JP5428868B2 - 光学用易接着性ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光学欠点が少なく高い透明性を有し、密着性と耐湿熱性に優れた光学用易接着性ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、ディスプレイなどに主として用いられる、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、光拡散シート、プリズム状レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム、防眩フィルムなどの光学機能性フィルムの基材として好適な光学用易接着性ポリエステルフィルムに関する。
一般に、液晶ディスプレイ(LCD)の部材として用いられる光学機能性フィルムの基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリオレフィン等からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムが用いられている。
前記の熱可塑性樹脂フィルムを各種光学機能性フィルムの基材として用いる場合には、各種用途に応じた機能層が積層される。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)では、表面の傷つきを防止する保護膜(ハードコート層)、外光の映り込みを防止する反射防止層(AR層)、光の集光や拡散に用いられるプリズム層、輝度を向上する光拡散層等の機能層が挙げられる。このような基材の中でも、特に、ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性に優れ、比較的安価であるため各種光学機能性フィルムの基材として広く使用されている。
一般に、二軸配向ポリエステルフィルムや二軸配向ポリアミドフィルムのような二軸配向熱可塑性フィルムの場合、フィルム表面は高度に結晶配向しているため、各種塗料、接着剤、インキなどとの密着性が乏しいという欠点がある。このため、従来から二軸配向熱可塑性樹脂フィルム表面に種々の方法で易接着性を付与する方法が提案されてきた。
例えば、基材の熱可塑性樹脂フィルムの表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂を被覆層の主たる構成成分とする塗布層を設けることにより、基材フィルムに易接着性を付与する方法が一般的に知られている。この塗布法の中でも、結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに、前記樹脂の溶液または樹脂を分散媒で分散させた分散体を含有する水性塗布液を基材フィルムに塗工し、乾燥後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を施して、熱可塑性樹脂フィルムの配向を完了させる方法(いわゆる、インラインコート法)や、熱可塑性樹脂フィルムの製造後、該フィルムに水系または溶剤系の塗布液を塗布後、乾燥する方法(いわゆる、オフラインコート法)が工業的に実施されている。
LCD、PDP等のディスプレイや、ハードコートフィルムを部材とする携帯用機器などは、屋内、屋外を問わず種々の環境で用いられる。特に、携帯用機器では、浴室、高温多湿地域などにも耐えうる耐湿熱性が要求される場合がある。このような用途に使用される光学機能性フィルムでは、高温高湿下でも層間剥離がおきないような高い密着性が求められる。そのため下記特許文献では、塗布液に架橋剤を添加し、インラインコート法による塗布層形成時に塗布層樹脂中に架橋構造を形成させることで、耐湿熱性を付与した易接着性熱可塑性樹脂フィルムが開示されている。
特開2000−141574号公報 特許第3737738号公報 特許第3900191号公報 特開2007−253512号公報
地球環境負荷の低減のためディスプレイを有する家電製品などで、従来以上の長寿命化が期待されている。そのため、部材として用いられる光学機能性フィルムにおいても、高温高湿下でも長期間、密着性を保持することが必要であると考えられた。しかしながら、上記特許文献に開示されるような易接着性フィルムは、当初は良好な密着性を示すものの、高温高湿下の長期間の使用においては密着強度の低下は避けられないものであった。このような密着性の低下のため、初期性能が長期間維持しないという問題があった。
加えて、ディスプレイの高精細化は飛躍的に進展しており、従来問題とされない程度の微小なキズ、異物が光学欠点として認識されるようになってきている。また、生産性の向上から、加工工程や製膜工程におけるライン速度が飛躍的に向上しており、高速加工条件下においても光学欠点の低減が必要となってきている。このように、将来きたるべき高精細化および生産性の向上に対応しうるような、光学欠点が少ない、高品位な易接着性フィルムが求められている。
本発明は上記課題に鑑み、光学欠点が少なく高い透明性を有し、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下での塗布層の劣化、換言すれば高温高湿下における密着性の低下をほとんど引き起こさない光学用易接着性ポリエステルフィルムを提供するものである。
なお、本発明で言う高温高湿下での密着性とは光硬化型アクリル層を積層した後80℃、95%RH、48時間の環境下に置き、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷を光硬化型アクリル層面につけ次いで、セロハン粘着テープをマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させ、同一箇所を、勢いよく5回引きはがした時の密着性を意味し、一般に用いられるJIS K5600−5−6記載の評価方法より厳しい判定基準における密着性であり、本発明は、このような高温高湿下での密着性が初期に示す密着性と同等もしくはそれ以上の密着性を示すことが課題である。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の分子量を有するポリエステル樹脂とオキサゾリン基を有する樹脂を含む塗布層を用い更に特定の層構成を有する基材フィルムを用いることにより、光学欠点が少なく高透明性を維持しながら、高温高湿下で密着性が向上するという従来の技術常識を覆す事実を見出た。上記特許文献にもあるように、これまでの技術常識では塗布層の密着性を向上させるために、架橋剤とそれに反応しうる官能基を有する樹脂と混合し、塗布層形成時に高度に架橋構造を形成させることが望ましいと考えられてきた。しかしながら、本発明は、オキサゾリン基と反応する官能基であるカルボン酸基を実質的に有さないポリエステル樹脂を用いることで、高温高湿下で密着性が向上するという、従来技術に反する新しい技術思想に基づく光学用易接着フィルムである。
前記の課題は、以下の解決手段により達成することができる。(1)基材フィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性ポリエステルフィルムであって、前記基材フィルムが、共押出法により3層以上の積層構成を有し、両最外層に不活性粒子を含有する、ヘイズが2.5%以下のポリエステルフィルムであり、前記塗布層が、数平均分子量15000以上であって実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とする、光学用易接着性ポリエステルフィルム。
(2)前記最外層に含有する不活性粒子の平均粒径が2.1〜2.5μmであり、前記最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径以上であり、前記最外層表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.008〜0.015μmであり、十点平均粗さ(SRz)が0.5〜1.5μmである前記光学用易接着ポリエステルフィルム。
(3)前記オキサゾリン基を有する樹脂が水溶性である前記光学用易接着性ポリエステルフィルム。
(4)前記最外層中の不活性粒子が細孔容積1.5〜2.0ml/gの不定形塊状シリカであり、前記最外層中の不活性粒子含有量が0.015〜0.030質量%である前記光学用易接着性ポリエステルフィルム。
(5)前記光学用易接着性ポリエステルフィルムの前記塗布層に、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される少なくとも1層の光学機能層を積層してなる光学用積層ポリエステルフィルム。
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムは光学欠点が少なく高透明性を維持しながら、光学機能層との高温高湿下での密着性(耐湿熱性)に優れる。そのため、好ましい実施態様としては、上記高温、高湿処理での密着性が、当初の密着性と同等、もしくは向上する。本発明の好ましい実施態様としては、本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムをレンズシートの基材として用いた場合、高温高湿下でのレンズ層との密着性が良好である。
(ポリエステルフィルム)
本発明で基材を構成するポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したポリエステル樹脂などを用いることができる。
本発明で好適に用いられるポリエステル樹脂は、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする。これらのポリエステル樹脂の中でも、物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。また、これらのポリエステルフィルムは二軸延伸することで耐薬品性、耐熱性、機械的強度などを向上させることができる。
本発明のフィルムを光学用部材のベースフィルムに用いる際には高い透明性が求められる。そのため、本発明の基材フィルムのヘイズ値が2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下であり、さらに好ましくは1.5%以下である。基材フィルムのヘイズ値が前記上限を超える場合は、光学用途に求められる高い透明性を奏しないばかりか、不活性粒子の粉落ちによる光学欠点が生じやすくなる。
上記高い透明性と優れた加工性とを両立させるために、本発明のフィルムは、共押出法により3層以上の積層構成であって、両最外層に不活性粒子を含有する。これにより最外層表面に凹凸形状を付与することが可能となり、フィルム加工による加工性(滑り性)が良好になる。本発明の積層構成としては、例えば、最外層をB層、他の層をA層、C層とすると、フィルム厚み方向の層構成は、B/A/B、B/A/C/B、あるいはB/A/C/A/B等の構成が考えられる。A〜C層の各層は、それぞれポリエステル樹脂の構成は同じであっても良いし、異なっていても良いが、バイメタル構成によるカールの発生を抑制する為には、各層のポリエステル樹脂を同構成にする、および/もしくは、B/A/B構成(2種3層構成)とすることが好ましい。
本発明では、最外層以外の中心層(例えば、B/A/B構成ではA層)を構成するポリエステル樹脂は、粒子を含有しても良いが、高い透明性を得る為には中心層を構成するポリエステル樹脂は実質的に粒子を含有しないことが好ましい。最外層にのみ不活性粒子を含有させることで、より好適に高い透明性を得ることが出来る。最外層以外の中心層に粒子を添加する場合、50ppm以下、好ましくは10ppm以下であることが好ましい。
最外層に含まれる不活性粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、不定形シリカ、球状シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカ−アルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどの無機粒子や、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などの耐熱性高分子微粒子が挙げられる。なかでも、シリカはポリエステルと屈折率が比較的近いため、より透明性に優れたフィルムを確保し得る点で最も好適である。
本発明のフィルムの最外層に含まれる不活性粒子の平均粒径は2.1〜2.5μmであることが好ましく、更に好ましくは2.2〜2.4μmである。不活性粒子の平均粒径が2.1μm未満だと粒子の凝集力が非常に大きく、粒子の凝集による粗大な異常粒子が発生しやすくなり好ましくない。この場合、凝集粒子が要因となってフィルム表面に長径20μm以上の光学欠点が生じる場合がある。さらに、後述するような表面形状を構成するためには、不活性粒子の平均粒径は2.1μm以上であることが望ましい。また、平均粒径が2.5μm以上だと、粒子単体としての粗大粒子の含有量が多くなり好ましくない。この場合、粗大粒子が要因となってフィルム表面に長径20μm以上の光学欠点が生じる場合がある。光学欠点の要因となる粗大粒子を極限まで低減させるため、このように特定の非常に狭い範囲の粒子を用いることが望ましい。
ここでいう不活性粒子の平均粒径の範囲は、後述する測定方法により測定したものである。なお、例えば後述するような、一次粒子が凝集した二次粒子の場合は、当該二次粒子の平均粒径をいう。つまり、ここでの不活性粒子の平均粒径とは、フィルム内において実際に不活性粒子として存在しうる態様での平均粒径である。
不活性粒子の粉落ちによる光学欠点の発生を抑制するために、最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径以上であることが好ましい。また、最外層中の不活性粒子の含有量は、0.015〜0.03質量%であることが望ましく、更に好ましくは0.02〜0.025質量%である。不活性粒子の含有量が0.015質量%以上の場合は、微小キズを低減する程度の有効な滑り性を奏する上で好ましい。不活性粒子の含有量が0.03質量%以下の場合は、高透明性を保持する上で好ましい。
本発明では、更に加工工程や製膜工程で発生する粉落ちなどによる光学欠点を抑制しながら高透明性を維持する為に、不活性粒子含有層の厚みと不活性粒子の粒子径を特定の範囲とすることで、特定の突起の直径と突起の高さの比を有する表面突起を制御することが可能となる。
具体的には、両最外層は平均粒径2.1〜2.5μmの不活性粒子を含有し、かつ最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上11倍未満であり、最外層表面における原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である表面突起の数の割合が30%以下とすることでより好適に光学欠点に少ないフィルムを得ることが可能となる。
すなわち、表面凹凸の付与による加工適性の向上に加えて、高速加工により生じる粉落ちの低減を如何に両立すべきかを検討したところ、特定の表面構造を有する場合に、これら両特性が顕著に両立しうることを見出した。すなわち、最外層表面における、原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である突起の数の割合が30%以下であるようにすることで、光学欠点の減少と高速加工により生じる粉落ちの減少を好適に両立することが可能となる。
より好適な滑り性を奏するには、不活性粒子による2nm以上の突起高さを有する表面突起を有することが好ましい。しかしながら、表面突起が高くなると、超高速度の加工において、ロールやフィルム同士の擦れにより、突起を形成する粒子が脱落する場合がある。このような工程中の僅かな粉落ちが長期の操業により工程を汚し、微小キズが生じる要因となりうる。そこで、本発明者は、粉落ちの要因となる表面形状を検討した結果、表面突起の高さによって粒子の脱落のし易さが決まるのではなく、表面突起の山の形状が不活性粒子の脱落のし易さに影響することがわかった。すなわち、高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50を越える、なだらか裾野を有する表面突起は、粒子の脱落が生じにくい。一方、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である、比較的裾野の小さい表面突起が粒子の脱落が生じやすくなる。
粉落ちによる要求特性が高い場合は、上述のようになだらかな山裾を有する表面突起を多くすることが望ましい。そのため、最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上にすることが必要である。表面突起は、最外層中に存在する不活性粒子により形成される。なだらかな表面突起を形成するためには、不活性粒子が表面直下にあるのではなく、ある程度以上の大きさを有する粒子が、適当な深さをもって存在することが望ましい。最外層の厚みが不活性粒子の平均粒径の5倍未満であると、不活性粒子による表面突起の形状が比較的鋭利になるため、粉落ちが生じやすくなる。最外層の厚みの上限は、粉落ち発生の観点からは特に設けないが、厚みが厚くなりすぎるとフィルム内部にある不活性粒子の量が多くなりすぎ、フィルム内部で発生する光の散乱が多くなり透明性が低下するため好ましくない。最外層の厚みの上限はヘイズ上昇を許容できる範囲から、11倍未満とした。尚、ここで最外層の厚みとはフィルム両面に積層されている最外層の、片側の厚みのことである。
上述のように不活性粒子と不活性粒子含有層の厚みを制御することにより、好適にフィルム表面の突起形状をコントロールし、個々の突起の傾斜角度を極力小さくすることが出来、透明性の低下を極力抑えながらより好適に光学欠点低減をはかることができる。
さらに、より好適に上記の特定の表面形状を形成するためには、例えば(1)ポリエステル樹脂の固有粘度を高めることで表面形状をなだらかにする方法、(2)熱固定温度を高温で処理することで表面形状をなだらかにする方法、などを組み合わせることによっても可能である。また、後述するように、(3)フィルムの延伸で追従的な変形が生じやすい不活性粒子を用いることも好適である。
フィルムの延伸で追従的な変形が生じやすい不活性粒子としては、数nmから数百nmの一次粒子が凝集した二次粒子であって、その細孔容積を1.5ml/g以上であるものが好ましい。特に透明性や取り扱い性、価格の観点から、不定形塊状シリカが好適である。不活性粒子の細孔容積を1.5ml/g以上とすることで、延伸による粒子の変形が発生しやすくなり、突起形状をコントロールしやすくなる。なお、不活性粒子の細孔容量はBJH法など公知の窒素脱吸着により算出することができる。不活性粒子がフィルム中にある場合は、例えばフェノール/テトラクロロエタン混合溶液などにより溶解し、残渣である不活性粒子を回収し、十分乾燥した後、BJH法など公知の窒素脱吸着により算出することができる。
る。
ポリエステルに上記不活性粒子を配合する方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用いエチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行うことができる。
中でも、本発明ではポリエステル原料の一部となるモノマー液中に凝集体無機粒子を均質分散させた後、濾過したものを、エステル化反応前、エステル化反応中、又はエステル化反応後のポリエステル原料の残部に添加する方法が好ましい。この方法によると、モノマー液が低粘度のため、粒子の均質分散やスラリーの高精度な濾過が容易に行えると共に、原料の残部に添加する際に、粒子の分散性が良好で、新たな凝集体も発生しにくい。
特に、前記不定形塊状シリカを用いる場合は、スラリーの添加、混合により、粒子が凝集し、凝集粗大粒子が生じる場合がある。シリカの凝集は高温で生じやすいため、光学欠点の要因となる凝集粗大粒子を低減するために、前記不定形塊状シリカを含有するエチレングリコール溶液を添加する場合は、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行ってオリゴマーを生成する前の工程において、好ましくは10〜50℃、より好ましくは10〜30℃の範囲に保持しながら、ポリエステル原料とブレンドすることが好ましい。このタイミングでスラリーを添加することで、スラリー温度を低温に保ったまま添加することが可能となり、新たな凝集体の生成を抑制することができる。
一般的に不活性粒子の粒径はある程度の幅を有する分布を示すが、本発明で用いる不活性粒子は、好ましくは10μm以上の粒径を有する不活性粒子が全体の1%以下であることが好ましい。10μm以上の粒径を有する不活性粒子が1%を超える場合は、光学欠点の要因となる粗大粒子の数が多くなる場合がある。不活性粒子の分布を上記範囲にする方法としては、(1)不活性粒子を分散させたエチレングリコールもしくはポリエステルを精密濾過する方法、(2)不活性粒子を分散させたエチレングリコールもしくはポリエステルをバッチ式または間欠式の遠心分離機で処理する方法、(3)所定の粒度分布を有する不活性粒子を選定する方法、などを用いることができる。
本発明のフィルムの最外層表面の十点平均粗さ(SRz)は0.5μm以上であることが好ましい。本発明のフィルムはこのような特定の突起形状を有するため後加工での加工適性(滑り性)に優れる。さらに、本発明のフィルムの三次元中心面平均粗さ(SRa)は0.008〜0.015μmであることが好ましい。また、十点平均粗さ(SRz)が0.5〜1.5μmであることが好ましく、0.6〜1.0μmであることがより好ましい。三次元中心面平均粗さ(SRa)もしくは十点平均粗さ(SRz)が上記範囲内であると、微小キズを有効に抑制しながら、透明性を維持できる為に好ましい。
(塗布層)
本発明の光学用易接着性フィルムには、少なくとも数平均分子量15000以上であってカルボン酸基を実質的に有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂を含み塗布層を設けることが重要である。
従来、塗布層の耐湿熱性を向上させる点からは架橋構造を積極的に導入することが望ましいと考えられていた。しかし、本発明では塗布層を上記のような構成にすることにより耐湿熱性が向上することを見出した。このような構成により、高温高湿下での密着性が向上することの機序はよくわからないが、本発明者は以下のように考えている。本発明の塗布層には、オキサゾリン基と反応する官能基であるカルボン酸基が実質的にないため、塗布層形成時には未反応のオキサゾリン基が塗布層中に残存する。一方、高温高湿下では塗布層中のポリエステル樹脂が加水分解を起し、エステル結合が分断され、カルボン酸基末端が発生する。ここで、未反応のオキサゾリン基が、発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成する。いわば、加水分解による塗布膜強度の劣化を自己修復することにより、高温高湿下での塗布膜強度劣化を防止できると考えている。
本発明は、上記態様により、レンズ層、さらに他の光学機能層との高温高湿下での密着性(耐湿熱性)を向上させることができる。さらに、本発明の構成を以下に詳細する。
本発明の塗布層にはポリエステル樹脂を含有させる必要がある。ポリエステル樹脂を含有させることで、密着性を向上させることができる。
前記ポリエステル樹脂はオキサゾリン基との反応基であるカルボン酸基が少ない方が好ましい。より好ましくは実質的にカルボン酸基を有さないものである。ここで実質的にカルボン酸基を有さないとは末端基以外のカルボン酸基を含有していないものである。カルボン酸基を規定する方法としては酸価の測定が挙げられるが、実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂とは、酸価が3KOHmg/g以下であり、より好ましくは2KOHmg/g以下であり、さらに好ましくは1KOHmg/g以下のポリエステル樹脂である。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は15000以上であることが必要である。数平均分子量が低い場合、末端のカルボン酸基が増加するため、オキサゾリン基と反応してしまうことがある。また、加水分解が促進され、塗膜の修復が十分に行われず、高温高湿下の密着性が得られないだけでなく、基材フィルムとの密着性も低下させてしまう。また、上記数平均分子量は、20000以上がより好ましく、さらに製造可能な限り、高い方が好ましい。しかし、数平均分子量が大きくなると、塗布液への溶解性が低下する場合もあることから、上記数平均分子量の下限は、30000以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸等が挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、プロパングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は水、または、水溶性の有機溶剤(例えば、アルコール、アルキルセルソルブ、ケトン系、エーテル系を50質量%未満含む水溶液)または、有機溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル等)に対して溶解または分散したものが使用できる。
ポリエステル樹脂を水系塗液として用いる場合には、水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂が用いられるが、このような水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合させることが好ましい。そのために、前記のジカルボン酸成分の他に、ポリエステルに水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸そのアルカリ金属塩を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸またはそのアルカリ金属塩を挙げることができる。
ポリエステル樹脂は,密着性の点からガラス転移温度が低いことが好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度は10〜100℃であることが好ましく、30〜70℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃を超えて高いと、溶融粘度が高くなり十分な分子量のものが得られにくく、そのため密着性が低下する。ガラス転移温度が10℃を越えて低いと、フィルムの耐ブロッキング性が低下する。
ポリエステル樹脂の数平均分子量を15000以上とし、かつガラス転移温度を上記範囲にするには、ポリエステル樹脂に分岐構造を導入することが好ましい。しかしながら、分岐構造が多くなると酸価も高くなる傾向にある。そのため、本発明のポリエステル樹脂は、カルボキシル基が3個以上/1分子あるいは水酸基が3個以上/1分子有する第三成分のモル比は全ジカルボン酸成分中5.0モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0モル%以下である。
前記ポリエステル樹脂は塗布層中に10質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。高い密着性が求められる場合、より好ましくは20%質量%以上80質量%以下である。ポリエステル樹脂の含有量が多い場合には、高温高湿下での密着性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には、基材フィルムとの密着性が低下する。
本発明では、密着性を向上させるためにポリエステル樹脂以外を含有させても良い。このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。好ましくは、カルボン酸基の含有量が少ないものである。より好ましくは、カルボン酸基を含有していないものである。カルボン酸基が多い場合は、オキサゾリン基と反応してしまい、高温高湿下でポリエステル樹脂から発生するカルボン酸基と反応するオキサゾリン基が減少してしまう。
本発明では、オキサゾリン基を有する樹脂を含有させる必要がある。オキサゾリン基を有する樹脂は、水分散性、水溶性が挙げられる。他の水溶性樹脂との相溶性がよく、塗布層の透明性や架橋反応効率を向上させることから、オキサゾリン基を有する樹脂は水溶性であることが好ましい。前記の水溶性とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液、に対して溶解することを意味する。
オキサゾリン基を有する樹脂を水溶性にするために、親水性単量体を含有させるのが好ましい。親水性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、水への溶解性の高い(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体を含有していることが好ましい。
前記オキサゾリン基を有する樹脂は塗布層中に5質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。特に、レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは10%質量%以上70質量%以下である。オキサゾリン基を有する樹脂の含有量が多い場合には、光学機能層との密着性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には、高温高湿下でポリエステル樹脂から発生するカルボン酸基と反応するオキサゾリン基が減少してしまうため、塗膜の修復機能が低下し、密着性が低下してしまう。
本発明において、塗膜強度を向上させるために、塗布層中にオキサゾリン基を有する樹脂とは別の架橋剤、または、架橋基を有する樹脂を含有させても良い。架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、シラノール系等が挙げられる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
本発明において、塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
前記粒子の平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から、前記粒子の平均粒径が1〜500nmのものが好適であり、1〜100nmであればより好ましい。なお、前記の平均粒径はコールターカウンター(ベックマン・コールター製、マルチサイザーII型)を用いて、粒子を膨潤させない溶媒に分散させて測定した平均粒径である。
前記粒子としては、平均粒径の異なる粒子を2種類以上を用いても良い。
粒子の含有量としては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。少ない場合は、十分な耐ブロッキング性を得ることができない。また、対スクラッチ性が悪化してしまう。多い場合は、塗布層の透明性が悪くなるだけでなく、塗膜強度が低下する。
塗布層には、コート時のレベリング性の向上、コート液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、光学機能層との密着性を損なわない程度の範囲で塗布層に含有させることが好ましい。
本発明の光学用易接着性ポリエステルフィルムは、ヘイズ値が3.5%以下であることが好ましく、より好ましくは3.0%以下であり、さらに好ましくは2.5%以下である。なお、高い透明性を得るためには、基材フィルムの不活性粒子と最外層の厚みを特定の範囲とすると共に、前記記載の塗布層中に含まれるオキサゾリン基を有する樹脂を水溶性にすることで他の樹脂との相溶性が向上し、高い透明性が得られる。
塗布層に他の機能性を付与するために、光学機能層との密着性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
本発明の光学用積層ポリエステルフィルムは、前述のポリエステルフィルムの塗布層の少なくとも片面に、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される、少なくとも1層の光学機能層により得られる。
前記光学機能層に用いられる材料は特に限定されるものではない。
(光学用易接着性ポリエステルフィルムの製造)
本発明の光学用易接着性ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)フィルムを例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。
PET樹脂を十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、Tダイから約280℃の溶融PET樹脂を回転冷却ロールにシート状に溶融押出しし、静電印加法により冷却固化せしめて未延伸PETシートを得る。前記未延伸PETシートは、共押出し法により複層構成とし、最外層には易滑性付与を目的とした滑剤を添加させることが好ましい。
得られた未延伸PETシートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍に延伸して、一軸延伸PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して、70〜140℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き、160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行ない、結晶配向を完了させる。
このフィルム製造工程の任意の段階で、PETフィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、前記塗布層を形成する。塗布層はPETフィルムの両面に形成させても特に問題はない。塗布液中の樹脂組成物の固形分濃度は、2〜35重量%であることが好ましく、特に好ましくは4〜15重量%である。
この塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
本発明においては、塗布層は未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムに前記塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させる。
本発明において、最終的に得られる塗布層の厚みは20〜350nm、乾燥後の塗布量は、0.02〜0.5g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量が0.02g/m未満であると、接着性に対する効果がほとんどなくなる。一方、塗布量が0.5g/mを越えると、ヘイズが増加してしまう。
本発明で得られた光学用易接着性ポリエステルフィルムの塗布層は、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層に対して良好な接着性を有する。これら光学機能層を積層させることで高温高湿下でも長期間初期機能が保持できる光学積層ポリエステルフィルムを提供することができる。また、光学用途以外でも良好な接着強度が得られる。具体的には、写真感光層、ジアゾ感光層、マット層、磁性層、インクジェットインキ受容層、ハードコート層、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、印刷インキやUVインキ、ドライラミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あるいは無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、プラズマ重合等で得られる薄膜層、有機バリアー層等が挙げられる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
(2)還元粘度
樹脂0.1gに対し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒25mLを用い、30℃で測定した。
(3)ガラス転移温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製、DSC6200)を使用して、樹脂サンプル10mgを25〜300℃の温度範囲にわたって20℃/minで昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
(4)数平均分子量
樹脂0.03gをテトラヒドロフラン 10ml に溶かし、GPC−LALLS装置低角度光散乱光度計 LS−8000(東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:ポリスチレン)を用い、カラム温度30℃、流量1ml/分、カラム(昭和電工社製shodex KF−802、804、806)を用い、数平均分子量を測定した。
(5)樹脂組成
樹脂を重クロロホルムに溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析を行ってその積分比より各組成のモル%比を決定した。
(6)酸価
1g(固形分)の試料を30mlのクロロホルムまたはジメチルホルムアミドに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して、試料1g当たりのカルボキシル基を中和するのに必要なKOHの量(mg)を求めた。
(7)ヘイズ、全光線透過率
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成した基材フィルム、および光学用易接着性ポリエステルフィルムを用意し、JIS−K7105に準じ、濁度計(NHD2000、日本電色工業製)を使用して、基材フィルムのヘイズ、全光線透過率を測定した。
(8)最外層(不活性粒子含有層)の厚み
得られた光学用易接着性ポリエステルフィルムをフィルムの流れ方向に対して垂直に切り出し、光硬化樹脂で包埋した。包埋した試料をミクロトームにて70〜100nm程度の厚みの極薄切片とし、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。この染色された極薄切片を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて断面観察し、不活性粒子の位置から最外層(不活性粒子含有層)の厚みを求めた。尚、観察倍率は1500倍から10000倍の範囲で適宜設定した。
(9)不活性粒子の平均粒子径、10μm以上の粒子数
不活性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−51O型)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について各粒子の外周をトレースし、画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、これらの平均を平均粒子径とした。またこうして得られた200個以上の粒子の粒子径から、10μm以上の粒子の比率を算出した。
(10)接着性
得られた光学用積層ポリエステルフィルムの光硬化型アクリル層面に、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をつける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、垂直にセロハン粘着テープを光学用積層ポリエステルフィルムの光硬化型アクリル層面から引き剥がす作業を1回行った後、光学用積層ポリエステルフィルムの光硬化型アクリル層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式から光硬化型アクリル層と基材フィルムとの密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、下記の基準でランク分けをした。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または、光硬化型アクリル層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
(11)耐湿熱性
得られた光学用積層ポリエステルフィルムを、高温高湿槽中で80℃、95%RHの環境下48時間放置した。次いで、光学用積層ポリエステルフィルムを取りだし、室温常湿で12時間放置した。その後、垂直にセロハン粘着テープを光学用積層ポリエステルフィルムの光硬化型アクリル層面から引き剥がす作業を5回行う以外は、前記(10)と同様の方法で光硬化型アクリル層と基材フィルムの接密着性を求め、下記の基準でランク分けをした。
◎:100%、または、光硬化型アクリル層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
(12)最外層表面の三次元表面粗さ(SRa、SRz)
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成した基材フィルムを用意し、フィルムの最外層表面を、触針式三次元粗さ計(SE−3AK、株式会社小阪研究所社製)を用いて、針の半径2μm、荷重30mgの条件下に、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたり、針の送り速度0.1mm/秒で測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(SPA−11)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、すなわちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に解析装置を用いて中心面平均粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)を求めた。
(13)最外層表面の突起形状の評価
フィルムを任意の場所で切り出した後、原子間力顕微鏡(SII社製、SPI3800)を用いて、観察モード=DFMモード、スキャナー=FS−20A、カンチレバー=DF−3、観察視野=5×5μm、分解能1024×512pixelsにて表面形態観察を行い観察像を得た。次いで同一測定視野の断面プロファイル表示モードを表示させた。断面移動画面で、カーソルの両端をつまんで高さ2nm以上の表面突起の長尺方向に沿うように、かつ、カーソルが表面突起の最高高さ位置を通るように移動させた。断面プロファイル曲線と測定範囲内の平均高さ線である高さ0nmの線とが交わった2箇所の交点間の距離を読み取り、表面突起の直径を測定した。さらに、測定範囲内の平均高さ線である高さ0nmとして表面突起の高さを測定下。こうして得られた観察像から、少なくとも100個以上の高さ2nm以上の突起について、突起の直径Lと突起の高さhを計測して直径と高さの比L/hを算出し、L/hが50以下である突起の比率を算出した。
(14)光学欠点の検出方法(長径20μm以上の異物評価)
作製したフィルム片を2枚の偏光板の間に挟みこみ、クロスニコル状態とし、消失位が保たれる状態にセットする。この状態でニコン万能投影機V‐12(投影レンズ50x、透過照明光束切り替えノブ50x、透過光検査)を用い検査を行う。フィルム片にキズ、異物が存在する場合、その部分から光が透過し、光り輝くように見える長径が20μm以上あるものを検出した。
◎ : 20μm以上の欠点が全く観察されない。
○ : 20μm以上の欠点がほぼ観察されず、実用上全く問題がない。
× : 20μm以上の欠点がわずかに見られ、実用上問題となる可能性がある。
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、さらにトリポリ燐酸ナトリウム水溶液をシリカ粒子に対しナトリウム原子として0.1質量%含有させ、遠心分離処理により粗粒部を35%カットし、且つ目開き5μmの金属フィルターで濾過処理を行った平均粒子径2.3μm、細孔容積1.6ml/gのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを粒子含有量として0.2質量部添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
(製造例2−ポリエステルB)
一方、上記PET(A)の製造において、シリカ粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
(製造例3−ポリエステルC)
上記PET(A)の製造において、平均粒径2.4μm、細孔容積2.0ml/gのシリカ粒子を用いる以外は同様の方法にて、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(C)を得た。(以後、PET(C)と略す。)
(製造例4−ポリエステルD)
上記PET(A)の製造において、平均粒径3.5μm、細孔容積1.6ml/gのシリカ粒子を用いる以外は同様の方法にて、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(D)を得た。(以後、PET(D)と略す。)
(製造例5−ポリエステルE)
上記PET(A)の製造において、平均粒径2.0μm、細孔容積1.2ml/gのシリカ粒子を用いる以外は同様の方法にて、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(E)を得た。(以後、PET(E)と略す。)
(塗布層用ポリエステル樹脂の重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチルー5−ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、およびテトラーnーブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)は、淡黄色透明であった。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)の還元粘度を測定したところ,0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
同様の方法で、別の組成の共重合ポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を得た。これらの共重合ポリエステル樹脂に対し、H−NMRで測定した組成(モル%比)及びその他特性を表1に示す。
Figure 0005428868
(ポリエステル水分散体の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)30質量部、エチレングリコールn−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体(B−1)を作製した。同様にポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を使用して、水分散体を作製し、それぞれ水分散体(B−2)〜(B−5)とした。
(オキサゾリン基を有する水溶性樹脂の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、および、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2−イソプロペニル−2−オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル;新中村化学株式会社製)32質量部、およびメタクリル酸メチル32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)を得た。
実施例1
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液を作成した。ポリエステル樹脂は数平均分子量20000である。
水 49.41質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 12.64質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 6.32質量%
粒子 1.58質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
(2)光学用易接着性ポリエステルフィルムの製造
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(B)樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に、また、PET(A)とPET(B)をシリカ粒子の含有量を0.020質量%となるよう混合調整し、常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は8:82:8となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.4倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
次いで、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で一軸配向PETフィルムの片面に乾燥後の塗布量が0.2g/mになるように塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した一軸延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.2倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度245℃、30秒間で処理し、さらに幅方向に3%の緩和処理を行い、厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
(3)光学用積層ポリエステルフィルムの製造
清浄に保った厚さ1mmのSUS板上(SUS304)に、下記光硬化型アクリル系塗布液を約5gのせ、フィルム試料の塗布層面と光硬化型アクリル系塗布液が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで光硬化型アクリル系塗布液を引き延ばすように圧着した。次いで、フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて800mJ/cmの紫外線を照射し、光硬化型アクリル樹脂を硬化させた。厚み20μmの光硬化型アクリル層を有するフィルム試料をSUS板から剥離し、光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
光硬化型アクリル系塗布液
光硬化型アクリル樹脂 81.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット505A−6)
光硬化型アクリル樹脂 9.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット550)
光重合開始剤 10.00質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
比較例1
ポリエステル水分散体を分子量8000のポリエステル水分散体(B−4)に変更した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例2
ポリエステル水分散体を酸価50KOHmg/gのポリエステル水分散体(B−5)に変更した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
ポリエステル水分散体を分子量15000のポリエステル水分散体(B−2)に変更した以外は実施例1と同様にして学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
ポリエステル水分散体を分子量23000のポリエステル水分散体(B−3)に変更した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
水 51.92質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 2.63質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 13.82質量%
粒子 1.58質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例5
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
水 51.26質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 5.26質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 11.85質量%
粒子 1.58質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例6
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
水 48.10質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 17.90質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 2.37質量%
粒子 1.58質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例7
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
水 46.89質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 20.76質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 0.82質量%
粒子 0.82質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.66質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例8
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
水 51.81質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 1.09質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂 (C) 15.57質量%
粒子 0.82質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.66質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例9
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)を日本触媒製エポクロスK―2010E(エマルジョン、固形分濃度40質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例10
基材フィルムの中間層と外層の比率を3:94:3とした以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例3
基材フィルムの外層に使用するPET(A)樹脂ペレットの代わりにPET(D)樹脂ペレットを使用したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例4
基材フィルムの外層に使用するPET(A)樹脂ペレットの代わりにPET(E)樹脂ペレットを使用したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例5
外層IとIIIに使用するPET(A)とPET(B)をシリカ濃度が0.050質量%となるように混合した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例6
基材フィルムの外層用原料として粒子を含有しないPET(B)のみを使用したこと以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例11
基材フィルムの外層に使用するPET(A)樹脂ペレットの代わりにPET(C)樹脂ペレットを使用した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例12
基材フィルムの外層に使用するPET(A)樹脂ペレットの代わりにPET(C)樹脂ペレットを使用した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例13
外層IとIIIに使用するPET(A)とPET(B)をシリカ濃度が0.030質量%となるように混合した基材フィルムの外層に使用するPET(A)樹脂ペレットの代わりにPET(C)樹脂ペレットを使用した以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例14
基材フィルムの中間層と外層の比率を12:76:12とした以外は実施例1と同様にして光学用易接着性ポリエステルフィルムおよび光学用積層ポリエステルフィルムを得た。
Figure 0005428868
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムは、光学欠点が少なく透明性を有し、光学機能層との密着性及び高温高湿下での密着性(耐湿熱性)に優れるため、ディスプレイなどに主として用いられる、ハードコートフィルム及び該フィルムを用いた反射防止フィルム、光拡散シート、プリズム状レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム、防眩フィルム、などの光学機能性フィルムの基材フィルムとして好適である。

Claims (5)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性ポリエステルフィルムであって、
    前記基材フィルムが、共押出法により3層以上の積層構成を有し、両最外層に不活性粒子を含有する、ヘイズが2.5%以下のポリエステルフィルムであり、
    前記塗布層が、数平均分子量15000以上であって実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とする、光学用易接着性ポリエステルフィルム。
  2. 前記最外層に含有する不活性粒子の平均粒径が2.1〜2.5μmであり、
    前記最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径以上であり、
    前記最外層表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.008〜0.015μmであり、
    十点平均粗さ(SRz)が0.5〜1.5μmである、請求項1に記載の光学用易接着ポリエステルフィルム。
  3. 前記オキサゾリン基を有する樹脂が水溶性である請求項1または2に記載の光学用易接着性ポリエステルフィルム。
  4. 前記最外層中の不活性粒子が細孔容積1.5〜2.0ml/gの不定形塊状シリカであり、
    前記最外層中の不活性粒子含有量が0.015〜0.030質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学用易接着性ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載する光学用易接着性ポリエステルフィルムの前記塗布層に、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される少なくとも1層の光学機能層を積層してなる光学用積層ポリエステルフィルム。
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