JP6724342B2 - 電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法 - Google Patents

電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6724342B2
JP6724342B2 JP2015223367A JP2015223367A JP6724342B2 JP 6724342 B2 JP6724342 B2 JP 6724342B2 JP 2015223367 A JP2015223367 A JP 2015223367A JP 2015223367 A JP2015223367 A JP 2015223367A JP 6724342 B2 JP6724342 B2 JP 6724342B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
negative electrode
resin
positive electrode
porous sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015223367A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017091929A5 (ja
JP2017091929A (ja
Inventor
井上 和彦
和彦 井上
志村 健一
健一 志村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2015223367A priority Critical patent/JP6724342B2/ja
Publication of JP2017091929A publication Critical patent/JP2017091929A/ja
Publication of JP2017091929A5 publication Critical patent/JP2017091929A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6724342B2 publication Critical patent/JP6724342B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)

Description

本発明は、電極を収納できるように筒状に加工された電池用セパレータ、およびこのセパレータを有する電池に関する。本発明はまた、上記セパレータの製造方法および電池の製造方法に関する。
ノート型パソコン、携帯電話、電気自動車などの急速な市場拡大に伴い、キャパシタや二次電池などの蓄電デバイスが盛んに研究されている。中でも二次電池は、より多くのエネルギーを蓄えることができる点で、魅力的である。現在は更に高エネルギー密度の二次電池が求められており、その候補としてスズやシリコンなどの金属あるいはそれらの合金や酸化物を負極活物質として利用することが提案されている。また、リチウム空気電池などの理論容量の大きな電池を用いることも提案されている。しかし、より高エネルギー密度の電池ほど、放出できるエネルギーが大きくなるため、安全性についての配慮がより重要になる。
例えばリチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスにおいて、セパレータは、正極と負極の短絡を防ぎ、リチウムイオンを効果的に移動させる役割を果たす。これまで、ポリプロピレンやポリエチレン材料からなるポリオレフィン系の微多孔質セパレータが主として用いられてきた。その理由は、これらの材料がもつシャットダウン効果が、電池の発熱時の安全性に寄与するためである。しかし、ポリオレフィン系の微多孔質セパレータでは、ポリプロピレンやポリエチレン材料の融点は一般に110℃〜160℃である。そのため、高エネルギー密度の電池に用いた場合、高温時にセパレータの熱収縮が生じ、また、シャットダウン効果が得られる前にセパレータが溶融し、広い面積で電極間の短絡が発生する可能性がある。
このような有機高分子セパレータに代えて、無機材料または有機高分子−無機複合材料をリチウムイオン電池において使用することも提案されている。無機材料は、上述のシャットダウン効果は有しないものの、有機高分子に比べて圧倒的に融点が高いので、むしろ安全性に優れる場合がある。また、有機高分子として、耐熱性の高い材料を用いてセパレータの溶融や収縮を防止することも提案されている。
特許文献1(特許第5644506号)には、高耐熱樹脂であるアラミド(芳香族ポリアミド)樹脂を含有するアラミド多孔質膜を用いたセパレータが開示されている。特許文献2(特許第5587555号)には、さらに高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂を用いたセパレータが開示されている。
特許文献3(国際公開第2006/095579号)には、袋状に加工されたセパレータを用いた積層型電池が開示されている。セパレータは、熱可塑性樹脂からなる2枚のシートを重ね合わせ、その外周縁を連続的または間欠的に熱融着することによって形成される。正極または負極がセパレータの中に収納され、これによって、運搬時の振動等でセパレータがずれて正極と負極との短絡を防止できる。
特許文献4(特開2015−69745号公報)には、アラミド樹脂からなる多孔質膜の少なくとも2辺を結合して袋状としたセパレータが開示されている。多孔質膜の結合方法として、結合部分に溶媒を塗布して貼り合わせた後、乾燥する方法、接着剤を用いる方法、結合部分に低融点の熱可塑性樹脂を挟み、加圧および熱処理する方法、多孔質膜に低温プラズマ処理等の表面処理を施した後、圧縮および加熱により積層する方法、アラミドからなる糸で縫合する方法などが記載されている。特許文献5(特開平5−290822号公報)には、非晶質アラミド樹脂を含む、溶融による袋状加工が可能なセパレータが開示されている。
特許文献6(特開2006−59717号公報)には、アラミドおよび/またはポリイミドからなる繊維を含む繊維集合体によって構成された、シート状または袋状のセパレータが開示されている。繊維集合体を袋状に形成する方法として、熱融着による接合方法が開示されている。特許文献7(国際公開第2014/1999979号)にも、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂といった高耐熱樹脂からなる2枚のシート材を重ね合わせ、その周辺部を噛み合わせることによって袋状に形成したセパレータが開示されている。
特許第5644506号 特許第5587555号 国際公開第2006/095579号 特開2015−69745号公報 特開平5−290822号公報 特開2006−59717号公報 国際公開第2014/1999979号
特許文献1、2に記載された、アラミド樹脂やポリイミド樹脂のような高耐熱性樹脂を用いたセパレータでは、高温時の熱収縮の問題は小さいと考えられる。しかし、高耐熱性樹脂を用いたセパレータでは、特許文献3に記載されたセパレータのように熱融着によって袋状とする加工ができない。結果的に、電池の組み立て時や電池の運搬時にセパレータがずれ、正極と負極が短絡する可能性がある。
一方、特許文献4には、アラミド樹脂からなる多孔質膜を熱溶着によらずに接合する幾つかの方法が記載されているが、これらの方法は、以下に述べるような点で、工業的に生産するうえでの課題がある。溶媒を利用する方法および接着剤を利用する方法では、溶媒や接着剤の塗布方法および塗布量などによっては適切に接合されない場合があることが考えられる。熱可塑性樹脂を用いる方法では、高温時に熱可塑性樹脂が溶融してしまい、接合の機能を果たさなくなるおそれがある。縫合による方法は、実現化が難しい。さらに、低温プラズマ処理による方法は、多孔質膜の表面同士の接合となるため、実接合面での質的な接触面積は小さく、結果的に十分な接合強度が得られないおそれがある。
特許文献5に記載のセパレータでは、非晶質アラミド樹脂を含むことによりセパレータの耐熱性が低下してしまい、高耐熱性樹脂本来の優位性が損なわれる結果となる。
さらに、特許文献6に記載された方法は、実際にアラミド樹脂やポリイミド樹脂を熱融着により接合することは困難である。特許文献7に記載された方法は、シート材同士の機械的な噛み合わせによる接合であるため、十分な噛み合わせ領域を確保しないと十分な接合強度が得られないおそれがある。
そこで本発明は、耐熱性樹脂をセパレータに使用した場合に十分な接合強度で袋状のセパレータを形成できるようにすることによって、電極とセパレータとの位置ずれを防止し、それによって、電池の生産性を向上させつつ、電極間の短絡を防止することを目的とする。
本発明のセパレータは、正極と負極とを対向配置させた電池用のセパレータであって、
互いに対向配置された第1の部分および第2の部分を有する、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する、二つ折りにされた1枚の多孔質シートまたは重ね合わせられた2枚の多孔質シートを有し、
前記第1の部分と前記第2の部分とに跨って存在する部分を有し前記第1の部分と前記第2の部分とを一体化する接合部によって、前記多孔質シートが、前記電池の正極または負極を収納可能とする筒状に形成されている。
本発明の電池は、対向配置された正極および負極と、
上記本発明のセパレータと、
を有し、
前記正極または前記負極が前記セパレータに収納されている。
また本発明はセパレータの製造方法および電池の製造方法を提供する。本発明のセパレータの製造方法は、正極と負極とを対向配置させた電池用のセパレータの製造方法であって、
融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する1枚または2枚の多孔質シートであって、二つ折りにされることによって互いに対向する第1の部分および第2の部分を構成する1枚の多孔質シート、または重ね合わせられることによって互いに対向する第1の部分および第2の部分を構成する2枚の多孔質シートを用意する工程と、
融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を溶解または膨潤させることのできる溶媒を含む接合剤を用いて、前記電池の正極または負極を収納可能とする筒状体が形成されるように、前記第1の部分と前記第2の部分とを一体化する接合部を、前記第1の部分と前記第2の部分とに跨って存在する部分を有して形成する工程と、
を有する。
本発明の電池の製造方法は、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する多孔質シートであって、二つ折りにされることによって互いに対向する第1の部分および第2の部分を構成する1枚の多孔質シート、または重ね合わせられることによって互いに対向する第1の部分および第2の部分を構成する2枚の多孔質シート、正極および負極を用意する工程と、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記正極または前記負極を配置する工程と、
融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を溶解または膨潤させることのできる溶媒を含む接合剤を用いて、前記正極または前記負極を収納可能とする筒状体が形成されるように、前記第1の部分と前記第2の部分とを一体化する接合部を、前記第1の部分と前記第2の部分とに跨って存在する部分を有して形成する工程と、
前記正極または前記負極が前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置され、かつ、前記第1の部分と前記第2の部分とで前記筒状体が形成された後、前記正極と前記負極とを積層することによって電極積層体を得る工程と、
前記電極積層体を電解液とともに外装体内に封入する工程と、
を有する。
本発明によれば、融点またはガラス転移温度が200℃以上の耐熱樹脂を含有する多孔質シートを筒状に形成するための接合部が十分な接合強度で形成されるため、接合部での多孔質シートの破れ等が発生しにくいセパレータを得ることができる。このようなセパレータに正極または負極が収納されることによって、電極とセパレータとの位置ずれが防止され、電極間の短絡を良好に防止することができる。
本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図である。 図1に示す電極積層体の分解斜視図である。 図2に示す負極がセパレータに挿入される前の状態の、負極およびセパレータの斜視図である。 正極端子および負極端子が同じ方向に引き出された本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図である。 本発明によるセパレータの製造方法の一例を説明する図である。 本発明によるセパレータの製造方法の他の例を説明する図である。 本発明におけるセパレータの接合部の断面の一形態を模式的に示す図である。 本発明におけるセパレータの接合部の断面の他の形態を模式的に示す図である。 本発明の電池を備えた電気自動車の一例を示す模式図である。 本発明の電池を備えた蓄電装置の一例を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の形態を詳細に説明する。
[電極積層体および蓄電デバイス]
電極積層体および蓄電デバイスは、電荷を蓄積できるものであれば、種々のデバイスに適用できる。代表的なデバイスとしては、リチウムイオン二次電池などの電池が挙げられるが、その他の二次電池、さらには電気二重層キャパシタ等のキャパシタに適用することが可能である。以下の説明ではリチウムイオン二次電池を例に説明するが、これに限定されるものではなく、本発明が適用されるデバイスの種に応じて、形状、構成および材料を適宜変更することができる。
二次電池は、電極の構造や形状等により、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、コイン型、扁平捲回ラミネート型および積層ラミネート型等、種々のタイプがある。本発明はこれらの何れのタイプにも適用可能である。これらのうち、本発明が適用される二次電池の形状は、セパレータが破れ難い観点から、積層ラミネート型であることが好ましい。以下、積層ラミネート型の二次電池について説明する。
図1を参照すると、電極積層体10と、外装材21、22によって電極積層体10をその厚み方向両側から包囲することによって、電極積層体10を電解液とともに内包する外装体とを有する、本発明の一実施形態による二次電池1の分解斜視図が示されている。電極積層体10には負極端子31および正極端子32が、それぞれ一部を外装体から突出させて接続されている。
電極積層体10は、図2および図3に示すように、複数の負極11と複数の正極12とが交互に位置するように対向配置された構成を有する。セパレータ13は、多孔質シートを用いて筒状に形成された筒状体を有して構成されている。図に示す例では、セパレータ13は全体として一端が開口し他端が閉塞した袋状に形成されており、正極12は、セパレータ13の開口した一端側から挿入されている。これによって、負極11と正極12とはセパレータ13を介して対向配置され、負極11と正極12は、セパレータ13によって互いに絶縁状態を保っている。
負極11は、金属箔で形成することができる負極集電体11aと、負極集電体11aの両面または片面に形成された負極活物質11bとを有する。負極集電体11aは、セパレータ13と対向する部分から延長した延長部を有して形成され、この延長部には負極活物質11bは形成されていない。
正極12も、負極11と同様、金属泊で形成することができる正極集電体12aと、正極集電体12aの両面または片面に形成された正極活物質12bとを有する。正極集電体12aは、セパレータ13に収納された部分から延長した延長部を有して形成され、この延長部には正極活物質12bは形成されていない。
負極11および正極12は、それぞれの延長部が互いに反対方向に向かって延びるように積層される。複数の負極11は、延長部同士が溶接によって電気的に接続されて、図1に示す負極タブ10aを形成する。複数の正極12も、延長部同士が溶接によって電気的に接続されて、図1に示す正極タブ10bを形成する。負極端子31は負極タブ10aに電気的に接続され、正極端子32は正極タブ10bに電気的に接続される。
このような平面的な積層構造を有する電極積層体10は、曲率半径の小さい部分(捲回構造の巻き芯に近い領域)がないため、捲回構造を持つ電極素子に比べて、充放電に伴う電極の体積変化に対する影響を受けにくいという利点がある。すなわち、体積膨張を起こしやすい活物質を用いた電極積層体に有効である。
なお、図1〜3に示す例では、負極端子31および正極端子32が互いに反対方向に引き出されているが、負極端子31および正極端子32の引き出し方向は任意であってよい。例えば、図4に示すように、電極積層体10の同じ辺から負極端子31および正極端子32が引き出されていてもよいし、図示しないが、電極積層体10の隣り合う2辺から負極端子31および正極端子32がそれぞれ引き出されていてもよい。いずれの場合でも、負極11および正極12の活物質に覆われていない延長部(タブ)は、負極端子31および正極端子32が引き出される位置に対応した位置に形成される。
また、図に示した例では、正極12をセパレータ13に収納しているが、負極11と正極12がセパレータ13を介して対向する構成とすることができれば、正極12ではなく負極11をセパレータ13に収納することもできる。さらには、負極11および正極12をそれぞれセパレータ13に収納し、セパレータ13に収納された負極11と、セパレータ13に収納された正極12とを対向配置してもよい。
上記のとおり、セパレータ13を筒状とし、その中に負極11または正極12を収納することで、セパレータ13の位置ずれ防止することができる。
以下、上述した二次電池を構成する各要素について詳細に説明する。
(セパレータ)
セパレータ13は、耐熱樹脂を基材として含有する多孔質シートを扁平な筒状に形成した筒状体として構成されている。筒状体は、正極12または負極11を収容できるサイズを有している。正極12または負極11が筒状体に収納されることで、正極12と負極11との間に存在する筒状体の部分を介して正極12と負極11とが対向配置され、正極12と負極11との短絡を防止するセパレータとして機能する。多孔質シートは、電気伝導性を有しておらず、正極12と負極11との短絡を防止でき、かつ、イオン伝導性を有するように筒状体を構成することができるものであれば、任意の無機フィラーおよび/または有機フィラーを含んでいてもよい。また、無機多孔質層が多孔質シートに積層されていてもよい。
多孔質シートに含有される耐熱樹脂としては、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂であることが好ましく、より好ましくは、融点またはガラス転移温度が250℃以上である。そのような樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂(芳香族ポリイミド樹脂)、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。耐熱樹脂が含有できる、または上記無機多孔質層を構成することができる無機フィラーとしては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化チタン、BaTiO、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物等の無機酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化硼素等の無機窒化物粒子;シリコーン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子等が挙げられる。これらの無機フィラーは、元素置換、表面処理、あるいは固溶体化等が必要に応じて実施されていてもよい。また、これらの無機フィラーは、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組合せられて用いられてもよい。これらの無機フィラーの中でも、電解液中での安定性と電位安定性の観点から特に好ましいのは無機酸化物粒子である。
筒状体は、両端が開口した形態だけでなく、一端のみが開口し他端が閉塞した袋状の形態であってもよい。筒状体一端のみが開口した筒状体は、正極12または負極11をより安定に保持でき、正極12と負極11との短絡をより効果的に防止できることから、好ましく用いることができる。
筒状体は、図5に示すように、2枚の多孔質シートを重ね合わせることによって互いに対向配置された第1の部分131と第2の部分132とを、例えば外縁に沿った適宜部位で接合することによって構成することができる。あるいは、図6に示すように、1枚の多孔質シートを二つ折りにすることによって互いに対向配置された第1の部分131と第2の部分132とを、例えば外縁に沿った適宜部位で接合することによっても筒状体を構成することができる。いずれの場合においても、第1の部分131と第2の部分132とを接合することによって、筒状体は、第1の部分131と第2の部分132とが接合された部分である接合部133を有している。この接合部133では、第1の部分131と第2の部分132とは一体化されている。
ここで、第1の部分131および第2の部分132は、1つのセパレータ13が1枚の多孔質シートから作られるか2枚の多孔質シートから作られるかにかかわらず、1つのセパレータ13を構成する多孔質シートの部分を意味する。また、向かい合って配置される第1の部分131および第2の部分132は、好ましくは同じサイズおよび形状を有しているが、正極12または負極11を覆うことができれば、サイズおよび形状は互いに異なっていてもよい。図示した形態では、第1の部分131および第2の部分132は、同じサイズおよび形状を有している。
接合部133の形成は、正極12または負極11が第1の部分131と第2の部分132との間に配置された後に行ってもよいし、配置される前に行ってもよい。正極12または負極11が第1の部分131と第2の部分132との間に配置された後に接合部133を形成することによって、接合部133の形成と同時に、正極12または負極11が収納されたセパレータ13が得られる。また、正極12または負極11が第1の部分131と第2の部分132との間に配置される前に接合部133を形成する場合は、接合により形成された筒状のセパレータ13に正極12または負極11が挿入され、これによって、正極12または負極11が収納されたセパレータ13が得られる。
接合部133の形成には接合剤が用いることができる。接合剤として、例えば、融点またはガラス転移温度が200℃以上の耐熱樹脂を溶解または膨潤させることができる溶媒を用いることができる。耐熱樹脂は、分子間力が強いため極性溶媒により溶解することが可能である場合が多い。このような溶媒としては、たとえば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロロメタンアセトン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチルウレア(TMUA)などが挙げられる。
溶媒は、多孔質シートの第1の部分131および第2の部分132の少なくとも一方の互いの対向面の接合部133を形成する部位に塗布される。溶媒の塗布後、少なくとも溶媒が塗布された部分で第1の部分131と第2の部分132とを密着させ、この状態を維持したまま、乾燥などによって溶媒が除去される。
塗布された溶媒は、多孔質シートの空隙内に浸透し、耐熱樹脂を溶解または膨潤させる。溶媒の塗布後、第1の部分131と第2の部分132との密着状態が維持されるので、溶媒による耐熱樹脂の溶解または膨潤は、第1の部分131および第2の部分132の双方で生じる。これにより、溶媒が塗布された部分では第1の部分131と第2の部分132との境界は実質的に消失し、また、空隙も実質的に消失する。その結果、図7に模式的に示すように、溶媒が除去されることによって形成される接合部133では、第1の部分131と第2の部分132とは、他のいかなる部材が介在せず第1の部分131および第2の部分132に跨る一つの層として構成される。つまり、接合部133では、第1の部分131と第2の部分132とを跨って存在する部分を有しており、これによって第1の部分131と第2の部分132とが一体化される。また、接合部133では、空隙が存在しないか、または他の部分と比較して空隙率が低くなっている。
一方、接合剤には、多孔質シートに含有される耐熱樹脂として例示した上述の樹脂をこれらの溶媒で溶解した溶液(以下、「樹脂溶液」という)を用いることも可能である。そのような溶液として具体的には、ポリアミド樹脂やアラミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂)をNMPに溶解した溶液、ポリフェニレンスルフィド樹脂をジフェニルエーテル、NMPまたはN−Cyclohexylprrolidoneに溶解した溶液、ポリスルホン樹脂をジクロロメタンまたはメチルピロリドンに溶解した溶液、ポリエーテルスルフォン樹脂をNMP、テトレメチルウレア、DMAc、DMSOまたはDMFに溶解した溶液、ポリエーテルイミド樹脂をNMPに溶解した溶液、ポリエーテルエーテルケトン樹脂をDMSO、DMA、クロロホルムまたはTHFに溶解した溶液、ポリアミドイミド樹脂をNMP、DMAc、DMFまたはDMSOに溶解した溶液などが挙げられる。

接合剤として樹脂溶液を用いる場合であっても、樹脂溶液は、溶媒と同様、多孔質シートの第1の部分131および第2の部分132の少なくとも一方の互いの対向面の接合部133を形成する部位に塗布される。また、塗布後に第1の部分131と第2の部分とを少なくとも樹脂溶液が塗布された部分で密着させ、この状態を維持したまま、乾燥などによって溶媒が除去されることも、接合剤として溶媒を用いた場合と同様である。
ただし、第1の部分131と第2の部分132との一体化の形態は、樹脂溶液中の溶媒が第1の部分131および第2の部分132を構成する多孔質シートに含まれる耐熱樹脂を溶解または膨潤させ得るか否かによって異なる。
樹脂溶液中の溶媒が、多孔質シートに含まれる耐熱樹脂を溶解または膨潤させ得る溶媒である場合は、耐熱樹脂は樹脂溶液によって溶解または膨潤する。そのため、接合剤として溶媒を用いた場合と同様、第1の部分131と第2の部分132とは、両者に跨る一つの層として構成された合部133によって一体化される。
ところが、樹脂溶液中の溶媒が、多孔質シートに含まれる耐熱樹脂を溶解または膨潤させることのできない溶媒である場合、塗布された樹脂溶液は、第1の部分131および第の部分132の空隙内に浸透する。空隙内に浸透した樹脂溶液から溶媒が除去されると、樹脂溶液中の耐熱樹脂が空隙内に残り、空隙内で固化する。図8に示すように、空隙内で固化した耐熱樹脂のうち第1の部分131および第2の部分132の両方に跨って存在する部分134が第1の部分131と第2の部分132とを固定するアンカーとして機能し、これによって第1の部分131と第2の部分132とが一体化された接合部133が形成される。また、接合部133では、第1の部分131および第2の部分132の空隙は、樹脂溶液に含まれていた樹脂が充填されているため、空隙は実質的に存在していない。
以上のように、第1の部分131と第2の部分132との接合部133が、第1の部分131と第2の部分132とに跨って存在する部分を有して構成されることにより、第1の部分131と第2の部分132とが十分な接合強度で接合される。その結果、接合部133での破れが発生しにくい筒状のセパレータ13を得ることができる。このようなセパレータ13に正極12または負極11が収納されることによって、電池の製造中から電池として完成した後までの電極(正極12および負極11)とセパレータ13との位置ずれが防止され、電極間の短絡を良好に防止することができる。
また、接合部133の、第1の部分131と第2の部分132とに跨って存在する部分は、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂で構成されている。そのため、例えば異常発生により電池が高温になった場合であってもこの跨って存在する部分が溶融したり軟化したりせず、第1の部分131と第2の部分132との接合状態が良好に維持される。
多孔質シートへの溶媒または樹脂溶液の塗布に際し、多孔質シートは、これら溶媒または樹脂溶液の浸透性に優れており、溶媒または樹脂溶液が浸透した領域では、多孔質シートの多孔性が喪失する。そのため、溶媒または樹脂溶液の塗布量が多すぎると、多孔性が喪失する領域が拡がりすぎてセパレータ13としての機能が失われるおそれがある。よって、溶媒または樹脂溶液は塗布量が十分に管理されることが重要である。塗布量を良好に管理可能な塗布方法としては、例えば、スタンプを用いて溶媒または樹脂溶液を多孔質シートに転写する方法、溶媒または樹脂溶液を微細なノズルより吐出する方法(インクジェット法)または噴霧する方法(スプレー法)、マイクロディスペンサーにより微量の溶媒または樹脂溶液を添加する方法などが挙げられる。
接合部133は、正極12または負極11の周囲となる位置であれば、部分的に形成されてもよいし線状に連続的に形成されてもよい。ただし、接合部133の接合強度は、接合部の面積に依存し、一般に接合部の面積が大きいほど高い接合強度が得られることから、セパレータ13が筒状の形態を良好に維持できるようにするためには、接合部133は線状に形成することが好ましい。この観点から言えば、接合部133を部分的に形成する場合は、接合部133が点線状に形成されることが好ましい。接合部133を点線状に形成した場合、セパレータ13内に収納された正極12または負極11に電解液を含浸させる際に、接合部133の点線状の隙間を通じて電解液がセパレータ13に浸入しやすくなる。その結果、電池の製造時間を短縮することができる。
接合部133の幅は、第1の部分131と第2の部分132とを良好に接合するためには0.05mm以上であることが好ましく、また、より高い接合強度が得られるという観点からは、0.1mm以上であることがより好ましい。一方、接合部133の幅が広すぎると、セパレータ13の面積が、収納される正極12または負極11の面積に比べて大きくなり、電池自体の大型化を招く。このことは、単位体積当たりの電池容量が小さくなったり、単位重量当たりの電池容量が小さくなったりすることを意味する。したがって、接合部133の幅は、3mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下である。
ここで、接合部133の幅とは、セパレータ13の外表面から見た、接合部133の長さ方向に垂直な方向の寸法をいう。セパレータ13は多孔質シートから作られており多数の空隙を有しているが、前述したように、接合部133では、空隙が存在しないか、または他の部分と比較して空隙率が低くなっている。よって、セパレータ13は、この空隙率の違いに起因する光の透過率の違いから、例えばセパレータ131の外表面からの目視観察または拡大観察などによって、接合部133と接合部133以外の部分とを区別することができる。
接合部133を形成するための溶媒または樹脂溶液の塗布量は、0.1μL/cm〜3μL/cmであることが好ましく、特に、厚みが15〜30μm、空隙率が30〜30%の多孔質シートに塗布する場合は、0.45μL/cm〜2.4μL/cmとすることが好ましい。上述した、塗布量を良好に管理可能な塗布方法によれば、こういった塗布量での溶媒または樹脂溶液の塗布を容易に行うことができる。また、転写によって塗布する場合、溶媒または樹脂溶液を適切な量で塗布するためには、スタンプの少なくとも転写面となる部分が、不織布または多孔質体で構成されることが好ましい。
なお、多孔質シートに溶媒または樹脂溶液を塗布する際、実際には、塗布された溶媒または樹脂溶液は多孔質シートの空隙に浸透して拡がる。そのため、最終的に得られる接合部133の幅を上記のような好ましい幅とするためには、溶媒または樹脂溶液の塗布幅は、その拡がりを考慮した幅とすることが好ましい。ただし、上述したような塗布量を良好に管理可能な塗布方法で塗布する場合は、溶媒または樹脂溶液の拡がりを最小限に抑制できることから、溶媒または樹脂溶液の塗布幅は接合部133の幅と実質的に等しいと考えて差し支えない。
溶媒または樹脂溶液の塗布後、多孔質シートの第1の部分131と第2の部分132との接合を促すため、溶媒または樹脂溶液が塗布された領域で第1の部分131と第2の部分132とを加圧することが好ましい。さらに、接合部133とされる領域に超音波を照射しながら加圧すると、第1の部分131と第2の部分132との境界部での、溶解した耐熱樹脂(ここでいう耐熱樹脂は、多孔質シートに含まれる耐熱樹脂であってもよいし、樹脂溶液に含まれる耐熱樹脂であってもよい。)の混合が促されるため、より好ましい。
溶媒の除去に際しては、溶媒または樹脂溶液が塗布された多孔質シートの部分を加熱することが好ましい。これにより、溶媒の揮発による除去が促進される。また、溶媒が多孔質シートの耐熱樹脂を溶解し得る溶媒である場合は、溶媒塗布部での溶媒による多孔質シートの溶解を促進することもできる。このときの多孔質シートの加熱温度は、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは50℃以上である。加熱温度が高ければ高いほど、多孔質シートの溶解がより促進される。ただし、溶媒の沸点近い温度では、揮発性が高くなり過ぎ、第1の部分131と第2の部分132との接合が困難になる場合がある。この観点からは、多孔質シートの加熱温度は溶媒の沸点以下であることが好ましく、より好ましくは、溶媒の沸点より30℃以上低い温度、さらに好ましくは溶媒の沸点より50℃以上低い温度である。また、溶媒除去のための加熱は、減圧環境下で行うことが好ましい。これにより、沸点以下の温度でも溶媒の蒸気圧を高めることができ、その結果、耐熱樹脂やその他の材料の熱劣化を引き起こすことなく、溶媒の乾燥除去を促進することができる。
多孔質シートの形態としては、多孔質フィルム、織布や不織布といった繊維集合体、および微多孔膜など、任意の形態を採用することができる。これらの中でも微多孔膜は、リチウムが析出しにくく、正極と負極との短絡を抑制することができることから特に好ましい。また、多孔質シートは、負極側の表面の空隙径が小さいほうが、リチウムの析出を抑制でき、好ましい。
多孔質シートの空隙率は、パレータとして要求される特性に応じて適宜設定することができる。例えば、電池の良好なレート特性を得るためには、空隙率は35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。また、セパレータとしての機械的強度を高めるためには、多孔質シートの空隙率は80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。
多孔質シートの空隙率は、JIS P 8118に準じて嵩密度を測定し、下記式により計算することができる。
Figure 0006724342
Figure 0006724342
空隙率の他の測定方法としては、電子顕微鏡による直接観察法、水銀ポロシメータによる圧入法なども挙げられる。
多孔質シートの平均空隙径は、1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。また、荷電体を良好に透過させるため、多孔質シートは負極側の表面での空隙径が0.005μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上である。
平均空隙径の一例として、多孔質シートの平均空隙径は、アラミド樹脂からなる微多孔フィルムの場合で0.5μm程度、ポリイミド樹脂からなる微多孔フィルムの場合で0.3μm程度、ポリフェニレンスルフィド樹脂からなる微多孔フィルムの場合で0.5μm程度であってもよい。
多孔質シートの空隙径は、STM−F−316記載のバブルポイント法およびミーンフロー法により求めることができる。また、平均空隙径は、多孔質シートの任意の5箇所においてそれぞれ空隙径を測定し、その測定値の平均値とすることができる。
多孔質シートの厚みは、絶縁性および機械的強度を維持する観点からは厚いほうが好ましい。一方、電池のエネルギー密度向上の観点からは薄いほうが好ましい。具体的な値としては、正極と負極との短絡防止および十分な耐熱性付与のため、多孔質シートの厚みは3μm以上であることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは8μm以上である。一方、通常要求されるエネルギー密度など、電池の仕様に対応するために、多孔質シートの厚みは、40μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。一例として、アラミド樹脂からなる微多孔フィルム、ポリイミド樹脂からなる微多孔フィルムおよびポリフェニレンスルフィド樹脂からなる微多孔フィルムのいずれの場合も、多孔質シートの厚みは20μm程度とすることができる。
セパレータの高温での絶縁性を示す指標として、絶縁層の厚みTsを用いることができる。多孔質シートには空隙があり、電極合剤層にも空隙がある。電極およびセパレータは、過充電等で局部的に400℃になることもある。したがって、この場合、400℃での絶縁性が重要である。400℃以下で溶融する樹脂は、セパレータの空隙を失うことにより、絶縁性能が低下する。また、溶融した樹脂が電極合剤層の空隙に入り込むことにより、電極間の間隔が狭まり絶縁性能が低下する。400℃での絶縁層の厚み(Ts)は、3μm以上であることが好ましく、より好ましくは5μm以上である。
多孔質シートには、無機多孔質層を積層することができる。無機多孔質層の積層には無機バインダおよび有機バインダを用いることができる。無機バインダとしては、特に限定はされず、シリカ系材料、アルミナ系材料、シリカアルミナ系材料、アルミニウム系、リン酸アルミニウム系材料、銀系等を用いることができる。有機バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びこれらの高分子の共重合体を好適に用いることができる。これらのバインダは、単独の材料が用いられてもよいし、2種以上の材料を混合したものが用いられてもよい。
セパレータのイオン伝導度の値は、電池の内部抵抗値に大きく影響するため、大きいほうが好ましい。たとえば、リチウム二次電池の電解液は、10-3S/cmであり、これを浸漬した状態で、10−4〜10−6S/cmであることが望ましい。
(負極)
負極は、負極活物質が、負極結着剤により一体化された負極活物質層として集電体上に積層された構造を有する。負極活物質は、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料である。
本発明の一形態において、負極は、金属および/または金属酸化物ならびに炭素を負極活物質として含む。金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。また、金属や金属酸化物を、たとえば蒸着などの方法で、炭素等の導電物質を用いて被覆することでも、同様に電気伝導度を向上させることができる。
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属および金属酸化物は、リチウムの受容能力が炭素に比べて遥かに大きいことが特徴である。したがって、負極活物質として金属および金属酸化物を多く使用することで電池のエネルギー密度を改善することができる。高エネルギー密度を達成するため、負極活物質中の金属および/または金属酸化物の含有比率が高い方が好ましく、負極に含まれる炭素のリチウム受容可能な量が、正極のリチウム放出可能な量より少なくなるように、金属および/または金属酸化物を負極中に配合する。本明細書において正極のリチウム放出可能な量、負極に含まれる炭素のリチウム受容可能な量は、それぞれの理論容量を意味する。正極のリチウム放出可能な量に対する負極に含まれる炭素のリチウム受容可能な量の比率は、0.95以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。金属および/または金属酸化物は、多いほど負極全体としての容量が増加するので好ましい。金属および/または金属酸化物は、負極活物質の0.01質量%以上の量で負極に含まれることが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。しかしながら、金属および/または金属酸化物は、炭素にくらべてリチウムを吸蔵・放出した際の体積変化が大きくなり、電気的な接合が失われる場合があることから、99質量%以下、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上述した通り、負極活物質は、負極中の充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料であり、それ以外の結着剤などは含まない。
負極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。前記のもの以外にも、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。SBR系エマルジョンのような水系の結着剤を用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある十分な結着力と高エネルギー化の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。上記の負極用結着剤は、混合して用いることもできる。
負極活物質は、導電補助材と共に用いることができる。導電補助材としては、具体的には、正極において具体的に例示するものと同様のものを挙げることができ、その使用量も同様とすることができる。
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
負極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、繊維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(昭和電工製VGCF(登録商標))等が挙げられる。
負極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
(正極)
正極とは、電池内における高電位側の電極のことをいい、一例として、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な正極活物質を含み、正極活物質が正極結着剤により一体化された正極活物質層として集電体上に積層された構造を有する。本発明の一形態において、正極は、単位面積当たりの充電容量を3mAh/cm以上有し、好ましくは3.5mAh/cm以上有する。また、安全性の観点などから単位面積当たりの正極の充電容量が、15mAh/cm以下であることが好ましい。ここで、単位面積当たり充電容量とは、活物質の理論容量から計算される。すなわち、単位面積当たりの正極の充電容量は、(正極に用いられる正極活物質の理論容量)/(正極の面積)によって計算される。なお、正極の面積とは、正極両面ではなく片面の面積のことを言う。
正極の高エネルギー密度化のため、正極に使用される正極活物質は、リチウムを受容放出するもので、より高容量の化合物であることが好ましい。高容量の化合物としては、リチウム酸ニッケル(LiNiO)のNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) (A)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものを用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜10質量部が好ましい。
正極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(例えば、昭和電工製VGCF)等が挙げられる。
正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。特に正極としては、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン系のステンレスを用いた集電体が好ましい。
正極は、負極と同様に、正極集電体上に、正極活物質と正極用結着剤を含む正極活物質層を形成することで作製することができる。
(電解液)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の電解液としては特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水溶媒と支持塩を含む非水電解液が好ましい。
非水溶媒の例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類等の非プロトン性有機溶媒、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換したフッ素化非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。
金属または金属酸化物を負極に含む二次電池において、それらが劣化して崩壊することで、表面積が増大し電解液の分解を促進する場合がある。電解液の分解により生じるガスは負極のリチウムイオンの受容を阻害する要因の1つである。このため、本発明のように金属および/または金属酸化物の負極中の含有比率が多いリチウムイオン二次電池においては、耐酸化性が高く、分解しにくい溶媒が好ましい。耐酸化性の強い溶媒として、例えば、フッ素化エーテルやフッ素化リン酸エステルなどのフッ素化非プロトン性有機溶媒が挙げられる。
その他にもエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類も特に好ましい溶媒として挙げられる。
非水溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。低コスト化の観点からはLiPFが好ましい。
電解液は、さらに添加剤を含むことができる。添加剤としては特に限定されるものではないが、ハロゲン化環状カーボネート、不飽和環状カーボネート、及び、環状または鎖状ジスルホン酸エステル等が挙げられる。これらの化合物を添加することにより、サイクル特性等の電池特性を改善することができる。これは、これらの添加剤がリチウムイオン二次電池の充放電時に分解して電極活物質の表面に皮膜を形成し、電解液や支持塩の分解を抑制するためと推定される。
次に、上述した電池の製法および応用例等を説明する。
[二次電池の製造方法]
前述した積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、前述のようにして複数の正極12および複数の負極11を作製する。
次に、乾燥空気または不活性雰囲気において、筒状に形成されたセパレータ13に正極12が収納された正極入りセパレータを作製する。正極入りセパレータの作製は、前述したように、正極12を第1の部分131と第2の部分132との間に配置した後に第1の部分131と第2の部分132とを接合することによって作製することができる。この場合は、正極タブ10bがセパレータ13から延長する部分を除いて正極12の全周にわたって接合部133を形成してもよい。あるいは、2辺または3辺で第1の部分131と第2の部分132とが接合された筒状のセパレータ13を作製した後に、このセパレータ13に正極12を挿入することによって、正極入りセパレータを作製することもできる。この場合は、セパレータ13に正極12を挿入した後に、接合されていない残りの辺で第1の部分131と第2の部分132とを接合することによって、正極タブ10bがセパレータ13から延長する部分を除いて正極12の全周にわたって接合部133を形成することができる。
以上のようにして複数の正極入りセパレータを作製し、これらを負極11と交互に重ね合わせる。このとき、正極入りセパレータおよび負極11の向きを、負極11ごとおよび正極入りセパレータごとに揃え、負極11の延長部同士および正極12の延長部同士をそれぞれ接合し、負極タブ10aおよび正極タブ10bを形成する。これにより、複数の正極12および複数の負極11がセパレータ13を介して積層された電極積層体10が作製される。正極12および負極11の積層数は、目的とする電池の容量に応じて決定される。なお、上記の例では正極12のみをセパレータ13に収納しているが、負極11のみをセパレータ13に収納することも可能である。
次に、負極タブ10aに負極端子31を接合するとともに、正極端部10bに正極端子32を接合する。これら端子の接合後、電極積層体10を外装体に収納する。外装体としてラミネートフィルムを用いた場合、電極積層体10の周囲でラミネートフィルムを熱融着することによって、外装体へ電極積層体10を収納することができる。このとき、負極探知31および正極端子32は外装体から突出させた状態とされる。また、ラミネートフィルムは、後工程で電解液を注入するための開口部となる部分を残して熱融着される。
外装体への電極積層体10の収納後、外装体の開口部から電解液を注入し、電極積層体10に電解液を含浸させる。その後、開口部を封入し、これによって二次電池が製造される。
上述した積層構造の電池は、一般的なセパレータを用いた場合に熱収縮によるセパレータの変形や位置ずれが生じやすいことから、本発明により大きな作用効果が得られる好ましい形態の1つである。
[組電池]
複数の二次電池を組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係る2以上の二次電池を、直列および/または並列に接続した構成とすることができる。二次電池の直列数および並列数はそれぞれ、組電池の目的とする電圧および容量似応じて適宜選択することができる。
[車両]
上述した二次電池またはその組電池は、車両に用いることができる。二次電池または組電池を利用できる車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車等の移動体の各種電源として用いることもできる。このような車両の一例として、図9に電気自動車の模式図を示す。図9に示す電気自動車200は、上述した二次電池を複数、直列および並列に接続し、必要とされる電圧および容量を満たすように構成された組電池210を有する。
[蓄電装置]
上述した二次電池またはその組電池は、蓄電装置に用いることができる。二次電池または組電池を利用した蓄電装置としては、例えば、一般家庭に供給される商用電源と家電製品等の負荷との間に接続され、停電時等のバックアップ電源や補助電源として使用されるものや、太陽光発電等の、再生可能エネルギーによる時間変動の大きい電力出力を安定化するための、大規模電力貯蔵用としても使用されるものが挙げられる。このような蓄電装置の一例を、図10に模式的に示す。図10に示す蓄電装置300は、上述した二次電池を複数、直列および並列に接続し、必要とされる電圧および容量を満たすように構成された組電池310を有する。
[その他]
さらに、上述した二次電池またはその組電池は、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源などとしてもとして利用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
(正極の作製)
層状リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.8Co1.5Al0.05)と、カーボンブラック(商品名:「#3030B」、三菱化学株式会社製)と、ポリフッ化ビニリデン(商品名:「W#7200」、株式会社クレハ製)とを、それぞれ93:2:5の質量比で計量した。これらと、N−メチルピロリドン(NMP)とを混合し、スラリーとした。NMPと固形分との質量比は54:46とした。このスラリーを正極活物質として厚さ15μmのアルミニウム箔(正極集電体)にドクターブレードを用いて塗布した。このスラリーが塗布されたアルミニウム箔を120℃で5分間加熱してNMPを乾燥し、正極を作製した。
(負極の作製)
人造黒鉛とカルボキメチルセルロース(CMC)の1質量%の水溶液を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製 あわとり錬太郎 ARE−500)を用いて混練し、その後スチレンブタジエン共重合体(SBR)を加え、負極スラリーを調製した。人造黒鉛とCMCとSBRとの質量比は97:1:2とした。このスラリーを負極活物質として厚さ10μmの銅箔(負極集電体)上にドクターブレードで塗布した後、110℃で5分間加熱乾燥し、負極を作製した。
(セパレータの作製)
セパレータには、多孔質シートとして単層の全芳香族ポリアミド(アラミド)微多孔膜を用いた。このアラミド微多孔膜は、厚みが25μm、平均空隙径が0.5μm、空隙率が60%であった。このアラミド微多孔膜を長方形に切断し2枚重ねた。次に、重ねた2枚のアラミド微多孔膜を80℃のホットプレート上に載せ、二つ折りにしてNMPを含浸させたろ紙をアラミド微多孔膜の周辺部3辺に沿って押し付け、NMPを転写した。NMPの塗布量は、別途行ったホットプレートを用いない常温での転写試験において、1.0μL/cmであることを重量法により確認した。アラミド微多孔膜はそのままホットプレート上で1時間放置した。これによって、NMPが転写された部分で2枚のアラミド微多孔膜が一体化された接合部がアラミド微多孔膜の3辺に沿って線状に形成された袋状のセパレータを得た。なお、得られたセパレータの重量を測定したところ、NMPは乾燥して失われていることを確認した。また、得られた接合部の幅は0.1mmであった。さらに、得られたセパレータについて、接合部を目視で確認することによって、接合性の評価を行った。
また、接合部の耐熱性および収縮性を確認する目的で、得られたセパレータを200℃のホットプレート上で10分間加熱した。加熱後のセパレータについて、接合部での剥がれの有無および収縮の有無を目視で確認することによって、耐熱性の評価および収縮性の評価を行った。
(二次電池の作製)
次に、正極タブとなる正極活物質の未塗布部を有するように複数の正極を切り出した。切り出した複数の正極を、乾燥空気または不活性雰囲気において、袋状に加工したセパレータに1枚ずつ格納した。負極についても、正極と同様、負極タブとなる負極活物質の未塗布部を有するように複数の負極を切り出した。セパレータに格納された複数の正極と複数の負極とを、それぞれの活物質の未塗布部が互いに反対向きになるように、交互に重ね合わせて電極積層体を形成した。正極の正極活物質の未塗布部をまとめて正極端子と接合するとともに、負極の負極活物質の未塗布部をまとめて負極端子と接合した。次に、この電極積層体を、外装体(容器)に収容し、非水電解液を注入して、電極積層体に電解液を含浸させた。電解液には、電解質として1.0mol/lのLiPFと、非水電解溶媒としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(7:3(体積比))を含む溶液を用いた。その後、外装体の開口部を封止して二次電池を完成した。
上述のように作製した二次電池について、振動を与えた。振動は、15分間で振動数7Hzから200Hzを経由して7Hzに復帰する掃引振動とし、これを、X,Y,Zの3方向についてそれぞれ12セットずつ実施した。電池に振動を与えた後、初回放電容量を測定した。初回充放電の条件は、0.05Cの電流、20℃環境下、4.2V上限、2.5V下限とした。このとき、短絡により充電できなかったものを、振動試験後の短絡としてカウントした。
[実施例2]
セパレータの作製において多孔質シートを接合するのに、アラミド樹脂を10質量%溶解したNMP溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
[実施例3]
多孔質シートとしてポリイミド微多孔膜(厚み20μm、平均空隙径0.3μm、空隙率80%)を用い、これを袋状とする接合部を形成するために塗布した溶液の塗布量を3μL/cmとしたこと以外は、実施例2と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
[実施例4]
多孔質シートとしてポリフェニレンスルフィド微多孔膜(厚み20μm、平均空隙径0.5μm、空隙率40%)を用いたこと以外は、実施例2と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
[実施例5]
多孔質シートの接合に用いたホットプレートの温度を120℃としたこと以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
[実施例6]
多孔質シートの接合に用いたホットプレートの温度を120℃としたこと以外は、実施例3と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
[実施例7]
多孔質シートの接合に用いたNMPの塗布量を10μL/cm2としたこと以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。多孔質シートの接合部分にシワが生じたため作業性が悪く、正極を格納するのに実施例1の2倍の時間を要した。
[比較例1]
多孔質シートとしてポリイミド微多孔膜(厚み20μm、平均空隙径0.3μm、空隙率80%)を用い、それを袋状とする接合部を形成するために塗布したNMPの塗布量を3μL/cmとしたこと以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。ただし、多孔質シートは接合されず袋状のセパレータを得ることができなかったため、正極と負極を交互に積層し、それぞれのタブを電極端子と接合した後に、各電極間にシート状のセパレータを挟むことにより電極積層体を形成した。
[比較例2]
セパレータの作製において多孔質シートを接合するのにエタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。ただし、多孔質シートは接合されず袋状のセパレータを得ることができなかったため、正極と負極を交互に積層し、それぞれのタブを電極端子と接合した後に、各電極間にシート状のセパレータを挟むことにより積層体を形成した。
[比較例3]
セパレータの作製において多孔質シートを接合するのに、ポリスチレン樹脂を10質量%溶解したトルエン溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
表1に、実施例1〜7および比較例1〜3について、セパレータの主な作製条件、多孔質シートの接合部の評価結果、および得られた二次電池の振動試験結果を示す。表1において、接合性についての評価結果は、剥がれが生じていないものについては「○」、剥がれが生じているものについては「×」で表した。接合部の耐熱性の評価結果は、剥がれの発生が認められなかったものについては「○」、剥がれの発生が認められたものについては「×」で表した。収縮性の評価結果は、加熱の前後で収縮による皺の発生やセパレータの変形など、外観上の変化が認められなかったものは「○」、収縮は認められないが接合部の周辺に皺が認められたものは「△」、接合部以外での皺の発生やセパレータの変形など、加熱の前後で外観上の変化が認められたものは「×」で表した。
Figure 0006724342
実施例1、5および7は、いずれもアラミドで作られた微多孔膜を多孔質シートとして用いたうえで、アラミドを溶解することが可能なNMPを接合剤として用いることで、袋状への加工が行えた。ただし、実施例5は接合時の温度が高かったため、乾燥は早いものの溶解性が高くなり、均一な接合性に劣る結果となった。また、実施例7は過剰量のNMPを用いたため、含浸性の高い微多孔膜に対して接合剤を均一な線状に塗布することができず、実施例1、5と比較して皺状に拡がりをもった接合部が形成された。一方、比較例1では、接合剤としてNMPを用いたが、多孔質シートとしてはポリイミドで作られた微多孔膜を用いた。ポリイミドはNMPに溶解も膨潤もしなかったため、結果的に、ポリイミド微多孔膜を接合することができなかった。
実施例2,3,4および6では、接合剤としてアラミド溶液を用いた。アラミド溶液は、実施例3や6で多孔性シートとして用いたポリイミド微多孔膜を溶解しない。しかし、ポリイミド微多孔膜の空隙に浸透したアラミド樹脂がアンカーとして機能するため、ポリイミド微多孔膜を袋状に加工することができた。また、アラミド樹脂は耐熱樹脂であることから、200℃に加熱しても接合部に剥がれは生じなかった。したがって、電池が異常な高温環境に置かれても安全性を確保できることが期待できる。
実施例6は実施例5と同様、120℃という高い温度で接合を行っているが、実施例6で用いたポリイミド微多孔膜はNMP溶媒に溶解しないため、接合部に皺は生じなかった。
比較例2では接合剤としてエタノールを用いた。比較例1と同様、比較例2で多孔質シートとして用いたアラミド微多孔膜がエタノールに溶解しないため、アラミド微多孔膜を袋状に加工することができなかった。比較例3では、接合剤としてポリスチレン樹脂のトルエン溶液を用いた。比較例3で多孔質シートとして用いたアラミド微多孔膜は、トルエンに溶解しないが、ポリスチレン樹脂がアンカーとして機能することから、アラミド微多孔膜を接合することは可能であった。しかし、200℃での耐熱性は無く、接合部の剥がれが生じた。また、ポリスチレン樹脂は電解液に可溶であるため、振動試験中に剥がれて短絡したものが多かった。
以上、実施形態および実施例により本発明について詳細に説明したが、本明細書は、以下の発明を開示する。
[1] 正極12と負極11とを対向配置させた電池用のセパレータ13であって、
互いに対向配置された第1の部分131および第2の部分132を有する、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する、二つ折りにされた1枚の多孔質シートまたは重ね合わせられた2枚の多孔質シートを有し、
前記第1の部分131と前記第2の部分132とに跨って存在する部分を有し前記第1の部分131と前記第2の部分132とを一体化する接合部133によって、前記多孔質シートが、前記電池の正極12または負極11を収納可能とする筒状に形成されているセパレータ13。
[2] 前記多孔質シートは無機フィラーをさらに含有している[1]に記載のセパレータ13。
[3] 前記多孔質シートは、平均空隙径が1μm以下の微多孔膜である[1]または[2]に記載のセパレータ。
[4] 前記接合部133は、前記第1の部分131と前記第2の部分132とに跨る一つの層として構成され、これによって前記第1の部分131と前記第2の部分132とが一体化されている[1]から[3]のいずれかに記載のセパレータ。
[5] 前記接合部133では、前記第1の部分131と前記第2の部分132とを跨いで前記第1の部分131の空隙と前記第2の部分132の空隙を充填する、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂からなるアンカーによって前記第1の部分131と前記第2の部分132とが一体化されている[1]から[3]のいずれかに記載のセパレータ。
[6] 前記アンカーを構成する樹脂は、前記多孔質シートが含有する樹脂と異なる樹脂である[5]に記載のセパレータ。
[7] 前記接合部133での空隙率が前記接合部以外での空隙率よりも低い[1]から[6]のいずれかに記載のセパレータ。
[8] 前記接合部133に空隙が存在しない[7]に記載のセパレータ。
[9] 前記多孔質シートが含有する樹脂は、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂またはポリフェニレンスルフィド樹脂である[1]から[8]のいずれかに記載のセパレータ。
[10] 対向配置された正極12および負極11と、
[1]から[9]のいずれかに記載のセパレータ13と、
を有し、
前記正極12または前記負極11が前記セパレータ13に収納されている電池。
[11] 正極12と負極11とを対向配置させた電池用のセパレータ13の製造方法であって、
融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する1枚または2枚の多孔質シートであって、二つ折りにされることによって互いに対向する第1の部分131および第2の部分132を構成する1枚の前記多孔質シート、または重ね合わせられることによって互いに対向する第1の部分131および第2の部分132を構成する2枚の前記多孔質シートを用意する工程と、
融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を溶解または膨潤させることのできる溶媒を含む接合剤を用いて、前記電池の正極12または負極11を収納可能とする筒状体が形成されるように、前記第1の部分131と前記第2の部分132とを一体化する接合部133を、前記第1の部分131と前記第2の部分132とに跨って存在する部分を有して形成する工程と、
を有するセパレータの製造方法。
[12] 前記接合部133を形成する工程は、
前記第1の部分131と前記第2の部分132とを互いに重ね合わせる工程と、
前記多孔質シートが含有する前記樹脂を溶解または膨潤させることのできる溶媒を前記接合剤として、前記第1の部分131および前記第2の部分132の少なくとも一方の前接合部133となる領域に塗布する工程と、
前記第1の部分131と前記第2の部分132とが互いに重ね合わせられ、かつ、前記接合剤が塗布された後、前記溶媒を除去する工程と、
を有する、[11]に記載のセパレータの製造方法。
[13] 前記接合部133を形成する工程は、
前記接合剤として、融点またはガラス転移温度が200℃の樹脂を溶媒で溶解した溶液を得る工程と、
前記第1の部分131と前記第2の部分132とを互いに重ね合わせる工程と、
前記接合剤を、前記第1の部分131および前記第2の部分132の少なくとも一方の前記接合部133となる領域に塗布する工程と、
前記第1の部分131と前記第2の部分132とが互いに重ね合わせられ、かつ、前記接合剤が塗布された後、前記接合剤から前記溶媒を除去する工程と、
を有する、[11]に記載のセパレータの製造方法。
[14] 前記接合剤が含有する溶媒は、前記多孔質シートが含有する樹脂を溶解または膨潤させることができる溶媒である[13]に記載のセパレータの製造方法。
[15] 前記接合剤が含有する樹脂は、前記多孔質シートが含有する樹脂と異なる樹脂であり、前記接合剤が含有する溶媒は、前記接合剤が含有する樹脂を溶解または膨潤させることができるが、前記多孔質シートが含有する樹脂を溶解または膨潤させることはできない樹脂である[13]に記載のセパレータの製造方法。
[16] 前記接合剤を塗布する工程は、前記第1の部分131と前記第2の部分132とを重ね合わせる前に、前記第1の部分131と前記第2の部分132との互いの対向面の少なくとも一方に前記接合剤を塗布することを含む、[12]から[15]のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
[17] 前記接合剤を塗布する工程は、前記第1の部分131と前記第2の部分132とを重ね合わせた後、前記第1の部分131および前記第2の部分132の少なくとも一方の外表面に前記接合剤を塗布することを含む、[12]から[15]のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
[18] 前記接合剤を塗布する工程は、前記接合剤を含浸させた多孔質体を前記接合部133となる領域に押し付けることによって、前記接合剤を前記接合部133となる領域に転写することを含む、[12]から[17]のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
[19] 前記溶媒を除去する工程は、前記第1の部分131および前記第2の部分132を加熱することを含む、[12]から[18]のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
[20] 前記溶媒を除去する工程を減圧下で行う、[12]から[19]のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
[21] 融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する多孔質シートであって、二つ折りにされることによって互いに対向する第1の部分131および第2の部分を構成する1枚の多孔質シート、または重ね合わせられることによって互いに対向する第1の部分131および第2の部分132を構成する2枚の多孔質シート、正極12および負極11を用意する工程と、
前記第1の部分131と前記第2の部分132との間に前記正極12または前記負極11を配置する工程と、
融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を溶解または膨潤させることのできる溶媒を含む接合剤を用いて、前記正極12または前記負極11を収納可能とする筒状体が形成されるように、前記第1の部分131と前記第2の部分132とを一体化する接合部133を、前記第1の部分131と前記第2の部分132とに跨って存在する部分を有して形成する工程と、
前記正極12または前記負極11が前記第1の部分131と前記第2の部分132との間に配置され、かつ、前記第1の部分131と前記第2の部分132とで前記筒状体が形成された後、前記正極12と前記負極11とを積層することによって電極積層体10を得る工程と、
前記電極積層体10を電解液とともに外装体内に封入する工程と、
を有する電池の製造方法。
本発明は、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両を含む、電車や衛星や潜水艦などの移動・輸送用媒体の電源;UPSなどのバックアップ電源;太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備;などに、利用することができる。
1 二次電池
10 電極素子
11 負極
12 正極
13 セパレータ
21、22 外装材
31 負極端子
32 正極端子

Claims (16)

  1. 正極と負極とを対向配置させた電池用のセパレータであって、
    互いに対向配置された第1の部分および第2の部分を有する、融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する、二つ折りにされた1枚の多孔質シートまたは重ね合
    わせられた2枚の多孔質シートを有し、
    前記第1の部分と前記第2の部分とに跨って存在する部分を有する接合部によって、前記多孔質シートが、前記電池の正極または負極を収納可能とする筒状に形成され
    前記接合部では、融点またはガラス転移温度が200℃以上であり、かつ、前記多孔質シートが含有する樹脂と異なる樹脂からなるアンカーによって前記第1の部分と前記第2の部分とが一体化されているセパレータ。
  2. 前記接合部では、前記第1の部分と前記第2の部分とを跨いで前記第1の部分の空隙と
    前記第2の部分の空隙を充填する前記アンカーによって前記第1の部分と前記第2の部分とが一体化されている請求項1に
    記載のセパレータ。
  3. 前記アンカーはアラミド樹脂からなる請求項1または2に記載のセパレータ。
  4. 前記多孔質シートはポリイミド微多孔膜である請求項3に記載のセパレータ。
  5. 前記多孔質シートは、一端が開口し他端が閉塞した袋状の形態に形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータ。
  6. 対向配置された正極および負極と、
    請求項1からのいずれか一項に記載のセパレータと、
    を有し、
    前記正極または前記負極が前記セパレータに収納されている電池。
  7. 正極と負極とを対向配置させた電池用のセパレータの製造方法であって、
    融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する1枚または2枚の多孔質シートであって、二つ折りにされることによって互いに対向する第1の部分および第2の部
    分を構成する1枚の多孔質シート、または重ね合わせられることによって互いに対向する
    第1の部分および第2の部分を構成する2枚の多孔質シートを用意する工程と、
    前記多孔質シートに、接合剤を用いて、前記電池の正極または負極を収納可能とする筒状体が形成されるように、前記第1の部分と前記第2の部分とを一体化する接合部を、前記第1の部分と前記第2の部分とに跨って存在するアンカーを有して形成する工程と、
    を有し、
    前記接合部を形成する工程は、
    前記接合剤として、融点またはガラス転移温度が200℃以上であり、かつ、前記多孔質シートが含有する樹脂と異なる樹脂を、前記多孔質シートが含有する樹脂を溶解または膨潤させることはできない溶媒で溶解した溶液を得る工程と、
    前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに重ね合わせる工程と、
    前記接合剤を、前記第1の部分および前記第2の部分の少なくとも一方の前記接合部となる領域に塗布する工程と、
    前記第1の部分と前記第2の部分とが互いに重ね合わせられ、かつ、前記接合剤が塗布された後、前記接合剤から前記溶媒を除去する工程と、
    を有するセパレータの製造方法。
  8. 前記アンカーは、前記第1の部分と前記第2の部分とを跨いで前記第1の部分の空隙と前記第2の部分の空隙を充填する請求項7に
    記載のセパレータの製造方法。
  9. 前記接合剤が含有する樹脂はアラミド樹脂である請求項7または8に記載のセパレータの製造方法。
  10. 前記多孔質シートはポリイミド微多孔膜である請求項9に記載のセパレータの製造方法。
  11. 前記接合部を形成する工程は、前記多孔質シートを、一端が開口し他端が閉塞した袋状の形態とすることを含む請求項7から10のいずれか一項に記載のセパレータの製造方法。
  12. 融点またはガラス転移温度が200℃以上の樹脂を含有する多孔質シートであって、二つ折りにされることによって互いに対向する第1の部分および第2の部分を構成する1枚の多孔質シート、または重ね合わせられることによって互いに対向する第1の部分および第2の部分を構成する2枚の多孔質シート、正極および負極を用意する工程と、
    前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記正極または前記負極を配置する工程と、
    前記多孔質シートに、接合剤を用いて、前記正極または前記負極を収納可能とする筒状体が形成されるように、前記第1の部分と前記第2の部分とを一体化する接合部を、前記第1の部分と前記第2の部分とに跨って存在するアンカーを有して形成する工程と、
    前記正極または前記負極が前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置され、かつ、前記第1の部分と前記第2の部分とで前記筒状体が形成された後、前記正極と前記負極とを積層することによって電極積層体を得る工程と、
    前記電極積層体を電解液とともに外装体内に封入する工程と、
    を有し、
    前記接合部を形成する工程は、
    前記接合剤として、融点またはガラス転移温度が200℃以上であり、かつ、前記多孔質シートが含有する樹脂と異なる樹脂を、前記多孔質シートが含有する樹脂を溶解または膨潤させることはできない溶媒で溶解した
    溶液を得る工程と、
    前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに重ね合わせる工程と、
    前記接合剤を、前記第1の部分および前記第2の部分の少なくとも一方の前記接合部となる領域に塗布する工程と、
    前記第1の部分と前記第2の部分とが互いに重ね合わせられ、かつ、前記接合剤が塗布された後、前記接合剤から前記溶媒を除去する工程と、
    を有する電池の製造方法。
  13. 前記アンカーは、前記第1の部分と前記第2の部分とを跨いで前記第1の部分の空隙と前記第2の部分の空隙を充填する請求項12に記載の電池の製造方法。
  14. 前記接合剤が含有する樹脂はアラミド樹脂である請求項12または13に記載の電池の製造方法。
  15. 前記多孔質シートはポリイミド微多孔膜である請求項14に記載の電池の製造方法。
  16. 前記接合部を形成する工程は、前記多孔質シートを、一端が開口し他端が閉塞した袋状の形態とすることを含む請求項12から15のいずれか一項に記載の電池の製造方法。
JP2015223367A 2015-11-13 2015-11-13 電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法 Active JP6724342B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015223367A JP6724342B2 (ja) 2015-11-13 2015-11-13 電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015223367A JP6724342B2 (ja) 2015-11-13 2015-11-13 電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017091929A JP2017091929A (ja) 2017-05-25
JP2017091929A5 JP2017091929A5 (ja) 2018-11-15
JP6724342B2 true JP6724342B2 (ja) 2020-07-15

Family

ID=58769325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015223367A Active JP6724342B2 (ja) 2015-11-13 2015-11-13 電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6724342B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019077953A1 (ja) 2017-10-20 2019-04-25 日本碍子株式会社 亜鉛二次電池
CN113972442B (zh) * 2021-09-28 2022-12-23 惠州锂威电子科技有限公司 一种二次电池用隔膜及其制备方法和应用
WO2023127508A1 (ja) * 2021-12-27 2023-07-06 パナソニックエナジ-株式会社 非水電解質二次電池

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56135066A (en) * 1980-03-25 1981-10-22 Mitsubishi Electric Corp Manufacture of aromatic group polyamide paper laminate
JPH01133717A (ja) * 1987-11-19 1989-05-25 Toray Ind Inc 耐熱フィルムの接着方法
JP3168686B2 (ja) * 1992-04-07 2001-05-21 日本電池株式会社 アルカリ二次電池およびその製造方法
JP2000294219A (ja) * 1999-04-12 2000-10-20 Toshiba Battery Co Ltd 角形アルカリ二次電池
JP4033398B2 (ja) * 2003-09-29 2008-01-16 株式会社リコー 電池装置
JP2008091100A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Sanyo Electric Co Ltd 角型リチウムイオン電池
JP5948961B2 (ja) * 2012-02-29 2016-07-06 日産自動車株式会社 セパレータ一体化電極、電池および電池製造方法
JP2013211155A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Tdk Corp リチウムイオン二次電池用セパレータ及び、それを用いたリチウムイオン二次電池
JP2015069745A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 東レ株式会社 芳香族ポリアミド袋状セパレータ
JP2015153579A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 住友電気工業株式会社 袋状セパレータおよびその製造方法、並びに、蓄電デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017091929A (ja) 2017-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6337777B2 (ja) セパレータ、電極素子、蓄電デバイスおよび前記セパレータの製造方法
JP4927064B2 (ja) 二次電池
JP5526488B2 (ja) 電気化学デバイス
JP5693982B2 (ja) 非水系二次電池
JP6750619B2 (ja) フィルム外装電池
JP5761582B2 (ja) 二次電池
JP6271709B2 (ja) 非水電解質二次電池および電池パック
JP5828346B2 (ja) リチウム二次電池
KR101635696B1 (ko) 비수 전해질 2차 전지
JP5371979B2 (ja) リチウムイオン二次電池
CN107534129B (zh) 电极、电极组及非水电解质电池
WO2016152922A1 (ja) 二次電池、二次電池の製造方法、電動車両および蓄電システム
WO2014091856A1 (ja) セパレータ、電極素子、蓄電デバイスおよび前記セパレータの製造方法
WO2012093588A1 (ja) 非水系二次電池
JP2011159506A (ja) 非水系二次電池
JP6724342B2 (ja) 電池用セパレータ、前記セパレータを有する電池、前記セパレータの製造方法および前記電池の製造方法
JP5329018B2 (ja) 電池用セパレータ
JP5999433B2 (ja) 非水電解液二次電池及びその製造方法
JP2017117739A (ja) 電池
JPWO2019012825A1 (ja) 蓄電デバイス用の袋状セパレータ、その熱接合方法及び熱接合装置、並びに蓄電デバイス
JP6908073B2 (ja) 非水電解液二次電池
WO2019102883A1 (ja) 非水電解質電池
WO2019182013A1 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2019129145A (ja) 非水電解質電池
JP7040290B2 (ja) 非水電解質二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181004

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200526

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200608

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6724342

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150