JP5432642B2 - 缶エンド用アルミニウム合金板及びその製造方法。 - Google Patents

缶エンド用アルミニウム合金板及びその製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、飲料缶及び食缶の缶エンドに用いられるアルミニウム合金板、及びその製造方法に関する。
飲料缶及び食缶には、缶エンド(缶蓋)と缶ボディ(缶胴)からなる2ピース缶が用いられてきた。缶エンドと缶ボディは、別々に製造された後、缶ボディの開口末端に缶エンドを配置して両者の外周端部を巻締めることにより密封される。
飲料缶のうち、ビール缶、炭酸を含む清涼飲料缶等のような陽圧缶には、その高い缶内圧に耐えられる程度の十分な強度が要求されている。そのため、缶エンド用のアルミニウム合金板には、A5182合金が用いられていた。
従来、缶エンド用アルミニウム合金板は、例えばアルミニウム合金の鋳塊を均質化熱処理した後、熱間圧延、中間焼鈍、及び冷間圧延の各工程を行って製造されていた。缶エンドは、金型によってアルミニウム合金板から例えば真円形状等のブランクを打ち抜き、絞り比の小さい絞り成形に相当する方法で製造される。
近年、コスト低減及び環境負荷軽減に対する要求が高まり、缶エンドについてもその薄肉化が求められている。具体的には、薄肉化によるコスト低減や環境負荷軽減のためには、缶エンド用アルミニウム合金板の板厚を少なくとも0.25mm以下とする必要がある。しかし、缶エンドを従来の製造方法で薄肉化すると、缶内圧に耐えられなくなる。そのため、アルミニウム合金板の材料自体の高強度化が必要になる。
缶エンド用アルミニウム合金板の強度を調整する方法としては、例えば合金元素を添加する方法の他、冷間圧延率を高くして加工硬化させる方法等がある。
また、ここ最近、ますます環境負荷軽減への要求が高まり、冷間圧延工程途中における中間焼鈍工程を省略することが強く望まれている。中間焼鈍工程を省略すると、製品板の強度に寄与する上述の冷間圧延率が高くなり、高強度の材料を製造することができる。
Mgを主要添加元素とする上述のA5182合金は、熱間圧延工程終了時点で、再結晶集合組織であるCube方位が発達する。
缶エンド用アルミニウム合金板の製造においては、冷間圧延工程の途中に中間焼鈍を行う手法が主流であるが、この場合には中間焼鈍工程前の冷間圧延工程及び中間焼鈍工程において、冷間加工と再結晶の過程を経るため、Cube方位への集積が弱まる。さらに、中間焼鈍工程後の冷間圧延工程においては冷間圧延集合組織が発達する。そのため、冷間圧延工程途中に中間焼鈍工程を行って製造した缶エンド用アルミニウム合金板(以下、適宜「中間焼鈍材」という)を絞り成形して缶エンドを作製すると、圧延方向に対して45°、135°、225°、及び315°の角度をなす方向に耳が生じる。
すなわち、中間焼鈍材の絞り成形カップは、45°、135°、225°、315°−4山(以下、対象性を考慮し、単に「45°−4山」という)となる。
しかし、中間焼鈍工程を省略した場合には、熱間圧延工程終了時点で発達したCube方位の影響が残る。そのため、中間焼鈍工程を省略して作製した缶エンド用アルミニウム合金板(以下、適宜「中間焼鈍省略材」という)は、これを絞り成形すると、圧延方向に対して45°、135°、225°、315°の角度をなす方向に加えて、0°、180°の角度をなす方向に大きく耳が生じてしまう。
すなわち、中間焼鈍省略材の絞り成形カップは、0°−45°−135°−180°−225°−315°−6山(以下、対象性を考慮し、単に「0°−45°−6山」という)となる。
一方、同様に中間焼鈍工程を省略した場合であっても、熱間圧延工程終了時点でCube方位の発達を抑制しすぎると、その後の冷間圧延工程よる冷間圧延集合組織の発達によって、缶エンド用アルミニウム合金板(中間焼鈍省略材)の絞り成形カップは、圧延方向に対して45°、135°、225°、315°の角度をなす方向に大きく耳が生じ、かつ90°、270°方向の高さが低くなってしまう。従って、この場合の中間焼鈍省略材の絞り成形カップは、45°−135°−225°−315°−4山と、90°−270°−2谷(以下、対象性を考慮し、単に「45°−4山、90°−2谷」とする)となる。
製缶メーカーにおける製蓋も絞り成形の一種であり、缶エンドの外周部に耳が発生する。例えば、絞りカップが「45°−4山」の中間焼鈍材を真円ブランクに打ち抜く金型で製蓋すると、やはり缶エンドの外周部に「45°−4山」の耳が発生する。
飲料メーカーでは内容物を充填後に缶ボディと缶エンドを巻締めるが、密封性を高めるために巻締め部の形状を周方向で均一にする必要がある。そのため、製缶メーカーのブランク金型は真円形状ではなく、材料の異方性をキャンセルするように設計されており、缶エンドの外周部には耳が発生しないようになっている。
具体的には、「45°−4山」の中間焼鈍材を打ち抜く金型は、打ち抜いたブランクの半径が真円ブランクと比べて、45°、135°、225°、315°方向の半径が小さく、0°、90°、180°、270°方向の半径が大きくなる形状に設計されており、この金型で製蓋すると、缶エンドの外周に耳が生じ難くなる。
ところが、中間焼鈍材に調整されたブランク金型を用いて、[0°−45°―6山]の異方性を有する中間焼鈍省略材を製蓋すると、0°、180°の2山がさらに強調された缶エンドになってしまう。その結果、缶エンドと缶ボディとを巻締める際に、周方向に均一な巻締め形状が得られなくなる。そのため、缶の密封性が低下するおそれがある。
同様に、中間焼鈍材に調整されたブランク金型を用いて、「45°−4山、90°−2谷」の異方性を有する中間焼鈍省略材を製蓋すると、45°、135°、225°、315°方向の4山が高くなりすぎ、かつ90°、270°の2谷が低くなった缶エンドになってしまう。その結果、周方向に均一な巻締め形状が得られなくなるという問題が生じてしまう。
中間焼鈍省略材であっても、0°、180°の2山が高すぎず、かつ、45°、135°、225°、315°の4山が高くなりすぎず、90°、270°の2谷が低すぎないよう異方性を制御し、中間焼鈍材と同様の「45°−4山」に近づける技術が求められている。
また、単に中間焼鈍工程を省略すると、素材の靭性が低下してしまう。そのため、ビールや炭酸飲料等の陽圧缶を、夏期の車内などの気温が高いところに放置した場合には、缶内圧が上昇し、蓋が膨れ、さらに本来内側に向かって凸状のカウンターシンク部が、外側に向かって凸状に変形するバックリングを起すおそれがある。そしてこのとき、材料に亀裂(バックリング亀裂)が生じ、内容物が外に吹き出す等の不具合が生じてしまうおそれがある。
特に、薄肉化した場合には、亀裂が材料の板厚方向全体に達してしまいやすく、さらに高強度化した場合には、バックリング時の缶内圧が高くなり、バックリング時に材料に加わる衝撃(力学的エネルギー)が大きくなり、ますますバックリング亀裂が発生し易くなるため、一層深刻な問題となる。
海外で使用されている缶エンド用アルミニウム合金板は、中間焼鈍省略材が主流であるが、上述のバックリング亀裂については配慮されておらず、上述した不具合が発生しても市場は容認しているのが現状である。しかし特に日本国内の市場では内容物の漏洩は大きな問題であり、バックリング時に亀裂が生じる材料は受け入れられない。
したがって、薄肉化が可能な高強度の缶エンド用アルミニウム合金板を製造するために中間焼鈍を省略してもなお、現状のブランク金型に適合するように、0°、180°の2山、及び45°、135°、225°、315°の4山と、90°、270°の2谷を制御する技術が強く望まれている。また、同時に薄肉化及び高強度のため、靭性に優れる材料が強く望まれている。
従来の缶エンド用アルミニウム合金板の製造方法としては、例えば、後述する特許文献1〜7に開示されたものがある。
具体的には、特許文献1には、深絞り耳の小さいアルミニウム合金板及びその製造方法が記載されている。そこには、熱間圧延の終了温度を290℃以上と高くし、引き続き50%以上の冷間圧延を加えることによって、全体として深絞り耳の小さい硬質板となることが記載されている。
また、特許文献2には、陽圧缶蓋用アルミニウム合金板及びその製造方法が記載されている。そこには、特定量の成分を含有し、遷移金属元素含有量の総和を限定することにより、成形性及び耐バックリング亀裂性に優れ、かつ薄膜化が可能な、陽圧缶に適したものとなることが記載されている。
特許文献3には、強度の異方性のないアルミニウム合金板の製造方法に関する技術が示され、特許文献4には、缶蓋用アルミニウム硬質板とその製造方法に関する技術が示されている。
また、特許文献5には、缶蓋用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法に関する技術が示されており、特許文献6には、リベット成形性、スコアー加工性、耐ブローアップ性に優れた陽圧缶用の蓋に使用するアルミニウム合金板の製造方法に関する技術が示されている。また、特許文献7には、カーリング性及び巻き締め性が優れたアルミニウム合金板及びその製造方法に関する技術が示されている。
特開昭58−224145号公報 特開2007−23340号公報 特開平3−287749号公報 特開2001−152271号公報 特開2001−11558号公報 特許第3726893号公報 特開平11−229066号公報
しかしながら、特許文献1に示されているように、熱間圧延終了温度を規定するだけでは、熱間圧延板の再結晶集合組織であるCube方位が発達しすぎ、中間焼鈍を省略した工程で製造すると、製品板の0°−180°耳が高くなりすぎてしまう。
また、特許文献2に示されているように、バックリング亀裂の発生を抑制するためにMn量を少なくすると、やはり熱間圧延板のCube方位が発達しすぎ、製品板の0°−180°耳が高くなりすぎてしまう。
また、特許文献3及び4に示されている技術は、製品板の強度異方性を制御するものであり、製品板の絞りカップ耳形状を制御する課題に関しては、根本的な解決とはならない。
また、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に示されている技術は、製品板の成形性や製蓋後の開口性に関するものであり、やはり製品板の絞りカップ耳形状を制御する課題に関しては、根本的な解決とならない。具体的には、いずれの技術も特にFe、Mnの成分範囲が広すぎ、または冷間圧延率が低いため、絞りカップ形状を厳密に制御できない。
このように、従来の技術では、中間焼鈍を省略した場合に、中間焼鈍材と同等の絞りカップ耳形状となるように異方性を制御し、かつ耐バックリング亀裂性を損なわずに板厚0.25mm以下の陽圧用缶エンドに用いるアルミニウム合金板を得ることは困難である。
単に中間焼鈍工程を省略すると、製品板の異方性、即ち絞りカップ耳形状が変化するため、製蓋用の高価な金型を変更せざるをえなくなり、新たな設備投資が必要となる。また、単に成分のみで製品板の異方性を制御しようとすると、素材の靱性が著しく低下し、バックリング時に材料が割れてしまうという問題がある。かかる問題は、材料の薄肉化に伴って一層深刻となる。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、薄肉化が可能な程十分に高強度でかつ靱性に優れ、中間焼鈍を省略しても中間焼鈍材用の金型を変えることなく製蓋に適した異方性に制御した缶エンド用アルミニウム合金板及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、ブランクを打ち抜いて該ブランクに成形を施して缶エンドを製造するために用いられ、熱間圧延後に中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を施して作製してなる缶エンド用アルミニウム合金板であって、
Si:0.04〜0.30%(質量%、以下同様)、Fe:0.12〜0.40%、Cu、Cr、Zn:いずれも0.14%以下、Ti:0.10%以下、Mn:0.25〜0.50%、Mg:4.1〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムからなり、[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0([Mg]及び[Mn]はそれぞれMg含有量(%)及びMn含有量(%))という関係を満足する組成を有し、
板厚が0.215〜0.25mmであり、
0°−180°耳率(A)が5.0〜7.0%であり、45°耳率(B)が6.0〜9.0%であり、
上記(A)と上記(B)との関係が、15.6≦1.33×(A)+(B)≦16.6であり、
圧延方向に対して0°、45°、90°の角度をなす方向に引張試験をしたときの引張強さがいずれの方向についても350MPa以上であることを特徴とする缶エンド用アルミニウム合金板にある(請求項1)。
(ただし、耳率は、上記缶エンド用アルミニウム合金板を直径55mmで切り抜いて試験用のブランクを作製し、該ブランクを絞り比1.67でカップ状に成形したときにカップの開口部に生じる耳の耳率であり、耳率(%)=100×{(山高さの平均)−(圧延方向に対して90°及び270°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さの平均)}/[{(山高さの平均+(圧延方向に対して90°及び270°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さの平均))}/2]という式で定義する。なお、山高さは、0°−180°耳率(A)においては圧延方向に対して0°及び180°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さであり、45°耳率においては圧延方向に対して45°、135°、225°、及び315°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さである。)
第2の発明は、上記第1の発明の缶エンド用アルミニウム合金板の製造方法において、
Si:0.04〜0.30%(質量%、以下同様)、Fe:0.12〜0.40%、Cu、Cr、Zn:いずれも0.14%以下、Ti:0.10%以下、Mn:0.25〜0.50%、Mg:4.1〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムからなり、かつ[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0([Mg]及び[Mn]はそれぞれMg含有量(%)及びMn含有量(%))という関係を満足する組成のアルミニウム合金鋳塊を準備し、少なくとも温度域400〜460℃における昇温速度が30℃/h以上となるように上記アルミニウム合金鋳塊を加熱し、保持温度460〜540℃で2〜24h保持する均質化熱処理工程と、
該均質化熱処理工程後の上記アルミニウム合金鋳塊を、パスごとの圧延率5〜35%、温度460〜540℃で15分以内に終了するように圧延して粗熱間圧延板を得る粗熱間圧延工程と、
終了温度が300〜370℃となるように上記粗熱間圧延板をさらに圧延して熱間圧延板を得る仕上げ熱間圧延工程と、
上記仕上げ熱間圧延工程における圧延直後の上記熱間圧延板を冷却速度20℃/h以下で冷却するか、あるいは上記熱間圧延板を温度300℃以上で1時間以上に保持する冷却・保持工程と、
該冷却・保持工程後の上記熱間圧延板を、焼鈍することなく、圧延率86〜93%となるように冷間圧延する冷間圧延工程とを有することを特徴とする缶エンド用アルミニウム合金板の製造方法にある(請求項3)。
上記第1の発明の缶エンド用アルミニウム合金板は、上述のように、上記特定の量のSi、Fe、Cu、Mn、Mg、及びTiを含有している。そのため、熱間圧延後に中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を施して作製しても、上記のような耳率特性を有するように構成することができ、良好な異方性を有する。そのため、製缶メーカーで新たな設備投資をすることなく、製蓋することができる。
すなわち、本発明の缶エンド用アルミニウム合金板(中間焼鈍省略材)は、ブランクを打ち抜いて缶エンドを製造する際に、中間焼鈍を行って製造されるアルミニウム合金板(中間焼鈍材)に適用されている現行の金型設備を用いることができる。このような従来の中間焼鈍材用の金型を用いて成形を行っても、本発明の缶エンド用アルミニウム合金板(中間焼鈍省略材)は、中間焼鈍材と同様の耳を形成することができる。それ故、上述のごとく、新たな設備投資をすることなく、製蓋することができる。
また、上記缶エンド用アルミニウム合金板は、上述の組成を有しているため、薄肉化しても、缶内圧の高い陽圧缶に用いるために必要な強度特性及び靭性を示すことができる。また、中間焼鈍を行うことなく得ることができ、また、薄肉化することができるため、コストの低減や、環境負荷の軽減を実現することができる。
このように、上記第1の発明によれば、薄肉化が可能な程十分に高強度でかつ靱性に優れ、中間焼鈍を省略しても中間焼鈍材用の金型を変えることなく製蓋に適した異方性に制御した缶エンド用アルミニウム合金板を提供することができる。
次に、第2の発明の製造方法は、上述したように、均質化熱処理工程と、粗熱間圧延工程と、仕上げ熱間圧延工程と、冷却・保持工程と冷間圧延工程とを必須工程として含み、従来通常行われていた熱間圧延工程直後又は冷間圧延工程途中の中間焼鈍工程を共に無くしてある。
すなわち、上記各工程において、上述したような条件を必須条件とすることによって、中間焼鈍を行わなくても、上述のように規定した耳率を有する缶エンド用アルミニウム合金板を製造することができるのである。
上述のように規定した耳率及び特性を備えることにより、得られる缶エンド用アルミニウム合金板は、上述したように製缶メーカーで新たな設備投資をすることなく、製蓋することができ、薄肉化しても、強度及び靭性を有する。
また、中間焼鈍を省略することによって、製造コストを低減させ、化石燃料の燃焼によるCO2ガスの排出を抑制することにより、環境負荷を低減することもできる。
このように、第2の発明によれば、薄肉化が可能な程十分に高強度でかつ靱性に優れ、中間焼鈍を省略しても中間焼鈍材用の金型を変えることなく製蓋に適した異方性に制御した缶エンド用アルミニウム合金板を、低いコスト及び環境負荷で製造することができる。
実施例にかかる、ブランクの形状を示す説明図。 実施例にかかる、シェルの断面形状を示す説明図。 実施例にかかる、シングルアクションによるフルフォーム法によってシェルを形成する様子を示す説明図であって、ブランクの断面形状を示す説明図(a)、パネル部の形成途中の断面形状を示す説明図(b)、カウンタシンク部を形成する絞り加工を行う様子を示す説明図(c)。 実施例にかかる、シェルの外周端部を内側にカーリングさせる工程を示す説明図(a)、シェルの外周部の内側にシーリングコンパウンドを塗布した状態を示す説明図(b)、シェルに対してスコア成形及びリベット成形を行ってタブを取り付けた缶エンドの断面構造を示す説明図(c)。
本発明の缶エンド用アルミニウム合金板は、上述したように、熱間圧延後に中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を施して作製してなる缶エンド用アルミニウム合金板である。
そのため、上記缶エンド用アルミニウム合金板は、低コストで、環境負荷を抑えて製造することができる。
すなわち、上記缶エンド用アルミニウム合金板は、例えば、均質化熱処理工程と、熱間圧延工程と、冷間圧延工程とを施すことにより得ることができる。均質化熱処理工程におけるアルミニウム合金鋳塊は、例えば半連続鋳造法により製造することができる。
なお、上記缶エンド用アルミニウム合金板の化学組成は、上記アルミニウム合金鋳塊の化学組成からほとんど変化することがない。
上記均質化熱処理工程においては、Al−Fe、Al−Mn、Al−Mn−Fe系金属間化合物、及びMg2Siを析出させることができる。これにより、熱間圧延工程でのCube方位粒の成長を抑制することができ、上記缶エンド用アルミニウム合金板を上述の耳率特性にすることができる。
しかし、上述の金属間化合物の析出量が多くなり過ぎて、熱間圧延工程でのCube方位粒の成長が著しく抑制されると、冷間圧延工程において冷間圧延集合組織が発達しすぎ、所望の異方性を得ることができなくなる。従って、熱間圧延工程でのCube方位粒の発達の程度は、厳密に制御する必要がある。
そこで、本発明においては、上記缶エンド用アルミニウム合金板を、Si:0.04〜0.30%(質量%、以下同様)、Fe:0.12〜0.40%、Cu、Cr、Zn:いずれも0.14%以下、Ti:0.10%以下、Mn:0.25〜0.50%、Mg:4.1〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムからなるものとする。
Siの含有量が0.30%を超える場合には、鋳造凝固過程で晶出するMg2Si金属間化合物、及びAl−Mn−Si、Al−Mn−Fe−Si系金属間化合物の生成と粗大化を引き起こし、冷間圧延工程において耳割れが発生するおそれがある。また、缶エンドの重要な特性である落下強度が低下するおそれがある。さらに、製蓋後、缶エンドがバックリングしたとき、亀裂の発生位置及び伝播経路となり、バックリング亀裂が発生し易くなるおそれがある。
特に、製品の板厚が薄い場合、製品板の強度が高い場合、また、缶内容物の内圧が高い場合は、よりバックリング亀裂が発生し易くなるため、これらの場合は、Siを0.20%以下に規制するのが良い。
ここで、上記落下強度とは、内容物充填後の缶を地面等に落とした場合における開口し難さを示す指標である。
一方、Siの含有量が0.04%未満の場合には、地金のコストが増加し、また、鋳造時の規制が厳しくなり、生産性を低下させるおそれがある。また、均質化熱処理中にMg2Siの析出が抑制されるため、熱間圧延工程において得られる熱延板のCube方位の発達を抑制することができず、耳率制御が困難になる。そのため、缶エンド用アルミニウム合金板の0°−180°耳を抑制し、45°耳を発達させることができなくなるおそれがある。
Feの含有量が0.40%を超える場合には、鋳造凝固過程で晶出するAl−Fe、Al−Mn−Fe、及びAl−Mn−Fe−Si系金属間化合物の生成と粗大化を引き起こし、冷間圧延工程における耳割れが発生するおそれがある。また、缶エンドの重要な特性である落下強度が低下するおそれがある。さらに、製蓋後、缶エンドがバックリングしたとき、亀裂の発生位置及び伝播経路となり、バックリング亀裂が発生し易くなるおそれがある。また、板厚が薄い場合、強度が高い場合、また缶内容物の内圧が高い場合は、よりバックリング亀裂が発生し易くなるため、これらの場合はFeを0.36%以下に規制することが好ましい。
一方、Feの含有量が0.12%未満の場合には、均質化熱処理中に、Al−Fe、Al−Mn−Fe系金属間化合物が十分に析出しなくなるおそれがある。そのため、熱間圧延工程でのCube方位粒の成長を抑制することができず、缶エンド用アルミニウム合金板の0°−180°耳を抑制し、45°耳を発達させることができなくなるおそれがある。より厳密に異方性を制御するためには、Feは0.14%以上に規制することが好ましい。
Mnには、これが固溶することによる強度向上効果があり、缶エンド用アルミニウム合金板の強度を得るために必要不可欠な元素である。
Mnの含有量が0.50%を超える場合には、鋳造凝固過程で晶出するAl−Mn、Al−Mn−Fe、及びAl−Mn−Fe−Si系金属間化合物の生成と粗大化を引き起こし、冷間圧延工程において耳割れが発生するおそれがある。また、缶エンドの重要な特性である落下強度が低下するおそれがある。さらに、製蓋後、缶エンドがバックリングしたとき、亀裂の発生位置及び伝播経路となり、バックリング亀裂が発生し易くなるおそれがある。そのため、板厚が薄い場合、強度が高い場合、また、缶内容物の内圧が高い場合は、よりバックリング亀裂が発生し易くなるため、これらの場合は、Mnを0.43%以下に規制するのが良い。
一方、Mnの含有量が0.25%未満の場合には、缶エンド用アルミニウム合金板の強度が不十分になり、陽圧缶の缶エンドに用いることが困難になるおそれがある。そして、缶エンド用アルミニウム合金板の板厚が薄い場合には、Mnは0.37%以上とすることが好ましい。
さらに、Mnは、他の添加元素と比べて熱間圧延工程でのCube方位粒の成長を抑制する効果が高い。そのため、Mnの含有量が0.25%未満の場合又は0.50%を超える場合には、所望の異方性に制御することができなくなるおそれがある。
また、Mgの添加は、Mg自体の固溶による強度向上効果があり、また転位との相互作用による加工硬化量が大きく、内圧の掛かる陽圧用缶エンドに用いるアルミニウム合金板の強度を得るため、必要不可欠な元素である。また、熱間圧延工程であっても安定した転位組織を形成するため、Cube方位粒の成長を安定して抑制することができ、異方性を制御する上でも必要不可欠な元素である。
Mgの含有量が5.0%を超える場合には、熱間圧延時の割れを引き起こし易く、安定して製造することが困難である。
一方、Mgの含有量が4.1%未満の場合には、強度が不十分になり、缶エンド用アルミニウム合金板を陽圧缶用の缶エンドに用いることが困難になるおそれがある。さらに、上述のように熱間圧延工程でのCube方位粒の成長を抑制させることができず、缶エンド用アルミニウム合金板の0°−180°耳を抑制し、45°耳を発達させることができなくなるおそれがある。
また、Mgの含有量を[Mg]、Mnの含有量を[Mn]とすると、[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0という関係を満足する。
この場合には、高い強度を得ることができる。
[Mg]<−1.96×[Mn]+5.0である場合には、薄肉化した場合に所望の耐圧が得られなくなるおそれがある。
また、Cu、Cr、Znは、Alマトリクスへの固溶による強度上昇に効果があるが、本発明では必須元素ではない。これらの積極的添加は、溶解原料のコストアップ要因となるばかりか、これら元素いずれかの含有量が0.14%を超える場合には、鋳造凝固過程で晶出する金属間化合物の粗大化を引き起こし、冷間圧延工程における耳割れが発生するおそれがある。また、缶エンドの重要な特性である落下強度が低下するおそれがある。さらに、製蓋後、缶エンドがバックリングしたとき、亀裂の発生位置及び伝播経路となり、バックリング亀裂が発生し易くなるおそれがある。また、板厚が薄い場合、強度が高い場合、また、缶内容物の内圧が高い場合は、よりバックリング亀裂が発生し易くなるため、これらの場合は、Cu、Cr、Znの含有量をいずれも0.12%以下に規制するのが良い。
また、Tiの添加は、上記缶エンド用アルミニウム合金板の製造時に、アルミニウム合金鋳塊の結晶粒を細かくすることができるという効果を有し、組織を均一にすることができる。即ち、ミクロ偏析を軽減させ、金属間化合物を細かく分散させることができる。
Ti含有量が0.1%を超える場合には、Al−Ti化合物が介在物として残存してしまうおそれがある。また、Tiによる上述の効果を得るためには、Tiの含有量は0.01%以上が好ましい。
上記缶エンド用アルミニウム合金板の耳率特性は、0°−180°耳率(A)が5.0〜7.0%であり、45°耳率(B)が6.0〜9.0%であり、かつ、上記(A)と上記(B)との関係が、15.6≦1.33×(A)+(B)≦16.6である。
このような耳率特性を有するように、缶エンド用アルミニウム合金板(中間焼鈍省略材)の異方性を制御することにより、現状のブランク金型(従来の中間焼鈍材に調整された金型)に適合させて製蓋することができる。
つまり、良好な異方性を有し、製缶メーカーで新たな設備投資をすることなく、製蓋することができる。
上記(A)が5.0%未満の場合には、缶エンドの45°、135°、225°、315°の4山が高くなりすぎ、均一な巻締め形状が得られず、また積層性が低下するおそれがある。
また、上記(A)が7.0%を超える場合又は上記(B)が6.0%未満の場合には、缶エンドの0°、180°の2山が高くなりすぎ、やはり均一な巻締め形状が得られず、また積層性が低下するおそれがある。
また、上記(B)が9.0%を超える場合には、缶エンドの45°、135°、225°、315°の4山が高くなりすぎ、かつ90°、270°の2谷が低くなりすぎ、やはり均一な巻締め形状が得られず、また積層性が低下するおそれがある。
また、1.33×(A)+(B)<15.6である場合には、缶エンドの45°、135°、225°、315°位置に比べて、0°、180°及び90°、270°の4山が高くなりすぎ、均一な巻締め形状が得られず、また積層性が低下するおそれがある。
一方、1.33×(A)+(B)>16.6である場合には、缶エンドの0°、180°の2山、及び45°、135°、225°、315°の4山が高くなりすぎ、均一な巻締め形状が得られず、また積層性が低下するおそれがある。
ここで、上記耳率は、缶エンド用アルミニウム合金板より切り出した、直径55mmの真円形状のブランクを、絞り比1.67でカップ状に成形したときの成形カップの開口部に発生する耳の耳率である。
0°−180°耳率(A)(%)=100×{(0°、180°の山高さの平均)−(90°、270°の谷高さの平均)}/[{(0°、180°の山高さの平均)+(90°、270°の谷高さの平均)}/2]、45°耳率(%)=100×{(45°、135°、225°、315°の山高さの平均)−(90°、270°の谷高さの平均)}/[{(45°、135°、225°、315°の山高さの平均)+(90°、270°の谷高さの平均)}/2]で定義する。
なお、上記0°−180°耳率において、上記(0°、180°の山高さの平均)とは、圧延方向に対して0°と180°方向のカップ壁高さの最大値を足して2で割った値であり、上記(90°、270°の谷高さの平均)とは、圧延方向に対して90°、270°方向のカップ壁高さの最小値を足して2で割った値である。
また、45°耳率において、上記(45°、135°、225°、315°の山高さの平均)とは、圧延方向に対して45°、135°、225°、及び315°方向のカップ壁高さの最大値を足して4で割った値であり、また、上記(90°、270°の谷高さの平均)とは、圧延方向に対して90°、270°方向のカップ壁高さの最小値を足して2で割った値である。
ここで、上記の角度については、それぞれ±5°の範囲を許容する。
耳率を求める定義式としては、耳率(%)=100×{(山高さの平均)−(全測定点の平均)}/(全測定点の平均)か、もしくは、耳率(%)=100×{(山高さの平均)−(谷高さの平均)}/[{(山高さの平均)+(谷高さの平均)}/2]で求めるのが一般的である。ここでいう全測定点の平均は、絞りカップを回転させながら変位計により連続的に絞りカップの壁高さを測定する場合、100〜1000点程度の測定点を得て、これらの平均をコンピューターで計算して求めることができるが、仮に22.5°ずつ手作業で16点測定してそれらを平均して求めても、連続的に測定して求めた平均と大差なく、耳率の値には殆ど影響しない。
しかし、上述の1つ目の定義式のように全測定点の平均を基準として耳率を算出すると、例えば45°−135°−225°−315°−4山と、90°−270°−2谷の絞りカップ耳形状を有する材料で、90°、270°の2谷の高さが低すぎて製蓋したエンドのリップハイト分布が均一でなくなり不具合の生じる場合でも、4箇所の45°山が高いため、全測定点の平均は小さくならず、リップハイト分布の良否を耳率で表すことができなくなる。すなわち全測定点の平均を基準とした耳率では、中間焼鈍省略材の異方性を正確に反映することができない。
また、上述の2つ目の定義式中の(山高さの平均)とは、中間焼鈍省略材では、0°、45°、135°、180°、225°、315°の6山の平均となるが、この定義式では45°、135°、225°、315°の4山と比べて0°、180°の2山が高い耳形状の場合でも、逆に、0°、180°の2山と比べて45°、135°、225°、315°の4山が高い形状の場合でも同じような耳率となり、両者が区別できない可能性がある。従って、本発明は、0°、180°の2山と、45°、135°、225°、315°の4山のいずれも現行の中間焼鈍材にあわせる技術であるため、本発明ではそれぞれ個別に耳率を定義する必要がある。
また、上記缶エンド用アルミニウム合金板においては、圧延方向に対して、0°、45°、90°方向に引張試験をした引張強さの最低値が350MPa以上である。
缶エンド用アルミニウム合金板に求められる要求性能のひとつに耐圧がある。耐圧は、缶内圧の上昇により、本来内側に向かって凸状のカウンターシンク部が、外側に凸状に変形するバックリングが生じるときの缶内圧をいう。缶エンドのバックリングは、素材であるアルミニウム合金板の強度が低い位置から生じる。すなわち、素材の圧延方向に対して、0°、45°、90°方向に引張試験をしたときの引張強さのうち、仮に45°方向に引張試験をした時の引張強さが最も低かった場合、そのアルミニウム合金板から製蓋した缶エンドも、素材の圧延方向に対して45°位置でバックリングする確率が高い。
そして、圧延方向に対して、0°、45°、90°方向に引張試験をした引張強さの最低値が350MPa以上であることにより、上記缶エンド用アルミニウム合金板より製蓋した缶エンドは、例えば0.25mm以下に薄肉化した場合であっても、陽圧缶用の缶エンドとして用いるために必要な耐圧を得ることができる。すなわち、薄肉化が可能であるため、低いコスト及び環境負荷とすることができる。
上記圧延方向に対して、0°、45°、90°方向に引張試験をした引張強さの最高値が350MPa未満の場合には、陽圧缶用缶エンドの耐圧を維持することができない。
なお、圧延方向に対して、0°、45°、90°方向に引張試験をした引張強さの最高値が400MPaを超えると、素材の成形能が劣り、最も過酷な成形であるリベット成形で割れが生じたり、またバックリング時に亀裂が発生するおそれもある。そのため、引張強さの最高値は400MPa以下であることが好ましい。
また、本発明において、上記缶エンド用アルミニウム合金板は、中間焼鈍を行うことなく作製する中間焼鈍省略材である。かかる缶エンド用アルミニウム合金板においては、結晶粒の長さ幅比が大きくなる傾向にあり、結晶粒の長さ/幅比は20以上になる。
上記結晶粒の長さ/幅比は、圧延方向に平行でかつ圧延面に垂直な断面を200倍で偏光子を用いた光学顕微鏡で観察し、20個以上の結晶粒の長さと幅を測定して長さ/幅の値を平均した値である。なお、結晶粒の長さは圧延方向に測定し、幅は圧延方向に垂直な方向に測定する。
上記結晶粒の長さ/幅比が20未満の場合には、冷間圧延による加工が不十分で、冷間圧延集合組織を十分に発達させることができない。そのため、本発明のような中間焼鈍省略材では上記のような耳率特性を得難くなる。
また、中間焼鈍を行って作製した缶エンド用アルミニウム合金板においては、結晶粒の長さ/幅比が小さくなる傾向にあり、結晶粒の長さ/幅比は20未満になる。
上記結晶粒の長さ/幅比は、熱間圧延板の再結晶粒の形状と冷間圧延率から幾何学的に決まるものであり、容易に推定が可能である。そのため、熱間圧延終了時点で再結晶組織となりほぼ球状の再結晶粒を得て、且つ高々93%の冷間圧延率で冷間圧延する工程で製造した場合には、上記結晶粒の長さ/幅比は500を超えるものではない。
上記缶エンド用アルミニウム合金板は、真円形状のブランクに比べて、圧延方向に対して45°、135°、225°、及び315°の角度をなす方向の半径が小さく、圧延方向に対して0°、90°、180°、及び270°の角度をなす方向の半径が大きくなる形状の上記ブランクに適用することが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記缶エンド用アルミニウム合金板からブランクを打ち抜いて、該ブランクに成形を施す際に、中間焼鈍材用の現行の金型を用いることができるという本発明の作用効果を顕著に得ることができる。
また、上記缶エンド用アルミニウム合金板は、板厚が0.215〜0.25mmである。
板厚が0.25mmを超える場合には、薄肉化しても強度に優れるという本発明の作用効果を示すことが困難になる。また、軽量化の効果が少なくなる。一方、0.215mm未満の場合には、陽圧缶用の缶エンドとして十分な耐圧を得ることが困難になるおそれがある。
第2の発明の缶エンド用アルミニウム合金板の製造方法は、上述したように、均質化熱処理工程と、粗熱間圧延工程と、仕上げ熱間圧延工程と、冷却・保持工程と、冷間圧延工程とを行う。
上記均質化熱処理工程においては、まず、上記特定組成のアルミニウム合金鋳塊を準備する(鋳造工程)。上記アルミニウム合金鋳塊は、例えば半連続鋳造法により作製することができる。
上記半連続鋳造方法は、断面矩形の鋳型内に溶湯を供給し、該鋳型内で鋳塊表面を凝固させる一次冷却と、上記凝固した鋳塊を鋳型から引き出しながら冷却水を鋳塊表面に直接供給して冷却する二次冷却とを行って、連続的に板材用の鋳塊を鋳造する方法である。
また、上記均質化熱処理工程においては、上記アルミニウム合金鋳塊を400〜460℃の温度域での昇温速度が30℃/h以上となるよう加熱し、保持温度460〜540℃に2〜24時間保持する。かかる均質化熱処理工程により、熱延板のCube方位粒の成長を抑制するのに有効な析出物の大きさと分布にすることができる。その結果、上述の耳率特性に制御することができる。
すなわち、熱延板のCube方位粒の成長を抑制するために最も効果を示す析出物は、母相との界面エネルギーが他の金属間化合物と比べて高く、かつ微細な球状の形態に析出するAl−Mn及びAl−Mn−Fe系金属間化合物である。これらの析出物は、温度480℃付近で最も多く析出し、またその析出形態もCube方位粒の成長を抑制するのに有効な大きさと分布になる。
上記均質化熱処理工程の保持温度が460℃未満の場合には、拡散速度が遅いため、上記析出物の析出形態は、粒径0.5μmに満たない大きさで、密に分布した形態となる。このため、熱間圧延時の熱間圧延板の再結晶が阻害され、上記缶エンド用アルミニウム合金板の45°耳が大きくなりすぎて耳率制御が困難になるおそれがある。さらに、強度が強くなりすぎて、冷間圧延工程で耳割れが発生するおそれがある。
同様の理由により、400〜460℃という上記温度域における昇温速度を30℃/h以上にすることがよい。
30℃/h未満の場合には、上記温度域で保持される時間が長くなりすぎて、結局は、上記析出物の析出形態が粒径0.5μmに満たない大きさで、密に分布した形態となってしまうおそれがある。
上記昇温速度を確保するためには、例えば鋳塊温度が400℃に達した時点で、目標とする均質化熱処理の保持温度よりも均質化熱処理炉の雰囲気温度が30〜50℃高くなるように温度制御する方法を採用することができる。そして、鋳塊温度が460℃に達した時点で、均質化熱処理炉の雰囲気温度を均質化熱処理の保持温度に低下させれば、鋳塊温度がオーバーシュートすることなく、昇温速度を30℃/h以上に維持することができる。
ただし、鋳塊の昇温速度が100℃/hを超える場合には、工業的な規模を有する均質化熱処理炉の雰囲気制御が難しく、鋳塊温度が目標の保持温度をオーバーシュートするおそれがあるため、望ましくない。即ち、昇温速度は100°/h以下がよい。
上記保持温度が540℃を超える場合には、平衡状態で存在する金属間化合物の量が減少するため、析出量が不十分になるおそれがある。また、これらの析出物は母相との界面エネルギーが比較的低く、析出物サイズが大きくなりやすく、また析出物形態が棒状又は板状となり易い。そのため、Cube方位粒の成長抑制効果が低下するおそれがある。
結局、上記保持温度が上記範囲から外れた場合には、いずれの場合についても、Cube方位粒の成長を抑制することができなくなり、所望の異方性に制御することが困難になるおそれがある。
また、上記保持時間が2時間未満の場合には、析出物量が不十分となる。一方、上記保持時間が24時間を超える場合には、析出物の粗大化が生じる。そのため、保持時間が2〜24時間という上記範囲から外れる場合には、いずれもCube方位粒の成長を抑制することができなくなり、所望の異方性に制御することができなくなるおそれがある。
また、上記保持温度が490℃未満の場合には、鋳造工程に起因するミクロ偏析の影響を完全に取り除くことができず、製品板の板厚が薄い場合、製品板の強度が高い場合、また、缶内容物の内圧が高い場合は、よりバックリング亀裂が発生し易くなる。よって好ましくは上記保持温度は490℃以上がよい。また、上記保持時間が4時間未満の場合も、同様の問題が発生するおそれがあるため、これらの場合には、均質化熱処理工程における保持温度を490〜540℃にし、保持時間を4〜24時間にすることが好ましい。
次に、上記粗熱間圧延工程においては、上記均質化熱処理工程を施した鋳塊を、パスごとの圧延率を5〜35%とし、460〜540℃の温度範囲で15分以内に終了するよう圧延を行う。即ち、粗熱間圧延工程においては、圧延率5〜35%、温度460〜540℃での圧延を行うと共に、圧延の開始、即ち、圧延ロールに鋳塊が挟まれて圧延が開始された時点から、粗熱間圧延板が所望の厚みになる完了時点までの時間を15分以内で行う。
上記粗熱間圧延工程は、リバース式の粗圧延機で熱間圧延するのが良い。上記粗熱間圧延の圧延率は、製品板の板厚から逆算して、冷間圧延率86〜93%、仕上げ圧延機による熱間圧延率85〜95%となるようにしたときの、粗熱間圧延終了板厚と鋳塊厚さから決定される。
上記粗熱間圧延工程における圧延温度が540℃を超える場合には、圧延素材の一部が圧延ロールに凝着し、ロール表面が荒れるという問題がある。
そのため、熱間圧延板の面質が劣化し、缶エンド用アルミニウム合金板の板面品質にまで悪影響を及ぼすおそれがある。
また、熱間加工中は、Al−Mn及びAl−Mn−Fe系金属間化合物の析出サイトが逐次導入されるため、短時間でもこれら金属間化合物が密に析出する。そのため、上記粗熱間圧延の温度が460℃未満の場合は、均質化熱処理工程の保持温度を460℃未満とした場合と同じ不具合が生じるおそれがある。また、粗熱間圧延時間が15分を超えると、これら析出物が析出する時間が増加するため、同様の不具合が生じるおそれがある。
さらに、粗熱間圧延工程でのパスごとの圧延率が5%未満では、圧延で発生する加工発熱量が少なく、粗熱間圧延板の温度が460℃を下回るおそれがある。逆に圧延率が35%を超える場合には、加工ひずみが大きいため、圧延で発生する加工発熱量が多く、粗熱間圧延板の温度が540℃を上回るおそれがある。
次に、上記仕上げ熱間圧延工程においては、終了温度が300〜370℃となるように上記粗熱間圧延板をさらに圧延して熱間圧延板を得る。上記仕上げ熱間圧延工程においては、熱間圧延率85〜95%となるように圧延を行う。
仕上げ熱間圧延工程における終了温度が300℃未満の場合には、十分な再結晶組織が得られず、45°耳が大きくなりすぎて缶エンド用アルミニウム合金板の耳率制御が困難になるおそれがある。さらにこの場合には、強度が強くなりすぎ、冷間圧延工程で耳割れが発生するおそれがある。
また、上記仕上げ熱間圧延工程の終了温度が高すぎる場合には、圧延素材の一部が圧延ロールに凝着し、ロール表面が荒れるという問題がある。そのため、熱間圧延板の面質が劣化し、缶エンド用アルミニウム合金板の板面品質にまで悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、上記仕上げ熱間圧延工程における終了温度は370℃以下であることが好ましい。
また、上記圧延終了温度が高いほど、鋳造工程に起因するミクロ偏析の影響を緩和することができ、バックリング亀裂の発生を抑制することができる。従って、板厚が薄い場合、強度が高い場合、また、缶内容物の内圧が高い場合は、上記圧延終了温度を320〜370℃とすることが好ましい。
上記仕上げ熱間圧延工程は、3スタンド以上のタンデム式仕上げ圧延機で熱間圧延するのが良い。
次に、上記冷却・保持工程においては、上記仕上げ熱間圧延工程における圧延直後の上記熱間圧延板を冷却速度20℃/h以下で冷却するか、あるいは上記熱間圧延板を温度300℃以上で1時間以上に保持するよう制御する。これにより、再結晶組織を得ることができる。
上記冷却速度が20℃/hを超える場合や、300℃以上に1時間以上保持されない場合には、熱間圧延板の再結晶組織を十分に得ることができず、耳率特性を上記範囲にすることができなくなるおそれがある。
そして、上記冷間圧延工程においては、上記仕上げ熱間圧延工程後に、焼鈍することなく、圧延率86〜93%となるように冷間圧延を行う。すなわち、熱間圧延後は焼鈍を一切行わず、缶エンド用アルミニウム合金板の板厚まで冷間圧延を施す。
上記冷間圧延工程における圧延率が86%未満の場合には、冷間圧延集合組織が十分に発達しないため、0°−180°山を十分に小さくすることができず、且つ45°山を十分大きくすることができないため、所望の異方性を得ることができない。一方、上記圧延率が93%を超える場合には、45°山が大きくなりすぎ、所望の異方性を得ることができなくなるおそれがある。また、この場合には、加工硬化が大きくなり、成形性に劣るばかりでなく、冷間圧延工程で耳割れが発生するおそれがある。
(実施例1)
本例においては、後述の表1に示す種々の化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊(合金試料M1〜M23)を用いて、本発明の実施例及び比較例にかかる缶エンド用アルミニウム合金板(試料X1〜X24)を作製し、特性を評価した。
本例においては、均質化熱処理工程と、粗熱間圧延工程と、仕上げ熱間圧延工程と、冷却・保持工程と、冷間圧延工程とを行って缶エンド用アルミニウム合金板を作製した。
均質化熱処理工程においては、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、及びTiを表1に示す割合で含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムとからなるアルミニウム合金鋳塊を準備し、少なくとも温度域400〜460℃における昇温速度が30℃/h以上となるように上記アルミニウム合金鋳塊を加熱し、保持温度460〜540℃で2〜24h保持した。
粗熱間圧延工程においては、均質化熱処理工程後のアルミニウム合金鋳塊を、パスごとの圧延率5〜35%、温度460〜540℃で15分以内に終了するように圧延して粗熱間圧延板を得た。
仕上げ熱間圧延工程においては、終了温度が300〜370℃となるように上記粗熱間圧延板をさらに圧延して熱間圧延板を得た。
冷却・保持工程においては、仕上げ熱間圧延工程における圧延直後の上記熱間圧延板を冷却速度20℃/h以下で冷却するか、あるいは上記熱間圧延板を温度300℃以上で1時間以上に保持した。
冷間圧延工程においては、冷却・保持工程後の熱間圧延板を、焼鈍することなく、圧延率86〜93%となるように冷間圧延した。
具体的には、まず、半連続鋳造法により、表1に示す各組成のアルミニウム合金鋳塊(試料M1〜試料M23)を準備した。ただし、表1においては、Al及び不可避的不純物を除く合金組成を示してある。
Figure 0005432642
次いで、各試料のアルミニウム合金鋳塊を温度域400〜460℃における昇温速度が35〜51℃/hとなるように温度500℃まで加熱し、この温度500℃で6時間保持した(均質化熱処理工程)。アルミニウム合金鋳塊としては、厚みが500mmのものを採用した。
次に、均質化熱処理工程後のアルミニウム合金鋳塊に対して粗熱間圧延を行った。粗熱間圧延は、パスごとの圧延率が6〜32%となり、アルミニウム合金鋳塊が圧延ロールに挟まれて圧延が開始されてから12分以内に完了するように実施した(粗熱間圧延工程)。なお、粗熱間圧延中の材料温度は、最高で505℃であり、最低で465℃あった。この粗熱間圧延により、厚み25mmの粗熱間圧延板を得た。
次に、粗熱間圧延板に対して仕上げ熱間圧延を行った。仕上げ熱間圧延は、4スタンドのタンデム式圧延機を用いて、圧延の終了温度が321〜348℃となるように行った(仕上げ熱間圧延工程)。これにより、厚み2.5mmの熱間圧延板を得た。
次に、熱間圧延板を冷却速度11〜18℃/hで冷却した(冷却・保持工程)。その後、総圧下率90.0%の冷間圧延を実施した(冷間圧延工程)。これにより、板厚0.25mmの缶エンド用アルミニウム合金板を得た。
本例においては、上記表1に示す試料M1〜M23という23種類のアルミニウム合金鋳塊をそれぞれ用いて23種類の缶エンド用アルミニウム合金板(試料X1〜試料X23)を製造した。
さらに本例においては、表1に示す試料M4のアルミニウム合金鋳塊を用いて、冷間圧延時に中間焼鈍を行って作製した缶エンド用アルミニウム合金板(試料X24)を製造した。具体的には、まず、上記試料X1〜試料X23と同様に、均質化熱処理工程、粗熱間圧延工程、仕上げ熱間圧延工程、及び冷却・保持工程を行った。
次いで、冷間圧延により板厚0.72mmの冷間圧延板を得て、連続焼鈍炉により、温度450℃で中間焼鈍を実施した。その後、再度冷間圧延を実施して、厚み0.25mmの缶エンド用アルミニウム合金板(試料X24)を得た。
このようにして得られた各試料(試料X1〜試料X24)の缶エンド用アルミニウム合金板に、エポキシアクリルフェノール樹脂の塗料を焼付けた。
各試料について、製造時における不具合を後述の表2に示す。なお、表2における「冷延耳割れ」とは、冷間圧延工程の途中で板幅方向の端部に発生する微小な耳割れのことをいう。また、「熱延耳割れ」とは、熱間圧延工程の途中で板幅方向の端部に発生する微小な耳割れのことをいう。
次いで、各試料について、下記の各種特性について評価した。
「引張強さ」
まず、各試料から、圧延方向に対して0°、45°、及び90°の角度をなす方向に引張試験を行うための試験片(JIS Z 2201(1998年)「金属材料引張試験片」の5号試験片)を作製した。そして、JIS Z 2241「金属材料引張試験方法」(1998年)に準拠して引張試験を行った。引張強さ(MPa)の測定結果を後述の表2に示す。
「耳率」
各試料から、直径55mmの真円形状の試験用のブランクを切り出し、このブランクを絞り比1.67でカップ状に成形し、その開口部に発生する耳の耳率(0°−180°耳率(A)及び45°耳率(B))を測定した。
耳率(A)、即ち、圧延方向に対して0°方向と180°方向に発生する耳(0°耳及び180°耳)の耳率(A)の測定にあたっては、まず、ブランクから成形したカップについて、0°耳高さP1(圧延方向に対して0°方向の位置におけるカップ壁の高さP1)、180°耳高さP2(圧延方向に対して180°方向の位置におけるカップ壁の高さP2)、90°高さQ1(圧延方向に対して90°方向の位置におけるカップ壁の高さQ1)、及び270°高さQ2(圧延方向に対して270°方向の位置におけるカップ壁の高さQ2)を測定した。次いで、次の式から耳率(A)を算出した。その結果を後述の表2に示す。
耳率(A)=100×(P−Q)/(P+Q)/2
(ただし、P=(P1+P2)/2、Q=(Q1+Q2)/2)
また、45°耳率(B)、即ち、圧延方向に対して45°方向、135°方向、225°方向、及び315°方向に発生する耳(45°耳、135°耳、225°耳、及び315°耳)の耳率(B)の測定にあたっては、まず、ブランクから成形したカップについて、45°耳高さR1(圧延方向に対して45°方向の位置におけるカップ壁の高さR1)、135°耳高さR2(圧延方向に対して135°方向の位置におけるカップ壁の高さR2)、225°耳高さR3(圧延方向に対して225°方向の位置におけるカップ壁の高さR3)、315°耳高さR4(圧延方向に対して315°方向の位置におけるカップ壁の高さR4)、90°高さQ1(圧延方向に対して90°方向の位置におけるカップ壁の高さQ1)、及び270°高さQ2(圧延方向に対して270°方向の位置におけるカップ壁の高さQ2)を測定した。次いで、次の式から耳率(B)を算出した。その結果を後述の表2に示す。
耳率(B)=100×(R−Q)/(R+Q)/2
(ただし、R=(R1+R2+R3+R4)/4、Q=(Q1+Q2)/2)
また、上述の耳率(A)及び耳率(B)の値から1.33×耳率(A)+耳率(B)の値を算出した。その結果を後述の表2に示す。
「結晶粒の長さ/幅比」
各試料において圧延方向に平行でかつ圧延面に垂直な断面を、倍率200倍の光学顕微鏡を用いて観察した。そして、20個以上の結晶粒について、長さと幅を測定してその比を算出し、これらを平均した値をもって結晶粒の長さ/幅比とした。その結果を後述の表2に示す。
次に、各試料について、中間焼鈍用に調整されたブランク金型を用いて204径シェルを成形した。即ち、ブランク金型を用いて、各試料から真円形100に比べて、圧延方向Zに対して45°、135°、225°、及び315°の角度をなす方向の半径が小さく、圧延方向に対して0°、90°、180°、及び270°の角度をなす方向の半径が大きくなる形状10のブランク1(図1参照)を打ち抜き、このブランク1から204径シェル20を成形した(図2参照)。図3(a)〜(c)に示すごとく、204径シェル20の成形は、所謂「フルフォーム法(シングルアクション)」により行った。このシングルアクションプレスのフルフォーム法においては、同図に示すごとく、缶エンド用アルミニウム合金板(各試料)のブランク1(図3(a)参照)に、パネル部21を形成し(図3(b)参照)、次いでカウンタシンク部22を形成する絞り加工行った(図3(c)参照)。そして、204径シェル20に形成されるリップハイト25を測定した(図2参照)。
「リップハイト分布」
リップハイトの測定にあたっては、まず、圧延方向に対して0°、45°、90°、135°180°、225°270°、315°という8点の位置にあるリップハイトを測定し、その最大値と最小値を調べた。最大値と最小値との差が0.1mm以下の場合を「○」として判定し、0.1mmを超えた場合を「×」として判定した。その結果を後述の表2に示す。
次に、カーラーを用いてシェル20(204径シェル20)の外周部26を内側にカーリングさせ(図4(a)参照)、コンパウンドライナーを用いて、カーリングさせたシェル2の外周部26の内側に巻締め密封用の合成ゴム系のシーリングコンパウンド27を塗布した(図4(b)参照)。次いで、図4(c)に示すごとく、コンバージョンプレスにて、シェル2にスコア成形、リベット成形を行い、別成形により作製したタブ28をリベット部29で取り付けた。スコアは、等間隔に10点測定したスコアレシデュアルの平均が70μmとなるように成形した。このようにして缶エンド2(蓋2)を作製した。
次いで、内容物(ビール)を充填した缶ボディと缶エンドとを巻締めて、内容物を含んだ缶製品を作製した。
「落下強度」
上記のようにして作製した缶製品を、その缶底を鉛直方向下向きに向けて、2mの高さから落下させた。20缶の缶製品を落下させたときに、スコア開口が1缶でも認められた場合を「×」として判定し、スコア開口が全く認められなかった場合を「○」として判定した。その結果を後述の表2に示す。
「耐圧」
また、上記のようにして作製した缶エンドを缶ボディに巻締め、空圧にて内圧を20kPa/sの昇圧速度にて上昇させ、缶エンドがバックリングしたときの内圧を耐圧として記録した。このバックリング試験を20回行って、1回でも耐圧が539kPaを下回ったものを「×」として判定し、すべて539kPa以上であったものを「○」として判定した。その結果を後述の表2に示す。
「バックリング亀裂」
また、上記のようにして作製した缶エンドを缶ボディに巻締め、空圧にて内圧を20kPa/sの昇圧速度にて上昇させ、缶エンドがバックリングしたときに亀裂が発生するかを観察した。このバックリング亀裂試験を20回行い、1回でも亀裂が発生したものを「×」として判定し、1回も亀裂が発生しなかったものを「○」として判定した。その結果を表2に示す。
Figure 0005432642
表2より知られるごとく、中間焼鈍を行って作製した試料X24は、製造上の不具合もなく製造でき、リップハイト分布のバラツキもなく、十分な落下強度及び耐圧を示し、バックリング亀裂の発生もなかった。しかし、試料X24は、中間焼鈍を行って作製しているため、製造コストが高く、製造時の環境負荷が大きいという問題を生じる。
これに対し、試料X1〜X23は、中間焼鈍を行うことなく作製しているため、製造コストを低減できるとともに、製造時の環境負荷を低減させることができる。
また、中間焼鈍を行わずに作製したアルミニウム合金板(試料X1〜試料X23)は、結晶粒の長さ/幅比が20以上という大きな値を示した。一方、中間焼鈍を行って作製したアルミニウム合金板(試料X24)は、結晶粒の長さ/幅比が20未満(具体的には8.9)という比較的小さな値を示した。
また、表2より知られるごとく、中間焼鈍を行わずに作製した各試料(試料X1〜試料X23)のうち、試料X1〜X4、試料X6〜X9、試料X11〜X13、試料X15,試料X19、及び試料X21〜X23は、製造上の不具合を発生することなく製造することができた。
これに対し、試料X5、試料X10、及び試料X16〜X18は、それぞれFe量、Si量、及びMn量が多すぎて、冷間圧延工程の途中で板端部に微小な耳割れが発生した。そのため、その後の冷間圧延を低速で行わざるを得ず、生産性が著しく低下したため、工業製品の製造に適用することは困難であった。
また、試料X14及び試料X20は、Mg量が多すぎて、粗熱間圧延工程の途中で板端部に耳割れが発生した。そのため、熱間圧延終了後、かつ冷間圧延開始前に、板端部を切り落とすトリミング幅を大きく取らざるを得なくなった。したがって、所定の製品幅を確保するために、予め鋳造時にトリミング幅の増加分だけ幅広の鋳塊を造塊しなければならず、歩留まりが低下してしまうこととなり、工業製品としての製造が困難であった。
また、中間焼鈍を行わずに作製した各試料のうち、試料X2〜X5、試料X7〜X10、試料X12〜X21、及び試料X23は、圧延方向に対して0°、45°、及び90°のいずれの方向に引張試験を実施しても350MPa以上という高い引張強度を示した。その結果、陽圧缶用の缶エンド用アルミニウム合金板として十分な耐圧を示した(表2参照)。
これに対し、試料X1、試料X6、試料X11、及び試料X22は、Mn量に比べてMg量が少なく、[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0という関係式を満足していない(表1参照)。その結果、表2に示すごとく、引張強度が不十分であり、陽圧缶用の缶エンド用アルミニウム合金板としての耐圧が不十分であった。
また、表2より知られるごとく、中間焼鈍を行わずに作製した各試料のうち、試料X4、試料X5、試料X7、試料X9〜試料X12、試料X14、試料X15、試料X18〜試料X23は、耳率(A)が5〜7%の範囲内にあり、耳率(B)が6〜9%の範囲内にあり、さらに耳率(A)と耳率(B)とが、15.6≦1.33×(A)+(B)≦16.6という関係を満足している。そのため、中間焼鈍省略材である各試料を中間焼鈍材用のブランク金型を用いて成形を行った場合においても、中間焼鈍材である試料X24と同様に、リップハイト分布の小さな缶エンドが得られる缶エンド材を製造することができた。
これに対し、試料X1〜X3、試料X6、試料X8、試料X13、試料X16、及び試料X17は、化学成分が適切でなく、リップハイト分布のバラツキが大きくなっていた。なお、試料X24は中間焼鈍を施して作製したため、本発明において規定する耳率範囲から外れていたが、金型が適合しているためリップハイト分布のバラツキは小さかった。
また、中間焼鈍を行わずに作製した各試料のうち、試料X1〜試料X4、試料X6〜試料X9、試料X11〜試料X15、及び試料X19〜X23は、良好な落下強度を示したが、Fe量及びSi量がそれぞれ多い試料X5及び試料X10、Mn量が多い試料X16〜X18は、落下強度が不十分であった。
さらに、中間焼鈍を行わずに作製した各試料のうち、試料X1〜試料X4、試料X6〜試料X9、試料X11〜試料X15、及び試料X19〜X23は、バックリング亀裂が発生しなかったが、Fe量、Si量、及びMn量がそれぞれ多い試料X5、試料X10、及び試料X16〜18は、バックリング亀裂が発生した。
このように、本例によれば、Si:0.04〜0.30%(質量%、以下同様)、Fe:0.12〜0.40%、Cu、Cr、Zn:いずれも0.14%以下、Mn:0.25〜0.50%、Mg:4.1〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムからなり、[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0([Mg]及び[Mn]はそれぞれMg含有量(%)及びMn含有量(%))という関係を満足する組成を有し、0°−180°耳率(A)が5.0〜7.0%であり、45°耳率(B)が6.0〜9.0%であり、上記(A)と上記(B)との関係が、15.6≦1.33×(A)+(B)≦16.6であり、圧延方向に対して0°、45°、90°の角度をなす方向に引張試験をしたときの引張強さがいずれの方向についても350MPa以上である缶エンド用アルミニウム合金板(試料X4、試料X7、試料X9、試料X12、試料X15、試料X19、試料X21、及び試料X23)は、高強度でかつ靱性に優れ、中間焼鈍を省略しても中間焼鈍用の金型を変えることなく製蓋に適した異方性に制御できたことがわかる。
(実施例2)
本例においては、缶エンド用アルミニウム合金板の製造条件を変えてこれを作製し、その特性を評価する。
本例においては、下記の表3に示す化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊(合金試料M24〜M26)を用い、下記の表4に示す製造条件により、20種類の缶エンド用アルミニウム合金板(試料X25〜X44)を作製した。各試料(試料X25〜X44)は表4に示す製造条件を適用した点を除いては実施例1と同様にして作製した。なお、各試料のうち、試料X42のみは、実施例1の上記試料X24と同様に、冷間圧延により板厚0.65mmの冷間圧延板を得て、連続焼鈍炉により、温度450℃で中間焼鈍を実施した後、再度冷間圧延により厚み0.21mmに圧延して得られた缶エンド用アルミニウム合金板(試料X42)である。各試料について、実施例1と同様に、製造上の不具合の有無、引張強さ、耳率の判定、結晶粒の長さ/幅比、リップハイト分布、落下強度、耐圧、バックリング亀裂の発生の有無を調べた。その結果を表5に示す。
Figure 0005432642
Figure 0005432642
Figure 0005432642
表3〜表5より知られるごとく、本発明の実施例にかかる試料X25、試料X33、及び試料X40は、いずれも製造上の不具合なく、また、規定の範囲内に耳率が制御され、リップハイト分布が小さく、陽圧用の缶エンドに必要な強度を有し、バックリング亀裂の発生もなかった。
これに対し、均質化熱処理時の昇温速度を小さくして作製した試料X26(表4参照)は、45°耳率(B)が高くなりすぎて、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
また、均質化熱処理時の昇温速度を大きくして作製した試料X34(表4参照)は、0°−180°耳率(A)及び45°耳率(B)のそれぞれの値については本発明の規定の範囲内に制御できたものの、両者の関係が規定の範囲内を満たさなかった。その結果、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
均質化熱処理時の保持温度を高くし、それに伴って粗熱間圧延時の最高温度が高くなりすぎた試料X27(表4参照)は、粗熱間圧延時に板面が荒れてしまい、製品板に筋状の欠陥が生じていた(表5参照)。また、表5に示すごとく、試料X27においては、上記耳率(A)及び上記耳率(B)のそれぞれの値は規定の範囲内に制御できたものの、両者の関係が規定の範囲内を満たさなかった。その結果、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
また、均質化熱処理時の保持温度を低くし、それに伴って粗熱間圧延時の最低温度が低くなりすぎた試料X28(表4参照)は、耳率(A)が低くなりすぎ、耳率(B)が高くなりすぎていた(表5参照)。その結果、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
また、板厚を薄くしすぎた試料X41は、均質化熱処理時の保持温度が規定範囲内ながら若干低めであったため(表4参照)、表5に示すごとく、耐圧が不十分であり、またバックリング亀裂が発生した。
均質化熱処理の保持時間を長くして作製した試料X35及び均質化熱処理の保持時間を短くして作製した試料X36は(表4参照)、上記耳率(A)が高くなりすぎ、また上記耳率(B)が小さくなりすぎていた(表5参照)。その結果、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。また、試料X35は、耐圧も不十分であった。
また、板厚を薄くしすぎた試料X37は、均質化熱処理時の保持温度が規定範囲内ながら若干低めであったため(表4参照)、表5に示すごとく、耐圧が不十分であり、またバックリング亀裂が発生した。
粗熱間圧延時のパスごとの圧延率の最低値を低くして作製した試料X29は、粗熱間圧延中に材料温度が低下した(表4参照)。その結果、上記耳率(A)が低くなりすぎ、さらに上記耳率(B)が高くなりすぎていた(表5参照)。そのため、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
また、粗熱間圧延時のパスごとの圧延率の最高値を大きくして作製した試料X30は、粗熱間圧延時の最高温度が高くなりすぎていた(表4参照)。その結果、表5に示すごとく、粗熱間圧延時に板面が荒れてしまい、製品板に筋状の欠陥が生じた。
また、粗熱間圧延時の材料温度を低くして作製した試料X31及び粗熱間圧延時の圧延時間を長くして作製した試料X32(表4参照)は、上記耳率(A)が低く、上記耳率(B)が高くなりすぎていた(表5参照)。その結果、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
仕上げ熱間圧延時の終了温度を低くして作製した試料X38、及び冷却・保持工程における冷却速度を大きくして作製した試料X39(表4参照)は、熱間圧延板の再結晶組織を得ることができず、上記耳率(A)が低く、上記耳率(B)が高くなりすぎていた(表5参照)。その結果、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。また、試料X38及び試料X39においては、冷間圧延工程の途中で、板端部に微小な耳割れが発生した。そのため、その後の冷間圧延を低速で行わざるを得ず、生産性が著しく低下したため、工業製品の製造に適用することは困難であった。さらに試料X38及び試料X39は、バックリング亀裂も発生した。
中間焼鈍を実施して作製した試料X42は、表5に示すごとく、結晶粒の長さ/幅比が20未満であった。また、上記耳率(A)及び上記耳率(B)が低くなりすぎていたが、金型が適合しているためリップハイト分布のバラツキは小さかった。また、試料X42においては、板厚を薄くしすぎたため耐圧が不十分であった。
冷間圧延時の圧延率を高くして作製した試料X43(表4参照)は、上記耳率(A)及び上記耳率(B)のそれぞれの値は規定の範囲内に制御できたものの、両者の関係が規定の範囲内を満たさなかった(表5参照)。その結果、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。そして、試料X43は、引張強さが高くなりすぎたため、耐圧が不十分であり、またバックリング亀裂が発生した。また、試料X43においては、冷間圧延工程の途中で、板端部に微小な耳割れが発生した。そのため、冷間圧延工程の途中で耳切工程を2回以上追加せざるを得ず、生産性が著しく低下するため、工業製品の製造に適用することは困難であった。
また、冷間圧延率を低くして作製した試料X44(表4参照)は、上記耳率(A)が高くなりすぎ、また上記耳率(B)が低くなりすぎていた(表5参照)。その結果、表5に示すごとく、リップハイト分布のバラツキが大きくなった。
このように、本例によれば、上記第2の発明において規定する上記均質化熱処理工程、上記粗熱間圧延工程、上記仕上げ熱間圧延工程、上記冷却・保持工程、及び上記冷間圧延工程を行うことにより、例えば陽圧缶用に適した、優れた特性を有する缶エンド用アルミニウム合金板を製造できることがわかる。
1 ブランク
2 缶エンド
20 シェル
25 リップハイト

Claims (3)

  1. ブランクを打ち抜いて該ブランクに成形を施して缶エンドを製造するために用いられ、熱間圧延後に中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を施して作製してなる缶エンド用アルミニウム合金板であって、
    Si:0.04〜0.30%(質量%、以下同様)、Fe:0.12〜0.40%、Cu、Cr、Zn:いずれも0.14%以下、Ti:0.10%以下、Mn:0.25〜0.50%、Mg:4.1〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムからなり、[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0([Mg]及び[Mn]はそれぞれMg含有量(%)及びMn含有量(%))という関係を満足する組成を有し、
    板厚が0.215〜0.25mmであり、
    0°−180°耳率(A)が5.0〜7.0%であり、45°耳率(B)が6.0〜9.0%であり、
    上記(A)と上記(B)との関係が、15.6≦1.33×(A)+(B)≦16.6であり、
    圧延方向に対して0°、45°、90°の角度をなす方向に引張試験をしたときの引張強さがいずれの方向についても350MPa以上であることを特徴とする缶エンド用アルミニウム合金板。(ただし、耳率は、上記缶エンド用アルミニウム合金板を直径55mmで切り抜いて試験用のブランクを作製し、該ブランクを絞り比1.67でカップ状に成形したときにカップの開口部に生じる耳の耳率であり、耳率(%)=100×{(山高さの平均)−(圧延方向に対して90°及び270°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さの平均)}/[{(山高さの平均+(圧延方向に対して90°及び270°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さの平均))}/2]という式で定義する。なお、山高さは、0°−180°耳率(A)においては圧延方向に対して0°及び180°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さであり、45°耳率においては圧延方向に対して45°、135°、225°、及び315°の角度をなす位置におけるカップ壁の高さである。)
  2. 請求項1において、上記缶エンド用アルミニウム合金板は、真円形状のブランクに比べて、圧延方向に対して45°、135°、225°、及び315°の角度をなす方向の半径が小さく、圧延方向に対して0°、90°、180°、及び270°の角度をなす方向の半径が大きくなる形状の上記ブランクに適用することを特徴とする缶エンド用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1又は2に記載の缶エンド用アルミニウム合金板の製造方法において、
    Si:0.04〜0.30%(質量%、以下同様)、Fe:0.12〜0.40%、Cu、Cr、Zn:いずれも0.14%以下、Ti:0.10%以下、Mn:0.25〜0.50%、Mg:4.1〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムからなり、かつ[Mg]≧−1.96×[Mn]+5.0([Mg]及び[Mn]はそれぞれMg含有量(%)及びMn含有量(%))という関係を満足する組成のアルミニウム合金鋳塊を準備し、少なくとも温度域400〜460℃における昇温速度が30℃/h以上となるように上記アルミニウム合金鋳塊を加熱し、保持温度460〜540℃で2〜24h保持する均質化熱処理工程と、
    該均質化熱処理工程後の上記アルミニウム合金鋳塊を、パスごとの圧延率5〜35%、温度460〜540℃で15分以内に終了するように圧延して粗熱間圧延板を得る粗熱間圧延工程と、
    終了温度が300〜370℃となるように上記粗熱間圧延板をさらに圧延して熱間圧延板を得る仕上げ熱間圧延工程と、
    上記仕上げ熱間圧延工程における圧延直後の上記熱間圧延板を冷却速度20℃/h以下で冷却するか、あるいは上記熱間圧延板を温度300℃以上で1時間以上に保持する冷却・保持工程と、
    該冷却・保持工程後の上記熱間圧延板を、焼鈍することなく、圧延率86〜93%となるように冷間圧延する冷間圧延工程とを有することを特徴とする缶エンド用アルミニウム合金板の製造方法。
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