JP5453989B2 - リチウムイオンキャパシタの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
前記金属リチウムを金属箔で保持した積層体を前記電極群内に前記負極板と
導通し、前記正極板と絶縁した状態で予め配置しておき、
前記金属リチウムを配置した電極群と前記非水電解液を前記円筒形容器に収容して密封したキャパシタの組立体を作製し、前記組立体を、前記金属リチウムが溶解して前記負極板の活物質合剤を構成する負極活物質に吸蔵されるように所定期間放置し、
前記所定期間放置の全体又は一部の期間において、前記円筒形容器の軸方向が水平にな
るように維持した状態で、前記円筒形容器の外にある水平な軸の回りに前記組立体を回転させる回転部材があり、前記組立体と前記回転部材の軸方向が平行になるように前記組立体が前記回転部材に固定され、前記回転部材は1.7×10 -2 〜3.5×10 −4 rpmの速度で回転することを特徴とする(請求項1)。前記周方向の回転は、前記円筒形容器の中心軸の回りに前記組立体を回転させるものであってもよい(請求項2)。
された正極板と、金属箔に活物質合剤が塗着された負極板とをセパレータを介して捲回し
た電極群と、非水電解液と、前記電極群および前記非水電解液を収容する円筒形容器と、
前記電極群内または前記電極群に隣接して前記正極板と絶縁した状態で配置した薄板状の
金属リチウムとを備え、前記金属リチウムを配置した電極群と前記非水電解液を前記円筒形容器に収容して円筒形容器を密封したリチウムイオンキャパシタの組立体を、前記円筒形容器の軸方向が水平になるように維持した状態で、前記組立体を前記円筒形容器の周方向に回転させる製造装置である。
この製造装置は、水平な軸の回りに回転駆動される回転部材と、前記回転部材の回転面内に配置された前記組立体の収容部とを備え、前記収容部は、複数箇所に配置されるとともに、各収容部は、前記組立体を円筒形容器の軸方向が水平になるように収容するものであり、前記回転部材は1.7×10 -2 〜3.5×10 −4 rpmの速度で回転する。
なお、特許文献4に示される技術を参考にして、前記組立体を円筒形容器の軸方向が水
平になるように維持して放置し、所定期間毎に前記水平方向の上下を反転させることも考
えられる。しかし、このような手段においては、未溶解のままで存在している薄板状の金
属リチウムが非水電解液の移動を妨げ、水平方向の上下を反転させるまでの間、非水電解
液が薄板状の金属リチウム上に滞留することになるので、非水電解液の電極群への迅速で
均一な浸透を実現できない。本発明によれば、円筒形容器の軸方向が水平になるように維
持した状態で、組立体を円筒形容器の周方向に回転させるので、円筒形容器内で遊離して
いる非水電解液は円筒形容器内でその周方向に絶えず移動し、非水電解液の電極群への円
滑かつ均一な浸透を図ることができる。すなわち、金属リチウムが溶解して負極板の活物質合剤を構成する負極活物質に吸蔵される工程も自ずと促進される。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオンキャパシタ30(以下、キャパシタ30と略称する。)の製造は、ニッケルメッキが施されたスチール製有底円筒形容器(缶)8を有している。円筒形容器8内には、中空円筒状で縦方向に複数本(本例では3本)のスリットが形成されたポリプロピレン製軸芯1に帯状の正極板および負極板がセパレータを介して捲回された電極群7が収容されている。なお、本例では、円筒形容器8の外径は40mm、内径は39mmである。
図2(A)、(B)に示すように、正極板2は、例えば、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)W1の両面に、正極活物質として活性炭を含む正極活物質合剤W2が塗着されている(図1も参照)。アルミニウム箔W1は、長手方向に沿う一側が櫛状に切り欠かれており、この切り欠き残部からなる正極リード片2aと、正極リード片2aに隣接して多数の貫通孔が形成された孔明き形成部とで構成されている。また、孔明き形成部は、長手方向に沿ってリード片形成部に隣接する箇所に貫通孔が形成されていない貫通孔未形成部を有している。この孔明き形成部に該孔明き形成部の幅方向の長さに満たない長さで上述した正極活物質合剤W2が塗着されている。
一方、負極板3も正極板2とほぼ同じ構造を有している。すなわち、負極板3は、例えば、厚さ16μmの銅箔(負極集電体)W3の両面に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質合剤W4が塗着されている。銅箔W3は、長手方向に沿う一側が櫛状に切り欠かれており、この切り欠き残部からなる負極リード片3aと、負極リード片3aに隣接して配置され多数の貫通孔が形成された孔明き形成部とで構成されている。また、孔明き形成部は、長手方向に沿ってリード片形成部に隣接する箇所に貫通孔が形成されていない貫通孔未形成部を有している。この孔明き形成部に該孔明き形成部の幅方向の長さに満たない長さで上述した負極活物質合剤W4が塗着されている。
図1に示すように、正極板2と負極板3とは、両極板が直接接触しないように、厚さ50μmの2枚の紙セパレータ4を介して、軸芯1を中心として断面渦巻き状に捲回され、電極群7が構成されている。なお、電極群7内には、積層体(図10の符号20A、20B参照)が捲回されているが、その内容については後述する。上述した正極リード片2aと負極リード片3aとは、それぞれ電極群7の互いに反対側に配置されており、セパレータ4の端から所定長さ(例えば、4mm)はみ出している。電極群7は、正極板2、負極板3、セパレータ4等の長さを調整することで、所定の内直径(例えば、9mm)および所定の外直径(例えば、38±0.1mm)に設定されている。なお、電極群7の捲回終端部は、巻き解けを防止するために、粘着テープを貼り付けることで固定されている。
電極群7の下側には、電極群7の下端側端面に対向するように、負極板3からの電位を集電するための銅製の負極集電リング6が配置されている。負極集電リング6の内周面には軸芯1の下端部外周面が嵌着されている。負極集電リング6の外周縁には、負極板3から導出された負極リード片3aの先端部が超音波溶接で接合されている。負極集電リング6の下部には電気的導通のための銅製の負極リード板9が配置されており、負極リード板9は負極外部端子を兼ねる円筒形容器8の内底部に抵抗溶接で接合されている。負極集電リング6および負極リード板9はエポキシ樹脂等の樹脂製絶縁材11で覆われ、樹脂製絶縁材11は負極集電リング6の上部から円筒形容器8の内底面まで配されている構成を採用することができる。この場合、円筒形容器8の底部は樹脂製絶縁材11により詰め物がなされた状態となっている。
ここで、負極板2の負極活物質(本例では非晶質炭素)にリチウムイオンを吸蔵させるための薄板状の金属リチウムについて説明する。
図8(A)、(B)に示すように、薄板状の金属リチウムW5は、2枚の銅箔W3で挟持した積層体20として使用する。銅箔W3は負極板3を構成する銅箔W3と同じものを所定寸法に切断して用いることができる。すなわち、銅箔W3は、長手方向に沿う一側にタブ20a(負極リード片3aと同じものであるが混同を避けるためにタブという。)が形成されたタブ形成部と、タブ形成部に隣接して配置され多数の貫通孔が形成された孔明き形成部とを有しており、金属リチウムW5は、2枚の銅箔W3の孔明き形成部に当接して挟持されている。なお、負極板3で説明したように、孔明き形成部に形成された貫通孔は直径が0.2mmの円形で、開口率が20%であり、単位面積あたり貫通孔が略均等に形成されている。
まず、正極活物質合剤および負極活物質合剤を調製する。正極活物質合剤は、例えば、正極活物質として比表面積が1000m2/g以上の活性炭と、結着剤としてアクリル系バインダと、分散剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)と、導電助材としてアセチレンブラック等の導電性炭素粉末とを重量(質量)比で85:7:3:5となるように混合し、これに水(分散溶媒)を添加、混練して正極スラリを作製する。
次に、集電体へのスラリの塗工について説明する。以下、説明を簡単にするために、アルミニウム箔W1へのスラリの塗工について例示するが、銅箔W3についても同じである。図4(B)に示すように、アルミニウム箔Wへの塗工は、それぞれ塗工口を有する4つの塗工ヘッド21A、21B、22A、22Bと、攪拌機(不図示)を有し各塗工ヘッドにスラリを供給するスラリ貯留槽21C、21Dと、を備えた塗工装置21により行われる。上述したように作製された正極スラリは、スラリ貯留槽21C、21Dに一時的に貯留される。
図6に示すように、塗工装置21の下流側には乾燥機29が配置されている。アルミニウム箔Wに塗工されたスラリ(分散溶媒を含む)は、塗工装置21を経て乾燥機29に至るまで、略垂直方向に搬送され、塗工装置21によるスラリ塗工幅2eから、スラリが乾燥する前に、上述したように、貫通孔未形成部に最も近い貫通孔まで流動して該貫通孔に入り込む(図3も参照)ことで、アルミニウム箔Wへのスラリ塗工幅は2(e+α)となり、2α分塗工幅が広がる(図7も参照)。
乾燥機29を出てロール状に巻き取られた正極板をリード片形成装置に移して引出し、スラリが塗工されていないアルミニウム箔W部分cを切り欠くことにより所定間隔で正極リード片2aを形成する。上述した切り欠きは、金属ローラに所定形状の刃物を埋め込んだ専用ローラ対23を配置し、専用ローラ対23を構成する2本のローラはともに駆動ローラであり、正極板をこのローラ対に通過させることにより、スラリを塗工していないアルミニウム箔W部分に所定間隔で複数の正極リード片2aを形成する。この工程は専用ローラ対23に代え、所定形状に刃物を埋め込んだ打ち抜き体を装着したプレス装置を、正極板の間欠送りと連動して作動させる工程でもよい。
専用ローラ対23の下流側には、正極活物質合剤が塗着されたアルミニウム箔Wの両面を所定の線圧でプレスするヒートローラ対24が配置されている。ヒートローラ対24を構成する2本のローラはともに駆動ローラであり、ローラ内には、ニクロム線やヒートランプ等の熱源が内蔵されている。正極活物質合剤が塗着されたアルミニウム箔は、ヒートローラ対24間を搬送され、上述した厚さおよびかさ密度に設定される。なお、以上の乾燥、プレス工程を経ることにより、正極スラリに対し正極活物質合剤の比重は1.25、固形分は30%、負極スラリに対し負極活物質合剤の比重は1.30、固形分は50%となる。
ヒートローラ対24の下流側には、ループ機構25および切断装置26が配設されている。ループ機構25は、正極活物質合剤が塗着されたアルミニウム箔Wの切断装置26への搬送を調整するものであり、切断装置26は、正極活物質合剤が塗着されたアルミニウム箔Wを切断することにより幅方向で4枚分の正極板2に分離するものである。
切断装置26の下流側には、幅方向で4枚分の正極板2に分離されたフープ状の正極板2を巻き取る正極板巻取リールが所定間隔隔てて配設されている。正極板巻取リールは上述した駆動ローラの回転と同期して回転を開始し、分離された4倍幅分の正極板2はロール状にそれぞれ正極板巻取リールを中心として巻き取られる。これにより、ロール状に巻き取られた(フープ状の)正極板2を得ることができる。
電極群7は、軸芯1を捲回中心として、2枚のセパレータ4を介して、正極板2および負極板3が直接接触せず、かつ、正極板2と2枚の積層体20が直接接触しないように捲回されることで構成される。以下、便宜上、電極群7の最内周に配置される(軸芯1の周面に当接する)セパレータを4A、電極群7の最外周に配置されるセパレータを4B、電極群7の内周部に配置される積層体を20A、電極群7の外周部に配置される積層体を20Bとして説明する。
図1に示すように、正極リード片2aを変形させ、その全てを、電極群7の軸芯1のほぼ延長線上にある正極集電リング5の周面付近に集合させ、接触させた後、正極リード片2aの先端部と周面とを超音波溶接して正極リード片2aを周面に接合する。一方、負極集電リング6と負極リード片3aとの接続操作も、正極集電リング5と正極リード片2aとの接合操作と同様に接合する。また、積層体20A、20Bのタブ20aの先端部も同様に負極集電リング6に接合する。なお、タブ20aおよび負極リード片3aの負極集電リング6への接合は同時に行われる。
(1)負極板3の捲回開始部分(捲回群の内側にあたる)に、積層体20を溶接またはリベット、または圧着して接続する。
(2)負極板3の捲回終り部分(捲回群の外側にあたる)に、積層体20を溶接またはリベット、または圧着して接続する。
(3)捲回途中で正負極板を切断し積層体20を溶接またはリベット、または圧着して負極板の端に接続する、さらに、捲回を続ける新たな負極板の端に、前記積層体20の反対端側を溶接またはリベット、または圧着して接続し、さらに捲回を行う。この操作中、セパレータは捲回終了まで切断しない。前記正負極板の切断は複数回行ってもよい。
(4)上記(1)から(3)の少なくとも一つ以上の操作を組み合わせる。
(5)捲回開始部分、捲回終り部分、捲回途中部分の少なくとも一箇所で、積層体20を負極板に直接接触するように配置する。正負極板、セパレータのいずれも途中で切断することはない。
(6)捲回開始部分、又は捲回終り部分、捲回途中部分の負極板に、活物質層非形成部(集電体剥き出しの部分)を予め形成しておき、該活物質層非形成部に積層体20を直接接触するように配置する。正負極板、セパレータのいずれも途中で切断することはない。
次に、本実施形態のキャパシタ30の製造において、積層体20A、20Bの金属リチウムW5の負極活物質(非晶質炭素)への吸蔵方法について説明する。
上記実施の形態において、キャパシタ30の組立体を40℃に管理された貯蔵室に放置した。この放置は、図13に示した製造装置を使用して行ない、組立体を円筒形容器8の軸方向が水平になるように維持して、回転部材32の回転速度を1.4×10−3rpmとした。
そして、回転しながらの放置を開始してから4日経過後に、非水電解液の電極群7への浸透状況(遊離している非水電解液の有無)を、組立体を解体して確認した。また、回転しながらの放置を開始してから30日経過後に、金属リチウムの残存状況を、組立体を解体して確認した。その結果を表1に示す。
キャパシタ30の組立体を40℃に管理された貯蔵室に放置した。この放置は、組立体を円筒形容器8の軸方向が水平になるように維持した定置状態を始終継続した。放置を開始してから4日経過後の非水電解液の電極群7への浸透状況と、30日経過後の金属リチウムの残存状況を、実施例1と同様に確認した。
キャパシタ30の組立体を40℃に管理された貯蔵室に放置した。この放置は、組立体を円筒形容器8の軸方向が水平になるように維持し、放置を開始してから30日経過後までの間に、12時間毎に水平方向の上下を反転させた。放置を開始してから4日経過後の非水電解液の電極群7への浸透状況と、30日経過後の金属リチウムの残存状況を、実施例1と同様に確認した。
また、円筒形容器の軸方向が水平になるように維持した状態で、キャパシタの組立体を円筒形容器の周方向に回転させることにより、金属リチウムが溶解して負極板の活物質合剤に吸蔵されるのを促進できる。
3 負極板
4 セパレータ
5 正極集電リング(正極集電部材)
6 負極集電リング(負極集電部材)
7 電極群
8 円筒形容器
20 積層体
20a タブ
30 キャパシタ
31 水平な軸
32 回転部材
33 収容部
W1 アルミニウム箔(第1の金属箔)
W3 銅箔(金属箔、第2の金属箔)
W5 金属リチウム
Claims (4)
- 金属箔に活物質合剤が塗着された正極板と、金属箔に活物質合剤が塗着された負極板と
をセパレータを介して捲回した電極群と、非水電解液と、前記電極群および前記非水電解
液を収容する円筒形容器と、薄板状の金属リチウムとを備えたリチウムイオンキャパシタの製造方法であって、
前記金属リチウムを多数の貫通孔が形成された孔明き形成部を有する2枚の金属箔孔明き形成部に当接して挟持した積層体を、前記負極板と導通し、前記正極板と絶縁した状態で予め配置しておき、
前記金属リチウムを配置した電極群と前記非水電解液を前記円筒形容器に収容して密封したキャパシタの組立体を作製し、前記組立体を、前記金属リチウムが溶解して前記負極板の活物質合剤を構成する負極活物質に吸蔵されるように所定期間放置し、
前記所定期間放置の全体又は一部の期間において、前記円筒形容器の軸方向が水平にな
るように維持した状態で、前記円筒形容器の外にある水平な軸の回りに前記組立体を回転させる回転部材があり、前記組立体と前記回転部材の軸方向が平行になるように前記組立体が前記回転部材に固定され、前記回転部材は1.7×10 -2 〜3.5×10 −4 rpmの速度で回転することを特徴とするリチウムイオンキャパシタの製造方法。 - 前記金属リチウムを電極群に配置する操作は、前記金属リチウムを前記負極板の捲回開
始前、捲回途中、捲回終了後の少なくとも1箇所に捲回し配置するものであることを特徴
とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。 - 前記組立体を、電極群を構成する正負極板及びセパレータが捲回中心に向かう方向と同
じ方向に回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。 - 金属箔に活物質合剤が塗着された正極板と、金属箔に活物質合剤が塗着された負極板と
をセパレータを介して捲回した電極群と、非水電解液と、前記電極群および前記非水電解
液を収容する円筒形容器と、前記電極群内または前記電極群に隣接して前記正極板とを絶縁した状態で配置した薄板状の金属リチウムとを備え、前記金属リチウムを配置した電極群と前記非水電解液を前記円筒形容器に収容して円筒形容器を密封したリチウムイオンキャパシタ組立体を、前記円筒形容器の軸方向が水平になるように維持した状態で、前記組立体を前記円筒形容器の周方向に回転させものであって、
水平な軸の回りに回転駆動される回転部材と、前記回転部材の回転面内に配置された前
記組立体の収容部とを備え、前記収容部は、複数箇所に配置されるとともに、各収容部は、前記組立体を円筒形容器の軸方向が水平になるように収容するものであり、前記回転部材は1.7×10 -2 〜3.5×10 −4 rpmの速度で回転することを特徴とするリチウムイオンキャパシタの製造装置。
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