JP5430059B2 - 粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法、その方法によって得られた粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤、及びそれを用いた硬化性エポキシ樹脂用組成物 - Google Patents
粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法、その方法によって得られた粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤、及びそれを用いた硬化性エポキシ樹脂用組成物 Download PDFInfo
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しかしながら、例えば、ジシアンジアミド、メラミン、グアナミン類をエポキシ樹脂と混合した場合には、貯蔵安定性には優れているものの、150℃以上の高温で長時間加熱するという硬化条件を必要とするという欠点がある。これに対し、これらの潜在性硬化剤と硬化促進剤を併用して、硬化時間を短縮することも広く行われているが、この場合には、貯蔵安定性が著しく損なわれることが知られている。
一方、二塩基酸ジヒドラジドやイミダゾール類を使用した場合には、比較的低温で硬化するものの貯蔵安定性に乏しく、三フッ化ホウ素アミン錯塩を使用した場合には、貯蔵安定性に優れ硬化時間は短いという長所があるものの、耐水性に劣ると共に金属に対する腐食性を持つ等の問題がある。
本発明の第2の目的は、保存安定性に優れると共に加熱硬化性にも優れた粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を提供することにある。
本発明の第3の目的は、高い耐熱性、優れた接着性及び電気特性を有する硬化物を与える、硬化性エポキシ樹脂用組成物を提供することにある。
(A)溶媒(a1)中において、アミン化合物(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを加熱反応させる工程、
(B)溶媒(a1)を除去して、アミン化合物(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを反応させて得られた固形物(b1)を取り出す工程、
(C)固形物(b1)を粉砕して体積平均粒径0.1〜10μmの微粉末(c1)を得る工程、
(D)エポキシ樹脂(d1)に水を加えて均一にした後、前記微粉末(c1)を添加して均一な混合物(d2)を得る工程、
(E)混合物(d2)にポリイソシアネート(e1)を、NCOの赤外吸収によって、前記ポリイソシアネート(e1)の消失が確認されるまで反応させて反応物(e2)を得る工程、及び、
(F)反応物(e2)に非極性溶媒(f1)を添加・混合した後、ろ過及び乾燥して、粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得る工程。
これらの溶媒の中でも、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の非極性溶剤を単独で使用すること、或は、反応性の向上を図るため、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の非極性溶剤と、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類との混合溶剤として使用することが好ましい。
これらのエポキシ樹脂の中でも、より優れた性能の粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤が得られるため、液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することが、好ましい。
このようにして固形物(b1)を粉砕して得られる微粉末(c1)の体積平均粒径は、より優れた性能の粉末状エポキシ樹脂潜在性硬化剤を得るという観点から、0.1〜10μmであることが好ましい。なお、本発明における体積平均粒径は、日機装株式会社製マイクロトラックMT3300で測定した体積平均粒子径である。
より優れた性能の粉末状エポキシ樹脂潜在性硬化剤を得るという観点から、これらのエポキシ樹脂の中でも、液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
工程(E)における反応が十分に行われるという観点から、これらのポリイソシアネートの中でも、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
なお、本工程(E)においては、NCOの赤外吸収をチェックし、ポリイソシアネート(e1)の消失が確認されるまで反応させる。
本工程(F)において、上記非極性溶媒(f1)を添加・混合した後、ろ過及び乾燥することにより、本発明の粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得ることができる。
上記したアミン化合物(a2')としては、アミン化合物(a2)で例示した化合物等が挙げられる。
また上記したブロック化イソシアネート(a4)は、ポリイソシアネート(e4)で例示した化合物等を、下記に例示するようなブロック化剤でブロック化したものが挙げられる。
上記ブロックイソシアネートを得るためのブロック化反応は、公知の反応方法により行われる。ブロック化剤の添加量は、遊離のイソシアネート基に対し、通常、1当量以上2当量以下であり、1.05〜1.5当量であることが好ましい。
また、これらのエポキシ樹脂は末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの或は多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものでもよい。
これらの溶剤としては、前記した溶媒(a1)及び(f1)の他、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;テレピン油、D-リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))などの高沸点パラフィン系溶剤などが挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば、トリメチルアミン、エチルジメチルアミン、プロピルジメチルアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8-ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン-1(DBU)、ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-10)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)などの第三アミン類;フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、t-ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾールなどのフェノール類;p-トルエンスルホン酸、チオシアン酸の1-アミノピロリジン塩(大塚化学(株)製;NR-S)などが挙げられる。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)133.1gに、水1.6gを加えて均一に混合した後、得られた前記微粉末60gを添加し、更に均一に混合した。次に、トリレンジイソシアネート(TDI)8.1gを加えて、40-50℃で2時間反応させた後、IRによりNCOの吸収が無くなったことを確認した。次いでトルエン500gを添加・混合し、濾過・乾燥した後、体積平均粒径4μmの粉末(本発明品1)を得た。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)133.1gに、水1.6gを加えて均一に混合した後、得られた前記微粉末60gを添加し、更に均一に混合した。次に、トリレンジイソシアネート(TDI)8.1gを加えて、40-50℃で2時間反応させた後、IRによりNCOの吸収が無くなったことを確認した。次いでトルエン500gを添加・混合し、濾過・乾燥した後、体積平均粒径が4μmの粉末(本発明品2)を得た。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)133.1gに、水1.6gを加えて均一に混合した後、得られた前記微粉末60gを添加して、更に均一に混合した。次に、トリレンジイソシアネート(TDI)8.1gを加え、40-50℃で2時間反応させた後、IRによりNCOの吸収が無くなったことを確認した。次いでトルエン500gを添加・混合し、濾過・乾燥した後、体積平均粒径が3μmの粉末(本発明品3)を得た。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)133.1gに、水1.6gを加えて均一に混合した後、得られた前記微粉末60gを添加し、更に均一に混合した。次に、トリレンジイソシアネート(TDI)8.1gを加え、40-50℃で2時間反応させた後、IRによりNCOの吸収が無くなったことを確認した。次いでトルエン500gを添加・混合し、濾過・乾燥した後、体積平均粒径が5μmの粉末(本発明品4)を得た。
キシレン100g及びイソプロピルアルコール100gの混合溶液中に2-メチルイミダゾール82gを溶解した後、60-100℃でアデカレジンEP-4100E((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量190)を190g添加して、熟成及び反応させた。更に、180℃まで加熱してキシレンとイソプロピルアルコールを除去し、融点95℃の固形物を得た。得られた固形物を粉砕し、体積平均粒径2μmの微粉末(比較品1)を得た。
キシレン100g及びイソプロピルアルコール100gの混合溶液中に、2-メチルイミダゾール82gを溶解した後、60-100℃でアデカレジンEP-4100E((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量190)を190g添加し、熟成及び反応させた。更に、180℃まで加熱してキシレンとイソプロピルアルコールを除去し、融点95℃の固形物を得た。得られた固形物を粉砕し、体積平均粒径2μmの微粉末を得た。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)133.1gに、水1.6gを加えて均一に混合した後、得られた前記微粉末(f-1)60gを添加し、更に均一に混合した。次に、トリレンジイソシアネート(TDI)8.1gを加えて、40-50℃で2時間反応させた後、IRによりNCOの吸収が無くなったことを確認し、比較品2を得た。
上記実施例1〜4及び比較例1−2によって得られたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤(本発明品、比較品)を用いて、以下の評価試験を実施した。なお、増粘率(%)は、BM型回転粘度計を用いて測定した粘度に基づいて算出した。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)100質量部に、上記で得られたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤20質量部を混合し、40℃で保存して1日後、3日後及び7日後の増粘率(%)を評価した。尚、比較例5-2については、アデカレジンEP-4901E 40質量部、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤80質量部を用いた。
その結果を〔表1〕に示す。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)100質量部に、上記で得られたポキシ樹脂用潜在性硬化剤20質量部及びトルエンを混合し、40℃で保存して6時間後の増粘率(%)を評価した。尚、比較例6-2については、アデカレジンEP-4901E 40質量部、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤80質量部を用いた。
その結果をそれぞれ〔表2〕に示す。
トルエンの代わりに酢酸エチルを用いたこと以外は、実施例6と同様にして増粘率(%)を評価した。その結果を、それぞれ〔表3〕に示す。
アデカレジンEP-4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)100質量部に、上記で得られたポキシ樹脂用潜在性硬化剤20質量部を混合し、150℃及び180℃で加熱して完全硬化するまでの時間(秒)を測定した。尚、比較例8-2については、アデカレジンEP-4901E 40質量部、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤80質量部を用いた。
その結果をそれぞれ〔表4〕に示す。
これに対し、ポリアミンエポキシアダクトを粉砕して得られる微粉末をポリイソシアネートで表面処理し、更に非極性溶剤で洗浄して得られる粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤(本発明品1〜4)は、貯蔵安定性及び溶剤安定性が著しく改善されただけでなく、硬化性にも優れることが実証された。
Claims (12)
- 下記(A)〜(F)の工程を有することを特徴とする、粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法;
(A)溶媒(a1)中において、アミン化合物(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを加熱反応させる工程、
(B)溶媒(a1)を除去して、アミン化合物(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを反応させて得られた固形物(b1)を取り出す工程、
(C)固形物(b1)を粉砕して体積平均粒径0.1〜10μmの微粉末(c1)を得る工程、
(D)エポキシ樹脂(d1)に水を加えて均一にした後、前記微粉末(c1)を添加して均一な混合物(d2)を得る工程、
(E)混合物(d2)にポリイソシアネート(e1)を、NCOの赤外吸収によって、前記ポリイソシアネート(e1)の消失が確認されるまで反応させて反応物(e2)を得る工程、及び、
(F)反応物(e2)に非極性溶媒(f1)を添加・混合した後、ろ過及び乾燥して、粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得る工程。 - 前記溶媒(a1)が、非極性溶媒又はアルコール類若しくはこれらの混合物である、請求項1に記載された、粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記(a1)に使用される非極性溶媒が、トルエン、キシレン、エチルベンゼンから選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記(a1)に使用されるアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールの中から選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記アミン化合物(a2)が、一つ以上の1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアミン化合物である、請求項1〜4の何れかに記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記エポキシ樹脂(a3)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1〜5の何れかに記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記エポキシ樹脂(d1)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1〜6の何れかに記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記ポリイソシアネート(e1)が芳香族ポリイソシアネートである、請求項1〜7の何れかに記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記非極性溶媒(f1)が、芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜8の何れかに記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記工程(A)において、アミン化合物(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを反応させた後に、更に追加のアミン化合物(a2')とブロック化イソシアネート(a4)とを添加して加熱反応させる、請求項1〜9の何れかに記載された粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の製造方法。
- 前記請求項1〜10の何れかに記載された方法によって得られたことを特徴とする、粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
- ポリエポキシ化合物と、前記請求項1〜10の何れかに記載された方法によって得られた粉末状エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を含有してなることを特徴とする、硬化性エポキシ樹脂組成物。
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