JP5458667B2 - 電動車両のバッテリ充電制御装置 - Google Patents
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Description
このバッテリ充電制御装置は、外部電源装置によりバッテリ充電可能なハイブリッド車両において、自車の現在位置(自車位置)から自宅などの予め定められた充電拠点までの走行距離が短いほど、車載バッテリの充電を開始すべき蓄電率(SOC:State of charge)の下限値を低く設定する技術が開示されている。
このため、バッテリへの充電に経済性(エネルギーコスト)や環境(水力・原子力発電など)に優れた家庭用電源などによる充電を多用でき、その分だけ内燃機関への依存度を低減して、燃費向上や環境保護への高い貢献度を実現することができる。
先ず、本発明の前提となる電動車両を説明するに、これは、車外電源装置によって充電が可能な車載バッテリからの電力により走行可能な電動車両である。
帰着用走行エネルギー推定手段は、上記自車位置検出手段で検出した自車の現在位置から、上記充電拠点設定手段で設定した自車の充電拠点までの走行に必要な帰着用走行エネルギーを推定するものである。
バッテリエネルギー残量検出手段は、バッテリのエネルギー残量を検出し、帰着時バッテリエネルギー残量目標値演算手段は、充電拠点帰着時におけるバッテリエネルギー残量の目標値を算出するものである。
そして前記の帰着用走行エネルギー推定手段は、
前記自車の現在位置から充電拠点までの1つ以上の走行経路を算出して運転者に知らせる走行経路演算手段と、
該手段で算出した各走行経路の道路情報を取得する道路情報取得手段と、
前記走行経路が複数個存在する場合に運転者に1個の走行経路を選択させるための走行経路選択手段とを具え、
該走行経路選択手段により運転者が選択した走行経路に係わる、前記道路情報取得手段で取得された道路情報に基づき前記帰着用走行エネルギーを推定して前記エネルギー補充量上限値の算出に供し、
前記走行経路が複数個存在するのに運転者が走行経路選択手段による走行経路の選択操作を怠った場合、前記道路情報取得手段で取得された道路情報に基づき前記走行経路ごとの帰着用走行エネルギーを推定し、これらのうち最も大きな帰着用走行エネルギーを前記エネルギー補充量上限値の算出に供するものである。
外部充電スタンドでのバッテリ充電量を、充電拠点に帰着したときのバッテリエネルギー残量が帰着時バッテリエネルギー残量目標値となるような充電量に制限し得ることとなる。
加えて本発明のバッテリ充電制御装置では、帰着用走行エネルギーの推定に際し、
自車の現在位置から充電拠点までの1つ以上の走行経路を算出して運転者に知らせ、走行経路が複数個存在する場合に運転者に1個の走行経路を選択させ、当該選択した走行経路の道路情報に基づき帰着用走行エネルギーを推定してエネルギー補充量上限値の算出に資することとしたため、
走行経路が複数個存在する場合においても、帰着用走行エネルギーを実際に即して正確に推定することができ、帰着用走行エネルギーが実走行からずれて上記の効果が得られなくなるのを回避することができる。
また本発明では帰着用走行エネルギーの推定に際し、走行経路が複数個存在するのに運転者が走行経路の選択操作を怠った場合は、複数の走行経路ごとの帰着用走行エネルギーを個々の道路情報に基づき推定し、これらのうち最も大きな帰着用走行エネルギーをエネルギー補充量上限値の算出に資することとしたため、
走行経路の選択操作を行わない運転者の場合でも、充電拠点への帰路においてバッテリエネルギー不足から帰着不能になるという事態は、これを確実に回避することができる。
<駆動系の構成>
図1は、本発明の一実施例になるバッテリ充電制御装置を具えた電動車両の駆動系(パワートレーン)を、その制御システムと共に示すものである。
本実施例における電動車両は、エンジン1により発電モータ2を駆動して得られた電力により、車載電源であるバッテリ3への充電を行い、バッテリ3からの電力により電動モータ4を駆動し、該電動モータ4からの動力で終減速機5(ディファレンシャルギヤ装置を含む)を介し左右駆動輪6L,6Rを駆動することにより走行可能な、所謂シリーズ型ハイブリッド車両とする。
また電動モータ4は、上記のごとく駆動車輪6L,6Rの駆動を司るのみに非ず、車両の減速時に駆動車輪6L,6Rの回転エネルギーを電力に変換してバッテリ3に向かわせる回生制動機能をも果たすものである。
従って本実施例における電動車両は、外部電源装置によるバッテリ充電が可能なシリーズ型ハイブリッド車両である。
このため、発電モータ2およびバッテリ3間を、交流−直流変換器であるインバータ9により相互接続し、電動モータ4およびバッテリ3間を、交流−直流変換器であるインバータ10により相互接続する。
これらインバータ9,10は上記の交−直変換に際し、モータ2,4とバッテリ3との間における電力制御機能をも司るものである
これら電源からの電力でバッテリ3を充電可能にするため、バッテリ3に接続して充電器11を設け、この充電器11に、家庭用電源7に差し込むためのプラグ11a、および、外部充電スタンド8の電源に差し込むためのプラグ11bを設ける。
次に、上記した駆動系(パワートレーン)の制御を司る車載コントローラを説明する。
この車載コントローラはマイクロコンピュータを可とし、モータ/ジェネレータコントローラ20と、エンジンコントローラ21と、バッテリコントローラ22と、ナビゲーションコントローラ23と、充電器コントローラ24と、パワートレーン統合制御コントローラ25とから成る。
エンジンコントローラ21は、エンジン1の吸入空気量、点火時期、燃料噴射量を操作してエンジン出力トルクを制御するものである。
バッテリコントローラ22は、バッテリ3の蓄電率(SOC)や充放電可能エネルギーなどの内部状態量を推定したり、バッテリ保護を行うものである。
充電器コントローラ24は、家庭用電源7や、外部充電スタンド8からの電力による、バッテリ3への充電の実行・停止を行なうものである。
統合コントローラ25は、上記した複数のコントローラ20〜24を協調制御しながら、運転者の要求に沿って電動モータ4の駆動出力を制御し、また、運転性と燃費(経済性)の両方を考慮しながら発電モータ2の発電負荷を制御するものである。
なおコントローラ20〜25は、高速通信網で相互通信可能で、コントローラ間で各種データを共有化し、これら各種データを基にパワートレーン統合制御コントローラ25が、図2〜5に示す制御プログラムを実行して、本発明が狙いとするバッテリ充電制御を以下のごとくに遂行するものとする。
ステップS1においては、運転者が車両の要求駆動力を指令するときに踏み込むアクセルペダルの踏み込み量、つまりアクセル開度APOを計測する。
この計測に当たっては、アクセルペダルの踏み込みストロークを検出する図示していないアクセル開度センサ(ポテンショメータ)からの出力信号を基に、当該計測を行う。
次のステップS2においては、車輪の回転速度に応じた周波数(周期)のパルス信号を発生する車輪速センサ(図示せず)からの信号を基に、車速VSPを計測する。
実際には、別タイミングで計測された周波数(または周期)を、本タイミングで車速VSPに換算して当該計測を行うものとする。
モータ/ジェネレータコントローラ20からは、発電モータ2の回転数および電動モータ4の回転数を読み込む。
エンジンコントローラ21からは、エンジン1の始動判定フラグおよびエンジン回転数を読み込む。
バッテリコントローラ22からは、バッテリ3の蓄電率SOCを読み込む。
ナビゲーションコントローラ23からは、これ自身を用いて運転者が設定しておいた充電拠点(充電拠点設定手段)と自車位置との間における各種道路情報(走行経路、走行距離、標高、渋滞情報など)を読み込む。
充電器コントローラ24からは、外部充電装置である家庭用電源7または外部充電スタンド8に対する充電プラグ11aまたは11bの接続情報や、これら外部充電装置7,8の充電電力情報を受信する。
なお、駆動軸の捻れに起因したガクガク振動を抑制するためのトルク補正が必要であれば、周知の要領でこのトルク補正を行うことができる。
先ずステップS5-1においては、自車位置と充電拠点との間における各種道路情報(走行経路、走行距離、標高、渋滞情報など)に基づき、蓄電率上限値(SOC上限値)および蓄電率下限値(SOC下限値)を設定する。
従ってバッテリ蓄電率上限値(SOC上限値)は、図8から明らかなように自車位置から充電拠点までの距離が遠いほど高くなり、この距離が近いほど低くなる。
従って蓄電率下限値(SOC下限値)も、図8から明らかなように自車位置から充電拠点までの距離が遠いほど高くなり、この距離が近いほど低くなるが、その変化割合はバッテリ蓄電率上限値(SOC上限値)のそれよりも小さく、両者間のバッテリ蓄電率管理幅は自車位置から充電拠点までの距離が遠いほど大きくなる。
実蓄電率(実SOC)が蓄電率下限値(SOC下限値)以下に低下していなければ、ステップS5-3において、実蓄電率(実SOC)が蓄電率上限値(SOC上限値)以上に上昇したか否かをもって、発電が不要であるか否かを判定する。
ここで発電モータトルク指令値は、発電負荷であるため負値であり、バッテリ3の充電を行う電力を発生する。
次のステップS5-7においては、蓄電率上限値(SOC上限値)および蓄電率下限値(SOC下限値)と、実蓄電率(実SOC)とに基づき、目標エンジン出力(≒発電出力)を算出し、これと、上記した効率良く発電できる回転数Ngとから、この回転数Ngのもとで当該目標エンジン出力(≒発電出力)を実現可能なエンジントルク指令値を求めた後、制御を図2(ステップS6)に戻す。
先ず、外出先から充電拠点に帰着する場合における図7のタイムチャートにより説明する。
電動モータ4の駆動により車両が、車速VSPを図示のごとくに保って走行することでバッテリ蓄電率SOCが下限値まで低下する度に、エンジン1の始動により発電モータ2の発電が行われ、これからの発電電力でバッテリ3が充電される。
またこの充電によりバッテリ蓄電率SOCが上限値まで上昇する度にエンジン1の停止により発電モータ2の発電が行われなくなり、電動モータ4の駆動にバッテリ電力が消費されることで、バッテリ蓄電率SOCが徐々に低下する。
充電拠点から比較的近距離の外出先A点に出向いて、充電拠点に帰着する場合、バッテリ蓄電率SOCは太い破線aで示すように、満充電状態から一度も蓄電率下限値まで低下することがなく、エンジンによる発電が行われないが、車両の継続的なモータ(EV)走行が可能である。
そしてバッテリ蓄電率SOCがSOC上限値まで上昇したとき、エンジン1による発電が行われなくなり、バッテリ蓄電率SOCは再び低下する。
上記により、車両の継続的なモータ(EV)走行が可能である。
よって、充電拠点に帰着したときのバッテリ蓄電率SOCを必要最小限の値にし得ることとなる。
ここで家庭用電源7による充電は、エンジン1の発電による充電よりも、経済性(エネルギーコスト)や環境(水力・原子力発電など)に優れており、上記のごとく外部電源装置による充電量を大きくし得る図2のステップS5(図3の制御プログラム)による発電制御は、その分だけエンジン1による発電依存度を低減して、燃費向上や環境保護への高い貢献度を実現することができる。
ここでコスト意識や環境意識の高い運転者が、エンジン運転による発電を避けるため、バッテリ蓄電率SOCが蓄電率下限値付近まで低下した時や、バッテリ蓄電率SOCが蓄電率下限値に低下したことでエンジン始動による発電が開始された時、走行途中にある外部充電スタンドに立ち寄って図9に矢δで示すごとくに充電を行った場合、この充電が何らの制限もなく行われると矢δで示すように、バッテリ3が満充電状態にされる。
しかもこの待ち時間は、充電拠点での充電と異なって、他の作業をしながらの待ち時間にすることができず、充電完了を待つだけの単純な待ち時間であるため苦痛である。
先ず図4のステップS6-1において、運転者が、運転席近辺に設置した外部充電スイッチの操作や、ナビゲーションシステムの操作により、バッテリ3の外部充電を要求しているか否かを判定する。
このステップS6-3では、外部充電が可能な停車状態か否かをチェックし、停車状態でなければ、外部充電ができないから、図4,5のループから抜けて制御を図2のステップS7に戻し、停車状態であれば、制御をステップS6-4へ進める。
ステップS6-8での満充電用ノーマルモードによる外部充電処理は、充電拠点にある家庭用電源7または外部充電スタンド8のような外部充電装置からの電力によりバッテリ3を満充電になるまで、または電力の供給が停止するまで充電する処理であり、この処理の後は図4,5のループから抜けて、制御を図2のステップS7に戻す。
なお、このステップS6-8での満充電用ノーマルモードによる外部充電処理は、本発明の要旨に関係ないため、これ以上の詳細な説明をここでは省略する。
外部充電スタンド充電モード1〜3は、以下のようなものとする。
モード1:充電拠点での充電可能時間(帰着時から再発進までの時間)を考慮した充電
モード2:充電拠点での充電を優先する充電
モード3:上記以外の充電(本発明の着想を考慮しない充電)
運転者が外部充電スタンド充電モード1を選択した場合は、モード1選択とメモリし、外部充電スタンド充電モード2を選択した場合は、モード2選択とメモリし、外部充電スタンド充電モード3を選択した場合は、モード3選択とメモリし、外部充電スタンド充電モード1〜3のどれも選択しなかった場合は、モード3選択とメモリする。
ステップS6-6でモード1選択であると判定する場合は、ステップS6-9において、例えば充電拠点(自宅)に帰着後、再出発するまでの時間を、充電拠点(自宅)での充電可能時間Tchargeとして設定する要求を運転者に指令する(充電可能時間設定手段)。
運転者が充電可能時間Tchargeを設定するに際しては、ナビゲーションシステムの入力装置を操作することによって、その設定を行うことができる。
この帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtは、以下のようにして算出する。
(1)外部充電モード1が選択されている場合
前記した充電拠点(自宅)での充電可能時間Tchargeから、図10に例示するマップを基に、帰着時バッテリ蓄電率目標値SOCtgtを求め、この帰着時バッテリ蓄電率目標値SOCtgtと、バッテリ蓄電率をバッテリエネルギー残量に換算する係数G1とを用いた次式の演算により、帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtを算出する。
Etgt = SOCtgt × G1 ・・・(1)
従って、これを基に上記のようにして求めた帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtは、バッテリ充電可能時間Tchargeだけ充電拠点(自宅)でバッテリ3を充電したとき丁度満充電となるのに必要なバッテリエネルギー残量のことを意味する。
ナビゲーションシステムの入力装置を操作して予め設定しておいた、または、運転者が随時ナビゲーションシステムの入力装置を操作することにより設定可能な、充電拠点(自宅)でのバッテリ蓄電率目標値SOCtgt(例えばエンジン始動に必要な最小蓄電率)と、バッテリ蓄電率をバッテリエネルギー残量に換算する係数G1とを用いた、上記の式(1)の演算により、帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtを算出する。
次いでステップS6-12において、上記により検索された走行経路が複数あるか否かをチェックし、複数ルートが存在する場合は制御をステップS6-13〜S6-15へ進め、1ルートのみである場合は制御をステップS6-16,S6-17へ進める。
運転者が走行経路を選択するに際しては、ナビゲーションシステムの入力装置を操作することで走行経路の選択を行うことができる。
次のステップS6-14では、ステップS6-13でのルート選択要求に応えて運転者が走行経路を選択したか否かをチェックし、運転者が走行経路を選択していれば、ステップS6-15において、選択経路を使った自車位置から充電拠点までの走行に必要な帰着用走行エネルギーEdriveを算出して推定する(帰着用走行エネルギー推定手段)。
なお、帰着用走行エネルギーEdriveの算出要領については、本発明の要旨に関係ないため、ここではその詳細説明を省略する。
次のステップS6-17では次式により示すごとく、これら個々の帰着用走行エネルギー暫定値(Edrive_1、Edrive_2、・・・Edrive_n)のうち、最も大きなものMAX(Edrive_1、Edrive_2、・・・Edrive_n)を帰着用走行エネルギーEdriveと定める(帰着用走行エネルギー推定手段)。
Edrive=MAX(Edrive_1、Edrive_2、・・・Edrive_n) ・・・(2)
Edrive=MIN(Edrive_1、Edrive_2、・・・Edrive_n) ・・・(3)
外部充電装置7または8からの充電プラグ11aまたは11bが車両の対応コンセントに接続し終えると、ステップS6-18は制御をステップS6-19へ進める。
このステップS6-19では、検出した現在のバッテリ蓄電率SOCcurと、バッテリ蓄電率をバッテリエネルギー残量に換算する係数G2とを用いた次式の演算により、現在のバッテリエネルギー残量Ecurを算出する(バッテリエネルギー残量検出手段)。
Ecur = SOCcur × G2 ・・・(4)
EsplyLim = Edrive + Etgt − Ecur ・・・(5)
次いでステップS6-21において、ステップS6-20で上式により求めたバッテリ充電時のエネルギー補充量上限値EsplyLimを、バッテリ充電時供給電力上限値情報としてナビゲーションのディスプレイ上に表示したり、音声で告知することにより、運転者に認識させる(バッテリ充電量制限情報認知手段)。
充電時エネルギー補充量上限値EsplyLimがゼロより大きい場合、ステップS6-23において、外部充電装置(家庭用電源7または外部充電スタンド8)からの電力で、バッテリ3への充電を実行し、外部充電実行中であることを示すように外部充電実行フラグを「1」にセットする。
かかる充電の継続で、前記した式(5)における現在のバッテリエネルギー残量Ecurが増大すると、その分だけ充電時エネルギー補充量上限値EsplyLimが低下し、これにより充電時エネルギー補充量上限値EsplyLimがゼロ以下になる充電完了時に、ステップS6-22は順次ステップS6-26およびステップS6-27を選択する。
ステップS6-27では、バッテリ3への充電を終了して停止させ、外部充電非実行中であることを示すように外部充電実行フラグを「0」にリセットし、制御を図2のステップS7に戻す。
従ってステップS6-27は、ステップS6-20およびステップS6-22と共に、本発明におけるバッテリ充電量制限手段を構成する。
このステップS6-25では、充電プラグ11aまたは11bがコンセントから抜かれ、充電が中断されたことを運転者に対し知らせるため、ナビゲーションのディスプレイ上への表示や、音声により充電中段の情報を運転者に提示する。
上記した本実施例のバッテリ充電制御によれば、コスト意識や環境意識の高い運転者が、外部充電よりも高エネルギーコストで、二酸化炭素の排出を伴うエンジン運転による発電を避けるため、充電拠点(自宅)に帰着する前にバッテリ蓄電率が蓄電率下限値付近まで低下してエンジン始動による発電が開始されそうになったところで、走行途中の外部充電スタンドに立ち寄って充電するとき、この外部充電スタンドでのバッテリ充電量を以下のようにして、充電拠点への帰着に必要な最小限のバッテリ充電量に制限する。
従って、その後の瞬時t3に外部充電スタンドを出発し、バッテリエネルギーを使ってのEV走行で瞬時t4に充電拠点(自宅)に帰着した時におけるバッテリエネルギー残量が、確実に必要最小限の帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtに低下されることとなる。
従って、その後の瞬時t3に外部充電スタンドを出発し、バッテリエネルギーを使ってのEV走行で瞬時t4に充電拠点(自宅)に帰着した時におけるバッテリエネルギー残量が、必要最小限の帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtよりも大幅に多くなる。
このため、瞬時t4以降における充電拠点(自宅)での満充電までの充電量ΔEoがその分少なくなる。
このため本実施例によれば、従来のように外部充電スタンドでバッテリを満充電する場合に較べて、差分(ΔEp−ΔEo)だけ、外部充電スタンドよりも充電コスト(エネルギーコスト)の安い充電拠点(自宅)でのバッテリ充電を多く活用することができ、充電コスト(エネルギーコスト)を安くすることができる。
しかも、外部充電スタンドでの充電時間t1〜t2が、従来のように外部充電スタンドでバッテリを満充電するよりも短くて、運転者の苦痛な待ち時間を短縮することができる。
また、図12(b)に実線で示すごとく帰着瞬時t4のバッテリエネルギー残量が帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtに一致することから、低コストな充電拠点(自宅)7での充電量をΔEpで示すように、図12(b)に一点鎖線で示す場合の外部電源装置による充電量ΔEp'よりも多くすることができ、充電コストの低下を実現することができる。
ところで本実施例においては、上記のごとく走行経路(ルート)ごとの帰着用走行エネルギー(Edrive_1、Edrive_2、・・・Edrive_n)のうち最も大きな帰着用走行エネルギーMAX(Edrive_1、Edrive_2、・・・Edrive_n)をエネルギー補充量上限値EsplyLimの算出に供して、この上限値EsplyLimに外部充電スタンド8での充電量を制限するため、走行経路(ルート)の選択操作を行わない運転者の場合でも、充電拠点(自宅)への帰路においてバッテリエネルギー不足から帰着不能になることのないようにすることができる。
本実施例では、エンジン1が発電によりバッテリ充電を行い得ることから充電拠点(自宅)7に帰ることができない訳ではないが、エネルギーコストの高いエンジン1での発電による充電が行なわれるという問題を生じる。
このため、運転者がルートC以外のどのルートを走行しようとも、充電拠点(自宅)7に帰着する前に帰着時バッテリエネルギー残量目標値Etgtに達することがない。
よって、充電拠点(自宅)7に帰る途中で、エンジン1が発電によりバッテリ充電を行うということがなく、エネルギーコストの高いエンジン1での発電による充電が行なわれて充電コストが高くなったり、二酸化炭素が発生するという問題を回避することができる。
図14(a)に示すように外部充電スタンド8から充電拠点(自宅)7への帰路が、実線で示す中間的な距離の(帰着用走行エネルギーEdriveも中間的な)ルートA、一点鎖線で示す最短距離の(帰着用走行エネルギーEdriveが最小の)ルートB、および二点鎖線で示す最長距離の(帰着用走行エネルギーEdriveが最大の)ルートCの3ルートが有る場合において、走行経路(ルート)A〜Cごとの帰着用走行エネルギーのうち、最も大きな帰着用走行エネルギーを帰着用走行エネルギーEdriveとし、これをエネルギー補充量上限値EsplyLimの算出に用いると、帰着用走行エネルギーの最も大きなルートCに基づき帰着用走行エネルギーEdriveを推定することになる。
しかし、本実施例のようにバッテリ充電エネルギーを発生する発電装置(エンジン1および発電モータ2)を搭載したハイブリッド車両である場合は、バッテリエネルギー残量が不足してもエンジン1での発電によって走行不能になることがないことから、帰着瞬時t4のバッテリエネルギー残量が目標値Etgt以上である必要は必ずしもない。
しかしこの瞬時t3'には、図3のステップS5-2、ステップS5-6およびステップS5-7を含むループでエンジン1が始動、運転され、発電モータ2の発電電力でバッテリ3が充電されることから、バッテリエネルギー残量を瞬時t3'以降に示すごとく目標値Etgt以上に保って、車両を引き続きEV走行させながら瞬時t4に充電拠点(自宅)7に帰着することができる。
しかし、充電拠点(自宅)に帰着した瞬時t4からバッテリ充電可能時間Tcharge が経過した瞬時t5に再出発する場合は未だ充電量が十分でなく、この再出発瞬時t5において使用可能なバッテリエネルギー量ΔEs'が不足して、再出発後の走行距離を十分なものとすることができないという不便がある。
しかし、ΔEtgt>0があれば上記の作用効果をそれなりに達成し得るため、帰着時バッテリエネルギー残量目標値(Etgt+ΔEtgt)は、必ずしも上記のものに限られるものではない。
2 発電モータ
3 バッテリ
4 電動モータ
5 終減速機
7 家庭用電源
8 外部充電スタンド
9,10 インバータ
11 充電器
11a,11b 電源プラグ
20 モータ/ジェネレータコントローラ
21 エンジンコントローラ
22 バッテリコントローラ
23 ナビゲーションコントローラ
24 充電器コントローラ
25 統合制御コントローラ
Claims (7)
- 車外電源装置によって充電が可能な車載バッテリからの電力により走行可能な電動車両において、
自車の現在位置を検出する自車位置検出手段と、
自車の主たる充電拠点を設定する充電拠点設定手段と、
前記自車位置検出手段で検出した自車の現在位置から、前記充電拠点設定手段で設定した自車の充電拠点までの走行に必要な帰着用走行エネルギーを推定する帰着用走行エネルギー推定手段と、
前記バッテリのエネルギー残量を検出するバッテリエネルギー残量検出手段と、
充電拠点帰着時におけるバッテリエネルギー残量の目標値を算出する帰着時バッテリエネルギー残量目標値演算手段と、
前記充電拠点以外の外部充電スタンドでのバッテリ充電に際し、前記帰着用走行エネルギー推定手段で推定した帰着用走行エネルギーと、前記バッテリエネルギー残量検出手段で検出したバッテリエネルギー残量と、前記帰着時バッテリエネルギー残量目標値演算手段で算出した帰着時バッテリエネルギー残量目標値とを基に、自車が前記充電拠点に到着した時バッテリに前記帰着時バッテリエネルギー残量目標値のエネルギー量が残っているようにするのに必要なエネルギー補充量上限値を算出して、該上限値に外部充電スタンドでのバッテリ充電量を制限するバッテリ充電量制限手段とを具備し、
前記帰着用走行エネルギー推定手段は、
前記自車の現在位置から充電拠点までの1つ以上の走行経路を算出して運転者に知らせる走行経路演算手段と、
該手段で算出した各走行経路の道路情報を取得する道路情報取得手段と、
前記走行経路が複数個存在する場合に運転者に1個の走行経路を選択させるための走行経路選択手段とを具え、
該走行経路選択手段により運転者が選択した走行経路に係わる、前記道路情報取得手段で取得された道路情報に基づき前記帰着用走行エネルギーを推定して前記エネルギー補充量上限値の算出に供し、
前記走行経路が複数個存在するのに運転者が走行経路選択手段による走行経路の選択操作を怠った場合、前記道路情報取得手段で取得された道路情報に基づき前記走行経路ごとの帰着用走行エネルギーを推定し、これらのうち最も大きな帰着用走行エネルギーを前記エネルギー補充量上限値の算出に供するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。 - 請求項1に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記バッテリ充電量制限手段は、前記帰着時バッテリエネルギー残量目標値から前記バッテリエネルギー残量を差し引いて得られる差値を前記帰着用走行エネルギーに加算して得られたエネルギーを前記エネルギー補充量上限値とするものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。 - 請求項1または2に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記バッテリ充電量制限手段によるバッテリ充電量の制限情報を運転者に知らせるバッテリ充電量制限情報認知手段を設けたことを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。 - 前記電動車両がバッテリ充電エネルギーを発生する機関を搭載したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記帰着用走行エネルギー推定手段は、
前記走行経路が複数個存在するのに運転者が走行経路選択手段による走行経路の選択操作を怠った場合、前記道路情報取得手段で取得された道路情報に基づき前記走行経路ごとの帰着用走行エネルギーを推定し、これらのうち最も小さな帰着用走行エネルギーを前記エネルギー補充量上限値の算出に採用するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。 - 請求項4に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記帰着時バッテリエネルギー残量目標値演算手段は、前記機関の始動が可能なバッテリエネルギー残量の下限値を、充電拠点帰着時におけるバッテリエネルギー残量の目標値と定めるものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記帰着時バッテリエネルギー残量目標値演算手段は、
充電拠点帰着時から次の走行開始までのバッテリ充電可能時間を運転者に設定させるための充電可能時間設定手段を具え、
該手段により運転者が設定した充電可能時間に応じて前記バッテリエネルギー残量の目標値を算出するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。 - 請求項6に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記帰着時バッテリエネルギー残量目標値は、前記充電可能時間だけ充電拠点でバッテリを充電したとき丁度満充電となるのに必要なバッテリエネルギー残量であることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
Priority Applications (1)
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