JP5453023B2 - 印刷用湿し水及び平版印刷版の印刷方法 - Google Patents

印刷用湿し水及び平版印刷版の印刷方法 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷用湿し水に関する。特に、良好な機上現像性と汚れ性を与える平版印刷用湿し水に関する。本発明は更に、該湿し水を使用する印刷方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来は、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)を用い、PS版にリスフィルムなどのマスクを通した露光を行った後、アルカリ性現像液などによる現像処理を行い、画像部に対応する画像記録層を残存させ、非画像部に対応する不要な画像記録層を溶解除去して、平版印刷版を得ていた。
この分野の最近の進歩によって、現在、平版印刷版は、CTP(コンピュータ・トゥ・プレート)技術によって得られるようになっている。すなわち、レーザーやレーザーダイオードを用いて、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版原版を走査露光し、現像して平版印刷版が得られる。
上記進歩に伴って、平版印刷版原版に関わる課題は、CTP技術に対応した画像形成特性、印刷特性、物理特性などの改良へと変化してきている。また、地球環境への関心の高まりから、平版印刷版原版に関わるもう一つの課題として、現像処理などの湿式処理に伴う廃液に関する環境課題がクローズアップされている。
上記の環境課題に対して、現像あるいは製版の簡易化や無処理化が指向されている。簡易な製版方法の一つとしては、「機上現像」と呼ばれる方法が行われている。すなわち、平版印刷版原版を露光後、従来の現像は行わず、そのまま印刷機に装着して、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
また、簡易現像の方法としては、画像記録層の不要部分の除去を、従来の高アルカリ性現像液ではなく、pHが中性に近いフィニッシャー又はガム液によって行う「ガム現像」と呼ばれる方法も行われている。
上述のような製版作業の簡易化においては、作業のしやすさの点から明室又は黄色灯下で取り扱い可能な平版印刷版原版及び光源を用いるシステムが好ましいので、光源としては、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー及びYAGレーザー等の固体レーザーが用いられる。また、UVレーザーを用いることができる。
機上現像可能な平版印刷版原版としては、例えば特許文献1及び2には、親水性支持体上に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む画像記録層(感熱層)を有する平版印刷版原版が記載されている。また、特許文献3には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する画像記録層(感光層)を設けた平版印刷版原版が記載されている。更に、特許文献4には、支持体上に、重合性化合物と、ポリエチレンオキシド鎖を側鎖に有するグラフトポリマー又はポリエチレンオキシドブロックを有するブロックポリマーを含有する画像記録層を設けた機上現像可能な平版印刷版原版が記載されている。
従来、機上現像可能な平版印刷用の湿し水として、種々の提案がなされている。
例えば、酸素遮断性保護層が設けられた光重合型平版印刷版原版からの製版及び印刷方法において、該保護層の親水性化合物に起因するインキ着肉不良を解決する手段が提案されている(特許文献5参照)。
また、機上現像可能な無処理刷版の非画像部汚れ防止に優れた湿し水として、湿し水中に、支持体に吸着可能な吸着性基とスルホン酸基を含有する水溶性高分子を含有させるという手段が提案されている(特許文献6参照)。
しかしながら、機上現像性及び汚れ性については、まだ不十分であり、さらなる改良が必要とされた。
特開2001−277740号公報 特開2001−277742号公報 特開2002−287334号公報 米国特許出願公開第2003/0064318号明細書 特開2008−62614号公報 特開2007−38483号公報
本発明の目的は、良好な機上現像性及び汚れ性が得られる平版印刷用湿し水を提供することにある。更に、本発明の目的は、良好な機上現像性及び汚れ性が得られる平版印刷版の印刷方法を提供することにある。
<1> 一般式(1)で表されるビニル共重合体を含有することを特徴とする印刷用湿し水。
Figure 0005453023

一般式(1)中、R 1 、R はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Y はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端X は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
<2> 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする前記<1>に記載の印刷用湿し水。
<3> 前記Y がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の印刷用湿し水。
<4> 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする前記<3>に記載の印刷用湿し水。
<5> 平版印刷版原版を画像露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に取付け、(a1)一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位、並びに(a2)リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を少なくとも一つ有する繰り返し単位を含むビニル共重合体を含有する印刷用湿し水と油性インキにより未露光部分を除去し、印刷することを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
Figure 0005453023

ここでYはアルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシド鎖を表し、末端Xは炭素原子数3以下のアルキル基又は水素原子を表す。
<6> 前記ビニル共重合体が一般式(1)で表されることを特徴とする前記<5>に記載の平版印刷版の印刷方法。
Figure 0005453023

一般式(1)中、R 1 、R はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Y はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端X は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
<7> 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする前記<6>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<8> 前記Y がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする前記<6>又は<7>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<9> 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする前記<8>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<10> 平版印刷版原版が、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、赤外線吸収染料、ラジカル重合開始剤、重合性化合物、及びポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有する画像記録層を有することを特徴とする前記<5>〜<9>のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
<11> 前記ポリマーが微粒子形状であることを特徴とする前記<10>に記載の平版印刷版の印刷方法。
<12> 前記<10>又は<11>に記載のポリアルキレンオキシド基が、ポリエチレンオキシド基であることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
<13> 平版印刷版原版のアルミニウム支持体が、シリケートが付着した陽極酸化皮膜を有することを特徴とする前記<10>〜<12>のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
本発明は、上記<1>〜<13>に記載の印刷用湿し水及び平版印刷版の印刷方法に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載する。
1.(a1)一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位、並びに(a2)リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を少なくとも一つ有する繰り返し単位を含むビニル共重合体を含有する印刷用湿し水。
Figure 0005453023
ここでYはアルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシド鎖を表し、末端Xは炭素原子数3以下の炭化水素基又は水素原子を表す。
2.前記ビニル共重合体が一般式(1)で表されることを特徴とする前記1記載の印刷用湿し水。
Figure 0005453023

式中、R1、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Yはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端Xは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
3.前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする前記2記載の印刷用湿し水。
4.前記Yがポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする前記2又は3に記載の印刷用湿し水。
5.前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする前記4に記載の印刷用湿し水。
6.平版印刷版原版を画像露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に取付け、前記1〜5のいずれか1項に記載の印刷用湿し水と油性インキにより未露光部分を除去し、印刷することを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
7.平版印刷版原版が、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、赤外線吸収染料、ラジカル重合開始剤、重合性化合物、及びポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有する画像記録層を有することを特徴とする前記6記載の平版印刷版の印刷方法。
8.前記ポリマーが微粒子形状であることを特徴とする前記7記載の平版印刷版の印刷方法。
9.前記7又は8に記載のポリアルキレンオキシド基が、ポリエチレンオキシド基であることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
10.平版印刷版原版のアルミニウム支持体が、シリケートが付着した陽極酸化皮膜を有することを特徴とする前記7〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
本発明においては、(a1)上記一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位、並びに(a2)リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を少なくとも一つ有する繰り返し単位を有するビニル共重合体を印刷用湿し水に添加させること、更には、ポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを画像記録層に含有させることによって、他の性能を損ねることなく良好な機上現像性,及び汚れ性を達成することができた。
この作用機構は必ずしも明らかではないが、湿し水中のビニル共重合体の一般式(A)で表される基が、画像記録層中のポリマーのポリアルキレンオキシド鎖と相互作用して画像記録層の溶解及び支持体表面からの除去性を向上させると同時に、ビニル共重合体が、酸性基によって支持体表面に吸着して画像記録層成分の支持体への再付着を防止し、親水性基繰り返し単位によって親水性を保持するため、機上現像性と汚れ性の両方が良化したと推測している。
本発明によれば、良好な機上現像性及び汚れ性が得られる平版印刷用湿し水、ならびに平版印刷版の印刷方法を提供できる。
〔平版印刷用湿し水〕
以下、本発明について詳細に説明する。市販の湿し水は流通の利便性などの理由で通常濃縮液タイプであり、使用するときに濃縮液を適宜希釈して湿し水として使用する。本明細書では、濃縮化されたものを湿し水組成物と呼ぶ。以下に言及する各種成分の含有量や添加量は、特に記載しない限り使用時の湿し水に対する値である。
本発明の平版印刷用湿し水(単に「湿し水」ともいう)は、一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位(以下、「親水性基繰り返し単位」ともいう)
Figure 0005453023
と、ホスホン酸基、リン酸基、スルホン酸基及びこれらの塩の基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(以下、「酸性基繰り返し単位」ともいう。)とを有するビニル共重合体(以下、「特定共重合体」ともいう。)を含有することを特徴とする。
ここで、Yはアルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシド鎖を表し、末端Xは炭素原子数3以下のアルキル基又は水素原子を表す。
(特定共重合体)
本発明の特定共重合体は、親水性基繰り返し単位と、酸性基繰り返し単位とを有するビニル共重合体である。
本発明の特定共重合体は下記一般式(1)で表される共重合体であることが好ましい。
Figure 0005453023
式中、R1、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Yはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる連結鎖を表し、末端Xは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
一般式(1)では−Y−Xを含む単位が親水性基繰り返し単位であり、Qを含む単位が酸性基繰り返し単位である。
親水性基繰り返し単位においては、Yがポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖であることが特に好ましい。
更に親水性基繰り返し単位は、下記式(T−1)又は(T−2)で表される繰り返し単位であることが好ましく、(T−1)で表されるポリエチレンオキシド鎖を有する繰り返し単位が特に好ましい。
Figure 0005453023
式(T−1)及び(T−2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は−COO−又は−CONH−の二価の連結基を表す。nは2以上の整数を表す。
前記ポリアルキレンオキシド鎖を含有する基の末端Xは、炭素原子数3以下の炭化水素基又は水素原子を表す。好ましくはメチル基又は水素原子である。(T−2)のプロピレンオキシド基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。
前記アルキレンオキシド鎖の繰り返し数nは、2〜30の整数であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが特に好ましい。
本発明に用いることができる特定共重合体は、親水性基繰り返し単位を1種のみ有してもよいし、2種以上有してもよい。
本発明に用いることができる特定共重合体における親水性基繰り返し単位の含有比率は、特定共重合体が有する全繰り返し単位に対し、30〜98モル%であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、50〜80モル%であることが特に好ましい。
一般式(1)のQは、より具体的には、ホスホン酸基[−PO(OH)2]、リン酸基[−OPO(OH)2]、スルホン酸基[−SOH]及びこれらの塩の基[−PO(OH)(OM)、−PO(OM)2、−OPO(OH)(OM)、−OPO(OM)2、−SOM(ただし、Mはプロトン(H+)以外の対カチオンを表す。)]よりなる群から選ばれた基である。上記のプロトン以外の対カチオンとしては、特に制限はなく、金属カチオン等の無機カチオンであっても、テトラアルキルアンモニウムイオン等の有機カチオンであってもよく、また、ポリマー型のカチオンであってもよい。また、前記対カチオンは、一価の対カチオンであっても、二価以上の対カチオンであってもよい。
ホスホン酸及びリン酸系の酸性基繰り返し単位としては、下記式(U−1)又は(U−2)で表される繰り返し単位が好ましく、式(U−2)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
Figure 0005453023
式(U−1)及び(U−2)中、R2は水素原子又はメチル基を表し、A2は単結合又は(n+1)価の連結基を表す。A2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子から選ばれた元素の組合せにより構成される有機基であることが好ましい。X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又はプロトン以外の対カチオンを表し、nは1以上の整数を表す。
前記X1及びX2におけるプロトン以外の対カチオンは、特に制限はなく、金属カチオン等の無機カチオンであっても、テトラアルキルアンモニウムイオン等の有機カチオンであってもよく、また、ポリマー型のカチオンであってもよい。また、前記対カチオンは、一価の対カチオンであっても、二価以上の対カチオンであってもよい。
前記nは、1〜5の整数であることが好ましく、1又は2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
酸性基繰り返し単位は、下記式(U−3)又は(U−4)で表される繰り返し単位であることが更に好ましい。
Figure 0005453023
式(U−3)及び(U−4)中、A3は二価の有機基を表す。R2、X1及びX2は、式(U−1)及び(U−2)におけるR2、X1及びX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式(U−4)のA3における二価の有機基としては、炭素原子、水素原子及び酸素原子から選ばれた元素の組合せにより構成される有機基であることが好ましく、アルキレン基、アルキレンオキシ基、又はポリアルキレンオキシ基であることが好ましい。また、前記アルキレン基及びポリアルキレンオキシ基は、直鎖であっても、分岐を有していてもよい。(U−4)におけるA3の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。
前記酸性基繰り返し単位の具体例としては、下記(A−1)〜(A−4)で表される繰り返し単位が好ましいものとして挙げられる。(A−1)及び(A−2)において、pは1〜12が好ましく、特に2〜8が好ましい。
なお、本発明において、化合物やその部分構造の炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載することもある。
Figure 0005453023
次に、スルホン酸系の酸性基繰り返し単位としては、下記式(U−5)及び(U−6)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0005453023
式(U−5)及び(U−6)中、R2、X1及びnは、式(U−1)及び(U−2)におけるR2、X1及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の炭化水素基を表す。好ましくは一価の炭化水素基であり、炭素原子数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
4は、単結合又は(n+1)価の有機基を表し、A5は(n+1)価の有機基を表し、A6は二価の有機基を表す。
前記式(U−5)のAで表される(n+1)価の有機基、及び前記式(U−6)のA5で表される(n+1)価の有機基としては、炭素、水素、酸素及び窒素よりなる群から選ばれた元素より形成された基であることが好ましく、炭素、水素及び酸素よりなる群から選ばれた元素より形成された基であることがより好ましい。特にエステル結合又はアミド結合を有する基が好ましい。
式(U−6)のA6で表される二価の有機基としては、炭素、水素、酸素よりなる群から選ばれた元素より形成された基であることが好ましく、直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましい。
スルホン酸系の酸性基繰り返し単位は、下記式(U−7)〜(U−9)で表される繰り返し単位であることが更に好ましい。
Figure 0005453023
式(U−7)〜(U−9)におけるR2及びX1は、式(U−1)〜(U−2)におけるR2及びX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。式(U−9)におけるR3及びR4は、式(U−6)におけるR3及びR4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(U−7)及び(U−8)のA7は二価の有機基を表し、直鎖又は分岐アルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20の直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜10の直鎖又は分岐アルキレン基であることが更に好ましい。
式(U−9)のA8は二価の有機基を表し、直鎖又は分岐アルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20の直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜10の直鎖又は分岐アルキレン基であることが更に好ましい。
式(U−9)のA9は二価の有機基を表し、直鎖又は分岐アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキレン基であることが更に好ましい。
スルホン酸系の好ましい酸性基繰り返し単位の具体例として、下記(H−1)〜(H−6)で表される繰り返し単位が挙げられる。また、下記(H−1)〜(H−4)で表される繰り返し単位のスルホン酸基が塩を形成している繰り返し単位も好ましいものである。
Figure 0005453023
本発明に用いることができる特定共重合体は、酸性基繰り返し単位を1種のみ有していても、2種以上有していてもよい。
本発明に用いることができる特定共重合体における酸性基繰り返し単位の含有比率は、特定共重合体が有する全繰り返し単位に対し、2〜80モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、20〜50モル%であることが特に好ましい。
また、本発明に用いることができる特定共重合体は、酸性基繰り返し単位及び親水性基繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位を有していてもよい。他の繰り返し単位としては、特に制限はなく、公知のモノマーを共重合して得られる繰り返し単位であればよい。
本発明に用いることができる特定共重合体における他の繰り返し単位の含有比率は、特定共重合体が有する全繰り返し単位に対し、40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが更に好ましい。
また、前記特定共重合体は、ビニル共重合体である。
なお、ビニル共重合体とは、例えば、アクリレート類、メタクリレート類、スチレン類、芳香族ビニル化合物、脂肪族ビニル化合物、アリル化合物、アクリル酸、メタクリル酸などのようなエチレン性不飽和結合を有する単量体を2種以上共重合して得られる共重合体である。
前記特定共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの共重合体でもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
また、前記の、酸性基繰り返し単位、親水性基繰り返し単位、及び、その他の繰り返し単位は、エチレン性不飽和結合を有する単量体より得られるモノマー単位である。
本発明の特定共重合体の質量平均モル質量(Mw)は、5,000〜200000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましい。
本発明の特定共重合体の数平均モル質量(Mn)は、1,000以上であることが好ましく、2,000〜2,000,000以下であることがより好ましい。
本発明の特定共重合体の多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であることが好ましい。
本発明の湿し水は、特定共重合体を1種単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
本発明の湿し水における特定共重合体の含有量は、0.005〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましい。上記範囲内で、良好な機上現像性、及び非画像部と網画像部の汚れ防止効果が得られる。
(湿し水に用いるその他の成分)
本発明の湿し水には更に、水溶性高分子化合物を添加してもよい。
水溶性高分子化合物の具体的な例としてはアラビアゴム、澱粉誘導体(例えばデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、燐酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉など)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、それらのグリオキサール変性体など)の天然物とその変性体及びポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体などの合成物が挙げられる。これらの高分子化合物は単独で又は混合して使用でき、その添加量は湿し水中、0.0001〜5質量%、より好ましくは、0.003〜1質量%が適当である。
本発明では、上記水溶性高分子化合物の中でも、ポリビニルピロリドンが特に好ましく使用できる。湿し水におけるポリビニルピロリドンの含有量は、0.001〜0.3質量%が適当であり、好ましくは0.005〜0.2質量%である。
湿し水は一般的に酸性領域、すなわち、pH3〜6付近の範囲で使用することが望ましい。pH3未満では支持体に対するエッチング効果が強くなり、耐刷性が低下する。pH値を3〜6に調整するためには、一般的には有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩を添加すればよい。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グリコール酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レブリン酸やスルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。その添加量は湿し水中0.001〜5質量%が一般的である。
本発明の湿し水はまた、アルカリ金属水酸化物、燐酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、珪酸塩等を含有させ、pH7〜11付近のアルカリ領域で用いることもできる。
本発明の湿し水には更に少量の界面活性剤を添加してもよい。例えば、アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド2ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硬化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
また非イオン型界面活性剤としては、ポリオキシアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸部分エステル類、蔗糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等が挙げられる。また両性界面活性剤の例としては、アルキルイミダゾリン類が挙げられる。
更に、フッ素系界面活性剤が挙げられる、例えば、フッ素系アニオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素系ノニオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物、フッ素系カチオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤の含有量は発泡の点を考慮すると、湿し水中10質量%以下、好ましくは0.01〜3.0質量%が適当である。
更に本発明の湿し水には、湿潤剤として、グリコール類及び/又はアルコール類などを含めることができる。このような湿潤剤として例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール及びペンタプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
これらの湿潤剤を1種単独で又は2種以上の併用で、湿し水中0.01〜1質量%程度含ませることができる。
以上の成分の他に、本発明の湿し水にはキレート剤、防腐剤、着色剤、防錆剤、消泡剤などを含ませてもよい。
本発明の湿し水の成分として残余は、水である。水は、好ましくは脱塩水、すなわち、純水を使用する。
湿し水を商品とする場合は、使用時の希釈率などを考慮して、上述の湿し水の濃縮型である湿し水組成物が製造される。このような濃縮液は、使用時に通常、水道水、井戸水等で10〜200倍程度に希釈して湿し水として用いられる。
〔平版印刷版原版〕
本発明の湿し水を適用する平版印刷版原版(以下、本発明の平版印刷版原版とも記す)は、支持体上に機上現像可能な画像記録層を有することが好ましい。また、本発明の平版印刷版原版は、場合によって、画像記録層上に保護層、支持体と画像記録層の間に下塗り層を有することができる。
以下、本発明の平版印刷版原版の構成要素及び成分などについて説明する。
(画像記録層)
本発明の平版印刷版原版に用いられる画像記録層(以下、「本発明に用いられる画像記録層」又は「本発明の画像記録層」とも記す)は、ポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有し、機上現像可能な画像記録層であることが好ましい。本発明に用いられる画像記録層は、更に、(A)赤外線吸収染料(赤外線吸収剤とも記す)、(B)ラジカル重合開始剤及び(C)重合性化合物を含有することが好ましい。以下に、画像記録層に含有できる各成分について、順次説明する。
(A)赤外線吸収染料
赤外線吸収染料は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述のラジカル発生剤に電子移動及び/又はエネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収染料は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料である。
赤外線吸収染料としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0058]〜[0087]に記載されている化合物を用いることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 0005453023
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−N(R9)(R10)、−X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、R9及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子を表し、またR9とR10とが互いに結合して環を形成してもよい。なかでもフェニル基が好ましい。X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。以下に示す基において、Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 0005453023
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−023360号公報の段落番号[0012]〜[0021]、特開2002−040638号公報の段落番号[0012]〜[0037]に記載されたものを挙げることができる。
また、これらの(A)赤外線吸収染料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、顔料等の赤外線吸収染料以外の赤外線吸収剤を併用してもよい。顔料としては、特開2008−195018号公報[0072]〜[0076]に記載の化合物が好ましい。
本発明における画像記録層中の赤外線吸収染料の含有量は、画像記録層の全固形分の0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。
(B)ラジカル発生剤
本発明の画像記録層に用いられる(B)ラジカル発生剤としては、後述の(C)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明において使用しうるラジカル発生剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。
該ラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物、が挙げられる。
(a)有機ハロゲン化物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0022]〜[0023]に記載の化合物が好ましい。
(b)カルボニル化合物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0024]に記載の化合物が好ましい。
(c)アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(d)有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0025]に記載の化合物が好ましい。
(e)メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0026]に記載の化合物が好ましい。
(f)アジド化合物としては、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0027]に記載の化合物が好ましい。
(h)有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]に記載の化合物が好ましい。
(i)ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2002−328465号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]〜[0030]に記載の化合物が好ましい。
(k)オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、米国特許出願公開第2008/0311520号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号、特開2008−195018号の各公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩、特開2008−195018号公報に記載のアジニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
上記の中でもより好ましいものとして、オニウム塩、なかでもヨードニウム塩、スルホニウム塩及びアジニウム塩が挙げられる。以下に、これらの化合物の具体例を示すが、これに限定されない。
ヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウム塩が好ましく、特に電子供与性基、例えばアルキル基又はアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩が好ましく、更に好ましくは非対称のジフェニルヨードニウム塩が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=テトラフェニルボラートが挙げられる。
スルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナートが挙げられる。
アジニウム塩の例としては、1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−シクロヘキシルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−クロロ−1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−シアノピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、3,4−ジクロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)ピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−ベンジルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−フェネチルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=p−トルエンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ペルフルオロブタンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ブロミド、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=テトラフルオロボラートが挙げられる。
ラジカル発生剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。
(C)重合性化合物
本発明の画像記録層に用いることができる(C)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態をもつ。
具体例としては、特開2008−105018号公報の段落番号[0089]〜[0098]に記載の化合物が挙げられる。なかでも好ましいものとして、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)とのエステルが挙げられる。別の好ましい重合性化合物としては特開2005−329708号公報に記載のイソシアヌル酸構造を有する重合性化合物が挙げられる。
上記の中でも、機上現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート類が特に好ましい。
本発明において、(C)重合性化合物は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。
(D)ポリアルキレンオキシド基を有するポリマー
本発明の画像記録層は機上現像性を持たせるために、ポリマーを含有する。特に、ポリアルキレンオキシド基を有するポリマーが好ましい。ポリアルキレンオキシド基を有するポリマー、特に側鎖にポリアルキレンオキシド基を有するポリマーは、画像記録層に、微粒子の形態で含まれていても、粒子形状のような特定の形状を持たず、画像記録層各種材料を相溶または結合させる媒体(以下本発明でバインダーという)として含まれていてもよい。
いずれにしてもこのようなポリマーにポリアルキレンオキシド基を側鎖に導入することにより、湿し水中に存在するポリアルキレンオキシドを有するポリマーと相互作用することにより、湿し水の浸透性が向上し、機上現像性が良好となる。
(D−1)ポリマー微粒子
本発明では、機上現像性を向上させるため、ポリマー微粒子を用いることができる。本発明におけるポリマー微粒子とは、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び架橋ポリマー微粒子(ミクロゲル)から選ばれる少なくともひとつの微粒子が好ましい。
本発明においては、前記ポリマー微粒子はポリアルキレンオキシド構造を有することが好ましい。このポリアルキレンオキシド構造が前記湿し水中の特定共重合体が有するポリアルキレンオキシド基と相互作用し、機上現像性が向上する。特にアルキレンオキシド基がエチレンオキシド基であり、エチレンオキシド基の繰り返し単位数が、12〜250であるポリエチレンオキシド基であることが好ましい。
ポリアルキレンオキシド構造のポリマー微粒子への導入は、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子・熱反応性ポリマー微粒子の場合には、例えば、前記式(T−1)又は(T−2)で表される繰り返し単位に対応するポリアルキレンオキシド構造を有するモノマーを乳化重合又は懸濁重合する方法がある。この場合、共重合するモノマーとしては、このようなポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子とは、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載されているように赤外線レーザー露光の際に発生する熱により融着することで疎水化する微粒子を意味する。
熱反応性ポリマー微粒子とは、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋、及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する微粒子を意味する。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
ポリアルキレンオキシド構造のポリマー微粒子への導入は、マイクロカプセルまたはミクロゲルの場合には、例えば、多官能イソシアネートを用いる界面重合の成分にポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルなどを加える方法など、公知の方法で、ポリマー微粒子に関する以下の説明の応用として行うことができる。
本発明で用いられるマイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。更に、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
本発明においては、架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中及び/又は表面に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができ、特に、(C)重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
上記のポリマー微粒子の平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmが更に好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
ポリマー微粒子の含有量としては、画像記録層全固形分の5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
(D−2)バインダーポリマー
本発明の画像記録層には、画像記録層の各成分の結合剤として、また膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
バインダーポリマーは、親水性基としてアルキレンオキシド構造を有することが機上現像性向上の観点から特に好ましい。アルキレンオキシド基がエチレンオキシド基であり、エチレンオキシド基の繰り返し単位数が、2〜8であるポリエチレンオキシド基であることが好ましい。特に好ましくは、前記式(T−1)又は(T−2)で表される繰り返し単位に対応するポリアルキレンオキシド構造を有するモノマーを共重合したアクリル樹脂が好ましい。
バインダーポリマーのアルキレンオキシド構造が、本発明で用いられる湿し水中の特定共重合体のアルキレンオキシド基と相互作用し、機上現像性が向上すると考えられる。
また、本発明のバインダーポリマーには、着肉性を制御するため、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などの親油性の基を導入できる。具体的には、メタクリル酸アルキルエステルなどの親油性基含有モノマーを共重合すればよい。
なかでも本発明に好適なバインダーポリマーとしては、特開2008−195018号公報に記載のような、画像部の皮膜強度を向上するための架橋性官能基を主鎖又は側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。架橋性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
架橋性官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するアクリルポリマーやポリウレタンとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、該バインダーポリマーは、更にポリアルキレンオキシド構造以外の親水性基を有することができる。別の親水性基としては、たとえば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、リン酸基等などが挙げられる。親水性基は画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与するが、特に、架橋性基と親水性基を共存させることにより、耐刷性と現像性の両立が可能になる。
バインダーポリマーに親水性基を付与するには親水性基を有するモノマーを共重合すればよい。
以下に本発明に用いられるバインダーポリマーの具体例(1)〜(11)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005453023
Figure 0005453023
なお、本発明におけるバインダーポリマーは質量平均モル質量(Mw)が2000以上であることが好ましく、5000以上であるのがより好ましく、1万〜30万であるのが更に好ましい。
本発明では必要に応じて、特開2008−195018号公報に記載のポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーを用いることができる。また、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することもできる。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、通常5〜90質量%であり、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。
(E)低分子親水性化合物
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
本発明においてはこれらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、ベタイン類の群から選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラデコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又は複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位は1〜4であるのが好ましく、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩が好ましい。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナートなどが挙げられる。
上記の低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以上8質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(F)感脂化剤
本発明の画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナートなどが挙げられる。
上記含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。またイミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩類、及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
上記アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すれば如何なるものでもよいが、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。
上記アンモニウム塩含有ポリマーは、下記の測定方法で求められる還元比粘度(単位:cSt/g/ml)の値で、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。
<還元比粘度の測定方法>
30%ポリマー溶液3.33g(固形分として1g)を、20mlのメスフラスコに秤量し、N−メチルピロリドンでメスアップする。この溶液をウベローデ還元粘度管(粘度計定数=0.010cSt/s)に入れ、30℃にて流れ落ちる時間を測定し、計算式(「動粘度」=「粘度計定数」×「液体が細管を通る時間(秒)」)を用いて定法により算出した。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5)
上記感脂化剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15.0質量%、1〜5質量%が更に好ましい。
(G)その他
更にその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物、及び共増感剤もしくは連鎖移動剤などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]、特開2006−091479号公報の段落番号[0023]〜[0027]、米国特許公開2008/0311520号明細書[0060]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
(H)画像記録層の形成
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/mが好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
(下塗り層)
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある)を設けることが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ。
下塗り層に用いる化合物としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が挙げられる。より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載のごとき、支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有する高分子樹脂が挙げられる。この高分子樹脂は、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。より具体的には、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、−COCH2COCH3などの吸着性基を有するモノマーと、親水性のスルホ基を有するモノマーと、更にメタクリル基、アリル基などの重合性の架橋性基を有するモノマーとの共重合体である高分子樹脂が挙げられる。この高分子樹脂は、高分子樹脂の極性置換基と、対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
下塗り層用高分子樹脂中の不飽和二重結合の含有量は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
下塗り層用の高分子樹脂は、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明の下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時における汚れ防止のため、キレート剤、第2級又は第3級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物等(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)を含有することができる。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2であるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板に、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などを一層改良するため、必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理などを適宜選択して行うことができる。
本発明で用いられる支持体は、上記のような種々の表面処理を施された後、最後にシリケート処理を行うことが好ましい。この処理方法としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩水溶液処理が好ましく用いられ、アルミニウム支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理又は電解処理され、その後水洗、乾燥される。
親水性表面処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩は、具体的には、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。なかでも、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムは、例えば、3号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、1号ケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。ケイ酸カリウムは、例えば1号ケイ酸カリウムが挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、25℃でのpHが10〜13のものが好ましく用いられる。pHを高くするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を適当量含有してもよい。なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩又は4族(第IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩等の水溶性塩が挙げられる。4族(第IVB族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩及び4族(第IVB族)金属塩は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
本発明のアルミニウム支持体の表面処理において、このアルカリ金属ケイ酸塩水溶液処理(シリケート処理)は必須であり、本発明に用いられるシリケート処理されたアルミニウム支持体表面のシリケートのSi付着量は5〜15mg/mであることが好ましい。
また本発明の支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
本発明の支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平5−45885号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
また、保護層には酸素遮断性を高めるため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母等の無機質の層状化合物を含有することが好ましい。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.02〜3g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/mの範囲である。
〔製版方法〕
本発明の平版印刷版原版の製版は機上現像方法で行うことが好ましい。機上現像方法は、平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、油性インキと本発明の印刷用湿し水とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で行ってもよいし、プレートセッターなどで別途行ってもよい。後者の場合は、露光済み平版印刷版原版は現像処理工程を経ないでそのまま印刷機に装着される。その後、該印刷機を用い、油性インキと本発明の印刷用湿し水とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出され非画像部が形成される。油性インキとしては、通常の平版印刷用の印刷インキが用いられる。
以下、更に詳細に説明する。
本発明において画像露光に用いられる光源としては、レーザーが好ましい。本発明に用いられるレーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を照射する固体レーザー及び半導体レーザーなどが好適に挙げられる。
赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cmであるのが好ましい。レーザーにおいては、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像露光される。
画像様に露光した平版印刷版原版に本発明で提示した湿し水と印刷インキとを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び/又は印刷インキによって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。
このようにして、本発明の平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜20、及び比較例1〜13]
1.平版印刷版原版(1)の作製
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)に2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間、シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体(2)を得た。Siの付着量は10mg/mであった。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(2)下塗り層の形成
次に、上記支持体(2)上に、下記下塗り層用塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、以下の実験に用いる下塗り層を有する支持体を作製した。
<下塗り層用塗布液(1)>
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
Figure 0005453023
(3)画像記録層の形成
下塗り層を有する上記の支持体に、下記の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.6g/mの画像記録層を作製し、平版印刷版原版(1)〔実施例1〜18、及び比較例1〜5用〕を得た。
<画像記録層塗布液(1)>
・ポリマー微粒子水分散液(1) 20.0g
・赤外線吸収染料(1)[下記構造] 0.2g
・ラジカル発生剤 0.5g
Irgacure250(チバスペシャリティケミカルズ製)
・重合性化合物 SR−399(サートマー社製) 1.50g
・メルカプト−3−トリアゾール 0.2g
・Byk336(Byk Chimie社製) 0.4g
・Klucel M(Hercules社製) 4.8g
・ELVACITE4026(Ineos Acrylica社製) 2.5g
・n−プロパノール 55.0g
・2−ブタノン 17.0g
なお、上記組成中の商品名で記載の化合物は下記の通りである。
・Irgacure250:(4−メトキシフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート(75質量%プロピレンカーボナート溶液)
・SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・Byk336:変性ジメチルポリシロキサン共重合体(25質量%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液)
・Klucel M:ヒドロキシプロピルセルロース(2質量%水溶液)
・ELVACITE 4026:高分岐ポリメチルメタクリレート(10質量%2−ブタノン溶液)
Figure 0005453023
(ポリマー微粒子水分散液(1)の製造)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA エチレングリコールの平均の繰返し単位は50)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に予め混合されたスチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80のポリマー微粒子水分散液(1)が得られた。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径150nmに極大値を有していた。
ここで、粒径分布は、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒径を総計で5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とした。
2.平版印刷版原版 (2)の作製
平版印刷版原版(1)のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(2)は下記感光液(2)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液(2)>
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.240g
・赤外線吸収染料(2)〔下記構造〕 0.030g
・ラジカル発生剤(1)〔下記構造〕 0.162g
・重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・感脂化剤 アンモニウム基含有ポリマー
[下記構造、還元比粘度44cSt/g/ml] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<ミクロゲル液(1)>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
上記の、バインダーポリマー(1)、赤外線吸収染料(2)、ラジカル発生剤(1)、ホスホニウム化合物(1)、低分子親水性化合物、(1)アンモニウム基含有ポリマー、及びフッ素系界面活性剤(1)の構造は、以下に示す通りである。
Figure 0005453023
Figure 0005453023
−ミクロゲル(1)の合成−
油相成分として、下記構造の多官能イソシアナート(三井化学ポリウレタン製;75%酢酸エチル溶液)4.46g、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート、メチル片末端ポリオキシエチレン付加体(三井化学ポリウレタン製;50%酢酸エチル溶液)0.86g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー製、SR399E)1.72g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂製;メタノール70%溶液)0.05gを酢酸エチル4.46gに溶解した。油相成分及び水相成分としての水17.30gを混合し、ホモジナイザーを用いて10000rpmで15分間乳化した。得られた乳化物を、40℃で4時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、21.8質量%になるように水を用いて希釈した。平均粒径は0.25μmであった。
Figure 0005453023
上記画像記録層上に、更に下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成して平版印刷版原版(2)〔実施例19、及び比較例6〜9用〕を得た。
<保護層用塗布液(1)>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
3.平版印刷版原版 (3)の作製
平版印刷版原版 (2)における画像記録層を、下記の画像記録層塗布液(3)に変えたこと以外は平版印刷版原版 (2)と同様にして平版印刷版原版 (3)を作製した。
<画像記録層塗布液(3)>
画像記録層塗布液(2)で使用したミクロゲル液(1)を下記ミクロゲル液(2)に変えたこと以外は画像記録層塗布液(2)と同様にして画像記録層塗布液(3)を作製した。
<ミクロゲル液(2)>
・ミクロゲル(2) 2.640g
・蒸留水 2.425g
−ミクロゲル(2)の合成−
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井化学ポリウレタン(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを前記ミクロゲル(2)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
上記のようにして画像記録層を形成して平版印刷版原版(3)〔実施例20、及び比較例10〜13用〕を得た。
4.湿し水の調製
下記成分表に記載の各成分を混合溶解して、湿し水を液温20℃で調製した。
<湿し水成分表>
・純水 35.6g
・プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル 28.4g
・プロピレングリコール 25.0g
・オクタンジオール 4.7g
・グリセリン 1.0g
・KOH(48質量%水溶液) 2.3g
・硝酸アンモニウム 0.3g
・燐酸第二アンモニウム 0.3g
・硫酸マグネシウム 0.8g
・クエン酸 0.2g
・クエン酸第二アンモニウム 0.7g
・特定共重合体 0.8g
上記湿し水に用いた特定共重合体(P−1〜P−18)及び比較用に用いたポリマー(P−19〜P−22)の構造を下に示す。
Figure 0005453023
5.評価
上記のように作製した平版印刷版原版に、赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力7.0W、外面ドラム回転数150rpm、解像度2400dpiの条件で網点面積率90%、95%及び97%の網点チャートを含む画像を露光した。該露光済みの版をそのまま現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水として上記のように調製した印刷薬品の3体積%水溶液を用い、インキとしてTRANS−G(N)紅インキ(大日本インキ化学工業(株)製)/ワニス=90/10を用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。非画像部は汚れのない印刷物が得られた。
その後、湿し水の供給を絞って版面をインキで全面汚した後、再び湿し水の供給量を元に戻した。その後、一時間印刷機を停止した後、再度、湿し水とインキを供給し良好な印刷物が得られるまでの枚数を「汚れ性能」として測定した。枚数が少ないことは、非画像部の親水性、保水性を優れた状態に保持できる平版印刷方法であることを示している。
平版印刷版原版(1)を使用した実施例1〜18及び比較例1〜5の評価結果を表1に示す。
Figure 0005453023
平版印刷版原版(2)を使用した以外は実施例1〜18及び比較例1〜5に記載の方法と同様に、実施例11及び比較例6〜9の評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0005453023
平版印刷版原版(3)を使用した以外は実施例1〜18及び比較例1〜5に記載の方法と同様に、実施例20及び比較例10〜13の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0005453023
表1〜3より本発明の湿し水及び本発明の平版印刷版の印刷方法により、機上現像性及び汚れ性が改善されていることがわかる。
[実施例21、及び比較例14]
6.平版印刷版原版 (4)の作製
平版印刷版原版 (1)における画像記録層塗布液(1)を、下記の画像記録層塗布液(4)に代えたこと以外は平版印刷版原版 (1)と同様にして平版印刷版原版 (4)を作製した。
<画像記録層塗布液(4)>
画像記録層塗布液(1)で使用したポリマー微粒子水分散液(1)20.0gの代わりに下記のポリマー微粒子水分散液(2)を72g加えた以外は、画像記録層塗布液(1)と同様にして画像記録層塗布液(4)を作製した。
ポリマー微粒子水分散液(2)の作製
メカニカルスターラーを備え付けた200mlの三口フラスコに水85g、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.3g、アクリロニトリル4.5g、スチレン0.5gを添加し完全に溶解した。次いで、系内を窒素置換した後、窒素フロー(流量:10ml/min)した。次に、70℃に昇温したのち、300rpmの回転速度で攪拌しながら過硫酸カリウム水溶液(過硫酸カリウム0.27g、水10g)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で3時間攪拌し、次いで、80℃に昇温して、2時間攪拌した。質量比でSt/AN=10/90のポリマー微粒子水分散液(2)が得られた。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径125nmに極大値を有していた。また固形分量は5.5質量%であった。
平版印刷版原版 (4)を使用した以外は実施例1〜18及び比較例1〜5に記載の方法と同様に、実施例21及び比較例14の評価を行った。結果を表4に示す。なお、表4には、実施例1及び比較例2の結果も示した。
Figure 0005453023
表4から、画像記録層に含有させるポリマー側鎖にもエチレンオキシド鎖を含有させることにより、機上現像性および汚れ難さが良化していることが分かる。

Claims (13)

  1. 一般式(1)で表されるビニル共重合体を含有することを特徴とする印刷用湿し水。
    Figure 0005453023

    一般式(1)中、R1、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Yはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端Xは水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
  2. 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用湿し水。
  3. 前記Yがポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする請求項又はに記載の印刷用湿し水。
  4. 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であることを特徴とする請求項に記載の印刷用湿し水。
  5. 平版印刷版原版を画像露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に取付け、(a1)一般式(A)で表される基を有する繰り返し単位、並びに(a2)リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を少なくとも一つ有する繰り返し単位を含むビニル共重合体を含有する印刷用湿し水と油性インキにより未露光部分を除去し、印刷することを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
    Figure 0005453023

    ここでYはアルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシド鎖を表し、末端Xは炭素原子数3以下のアルキル基又は水素原子を表す。
  6. 前記ビニル共重合体が一般式(1)で表されることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版の印刷方法。
    Figure 0005453023

    一般式(1)中、R 1 、R はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。Y はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから選ばれる鎖を表し、末端X は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。Qはリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩の基から選ばれる基を表す。
  7. 前記Qがリン酸基又はその塩の基であることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版の印刷方法。
  8. 前記Y がポリエチレンオキシド鎖であることを特徴とする請求項6又は7に記載の平版印刷版の印刷方法。
  9. 前記ポリエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位数が2〜30であること
    を特徴とする請求項8に記載の平版印刷版の印刷方法。
  10. 平版印刷版原版が、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、赤外線吸収染料、ラジカル重合開始剤、重合性化合物、及びポリアルキレンオキシド基を側鎖に有するポリマーを含有する画像記録層を有することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
  11. 前記ポリマーが微粒子形状であることを特徴とする請求項10に記載の平版印刷版の印刷方法。
  12. 請求項10又は11に記載のポリアルキレンオキシド基が、ポリエチレンオキシド基であることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
  13. 平版印刷版原版のアルミニウム支持体が、シリケートが付着した陽極酸化皮膜を有することを特徴とする請求項1012のいずれか1項に記載の平版印刷版の印刷方法。
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