JP5440407B2 - 偏光板、液晶表示装置及びセルロースアセテートフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
保護フィルム1は、平均アセチル基置換度が2.80〜2.95のセルロースアセテートを含み、糖エステル化合物、下記一般式(B)で表されるエステル化合物、リン酸エステル系可塑剤及びグリコレート系可塑剤のいずれかの少なくとも一種を含有し、フィルム膜厚が20〜38μmであり、かつフィルムのtanδが下記式(1)の条件を満たすセルロースアセテートフィルムであり、
保護フィルム2は、セルロースアセテートの6位のアセチル基置換度をD6とした時に0.745≦D6≦0.95であり、平均アセチル基置換度が2.0〜2.5の範囲であるセルロースアセテートと、多価カルボン酸エステルとして、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル及び酒石酸エステルのいずれかの少なくとも一種を含有するセルロースアセテートフィルムであることを特徴とする偏光板。
(ここで、tanδpeakとは、25℃〜210℃のtanδ値を測定した最大値、tanδ−40とは、tanδpeakを示した時の温度−40℃でのtanδの値をいう。膜厚とは、フィルムの厚さをμm単位で表したときの値をいう。)
一般式(B) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1〜7の整数を表す。)
2.前記保護フィルム1または2が、平均置換度5.0〜7.0の糖エステル化合物を含有することを特徴とする前記1に記載の偏光板。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(上式において、dはフィルムの厚み(nm)、nxはフィルムの面内の最大の屈折率、nyはフィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率、nzは厚み方向におけるフィルムの屈折率であり、各々23℃、55%RHの環境下で、波長546nmで測定した値である。)
保護フィルム1は、平均アセチル基置換度が2.80〜2.95のセルロースアセテートを含み、糖エステル化合物、前記一般式(B)で表されるエステル化合物、リン酸エステル系可塑剤及びグリコレート系可塑剤のいずれかを含み、フィルム膜厚が20〜38μmであり、かつフィルムのtanδが下記式(1)の条件を満たすセルロースアセテートフィルムであり、
保護フィルム2は、セルロースアセテートの6位のアセチル基置換度をD6とした時に0.745≦D6≦0.95であり、平均アセチル基置換度が2.0〜2.5の範囲であるセルロースアセテートと、多価カルボン酸エステルとして、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル及び酒石酸エステルのいずれかの少なくとも一種を含有するセルロースアセテートフィルムであることを特徴とし、かかる構成により熱ジワ、ヘイズ、コントラストムラに優れた薄膜な偏光板を提供するものである。
(ここで、tanδpeakとは、25℃〜210℃のtanδ値を測定した最大値、tanδ−40とは、tanδpeakを示した時の温度−40℃でのtanδの値をいう。膜厚とは、フィルムの厚さをμm単位で表したときの値をいう。)
一般式(B) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1〜7の整数を表す。)
保護フィルム1は、特定の範囲のアセチル基置換度を有し、特定の範囲の粘弾性を有するセルロースアセテートフィルムを用いることで、熱や湿度の影響による添加剤のブリードアウトを防ぎ、同時にフィルムの歪みを小さくでき、薄膜化を可能にするものである。
保護フィルム1は、平均アセチル基置換度が2.80〜2.95の特定のセルロースアセテートを含み、フィルム膜厚が20〜38μmであり、かつフィルムの粘弾性の指標であるtanδが前記式(1)の条件を満たすセルロースアセテートフィルムであることを特徴とする。
本発明に係る保護フィルム1に用いるセルロースアセテートは、アセチル基置換度が2.80〜2.95のセルロースアセテートである。アセチル基置換度は2.84〜2.94が好ましい。アセチル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明に係る保護フィルム1はフィルムの粘弾性と膜厚の関係で、下記式(1)を満たすことを特徴としている。
(ここで、tanδpeakとは、25℃〜210℃のtanδ値を測定した最大値、tanδ−40とは、tanδpeakを示した時の温度−40℃でのtanδの値をいう。膜厚とは、フィルムの厚さをμm単位で表したときの値をいう。)
[tanδ−40/tanδpeak/√膜厚]の値が、0.0345未満の場合や、0.08を越えた時は寸法安定性が悪くなる。この値が高すぎても低すぎても寸法安定性に対し、バランスが良くない。
試料:幅5mm、長さ50mm(ギャップ20mmに設定)
測定条件:引張モード
測定温度:25〜210℃
昇温条件:5℃/min
周波数:1Hz
tanδの制御は、セルロースアセテートの種類、後述する糖エステル化合物、一般式(B)で表されるエステル化合物の種類、添加量、及び製膜条件、中でも膜厚と延伸条件によって行うことができる。
本発明に係る保護フィルム1は、上記添加剤以外に、本発明の効果を得る上で必要に応じて他の可塑剤を含有することができる。
本発明に係る保護フィルム1は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より更に好ましくは5%以下である。
本発明に係る保護フィルム1は、微粒子を含有することが滑り性、保管安定性の観点で好ましい。
本発明に係る保護フィルム1には、色味調整のため染料を添加することもできる。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
(セルロースアセテート)
本発明に係る保護フィルム2は、位相差発現性が高く、高い位相差を有する位相差フィルムとする場合であっても薄膜化を可能にできる観点から、平均アセチル基置換度が2.0〜2.5であるセルロースアセテートからなるフィルムが用いられる。好ましいアセチル基置換度は、2.2〜2.48である。アセチル基置換度の測定方法は、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
本発明に係る平均アセチル基置換度が2.0〜2.5であって、6位高アセチル化セルロースアセテートの製造方法は、例えば、総アセチル基置換度1.0〜2.5(特に1.5〜2.5)の部分アセチル置換セルロースアセテートを、酸触媒の存在下、少なくとも酢酸を含む溶媒中で処理することにより製造することができる。
本発明に係る多価カルボン酸エステルは次の一般式(Y)で表される多価カルボン酸のエステルを用いることを特徴とする。
(但し、R5は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOHはカルボキシル基、OHはアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。)
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。一般式(Y)は、中でも下記一般式(Y−2)で表されることが好ましい。
(但し、R5は(m+n)価の有機基、mは2または3、nは0〜2の整数、COOHはカルボキシル基、OHはアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。)
RK−1:HOOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR;R=CH3、k=0、m=6
RK−2:HOOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR;R=C4H9、k=0、m=10
RK−3:HOOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR;R=C2H5、k=1、m=5
RK−4:HOOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR;R=C8H17、k=2、m=10
RK−5:HOOC−CH2CH(OH)−COOR;R=CH3
RK−6:HOOC−CH2CH(OH)−COOR;R=CH2CH(OH)CH2O)5H
RK−7:HOOC−CH2CH(OH)−COOR;R=(CH2CH2O)5−OC4H9
RK−8:HOOC−CH(OH)−CH(OH)−COOR;R=(CH2CH2O)3−OC4H9
RK−9:HOOC−CH(OH)−CH(OH)−COOR;R=(CH2CH2O)10−OC4H9
RK−10:HOOC−CH(OH)−CH(OH)−COOR;R=(CH2−CH(CH3)−CH2O)3−(CH2CH2O)5H
RK−11:クエン酸モノ{エトキシ−トリ(エチレングリコール)}エステル
RK−12:クエン酸ジ{ブトキシ−ヘキサ(エチレングリコール)}エステル
RK−13:クエン酸ジ{エトキシ−トリ(エチレングリコール)}エステル
RK−14:フタル酸モノ{エトキシ−ペンタ(エチレングリコール)}エステル
RK−15:イソフタル酸モノ{ドデシルオキシ−デカ(エチレングリコール)}エステル
RK−16:トリメリット酸ジ{ブトキシ−ペンタ(エチレングリコール)}エステル
RK−17:N−アセチル−アスパラギン酸モノ{ブトキシ−ヘプタ(エチレングリコール)}エステル
RK−18:2,6−ピリジンジカルボン酸モノ{エトキシ−ペンタ(エチレングリコール)}エステル
RK−19:2,6−ピリジンジカルボン酸モノ{ペンタ(エチレングリコール)}エステル
RK−20:酒石酸メチルエステル
RK−21:クエン酸ジメチルエステル
RK−22:HOOC−CH=CH−COO(CH2CH2)7−C2H9
RK−23:HOOC−CH2−CONR1・R2;R1=H、R2=(CH2CH2O)5H
RK−24:HOOC−CH2−CONR1・R2;R1=R2=(CH2CH2O)5H
RK−25:HOOC−CH(OH)−CH2CONH(CH2CH2O)5H
RK−26:HOOC−CH(OH)−CH2CON[(CH2CH2O)3H]2
RK−27:HOOC−CH(OH)−CH(OH)−CON[(CH2CH2O)5H]2H
RK−28:クエン酸モノ{N−オクタ(エチレングリコール)}アミド
RK−29:テレフタル酸モノ{N−ブトキシデカ(エチレングリコール)}アミド
RK−30:NaOOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR;R=C2H5、k=0、m=15
RK−31:KOOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR;R=C4H9、k=0、m=10
RK−32:Ca[OOC(CH2)kCO(OCH2CH2)mOR]2;R=C2H5、k=1、m=5
RK−33:NH3OOC−CH2CH(OH)−COOR;R=CH3
RK−34:LiOOC−CH2CH(OH)−COOR;R=CH2CH(OH)CH2O)5H
RK−35:Mg[OOC−CH(OH)−CH(OH)−COOR]2;R=(CH2CH2O)3−OC4H9
RK−36:クエン酸モノ{エトキシ−トリ(エチレングリコール)}エステルのNa塩RK−37:クエン酸ジ{ブトキシ−ヘキサ(エチレングリコール)}エステルのNa塩RK−38:クエン酸ジ{エトキシ−トリ(エチレングリコール)}エステルのK塩
RK−39:フタル酸モノ{エトキシ−ペンタ(エチレングリコール)}エステルのNa塩
RK−40:トリメリット酸ジ{ブトキシ−ペンタ(エチレングリコール)}エステルのLi塩
RK−41:酒石酸ジメチルエステルのNa塩
RK−42:クエン酸ジメチルエステルのトリヒドロキシエチルアミン
塩RK−43:NaOOC−CH=CH−COO(CH2CH2)7−C2H9
RK−44:NaOOC−CH(OH)−CH2CONH(CH2CH2O)5H
RK−45:KOOC−CH(OH)−CH2CON[(CH2CH2O)3H]2
RK−46:クエン酸ジ{N−オクタ(エチレングリコール)}アミドのNa塩
(好ましい添加剤)
本発明に係る保護フィルム1または2は、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の一部がエステル化されたエステル化合物の混合物を好ましく用いることができる。
本発明に係る保護フィルム1または2は位相差調整剤を含有することが好ましく、例えば、下記一般式(B)で表されるエステル化合物を好ましく用いることができる。
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1〜7の整数を表す。)
一般式(B)中、Bで示されるヒドロキシ基またはカルボン酸残基と、Gで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のエステル系化合物と同様の反応により得られる。
保護フィルム2には保護フィルム1で挙げた可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子、色調調整剤を適宜用いることができる。
次に、本発明に係る保護フィルム1、及び2の製造方法について説明する。以下保護フィルム1、及び2をまとめて保護フィルムと呼称し説明する。
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
〈レターデーションRo、Rthの測定〉
得られたフィルムから試料35mm×35mmを切り出し、25℃,55%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))で、546nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値より算出する。
本発明に係る保護フィルム1はtanδを制御するのに延伸処理を施すことが好ましい。
本発明に係る保護フィルムの透湿度は、40℃、90%RHで300〜1800g/m2・24hが好ましく、更に400〜1500g/m2・24hが好ましく、40〜1300g/m2・24hが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することができる。
本発明に係る保護フィルム1及び2は、ハードコート層、帯電防止層、バックコート層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を設けることができる。中でも保護フィルム1は偏光板の視認側に配置されることから、傷を防止するためハードコート層を設けることが好ましい。
本発明に用いられるハードコート層は活性線硬化樹脂を含有し、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましい。
本発明の偏光板は、前記本発明に係る保護フィルム1及び2を、偏光子の両面に貼合した偏光板であることが特徴である。本発明の液晶表示装置は、少なくとも一方の液晶セル面に、本発明に係る偏光板を粘着層を介して貼り合わされたものであることが特徴である。
上記本発明に係る保護フィルム1、2を貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することができる。
<保護フィルム1:No.101の作製>
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテート(アセチル基置換度2.88)を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.88) 100質量部
糖エステル化合物A:糖エステル化合物A−2と構造は同一で平均置換度は6.2の化合物 10質量部
微粒子添加液1 1質量部
以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2.3m幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ドープ構成物及び製造条件を表3に示すように変更した以外は、保護フィルム1:No.101と同様にして保護フィルム1:No.102〜120を作製した。
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテート(アセチル基置換度2.45)を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.05、6位アセチル基置換度(D6):0.745) 100質量部
多価カルボン酸エステル(CE−1) セルロースアセテートに対し、
250ppm
糖エステル化合物A−5 10質量部
位相差調整剤:化合物a 4質量部
微粒子添加液1 1質量部
以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、1.75m幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ドープ構成物及び製造条件を表4に示すように変更した以外は、保護フィルム2:No.201と同様にして保護フィルム2:No.202〜217を作製した。
得られた保護フィルム1について、以下の要領で内部ヘイズ値を測定した。得られた保護フィルム2については、内部ヘイズ値、レターデーション値を測定した。
作製したセルロースアセテートフィルムを、23℃55%RHの環境にて5時間以上調湿した後、下記方法により内部ヘイズ値を評価した。
ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)
光源は、5V9Wハロゲン球、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)を用いた。
1.きれいにしたスライドガラスの上にグリセリンを一滴(0.05ml)たらす。このとき液滴に気泡が入らないように注意する。ガラスは見た目がきれいでも汚れていることがあるので必ず洗剤で洗浄したものを使用する。(図1参照)
2.その上にカバーガラスを乗せる。カバーガラスは押さえなくてもグリセリンは広がる。
3.ヘイズメーターにセットしブランクヘイズ1を測定する。
4.スライドガラス上にグリセリンを滴下する。(0.05ml)(図1参照)
5.その上に測定する試料フィルムを気泡が入らないように乗せる。(図2参照)
6.試料フィルム上にグリセリンを滴下する。(0.05ml)(図3参照)
7.その上にカバーガラスを載せる。(図4参照)
8.上記のように作成した積層体(上から、カバーガラス/グリセリン/試料フィルム/グリセリン/スライドガラス)をヘイズメーターにセットしヘイズ2を測定する。
9.(ヘイズ2)−(ヘイズ1)=(本発明のセルロースアセテートフィルムの内部ヘイズ)を算出する。
グリセリン: 関東化学製 鹿特級(純度>99.0%) 屈折率1.47
(レターデーションRo、Rthの測定)
得られたフィルムから試料35mm×35mmを切り出し、25℃,55%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))で、546nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値より算出した。
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)し、幅2.45mの偏光子を得た。
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
(熱ジワの評価)
偏光板301〜320各々10枚の試料を、85℃95%の条件で168時間保存し、熱ジワの発生を目視にて評価した。
○:偏光板1枚で熱ジワがやや認められる
△:偏光板2〜5枚で熱ジワがはっきりと発生している
×:偏光板8枚以上で熱ジワがはっきりと発生している
○以上が実用上問題ない。
作製した各液晶表示装置を1000時間点灯した後、液晶表示装置のコントラストの評価を、ELDIM社製EZ−contrastを用い黒表示及び白表示時の透過光量を測定して行った。評価はコントラスト=(白表示時の透過光量)/(黒表示時の透過光量)を算出し下記基準にて評価を行った。
○:コントラストムラが僅かに発生した、が、使用には全く問題ない
△:コントラストムラが発生した
×:コントラストムラが強く発生し、実用上問題がある
(視野角の評価)
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯した後、測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向から60度傾けた方向の輝度を測定し、その比(60°コントラスト)を視野角とした。
○:60°コントラストが90以上100以下
△:60°コントラストが80以上90未満
×:60°コントラストが80未満
以上の評価結果を表5に示す。
実施例1で作製した保護フィルム1:No.101〜120の表面上に下記ハードコート層を設けた。
下記材料を攪拌、混合しハードコート層塗布組成物1とした。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 30質量部
イルガキュア184(チバ・ジャパン社製) 5.0質量部
ポリエーテル変性シリコーン(KF354L、信越化学社製) 2.0質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 65質量部
シクロヘキサノン 10質量部
作製したハードコートフィルムNo.501〜520と、実施例1で作製した保護フィルム2:No.201〜217を用いて表6の組み合わせで、長尺状の偏光板No.601〜621を作製した。次に作製した偏光板のハードコートフィルム側に埃、傷を防止するセパレートフィルムであるポリエチレンフィルムを巻き合わせながら保管した。
(気泡の評価)
巻き取った長尺状の偏光板No.601〜621を85℃95%の条件で150時間保存し、次いで巻きを繰り出しながらハードコート層と保護フィルム1間で気泡の発生がないか目視にて評価した。
△:1m2あたり1〜2個の気泡が観察される
×:1m2あたり3個以上の気泡が観察される
Claims (7)
- 保護フィルム1及び保護フィルム2によって偏光子が挟持された偏光板において、
保護フィルム1は、平均アセチル基置換度が2.80〜2.95のセルロースアセテートを含み、糖エステル化合物、下記一般式(B)で表されるエステル化合物、リン酸エステル系可塑剤及びグリコレート系可塑剤のいずれかの少なくとも一種を含有し、フィルム膜厚が20〜38μmであり、かつフィルムのtanδが下記式(1)の条件を満たすセルロースアセテートフィルムであり、
保護フィルム2は、セルロースアセテートの6位のアセチル基置換度をD6とした時に0.745≦D6≦0.95であり、平均アセチル基置換度が2.0〜2.5の範囲であるセルロースアセテートと、多価カルボン酸エステルとして、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル及び酒石酸エステルのいずれかの少なくとも一種を含有するセルロースアセテートフィルムであることを特徴とする偏光板。
式(1) 0.08≧tanδ−40/tanδpeak/√膜厚≧0.0345(単位:(μm) -1/2 )
(ここで、tanδpeakとは、25℃〜210℃のtanδ値を測定した最大値、tanδ−40とは、tanδpeakを示した時の温度−40℃でのtanδの値をいう。膜厚とは、フィルムの厚さをμm単位で表したときの値をいう。)
一般式(B) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1〜7の整数を表す。) - 前記保護フィルム1または2が、平均置換度5.0〜7.0の糖エステル化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 前記保護フィルム1または2が、位相差調整剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
- 前記保護フィルム1が機能性層を有し、該機能性層の少なくとも一つがハードコート層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に貼合したことを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護フィルム2を形成するセルロースアセテートフィルムの製造方法であって、セルロースアセテートの6位のアセチル置換度をD6とした時に0.745≦D6≦0.95であり、総アセチル置換度が2.0〜2.5の範囲である該セルロースアセテートと、多価カルボン酸エステルとして、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル及び酒石酸エステルのいずれかの少なくとも一種を含有したドープを支持体上に流延し剥離した後に、延伸倍率1.1倍以上で少なくとも幅方向に延伸し、フィルム幅を1.9m〜2.5mの範囲にすることを特徴とするセルロースアセテートフィルムの製造方法。
- 前記セルロースアセテートフィルムの下記式で表されるレターデーション値Ro、Rtが、Ro:30〜70nm、Rth:70〜300nmであることを特徴とする請求項6に記載のセルロースアセテートフィルムの製造方法。
Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(上式において、dはフィルムの厚み(nm)、nxはフィルムの面内の最大の屈折率、nyはフィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率、nzは厚み方向におけるフィルムの屈折率であり、各々23℃、55%RHの環境下で、波長546nmで測定した値である。)
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