JP5450284B2 - チタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン電池用負極、ならびにリチウム電池 - Google Patents

チタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン電池用負極、ならびにリチウム電池 Download PDF

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Description

本発明は、チタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン電池用負極、ならびにリチウム電池に関する。
近年多く用いられるようになったリチウムイオン一次電池や、リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスにおいては、リチウムイオンが移動することにより放電や充電が行われる。
現在、リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては数多くのものが提案されているが、最も一般的に知られているのは、4V(vs.Li/Li)付近で作動するコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、スピネル構造を持つマンガン酸リチウム(LiMn)等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物である。これらは充放電特性とエネルギー密度に優れることから正極活物質として広く採用されている。
一方、負極活物質としては、ハードカーボン、ソフトカーボン、及び黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。また電解液にはLiPFを環状または鎖状のカーボネート化合物に溶解したものが用いられている。
しかしながら、今後大きな需要が見込まれるHEV(Hybrid Electric Vehicle;ハイブリッドカー)への搭載を考えた場合、上記のような現在の小型のリチウムイオン二次電池に採用されている仕様では、HEV用途で要求される安全性及び入出力特性を満足することができない場合がある。
チタン酸化物系活物質は、対極にリチウム金属を使用した場合、約1〜2V程度の電圧を示すことから、リチウムイオン電池の負極用材料として、様々な結晶構造、或いは粒子形状を有する材料について、電極活物質としての可能性が検討されている。
中でもLi4+xTi12(0≦x≦3)で表されるスピネル型チタン酸リチウムは、リチウム基準で1.5Vの電圧を有し、さらに充放電に伴う結晶構造の変化はほとんど見られないことから、安全性、寿命に優れた電極材料として着目されている。
例えば、結晶子サイズが70nm〜80nmであり、結晶性の高いチタン酸リチウムを用いて作製したリチウムイオン電池は、高い初期放電容量を示すことが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、結晶子サイズが小さく、不純物相の少ないチタン酸リチウムを用いることによって、リチウムイオンの拡散速度を向上できることが報告され、また、結晶子サイズが小さく、不純物相の少ないチタン酸リチウムの製造方法として、NaやKを添加して合成することで、結晶成長を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、一次粒子径が1.0μm以下で、かつ、ルチル化率が15〜100%である酸化チタンを原料として合成したチタン酸リチウムについて、充放電容量が一層高く、クーロン効率も高く、サイクル寿命に優れることが報告されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−240498号公報 特開2006−318797号公報 特開2002−289194号公報
しかしながら、自動車等に利用されるリチウムイオン二次電池の電極活物質は、幅広い温度領域での良好な特性が求められる。これに対して従来知られているチタン酸リチウムでは、特に低温環境下での放電容量を満足するには不十分であった。
本発明は、低温環境下における放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を構成可能な電極活物質としてのチタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、ならびに、リチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決する為に鋭意検討を行った結果、チタン酸リチウム粒子について結晶子サイズが同程度であっても、その平均一次粒子径や一次粒子径の分布を適切に制御することで、低温での放電容量が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 平均一次粒子径が0.1μm〜1.0μmであり、結晶子サイズが10nm〜60nmであり、かつ下記式(I)で示されるSD値が0.80μm以下であるチタン酸リチウム粒子である。
(式(I)中、D90%は一次粒子径の体積累積分布における累積90%に対応する一次粒子径を示し、D10%は一次粒子径の体積累積分布における累積10%に対応する一次粒子径を示す)
> BET比表面積が1.5m/g〜100m/gである前記<1>に記載のチタン酸リチウム粒子である。
> 体積平均二次粒子径が1μm〜30μmである前記<1>又は<2>に記載のチタン酸リチウム粒子である。
> リチウムイオン電池用の電極活物質である前記<1>〜<>のいずれか1項に記載のチタン酸リチウム粒子である。
> 前記<1>〜<>のいずれか1項に記載のチタン酸リチウム粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極である。
> 前記<>に記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えるリチウムイオン二次電池である。
> チタン化合物及びリチウム化合物を混合して原料混合物を得る工程と、前記原料混合物を熱処理してチタン酸リチウムを得る工程と、前記チタン酸リチウムを粉砕して粉砕物を得る工程と、前記粉砕物を造粒して造粒物を得る工程と、前記造粒物を熱処理する工程と、を含む、前記<1>〜<>のいずれか1項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法である。
本発明によれば、低温環境下における放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を構成可能な電極活物質としてのチタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、ならびに、リチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の実施例にかかるチタン酸リチウム粒子の走査型電子顕微鏡写真の一例である。 本発明の実施例にかかるチタン酸リチウム粒子の一次粒子径分布の一例を示す図である。
本発明において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
<チタン酸リチウム粒子>
本発明のチタン酸リチウム粒子(以下、単に「チタン酸リチウム」ということがある)は、平均一次粒子径が0.1μm〜1.0μmであり、結晶子サイズが10nm〜60nmであり、かつ、下記式(I)で示されるSD値が0.80μm以下であることを特徴とする。
このような平均一次粒子径が小さく、かつ、SD値が小さい、すなわち一次粒子径分布が狭いチタン酸リチウム粒子を電極活物質としてリチウムイオン電池用電極(好ましくは負極)を構成することで、低温環境下における放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を構成することができる。
式(I)中、D90%は、チタン酸リチウム粒子の一次粒子径について、小粒径側から体積累積分布曲線を描いた場合の累積90%に対応する一次粒子径を示し、D10%は、チタン酸リチウム粒子の一次粒子径について、小粒径側から体積累積分布曲線を描いた場合の累積10%に対応する一次粒子径を示す。
本発明におけるチタン酸リチウムは、基本的には一般式LiTi12で表わされ、Li/Ti原子比は0.68〜0.82、Xは3〜5、Yは4〜6の範囲にある化合物である。具体的には例えば、LiTi12で表されるスピネル型の結晶構造を有する単相のチタン酸リチウムを主成分とするものであることが好ましい。尚、本発明のチタン酸リチウムにおいては、本発明の効果を阻害しない限り、部分的にLiTiOやTiOが混在していても構わない。
本発明のチタン酸リチウム粒子は、平均一次粒子径が0.1μm〜1.0μmであるが、低温環境下における放電容量の観点から、0.1μm〜0.8μmであることが好ましく、0.1μm〜0.5μmであることがより好ましい。
平均一次粒子径が1.0μmを超えるとチタン酸リチウム粒子内のリチウムイオンの拡散距離が延び、低温環境下で良好な放電容量を得られにくい傾向がある。また0.1μm未満では、粉砕後のチタン酸リチウムに熱処理工程を行ったとしても、結晶の歪みが残存しやすく、低温環境下での放電容量を充分に発揮し難くなる傾向がある。
本発明における平均一次粒子径とは、走査型電子顕微鏡(倍率10,000×)を用いて、無作為に選んだ100個の一次粒子の長径を測定し、その算術平均として得られるものである。尚、ここでいう一次粒子とは、二次粒子を構成し得る個々の粒子であって、互いに結合している場合であっても、個々の粒子として識別できる最小単位の粒子を意味する。
また本発明のチタン酸リチウムは、前記式(I)で示されるSD値が0.80μm以下であるが、低温環境下における放電容量の観点から、0.60μm以下であることが好ましく、0.40μm以下であることがより好ましい。
SD値が0.80μmを超えると、電極とした時に低温環境下で良好な充放電特性を示すことができない場合がある。
またSD値の下限値については特に制限されないが、製造上の観点から、SD値が0.10μm以上であることが好ましい。
前記SD値は、D90%とD10%の値から算出される一次粒子径分布の広狭に関する指標であり、SD値が小さいことは一次粒子径分布が狭いことを意味する。
またD90%およびD10%は具体的には以下のようにして求められる。チタン酸リチウムを水に分散した状態でレーザー回折・散乱法により測定される体積基準の一次粒子径分布において、小粒径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積90%に相当する粒子径としてD90%が、また累積10%に相当する粒子径としてD10%がそれぞれ求められる。
本発明において、D90%およびD10%を測定するチタン酸リチウムの水分散物は、超音波分散機を用いて1時間以上分散して得られるものである。超音波分散する際の最大振幅は20μm以上とする。最大振幅が20μm未満であると、一次粒子の凝集が十分に解れないために、適切な一次粒子径分布を調べることができない場合がある。
また超音波分散機の出力は、調製する測定用サンプル量等に応じて適宜選択され、例えば、100W以上である。さらに、チタン酸リチウムの水分散物におけるチタン酸リチウムの含有率は、粒子径分布を測定する装置に応じて適宜選択され、例えば、1〜5質量%である。
本発明において、前記平均一次粒子径およびSD値を前記範囲とする方法としては、例えば、原料として用いる二酸化チタンの一次粒子径を選択する方法、後述するチタン酸リチウムの製造方法において焼成処理後の粉砕条件を調節する方法、造粒処理後の熱処理条件を調節する方法等を適宜採用することができる。
本発明のチタン酸リチウムにおける結晶子サイズは、リチウムイオン電池を構成した場合の出力特性の観点から、10nm〜60nmであることが好ましく、30nm〜50nmであることがより好ましい。結晶子サイズが10nm以上60nm以下であることで、リチウムイオンの結晶子内拡散をスムーズに進行させることが可能となり、出力特性がより向上する。
前記結晶子サイズは常法により測定することができる。例えば、X線回折ピークの半値幅にScherrerの式を適用することで結晶子サイズを算出することができる。
また、前記結晶子サイズを前記範囲に調節する方法としては、例えば、原料として用いる二酸化チタンを選択する方法、焼成処理後の粉砕条件を調節する方法、造粒処理後の熱処理条件を調節する方法等を適宜採用することができる。
また本発明のチタン酸リチウムにおけるBET比表面積は特に制限されないが、出力特性とリチウムイオン電池を構成した場合のエネルギー密度の観点から、1.5m/g〜100m/gであることが好ましく、2m/g〜100m/gであることがより好ましく、3m/g〜80m/gであることがさらに好ましい。
BET比表面積が、1.5m/g以上であると電極反応に寄与する電解液がチタン酸リチウムに対して充分に接触することができ、出力特性がより向上する。また100m/g以下であると電極活物質として電極を作製する際に必要となるバインダー等を減らすことができ、電池のエネルギー密度がより向上する。
前記BET比表面積は常法により測定することができる。例えば、−196℃における窒素の吸着等温線から算出することができる。
また、前記BET比表面積を前記範囲に調節する方法としては、例えば、原料として用いる二酸化チタンを選択する方法、焼成処理後の粉砕条件を調節する方法、造粒処理後の熱処理条件を調節する方法等を適宜採用することができる。
さらに本発明のチタン酸リチウムにおける体積平均二次粒子径は特に制限されないが、出力特性と電極密度の観点から、1μm〜30μmであることが好ましく、3μm〜25μmであることがより好ましく、4μm〜15μmであることがさらに好ましい。
体積平均二次粒子径が1μm以上であることで電極活物質として電極を構成した場合に電極密度をより向上させることができる。また30μm以下であると得られるチタン酸リチウムのBET比表面積が1.5m/gよりも大きくなりやすく、出力特性がより向上する。
前記体積平均二次粒子径は常法により測定することができる。例えば、レーザー回折・散乱法により測定することができる。
また、前記体積平均二次粒子径を前記範囲に調節する方法としては、例えば、焼成処理後の粉砕条件を調節する方法、造粒処理条件を調節する方法、造粒処理後の熱処理条件を調節する方法等を適宜採用することができる。
本発明のチタン酸リチウムは、必要に応じて炭素質物質によって被覆されていてもよく、また炭素質物質との複合化物であってもよい。
炭素被覆または複合化の方法としては、例えば、原料であるチタン化合物(好ましくは酸化チタン)、リチウム化合物、及び炭素質物質の前駆体を混合後、熱処理することによって、炭素被覆されたチタン酸リチウムまたはチタン酸リチウムと炭素質物質とが複合化した物質を得ることができる。上記熱処理を行う際の雰囲気は真空雰囲気または不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
また、チタン酸リチウムと炭素質物質の前駆体を混合後、熱処理することによってもチタン酸リチウムと炭素質物質が複合化した物質を得ることができる。熱処理を行う際の雰囲気は真空雰囲気または不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
上記炭素質物質の前躯体としては、例えば、石炭系ピッチ材料、石油系ピッチ材料、合成ピッチ、タール系材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
チタン酸リチウムと炭素質物質の重量比には特に制限はないが、99.9/0.1〜90/10(チタン酸リチウム/炭素質物質)が好ましく、特に99.5/0.5〜93/7が好ましい。
炭素質物質が多いほど電子伝導性が向上するものの、放電容量が低下する傾向がある。
上記熱処理温度は400〜1000℃が好ましく、特に450〜950℃、さらに好ましくは450〜900℃であることが好ましい。
熱処理温度が400℃以上であることで、炭素質物質の前駆体の炭素化が十分に行なわれ、導電性がより向上する。一方、熱処理温度が1000℃以下であることで、チタン酸リチウムの焼結を抑制し、該チタン酸リチウムの結晶サイズ及び一次粒子径が大きくなることを抑制できる。
本発明のチタン酸リチウムにおいては、本発明の効果を損なわない限り、Li(リチウム原子)、Ti(チタン原子)、及びO(酸素原子)のいずれかが、別の原子で一部置換されていてもよい。
Li原子と置換可能な原子としては、例えば、H(水素原子)、Na(ナトリウム原子)、K(カリウム原子)、Rb(ルビジウム原子)、Cs(セシウム原子)などが挙げられる。
上記Li原子の一部を水素原子などで置換されたチタン酸リチウムは、例えば、イオン交換法によって得ることができる。
Ti原子と置換可能な原子としては、Sc(スカンジウム原子)、V(バナジム原子)、Cr(クロム原子)、Mn(マンガン原子)、Fe(鉄原子)、Co(コバルト原子)、Ni(ニッケル原子)、Cu(銅原子)、Zn(亜鉛原子)、Al(アルミニウム原子)、Si(ケイ素原子)、Ga(ガリウム原子)、Ge(ゲルマニウム原子)、Y(イットリウム原子)、Zr(ジルコニウム原子)、Nb(ニオブ原子)、Mo(モリブデン原子)、Sn(スズ原子)、Ce(セリウム原子)、Eu(ユウロピウム原子)、La(ランタン原子)、W(タングステン原子)などが挙げられる。
Ti原子の一部を置換する方法としては、例えば、チタン化合物(好ましくは酸化チタン)とリチウム化合物を混合する際に、上記に例示した金属、またはその金属塩を同時に混合し、焼成する方法を挙げることができる。
酸素原子と置換可能な原子としてN(窒素原子)、F(フッ素原子)が挙げられる。
上記酸素原子の一部がフッ素原子で置換されたチタン酸リチウムは、例えば、チタン化合物(好ましくは酸化チタン)とリチウム化合物とフッ化リチウムとを混合し、焼成することにより製造できる。
また上記酸素原子の一部が窒素原子で置換されたチタン酸リチウムは、例えば、チタン化合物(好ましくは酸化チタン)及びリチウム化合物の混合物を焼成する際に、アンモニア雰囲気下で焼成することで製造可能である。
本発明のチタン酸リチウムは、リチウムイオン電池の電極活物質として好適に用いることができる。前記チタン酸リチウムは、リチウムイオン電池の正極活物質および負極活物質のいずれにも使用可能であるが、負極活物質として用いることが好ましい。
また本発明のチタン酸リチウムは、リチウム一次電池の正極活物質として用いることも可能である。
さらに本発明のチタン酸リチウムは、正負極の一方を電気二重層キャパシタで用いられる分極性電極とし、もう一方をリチウムイオン二次電池で用いられるリチウムイオンを挿入・脱離可能な物質を活物質とする電極としたハイブリッド型の蓄電デバイスの活物質材料にも応用することができる。
<チタン酸リチウム粒子の製造方法>
本発明のチタン酸リチウム粒子の製造方法は、既述の特定構成を有するチタン酸リチウム粒子の製造方法であって、チタン化合物及びリチウム化合物を混合して原料混合物を得る工程と、前記原料混合物を熱処理してチタン酸リチウムを得る工程と、前記チタン酸リチウムを粉砕処理して粉砕物を得る工程と、前記粉砕物を造粒処理して造粒物を得る工程と、前記造粒物を熱処理する工程と、を含む。
かかる態様であることで、所望の特性を有するチタン酸リチウム粒子を効率よく製造することができる。
本発明における原料混合物を得る工程においては、酸化チタン等のチタン化合物とリチウム化合物とを混合する。
前記リチウム化合物としてはリチウムを含む化合物であれば特に制限はなく、リチウム塩、リチウム酸化物、リチウム水酸化物のいずれであってもよい。具体的には例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、酸化リチウム、蓚酸リチウム、酢酸リチウム、フッ化リチウム等が挙げられ、これらから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
またリチウム化合物は1種単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
原料として用いるこれらのリチウム化合物の純度は特に制限はされないが、高純度であることが好ましく、通常純度99.0質量%以上であることがより好ましい。具体的には例えば、リチウム化合物として炭酸リチウムを用いる場合には、LiCOの含有率が99.0質量%以上であることが好ましく、より好ましくは99.5質量%以上である。また、水分については十分除去したものが望ましく、その含有率はリチウム化合物に対して1質量%以下であること好ましい。
さらにリチウム化合物の平均粒子径は特に制限されないが、製造効率の観点から、0.01μm〜100μmであることが好ましい。但し、平均粒子径が100μm以上のリチウム化合物を原料として用いる場合には、例えば、あらかじめ粉砕して使用するか、酸化チタンと混合する際に、粉砕処理を同時に行ってもよい。
前記チタン化合物としては、酸化チタンを好ましく用いることができる。酸化チタンの結晶相は特に制限されず、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。また、非晶質の酸化チタンであってもよい。製造コストの点から、ルチル型およびアナターゼ型の少なくとも一方を用いることが好ましい。
またチタン化合物として、酸化チタンの代わりに、オルトチタン酸、メタチタン酸などの含水酸化チタンを用いてもよい。
さらに結晶相の異なる酸化チタンや含水酸化チタンを混合して使用してもよい。
チタン酸リチウム化合物の製造に当たっては、上記リチウム化合物とチタン化合物とを、目的とするチタン酸リチウムにおけるLi/Ti比(原子比)の目標値、例えば0.68〜0.82の範囲から選択される値に合わせて、リチウム化合物とチタン化合物とを計量して混合する。
混合する方法は均一な混合物が得られる限り特に制限されず、粉体のまま混合する方法であっても、溶媒を用いる方法であってもよいが、溶媒を用いて原料混合物を得る方法であることが好ましい。
粉体のまま混合する方法には、公知の混合手段が特に制限なく適用できる。また振動ミル、ボールミル等の公知の混合・粉砕手段を適宜使用することもできる。
また別の混合手段として、リチウム化合物およびチタン化合物(例えば、酸化チタン)に溶媒を加えてスラリーにして十分撹拌した後、加熱乾燥あるいは噴霧乾燥によって、スラリーを乾燥させて原料混合物を得てもよい。
攪拌手段は特に制限されず、通常用いられる単純な攪拌手段であっても、ボールミル、ビーズミル等を用いた混合・粉砕手段であってもよい。
混合に用いる溶媒としては特に制限はなく、水や有機溶媒を挙げることができるが、取扱い性の簡便性から、水、アルコール類であることが好ましい。またスラリーの濃度は特に限定されず、例えば10〜50質量%とすることができる。
あるいは、前記リチウム化合物が水に溶解しやすいリチウム化合物である場合には、リチウム化合物を水溶液にしてこれをチタン化合物(例えば、酸化チタン)に含浸させた後、乾燥して原料混合物を得てもよい。
リチウム化合物とチタン化合物を混合して得られる原料混合物は、バルク状のまま、あるいは0.5t/cm程度の圧力で圧縮して得られる成形体として次の工程に供することができる。
上記のようにして得られた原料混合物を、熱処理してチタン酸リチウムを得る。熱処理(焼成)条件は特に制限されないが、600℃以上1200℃以下で1時間以上24時間以下程度行えばよい。好ましくは、700℃以上1000℃以下で5時間以上20時間以下である。
600℃以上で焼成することで、チタン化合物(好ましくは酸化チタン)とリチウム化合物の反応が十分に行なわれ、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、LiTiOなどの不純物相が増大することを抑制し、電気容量が減少することを抑制できる。また1200℃以下で焼成することで、スピネル型チタン酸リチウムの酸化チタンなどへ転移を抑制することができる。
また、焼成は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素雰囲気下、及び空気雰囲気下のいずれであってもよい。
このようにして得られたチタン酸リチウムは、焼成炉から取り出し、冷却後、必要に応じて解砕し、さらに必要に応じてもう1回以上焼成してもよい。焼成を2回以上行う場合、それぞれの熱処理条件は同一であっても異なっていてもよい。本発明においては、焼成を少なくとも2回行なうことが好ましく、1回目の焼成温度よりも高い焼成温度で2回目の焼成を行うことがより好ましい。かかる方法で焼成を行なうことにより、不純物相の少ないチタン酸リチウムを合成することが可能となり、より高い充放電容量を示すという効果が得られる。
本発明においては、熱処理によって得られたチタン酸リチウムを粉砕処理して粉砕物を得るが、必要に応じて予め解砕処理を行ってもよい。
粉砕処理することで、所望の平均一次粒子径およびSD値を有するチタン酸リチウム粒子を得ることができる。
粉砕処理には、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ビーズミル等が採用できる。これらの中でも、ビーズミルを用いて粉砕処理することが好ましく、ビーズミルを用いて湿式粉砕することがより好ましい。ビーズミルで粉砕することで、一次粒子径が小さく、一次粒子径分布が狭いチタン酸リチウムを得ることができる。
粉砕処理に用いる粉砕容器、ビーズ、ボール等の材質は充放電反応への影響の少ない材質を選択することが好ましい。具体的には例えば、アルミナ、部分安定化ジルコニア等を使用することができる。
本発明において湿式粉砕する際に用いる溶媒は特に限定されず、水や有機溶剤を挙げることができる。具体的には例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ベンゼン、ヘキサンなどを挙げることができる。必要に応じてポリオールなどの粉砕助剤(分散剤)等をさらに用いてもよい。
また粉砕処理の処理条件は、所望の平均一次粒子径とSD値となるように、粉砕方法に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、粉砕処理によって得られた粉砕物を造粒処理して造粒物を得る。造粒処理の方法は特に制限されず、公知の造粒方法を適宜選択することができる。中でも製造効率と体積累積分布の狭いチタン酸リチウムを合成することが可能となる観点から、噴霧乾燥法による造粒処理を行なうことが好ましい。
具体的には、チタン酸リチウム粉砕物と溶媒を含むスラリーを調製し、これを噴霧乾燥して、所望の大粒子、すなわち0.5μm〜100μm程度の二次粒子に造粒することができる。
噴霧乾燥に用いる噴霧乾燥機は特に制限されず、例えば、ディスク式、圧力ノズル式、二流体ノズル式などから、スラリーの性状や処理能力に応じて適宜選択することができる。
二次粒子径の制御は、例えば上記のディスク式ならディスクの回転数を、圧力ノズル式や二流体ノズル式などならば噴霧圧やノズル径を調整して、噴霧される液滴の大きさを制御することにより行うことができる。また用いるスラリーの濃度、粘度等の性状は、噴霧乾燥機の能力に応じて適宜設定できる。
スラリーの粘度が低く造粒し難い場合や、より粒子径を制御し易くするために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチンなどのバインダーや、カチオン系、ノニオン系、アニオン系、両性などの界面活性剤など各種の添加剤を用いても良い。これら添加剤は有機物系で金属成分を含有しないものであれば、後の熱処理工程で分解、揮散するので望ましい。
乾燥温度としては入り口温度が180℃〜400℃、出口温度が70℃〜120℃が好ましい。また、噴霧圧力としては、例えば0.1MPa〜1.5MPaとすることができ、試料供給速度としては、例えば1.0kg/h〜5.0kg/hとすることができる。
本発明の製造方法は、上述のようにして造粒したチタン酸リチウムを熱処理する工程を含む。熱処理条件としては、例えば、250℃以上900℃以下で1分以上10時間以下の焼成を施すことが好ましい。
熱処理温度が250℃以上であることで、結晶子の歪が効果的に緩和され、電池として使用したときに容量が低下することを抑制できる。また900℃以下であることで、粒子が成長して一次粒子径が大きくなることを抑制できる。
また、熱処理は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素雰囲気下、及び空気雰囲気下のいずれであってもよい。
(リチウムイオン二次電池)
本発明にかかるリチウムイオン二次電池は、上述したチタン酸リチウムを電極活物質として含む電極を備えて構成されたものである。
リチウムイオン二次電池の基本構造は、セパレーターを介して正極および負極を対向配置し、これに非水電解液を含浸させるものである。本発明においては、正極または負極を構成する電極活物質として、上述した本発明のチタン酸リチウムを用いる。
本発明において、前記チタン酸リチウムは正極または負極を構成する電極活物質として用いられるが、高寿命及び幅広い温度範囲での入出力特性に優れるという観点から、負極を構成する電極活物質として用いられることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池において、前記チタン酸リチウムを負極活物質として用いる場合、正極に含まれる正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5などのリチウムと遷移金属との複合酸化物、MnO、Vなどの遷移金属酸化物、MoS、TiSなどの遷移金属硫化物、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物、ポリ(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)などのジスルフィド化合物などが用いられる。
前記チタン酸リチウムを電極活物質として含む電極は、電極活物質に加えて導電助剤、バインダー等を含んで構成することができる。
電極活物質を用いて電極を作製する際に用いられる導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛、炭素繊維、酸化ルテニウム、不定比酸化チタン、チタンブラック、アルミニウムやニッケル等が用いられる。
これらの中でも、少量の配合で所望の導電性を確保できるアセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
なお、導電助剤は、電極活物質に対して、通常1〜20質量%程度配合されるが、5〜10質量%配合することがより好ましい。
また導電助剤と共に用いられるバインダーとしては、公知の各種バインダーを用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、スチレンーブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリイミド、フェノール樹脂などが挙げられる。
なお、バインダーは、電極活物質に対して、通常1〜20質量%程度配合されるが、5〜15質量%配合することがより好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる電解液は、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、電解液として、有機溶剤に電解質を溶解させた溶液を用いることにより、非水系リチウムイオン二次電池を製造することができる。
前記電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiClF、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiCl、LiIなどの溶媒和しにくいアニオンを生成するリチウム塩を例示することができる。
前記有機溶剤としては、例えば、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、ラクトン類(γ−ブチロラクトンなど)、鎖状エーテル類(1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソランなど)、スルホラン類(スルホランなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ポリオキシアルキレングリコール類(ジエチレングリコールなど)などの非プロトン性溶媒を例示することができる。
有機溶剤は、単独で用いてもよく2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
前記電解液における電解質濃度は、例えば、電解液1Lに対して、電解質0.3〜5モル、好ましくは0.5〜3モル、さらに好ましくは0.8〜1.5モル程度である。
セパレーターとしても、公知の各種セパレーターを用いることができる。セパレーターの具体例としては、紙製、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、ガラス繊維製セパレーターなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>
(チタン酸リチウムの合成)
BET比表面積11m/g,平均粒子径(D50%)0.5μmの酸化チタン(堺化学工業株式会社製「A120」)100gと38.1gの炭酸リチウム(和光純薬工業(株)製、純度99%以上)をボールミルに入れ、純水300g及び10mmのジルコニアボール200gを加え、5時間混合した後、ジルコニアボールを除去して、130℃で乾燥した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、800℃で20時間空気中焼成した。尚、昇温は1.7℃/分の速度で行った。焼成後、放冷してから取り出し、ボールミルで再び混合した後、900℃で20時間焼成した。
このようにして得た焼成物をアルミナ乳鉢で解砕し、次いで、ビーズミルを用いて粉砕した。ビーズミルはアシザワ・ファインテック株式会社製スターミル「LMZ015」を用い,ビーズには0.3mmの安定化ジルコニアビーズを用いた。また水を溶媒として用い、分散剤としてライオン社製「ポリティA550」をチタン酸リチウムに対して1質量%添加して粉砕処理した。粉砕後のスラリーの粒子径分布を測定したところ、体積平均一次粒子径(D50%)は0.21μmであった。
このスラリーを大川原化工機株式会社製スプレードライヤー「NL−5」を用い、入口温度200℃、出口温度90℃、噴霧圧力0.2MPa、試料供給速度3.0kg/hの条件にて噴霧乾燥した。このようにして得た造粒粉末を700℃にて5h空気焼成して、目的のチタン酸リチウムを得た。
結晶相の同定を(株)リガク製粉末X線回折装置を用いて行ったところ、LiTi12の単一相であり、結晶子サイズは42nmであった。またBET比表面積は5.8m/g、体積平均二次粒子径(D50%)は5.7μmであった。
尚、BET比表面積はQUANTACHROME INSTRUMENTS社製オートソーブ−1を用いて、−196℃における窒素の吸着等温線から算出した。体積平均粒子径は(株)島津製作所製レーザー回折式粒度測定器「SALD3000J」を用いて測定した。
また結晶子サイズはX線回折ピークの半値幅を測定し、Scherrerの式を用いて求めた。この際、内部標準試料として金属シリコン((株)高純度化学研究所製、高純度シリコン、純度:99.999%)を用い、チタン酸リチウムの(111)面及び 金属シリコンの(111)面のピークを用いた。尚、発散スリット、散乱スリットは1/2°、受光スリットは0.15mmとし、0.1°/minの走査速度で測定した。
粒子の形状を観察するために卓上顕微鏡Miniscope(TM−1000、日立ハイテク社製)を用いて倍率10,000×で観察した。観察された粒子形状の一例を図1に示す。観察された一次粒子の長径を100個分測定し、その算術平均として求めた平均一次粒子径は0.2μmであった。
上記で得られたチタン酸リチウム5gを水95gに分散し、これを超音波分散機(株式会社日本精機製ホモミキサー)を用いて、最大振幅25μmで1時間分散処理した。このようにして得たスラリーの一次粒子径分布を(株)島津製作所製レーザー回折式粒度測定器「SALD3000J」を用いて測定したところ、D10%、D50%、D90%の粒子径はそれぞれ0.37μm、0.62μm、1.1μmであった。一次粒子径分布の概略を図2に示した。
またこれらから算出されるSD値は、0.37μmであった。
(チタン酸リチウム電極の作製)
電極活物質として上記で得られたチタン酸リチウムと、導電助剤としてカーボンブラック(電気化学工業(株)製、商品名:HS−100)と、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液((株)クレハ製、商品名:KFポリマー#1120、ポリフッ化ビニリデンの含有量:12質量%)を、活物質:導電助剤:PVDF=85:5:10(質量比)の割合で混合してペースト状にし、電極組成物を調製した。このペースト状の電極組成物を、電解銅箔の光沢面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた。次いで120℃にて1時間真空乾燥して電極組成物層を有する電極を得た。
(リチウムイオン二次電池の作製)
上記で得られた電極を負極として、また対極として金属リチウムを用いて以下のようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。1Mの濃度でLiPFを溶解したEC(エチレンカーボネート)/PC(プロピレンカーボネート)/GBL(γ―ブチロラクトン)(1/1/1体積比)を電解液とし、セルとして2016型コインセル(宝泉株式会社製)を用いて、定法によりコイン型電池を作製した。
(評価)
−初期放電容量−
初めに25℃にて電池評価した。対極(リチウム極)に対して0.1Cに相当する電流で1.2Vまで充電した。放電はリチウム極に対して0.1Cに相当する電流で2.5Vまで行い、初期(初回)放電容量を測定した。この時、容量は用いたチタン酸リチウムの重量当たりに換算した。
−放電容量維持率−
次いで、リチウム極に対して0.1Cに相当する電流で1.2Vまで充電し、放電をリチウム極に対して10Cに相当する電流で2.5Vまで行い、10Cにおける放電容量を測定し、10Cにおける放電容量の0.1Cにおける放電容量に対する比として放電容量維持率を算出し、レート特性を評価した。
ここでいうxCとは1/x時間で充電または放電が完了する電流値をさす、つまり10Cの放電レートとは(1/10)時間で放電が完了する電流値を意味する。
−放電容量(−10℃)−
次いで、リチウム極に対して0.2Cに相当する電流で1.2Vまで充電し、放電をリチウム極に対して10Cに相当する電流で2.5Vまで行う試験を−10℃の環境下で行い、−10℃における放電容量を測定した。
結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、粉砕処理後の熱処理温度を600℃、5時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、チタン酸リチウム粒子を得た。
BET比表面積は17.5m/g、体積平均二次粒子径(D50%)は6.0μm、結晶子サイズは47nmであった。
また平均一次粒子径は0.2μmであった。
超音波分散機にて1時間処理して得たスラリーの、D10%、D50%、D90%に対応する粒子径は、それぞれ0.35μm、0.60μm、1.0μmであった。またSD値は0.33μmであった。
得られたチタン酸リチウム粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、電極およびリチウムイオン二次電池を作製して同様にして評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、粉砕処理をビーズミルでの粉砕処理に代えてボールミルでの粉砕処理としたこと以外は実施例1と同様にして、チタン酸リチウム粒子を得た。尚、ボールミルでの粉砕には、5mm及び10mmの安定化ジルコニアボールを用いた。
BET比表面積は2.2m/g、体積平均二次粒子径(D50%)は5.7μm、結晶子サイズは44nmであった。
また平均一次粒子径は1.2μmであった。
超音波分散機にて1時間処理して得たスラリーの、D10%、D50%、D90%に対応する粒子径は、それぞれ0.34μm、1.1μm、2.1μmであった。またSD値は0.88μmであった。また一次粒子径分布の概略を図2に示した
得られたチタン酸リチウム粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、電極およびリチウムイオン二次電池を作製して同様にして評価した。結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例のリチウム二次電池は低温での電池特性、特に放電容量に優れることが分かる。

Claims (7)

  1. 平均一次粒子径が0.1μm〜1.0μmであり、結晶子サイズが10nm〜60nmであり、かつ下記式(I)で示されるSD値が0.80μm以下であるチタン酸リチウム粒子。


    (式(I)中、D90%は一次粒子径の体積累積分布における累積90%に対応する一次粒子径を示し、D10%は一次粒子径の体積累積分布における累積10%に対応する一次粒子径を示す)
  2. BET比表面積が1.5m/g〜100m/gである請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子。
  3. 体積平均二次粒子径が1μm〜30μmである請求項1又は請求項2に記載のチタン酸リチウム粒子。
  4. リチウムイオン電池用の電極活物質である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のチタン酸リチウム粒子。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のチタン酸リチウム粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えるリチウムイオン二次電池。
  7. チタン化合物及びリチウム化合物を混合して原料混合物を得る工程と、
    前記原料混合物を熱処理してチタン酸リチウムを得る工程と、
    前記チタン酸リチウムを粉砕して粉砕物を得る工程と、
    前記粉砕物を造粒して造粒物を得る工程と、
    前記造粒物を熱処理する工程と、
    を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
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