以下に、本発明における内視鏡装置の複数の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1〜図11は、本発明の第1の実施の形態に係り、図1は工業用内視鏡装置を示す全体構成を示す斜視図、図2は挿入補助コイルの構成を示す斜視図、図3は挿入補助コイルを先端側から見た図、図4は挿入補助コイルに設けられるハンドル部、および手元側固定部の構成を示す断面図、図5は変形例の手元側固定部の構成を示す断面図、図6は工業用内視鏡装置による配管内を観察している状態を示す斜視図、図7は挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する前の状態を示す部分断面図、図8は挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の工業用内視鏡装置(以下、単に内視鏡装置と記す)1は、長尺な挿入部2と、挿入補助コイル3と、操作部4と、本体装置5と、を有して主に構成されている。
挿入部2は、所定の可撓性を備えたチューブ体であって、観察方向、及び挿入方向を可変するための図示しない湾曲部が配設されている。この挿入部2の基端部は、操作部4に連結されている。また、挿入部2は、先端に先端観察部(以下、単に先端部と記す)11を有している。この先端部11には、観察窓、及び照明窓を備え、図示しないCCD、CMOS等の撮像手段、各種光学部材が内蔵される観察ユニットが配設されている。なお、観察ユニットは、これに限らず、イメージガイドファイバーやライトガイドファイバーを用いるなどしてもよい。
尚、本実施の形態では、観察ユニットが挿入方向に沿った方向を臨む、所謂、直視型の内視鏡装置1が図示されている。また、以下の説明において、本実施の形態の内視鏡装置1は、直視型に限定されること無く、勿論、観察ユニットが挿入方向に略直交する方向を臨む、所謂、直視型内視鏡、及び観察ユニットが挿入方向に傾斜する方向を臨む、所謂、斜視型内視鏡にも適用可能である。
本実施の形態の挿入補助手段ある挿入補助コイル3は、中途外周部に操作手段を構成する略円筒形状のグリップ部6が設けられ、基端が挿入部2に対して回動自在となるように固定するための保持固定手段である手元側固定部7を有している。
操作部4は、後方に延出するように設けられたユーザが握持するためのハンドル部12を有している。このハンドル部12の上面部には、挿入部2の湾曲部の湾曲方向を指示するための、湾曲操作レバー13aと、内視鏡機能操作するための各種スイッチ13bと、が配設されている。また、この操作部4は、本体装置5と制御ケーブルであるユニバーサルコード14を介して電気的に接続されている。
本体装置5は、ユニバーサルコード14が接続される制御ボックス15と、この制御ボックス15に開閉自在な蓋体を兼ねるモニタ部16と、から構成されている。この本体装置5内には、挿入部2の観察ユニットの照明窓から照射する白色光の光源、各種制御を行う制御回路等が内蔵されている。尚、本体装置5は、光源を有しておらず、上記観察ユニットにLED等の照明手段が配設されていても良い。
制御ボックス15は、天地方向の上面に電源スイッチ、キーボード等の各種入力部15aを有している。
モニタ部16は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面16aを有している。この表示画面16aは、複数の画像を同時に表示できる、所謂、マルチ表示画面としても良い。
なお、内視鏡装置1の挿入部2は、被検対象となる配管100内に挿入される。この配管100の入口開口部には、パイプ装着部材10が装着される。
次に、本実施の形態の挿入補助コイル3について、以下に詳しく説明する。
図2に示すように、挿入補助コイル3は、内視鏡装置1の挿入部2が挿通可能となるように、平板部材を螺旋状に巻回して可撓性(弾性)を有するように形成した疎巻コイル3aを有している。なお、挿入補助コイル3は、被検体となる配管内に挿入できると共に、パイプ装着部材10に挿通可能な外径寸法が設定されている。
挿入補助コイル3の先端は、疎巻コイル3aの先端平板部材を外周方向(外方)に折り曲げて形成した回転規制手段を構成する突起部21が設けられている。この突起部21は、図3に示すように、挿入補助コイル3の外周面からの突起寸法が所定の高さ(長さ)hとなっている。なお、突起部21の所定の高さhは、後述する配管100の肉厚寸法(長さ)Hよりも長い長さ(高さ)寸法が設定されている(図7参照)。
挿入補助コイル3の中途部に外挿固定されるグリップ部6は、図4に示すように、2つの円筒部材31,32を有している。これら2つの円筒部材31,32は、互いに螺合して連結されるように、内周部、または外周部にネジ溝31a,32aが刻設されている。
ここでは前方に位置する第1の円筒部材31は、先端外周部が外向フランジ形状となっている。また、後方に位置する第2の円筒部材32は、内周部に内向フランジ部32bが形成されている。
そして、グリップ部6は、2つの円筒部材31,32の螺合量に応じて内方側へ突出量が可変するゴムなどの弾性部材から形成された円環状のストッパ部材33を有している。このストッパ部材33は、第1の円筒部材31の後端面と当接するように配設されたワッシャ34と第2の円筒部材32の内向フランジ部32bの前面との間に配置される。つまり、2つの円筒部材31,32の螺合量(締め付け)に応じて、ワッシャ34と第2の円筒部材32の内向フランジ部32bの前面の離間距離が短くなり、ストッパ部材33が圧縮されることで、内方側への突出量が多くなる。
そのため、内方側に突出したストッパ部材33は、挿入補助コイル3の疎巻コイル3aと当接して、疎巻コイル3aの外周面を押圧する。これにより、グリップ部6は、挿入補助コイル3の外周部に固定される。また、グリップ部6は、2つの円筒部材31,32の締め付けを解除することで、挿入補助コイル3の長手方向所望の位置に簡単に移動することができ、2つの円筒部材31,32を締め付けることで、挿入補助コイル3の所望の位置で固定することができる。これにより、グリップ部6は、ユーザにより、挿入補助コイル3の長手軸(以下、挿入軸という場合もある)に添った所望の位置に移動固定自在となっている。
なお、グリップ部6の2つの円筒部材31,32は、ユーザが把持したときに滑りを防止するため、それぞれの外周面(第1の円筒部材31においては外向フランジ形状の外周面)に長手方向に沿った複数の溝が形成されている(図2参照)。
挿入補助コイル3の基端に配設される手元側固定部7は、図4に示すように、内視鏡装置1の挿入部2が遊挿され、回転保持管35と、この回転保持管35の基端部分に螺着される留管36と、回転保持管35内に遊嵌される2つの円筒部材37,38と、を有している。
回転保持管35の先端部分は、疎巻コイル3aの基端部分に嵌挿固定される。そして、回転保持管35は、基端内周部に刻設されたネジ溝35aに留管36の先端外周部に刻設されたネジ溝36aが螺合して留管36と連結される。
この回転保持管35は、基端部分が外方に拡がって内部に空間部35bが形成された太径部を有している。この空間部35b内には、2つの円筒部材37,38が回動自在となるように配置される。これら2つの円筒部材37,38は、内視鏡装置1の挿入部2に外挿配置される。
これら2つの円筒部材37,38は、グリップ部6と同様な構造を有しており、互いに螺合して連結されるように、内周部、または外周部にネジ溝37a,38aが刻設されている。そして、2つの円筒部材37,38の重畳部には、ワッシャ34と、2つの円筒部材37,38の螺合量に応じて内方側へ突出量が可変するゴムなどの弾性部材から形成された円環状のストッパ部材39と、が設けられている。
ここでも、ストッパ部材39は、前方側の円筒部材37の後端面と当接するように配設されたワッシャ34と後方側の円筒部材38との間に配置され、2つの円筒部材37,38の螺合量(締め付け)に応じて、圧縮されることで、内方側への突出量が多くなる。
そのため、内方側に突出したストッパ部材39は、挿入部2の外周面と当接して押圧する。これにより、2つの円筒部材37,38は、挿入部2の外周部に固定される。
なお、2つの円筒部材37,38の締め付けを解除することで、挿入部2の長手方向所望の位置に簡単に移動することができ、2つの円筒部材37,38を締め付けることで、挿入部2の長手方向における所望の位置で固定することができる。
これら挿入部2に固定された状態で互いが連結した2つの円筒部材37,38は、挿入部2に外挿する回転保持管35と留管36との連結時に予め回転保持管35の空間部35b内に挿入される。そして、2つの円筒部材37,38は、回転保持管35と留管36とが連結されて、閉じられた空間部35b内に配置される。これら2つの円筒部材37,38は、挿入部2に対して、連結された回転保持管35と留管36とが挿入部2の長手方向へ移動することを規制すると共に、回転保持管35と留管36とを挿入部2に対して回動自在に保持する構成となる。
その結果、挿入補助コイル3は、手元側固定部7によって、挿入部2の長手方向に移動しないように固定され、疎巻コイル3a、及びグリップ部6のみが挿入部2の長手軸回り(挿入軸回り)に回動自在となる。
なお、手元側固定部7は、図4に基づいて説明した構成に限定することなく、例えば、図5に示す構造としても良い。
具体的には、手元側固定部7は、図5に示すように、疎巻コイル3aの基端部分、及び挿入部2に固定される2つの円筒部材37,38複数の円筒部材37,38の外周を覆うように、3つの管状部材(41、42、45)を有している。
先端に設けられる管状部材である先端円筒部材41は、基端外周に刻設されたネジ溝41aが中途に設けられる中途円筒部材42の先端内周に刻設されたネジ溝42aに螺合して、中途円筒部材42と連結される。これら先端円筒部材41と中途円筒部材42が重畳する部分には、ワッシャ34、及び螺合量に応じて内方側へ突出量が可変するゴムなどの弾性部材から形成された円環状のストッパ部材43が配設されている。
このストッパ部材43は、疎巻コイル3aの外周面を当接押圧して、先端円筒部材41と中途円筒部材42を疎巻コイル3aに固定するために配設されている。なお、中途円筒部材42は、ストッパ部材43の基端部が当接するよう、内向フランジ部42cが内周部に形成されている。
そして、中途円筒部材42は、基端内周に刻設されたネジ溝42bが基端円筒部材となる留管45に先端内周に刻設されたネジ溝45aに螺合して、留管45が連結される。このとき、中途円筒部材42には、内向フランジ部42cの基端側に留管45の先端面によって閉じられた空間部42dが形成される。
この閉じられた空間部42d内に挿入部2に固定された2つの円筒部材37,38が配置される。これら2つの円筒部材37,38は、上述と同様にして、連結された中途円筒部材42と留管45を挿入部2の長手方向へ移動することを規制すると共に、中途円筒部材42と留管45とを挿入部2に対して回動自在に保持する構成となる。
その結果、挿入補助コイル3は、先端円筒部材41と中途円筒部材42が連結して固定する疎巻コイル3a、及びグリップ部6が挿入部2の外周回りに回動自在となる。なお、疎巻コイル3aの基端には、空間部42d内の円筒部材37の前面に疎巻コイル3aの基端部との当接を防止して、円筒部材37の損傷などを軽減する内筒部材44が挿嵌固定されている。
以上のように構成された本実施の形態の内視鏡装置1は、被検体である配管100内部を観察するため、図6に示すように、挿入部2と共に、この挿入部2に外挿する挿入補助コイル3が入口開口部に装着されたパイプ装着部材10を介して配管100内へ挿入される。なお、配管100は、複数の直線パイプ管101を有し、配管経路を変更するため、多様な屈曲経路に合わせて2つの直線パイプ管101の各端部を繋ぎ合わせるための管路継ぎ手102が外嵌連結されている。
ここで、従来の挿入部2では、単に配管100内へ押し込むだけであると、配管100深部へ挿入されるにつれて、管路継ぎ手102の数が増えるため、先端部11(図1参照)が管路継ぎ手102部分で引っ掛かりスムーズに挿入されなくなる。詳述すると、挿入部2は、配管100の入口から近ければ、管路継ぎ手102内に挿嵌接続された深部側の直線パイプ管101端面(段差)を容易に乗り越えることができて、管路継ぎ手102を通過することができる。しかし、配管100深部では、屈曲部の数に合わせて管路継ぎ手102の数が増え、挿入部2の先端部11が管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かってしまい乗り越え難くなる。特に、配管100の管路径が小さい(細い)ときには、挿入部2の先端部11が管路継ぎ手102内の直線パイプ管101端面への引っ掛かりが顕著となる。
これに対して、本実施の形態の内視鏡装置1は、挿入部2に対して回動自在な挿入補助コイル3を外挿しており、ユーザが挿入補助コイル3を回転させながら配管100内に挿入することで挿入部2を容易に配管100深部まで挿入することができる構成となっている。
具体的に説明すると、ユーザは、挿入部2に外挿する挿入補助コイル3を、挿入部2と共に配管100内へ挿入するとき、挿入補助コイル3の長手方向に沿った所望の位置に固定したグリップ部6を握持して、挿入部2(挿入補助コイル3)の長手軸(以下、挿入軸という)回りの所定の方向へ回転させながら配管100内へ押し込む。なお、挿入軸回りの所定の方向とは、疎巻きの挿入補助コイル3が密となって圧縮される方向とする。
挿入補助コイル3は、配管100の管路継ぎ手102を通過するとき、図7に示すように、先端面の一部が進行方向(深部側)の直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かってしまい、配管100の深部方向への挿入(進入)が妨げられてしまう。
この状態において、挿入補助コイル3は、配管100の深部方向へ押し込まれると共に、密となる所定の方向へ回転力を受けながら挿入されて圧縮された状態となる。このとき、挿入補助コイル3の突起部21が管路継ぎ手102の内周面と当接して引っ掛かり、挿入補助コイル3の先端部分を掛止した状態となり、この先端部分の回転を規制して停止させる。
そして、挿入補助コイル3は、さらに、配管100深部方向への押し込み力、及び密となって圧縮する所定の方向への回転力を受けると、管路継ぎ手102の内周面に引っ掛かって先端部分の回転を規制して停止させている突起部21が回転力に耐えられなくなって弾かれると共に、疎巻きの挿入補助コイル3全体に圧縮された力を開放するように回転し始める。すると、挿入補助コイル3は、全体に蓄えられたバネ弾性力により、先端部分が前方(配管100深部方向)へ向かって弾けるように延伸する(図8参照)。
ここで、上述したように、突起部21の高さ寸法hは、直線パイプ管101の肉厚寸法Hよりも長く設定されている(図7参照)。そのため、回転した挿入補助コイル3は、突起部21の高さ寸法h分だけ管路継ぎ手102の内方側へ移動して、蓄えられたバネ弾性力により先端部分が前方へ弾かれるように疎巻コイル3aが延伸して、段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。
このように、挿入補助コイル3は、管路継ぎ手102内において、直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かった状態から、段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えて弾けることにより配管100深部方向の直線パイプ管101内に挿入される。そのため、ユーザは、挿入補助コイル3内に挿通配置された挿入部2を挿入補助コイル3に沿って配管100深部へ容易に挿入することができる。
また、図6のように複数の屈曲部に内視鏡を挿入する場合、屈曲部を通過するためには、抵抗を少なくするために、挿入部の硬さが柔軟であることが望ましい。
しかし、挿入部の長さが長いものになると、手元から押し込む時の力が先端側に伝わらなくなり、挿入が難しい状況になってしまう。つまり、長いものを挿入するには、硬いことが必要である。
そこで、図6のように押し込み時、挿入部の前側は柔軟として圧縮されると蛇行すると共に、その状態でコイル3が圧縮されて、バネ力が蓄えられ、バネがはじかれた時、挿入部と共に、前方に押し出されることになる。
なお、ユーザは、グリップ部6を挿入補助コイル3の配管100への挿入量に応じて、押し込み操作、及び回転操作し易い挿入補助コイル3の長手方向に沿った所望の位置に、適宜、移動させる。
以上から本実施の形態の内視鏡装置1は、先端に突起部21を有する挿入補助コイル3を挿入部2に外挿して、疎巻コイル3aの回転と押し込みによる圧縮によって生じるバネ弾性力を利用して、複数な配管100経路の屈曲部に配設される管路継ぎ手102を容易に通過でき、挿入部2の挿入性を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る挿入補助コイルを回転させる回転装置の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、第1の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
本実施の形態の工業用内視鏡装置1は、図9に示すように、挿入補助コイル3を挿入軸回りに回転させるための回転装置50を有している。
この回転装置50は、箱状の筐体51と、筐体51の側面に配設された電源スイッチ52と、回転速度を調整するための速度調整ダイヤル53と、筐体51内に配設されたモータ54と、を主に有して構成されている。
また、挿入補助コイル3は、その基端部が回転装置50の筐体51に回動自在に保持された筒部22の先端部分に連結されている。この筒部22は、筐体51内に位置する外周部に平歯状のギヤ24が配設されている。なお、筒部22は、筐体51の前後から突出する長さを有している。また、筒部22の基端部には、手元側固定部7が回動自在に連結されている。
筒部22に設けられたギヤ24は、筐体51内でモータ54のモータギヤ55に噛合している。これにより、モータ54の回転力がモータギヤ55からギヤ24に伝達される。こうして、筒部22が回転装置50によって回転駆動され、この筒部22の回転駆動が筒部22の先端に連結固定された挿入補助コイル3に伝達される。従って、挿入補助コイル3は、回転装置50によって挿入軸回りに回動駆動される。
なお、モータ54の回転速度は、速度調整ダイヤル53によって調整することができる。そのため、ユーザは、挿入補助コイル3の挿入軸回りの回転速度を所望の速度に適宜調整することができる。
以上のように、本実施の形態の内視鏡装置1は、挿入補助コイル3を挿入軸回りに回動駆動する回転装置50を設けることで、ユーザにより挿入補助コイル3を回転操作する必要がなくなる。また、この内視鏡装置1は、第1の実施の形態と同じ作用効果を奏するものである。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る挿入補助コイルの構成を示す分解斜視図である。なお、以下の説明においても、第1の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図10に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、3つの疎巻コイル3a〜3cを連結部となる連結環24によって同一の長手方向(同一の長手軸を有するよう)に連結した構成となっている。
先端側に配設される疎巻コイル(ここでは第1の疎巻コイル)3aは、先端に、第1の実施の形態で説明した、突起部21を有している。この第1の疎巻コイル3aは、基端が連結環24に外挿嵌合して連結される。
また、第1の疎巻コイル3aと連結される連結環24は、第2の疎巻コイル3bの先端が外挿嵌合して第1の疎巻コイル3aと連結される。そして、第2の疎巻コイル3bは、基端が別の連結環24に外挿嵌合して連結される。
さらに、第2の疎巻コイル3bと連結される連結環24は、第3の疎巻コイル3cの先端が外挿嵌合して第2の疎巻コイル3aと連結される。そして、第3の疎巻コイル3bは、基端が別の連結環24に外挿嵌合して連結される。この第3の疎巻コイル3bの基端には、ここでは図示しない第1の実施の形態で説明した手元側固定部7が連結される。このように、挿入補助コイル3は、第1の疎巻コイル3aが先端側となって、各疎巻コイル3a〜3cが連結環24を介して順に連結された構成となっている。
なお、各疎巻コイル3a〜3cを連結固定する連結環24は、円環状部材であり、外周中央一部に外方へ突起した凸部24aが設けられている。この凸部24aは、ここでは孔軸に直交する断面形状が外方に頂点を有する三角形状を有している。そして、凸部24aは、例えば、連結環24の外周面から頂点部までの高さが、突起部21の高さ寸法(h)と同一、またはそれ以上となる突起量(高さ)を有している。
また、各疎巻コイル3a〜3cは、それぞれ異なる剛性(硬さ)を備えている。本実施の形態では、各疎巻コイル3a〜3cを構成する平板部材を、それぞれ異なるピッチ幅P1〜P3で巻回形成して、それぞれ異なる剛性に設定している。
具体的に説明すると、第1の疎巻コイル3aは、最も広いピッチ幅P1を有しており、他の疎巻コイル3b,3cよりも低い剛性が設定される。また、第2の疎巻コイル3bは、ピッチ幅P1よりも狭いピッチ幅P2を有しており、第1の疎巻コイル3aよりも高い剛性が設定されている。さらに、第3の疎巻コイル3cは、ピッチ幅P2よりも狭いピッチ幅P3を有しており、第2の疎巻コイル3aよりも高い剛性が設定されている。
つまり、挿入補助コイル3は、先端側の第1の疎巻コイル3aが最も柔らかく、基端に向かって、第2の疎巻コイル3b、及び第3の疎巻コイル3cの順で、硬くなるように設定されている。なお、各疎巻コイル3a〜3cは、厚さ、幅、材質などの違う平板部材を用いて、それぞれを巻回形成することで異なる剛性となるようにしても良い。
以上のように構成された、本実施の形態の挿入補助コイル3は、配管100の屈曲部(管路継ぎ手102)を通過するとき、先端側を柔らかくして、小さい押し込み力でも屈曲部の形状に合わせて変形し易くなる。そのため、挿入補助コイル3は、第1の実施の形態の作用効果に加え、さらに配管100の屈曲部(管路継ぎ手102)を通過し易くなる。
また、挿入補助コイル3は、柔らかすぎると、全体のコシが無くなり、基端側からの押し込み力が先端側に伝わり難く、挿入性が低下してしまう。これに対して、本実施の形態の挿入補助コイル3は、基端に向かって、第2の疎巻コイル3b、第3の疎巻コイル3cの順で、剛性が高く、つまり硬くなるため、基端側からの押し込み力を先端側へ十分に伝達しつつ、硬すぎて配管100深部へ押し込み難くなることを防止した構成となっている。
さらに、各疎巻コイル3a〜3cを連結する連結環24に凸部24aを設けることで、本実施の形態の挿入補助コイル3は、中途部分に凸部24aを有した構成となっている。これにより、挿入補助コイル3は、先端の突起部21と同様に、中途部においても、各凸部24aが管路継ぎ手102内において、直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かった状態から、段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えて弾けるため、さらに、挿入性が向上する。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図11、及び図12は、本発明の第4の実施の形態に係り、図11は挿入補助コイルの先端にキャップを設けた構成を示す分解斜視図、図12は挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図である。なお、以下の説明においても、第1の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図11に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの先端に円環状の口金25を有し、この口金25に円環状の先端キャップ26が着脱自在な構成となっている。口金25は、疎巻コイル3aの先端に外挿嵌合されており、先端外周部に雄ネジ25aが形成されている。
また、先端キャップ26は、円環形状をしており、内周面に口金25の雄ネジ25aに螺合する雌ネジ26aが形成されている。また、先端キャップ26は、外周面一部に、ここでの回転規制手段となる突起部27を有している。
この突起部27は、先端キャップ26の前後方向に延設されると共に、先端キャップ26の外周面から外方へ突起している。また、突起部27の突起量(高さ寸法)hは、第1の実施の形態の突起部21と同様に、配管100の肉厚寸法(長さ)Hよりも長い(高い)長さ(高さ)寸法が設定されている。さらに、突起部27は、先端キャップ26の前面に対して、先端から基端に向かって所定の角度θを有して切り欠かれたテーパ27aが形成されている。
以上、説明したように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、第1の実施の形態の突起部21に変えて、突起部27を有する先端キャップ26を疎巻コイル3aの先端に設けた構成となっている。
この先端キャップ26の突起部27は、図12に示すように、挿入補助コイル3が配管100の管路継ぎ手102を通過するとき、第1の実施の形態と同様にして、挿入補助コイル3に蓄えられたバネ弾性力により、先端キャップ26が段差となる直線パイプ管101端面を乗り越え易くする。つまり、管路継ぎ手102内に引っ掛かった挿入補助コイル3は、先端キャップ26の突起部27によって、配管100深部方向に弾けて延伸し、管路継ぎ手102を容易に通過することができる。
このとき、突起部27の高さ寸法hは、直線パイプ管101の肉厚寸法Hよりも長く設定されており、第1の実施の形態と同様に、先端キャップ26の先端が、突起部27の高さ寸法h分だけ管路継ぎ手102の内方側へ移動する。そして、挿入補助コイル3に蓄えられた弾性力によって、先端キャップ26が弾けるように直線パイプ管101端面を容易に乗り越えて、疎巻コイル3aが延伸する。こうして、挿入補助コイル3は、管路継ぎ手102を容易に通過することができる。さらに、先端キャップ26は、突起部27のテーパ27aに沿って直線パイプ管101端面が当接しながら前方へ移動し、さらに容易に直線パイプ管101端面を乗り越えることができる構成となっている。
以上から本実施の形態の内視鏡装置1は、挿入補助コイル3の先端に突起部27を有する先端キャップ26を設けても、第1の実施の形態と同様な作用効果を備えた構成とすることができる。
さらに、先端キャップ26は、挿入補助コイル3の先端の口金25に着脱自在な構成となっている。そのため、ユーザは、突起部27の高さ寸法hが異なるものを複数準備する事で、そのときの被検体となる配管100における直線パイプ管101の肉厚寸法Hよりも長い(高い)高さ寸法hの突起部27のある先端キャップ26を適宜、選択して使用することができる。つまり、先端キャップ26は、被検体に応じて交換自在なアダプタとすることができる。なお、本実施の形態の先端キャップ26は、勿論、第2、及び第3の実施の形態の挿入補助コイル3に設けても良い。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、挿入補助コイル3の疎巻コイル3aの先端に設けられる突起部(第1の実施の形態の突起部21)の各種変形例について説明する。
図13〜図18は、本発明の第5の実施の形態に係り、図13は第1変形例の挿入補助コイルの疎巻コイル先端に設けられる突起部の構成を示す斜視図、図14は図13の挿入補助コイルを先端側から見た平面図、図15は図13の挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図、図16は第2変形例の挿入補助コイルの疎巻コイル先端に設けられる突起部の構成を示す斜視図、図17は図16の挿入補助コイルを先端側から見た平面図、図18は図16の挿入補助コイルを一側方から見た側面図である。なお、以下の説明においても、第1の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
先ず、挿入補助コイル3の疎巻コイル3aの先端に設けられる突起部の第1変形例について図13〜図15を用いて説明する。
図13に示すように、挿入補助コイル3は、平板部材を螺旋状に巻回してなる疎巻コイル3aの先端を、この平板部材を直線状に形成した、ここでの回転規制手段である突起部46を有している。
この突起部46は、先端側が鋭角となるように、平板部材の幅方向に沿った縁辺が所定の角度θでカットされている。換言すると、突起部46は、先端側が鋭角となるように、挿入補助コイル3の長手軸に対して、所定の角度θでカットされている。
また、突起部46は、図14に示すように、直線部分が延出方向における疎巻コイル3aの外周よりも、直線パイプ管101の肉厚寸法Hより長く(H+α)となる寸法を有している。
このように構成された、挿入補助コイル3は、図15に示すように、疎巻コイル3aの先端部分が突起部46の寸法(H+α)分だけ管路継ぎ手102の内方側へ移動して、段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。
さらに、挿入補助コイル3は、突起部46の縁辺先端側が鋭角に形成されているため、突起部46が管路継ぎ手102の内周面に引っ掛かり易くなっている。また、管路継ぎ手102の前方の直線パイプ管101に先端部分が引っ掛かった時には、滑って元に戻り難く、前方へ進みやすい構成になっている。そのため、挿入補助コイル3は、突起部46による先端部分の回転規制力が向上し、全体に蓄えられるバネ弾性力が大きくなる。これにより、挿入補助コイル3は、第1の実施の形態の作用効果に加えて、全体に蓄えられた大きなバネ弾性力により、先端部分が前方(配管100深部方向)へ向かって弾けるように延伸する。そのため、挿入補助コイル3は、さらに、管路継ぎ手102の通過が容易となる。
次に、挿入補助コイル3の疎巻コイル3aの先端に設けられる突起部の第2変形例について図16〜図18を用いて説明する。
図16に示すように、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの平板部材の先端部分を直線状に形成すると共に、先端を直線形状からさらに外方へ折り曲げた曲げ部47aを形成した、ここでの回転規制手段である突起部47を有している。
この突起部47は、図17に示すように、直線部分が延出方向における疎巻コイル3aの外周よりも、直線パイプ管101の肉厚寸法Hより長い(H+α)寸法を有している。また、曲げ部47aも、直線パイプ管101の肉厚寸法Hより長く(H+α)なるように直線部分に対して、略直角に折り曲げられている。
さらに、曲げ部47aは、図18に示すように、先端側が鋭角となるように、平板部材の幅方向に沿った縁辺が所定の角度θでカットされている。つまり、曲げ部47aは、先端側が鋭角となるように、挿入補助コイル3の長手軸に対して、所定の角度θでカットされている。
このように構成された、挿入補助コイル3においても、疎巻コイル3aの先端部分が管路継ぎ手102の内面に当接した突起部47の直線部分の寸法(H+α)分だけ管路継ぎ手102の内方側へ移動して、段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。そして、挿入補助コイル3は、曲げ部47aの縁辺先端側が鋭角に形成されているため、突起部47が管路継ぎ手102の内周面に引っ掛かり易くなっており、突起部46による先端部分の回転規制力が向上する。これにより、挿入補助コイル3は、全体に蓄えられるバネ弾性力が大きくなり、全体に蓄えられた大きなバネ弾性力によって、先端部分が前方(配管100深部方向)へ向かって弾けるように延伸し、管路継ぎ手102の通過が容易となる。
なお、挿入補助コイル3は、図17に示す、上述したように、A方向の回転(ここでは疎巻コイル3aが圧縮する回転方向)に対して、突起部47の直線部分によって、段差となる直線パイプ管101端面を乗り越える。さらに、挿入補助コイル3は、A方向と反対のB方向の回転(疎巻コイル3aが疎となる回転方向)に対しても、曲げ部47aの寸法(H+α)分だけ管路継ぎ手102の内方側へ移動することができ、段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えることができる。
以上に説明したように、挿入補助コイル3は、第1の実施の形態の作用効果に加えて、さらに管路継ぎ手102の通過が容易となる共に、突起部47に曲げ部47aを形成することで、疎巻コイル3aが圧縮する回転方向とは逆の回転方向でも、段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えることができる。そのため、ユーザは、挿入補助コイル3内に挿通配置された挿入部2を挿入補助コイル3に沿って配管100深部へ容易に挿入することができる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、突起部(第1、第4、及び第5の実施の形態の突起部21,27,46,47)を設けないで挿入補助コイル3が管路継ぎ手102を容易に通過できるようにした各種構成について説明する。
図19から図27は、本発明の第6の実施の形態に係り、図19は挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図20は図19の挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための斜視図、図21は第1変形例の挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図22は図21の挿入補助コイルを先端側から見た平面図、図23は図21の挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図、図24は第2変形例の先端にキャップを設けた挿入補助コイルの構成を示す斜視図、図25は図24の挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図、図26、及び図27は挿入補助コイルが管路継ぎ手の数に応じた通過時の作用を説明するための部分断面図である。なお、以下の説明においては、上述の各実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図19に示す、挿入補助コイル3は、上述の各種突起部を設けず、疎巻コイル3a先端側が鋭角となるように、平板部材の幅方向に沿った縁辺が所定の角度θでカットされて掛部を構成している。換言すると、挿入補助コイル3は、先端平板部材が鋭角となるように、挿入補助コイル3の長手軸に対して、所定の角度θでカットされている。
この挿入補助コイル3は、図20に示すように、管路継ぎ手102を通過するとき、疎巻コイル3aの先端が進行方向側の直線パイプ管101の内周面に引っ掛かる。このように疎巻コイル3aを直線パイプ管101内周面に引っ掛けた状態から、ユーザは、挿入補助コイル3を回転させることで、挿入補助コイル3の先端部分が段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えさせることができる。
なお、ここでの挿入補助コイル3の回転方向は、疎巻コイル3aが、さらに疎となる方向(延伸する方向)である。
また、図21、及び図22に示すように、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3a先端が内方に寄せられるように形成されていても良い。この場合、疎巻コイル3aを形成している薄板先端は、図22に示すように、疎巻コイル3aの略全体の外周から、直線パイプ管101の肉厚寸法Hよりも長い所定の距離(長さ)hだけ内径側に変形されている。
このような構成としても、挿入補助コイル3は、図23に示すように、管路継ぎ手102を通過するとき、疎巻コイル3aの先端が進行方向側の直線パイプ管101の内周面に引っ掛かり易く、さらに回転されることで、挿入補助コイル3の先端部分が段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えさせることができる。
また、図24に示すように、第4の実施の形態に記載した先端キャップ26の先端周面一部に前方へ向けた掛部26bを形成しても良い。この掛部26bは、先端キャップの先端面に対して、所定の角度θで切欠かれて、先端部分が鋭角となった爪状となっている。
このような構成としても、挿入補助コイル3は、図25に示すように、管路継ぎ手102を通過するとき、掛部26bが進行方向側の直線パイプ管101の内周面に引っ掛かる。そして、挿入補助コイル3は、さらに回転されることで、挿入補助コイル3の先端部分、つまり先端キャップ26が段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。
ここで、本実施の形態の各挿入補助コイル3が管路継ぎ手102の数に応じた通過時の作用について図26、及び図27を用いて説明する。
ところで、配管100は、入口から遠く(深部)なるほど管路継ぎ手102の数が増える。例えば、管路継ぎ手102が1〜3個と少ない場合、挿入補助コイル3は、手元側からの押し込み力が先端側に十分に伝わる。そのため、図26に示すように、疎巻コイル3aの先端部分が十分に圧縮され、管路継ぎ手102の内周曲面に沿って撓んだ状態となる。
この状態では、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの端面が直線パイプ管101の端面と当接する位置(A点)において、進行方向に対して所定の角度θ1方向に応力(推進力となるバネ弾性力)F1が加えられた状態となる。この状態から、挿入補助コイル3は、直線パイプ管101の端面を弾いて乗り越えたときに、前方への疎巻コイル3aが延伸する長さをL1とする。
これに対して、配管100の深部では、例えば、管路継ぎ手102が4〜5個と多くなり、挿入補助コイル3は、手元側からの押し込み力が先端側に伝わり難くなる。そのため、図27に示すように、疎巻コイル3aの先端部分が十分に圧縮されず、管路継ぎ手102の内周曲面から離れて撓んだ状態となる。
この状態では、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの端面が直線パイプ管101の端面と当接する位置(A点)において、進行方向に対して上記所定の角度θ1よりも広角な所定の角度θ2(θ1<θ2)方向に、上記応力F1よりも小さな応力(推進力となるバネ弾性力)F2(F1>F2)が加えられた状態となる。この状態から、挿入補助コイル3は、直線パイプ管101の端面を弾いて乗り越えたときに、前方への疎巻コイル3aが延伸する長さが上記長さL1よりも短い長さL2となる。
つまり、挿入補助コイル3は、管路継ぎ手102の数が多くなる配管100の深部において、段差となる直線パイプ管101の端面に当接した状態のとき、疎巻コイル3aが進行方向に対して大きな角度で当接し、且つ押し込み力が小さいため十分に圧縮されず、延伸量が短くなってしまう。そのため、挿入補助コイル3は、段差となる直線パイプ管101の端面を乗り越え難くなる。
これに対して、上述した、本実施の形態の挿入補助コイル3は、先端に掛部(26b)が直線パイプ管101の内周面に引っ掛かり、押し込み力に加えて、さらに回転が加わることで、押し込み時にコイル3が圧縮されて、バネ力が蓄えられるのに加えて、コイル3をねじることで、コイル3に対してねじりのバネ力も蓄えられる。圧縮とねじりの両方のバネ力を蓄えられた状態で、コイル3の先端が配管100内で保持されるので、より大きなバネ力を有する。この状態で、疎巻コイル3aが掛部(26b)を支点にして、管路継ぎ手102、及び直線パイプ管101の内径側に持ち上がるように移動するため、大きな推進力を発生させ、直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。その結果、挿入補助コイル3は、引っ掛かっていた直線パイプ管101内に進入される。
以上に説明しように、挿入補助コイル3は、外方に突起する突起部を設けなくとも、管路継ぎ手102を容易に通過することができる構成となる。そのため、ユーザは、ここでも挿入補助コイル3内に挿通配置された挿入部2を挿入補助コイル3に沿って配管100深部へ容易に挿入することができる。
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
図28〜図31は、本実施の形態の第7の実施の形態に係り、図28は挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図29は図28の挿入補助コイルを先端側から見た平面図、図30は変形例の挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図31は図30の挿入補助コイルを先端側から見た平面図である。なお、以下の説明においても、上述の各実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図28に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、2つの疎巻コイル3aを2重にした構成となっている。これら2つの疎巻コイル3aは、互いの巻回方向が逆巻きとなっている。また、これら2つの疎巻コイル3aの先端には、それぞれ突起部21が設けられている。
これら突起部21は、図29に示すように、外側の疎巻コイル3aの外周面からの突起寸法が配管100の肉厚寸法(長さ)Hよりも長い所定の高さ(長さ)hとなっている。つまり、2重配置された疎巻コイル3aの各突起部21は、外側の疎巻コイル3aの外周面から突起する高さが同一となっている。
以上のように構成された本実施の形態の挿入補助コイル3は、回転方向に応じて、外側と内側の疎巻コイル3aのどちらか一方の突起部21が管路継ぎ手102の内周面に引っ掛かって先端部分の回転を規制して停止させる。これにより、第1の実施の形態と同様に、挿入補助コイル3は、管路継ぎ手102内において、突起部21による回転規制が解除されると、直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かった状態から、段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えて弾けることにより配管100深部方向の直線パイプ管101内に挿入される。そのため、ユーザは、挿入補助コイル3内に挿通配置された挿入部2を挿入補助コイル3に沿って配管100深部へ容易に挿入することができる。
なお、図30、及び図31に示すように、内側の疎巻コイル3aが突起部21を有し、外側の疎巻コイル3aに突起部21を設けない構成としても良い。外側の疎巻コイル3aは、第6の実施の形態と同様に、先端側が鋭角となるように、平板部材の幅方向に沿った縁辺が所定の角度θでカットされた掛部を構成している。
このような構成としても、挿入補助コイル3は、一方の回転方向では突起部21が管路継ぎ手102の内周面に引っ掛かって先端部分の回転を規制して停止させる。そして、挿入補助コイル3は、突起部21による回転規制が解除されると、直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かった状態から、管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えて弾けることにより配管100深部方向の直線パイプ管101内に挿入される。
また、挿入補助コイル3は、他方の回転方向では掛部を支点にして、管路継ぎ手102、及び直線パイプ管101の内径側に持ち上がるように移動するため、管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。
そのため、ユーザは、ここでも挿入補助コイル3内に挿通配置された挿入部2を挿入補助コイル3に沿って配管100深部へ容易に挿入することができる。
(第8の実施の形態)
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
図32〜図36は、本実施の形態の第8の実施の形態に係り、図32は牽引ワイヤを備えた挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図33は挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する前の状態を示す部分断面図、図34は挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図、図35は操作ワイヤが牽引操作される前の挿入補助コイルの状態を示す部分断面図、図36は操作ワイヤが牽引操作された状態の挿入補助コイルを示す部分断面図である。なお、以下の説明においては、第1、及び第4の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図32に示す、本実施の形態の挿入補助コイル3は、第4の実施の形態と同様に、疎巻コイル3aの先端に円環状の口金25を有し、この口金25に先端キャップ26が着脱自在な構成となっている。そして、口金25に先端が内挿固着された操作ワイヤ28が疎巻コイル3a内に挿通されている。
この操作ワイヤ28は、挿入補助コイル3の基端まで延設され、例えば、ここでは図示しないが手元側固定部7において、牽引弛緩操作が可能となっている。つまり、挿入補助コイル3は、操作ワイヤ28が設けられることで、疎巻コイル3aの圧縮を操作ワイヤ28の牽引操作により行なえる構成となっている。
ユーザは、挿入補助コイル3の先端(先端キャップ)を管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を乗り越えさせるときに、図33の状態から操作ワイヤ28を牽引することによって、図34に示すように、疎巻コイル3aを圧縮させる。その後、ユーザは、挿入補助コイル3を回転させながら、操作ワイヤ28を弛緩して、疎巻コイル3aを延伸させることができる。
このように、ユーザによる挿入補助コイル3の回転と、操作ワイヤ28の牽引と弛緩が繰り返し行なわれることによって、挿入補助コイル3の先端に設けられた先端キャップ26が管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越える。そして、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aのバネ弾性力によって、前方へ弾けるように延伸して、直線パイプ管101内に挿入される。
なお、先端キャップ26の突起部27は、第4の実施の形態に記載したように、直線パイプ管101の肉厚寸法Hよりも長い高さ寸法hを有している。そのため、先端キャップ26の先端が、突起部27の高さ寸法h分だけ管路継ぎ手102の内方側へ移動する。こうして、挿入補助コイル3は、先端キャップ26が弾けるように直線パイプ管101端面を容易に乗り越えて、疎巻コイル3aが延伸する。また、先端キャップ26の突起部27には、テーパ27aが形成されており、このテーパ27aに沿って直線パイプ管101端面が当接しながら先端キャップ26が前方へ移動し、さらに容易に直線パイプ管101端面を乗り越えることができる構成となっている。
以上に説明したように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、操作ワイヤ28の牽引弛緩操作によって伸縮されて、さらに管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができ、内部に挿通配置される挿入部2の配管100深部への挿入性を向上させることができる。
なお、図35に示すように、挿入補助コイル3が湾曲した状態では、疎巻コイル3aの間隔(ピッチ幅)が大きいと、挿入部2の先端部11が疎巻コイル3aの巻回部の端面と当接してしまい、挿入部2が疎巻コイル3a内を通過し難くなり挿入性が低下してしまう。
これに対して、図36に示すように、操作ワイヤ28を牽引することで、疎巻コイル3aの間隔(ピッチ幅)を狭めることで、挿入部2の先端部11が疎巻コイル3aの巻回部の端面に当接し難くなり、挿入部2が疎巻コイル3a内を通過し易くなる。これにより、挿入部2の挿入補助コイル3への挿入性が阻害されることも防止することができる。
(第9の実施の形態)
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。
図37〜図39は、本実施の形態の第9の実施の形態に係り、図37は内部にガイドチューブを備えた挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図38は挿入補助コイルをガイドチューブに対して進退させる機構を設けた挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図39は変形例の挿入補助コイルをガイドチューブに対して進退させる機構を設けた挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、第1、及び第4の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図37に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、可撓性を備えたガイドチューブ60が挿通配置されている。このガイドチューブ60は、基端側の中途部に疎巻コイル3aの長手方向の移動を規制し、疎巻コイル3aを回動自在に保持するためのストッパとなる円環突起体61が外周に固定されている。
疎巻コイル3aは、基端部に筒体62の基端開口と留管63が連結された回転保持部64が配設されている。この回転保持部64は、ガイドチューブ60の円環突起体61を覆うように配置されている。これにより、疎巻コイル3aは、ガイドチューブ60に対して回動自在に保持される。
また、ガイドチューブ60は、疎巻コイル3aの先端位置から所定の距離だけ基端側に先端位置が規定されている。これにより、疎巻コイル3aの先端部分の柔軟性が損なわれないようになっている。なお、ガイドチューブ60には、挿入部2が挿通配置される。
以上に説明したように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、内部に可撓性のあるガイドチューブ60を設けることによって、挿入部2がガイドチューブ60内に挿通配置できるため、疎巻コイル3aの巻回部の端面と当接して引っ掛かることが防止される。つまり、挿入補助コイル3は、挿入部2の挿通性を考慮した構成となっている。また、その他の作用効果は、第1の実施の形態と同じである。
なお、ガイドチューブ60を備えた挿入補助コイル3は、図38に示すように、疎巻コイル3aがガイドチューブ60に対して進退自在な構成としても良い。
具体的に説明すると、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aとガイドチューブ60との間に、可撓性をできるだけ阻害しないようなステンレスなど金属製の板バネ68を有している。
この板バネ68は、ここでは、疎巻コイル3aの先端に設けられる先端キャップ26と固定する固定部67を先端に備えている。また、板バネ68の基端は、ガイドチューブ60の基端部に配設される固定環69に固定されている。そして、板バネ68は、疎巻コイル3aの基端とガイドチューブ60の固定環69との間でガイドチューブ60の外周面から盛り上がるように湾曲形成されている。
この板バネ68の盛り上がるように湾曲形成された部分は、ユーザによってガイドチューブ60に向けて押し込まれ、先端部分が前方側へスライド移動する。これにより、疎巻コイル3aがガイドチューブ60に対して前方側へ移動する。
また、板バネ68の盛り上がるように湾曲形成された部分は、ユーザによる押し込みが解除されると、元の状態(盛り上がるように湾曲する状態)に戻り、先端部分が後方側へスライド移動する。これにより、疎巻コイル3aがガイドチューブ60に対して後方側へ移動する。このように構成することで、挿入補助コイル3は、ガイドチューブ60に対して、所定の距離だけ進退移動することができる。
この挿入補助コイル3では、板バネ68が押し込まれて、疎巻コイル3aが前進することで、先端に設けられた先端キャップ26が管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面と当接後に疎巻コイル3aをさらに縮めることができる。つまり、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aに蓄えられるバネ弾性力をさらに増大させることができる。そのため、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの延伸力も増大し、管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を弾けるように乗り越え易くなり直線パイプ管101内に挿入することができる。
また、挿入補助コイル3は、図39に示すような、疎巻コイル3aがガイドチューブ60に対して進退自在な構成としても良い。
具体的に説明すると、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの基端部に板バネ68の先端部分を固定する固定部70aを備えた筒体70が設けられている。この筒体70は、ガイドチューブ60に外挿し、疎巻コイル3aと共に、ガイドチューブ60に対して進退自在な構成となっている。
また、ガイドチューブ60の基端部には、板バネ68の基端部分を固定する固定部69aを備えた固定環69が設けられている。
そして、板バネ68は、疎巻コイル3aの筒体70とガイドチューブ60の固定環69との間において、盛り上がるように湾曲形成されている。
このような構成としても、上述と同様にして、挿入補助コイル3は、板バネ68がガイドチューブ60に向かって押し込まれることで、疎巻コイル3aがガイドチューブ60に対して前方側へ移動する。また、板バネ68の盛り上がるように湾曲形成された部分は、ユーザによる押し込みが解除されると、先端部分が後方側へスライド移動する。
この挿入補助コイル3でも、疎巻コイル3aに蓄えられるバネ弾性力をさらに増大させることができため、挿入補助コイル3は、疎巻コイル3aの延伸力も増大する。従って、挿入補助コイル3は、先端部分、ここでは先端キャップ26が管路継ぎ手102内の段差となる直線パイプ管101端面を弾けるように乗り越え易くなり直線パイプ管101内に挿入することができる。なお、この挿入補助コイル3では、板バネ68が疎巻コイル3aとガイドチューブ60との間に設けられていないため、可撓性が板バネ68によって阻害されることがない。
(第10の実施の形態)
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。
図40、及び図41は、本実施の形態の第10の実施の形態に係り、図40は疎巻コイルを回転駆動する回転装置を備えた挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図41は挿入補助コイルに設けられる回転装置の構成を示す断面図である。なお、以下の説明においては、第1、及び第9の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図40に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、先端部分における所定の長さだけ疎巻コイル3aを有し、この疎巻コイル3aを回転駆動する回転装置71が中途部に配設された構成となっている。また、挿入補助コイル3は、第9の実施の形態と同様に、挿入部2が挿通配置されるガイドチューブ60を備え、回転装置71から基端側にガイドチューブ60を外挿する可撓管77が配設されている。
回転装置71は、図41に示すように、疎巻コイル3aの基端部が外挿して連結固定され、内周面にギヤ溝72aが形成された円環ギヤ72を有している。この円環ギヤ72は、ベアリング72bを介して回動自在となるように回転装置71の円筒管75と連結されている。
円環ギヤ72のギヤ溝72aは、回転装置71の駆動手段であるモータ74のモータギヤ74aに噛合している。つまり、モータ74の駆動力がモータギヤ74aとギヤ溝72aの噛合によって伝達され、円環ギヤ72が疎巻コイル3aと共に、挿入補助コイル3の挿入軸回りに回転駆動される。なお、モータ74からは、可撓管77内に挿通配置される電源供給、及び駆動停止制御のためのケーブル74bが延出している。
そして、モータ74は、ガイドチューブ60と共に円筒管75に嵌合固定される中間部材73に保持固定されている。また、円筒管75は、基端部が連結部76を介して、可撓管77の先端部と連結固定されている。
なお、モータ74の駆動停止は、挿入補助コイル3の基端に配設される操作指示部(不図示)により操作される。この操作指示部は、モータ74の回転速度も可変できるものとする。
以上のように構成された、本実施の形態の挿入補助コイル3は、回転装置71によって、疎巻コイル3aが回転駆動されるため、ユーザにより挿入補助コイル3を回転操作する必要がなくなる。また、挿入補助コイル3は、先端部分の所定の長さだけ疎巻コイル3aが設けられており、この疎巻コイル3aの先端が配管継ぎ手102を通過すれば、それより基端側も容易に配管継ぎ手102を通過させることができる。また、この挿入補助コイル3を備える内視鏡装置1も、その他、第1の実施の形態と同じ作用効果を奏するものである。
(第11の実施の形態)
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。
図42、及び図43は、本実施の形態の第11の実施の形態に係り、図42は先端から延出操作できる延伸部材を備えた挿入補助コイルの先端部分を示す斜視図、図43は挿入補助コイルが管路継ぎ手を通過する状態を説明するための部分断面図である。なお、以下の説明においても、第1の実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図42に示すように、本実施の形態体の挿入補助コイル3は、先端に円環状のキャップ体81を有し、このキャップ体81の外周縁辺部分の一部から前方側へ所定の長さに延出操作できる延伸部材82が設けられている。
この延伸部材82は、ステンレスなどの金属薄板から棒状に形成されており、挿入補助コイル3の柔軟性をできるだけ阻害しないような所定の可撓性が設定されている。また、延伸部材82は、疎巻コイル3a内に挿通配置されており、疎巻コイル3aの基端部まで延設されている。なお、この延伸部材82の先端部分は、挿入補助コイル3の外方側に向かって湾曲するように形状記憶がなされている。
このように構成された挿入補助コイル3は、延伸部材82の基端部がユーザによって、前方へ移動操作されることで、その移動量に応じて、キャップ体81の先端面から延伸部材82の先端部分が延出操作される。
本実施の形態の挿入補助コイル3は、図43に示すように、管路継ぎ手102を通過するとき、先端のキャップ体81が直線パイプ管101端面に当接して引っ掛かった状態から、ユーザによって延伸部材82を前方へ延出操作される。そして、延伸部材82は、キャップ体81から直線パイプ管101の内周面に摺接しながら沿うように前方へ延出される。この延伸部材82は、先端部分が挿入補助コイル3の外方側に向かった湾曲形状となっている。そのため、延伸部材82は、挿入補助コイル3の先端部分を管路継ぎ手102、及び直線パイプ管101の内方へ持ち上げるように移動させる。
そして、挿入補助コイル3は、ユーザによる押し込み力と密方向への回転操作によって蓄えられた疎巻コイル3aのバネ弾性力によって、直線パイプ管101端面を乗り越えて、直線パイプ管101内に弾けるように前進する。このように、挿入補助コイル3は、段差となる直線パイプ管101端面を容易に乗り越えることができる。そのため、ユーザは、ここでも挿入補助コイル3内に挿通配置する挿入部2を挿入補助コイル3に沿って配管100深部へ容易に挿入することができる。
(第12の実施の形態)
次に、本発明の第12の実施の形態について説明する。
図44、及び図45は、本実施の形態の第12の実施の形態に係り、図44は撮像ユニットが先端と着脱自在であり、中継部材によって長さを適宜変更可能な挿入補助コイルを示す斜視図、図45は先端に撮像ユニットを配設される挿入補助コイルを示す斜視図である。なお、以下の説明においても、上述の各実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図44に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、撮像ユニット85に先端が着脱自在とし、さらに、中継部材88によって長さを変更できる構成となっている。
先ず、撮像ユニット85は、内部にCCD、CMOSなどの撮像部と、LEDなどの照明光源が配設されたカプセル体である。この撮像ユニット85は、基端部分の外径が小さくなるように段部形成され、基端部分の外周部に電力供給、及び情報伝達するための電気接続端子85bが設けられている。
また、撮像ユニット85は、中途にある段部境界位置の外周部にネジ溝85aが形成されている。この撮像ユニット85は、使用時以外は、電気接続端子85bを保護するため、基端部分にカバー体86が装着される。このカバー体86には、撮像ユニット85のネジ溝85aと螺合するネジ溝86aが内周面の端部に形成されている。
本実施の形態の疎巻コイル3aは、先端内面に撮像ユニット85の電気接続端子85bに接触して電気的に接続する接触端子87を有している。そして、疎巻コイル3aの内面には、先端から基端に亘って、接触端子87に通電するための配線87aを有するプリント基板(FPC)などが貼着されている。
そして、疎巻コイル3aと撮像ユニット85は、疎巻コイル3aの先端が撮像ユニット85の基端部分を覆うように連結される。このとき、疎巻コイル3aの接触端子87と撮像ユニット85の電気接続端子85bとが接触するようになっている。
また、疎巻コイル3aの基端内面にも、図示しないが接触端子87が設けられている。この疎巻コイル3aの基端の接触端子87は、中継部材88の接触端子88bと接触して電気的に接続するためのものである。
中継部材88は、略円柱形状の部材であり、中途部の前後に疎巻コイル3aが連結するための凹部88aが形成されている。なお、2つの凹部88aの表面一部のそれぞれには、接触端子88bが設けられている。これにより、中継部材88を介して疎巻コイル3aを連結することができるため、挿入補助コイル3の全長の長さを変更可能となる。
以上に説明したように、撮像ユニット85が先端に着脱自在に設けられた挿入補助コイル3の構成により、内視鏡装置1は、挿入部2を備えなくても良くなる。そのため、挿入補助コイル3は、挿入部2を挿通配置したときに比して、疎巻コイル3aがより柔軟性を有するようになる。また、挿入補助コイル3は、中継部材88の数に応じて、複数の疎巻コイル3aを連結することができるため、被検体となる配管100の長さに合わせて、適宜、全長の長さを変更することができる。
なお、撮像ユニット85は、有線による給電、及び情報通信に限定することなく、バッテリを内蔵して、情報を無線通信する構成としても良い。このような撮像ユニット85の構成とすれば、疎巻コイル3aの内面に配線87aを設ける必要がなくなる。
なお、挿入補助コイル3の先端に撮像ユニットを設ける構成は、図45に示すように、先端キャップ26に固定した撮像ユニット91としても良い。この撮像ユニット91は、給電、及び情報通信のためのケーブル93が基端側に延出している。このケーブル93は、被覆チューブ92に被覆され、疎巻コイル3a内に挿通配置されて、挿入補助コイル3の基端まで延設されている。
このような構成としても、挿入補助コイル3は、挿入部2を疎巻コイル3a内に挿通配置したときに比して、疎巻コイル3aがより柔軟性を有するようになる。なお、本実施の形態の撮像ユニット85、91が先端に設けられる挿入補助コイル3を有する内視鏡装置1は、その他、上述した各実施の形態に適用することができ、各実施の形態に記載した作用効果を奏するものである。
(第13の実施の形態)
次に、本発明の第13の実施の形態について説明する。
図46、及び図47は、本実施の形態の第13の実施の形態に係り、図46は外径の異なる2つの疎巻コイルを連結した挿入補助コイルを示す斜視図、図47は図46の2つの疎巻コイルの連結構成を示す斜視図である。なお、以下の説明においても、上述の各実施の形態の工業用内視鏡装置と同一の構成要素については同一の符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明を省略する。
図46に示すように、本実施の形態の挿入補助コイル3は、外径D1,D2の異なる2つの疎巻コイル3aが連結されている。前方に位置する疎巻コイル3aは、後方に接続される疎巻コイル3aよりも大きな外径(D1>D2)を有している。
これら2つの疎巻コイル3aは、薄板部材の板厚t、及び巻回ピッチが同一となっている。これにより、前方側の疎巻コイル3aは、後方に接続された疎巻コイル3aよりも柔軟性を備えている。換言すると、後方の疎巻コイル3aは、前方の疎巻コイル3aよりも可撓性が低い、つまり硬い構成となっている。
例えば、管路継ぎ手102が5箇所配設されることで、5箇所で屈曲する部分を有する被検体である配管100内を検査するとき、挿入補助コイル3は、前方の柔軟な疎巻コイル3aの長さL1を1〜2箇所の管路継ぎ手102を通過するような長さに設定され、残りが後方の疎巻コイル3aの長さL2に設定される。このように、管路継ぎ手102の数が多い場合、挿入補助コイル3は、先端側を柔軟な疎巻コイル3aにして、少ない押し込み力でも管路継ぎ手102の通過を容易にすると共に、配管100深部まで力が伝達できるように、後方を先端側よりも硬い疎巻コイル3aとすることで押し込み易くした構成となる。
なお、このように外径の異なる疎巻コイル3a同士の連結においては、図47に示すように、大きな外径D1を有する先端側の疎巻コイル3aの基端を内径側に若干曲げ形成し、小さな外径D2を有する基端側の疎巻コイル3aの先端を外方側に若干曲げ形成する。そして、基端側の疎巻コイル3aの先端内周面を先端側の疎巻コイル3aの基端外周面に被せるように捻り込みながら、連結することで、特に連結部を設けることなく、径の異なる2つの疎巻コイル3aを連結することができる。
以上のように、挿入補助コイル3は、複数、ここでは2つの径の異なる疎巻コイル3aを連結することによって、配管100の配管継ぎ手102の個数と位置に応じて、先端側が柔軟で基端側が硬くなるように、各疎巻コイル3aの長さを適宜変更することで、さらに配管100への挿入性を向上させることができる。
なお、以上の各実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。