JP2004277524A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】細孔容積が0.5〜2.0ml/g、平均粒径が0.1〜5.0μmである湿式法シリカ粒子を0.01〜0.5重量%含有する、同時二軸延伸法により製造されたフィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
0≦Re≦300 …(1)
0.1450≦ΔP≦0.1650 …(2)
(上記式中、Reはフィルムのリターデーション(nm)、ΔPはフィルムの面配向度を表す)
【選択図】 なし
【解決手段】細孔容積が0.5〜2.0ml/g、平均粒径が0.1〜5.0μmである湿式法シリカ粒子を0.01〜0.5重量%含有する、同時二軸延伸法により製造されたフィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
0≦Re≦300 …(1)
0.1450≦ΔP≦0.1650 …(2)
(上記式中、Reはフィルムのリターデーション(nm)、ΔPはフィルムの面配向度を表す)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同時二軸延伸法によって製膜された二軸配向ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、偏光特性の改善された表面保護フィルムに関し、さらに詳しくは、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来技術】
近年、ディスプレイとして、CRTディスプレイに次いで液晶ディスプレイが、例えば、ノートパソコン、カーナビゲーション等に幅広く使用されている。かかる液晶表示装置は、一般的には、バックライト側から、偏光板、液晶セル、偏光板を積層することにより作成される。さらには、表示モード、視野角改善等によって、位相差板等の各種補償板が挿入される。この液晶ディスプレイの製造工程は非常に複雑であり、しかも異物、傷等の混入を嫌う。そのため部品となる偏光板、位相差板や視野角拡大フィルムの光学部品や光学積層体の表面保護として、保護フィルムが使用される。
【0003】
偏光板、位相差板または視野角拡大フィルムは、それらの面の一方向の面に、粘着層を設け、その粘着層の上に表面保護フィルムを積層したロール状態から各種サイズに打ち抜き裁断して液晶ディスプレイ用として提供されるが、その製造時の検査で重要な項目の一つとして、異物の混入、付着の検査があり、これには偏光板偏光子製造工程に言うに及ばず、保護フィルムとの積層工程、打ち抜き裁断工程および養生出荷梱包工程までの全行程における異物管理が大切である。
【0004】
しかしながら、最終検査工程における異物検査は、クロスニコル法(偏光板を2枚、その延伸軸を直交させて間に保護フィルムを入れ、透過光で観察する方法)による人間による目視検査であり、特に大画面用のものについては保護フィルムのベースである二軸配向ポリエステルフィルムの光学的異方性が原因となって正確な目視検査が阻害される場合があり、そのために異物混入の見逃しがかなりの頻度で発生している。
【0005】
その解決手段として、種々の提案がなされており(例えば、特許文献1参照)、当該手法によると、一軸方向に高リターデーションを得ることにより、配向主軸の方向を偏光板または位相差板の配向軸の方向と実質的に同じにするか、90°となるように積層することにより問題が解決されるとのことである。しかしながら、一軸方向に高リターデーションを得るためには、一軸方向に高延伸倍率となり、結果的に一軸延伸フィルムとなるために、製膜時の張力変動やスリット時またはフィルム加工時にフィルムが破断(裂け)しやすくなり、連続製膜性、取り扱い作業性が非常に劣るものである。
【0006】
また、光学異方性の少ない低リターデーションである保護フィルムを用いる方法が提示されている(例えば、特許文献2参照)が、現在、偏光板または位相差板の保護フィルムとして用いられているこれらの二軸配向ポリエステルフィルムは、光学異方性対策だけでは、十分に解決していないものである。
すなわち、フィルムの光学異方性とは別に、フィルム中に存在する粒子および表面によって、偏光板または位相差板に混入した異物や欠点である輝点を見落として、正確な目視異物検査が困難であるのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開2000−94565号公報
【特許文献2】特開平6−3664号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情を鑑みなされたものであり、その解決課題は、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である同時二軸延伸法によって製膜された二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を採用することにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、細孔容積が0.5〜2.0ml/g、平均粒径が0.1〜5.0μmである湿式法シリカ粒子を0.01〜0.5重量%含有する、同時二軸延伸法により製造されたフィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
0≦Re≦300 …(1)
0.1450≦ΔP≦0.1650 …(2)
(上記式中、Reはフィルムのリターデーション(nm)、ΔPはフィルムの面配向度を表す)
【0011】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲内であれば、他の第三成分を含有してもよい。
【0012】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を使用することができる。グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を使用することができる。
【0013】
本発明で用いるポリエステルの極限粘度は、通常0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりするという問題が生じることがある。一方、極限粘度が1.0を超えると、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性が損なわれることがある。本発明で用いるポリエステルには、必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、潤滑剤などの添加剤を加えることができる。
【0014】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムに滑り性を与えて取り扱い性を向上する目的や、フィルム巻き取り時の傷の発生防止を目的として、ポリエステルに不活性な微粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させるために、湿式法シリカ粒子を含有することが必要であり、従来のような球状または不定形シリカ粒子含有していたのでは、延伸時にボイドが発生して、保護フィルムとして使用できるに十分な透明性が得られない。
【0015】
かかる湿式法シリカ粒子を構成する一次粒子の平均粒径は0.01〜0.1μmの範囲にあることが好ましい。一次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、スラリー段階で解砕により極微細粒子が生成し、これが粗大な凝集体を生成してしまうおそれがある。また、一次粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、粒子の多孔質性が失われる傾向があり、その結果、ポリエステルとの親和性が失われ、ボイドが生成しやすくなり、透明性が失われる場合がある。
【0016】
さらに、本発明で用いる湿式法シリカ粒子の細孔容積は、0.5〜2.0ml/gの範囲であり、好ましくは0.6〜1.8ml/gの範囲である。細孔容積が0.5ml/g未満では、粒子の多孔質性が失われ、ボイドが生成しやすくなり、透明性が低下するので不適当である。一方、細孔容積が2.0ml/gを超えると、解砕、凝集が起こりやすく、粒径の調整を行うことが困難となる。
【0017】
本発明で用いる湿式法シリカ粒子の平均粒径は、0.1〜5.0μmの範囲であり、好ましくは0.3〜3.0μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満では、フィルムの滑り性が不十分で、取り扱い作業性が悪化する。一方、平均粒径が5.0μmを超えると、フィルムが霜降り状になって透明性が劣るので好ましくない。
【0018】
本発明で用いる湿式法シリカ粒子の添加量は、0.01〜0.5重量%の範囲であり、好ましくは0.02〜0.4重量%の範囲である。粒子添加量が0.01重量%未満では、フィルムの滑り性が不十分で、取り扱い作業性が悪化する。一方、粒子添加量が0.5重量%を超えると、フィルムの透明性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムヘーズが10%以下であることが好ましい。フィルムヘーズが10%を超えると、フィルムを光が通過する際の散乱光が増大するため、透過光量が増加し、結果的にコントラストを低下させることがある。また、透過光による目視検査での欠点検出精度も低下する傾向がある。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのリターデーション(Re)は0〜300nmの範囲にある必要がある。フィルムのリターデーション(Re)が300nmを超えると、位相差が色として、偏光板の検査工程で干渉色として悪影響を与えるので好ましくない。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)は0.1450〜0.1650の範囲にある必要がある。フィルムの面配向度(ΔP)が0.1450未満では、フィルムの剛直性が失われフィルムの取り扱い性が悪化する。一方、面配向度(ΔP)が0.1650を超えると、光学異方性が大きくなり、本発明のリターデーション(Re)が得られなくなるので好ましくない。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、同時二軸延伸法により製造されたものである。同時二軸延伸機の縦方向の延伸機構には従来の方式であるスクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていくスクリュー方式、パンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていくパンタグラフ方式がある。これらは、製膜速度が遅い、延伸倍率等の条件変更が容易でない等の問題を抱えているが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造に用いることができる。一方、近年、リニアモーターの原理を用いて、各クリップを独自に制御して、クリップ間隔を調整するリニアモーター方式の同時二軸延伸ではこれらの問題を一挙に解決できる。また、同時二軸延伸では、逐次二軸延伸のように縦延伸ロールを使用しないために、フィルム表面の傷がなくなり、保護フィルムとして好ましいものである。その他、逐次二軸延伸ではフィルムの光学異方性が大きくなって、本発明のリラーデーション(Re)および面配向度(ΔP)を得ることができない。
【0023】
本発明でいう同時二軸延伸とは、フィルムの縦方向、横方向に同時に配向を与えるための延伸であり、同時二軸延伸機を用い、フィルムの端面をクリップしながら搬送して、縦方向および横方向に延伸する操作をいう。ここで言うフィルムの縦方向とは、フィルムの長手方向であり、横方向とは、フィルムの幅方向である。もちろん、縦方向と横方向の延伸が時間的に同時に延伸されている部分があればよいのであって、従って、横方向または縦方向に単独に先に延伸した後に、縦方向と横方向とを同時に延伸する方法や、さらに同時二軸延伸後に横方向または縦方向に単独にさらに延伸する方法なども含まれるものである。
【0024】
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
本発明のフィルムを得るに際しては、ポリエステルをエクストルーダーに代表される周知の溶融押し出し機に供給し、ポリエステルの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリエステルをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を高めることが好ましく、本発明においては、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0025】
前記未延伸シートの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持させ、70〜130℃に加熱して縦および横方向に3〜30倍に同時二軸延伸する。その後、弛緩を数%として、80〜240℃で数秒間熱処理した後、室温まで冷却し、巻き取って所望の厚みのフィルムを得る。延伸に際しては、未延伸シートを必要に応じて縦および横方向に1〜1.5倍程度に予備延伸した後、同時二軸延伸してもよい。
【0026】
延伸後の熱処理は、フィルムの熱収縮率を小さくするための工程であり、熱処理は、熱風を吹き付ける方法、マイクロ波を照射する方法、赤外線を照射する方法等公知の方法を採用することができるが、均一に精度よく加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
【0027】
本発明のフィルムには、さらに特定の性能を付与するため、例えば易接着性、易滑性、離型性、制電性を付与するために、同時二軸延伸の前または後の工程で、ポリエステルフィルムの表面に塗布剤をコーティングすることも好ましく行うことができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明における種々の物性および特性の測定方法、定義は下記のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」とあるは「重量部」を示す。
【0029】
(1)粒子の平均粒径
レーザ回折散乱法((株)堀場製作所製 LA−910)によって求められる全粒子の50重量%点にある粒子の等価球形直径をもって平均粒径とした。
【0030】
(2)細孔容積
窒素吸脱着法で測定し、BET式で計算した。
【0031】
(3)ポリマーの極限粘度
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン(50/50(重量比))の混合溶媒100ml中に溶解させ、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0032】
(4)リターデーション(nm)
カールツァイス社製偏光顕微鏡にてカルサイトコンペンセーターを用いて測定した。なお、光源はNa−D線(波長λ=589nm)を用いた。
【0033】
(5)面配向度(ΔP)
アタゴ光学社製アッベ屈折計を用いて、フィルム面内の屈折率の最大値(nγ)、それに直角方向の屈折率(nβ)およびフィルムの厚さ方向の屈折率(nα)を測定し、下記式より面配向度(ΔP)を算出した。尚、屈折率の測定は、Na−D線(波長λ=589nm)を用い、マウント液にはヨウ化メチレンを用いて、23℃、50%RHで行った。
ΔP=[(nγ+nβ)/2]−nα
【0034】
(6)フィルムヘーズ
JIS−K7136に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計(NDH−2000)を用い、フィルムの濁度を測定した。
【0035】
(7)目視異物検査
基材フィルムを偏光板や位相差板の保護フィルムとして用いた場合のクロスニコル法による検品での異物、傷等の検出精度を3段階評価した。
○:全く問題なく検出できる。
△:かなり検出精度が劣る。
×:全く検出できない。
【0036】
(8)取り扱い作業性
フィルムの製造時巻き取り作業性やフィルムの取り扱い作業性に関し、3段階評価した。
○:取り扱い作業性は良好で、スムースに作業できる。
△:取り扱い性は概ね良好だが、ややスムースに欠ける。
×:フィルム同士がブロッキングしたり、シワが入ったりしやすく、取り扱い作業性は不良。
【0037】
実施例1
[スラリーの調整]
細孔容積が1.60ml/g、平均粒径が2.4μmの湿式法シリカ粒子10部をエチレングリコール90部に分散させた。次いでホモミキサー(特殊機化工性 TKホモミキサー)で10000rpm−60分間分散し、1000メッシュの金網フィルターで濾過し、エチレングリコールスラリーとした。
【0038】
[ポリエステルの製造]
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム四水塩0.09部を加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで上記スラリーを0.5部を添加した後、エチルアシッドホスフェート0.04部を添加し、さらに三酸化アンチモン0.04部を加えて5時間重縮合反応を行い、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0039】
[ポリエステルフィルムの製造]
得られたポリエステルを、ベント付き二軸スクリューの押し出し機に供給し、280℃、−100KPaのベント減圧下で溶融混練りし、スリット状ダイより20℃の回転冷却ロール上にシート状に押し出し、静電印加冷却法を使用して回転冷却ロールにより急冷して未延伸シートを得た。得られたシートを、長手方向に11cmに切り出し、長手方向、幅方向ともに11cmの正方形とした後、T.M.Long社製二軸延伸試験装置を用いて、延伸温度95℃で、フィルムの長手方向、幅方向にそれぞれ3.5倍同時二軸延伸した後、220℃で熱処理を行い、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。次いでこのフィルムに、エチレン−酢酸ビニル系接着剤100部に対して溶剤としてトルエン400部を加えた塗布液を、乾燥膜厚10μmになるように塗布して乾燥固化させ、粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。
【0040】
実施例2
実施例1において、縦方向、横方向の延伸倍率を4.0倍とする以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0041】
比較例1
実施例1と同じ未延伸シート、二軸延伸試験装置を用いて、延伸温度95℃で、フィルムの長手方向、幅方向にそれぞれ3.5倍逐次二軸延伸すること以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0042】
比較例2〜7
実施例1において、湿式法シリカ粒子の細孔容積、平均粒径、粒子添加量を下記表1に記載のようにする以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0043】
比較例8〜9
実施例1において、延伸温度、延伸倍率を変更して、リターデーション、面配向度が本発明の範囲外とする以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0044】
比較例10
実施例1において、湿式法シリカ粒子を乾式法シリカ粒子に変えること以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
以上、実施例およびに比較例で得られたフィルムの物性および特性を表1にまとめて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例1およびに実施例2のフィルムは、本発明の要件を満たしているため、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である表面保護フィルムであった。これに対して、比較例1〜10のフィルムは、本発明の要件を満たしていないため、取り扱い作業性、偏光特性、目視異物検査に劣るものであった。
【0047】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のフィルムは、偏光特性の改善された表面保護フィルムに関し、さらに詳しくは、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査に優れるものであり、その工業的価値は高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、同時二軸延伸法によって製膜された二軸配向ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、偏光特性の改善された表面保護フィルムに関し、さらに詳しくは、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来技術】
近年、ディスプレイとして、CRTディスプレイに次いで液晶ディスプレイが、例えば、ノートパソコン、カーナビゲーション等に幅広く使用されている。かかる液晶表示装置は、一般的には、バックライト側から、偏光板、液晶セル、偏光板を積層することにより作成される。さらには、表示モード、視野角改善等によって、位相差板等の各種補償板が挿入される。この液晶ディスプレイの製造工程は非常に複雑であり、しかも異物、傷等の混入を嫌う。そのため部品となる偏光板、位相差板や視野角拡大フィルムの光学部品や光学積層体の表面保護として、保護フィルムが使用される。
【0003】
偏光板、位相差板または視野角拡大フィルムは、それらの面の一方向の面に、粘着層を設け、その粘着層の上に表面保護フィルムを積層したロール状態から各種サイズに打ち抜き裁断して液晶ディスプレイ用として提供されるが、その製造時の検査で重要な項目の一つとして、異物の混入、付着の検査があり、これには偏光板偏光子製造工程に言うに及ばず、保護フィルムとの積層工程、打ち抜き裁断工程および養生出荷梱包工程までの全行程における異物管理が大切である。
【0004】
しかしながら、最終検査工程における異物検査は、クロスニコル法(偏光板を2枚、その延伸軸を直交させて間に保護フィルムを入れ、透過光で観察する方法)による人間による目視検査であり、特に大画面用のものについては保護フィルムのベースである二軸配向ポリエステルフィルムの光学的異方性が原因となって正確な目視検査が阻害される場合があり、そのために異物混入の見逃しがかなりの頻度で発生している。
【0005】
その解決手段として、種々の提案がなされており(例えば、特許文献1参照)、当該手法によると、一軸方向に高リターデーションを得ることにより、配向主軸の方向を偏光板または位相差板の配向軸の方向と実質的に同じにするか、90°となるように積層することにより問題が解決されるとのことである。しかしながら、一軸方向に高リターデーションを得るためには、一軸方向に高延伸倍率となり、結果的に一軸延伸フィルムとなるために、製膜時の張力変動やスリット時またはフィルム加工時にフィルムが破断(裂け)しやすくなり、連続製膜性、取り扱い作業性が非常に劣るものである。
【0006】
また、光学異方性の少ない低リターデーションである保護フィルムを用いる方法が提示されている(例えば、特許文献2参照)が、現在、偏光板または位相差板の保護フィルムとして用いられているこれらの二軸配向ポリエステルフィルムは、光学異方性対策だけでは、十分に解決していないものである。
すなわち、フィルムの光学異方性とは別に、フィルム中に存在する粒子および表面によって、偏光板または位相差板に混入した異物や欠点である輝点を見落として、正確な目視異物検査が困難であるのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開2000−94565号公報
【特許文献2】特開平6−3664号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情を鑑みなされたものであり、その解決課題は、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である同時二軸延伸法によって製膜された二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を採用することにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、細孔容積が0.5〜2.0ml/g、平均粒径が0.1〜5.0μmである湿式法シリカ粒子を0.01〜0.5重量%含有する、同時二軸延伸法により製造されたフィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
0≦Re≦300 …(1)
0.1450≦ΔP≦0.1650 …(2)
(上記式中、Reはフィルムのリターデーション(nm)、ΔPはフィルムの面配向度を表す)
【0011】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲内であれば、他の第三成分を含有してもよい。
【0012】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を使用することができる。グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を使用することができる。
【0013】
本発明で用いるポリエステルの極限粘度は、通常0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりするという問題が生じることがある。一方、極限粘度が1.0を超えると、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性が損なわれることがある。本発明で用いるポリエステルには、必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、潤滑剤などの添加剤を加えることができる。
【0014】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムに滑り性を与えて取り扱い性を向上する目的や、フィルム巻き取り時の傷の発生防止を目的として、ポリエステルに不活性な微粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させるために、湿式法シリカ粒子を含有することが必要であり、従来のような球状または不定形シリカ粒子含有していたのでは、延伸時にボイドが発生して、保護フィルムとして使用できるに十分な透明性が得られない。
【0015】
かかる湿式法シリカ粒子を構成する一次粒子の平均粒径は0.01〜0.1μmの範囲にあることが好ましい。一次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、スラリー段階で解砕により極微細粒子が生成し、これが粗大な凝集体を生成してしまうおそれがある。また、一次粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、粒子の多孔質性が失われる傾向があり、その結果、ポリエステルとの親和性が失われ、ボイドが生成しやすくなり、透明性が失われる場合がある。
【0016】
さらに、本発明で用いる湿式法シリカ粒子の細孔容積は、0.5〜2.0ml/gの範囲であり、好ましくは0.6〜1.8ml/gの範囲である。細孔容積が0.5ml/g未満では、粒子の多孔質性が失われ、ボイドが生成しやすくなり、透明性が低下するので不適当である。一方、細孔容積が2.0ml/gを超えると、解砕、凝集が起こりやすく、粒径の調整を行うことが困難となる。
【0017】
本発明で用いる湿式法シリカ粒子の平均粒径は、0.1〜5.0μmの範囲であり、好ましくは0.3〜3.0μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満では、フィルムの滑り性が不十分で、取り扱い作業性が悪化する。一方、平均粒径が5.0μmを超えると、フィルムが霜降り状になって透明性が劣るので好ましくない。
【0018】
本発明で用いる湿式法シリカ粒子の添加量は、0.01〜0.5重量%の範囲であり、好ましくは0.02〜0.4重量%の範囲である。粒子添加量が0.01重量%未満では、フィルムの滑り性が不十分で、取り扱い作業性が悪化する。一方、粒子添加量が0.5重量%を超えると、フィルムの透明性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムヘーズが10%以下であることが好ましい。フィルムヘーズが10%を超えると、フィルムを光が通過する際の散乱光が増大するため、透過光量が増加し、結果的にコントラストを低下させることがある。また、透過光による目視検査での欠点検出精度も低下する傾向がある。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのリターデーション(Re)は0〜300nmの範囲にある必要がある。フィルムのリターデーション(Re)が300nmを超えると、位相差が色として、偏光板の検査工程で干渉色として悪影響を与えるので好ましくない。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)は0.1450〜0.1650の範囲にある必要がある。フィルムの面配向度(ΔP)が0.1450未満では、フィルムの剛直性が失われフィルムの取り扱い性が悪化する。一方、面配向度(ΔP)が0.1650を超えると、光学異方性が大きくなり、本発明のリターデーション(Re)が得られなくなるので好ましくない。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、同時二軸延伸法により製造されたものである。同時二軸延伸機の縦方向の延伸機構には従来の方式であるスクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていくスクリュー方式、パンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていくパンタグラフ方式がある。これらは、製膜速度が遅い、延伸倍率等の条件変更が容易でない等の問題を抱えているが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造に用いることができる。一方、近年、リニアモーターの原理を用いて、各クリップを独自に制御して、クリップ間隔を調整するリニアモーター方式の同時二軸延伸ではこれらの問題を一挙に解決できる。また、同時二軸延伸では、逐次二軸延伸のように縦延伸ロールを使用しないために、フィルム表面の傷がなくなり、保護フィルムとして好ましいものである。その他、逐次二軸延伸ではフィルムの光学異方性が大きくなって、本発明のリラーデーション(Re)および面配向度(ΔP)を得ることができない。
【0023】
本発明でいう同時二軸延伸とは、フィルムの縦方向、横方向に同時に配向を与えるための延伸であり、同時二軸延伸機を用い、フィルムの端面をクリップしながら搬送して、縦方向および横方向に延伸する操作をいう。ここで言うフィルムの縦方向とは、フィルムの長手方向であり、横方向とは、フィルムの幅方向である。もちろん、縦方向と横方向の延伸が時間的に同時に延伸されている部分があればよいのであって、従って、横方向または縦方向に単独に先に延伸した後に、縦方向と横方向とを同時に延伸する方法や、さらに同時二軸延伸後に横方向または縦方向に単独にさらに延伸する方法なども含まれるものである。
【0024】
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
本発明のフィルムを得るに際しては、ポリエステルをエクストルーダーに代表される周知の溶融押し出し機に供給し、ポリエステルの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリエステルをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を高めることが好ましく、本発明においては、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0025】
前記未延伸シートの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持させ、70〜130℃に加熱して縦および横方向に3〜30倍に同時二軸延伸する。その後、弛緩を数%として、80〜240℃で数秒間熱処理した後、室温まで冷却し、巻き取って所望の厚みのフィルムを得る。延伸に際しては、未延伸シートを必要に応じて縦および横方向に1〜1.5倍程度に予備延伸した後、同時二軸延伸してもよい。
【0026】
延伸後の熱処理は、フィルムの熱収縮率を小さくするための工程であり、熱処理は、熱風を吹き付ける方法、マイクロ波を照射する方法、赤外線を照射する方法等公知の方法を採用することができるが、均一に精度よく加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
【0027】
本発明のフィルムには、さらに特定の性能を付与するため、例えば易接着性、易滑性、離型性、制電性を付与するために、同時二軸延伸の前または後の工程で、ポリエステルフィルムの表面に塗布剤をコーティングすることも好ましく行うことができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明における種々の物性および特性の測定方法、定義は下記のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」とあるは「重量部」を示す。
【0029】
(1)粒子の平均粒径
レーザ回折散乱法((株)堀場製作所製 LA−910)によって求められる全粒子の50重量%点にある粒子の等価球形直径をもって平均粒径とした。
【0030】
(2)細孔容積
窒素吸脱着法で測定し、BET式で計算した。
【0031】
(3)ポリマーの極限粘度
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン(50/50(重量比))の混合溶媒100ml中に溶解させ、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0032】
(4)リターデーション(nm)
カールツァイス社製偏光顕微鏡にてカルサイトコンペンセーターを用いて測定した。なお、光源はNa−D線(波長λ=589nm)を用いた。
【0033】
(5)面配向度(ΔP)
アタゴ光学社製アッベ屈折計を用いて、フィルム面内の屈折率の最大値(nγ)、それに直角方向の屈折率(nβ)およびフィルムの厚さ方向の屈折率(nα)を測定し、下記式より面配向度(ΔP)を算出した。尚、屈折率の測定は、Na−D線(波長λ=589nm)を用い、マウント液にはヨウ化メチレンを用いて、23℃、50%RHで行った。
ΔP=[(nγ+nβ)/2]−nα
【0034】
(6)フィルムヘーズ
JIS−K7136に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計(NDH−2000)を用い、フィルムの濁度を測定した。
【0035】
(7)目視異物検査
基材フィルムを偏光板や位相差板の保護フィルムとして用いた場合のクロスニコル法による検品での異物、傷等の検出精度を3段階評価した。
○:全く問題なく検出できる。
△:かなり検出精度が劣る。
×:全く検出できない。
【0036】
(8)取り扱い作業性
フィルムの製造時巻き取り作業性やフィルムの取り扱い作業性に関し、3段階評価した。
○:取り扱い作業性は良好で、スムースに作業できる。
△:取り扱い性は概ね良好だが、ややスムースに欠ける。
×:フィルム同士がブロッキングしたり、シワが入ったりしやすく、取り扱い作業性は不良。
【0037】
実施例1
[スラリーの調整]
細孔容積が1.60ml/g、平均粒径が2.4μmの湿式法シリカ粒子10部をエチレングリコール90部に分散させた。次いでホモミキサー(特殊機化工性 TKホモミキサー)で10000rpm−60分間分散し、1000メッシュの金網フィルターで濾過し、エチレングリコールスラリーとした。
【0038】
[ポリエステルの製造]
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム四水塩0.09部を加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで上記スラリーを0.5部を添加した後、エチルアシッドホスフェート0.04部を添加し、さらに三酸化アンチモン0.04部を加えて5時間重縮合反応を行い、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0039】
[ポリエステルフィルムの製造]
得られたポリエステルを、ベント付き二軸スクリューの押し出し機に供給し、280℃、−100KPaのベント減圧下で溶融混練りし、スリット状ダイより20℃の回転冷却ロール上にシート状に押し出し、静電印加冷却法を使用して回転冷却ロールにより急冷して未延伸シートを得た。得られたシートを、長手方向に11cmに切り出し、長手方向、幅方向ともに11cmの正方形とした後、T.M.Long社製二軸延伸試験装置を用いて、延伸温度95℃で、フィルムの長手方向、幅方向にそれぞれ3.5倍同時二軸延伸した後、220℃で熱処理を行い、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。次いでこのフィルムに、エチレン−酢酸ビニル系接着剤100部に対して溶剤としてトルエン400部を加えた塗布液を、乾燥膜厚10μmになるように塗布して乾燥固化させ、粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。
【0040】
実施例2
実施例1において、縦方向、横方向の延伸倍率を4.0倍とする以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0041】
比較例1
実施例1と同じ未延伸シート、二軸延伸試験装置を用いて、延伸温度95℃で、フィルムの長手方向、幅方向にそれぞれ3.5倍逐次二軸延伸すること以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0042】
比較例2〜7
実施例1において、湿式法シリカ粒子の細孔容積、平均粒径、粒子添加量を下記表1に記載のようにする以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0043】
比較例8〜9
実施例1において、延伸温度、延伸倍率を変更して、リターデーション、面配向度が本発明の範囲外とする以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
【0044】
比較例10
実施例1において、湿式法シリカ粒子を乾式法シリカ粒子に変えること以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエステルフィルムおよびに保護フィルムを得た。
以上、実施例およびに比較例で得られたフィルムの物性および特性を表1にまとめて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例1およびに実施例2のフィルムは、本発明の要件を満たしているため、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査が容易である表面保護フィルムであった。これに対して、比較例1〜10のフィルムは、本発明の要件を満たしていないため、取り扱い作業性、偏光特性、目視異物検査に劣るものであった。
【0047】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のフィルムは、偏光特性の改善された表面保護フィルムに関し、さらに詳しくは、取り扱い作業性、偏光特性に優れ、かつ、目視異物検査に優れるものであり、その工業的価値は高い。
Claims (1)
- 細孔容積が0.5〜2.0ml/g、平均粒径が0.1〜5.0μmである湿式法シリカ粒子を0.01〜0.5重量%含有する、同時二軸延伸法により製造されたフィルムであって、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
0≦Re≦300 …(1)
0.1450≦ΔP≦0.1650 …(2)
(上記式中、Reはフィルムのリターデーション(nm)、ΔPはフィルムの面配向度を表す)
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