JP5453023B2 - 印刷用湿し水及び平版印刷版の印刷方法 - Google Patents
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Description
この平版印刷版を作製するため、従来は、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)を用い、PS版にリスフィルムなどのマスクを通した露光を行った後、アルカリ性現像液などによる現像処理を行い、画像部に対応する画像記録層を残存させ、非画像部に対応する不要な画像記録層を溶解除去して、平版印刷版を得ていた。
また、簡易現像の方法としては、画像記録層の不要部分の除去を、従来の高アルカリ性現像液ではなく、pHが中性に近いフィニッシャー又はガム液によって行う「ガム現像」と呼ばれる方法も行われている。
例えば、酸素遮断性保護層が設けられた光重合型平版印刷版原版からの製版及び印刷方法において、該保護層の親水性化合物に起因するインキ着肉不良を解決する手段が提案されている(特許文献5参照)。
また、機上現像可能な無処理刷版の非画像部汚れ防止に優れた湿し水として、湿し水中に、支持体に吸着可能な吸着性基とスルホン酸基を含有する水溶性高分子を含有させるという手段が提案されている(特許文献6参照)。
しかしながら、機上現像性及び汚れ性については、まだ不十分であり、さらなる改良が必要とされた。
一般式(1)中、R 1 、R 2 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Y 1 はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端X 1 は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
<2> 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする前記<1>に記載の印刷用湿し水。
<3> 前記Y 1 がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の印刷用湿し水。
<4> 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする前記<3>に記載の印刷用湿し水。
<5> 平版印刷版原版を画像露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に取付け、(a1)一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位、並びに(a2)リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を少なくとも一つ有する繰り返し単位を含むビニル共重合体を含有する印刷用湿し水と油性インキにより未露光部分を除去し、印刷することを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
ここでYはアルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシド鎖を表し、末端Xは炭素原子数3以下のアルキル基又は水素原子を表す。
<6> 前記ビニル共重合体が一般式(1)で表されることを特徴とする前記<5>に記載の平版印刷版の印刷方法。
一般式(1)中、R 1 、R 2 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Y 1 はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端X 1 は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
<7> 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする前記<6>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<8> 前記Y 1 がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする前記<6>又は<7>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<9> 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする前記<8>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<10> 平版印刷版原版が、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、赤外線吸収染料、ラジカル重合開始剤、重合性化合物、及びポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有する画像記録層を有することを特徴とする前記<5>〜<9>のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
<11> 前記ポリマーが微粒子形状であることを特徴とする前記<10>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<12> 前記<10>又は<11>に記載のポリアルキレンオキシド基が、ポリエチレンオキシド基であることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
<13> 平版印刷版原版のアルミニウム支持体が、シリケートが付着した陽極酸化皮膜を有することを特徴とする前記<10>〜<12>のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
本発明は、上記<1>〜<13>に記載の印刷用湿し水及び平版印刷版の印刷方法に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載する。
1.(a1)一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位、並びに(a2)リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を少なくとも一つ有する繰り返し単位を含むビニル共重合体を含有する印刷用湿し水。
式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Y1はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端X1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
4.前記Y1がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする前記2又は3に記載の印刷用湿し水。
5.前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする前記4に記載の印刷用湿し水。
6.平版印刷版原版を画像露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に取付け、前記1〜5のいずれか1項に記載の印刷用湿し水と油性インキにより未露光部分を除去し、印刷することを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
7.平版印刷版原版が、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、赤外線吸収染料、ラジカル重合開始剤、重合性化合物、及びポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有する画像記録層を有することを特徴とする前記6記載の平版印刷版の印刷方法。
8.前記ポリマーが微粒子形状であることを特徴とする前記7記載の平版印刷版の印刷方法。
9.前記7又は8に記載のポリアルキレンオキシド基が、ポリエチレンオキシド基であることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
10.平版印刷版原版のアルミニウム支持体が、シリケートが付着した陽極酸化皮膜を有することを特徴とする前記7〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
この作用機構は必ずしも明らかではないが、湿し水中のビニル共重合体の一般式(A)で表される基が、画像記録層中のポリマーのポリアルキレンオキシド鎖と相互作用して画像記録層の溶解及び支持体表面からの除去性を向上させると同時に、ビニル共重合体が、酸性基によって支持体表面に吸着して画像記録層成分の支持体への再付着を防止し、親水性基繰り返し単位によって親水性を保持するため、機上現像性と汚れ性の両方が良化したと推測している。
以下、本発明について詳細に説明する。市販の湿し水は流通の利便性などの理由で通常濃縮液タイプであり、使用するときに濃縮液を適宜希釈して湿し水として使用する。本明細書では、濃縮化されたものを湿し水組成物と呼ぶ。以下に言及する各種成分の含有量や添加量は、特に記載しない限り使用時の湿し水に対する値である。
ここで、Yはアルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシド鎖を表し、末端Xは炭素原子数3以下のアルキル基又は水素原子を表す。
本発明の特定共重合体は、親水性基繰り返し単位と、酸性基繰り返し単位とを有するビニル共重合体である。
本発明の特定共重合体は下記一般式(1)で表される共重合体であることが好ましい。
一般式(1)では−Y1−X1を含む単位が親水性基繰り返し単位であり、Qを含む単位が酸性基繰り返し単位である。
更に親水性基繰り返し単位は、下記式(T−1)又は(T−2)で表される繰り返し単位であることが好ましく、(T−1)で表されるポリエチレンオキシド鎖を有する繰り返し単位が特に好ましい。
本発明に用いることができる特定共重合体における親水性基繰り返し単位の含有比率は、特定共重合体が有する全繰り返し単位に対し、30〜98モル%であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、50〜80モル%であることが特に好ましい。
前記nは、1〜5の整数であることが好ましく、1又は2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
なお、本発明において、化合物やその部分構造の炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載することもある。
R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の炭化水素基を表す。好ましくは一価の炭化水素基であり、炭素原子数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
A4は、単結合又は(n+1)価の有機基を表し、A5は(n+1)価の有機基を表し、A6は二価の有機基を表す。
式(U−6)のA6で表される二価の有機基としては、炭素、水素、酸素よりなる群から選ばれた元素より形成された基であることが好ましく、直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましい。
式(U−9)のA8は二価の有機基を表し、直鎖又は分岐アルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20の直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜10の直鎖又は分岐アルキレン基であることが更に好ましい。
式(U−9)のA9は二価の有機基を表し、直鎖又は分岐アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキレン基であることが更に好ましい。
本発明に用いることができる特定共重合体における酸性基繰り返し単位の含有比率は、特定共重合体が有する全繰り返し単位に対し、2〜80モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、20〜50モル%であることが特に好ましい。
本発明に用いることができる特定共重合体における他の繰り返し単位の含有比率は、特定共重合体が有する全繰り返し単位に対し、40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが更に好ましい。
なお、ビニル共重合体とは、例えば、アクリレート類、メタクリレート類、スチレン類、芳香族ビニル化合物、脂肪族ビニル化合物、アリル化合物、アクリル酸、メタクリル酸などのようなエチレン性不飽和結合を有する単量体を2種以上共重合して得られる共重合体である。
前記特定共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの共重合体でもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
また、前記の、酸性基繰り返し単位、親水性基繰り返し単位、及び、その他の繰り返し単位は、エチレン性不飽和結合を有する単量体より得られるモノマー単位である。
本発明の特定共重合体の数平均モル質量(Mn)は、1,000以上であることが好ましく、2,000〜2,000,000以下であることがより好ましい。
本発明の特定共重合体の多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であることが好ましい。
本発明の湿し水における特定共重合体の含有量は、0.005〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましい。上記範囲内で、良好な機上現像性、及び非画像部と網画像部の汚れ防止効果が得られる。
本発明の湿し水には更に、水溶性高分子化合物を添加してもよい。
水溶性高分子化合物の具体的な例としてはアラビアゴム、澱粉誘導体(例えばデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、燐酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉など)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、それらのグリオキサール変性体など)の天然物とその変性体及びポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体などの合成物が挙げられる。これらの高分子化合物は単独で又は混合して使用でき、その添加量は湿し水中、0.0001〜5質量%、より好ましくは、0.003〜1質量%が適当である。
本発明の湿し水はまた、アルカリ金属水酸化物、燐酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、珪酸塩等を含有させ、pH7〜11付近のアルカリ領域で用いることもできる。
更に、フッ素系界面活性剤が挙げられる、例えば、フッ素系アニオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素系ノニオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物、フッ素系カチオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤の含有量は発泡の点を考慮すると、湿し水中10質量%以下、好ましくは0.01〜3.0質量%が適当である。
これらの湿潤剤を1種単独で又は2種以上の併用で、湿し水中0.01〜1質量%程度含ませることができる。
湿し水を商品とする場合は、使用時の希釈率などを考慮して、上述の湿し水の濃縮型である湿し水組成物が製造される。このような濃縮液は、使用時に通常、水道水、井戸水等で10〜200倍程度に希釈して湿し水として用いられる。
本発明の湿し水を適用する平版印刷版原版(以下、本発明の平版印刷版原版とも記す)は、支持体上に機上現像可能な画像記録層を有することが好ましい。また、本発明の平版印刷版原版は、場合によって、画像記録層上に保護層、支持体と画像記録層の間に下塗り層を有することができる。
以下、本発明の平版印刷版原版の構成要素及び成分などについて説明する。
本発明の平版印刷版原版に用いられる画像記録層(以下、「本発明に用いられる画像記録層」又は「本発明の画像記録層」とも記す)は、ポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有し、機上現像可能な画像記録層であることが好ましい。本発明に用いられる画像記録層は、更に、(A)赤外線吸収染料(赤外線吸収剤とも記す)、(B)ラジカル重合開始剤及び(C)重合性化合物を含有することが好ましい。以下に、画像記録層に含有できる各成分について、順次説明する。
赤外線吸収染料は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述のラジカル発生剤に電子移動及び/又はエネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収染料は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料である。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
本発明の画像記録層に用いられる(B)ラジカル発生剤としては、後述の(C)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明において使用しうるラジカル発生剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。
該ラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物、が挙げられる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0027]に記載の化合物が好ましい。
本発明の画像記録層に用いることができる(C)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態をもつ。
本発明の画像記録層は機上現像性を持たせるために、ポリマーを含有する。特に、ポリアルキレンオキシド基を有するポリマーが好ましい。ポリアルキレンオキシド基を有するポリマー、特に側鎖にポリアルキレンオキシド基を有するポリマーは、画像記録層に、微粒子の形態で含まれていても、粒子形状のような特定の形状を持たず、画像記録層各種材料を相溶または結合させる媒体(以下本発明でバインダーという)として含まれていてもよい。
いずれにしてもこのようなポリマーにポリアルキレンオキシド基を側鎖に導入することにより、湿し水中に存在するポリアルキレンオキシドを有するポリマーと相互作用することにより、湿し水の浸透性が向上し、機上現像性が良好となる。
本発明では、機上現像性を向上させるため、ポリマー微粒子を用いることができる。本発明におけるポリマー微粒子とは、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び架橋ポリマー微粒子(ミクロゲル)から選ばれる少なくともひとつの微粒子が好ましい。
熱反応性ポリマー微粒子とは、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋、及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する微粒子を意味する。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
本発明で用いられるマイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。更に、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
本発明の画像記録層には、画像記録層の各成分の結合剤として、また膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
バインダーポリマーは、親水性基としてアルキレンオキシド構造を有することが機上現像性向上の観点から特に好ましい。アルキレンオキシド基がエチレンオキシド基であり、エチレンオキシド基の繰り返し単位数が、2〜8であるポリエチレンオキシド基であることが好ましい。特に好ましくは、前記式(T−1)又は(T−2)で表される繰り返し単位に対応するポリアルキレンオキシド構造を有するモノマーを共重合したアクリル樹脂が好ましい。
バインダーポリマーのアルキレンオキシド構造が、本発明で用いられる湿し水中の特定共重合体のアルキレンオキシド基と相互作用し、機上現像性が向上すると考えられる。
バインダーポリマーに親水性基を付与するには親水性基を有するモノマーを共重合すればよい。
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
30%ポリマー溶液3.33g(固形分として1g)を、20mlのメスフラスコに秤量し、N−メチルピロリドンでメスアップする。この溶液をウベローデ還元粘度管(粘度計定数=0.010cSt/s)に入れ、30℃にて流れ落ちる時間を測定し、計算式(「動粘度」=「粘度計定数」×「液体が細管を通る時間(秒)」)を用いて定法により算出した。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5)
更にその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物、及び共増感剤もしくは連鎖移動剤などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]、特開2006−091479号公報の段落番号[0023]〜[0027]、米国特許公開2008/0311520号明細書[0060]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある)を設けることが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ。
下塗り層用の高分子樹脂は、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2であるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、25℃でのpHが10〜13のものが好ましく用いられる。pHを高くするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を適当量含有してもよい。なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩又は4族(第IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩等の水溶性塩が挙げられる。4族(第IVB族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩及び4族(第IVB族)金属塩は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
また本発明の支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。
本発明の平版印刷版原版の製版は機上現像方法で行うことが好ましい。機上現像方法は、平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、油性インキと本発明の印刷用湿し水とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で行ってもよいし、プレートセッターなどで別途行ってもよい。後者の場合は、露光済み平版印刷版原版は現像処理工程を経ないでそのまま印刷機に装着される。その後、該印刷機を用い、油性インキと本発明の印刷用湿し水とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出され非画像部が形成される。油性インキとしては、通常の平版印刷用の印刷インキが用いられる。
以下、更に詳細に説明する。
赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cm2であるのが好ましい。レーザーにおいては、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
このようにして、本発明の平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)に2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間、シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体(2)を得た。Siの付着量は10mg/m2であった。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
次に、上記支持体(2)上に、下記下塗り層用塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/m2になるよう塗布して、以下の実験に用いる下塗り層を有する支持体を作製した。
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
下塗り層を有する上記の支持体に、下記の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.6g/m2の画像記録層を作製し、平版印刷版原版(1)〔実施例1〜18、及び比較例1〜5用〕を得た。
・ポリマー微粒子水分散液(1) 20.0g
・赤外線吸収染料(1)[下記構造] 0.2g
・ラジカル発生剤 0.5g
Irgacure250(チバスペシャリティケミカルズ製)
・重合性化合物 SR−399(サートマー社製) 1.50g
・メルカプト−3−トリアゾール 0.2g
・Byk336(Byk Chimie社製) 0.4g
・Klucel M(Hercules社製) 4.8g
・ELVACITE4026(Ineos Acrylica社製) 2.5g
・n−プロパノール 55.0g
・2−ブタノン 17.0g
・Irgacure250:(4−メトキシフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート(75質量%プロピレンカーボナート溶液)
・SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・Byk336:変性ジメチルポリシロキサン共重合体(25質量%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液)
・Klucel M:ヒドロキシプロピルセルロース(2質量%水溶液)
・ELVACITE 4026:高分岐ポリメチルメタクリレート(10質量%2−ブタノン溶液)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA エチレングリコールの平均の繰返し単位は50)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に予め混合されたスチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80のポリマー微粒子水分散液(1)が得られた。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径150nmに極大値を有していた。
平版印刷版原版(1)のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(2)は下記感光液(2)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.240g
・赤外線吸収染料(2)〔下記構造〕 0.030g
・ラジカル発生剤(1)〔下記構造〕 0.162g
・重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・感脂化剤 アンモニウム基含有ポリマー
[下記構造、還元比粘度44cSt/g/ml] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
油相成分として、下記構造の多官能イソシアナート(三井化学ポリウレタン製;75%酢酸エチル溶液)4.46g、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート、メチル片末端ポリオキシエチレン付加体(三井化学ポリウレタン製;50%酢酸エチル溶液)0.86g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー製、SR399E)1.72g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂製;メタノール70%溶液)0.05gを酢酸エチル4.46gに溶解した。油相成分及び水相成分としての水17.30gを混合し、ホモジナイザーを用いて10000rpmで15分間乳化した。得られた乳化物を、40℃で4時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、21.8質量%になるように水を用いて希釈した。平均粒径は0.25μmであった。
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
平版印刷版原版 (2)における画像記録層を、下記の画像記録層塗布液(3)に変えたこと以外は平版印刷版原版 (2)と同様にして平版印刷版原版 (3)を作製した。
画像記録層塗布液(2)で使用したミクロゲル液(1)を下記ミクロゲル液(2)に変えたこと以外は画像記録層塗布液(2)と同様にして画像記録層塗布液(3)を作製した。
・ミクロゲル(2) 2.640g
・蒸留水 2.425g
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井化学ポリウレタン(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを前記ミクロゲル(2)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
下記成分表に記載の各成分を混合溶解して、湿し水を液温20℃で調製した。
・純水 35.6g
・プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル 28.4g
・プロピレングリコール 25.0g
・オクタンジオール 4.7g
・グリセリン 1.0g
・KOH(48質量%水溶液) 2.3g
・硝酸アンモニウム 0.3g
・燐酸第二アンモニウム 0.3g
・硫酸マグネシウム 0.8g
・クエン酸 0.2g
・クエン酸第二アンモニウム 0.7g
・特定共重合体 0.8g
上記のように作製した平版印刷版原版に、赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力7.0W、外面ドラム回転数150rpm、解像度2400dpiの条件で網点面積率90%、95%及び97%の網点チャートを含む画像を露光した。該露光済みの版をそのまま現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水として上記のように調製した印刷薬品の3体積%水溶液を用い、インキとしてTRANS−G(N)紅インキ(大日本インキ化学工業(株)製)/ワニス=90/10を用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。非画像部は汚れのない印刷物が得られた。
その後、湿し水の供給を絞って版面をインキで全面汚した後、再び湿し水の供給量を元に戻した。その後、一時間印刷機を停止した後、再度、湿し水とインキを供給し良好な印刷物が得られるまでの枚数を「汚れ性能」として測定した。枚数が少ないことは、非画像部の親水性、保水性を優れた状態に保持できる平版印刷方法であることを示している。
6.平版印刷版原版 (4)の作製
平版印刷版原版 (1)における画像記録層塗布液(1)を、下記の画像記録層塗布液(4)に代えたこと以外は平版印刷版原版 (1)と同様にして平版印刷版原版 (4)を作製した。
画像記録層塗布液(1)で使用したポリマー微粒子水分散液(1)20.0gの代わりに下記のポリマー微粒子水分散液(2)を72g加えた以外は、画像記録層塗布液(1)と同様にして画像記録層塗布液(4)を作製した。
メカニカルスターラーを備え付けた200mlの三口フラスコに水85g、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.3g、アクリロニトリル4.5g、スチレン0.5gを添加し完全に溶解した。次いで、系内を窒素置換した後、窒素フロー(流量:10ml/min)した。次に、70℃に昇温したのち、300rpmの回転速度で攪拌しながら過硫酸カリウム水溶液(過硫酸カリウム0.27g、水10g)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で3時間攪拌し、次いで、80℃に昇温して、2時間攪拌した。質量比でSt/AN=10/90のポリマー微粒子水分散液(2)が得られた。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径125nmに極大値を有していた。また固形分量は5.5質量%であった。
Claims (13)
- 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用湿し水。
- 前記Y1がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用湿し水。
- 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする請求項3に記載の印刷用湿し水。
- 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版の印刷方法。
- 前記Y 1 がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする請求項6又は7に記載の平版印刷版の印刷方法。
- 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であること
を特徴とする請求項8に記載の平版印刷版の印刷方法。 - 平版印刷版原版が、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、赤外線吸収染料、ラジカル重合開始剤、重合性化合物、及びポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有する画像記録層を有することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
- 前記ポリマーが微粒子形状であることを特徴とする請求項10に記載の平版印刷版の印刷方法。
- 請求項10又は11に記載のポリアルキレンオキシド基が、ポリエチレンオキシド基であることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
- 平版印刷版原版のアルミニウム支持体が、シリケートが付着した陽極酸化皮膜を有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
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