以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は荷電粒子ビーム描画装置の一具体例すなわち電子ビーム描画装置11の構成を概略的に示す。電子ビーム描画装置11では感光性樹脂材のキャンバスに電子ビームで図形が描画される。すなわち、感光性樹脂材は電子ビームで露光される。感光性樹脂材は例えば電子ビームの照射に応じて固化する。図形のレイアウトは描画データで特定される。こういった電子ビーム描画装置11は例えば半導体チップ用マスク原版の作成にあたって利用される。なお、荷電粒子ビーム描画装置では電子ビームに代えて例えばイオンビームといった荷電粒子ビームが利用されればよい。
電子ビーム描画装置11は土台12を備える。土台12には描画室13が区画される。描画室13内にはXYステージ14が配置される。XYステージ14は上向きの試料受け面14aを区画する。試料受け面14aは例えば任意の水平面内すなわちxy平面内で広がる。試料受け面14aは重力方向に直交する。XYステージ14は水平面内すなわちxy平面内で試料受け面14aの移動を実現する。こういった移動の実現にあたってXYステージ14には所定の駆動機構が組み込まれる。駆動機構は例えば案内レールとリニアモーターとで構成されればよい。
土台12には鏡筒15が取り付けられる。鏡筒15の内部空間は描画室13から連続する。鏡筒15内には電子銃16および電子光学系17が組み込まれる。電子銃16はXYステージ14の試料受け面14aに直交方向に電子を放出する。電子は電子ビーム18を形成する。電子ビーム18は電子光学系17を通過してXYステージ14の試料受け面14aに至る。
電子光学系17は第1アパーチャ板21および第2アパーチャ板22を備える。第1および第2アパーチャ板21、22は電子銃16およびXYステージ14の間に配置される。第1および第2アパーチャ板21、22は、電子ビーム18を遮蔽する板材から形成される。第1および第2アパーチャ板21、22にはそれぞれ開口21a、22aが形成される。開口21aは例えば矩形の輪郭を有する。電子ビーム18は開口21a、22aを通過する。
電子光学系17は第1偏向器23、第2偏向器24および第3偏向器25をさらに備える。第1偏向器23は電子銃16および第1アパーチャ板21の間に配置される。第2偏向器24は第1アパーチャ板21および第2アパーチャ板22の間に配置される。第3偏向器25は第2アパーチャ板22およびXYステージ14の間に配置される。第1、第2および第3偏向器23、24、25は電磁気の働きで電子ビーム18の進行方向を制御する。
電子光学系17は照明レンズ26、投影レンズ27および対物レンズ28をさらに備える。照明レンズ26は電子銃16および第1アパーチャ板21の間に配置される。照明レンズ26は電磁気の働きで開口21aに対して電子ビーム18を集光する。投影レンズ27は第1アパーチャ板21および第2アパーチャ板22の間に配置される。投影レンズ27は電磁気の働きで開口22aに対して電子ビーム18を集光する。対物レンズ28は第2アパーチャ板22およびXYステージ14の間に配置される。対物レンズ28はXYステージ14上の感光性樹脂のキャンバスに対して電子ビーム18を集光する。
電子ビーム描画装置11は制御回路31を備える。制御回路31は第1偏向器23、第2偏向器24、第3偏向器25およびXYステージ14に接続される。制御回路31は例えばショットデータに基づき電子ビーム描画装置11の動作を制御する。ショットデータは、電子ビーム18で描き出される図形のレイアウトを特定する。ショットデータは単純な矩形や三角形といった図形の形状、大きさおよび位置を特定する。個々の図形は例えば1照射ごとの電子ビーム18のビームスポットに相当する。半導体チップ用マスク原版の作成にあたって回路パターンは図形の集合体で描かれる。
制御回路31は第1偏向器23に駆動信号を供給する。駆動信号の供給に応じて第1偏向器23は例えば第1進行方向および第2進行方向の間で電子ビーム18の進行方向を切り替える。電子ビーム18が第1進行方向に向けられると、電子ビーム18は第1アパーチャ板21の開口21aを通過する。電子ビーム18が第2進行方向に向けられると、電子ビーム18は開口21aの外側で第1アパーチャ板21に衝突する。電子ビーム18の進行は遮られる。こうしてブランキング制御に応じて電子ビーム18の照射および遮断が切り替えられる。
制御回路31は第2偏向器24に駆動信号を供給する。駆動信号の供給に応じて第2偏向器24は電子ビーム18の進行方向を変更する。電子ビーム18の経路は第2アパーチャ板22の開口22aに対して相対的に調整される。その結果、電子ビーム18の経路は部分的に第2アパーチャ板22で遮られる。こうして電子ビーム18の断面形状は開口21aの輪郭と開口22aの輪郭とで成形される。可変成形ビームは確立される。
制御回路31は第3偏向器25に駆動信号を供給する。駆動信号の供給に応じて第3偏向器25は電子ビーム18の進行方向を変更する。こうして電子ビーム18のビームスポットはXYステージ14の試料受け面14a上で移動する。
制御回路31はXYステージ14に駆動信号を供給する。駆動信号の供給に応じてXYステージ14の移動は制御される。こうして不動の電子銃16に対してXYステージ14の位置は相対的に変更される。XYステージ14の移動に応じてXYステージ14上で対物レンズ28に対して所定の照射範囲は位置決めされる。XYステージ14の静止中、XYステージ14上では第3偏向器25の働きで電子ビーム18のビームスポットは当該照射範囲内で移動することができる。XYステージ14の試料受け面14aには所定の大きさで所定の形状のビームスポットが間欠的に照射される。照射のたびにビームスポットの位置は移動する。
電子ビーム描画装置11はフォーマット変換装置32を備える。フォーマット変換装置32は制御回路31に接続される。フォーマット変換装置32は描画データに基づき前述のショットデータを生成する。描画データは例えば台形といった図形に基づき回路パターンを表現する。描画データではクラスター域といった微小単位区域ごとに図形のレイアウトが特定される。レイアウトは図形の形状、大きさおよび位置で表現される。ショットデータの図形の集合体が描画データの1図形に相当する。すなわち、ショットデータでは描画データの図形は細分化される。
電子ビーム描画装置11はデータ変換装置33を備える。データ変換装置33はフォーマット変換装置32に接続される。データ変換装置33はレイアウトデータに基づき描画データを生成する。レイアウトデータは例えば台形といった図形に基づき回路パターンを表現する。レイアウトデータではセルといった区域ごとに図形のレイアウトが特定される。レイアウトは図形の形状、大きさおよび位置で表現される。クラスター域の集合体がセルに相当する。レイアウトデータは例えばインターフェース34を通じてデータ変換装置33に取り込まれる。
電子ビーム描画装置11には第1実施形態に係る作業用端末36が接続される。作業用端末36は例えばCPU(中央演算処理装置)といった演算処理手段37を備える。演算処理手段37は例えばデータ変換装置33に接続される。接続にあたって作業用端末36のインターフェース38は電子ビーム描画装置11のインターフェース34に接続される。電子ビーム描画装置11の利用にあたって作業者は作業用端末36を操作する。演算処理手段37はデータ変換装置33やフォーマット変換装置32にコマンドやデータを供給する。
作業用端末36はキーボード41やマウス42といった入力手段43を備える。キーボード41やマウス42は演算処理手段37に接続される。入力手段43は演算処理手段37に電気信号を供給する。キーボード41の電気信号はキー操作を特定する。マウス42の電気信号は個々のマウス操作を特定する。作業者はキーボード41やマウス42の操作を通じて演算処理手段37に指示や情報を入力することができる。その他、入力手段43にはCD駆動装置やDVD駆動装置といったデータ読み取り装置44やLANインターフェースといったインターフェース45が組み込まれてもよい。こういったデータ読み取り装置44やLANネットワークを通じて例えばレイアウトデータといった大容量のデータは作業用端末36に取り込まれることができる。
作業用端末36はディスプレイ装置47といった表示手段48を備える。ディスプレイ装置47は演算処理手段37に接続される。演算処理手段37はディスプレイ装置47に画像信号を供給する。画像信号ではディスプレイ装置47の個々の画素ごとに表示情報が特定される。ディスプレイ装置47の画面には画像信号に基づき画像が映し出される。演算処理手段37は例えばディスプレイ装置47の画像信号およびキーボード41やマウス42の電気信号に基づきコマンドを特定することができる。
作業用端末36は記憶手段49を備える。記憶手段49は、例えばRAM(ランダムアクセスメモリー)51といった一時記憶手段やハードディスク駆動装置(HDD)52といった大容量記憶手段であればよい。RAM51およびHDD52は演算処理手段37に接続される。例えばHDD52には所定のソフトウェアプログラムが格納される。演算処理手段37はソフトウェアプログラムに基づき様々な演算処理を実行する。実行にあたってソフトウェアプログラムは一時的にRAM51に取り込まれる。ソフトウェアプログラムは例えばCD−ROM(コンピューター読み出し専用のコンパクトディスク)その他の可搬性記憶媒体からHDD52に取り込まれてもよく、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットといったネットワークからHDD52に取り込まれてもよい。
いま、半導体チップ用マスク原版が作成される場面を想定する。半導体チップ用マスク原版の作成にあたってガラス基板は用意される。ガラス基板の表面には例えば金属膜が積層される。金属膜は例えばクロム(Cr)で形成される。金属膜の表面に感光性樹脂材すなわちレジスト材が積層される。レイアウトデータに基づき電子ビーム描画装置11でレジスト材に回路パターンが描画される。電子ビーム18の露光に基づきレジスト材は固化する。
その後、ガラス基板の表面でレジスト材に現像処理が施される。レジスト材は例えば現像液に曝される。未露光のレジスト材は現像液に溶解する。固化したレジスト材は金属膜の表面に残存する。こうして金属膜の表面にはレジスト膜の回路パターンが形成される。
次いで、金属膜にはエッチング処理が施される。エッチング処理には例えばウェットエッチングが用いられる。レジスト膜の輪郭の外側で金属膜はエッチング液に曝される。こうしてレジスト膜の輪郭の外側で金属膜は流し落とされる。レジスト膜が除去されると、ガラス基板の表面には金属膜の回路パターンが残存する。こうして半導体チップ用マスク原版は作成される。
回路パターンの描画にあたって作業者は作業用端末36の操作に基づきデータ変換装置33にレイアウトデータを供給する。データ変換装置33はレイアウトデータを描画データに変換する。フォーマット変換装置32は描画データを取り込む。フォーマット変換装置32は描画データをショットデータに変換する。ショットデータに基づき制御回路31は電子ビーム描画装置11の動作を制御する。
図2に示されるように、データ変換装置33はデータ処理手段53を備える。データ処理手段53は荷電粒子ビーム描画用データ生成装置として機能する。データ処理手段53はレイアウトデータに基づき描画データを生成する。データ処理手段53はセル抽出手段54すなわちセル抽出回路を備える。セル抽出手段54はレイアウトデータ中でセルを抽出する。セルが抽出されると、そのセル内の図形は特定されることができる。セルの抽出にあたってセル抽出手段54はHDDといった不揮発性大容量記憶手段55aから第1レイアウトデータを取得する。不揮発性大容量記憶手段55aには例えば作業用端末36から第1レイアウトデータが取り込まれればよい。第1レイアウトデータでは平面座標系に従って回路パターンのレイアウトが特定される。
データ処理手段53はセル複写手段56すなわちセル複写回路を備える。セル複写手段56はセルを複写する。セルごとに図形のレイアウトデータは複写される。複写されたレイアウトデータは例えば不揮発性大容量記憶手段55aの仮想メモリーに一時的に格納されればよい。
データ処理手段53はクラスター分割手段57すなわちクラスター分割回路を備える。クラスター分割手段57は複数の微小領域すなわちクラスター域にセルを分割する。クラスター域は予め決められた規定の大きさを有すればよい。
データ処理手段53はクラスター分配手段58すなわちクラスター分配回路を備える。クラスター分配手段58は所定の規則に従ってクラスター域を分配する。分配の結果、クラスター域はグループごとに仕分けられる。
データ処理手段53は測定用マーク合成手段59すなわち測定用マーク合成回路を備える。測定用マーク合成手段59はセルの第1レイアウトデータに測定用マークを合成する。測定用マークは例えば十字形、L字形、コンタクトホール形といった測定用の図形に相当する。測定用マークの合成にあたって測定用マーク合成手段59は例えば不揮発性大容量記憶手段55aから第2レイアウトデータを取得する。不揮発性大容量記憶手段55aには例えば作業用端末36から第2レイアウトデータが取り込まれればよい。第2レイアウトデータには平面座標系に従って測定用マークのレイアウトが特定される。
データ処理手段53は枠図形設定手段61すなわち枠図形設定回路を備える。枠図形設定手段61はセル内に枠図形を設定する。枠図形はレイアウトデータの平面座標系上で特定の区域を囲む。特定の区域の輪郭で図形は切り出される。枠図形の設定にあたって枠図形設定手段61は例えば不揮発性大容量記憶手段55aから第3レイアウトデータを取得する。不揮発性大容量記憶手段55aには例えば作業用端末36から第3レイアウトデータが取り込まれればよい。第3レイアウトデータには平面座標系に従って枠図形のレイアウトが特定される。
データ処理手段53は削除手段62すなわち削除回路を備える。削除手段62は、第1レイアウトデータから、指定された区域の情報を削除する。例えばクラスター域のグループが指定されると、グループに属するクラスター域はセルから削除される。例えば枠図形が指定されると、枠図形で囲まれる領域から図形は削除される。
データ処理手段53は描画データ生成手段63すなわち描画データ生成回路を備える。描画データ生成手段63は第1レイアウトデータに基づき描画データを生成する。描画データの生成にあたって描画データ生成手段63は削除手段62から処理後の第1レイアウトデータを取り込む。描画データ生成手段63は例えば不揮発性大容量記憶手段55bに描画データを格納する。
なお、データ処理手段53は例えば演算処理回路64とメモリー65との組み合わせで構成されてもよい。演算処理回路64は、ソフトウェアプログラムの実行に基づき、前述のセル抽出手段54の機能、セル複写手段56の機能、クラスター分割手段57の機能、クラスター分配手段58の機能、測定用マーク合成手段59の機能、枠図形設定手段61の機能、削除手段62の機能および描画データ生成手段63の機能を実現すればよい。これら機能の実現にあたってソフトウェアプログラムは例えば一時的にメモリー65に取り込まれればよい。こうしたソフトウェアプログラムは不揮発性大容量記憶手段55aに格納されればよい。ソフトウェアプログラムは例えばCD−ROM(コンピューター読み出し専用のコンパクトディスク)その他の可搬性記憶媒体から不揮発性大容量記憶手段55aに取り込まれてもよく、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットといったネットワークから不揮発性大容量記憶手段55aに取り込まれてもよい。
いま、半導体チップ用マスク原版で回路パターンの線幅または(および)位置精度に許容値を超える誤差が検出された場面を想定する。前述と同様に、レイアウトデータに基づき半導体チップ用マスク原版は作成される。この再作成にあたって回路パターン内に測定用マークが組み入れられる。組み入れにあたって、前述のレイアウトデータと同一の第1レイアウトデータと、前述の第2レイアウトデータおよび第3レイアウトデータは準備される。作業者は例えば作業用端末36の操作に基づき再作成を指示する。第1〜第3レイアウトデータは例えば不揮発性大容量記憶手段55aに格納される。
第1レイアウトデータは、図3に示されるように、例えば第1階層〜第5階層の階層構造を備える。第1階層CPはチップレイアウトデータを有する。チップレイアウトデータでは1枚のフォトマスクの全域といった特定域内で半導体チップCP1…といった要素図形のレイアウトが特定される。レイアウトの特定にあたって半導体チップCP1…ごとに形状、大きさおよび位置が特定される。個々の半導体チップCP1…は複数のフレーム域FR1、FR2…に等分割される。
第2階層FRはフレーム数と同数のフレームレイアウトデータを備える。個々のフレームレイアウトデータは個々のフレーム域FR1、FR2…に関連づけられる。フレームレイアウトデータではチップCP1…といった特定域ごとにフレーム域FR1、FR2…といった要素図形のレイアウトが特定される。レイアウトの特定にあたってフレーム域FR1、FR2…ごとに形状、大きさおよび位置が特定される。個々のフレーム域FR1、FR2…は複数のブロック域BL00、BL01…に等分割される。
第3階層BLはブロック数と同数のブロックレイアウトデータを備える。個々のブロックレイアウトデータは個々のブロック域BL00、BL01…に関連づけられる。ブロックレイアウトデータではフレーム域FR1、FR2…といった特定域ごとにブロック域BL00、BL01…といった要素図形のレイアウトが特定される。レイアウトの特定にあたってブロック域BL00、BL01…ごとに形状、大きさおよび位置が特定される。個々のブロック域BL00、BL01…ごとにセルCL1、CL2…が特定される。
第4階層CLはセル数と同数のセルレイアウトデータを備える。個々のセルレイアウトデータは個々のセルCL1、CL2…に関連づけられる。セルレイアウトデータではブロック域BL00、BL01…といった特定域ごとにセルCL1、CL2…といった要素図形のレイアウトが特定される。レイアウトの特定にあたってセルCL1、CL2…ごとに形状、大きさおよび位置が特定される。ここでは、1つのセルCL1が複数の領域すなわち複数のブロックBL21、BL22に同時に含まれても、セルCL1の統一性は維持される。セルCL1の分割は回避される。セルCL1はいずれか一方のブロックBL21に割り当てられる。個々のセルCL1、CL2…ごとに要素図形FG1、FG2…が特定される。
第5階層FGは要素図形数と同数の図形レイアウトデータを備える。個々の図形レイアウトデータは個々の要素図形FG1、FG2…に関連づけられる。図形レイアウトデータではセルCL1、CL2…といった特定域ごとに要素図形FG1、FG2…のレイアウトが特定される。レイアウトの特定にあたって要素図形FG1、FG2…ごとに形状、大きさおよび位置が特定される。要素図形FG1、FG2…の集合体で回路パターンは描かれる。
図4を参照しつつデータ処理手段53の処理動作を詳述する。ステップS1で不揮発性大容量記憶手段55aから第1〜第3レイアウトデータが取り込まれると、ステップS2でセル抽出手段54はセルCL1を抽出する。ステップS3で、測定用マーク合成手段62は第2レイアウトデータに基づきセルCL1内で測定用マークの有無を調査する。セルCL1内で測定用マークが確認されなければ、ステップS4で測定用マーク合成手段59はセルCL1のブロックBLを確認する。複数の領域すなわちブロックBLにセルCL1は含まれるか否かが判断される。セルCL1が単一のブロックBL21にのみ含まれていれば、ステップS5でクラスター分割手段57は複数のクラスター域にセルCL1を分割する。クラスター域ごとに要素図形FG1、FG2…は特定される。その後、ステップS6で描画データ生成手段63は個々のクラスター域ごとに描画データを生成する。生成された描画データは不揮発性大容量記憶手段55bに格納される。ステップS7で全てのセルCL1、CL2…で描画データが生成されたか否かが判断される。描画データが生成されていれば、データ処理手段53の処理動作は終了する。
いま、例えば図5に示されるように、セルCL2が複数のブロックBL21、BL22すなわち第1領域および第2領域に同時に含まれる場面を想定する。第1レイアウトデータでは所定の基準に従ってセルCL2はブロックBL21に属する。ステップS8でセル複写手段56はブロックBL22にセルCL2を複写する。こうしてセルCL2全体はブロックBL21、BL22すなわち第1領域および第2領域に関連づけられる。
ステップS9でクラスター分割手段57はブロックBL21およびブロックBL22で複数のクラスター域71に個々のセルCL2を分割する。クラスター域71ごとに要素図形FG1、FG2…は特定される。このとき、クラスター域71の境界とブロックBL21、BL22同士の境界は必ずしも一致しない。
ステップS10でクラスター分配手段58は個々のブロックBL21、BL22にクラスター域71a、71bを分配する。共通の基準でブロックBL21、BL22それぞれでセルCL2は分割される。例えばブロックBL12にはクラスター域71すなわち分割片72aが割り振られる。ブロックBL22にはクラスター域71すなわち分割片72bが割り振られる。ステップS11で削除手段62は個々のブロックBL21、BL22で余分なクラスター域71を削除する。割り振られたクラスター域71以外のクラスター域71は削除される。その後、ステップS6で描画データ生成手段63は個々のクラスター域71ごとに描画データを生成する。生成された描画データは不揮発性大容量記憶手段55bに格納される。
ステップS3で測定用マーク合成手段59が第2レイアウトデータでセル内に測定用マークを確認すると、ステップS12で枠図形設定手段61はセル内に枠図形を設定する。枠図形設定手段61は、図6に示されるように、第1レイアウトデータの回路パターン73上で第3レイアウトデータの枠図形74を特定する。第1レイアウトデータでは枠図形74で囲まれる領域は切断される。ステップS13で削除手段62は第1レイアウトデータで枠図形74内の回路パターン73を削除する。ステップS14で測定用マーク合成手段59は枠図形74に囲まれた領域で第1レイアウトデータに測定用マーク75を書き込む。こうして測定用マーク75は合成される。その後、ステップS4で、セルCL3が複数のブロックBL21、BL22に含まれるか否かが判定される。セルCL3は、前述と同様に、クラスター域71に分割されていく。第1レイアウトデータでは測定用マーク75は枠図形74内に配置されることから、測定用マーク75と回路パターン73との重なりは回避される。その結果、電子ビーム18で良好な露光は実現される。
図7は第2実施形態に係る作業用端末36aの構成を概略的に示す。作業用端末36aの演算処理手段37aはライブラリデータ取得手段79すなわちライブラリデータ取得回路を備える。ライブラリデータ取得手段79はマークライブラリデータ81を取得する。マークライブラリデータ81は例えば予めHDD52に格納される。マークライブラリデータ81では複数種類にわたって測定用マーク75の形状および枠図形74の形状が特定される。
演算処理手段37aは画像情報生成手段82すなわち画像情報生成回路を備える。画像情報生成手段82は画像情報を生成する。画像情報は例えば個々の種類ごとに測定用マーク75の形状および枠図形74の形状を特定する。画像情報には例えばビットマップデータが用いられればよい。画像情報に基づき画像信号は生成される。画像信号は画面全体の画像を表現する。ディスプレイ装置48は画像信号に基づき画面上に測定用マーク75の形状および枠図形74の形状を映し出す。画像情報の生成にあたって前述のマークライブラリデータ81は利用される。
演算処理手段37aは入力情報受信手段83すなわち入力情報受信回路を備える。入力情報受信手段83は選択情報および数値情報を受信する。選択情報は例えば1種類の測定用マーク75の指定および1種類の枠図形74の指定を特定する。数値情報は、測定用マーク75の大きさや測定用マーク75の線の太さ、セルCL1、CL2…内の測定用マーク75のx座標値およびy座標値、枠図形74の大きさ、枠図形74の線の太さ、セルCL1、CL2…内の枠図形74のx座標値およびy座標値を特定する。入力情報受信手段は例えばディスプレイ装置47の画像信号およびキーボード41やマウス42の電気信号に基づき選択情報および数値情報を特定する。
演算処理手段37aは描画情報生成手段84すなわち描画情報生成回路を備える。描画情報生成手段84はマークライブラリデータ、選択情報および数値情報に基づき描画情報すなわち第2レイアウトデータおよび第3レイアウトデータを生成する。
演算処理手段37aは、ソフトウェアプログラムの実行に基づき、前述のライブラリデータ取得手段79の機能、画像信号生成手段82の機能、入力情報受信手段83の機能および描画情報生成手段84の機能を実現してもよい。これら機能の実現にあたってソフトウェアプログラムは例えば一時的にメモリー51に取り込まれればよい。こうしたソフトウェアプログラムは例えばHDD52に格納されればよい。ソフトウェアプログラムは例えばCD−ROM(コンピューター読み出し専用のコンパクトディスク)その他の可搬性記憶媒体からHDD52に取り込まれてもよく、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットといったネットワークからHDD52に取り込まれてもよい。
いま、半導体チップ用マスク原版の作成にあたって回路パターン内に測定用マークが組み入れられる場面を想定する。作業者は例えば作業用端末36aの操作に基づき再作成を指示する。図8に示されるように、ステップT1でライブラリデータ取得手段79はHDD52からマークライブラリデータ81を取得する。マークライブラリデータ81は画像信号生成手段82に受け渡される。ステップT2で画像信号生成手段82はマークライブラリデータ81に基づき画像情報を生成する。画像情報の生成に応じて画像信号は生成される。画像情報はディスプレイ装置47に送り込まれる。
図9に示されるように、ディスプレイ装置47には所定の入力画面が表示される。例えば第1ウインドウ86には個々の測定用マーク75の形状が描かれる。作業者には測定用マーク75の選択が促される。作業者は例えばマウス42のクリック操作で測定用マーク75を選択する。同様に、作業者には、測定用マーク75の大きさ、線の太さおよび配置のx座標値およびy座標値の入力が促される。こうした入力にあたって例えば第1ウインドウ86には入力ボックス87が表示される。作業者は例えばキーボード41のキー操作で個々の数値を入力する。
同様に、例えば第2ウインドウ88には個々の枠図形74の形状が描かれる。作業者には枠図形74の選択が促される。作業者は例えばマウス42のクリック操作で枠図形74を選択する。同様に、作業者には、枠図形74の大きさ、線の太さおよび配置のx座標値およびy座標値の入力が促される。こうした入力にあたって例えば第2ウインドウ88には入力ボックス89が表示される。作業者は例えばキーボード41のキー操作で個々の数値を入力する。なお、測定用マーク75および枠図形74の選択並びに数値の入力にあたって第1ウインドウ86および第2ウインドウ88は1ウインドウにまとめられてもよい。
ステップT3で入力情報受信手段83は選択情報および数値情報を受信する。選択情報および数値情報は第1ウインドウ86および第2ウインドウ88の入力操作を反映する。選択情報および数値情報は描画情報生成手段84に受け渡される。ステップT4で描画情報生成手段84は選択情報および数値情報に基づき第2レイアウトデータおよび第3レイアウトデータを生成する。
こういった作業用端末36aによれば、簡単な入力操作に応じて第2レイアウトデータおよび第3レイアウトデータは作成されることができる。第2レイアウトデータおよび第3レイアウトデータの作成は簡素化される。作業者の負担は著しく軽減される。
作業用端末36aでは個々の測定用マーク75ごとに特定の枠図形74が予め関連付けられてもよい。この場合、例えば測定用マーク75の形状、大きさ、線幅および配置が特定されると、それらに関連して枠図形74の形状、大きさ、線幅および配置は演算処理手段37aで算出されることができる。選択された測定用マーク75に対して枠図形74は描かれる。その結果、作業者の入力操作は簡素化される。第2レイアウトデータおよび第3レイアウトデータの作成はさらに簡素化されることができる。作業者の負担はさらに軽減されることができる。