。
本発明の水素化された共重合体は、空気中の酸素による劣化防止のため、好ましくはβ−ピネン由来のオレフィン性二重結合が、共重合体中のβ−ピネン単位に対し20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下、最も好ましくは0.5モル%以下である。本発明のβ−ピネン系共重合体は、共重合比により一概には定められないが、そのH−NMRスペクトル[テトラメチルシラン(TMS)のプロトンを0ppmとする]における4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する比率(4.5〜6ppmのプロトンの積分値/全プロトンの積分値)が、好ましくは1.1×10−2以下であり、より好ましくは5.6×10−3以下である。上記比率が大きいと、オレフィン性二重結合の量が多くなり劣化しやすい可能性がある。
本発明の水素化された共重合体は、耐熱性向上、透過率向上のため、好ましくは芳香族系単量体由来の芳香族環が、共重合体中の芳香族系単量体単位に対し50モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、最も好ましくは1モル%以下である。本発明のβ−ピネン系共重合体は、共重合比により一概には定められないが、そのH−NMRスペクトル[テトラメチルシラン(TMS)のプロトンを0ppmとする]における6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する比率(6〜8ppmのプロトンの積分値/全プロトンの積分値)が、好ましくは4.3×10−2以下であり、より好ましくは2.2×10−2以下である。
・ガラス転移温度(Tg)
本発明のβ−ピネン系共重合体は、β−ピネン単独重合体の水素化物に比べ、また水素化前の共重合体に比べ、Tgが著しく上昇していることが特徴である。Tgは、示差走査熱量測定法(DSC)により測定することができる。
Tgは用いる芳香族系単量体の種類および含有量、オレフィン性二重結合の水添率、芳香族環の水添率により一概に規定できないが、135℃〜250℃がより好ましく、140℃〜240℃がさらに好ましい。Tgが低いと耐熱性が不足し、高過ぎるとβ−ピネン系共重合体が脆くなる。
・全光線透過率
本発明のβ−ピネン系共重合体は、特に光学材料に使用する場合は全光線透過率が高い方が好ましい。β−ピネン系共重合体の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。全光線透過率はJIS−K−7361−1−1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:ジングルビーム法」に準じて測定される。
・耐光性
本発明のβ−ピネン系共重合体は、耐光性および耐候性が高い方が好ましい。例えばASTM−G53に準じて、UVB光100時間の促進暴露試験を行い、JIS−K−7373に準じ測定したYI(イエロー・インデックス)の試験前と試験後における黄変度(ΔYI)が10以下が好ましく、5以下がより好ましく、2以下が最も好ましい。
・耐熱性
本発明によれば5%質量減少温度が高い共重合体を得ることが可能である。本発明のβ−ピネン系共重合体の5%質量減少温度は300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましい。5%質量減少温度はJIS−K−7120−1987「プラスチックの熱質量測定法」に準じて、熱天秤(TGA)で測定される、質量が5%減少した温度を意味する。
[II]β−ピネン系共重合体の製造方法
・重合反応
β−ピネンおよび芳香族系単量体を構造単位として含有する共重合体は、カチオン重合、ラジカル重合法、配位重合法等の公知の方法により得ることができる。工業的に容易に実施でき、高分子量体が得られるという観点から、特にカチオン重合法が好ましい。
・カチオン重合
カチオン重合は、溶媒、重合触媒の種類・量、重合開始剤、電子供与性化合物、反応温度、反応圧力、反応時間等により制御ることが可能である。
・カチオン重合溶媒
カチオン重合は、非特許文献1、非特許文献2等に記載の公知の方法により行うことができる。具体的には、例えば不活性有機溶媒中において、重合触媒を添加または接触させることにより行う。不活性有機溶媒は、β−ピネンおよび芳香族系単量体が溶解し、かつ重合触媒に不活性な有機溶媒であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、塩化プロパン、塩化ブタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;エステル、エーテル等の含酸素系溶媒等を用いることができる。反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等が好ましい。これらの溶媒は単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
カチオン重合において不活性有機溶媒を使用する場合、不活性有機溶媒の使用量は特に限定されないが、β−ピネンおよび芳香族系単量体100質量部に対して通常100〜10000質量部、好ましくは150〜5000質量部、より好ましくは200〜3000質量部である。不活性溶媒量が少ないと共重合体が生成した場合の粘度が高くなり撹拌が困難となるため反応が不均一となり、均一な共重合体が得られなかったり、反応の制御が困難になる。不活性溶媒量が多いと生産性が低下してしまう。
・重合触媒
カチオン重合の重合触媒として酸性化合物を用いることができる。酸性化合物は特に限定されず、例えばルイス酸またはブレンステッド酸が挙げられる。具体的にはBF、BFOEt、BBr、BBrOEt、AlCl、AlBr、AlI、TiCl、TiBr、TiI、FeCl、FeCl、SnCl、SnCl、WCl、MoCl、SbCl、TeCl、EtMgBr、EtAl、EtAlCl、EtAlCl、EtAlCl、BuSnCl等の周期律表IIIA族からVIII族までの金属ハロゲン化合物;HF、HCl、HBr等の水素酸;HSO、HBO、HClO、CHCOOH、CHClCOOH、CHClCOOH、CClCOOH、CFCOOH、パラトルエンスルホン酸、CFSOH、HPO、P等のオキソ酸、およびこれらの基を有するイオン交換樹脂等の高分子化合物;燐モリブデン酸、燐タングステン酸等のヘテロポリ酸;SiO、Al、SiO−Al、MgO−SiO、B−Al、WO−Al、Zr−SiO、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、Hまたは希土類元素と交換したゼオライト、活性白土、酸性白土、γ−Al、Pをケイソウ土と担持させた固体燐酸等の固体酸等が挙げられる。これらの酸性化合物は組み合わせて用いても良く、また他の化合物等を添加しても良い。他の化合物等は、例えばそれを添加することにより酸性化合物の活性を向上させることができる化合物等である。金属ハロゲン化合物の酸性化合物としての活性を向上させる化合物の例としては、MeLi、EtLi、BuLi、EtMg、(i−Bu)Al、EtAl(OEt)、MeSn、EtSn、BuSn等の金属アルキル化合物が例示される。
カチオン重合で使用する重合触媒の使用量は、重合触媒の種類により触媒能が異なるため、一概に使用量を規定することは難しいが、均一系触媒の場合、その使用量は、β−ピネンおよび芳香族系単量体100質量部に対し、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.01〜1質量部が最も好ましい。重合触媒に固体酸やイオン交換樹脂等の不均一触媒を使用する場合、その使用量はβ−ピネンおよび芳香族系単量体100質量部に対し、0.1〜10000質量部が好ましく、1〜1000質量部がより好ましい。触媒量が少ないとカチオン重合の進行が遅く、多いと不経済である。
・開始剤
カチオン重合を行う場合の重合開始剤は、重合触媒としてよりカチオンを発生させる化合物であれば特に限定されないが、下式に示す官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が好適に使用される。例えば、t−ブチルクロライド、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエステル、t−ブタノール、2,5−ジクロロ−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジメトキシ−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジアセテート、クミルクロライド、クミルメトキシド、クミルアルコールアセテート、クミルアルコール、p−ジクミルクロライド、m−ジクミルクロライド、p−ジクミルメトキシド、p−ジクミルアルコールジアセテート、p−ジクミルアルコール、1,3,5−トリクミルクロライド、1,3,5−トリクミルメトキシド等を挙げることができる。
−C(−R)(−R)−X
式中のRは水素、アルキル基、アリール基を、Rは水素、アルキル基、アリール基を、Xはハロゲン、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基を示す。
カチオン重合で使用する重合開始剤の使用量は、目的とする共重合体の分子量により異なるため、一概に使用量を規定することは難しいがβ−ピネンおよび芳香族系単量体100質量部に対し、0.001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がより好ましく、0.01〜1質量部が最も好ましい。重合開始剤が少ないと、重合反応速度が遅くなったり、不純物から重合が開始して安定して生産が困難となる。重合開始剤が多いと得られる共重合体の分子量が小さくなり、共重合体が脆くなってしまう。
・電子供与性化合物
本発明において、カチオン重合を行う場合、電子供与性化合物を添加することで重合反応をより制御することが可能である。このような電子供与性化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル化合物、炭素数2〜10の環状エーテル化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール化合物、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ルチジン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル等の窒素含有化合物、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド等のアンモニウム塩等が挙げられる。
電子供与性化合物は、反応系中に、重合触媒100質量部に対し0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜200質量部がより好ましい。電子供与性化合物の量が少なすぎると副反応が多くなる傾向があり、低分子量体が多く生成し得られる共重合体の強度が低下してしまう。逆に電子供与剤が多すぎると重合反応速度が著しく抑制され、カチオン重合反応に長時間を要することとなり、生産性が低下する。したがって、更に好ましい電子供与性化合物の量は、重合触媒に対し0.1〜100質量部である。
本発明において、カチオン重合を行う場合の反応温度は通常−120℃〜60℃が好ましく、−80℃〜0℃がより好ましく、−40℃〜0℃が最も好ましい。反応温度が低すぎると不経済であり、高すぎると反応の制御が困難である。
本発明において、カチオン重合を行うための反応圧力は特に限定されないが、0.5〜50気圧が好ましく、0.7〜10気圧がより好ましい。通常1気圧前後でカチオン重合を行う。
カチオン重合を行う反応時間は、特に限定されず、用いる芳香族系単量体の種類、その量、重合触媒の種類や量、反応温度、反応圧力等の条件に応じて、反応時間を適宜決めればよい。通常は0.01時間〜24時間、好ましくは0.1時間〜10時間である。
カチオン重合後の共重合体は、例えば、再沈澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)等の、共重合体を溶液から単離する際の通常の操作によって、反応混合物から分離、取得することができる。
[III]水素化
本発明による水素化されたβ−ピネン系共重合体は、水素化反応により得ることができるが、その水素化方法は特別に制限されるものではなく、公知の任意の方法をとることができる。
・水素化触媒
本発明において、水素化反応を行う場合の触媒は、オレフィン化合物や芳香族化合物を水素化可能であるものを使用することが可能である。通常、不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
・不均一系触媒
本発明において水素化反応を、不均一系触媒を用いて行う場合の触媒は、特に限定されないが、具体例を挙げると、スポンジニッケル、スポンジコバルト、スポンジ銅などのスポンジメタル触媒;ニッケルシリカ、ニッケルアルミナ、ニッケルゼオライト、ニッケル珪藻土、パラジウムシリカ、パラジウムアルミナ、パラジウムゼオライト、パラジウム珪藻土、パラジウムカーボン、パラジウム炭酸カルシウム、白金シリカ、白金アルミナ、白金ゼオライト、白金珪藻土、白金カーボン、白金炭酸カルシウム、ルテニウムシリカ、ルテニウムアルミナ、ルテニウムゼオライト、ルテニウム珪藻土、ルテニウムカーボン、ルテニウム炭酸カルシウム、イリジウムシリカ、イリジウムアルミナ、イリジウムゼオライト、イリジウム珪藻土、イリジウムカーボン、イリジウム炭酸カルシウム、コバルトシリカ、コバルトアルミナ、コバルトゼオライト、コバルト珪藻土、コバルトカーボン、コバルト炭酸カルシウムなどの担持金属触媒が挙げられる。
これらの触媒は、活性向上、選択性向上、安定性を目的に、鉄、モリブデン、マグネシウムなどで変性されていても良い。また、これらの触媒は単独で使用しても良いし、複数を混合して用いても構わない。
・均一系触媒
本発明において水素化反応を、均一系触媒を用いて行う場合の触媒は、特に限定されないが、具体例を挙げると、遷移金属化合物と、アルキルアルミニウム又はアルキルリチウムからなる触媒が挙げられる。遷移金属化合物の具体例を挙げると、酢酸ニッケル、オクチル酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル塩、酢酸コバルト、オクチル酸コバルト、コバルトアセチルアセトナートなどのコバルト塩、チタノセンジクロライド、ジルコノセンジクロライドなどが挙げられる。アルキルアルミニウムの具体例を挙げると、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。アルキルリチウムの具体例を挙げると、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどが挙げられる。
均一系触媒は単独で使用しても良いし、複数を混合して用いても構わない。また、不均一系触媒と混合して用いても構わない。
本発明において水素化反応を行う場合、共重合体を水素化反応するため、低分子化合物に対して反応活性が一般的に低くなる。よって、反応条件として比較的高温、高圧条件が好ましい場合が多く、熱安定性の高い不均一触媒で行うことが好ましい。水素化活性の面から、水素化活性をもつ金属としてニッケルもしくはパラジウムを用いることが好ましく、パラジウム化合物を用いることがさらに好ましい。また、水素化の最中に進行する望ましくない副反応を抑制するために、炭酸カルシウム、カーボン担体を用いることが好ましく、カーボン担体を用いることがさらに好ましい。
・溶媒
本発明において水素化反応を行う場合、通常、有機溶媒中で行われる。本発明に用いることのできる溶媒は、特に限定されるものではないが、共重合体を容易に溶解させるものが好ましい。共重合単量体によりその溶媒が異なるため、限定することは困難であるが、具体例を挙げるならば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、トリシクロデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、塩化プロパン、塩化ブタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒などを用いることができる。
本発明において水素化反応を行う場合、重合工程で用いた溶媒をそのまま用いることもできるし、一部の溶媒を蒸留などの方法により除去して用いることもできる。また、重合工程終了後、一旦重合物を前述の方法で取り出した後に用いても構わない。未水添重合物をこれらの方法で水素化工程に導入する場合、重合工程の溶媒をそのままもしくは除去したのち、別途溶媒で希釈して用いることもできる。
本発明において水素化反応を行う場合、有機溶媒の使用量は、共重合体の濃度として1質量%以上、30質量%以下となる量である。1質量%未満でおこなうと、生産性が著しく低下するし、30質量%以上の場合、溶液粘度が著しく高まり、混合効率が低下してしまう。
・反応圧力
本発明において水素化反応を行う場合、水素化反応の圧力は使用する触媒により適切な値がことなることがあり、必ずしも規定できないが、通常、水素化反応の全圧として0.1MPa〜30MPa、好ましくは0.5MPa〜20MPa、より好ましくは1MPa〜15MPaである。一般に水素ガス分圧が高いほど、水素化に有利となるが、30MPa以上の場合、昇圧のための設備、耐圧構造を有する設備のためのコストが大きくなり、望ましくない。
水素化反応は、水素ガスが存在する条件下で実施するが、水素ガスのほかに、水素化反応に不活性であるならば、任意のガスと混合して実施しても構わない。不活性ガスの具体例として、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などが挙げられる。また、反応条件によっては、反応に使用する溶媒がガス成分として有意な割合で分圧を有することになるが、差し支えない。
・反応温度、反応時間
本発明において水素化反応を行う場合、水素化反応の温度は使用する触媒により適切な値がことなることがあり、必ずしも規定できないが、通常、10℃〜300℃、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは70℃〜220℃である。一般的に不均一系触媒は均一系に比べて、より高い温度で使用出来る場合がある。水素化反応時間は、使用する触媒種、触媒量、反応温度により異なるため、必ずしも限定できないが、通常、5分〜20時間、好ましくは10分〜15時間である。反応時間が短すぎる場合、所望する水素化率を得ることができない。また、反応時間が長すぎる場合、望まない副反応の進行が顕著になり、所望する物性の水素化重合物が得られない場合がある。
・実施形態
本発明において水素化反応を行う場合、水素化反応の実施形態は公知の任意の方法をとることができる。導入する触媒の種類により、適切な反応形態がある場合があるが、例えば、バッチ反応、セミ連続反応、連続反応方式をとることができる。連続反応形式において、プラグフロー形式(PFR)、連続流通撹拌形式(CSTR)を取ることができる。また、不均一系触媒を用いる場合固定床反応槽を用いることができる。積極的に混合して反応を行う場合、撹拌により混合する方法、ループ形式にて水素化反応液を循環させて混合する方法などをとることができる。この場合、不均一系触媒を用いる場合、懸濁床反応となり、気−液−固の反応場となる。また、均一系触媒を用いる場合、気−液2相系反応場となる。
水素化反応を行ったあとの抜き取り液は一部分割し、水素化反応に再び用いることができる。再び用いることで、水素化にともなう発熱の局所化の回避や、水素化反応率が向上する場合がある。
これらの任意の反応形式において、同一、もしくは異なる2つ以上の反応形式を連結して水素化反応を行うことができる。より高い水素化反応率を目指す場合、固定床を用い、プラグフロー形式で反応させる工程を含むことが望ましい場合がある。
使用する水素化触媒の種類、共重合体濃度、反応形式などにより、触媒の使用量は異なるため限定することが困難であるが、一般に、不均一系触媒を用い懸濁床で実施する場合、水素化反応液100質量部あたりの触媒使用量は、通常、0.01〜20質量部、好ましくは、0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。使用量が少ない場合、水素化反応に長時間必要となり、また、使用量が多い場合、不均一触媒を混合する動力が多く必要になる。また、固定床を用いる場合、反応溶液あたりの触媒使用量を規定することが困難であり、任意の量を使用することができる。また、均一系触媒を使用する場合、遷移金属化合物の水素化反応液中濃度として、0.001ミリモル/リットル〜100ミリモル/リットル、より好ましくは、0.01ミリモル/リットル〜10ミリモル/リットルである。
使用した水素化触媒は、水素化反応終了後に必要に応じ共重合体と分離することができる。分離は公知である任意の方法をとることができるが、不均一系触媒を使用した場合、連続もしくはバッチ式濾過、遠心分離、静置による沈降・デカンテーションにより分離できる。
均一系触媒を用いた場合、たとえば、凝集沈澱法、吸着法、洗浄法および水相抽出法などを用いることにより触媒と分離できる。
これらの分離手法を用い、触媒を分離したとしても、微量の金属成分が共重合体に残留していることがある。この場合も、金属成分が溶存していることとなるため、前述の通り、凝集沈澱法、吸着法、洗浄法および水相抽出法などを用いることにより残留する金属を分離することができる。
分離により回収された触媒は、一部除去したり、一部新規触媒を追加するなどの手段を必要によりとった後に、再び水素化反応に使用することができる。
水素化後のβ−ピネン系共重合体は、例えば、再沈澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)等の、共重合体を溶液から単離する際の通常の操作によって、反応混合物から分離、取得することができる。
本発明のβ−ピネン系共重合体は、単独で使用することもできるし、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン系ブロック共重合体等の他の重合体と配合した組成物として使用することもできる。組成物として使用する場合、安定剤、滑剤、顔料、耐衝撃性改良剤、加工助剤、補強剤、着色剤、難燃剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防かび剤、抗菌剤、光安定剤、耐電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、離型剤、発泡剤、香料等の各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル繊維等の各種繊維;タルク、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、シリカ、木粉等の充填剤;各種カップリング剤等の任意成分を必要に応じて配合することができる。
[IV]成形体
本発明のβ−ピネン系共重合体の成形体は、常法に従って得ることが可能である。成形方法としては、射出成形法、熱プレス成形法、押出成形法、切削加工法、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いる方法等の公知の手法が、適宜に採用される。その中でも、生産性の観点から、射出成形法、熱プレス成形法、押出成形法が、好ましく用いられる。
・光学材料
本発明のβ−ピネン系共重合体は、種々の光学材料に使用可能であり、その範囲は特に限定されないが、耐熱性に優れ、低吸水性および高透明性が要求される光学材料に好適である。光学材料としては、例えばレンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ、銀塩カメラ用レンズ、デジタル電子カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、プロジェクター用レンズ、複写機用レンズ、携帯電話用カメラレンズ、メガネ用レンズ、青色発光ダイオードを使用するデジタル光ディスク装置用非球面ピックアップレンズ、ロッドレンズ、ロッドレンズアレー、マイクロレンズ、マイクロレンズアレー、各種レンズアレー、ステップインデックス型、グラジエントインデックス型、シングルモード型、マルチコア型、偏波面保存型、側面発光型等の光ファイバー、光ファイバーコネクタ、光ファイバー用接着剤、デジタル光ディスク(コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルディスク、ビデオディスク、コンピュータディスク、導光体、光拡散性成形体、液晶用ガラス基板代替フィルム、位相差フィルム、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層、透明導電層、アンチグレア層等の機能性を有する機能性薄膜、フラットパネルディスプレー用反射防止フィルム、タッチパネル用基板、透明導電性フィルム、反射防止フィルム、防げんフィルム、電子ペーパー用基板、有機エレクトロルミネッセンス用基板、プラズマディスプレー用前面保護板、プラズマディスプレー用電磁波防止板、フィールドエミッションディスプレー用前面保護板、圧電素子を使用し特定部位の光を前面拡散させる導光板、偏光子、検光子等を構成するプリズム、回折格子、内視鏡、高エネルギーレーザーを導波する内視鏡、ダハミラーに代表されるカメラ用ミラーもしくはハーフミラー、(自動車用ヘッドライトレンズ、自動車用ヘッドライト用リフレクター等の)車両用灯具に使用される透明材、太陽電池用前面保護板、住宅用窓ガラス、移動体(自動車、電車、船舶、航空機、宇宙船、宇宙基地、人工衛星等)用窓ガラス、窓ガラス用反射防止フィルム、半導体露光時の防塵フィルム、電子写真感光材用保護フィルム、紫外光により書き込みもしくは書き換え可能な半導体(EPROM等)封止材、発光ダイオード封止材、紫外光発光ダイオード封止材、白色発光ダイオード封止材、SAWフィルター、光学的バンドパスフィルター、第二次高調波発生体、カー効果発生体、光スイッチ、光インターコネクション、光アイソレーター、光導波路、有機エレクトロルミネッセンスを使用した面発光体部材、半導体微粒子を分散させた面発光体部材、蛍光物質を溶解または分散させた蛍光体等が挙げられる。
・導光体
導光体は、公知の各種の形状において形成され得るものであって、例えば板状、ブロック状、ロッド状、屈曲形状、湾曲形状等の各種の形態とされ、また少なくとも片面にスクリーン印刷でドットを付けたものや、例えばV溝のような線状パターン、半球レンズ状の凹凸、シボパターンを導光体の表面に賦型したものも、その対象とされる。
・光拡散性成形体
光拡散性成形体は、上記したβ−ピネン系共重合体に対して、従来と同様な光拡散剤が更に配合されて含有せしめられ、そしてその得られた光拡散性組成物を用いて、板状、ブロック状等の所定の形状の成形体が成形されることとなる。
・機能性薄膜
β−ピネン系共重合体を用いた基板の少なくとも片面に、コーティングによって形成される機能性薄膜は、特に限定されるものではないが、好ましくは帯電防止層、反射防止層、ハードコート層、透明導電層、アンチグレア層等の機能性を有する薄膜である。
・光学フィルム
β−ピネン系共重合体を用いた光学用フィルムは、特に偏光板保護フィルムに好適となる。そのような光学用フィルムを成形する方法は、特に制限されるものではなく、例えば、溶液流延法や溶融押出法等の、従来から公知の各種の方法を採用することが出来る。その中でも、溶剤を使用しない溶融押出法の方が、地球環境上や作業環境上、或いは製造コストの観点から、好ましく採用される。また、位相差等の光学性能を特に向上させるためには、溶液流延法も、有利に用いられる。
・レンズシート
レンズシートとは、シート主面の少なくとも一方に形成された1つ又は複数のレンズ形状によって構成されるレンズ群からなるレンズ部にて、シートに照射された光線の方向を変化させ、集光、屈折、反射、分散等の機能を有するものを指している。そして、そのようなレンズシートとしては、一般に、プリズムシート、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズアレイシート等と称すものが、含まれることとなる。
・プラスチックレンズ
プラスチックレンズとは、レンズ機能を有するプラスチック成形体を意味し、特に限定されるものではないが、眼鏡レンズ、カメラレンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、プロジェクターレンズ、fθレンズ又はピックアップレンズ等の各種レンズが、該当する。
・車両用灯具
車両用灯具の「灯具」とは、光源とランプカバーとを少なくとも有するものとして、用いられており、また「車両」とは、二輪自動車、三輪自動車、四輪自動車、その他の自動車、鉄道車両、フォークリフトその他の産業用車両等々、広義の車両を意味するものとして、用いられている。そして、「車両灯具」とは、こうした各種車両に装着された照明用若しくは識別用、標識用の灯具を意味し、特に限定はされないが、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(所謂ウインカー)、車幅灯、後退灯等が該当する。
・医療機材
医療用器材としては、例えば、注射用の液体薬品容器、アンプル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、固形薬品容器、点眼薬容器、点滴薬容器等の、液体又は粉体、固体の薬品容器;血液検査用のサンプリング用試験管、採血管、検体容器等のサンプル容器;メスやカンシ(鉗子)、ガーゼ、コンタクトレンズ等の医療材料等の滅菌容器;注射器等の医療器具;ビーカー、シャーレ、フラスコ等の医療用実験器具;医療検査用プラスチックレンズ等の光学部品;医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブ等の配管材料;義歯床、人工心臓、人造歯根等の人工臓器やその部品等が、例示される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体例に限定されるものではない。また、例示した材料は、特に説明がない限り、単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1
充分乾燥させたガラス製コック付フラスコを充分に窒素置換した後、これに、脱水したN−ヘキサンの1100質量部と、脱水した塩化メチレンの1100質量部と、蒸留精製したβ−ピネンの23質量部と、α−メチルスチレンの20質量部と、脱水したトリエチルアミンの4.5質量部とを加え、−78℃の温度に冷却した。更に、−78℃で撹拌しながら、二塩化エチルアルミニウムの1.0mol/Lヘキサン溶液の70質量部を加え、重合を開始した。10分間重合した後、メタノールの10質量部を添加して、重合を終了させた。その後、室温にて減圧して塩化メチレンを除いた後、蒸留水の800質量部にクエン酸の20質量部を添加した水溶液を添加し、30分撹拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、触媒を除去した。かくして得られたメチルシクロヘキサン層をメタノール/アセトン(60/30vol%)の混合溶媒の10000質量部に再沈殿後、充分に乾燥して、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)の39質量部を得た。この得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)の重量平均分子量は33,000、数平均分子量は20,000、H−NMRから求めたβ−ピネン/α−メチルスチレンユニットの質量比は51/49であった。
参考例2
充分乾燥させたガラス製コック付フラスコを充分に窒素置換した後、これに、脱水したN−ヘキサンの1100質量部と、脱水した塩化メチレンの1100質量部と、蒸留精製したβ−ピネンの37質量部と、α−メチルスチレンの8質量部と、脱水したトリエチルアミンの4.5質量部とを加え、−78℃の温度に冷却した。更に、−78℃で撹拌しながら、二塩化エチルアルミニウムの1.0mol/Lヘキサン溶液の70質量部を加え、重合を開始した。10分間重合した後、メタノールの10質量部を添加して、重合を終了させた。その後、室温にて減圧して塩化メチレンを除いた後、蒸留水の800質量部にクエン酸の20質量部を添加した水溶液を添加し、30分撹拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、触媒を除去した。かくして得られたメチルシクロヘキサン層をメタノール/アセトン(60/30vol%)の混合溶媒の10000質量部に再沈殿後、充分に乾燥して、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A2)の39質量部を得た。この得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A2)の重量平均分子量は38,000、数平均分子量は22,000、H−NMRから求めたβ−ピネン/α−メチルスチレンユニットの質量比は81/19であった。
参考例3
十分乾燥させたガラス製コック付フラスコを、十分窒素置換した後、脱水したN−ヘキサン208質量部、脱水した塩化メチレン240質量部、脱水したジエチルエーテル0.58質量部を加え、−78℃に冷却した。さらに−78℃で撹拌しながら、二塩化エチルアルミニウムの1.0mol/Lヘキサン溶液8.2質量部を加えた。さらに−78℃に保持した状態でp−ジクミルクロライドの0.1mol/Lヘキサン溶液4.4質量部を加えたところ赤燈色に変化した。ただちに蒸留精製したβ−ピネン38質量部およびα−メチルスチレン8質量部およびp−ジイソプロペニルベンゼン1.6質量部の混合モノマー溶液を1時間かけて添加したところ次第に濃燈色になり、溶液の粘度が上昇した。混合モノマー溶液の添加終了後、メタノール6質量部を添加して、反応を終了した。蒸留水100質量部にクエン酸5質量部を添加した水溶液を添加し、5分撹拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、アルミ化合物を除去した。得られた有機層をメタノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒5000質量部に再沈後、十分に乾燥してβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A3)45質量部を得た。得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A3)の重量平均分子量は150,000、数平均分子量は39,000、H−NMRから求めたβ−ピネン/α−メチルスチレンユニットの質量比は78/22、ガラス転移温度は103℃であった。
参考例4
混合モノマー溶液を蒸留精製したβ−ピネン23質量部およびα−メチルスチレン20質量部およびp−ジイソプロペニルベンゼン1.6質量部である混合モノマー溶液に変更した以外は参考例3と同様にしてβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A4)44質量部を得た。得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A4)の重量平均分子量は199,000、数平均分子量は41,000、H−NMRから求めたβ−ピネン/α−メチルスチレンユニットの質量比は48/52、ガラス転移温度は133℃であった。
参考例5
混合モノマー溶液を蒸留精製したβ−ピネン23質量部およびインデン20質量部である混合モノマー溶液に変更した以外は参考例3と同様にしてβ−ピネン/インデン共重合体(A5)44質量部を得た。得られたβ−ピネン/インデン共重合体(A5)の重量平均分子量は59,400、数平均分子量は25,900、H−NMRから求めたβ−ピネン/インデンユニットの質量比は52/48、ガラス転移温度は140℃であった。
実施例1
次いで、窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、シクロヘキサンの123質量部と、上記で得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)の30質量部を収容し、撹拌することにより、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)を完全に溶解した。その後、水素添加触媒として、5%パラジウム担持カーボン(品番:E1002NN/W エボニック デグサ ジャパン株式会社製)の15質量部を加え、撹拌して、充分に分散させた後、かかる耐圧容器内を充分に水素で置換し、撹拌しながら、130℃、水素圧力:20MPa で、15時間反応させた後、常圧に戻した。反応後の溶液を0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターによりろ過して、触媒を分離除去した後、メタノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の3000質量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥して、β−ピネン系共重合体(H1)の29質量部を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H1)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は0.4モル%、残存する芳香族環は2.3モル%であった。ガラス転移温度は156℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は5.2×10−3、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は2.1×10−4であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H1)の重量平均分子量は31,000、数平均分子量は18,400であった。評価結果を表1に示す。
参考例2
次いで、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)に変えて、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてβ−ピネン系共重合体(H2)を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H2)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は1.6モル%、残存する芳香族環は2.5モル%であった。ガラス転移温度は142℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は5.5×10−3、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は9.0×10−4であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H2)の重量平均分子量は36,000、数平均分子量は20,100であった。評価結果を表1に示す。
実施例3
β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)に変えて、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてβ−ピネン系共重合体(H3)を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H3)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は1.9モル%、残存する芳香族環は8.1モル%であった。ガラス転移温度は144℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は5.6×10−3、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は9.1×10−4であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H3)の重量平均分子量は98,000、数平均分子量は29,300であった。評価結果を表1に示す。
実施例4
β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)に変えて、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてβ−ピネン系共重合体(H4)を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H4)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は0.6モル%、残存する芳香族環は2.8モル%であった。ガラス転移温度は160℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は5.2×10−3、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は2.1×10−4であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H4)の重量平均分子量は79,200、数平均分子量は24,300であった。評価結果を表1に示す。
実施例5
β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)に変えて、β−ピネン/インデン共重合体(A5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてβ−ピネン系共重合体(H5)を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H5)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は2.9モル%、残存する芳香族環は9.8モル%であった。ガラス転移温度は188℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は1.3×10−2、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は9.2×10−4であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H5)の重量平均分子量は41,000、数平均分子量は23,800であった。評価結果を表1に示す。
なお、上記した各工程で得られる材料について、また下記の工程で製造される材料につ
いて、その物性測定は、以下の如くして行った。
○成形
得られたβ−ピネン系共重合体は、プレス成形もしくは射出成形にて試験片を作製した。プレス成形は180℃にて50mm×50mm×3mmtサイズの成形体を得た。射出成形は、シリンダ温度240℃、金型温度60℃、金型は50mm×50mm×3mmtを用いて実施した。
○分子量
数平均分子量及び重量平均分子量は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、ポリスチレン換算値で求められたものである。ここでは、GPC装置として、東ソー株式会社製のHLC−8020(品番)を用い、カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel・GMH−Mの2本とG2000Hの1本とを直列に繋いだものを用いた。
○残存二重結合率
JEOL製 400MHzマグネットの核磁気共鳴装置を用いて室温にて1000回積算にて測定した。得られたH−NMRスペクトル(テトラメチルシラン(TMS)のプロトンを0ppmとする)。4.5〜6ppmの積分値をβ−ピネン由来のオレフィン性二重結合とし、6〜8ppmの積分値を芳香族環とし、残存二重結合率を算出した。
○ガラス転移温度(Tg)
充分に乾燥して、溶媒を除去したサンプルを用いて、示差走査熱量測定法(DSC)により測定した。ここでは、測定装置としては、メトラー・トレド株式会社製のDSC30(品番)を用いた。
○全光線透過率
株式会社村上色彩研究所製のHR−100(品番)を用いて、JIS−K−7361−1に準拠して、測定した。
○耐光性試験
ASTM−G53に準じて、100時間の促進暴露試験を行い、YI(イエロー・インデックス)の試験前と試験後における黄変度(ΔYI)を測定した。ここでは、紫外線曝露試験機(株式会社東洋精機製作所製ATLAS−UVCON)を用いた。YIの測定は、JIS−K−7373に準じて行った。そして、以下の判定基準に従って、評価した。
ΔYI=(紫外線暴露100時間後のYI)−(紫外線暴露前のYI)
○:ΔYI ≦ 10 長期の耐光性が良好
×:10 < ΔYI 長期の耐光性が不良
Figure 0005461180


比較例1
充分乾燥させたガラス製コック付フラスコを充分に窒素置換した後、これに、脱水したN−ヘキサンの1100質量部と、脱水した塩化メチレンの1100質量部と、蒸留精製したβ−ピネンの40質量部と、脱水したトリエチルアミンの4.5質量部とを加え、−78℃の温度に冷却した。更に、−78℃で撹拌しながら、二塩化エチルアルミニウムの1.0mol/Lヘキサン溶液の70質量部を加え、重合を開始した。10分間重合した後、メタノールの10質量部を添加して、重合を終了させた。その後、室温にて減圧して塩化メチレンを除いた後、蒸留水の800質量部にクエン酸の20質量部を添加した水溶液を添加し、30分撹拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、触媒を除去した。かくして得られたメチルシクロヘキサン層をメタノール/アセトン(60/30vol%)の混合溶媒の10000質量部に再沈殿後、充分に乾燥して、β−ピネン重合体(B1)の39質量部を得た。この得られたβ−ピネン重合体(B1)の重量平均分子量は53,000、数平均分子量は32,000であった。
窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、シクロヘキサンの127質量部と、上記で得られたβ−ピネン重合体(B1)の25質量部を収容し、撹拌することにより、β−ピネン重合体(A1)を完全に溶解した。その後、水素添加触媒として、5%パラジウム担持アルミナ粉末(エヌ・イーケムキャット株式会社製)の7.5質量部を加え、撹拌して、充分に分散させた後、かかる耐圧容器内を充分に水素で置換し、撹拌しながら、160℃、水素圧力:5MPa で、25時間反応させた後、常圧に戻した。反応後の溶液を0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターによりろ過して、触媒を分離除去した後、メタノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の3000質量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥して、β−ピネン系重合体(B2)の24質量部を得た。かくして得られたβ−ピネン系重合体(B2)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は1.7モル%であった。ガラス転移温度は129℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は9.1×10−4、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は9.7×10−4であった。この得られたβ−ピネン系重合体(B2)の重量平均分子量は51,900、数平均分子量は31,600であった。評価結果を表2に示す。
比較例2
参考例1で得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)を本比較例とした。
比較例3
参考例2で得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A2)を本比較例とした。評価結果を表2に示す。
比較例4
特開2002−121231の実施例12と同様にしてインデン/β−ピネン共重合体(B3)を得た。得られたインデン/β−ピネン共重合体(B3)の重量平均分子量は64,000、数平均分子量は24,300であった。インデン/β−ピネン共重合体(B3)の評価結果を表2に示す。
比較例5
混合モノマー溶液を蒸留精製したβ−ピネン42質量部およびα−メチルスチレン4質量部である混合モノマー溶液に変更した以外は参考例3と同様にしてβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A6)45質量部を得た。得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A6)の重量平均分子量は43,000、数平均分子量は23,700、H−NMRから求めたβ−ピネン/α−メチルスチレンユニットの質量比は90/10、ガラス転移温度は97℃であった。
比較例6
β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)に変えて、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A6)を用いた以外は、実施例1と同様にしてβ−ピネン系共重合体(H6)を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H6)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は0.5モル%、残存する芳香族環は3.7モル%であった。ガラス転移温度は134℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は5.2×10−3、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は2.5×10−4であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H6)の重量平均分子量は39,000、数平均分子量は23,500であった。評価結果を表2に示す。
参考例6[水素添加触媒の調製]
トリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム株式会社製)をあらかじめシクロヘキサンに20%の濃度で溶解しておいた溶液を、窒素置換したガラス製ナスフラスコに窒素気流下で29.2ml添加し、0℃に冷却した。そこに、2−エチルヘキサン酸ニッケル(キシダ化学株式会社製)のトルエン溶液(ニッケル6%)を窒素気流下で7.4ml添加し、均一系水素添加触媒を調製した。
比較例7
窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、シクロヘキサンの123質量部と、上記で得られたβ−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)の30質量部を収容し、撹拌することにより、β−ピネン/α−メチルスチレン共重合体(A1)を完全に溶解した。耐圧容器内を十分に水素で置換し、室温下、1000rpmで撹拌しながら、参考例6で調製した水素添加触媒を7質量部添加した。ただちに、水素で1MPaまで加圧し、50℃まで昇温した。50℃に昇温後、さらに水素添加触媒を7質量部添加し、120℃まで昇温した。120℃で9時間反応させた後、常圧・室温に戻した。蒸留水100質量部にクエン酸8.1質量部と30%過酸化水素水溶液4.8質量部を添加した水溶液を耐圧容器に添加し、30分撹拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、触媒を除去した。得られたシクロヘキサン層をメタノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の3000質量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥して、β−ピネン系共重合体(H7)の29質量部を得た。かくして得られたβ−ピネン系共重合体(H7)のH−NMRを測定したところ、残存するオレフィン性二重結合は50モル%、残存する芳香族環は94モル%であった。ガラス転移温度は139℃であった。またH−NMRにおいて6〜8ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は0.17、また4.5〜6ppmのプロトンの積分値の全プロトンの積分値に対する割合は0.019であった。この得られたβ−ピネン系共重合体(H7)の重量平均分子量は29,600、数平均分子量は17,100であった。評価結果を表2に示す。
Figure 0005461180
実施例からβ−ピネン単位30〜80質量%及び芳香族系単量体単位70〜20質量%からなり、オレフィン性二重結合を80モル%以上水素化添加してなるβ−ピネン系共重合体は、耐熱性が高く、かつ全光線透過率、耐光性に優れていることがわかる。
実施例および比較例1、比較例5、比較例6から、芳香族性単量体を含まないもしくは20質量%未満であると耐熱性が低いことがわかる。
実施例および比較例2、比較例3、比較例4、比較例7から、オレフィン性二重結合を80モル%以上水素化添加することで耐光性、耐熱性が改善されることがわかる。
実施例1および比較例7から、カーボンに固定したパラジウム触媒の存在下で、オレフィン性二重結合および芳香族環を水素化することで、オレフィン性二重結合が90モル%以上かつ芳香族性単量体由来の芳香族が80%以上水素化されることがわかる。

Claims (5)

  1. β−ピネン単位30〜80質量%及び芳香族系単量体単位70〜20質量%からなり、オレフィン性二重結合を80モル%以上かつ芳香族単量体由来の芳香族環を50モル%以上水素化してなるβ−ピネン系共重合体。
  2. 芳香族系単量体がスチレン、α−メチルスチレンおよびインデンから選ばれる少なくとも1種類である請求項1に記載のβ−ピネン系共重合体。
  3. オレフィン性二重結合が90モル%以上かつ芳香族単量体由来の芳香族が80%以上水素化されていることを特徴とする請求項1に記載のβ−ピネン系共重合体。
  4. 請求項1に記載のβ−ピネン系共重合体からなる成形体。
  5. β−ピネン及び芳香族系単量体を共重合してなる共重合体を、カーボンに固定したパラジウム触媒の存在下で、オレフィン性二重結合および芳香族環を水素化することを特徴とする、請求項1に記載のβ−ピネン系共重合体の製造方法。
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