JP5428113B2 - 電界効果トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明は、電界効果トランジスタに関する。更に詳しくは、本発明は特定の有機複素環化合物により形成される半導体層を有することを特徴とする電界効果トランジスタに関する。
電界効果トランジスタは、一般に、基板上に半導体層(半導体膜)、ソース電極、ドレイン電極、及びこれらの電極に対して絶縁体層を介在させて設けられるゲート電極等を有する素子であり、論理回路素子として集積回路に使用されるほか、スイッチング素子などにも幅広く用いられている。半導体層は、通常の場合、半導体材料により形成される。現在、電界効果トランジスタには、シリコンを中心とする無機系の半導体材料が使われており、特にアモルファスシリコンを用いて、ガラスなどの基板上に半導体層が作成された薄膜トランジスタがディスプレイ等に利用されている。このような無機の半導体材料を用いた場合、電界効果トランジスタの製造時に高温や真空で処理する必要があり、高額な設備投資や、製造に多くのエネルギーを要するため、コストが非常に高いものとなる。又、これらにおいては電界効果トランジスタの製造時に高温に曝されるために、基板としてフィルムやプラスチックのような耐熱性が十分でない材料を利用する事ができない。このため、たとえば折り曲げること等が可能な柔軟性を有する素材を基板として利用できないため、その応用範囲が制限されている。
これに対して、電界効果トランジスタの製造に有機の半導体材料を用いた電界効果トランジスタの研究、開発が行われている。有機材料を用いることにより、高温での処理を必要としない低温プロセスでの製造が可能になり、用い得る基板材料の範囲が拡大される。その結果、従来以上にフレキシブルであり、且つ軽量で、壊れにくい電界効果トランジスタの作成が実現可能となってきた。また電界効果トランジスタの作成工程において、半導体材料を溶解した溶液の塗布、インクジェットなどによる印刷等の手法が採用できる場合もあるため、大面積の電界効果トランジスタを低コストで製造できる可能性がある。また有機の半導体材料用の化合物としては、様々なものが選択可能であり、その特性を活かした、これまでに無い機能の発現が期待されている。
有機化合物を半導体材料として用いる例は、これまで各種の検討がなされており、例えばペンタセン、チオフェン又はこれらのオリゴマーやポリマーを利用したものが正孔輸送特性を有する材料としてすでに知られている(特許文献1及び2参照)。ペンタセンは5個のベンゼン環が直線状に縮合したアセン系の芳香族炭化水素であり、これを半導体材料として用いた電界効果トランジスタは、現在実用化されているアモルファスシリコンに匹敵する電荷の移動度(キャリア移動度)を示すことが報告されている。
しかしその性能は化合物の純度に大きく影響を受け、その上その精製が困難であり、トランジスタ材料として用いるには製造コストが高い等を含めて課題が多いものとなっている。さらにはこの化合物を用いた電界効果トランジスタは、環境による劣化が起こり、安定性に問題がある。またチオフェン系の化合物を用いた場合においても同様の問題点があり、それぞれ実用性の高い材料とは言いがたいのが現状である。
ところで、液晶性化合物として、2,6−ジフェニルベンゾ[[1,2−b:4,5−b’]]ジチオフェンのアルキル(炭素数8から12)及びアルコキシ誘導体(炭素数8から12)について検討がなされている(特許文献3参照)。また、有機半導体材料として、2,6−ジフェニルベンゾ[[1,2−b:4,5−b’]]ジセレノフェン、及び2,6−ビス[(4,1’−ビフェニル)−1−イル]−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジセレノフェン等について検討がなされ、比較的高い電子移動度を有し、大気中でも安定であるという特徴から実用化が期待されている(特許文献4及び非特許文献1、2参照)。
しかし、これらの化合物は比較的高い閾値電圧を有することから、実際に使用する場合、駆動電圧が高くなり、消費電力が上昇してしまうなどの問題点が懸念される。閾値電圧が高いと、携帯型のディスプレイを例にすれば、充電型電池で使用できる時間が短くなってしまうこととなる。また閾値電圧が高くなると、動作速度の低下も招く等の問題点もあるため、閾値電圧を低下させることが望まれている。
さらに、これらの化合物は、耐熱性及び耐湿熱性等の点で耐久性が不十分であり、比較的高い温度や湿度の環境下では、急速にキャリア移動度が低下してしまう、という問題があり、改善が望まれている。
また、ペンタセン等の標準的な有機の半導体材料を用いて基上に半導体層を形成する際に基板の温度が半導体層の特性、特にキャリア移動度及び閾値電圧に如何なる影響を及ぼすかの点については検討がなされている。
特開2001−94107号公報 特開平6−177380号公報 特開2005−330185号公報 特開2005−154371号公報 J.Am.Chem.Soc.,Vol.126,5084−5085(2004) Chem.Letters,Vol.35,No.10,1200−1201(2006)
本発明は優れたキャリア移動度を有し、耐熱性及び耐湿性に優れ、実用的な閾値電圧などの特性を有する、有機化合物、該化合物からなる半導体材料、並びに該化合物により形成された半導体層を有する電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有する2,6−ジフェニルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジカルコゲノフェンのアルキル誘導体が、上記の点で従来の有機半導体材料と比較して優れた特性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、その一つの態様において、
(1) 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を半導体材料として用い、該化合物により半導体層が形成されていることを特徴とする電界効果トランジスタ;
Figure 0005428113

(式(1)中、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を、R及びRはそれぞれ独立にC1−C14のアルキル基を表す。
但し、X及びXのいずれもがセレン原子の場合には、R及びRはそれぞれ独立にC1−C4のアルキル基を表す。)を提供するものである。
本発明の電界効果トランジスタにおいて好ましいものとしては、
式(1)で表される化合物のR及びRがそれぞれ独立にC1−C8アルキル基である(但し、X及びXのいずれもがセレン原子の場合には、R及びRはそれぞれ独立にC1−C4のアルキル基を表す)ことを特徴とする上記電界効果トランジスタ;
式(1)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRがそれぞれ独立にC1−C4アルキル基であることを特徴とする上記のいずれかに記載の電界効果トランジスタ;
式(1)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRがそれぞれ独立に直鎖のC1−C4アルキル基であることを特徴とする上記のいずれかの電界効果トランジスタ;
式(1)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRが同一かつ無置換の直鎖C1−C4アルキル基であることを特徴とする上記のいずれかの電界効果トランジスタ;
式(1)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRが同一かつメチル基又はエチル基であることを特徴とする上記のいずれかの電界効果トランジスタ;
式(1)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRが同一かつメチル基であることを特徴とする上記のいずれかの電界効果トランジスタ;
半導体層が単層構造を有することを特徴とする上記のいずれかの電界効果トランジスタ;及び
半導体層が式(1)で表される単一の化合物により形成されている単層構造を有することを特徴とする上記のいずれかの電界効果トランジスタが挙げられる。
本発明はまた、その他の態様において、
下記式(2)で表される化合物;
Figure 0005428113

(式(2)中、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を、R及びRはそれぞれ独立にC1−C4アルキル基を表す。)を提供する。
本発明の化合物において好ましいものとしては、
式(2)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRが同一かつ無置換の直鎖C1−C4アルキル基である、上記の化合物;
式(2)で表される化合物のR及びRがメチル基である上記の化合物;及び
式(2)で表される化合物のX及びXが同一かつ硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRが同一かつメチル基又はエチル基である、上記の化合物がある。
前記式(1)で表される特定の2,6−ジフェニルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジカルコゲノフェンの特定のアルキル誘導体を使用することにより、優れたキャリア移動度を有し、耐熱性および耐湿熱性等の点で安定性に優れ、かつ閾値電圧が従来のものより低値である有機系の電界効果トランジスタを提供することができる。
図1は、本発明の電界効果トランジスタの構造態様例を示す概略図である。 図2は、本発明の電界効果トランジスタの一態様例を製造する為の工程の概略図である。 図3は、実施例1で得られた本発明の電界効果トランジスタの概略図である。
符号の説明
図1〜図3において同じ名称には同じ番号を付すものとする。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層
本発明を詳細に説明する。
本発明は特定の有機化合物を半導体材料として用いた有機系の電界効果トランジスタに関し、半導体材料として前記式(1)で表される化合物を使用し、半導体層を形成したものである。そこでまず上記式(1)の化合物について説明する。
式(1)中、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を、R及びRはそれぞれ独立にC1−C14アルキル基を表す。
但し、X及びXのいずれもがセレン原子の場合には、R及びRはそれぞれ独立にC1−C4のアルキル基を表す。
及びXは、それぞれ独立に硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であるが、硫黄原子又はセレン原子が好ましい。特に好ましくは硫黄原子である。また、X及びXは同一であることがより好ましく、同一でありかつ硫黄原子又はセレン原子であることがさらに好ましい。同一である場合であっても、特に硫黄原子が好ましい。
及びRのアルキル基としては直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、その炭素数は1〜14であり、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜3である。
ここで、飽和直鎖アルキル基の具体例としては、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、テトラデシル等が挙げられる。
飽和分岐鎖アルキル基の具体例としては、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル等が挙げられる。
飽和環状アルキル基の具体例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、アダマンチル、ノルボルニル等の炭素数3乃至14のシクロアルキル基が挙げられる。
不飽和アルキル基の具体例としてはアリル等が挙げられる。
C1−C14アルキル基としては不飽和より飽和アルキル基が好ましく、置換基を有するものより無置換のものが好ましい。
より好ましくはC1−C8の飽和直鎖アルキル基、更に好ましくはC1−C4の飽和直鎖アルキル基、特に好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルである。
及びRは、それぞれ独立に上記のアルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよいが、同一である場合がより好ましい。
及びXのいずれもがセレン原子の場合には、R及びRはそれぞれ独立にC1−C4のアルキル基を表すが、この場合の「C1−C4のアルキル基」は、好ましくはC1−C2アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
上記のX、X、R及びRで、好ましいものとして挙げた原子及び基の組合わせを有する化合物はより好ましく、より好ましいもとして挙げた原子及び基の組合わせを有する化合物はさらに好ましく、特に好ましいものとして挙げた原子及び基の組合わせを有する化合物は特に好ましい。
上記式(1)で表される化合物のうち、より好ましい化合物は下記式(2)で表される化合物である。
Figure 0005428113
(式(2)中、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を、R及びRはそれぞれ独立にC1−C4アルキル基を表す。
式(2)において、X及びXは、好ましいものを含めて、上記式(1)におけるものと同じ意味を表す。
及びRとしては、上記式(1)におけるR及びRにおいて挙げた基のうち、C1−C4アルキルに該当するものを挙げる事ができ、好ましい基もR及びRと同様である。また、X及びXのいずれもがセレン原子の場合においても上記式(1)と同様である。
式(2)においてもX、X、R及びRで好ましいものとして挙げた原子及び基の組合わせを有する化合物はより好ましく、より好ましいものとして挙げた原子及び基の組合わせを有する化合物はさらに好ましく、特に好ましいものとして挙げた原子及び基の組合わせを有する化合物は特に好ましい。
式(1)で表される化合物は、非特許文献1及び2に開示された公知の方法などにより合成することができる。例えば、下記スキーム1で表されるように、下記式(A)で表される1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンから下記式(B)の化合物を得、この式(B)の化合物から目的化合物を得る2工程により、容易に純度の高い目的物を得ることも可能である。より具体的には、例えば、特許文献4記載の方法及び非特許文献3に記載の方法に準じて、化合物(A)とアリールアセチレン誘導体を塩化パラジウム・ビス(トリフェニルホスフィン)ヨウ化第1銅の存在下、ジイソプロピルアミン中反応させることで化合物(B)を得ることが出来る。またこの化合物(B)を、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒中、硫化ナトリウムなどの硫黄化合物と140℃程度で8時間程度反応させることにより上記式(1)で表される化合物を得ることが出来る。
Figure 0005428113
上記式(1)で表される化合物の精製方法は、特に限定されず、再結晶、カラムグロマトグラフィー、及び真空昇華精製等の公知の方法が採用できる。また必要に応じてこれらの方法を組合わせて用いてもよい。
下記表1に上記式(1)で示される化合物の具体例を示す。
Figure 0005428113
Figure 0005428113
本発明の電界効果トランジスタ(Field effect transistor、以下FETと略することがある)は、半導体に接して2つの電極(ソース電極及びドレイン電極)があり、その電極間に流れる電流を、ゲート電極と呼ばれるもう一つの電極に印加する電圧で制御するものである。
一般に、電界効果トランジスタはゲート電極が絶縁膜で絶縁されている構造(Metal−Insulator−Semiconductor;MIS構造)がよく用いられる。絶縁膜に金属酸化膜を用いるものはMOS構造と呼ばれる。他には、ショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造、すなわちMES構造、のものもあるが、有機半導体材料を用いたFETの場合、MIS構造がよく用いられる。
以下、図を用いて本発明による有機系の電界効果トランジスタについてより詳細に説明するが、本発明はこれらの構造には限定されない。
図1に、本発明の電界効果トランジスタ(素子)のいくつかの態様例を示す。各例において、1がソース電極、2が半導体層、3がドレイン電極、4が絶縁体層、5がゲート電極、6が基板をそれぞれ表す。尚、各層や電極の配置は、素子の用途により適宜選択できる。A〜Dは基板と並行方向に電流が流れるので、横型FETと呼ばれる。Aはボトムコンタクト構造、Bはトップコンタクト構造と呼ばれる。また、Cは有機単結晶のFET作成によく用いられる構造で、半導体上にソース及びドレイン電極、絶縁体層を設け、さらにその上にゲート電極を形成している。Dはトップ&ボトムコンタクト型トランジスタと呼ばれる構造である。Eは縦型の構造をもつFET、すなわち静電誘導トランジスタ(SIT)の模式図である。このSITは、電流の流れが平面状に広がるので一度に大量のキャリアが移動できる。またソース電極とドレイン電極が縦に配されているので電極間距離を小さくできるため応答が高速である。従って、大電流を流す、高速のスイッチングを行うなどの用途に好ましく適用できる。なお図1中のEには、基板を記載していないが、通常の場合、図1E中の1および3で表されるソース及びドレイン電極の外側には基板が設けられる。
各態様例における各構成要素につき説明する。
基板6は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。例えば樹脂板やフィルム、紙、ガラス、石英、セラミックなどの絶縁性材料;金属や合金などの導電性基板上にコーティング等により絶縁層を形成した物;樹脂と無機材料など各種組合せからなる材料;等が使用できる。使用できる樹脂フィルムの例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。樹脂フィルムや紙を用いると、素子に可撓性を持たせることができ、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板の厚さとしては、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。
ソース電極1、ドレイン電極3、ゲート電極5には導電性を有する材料が用いられる。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウム等の金属及びそれらを含む合金;InO、ZnO、SnO、ITO等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料;等が使用できる。また、導電性高分子化合物や半導体にはドーピングが行われていてもよい。その際のドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;スルホン酸等の酸性官能基を有する有機酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属原子;等が挙げられる。ホウ素、リン、砒素などはシリコンなどの無機半導体用のドーパントとしても多用されている。また、上記のドーパントにカーボンブラックや金属粒子などを分散した導電性の複合材料も用いられる。
またソースとドレイン電極間の距離(チャネル長)が素子の特性を決める重要なファクターとなる。該チャネル長は、通常0.1〜300μm、好ましくは0.5〜100μmである。チャネル長が短ければ取り出せる電流量は増えるが、逆にリーク電流などが発生するため、適正なチャネル長が必要である。ソースとドレイン電極間の幅(チャネル幅)は通常10〜10000μm、好ましくは100〜5000μmとなる。またこのチャネル幅は、電極の構造をくし型構造とすることなどにより、さらに長いチャネル幅を形成することが可能で、必要な電流量や素子の構造などにより、適切な長さにすれば良い。
ソース及びドレイン電極のそれぞれの構造(形)について説明する。ソースとドレイン電極の構造はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。ボトムコンタクト構造を有するときには、一般的にはリソグラフィー法を用いて各電極を作成し、直方体に形成するのが好ましい。電極の長さは前記のチャネル幅と同じでよい。電極の幅には特に規定は無いが、電気的特性を安定化できる範囲で、素子の面積を小さくするためには短い方が好ましい。電極の幅は、通常0.1〜1000μmであり、好ましくは0.5〜100μmである。電極の厚さは、通常0.1〜1000nmであり、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。各電極1、3、5には配線が連結されているが、配線も電極とほぼ同様の材料により作製される。
絶縁体層4としては絶縁性を有する材料が用いられる。例えば、ポリパラキシリレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の金属酸化物;SrTiO、BaTiO等の強誘電性金属酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化物;硫化物;フッ化物などの誘電体;あるいは、これら誘電体の粒子を分散させたポリマー;等が使用しうる。絶縁体層4の膜厚は、材料によって異なるが、通常0.1nm〜100μm、好ましくは0.5nm〜50μm、より好ましくは1nm〜10μmである。
半導体層2の材料として、前記式(1)で表される化合物が用いられる。該化合物は混合物であってもよいが、半導体層中には式(1)で表される化合物を通常50重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含むことが好ましい。
電界効果トランジスタの特性を改善したり他の特性を付与するために、必要に応じて他の有機半導体材料や各種添加剤が混合されていてもよい。また半導体層2は複数の層から成ってもよい。
本発明の電界効果トランジスタにおいては、上記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を半導体材料として用い、実質的に半導体材料としては、該式(1)で表される化合物のみを使用することが好ましく、上記式(1)で表される複数の化合物の混合物よりも、単一の化合物を半導体材料として用いることが特に好ましい。しかし、上記のようにトランジスタの特性を改善する目的等のために、ドーパント等の添加剤については、これを含有することを妨げない。
上記添加剤は、半導体材料の総量を1とした場合、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲で添加するのがよい。
また半導体層についても複数の層を形成していてもよいが、単層構造であることがより好ましい。
半導体層2の膜厚は、必要な機能を失わない範囲で、薄いほど好ましい。A、B及びDに示すような横型の電界効果トランジスタにおいては、所定以上の膜厚があれば素子の特性は膜厚に依存しない一方、膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多いためである。必要な機能を示すための半導体層の膜厚は、通常、1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
本発明の電界効果トランジスタには、例えば基板層と絶縁膜層や絶縁膜層と半導体層の間や素子の外面に必要に応じて他の層を設けることができる。例えば、半導体層上に直接または他の層を介して、保護層を形成すると、湿度などの外気の影響を小さくすることができ、また、素子のON/OFF比を上げることができるなど、電気的特性を安定化できる利点もある。
保護層の材料としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜;及び窒化膜等の誘電体からなる膜;等が好ましく用いられ、特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が好ましい。近年、有機ELディスプレイ用に開発されている保護材料も使用が可能である。保護層の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を選択できるが、通常100nm〜1mmである。
また半導体層が積層される基板または絶縁体層上などに予め表面処理を行うことにより、素子の特性を向上させることが可能である。例えば基板表面の親水性/疎水性の度合いを調整することにより、その上に成膜される膜の膜質を改良しうる。特に、有機半導体材料は分子の配向など膜の状態によって特性が大きく変わることがある。そのため、基板などへの表面処理によって、基板などとその後に成膜される半導体層との界面部分の分子配向が制御されること、また基板や絶縁体層上のトラップ部位が低減されることにより、キャリア移動度等の特性が改良されるものと考えられる。
トラップ部位とは、未処理の基板に存在する例えば水酸基のような官能基をさし、このような官能基が存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果としてキャリア移動度が低下する。従って、トラップ部位を低減することもキャリア移動度等の特性改良には有効な場合が多い。
上記のような特性改良のための基板処理としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等による疎水化処理;塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等のプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理;機械的処理;コロナ放電などの電気的処理;又繊維等を利用したラビング処理;等が挙げられる。
これらの態様において、例えば基板層と絶縁膜層や絶縁膜層と半導体層等の各層を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等が適宜採用できる。
次に、本発明に係る電界効果トランジスタの製造方法について、図1の態様例Aに示すボトムコンタクト型電界効果トランジスタ(FET)を例として、図2に基づき以下に説明する。
この製造方法は前記した他の態様の電界効果トランジスタ等にも同様に適用しうるものである。
(基板及び基板処理)
本発明の電界効果トランジスタは、基板6上に必要な各種の層や電極を設けることで作製される(図2(1)参照)。基板としては上記で説明したものが使用できる。この基板上に前述の表面処理などを行うことも可能である。基板6の厚みは、必要な機能を妨げない範囲で薄い方が好ましい。材料によっても異なるが、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。又、必要により、基板に電極の機能を持たせるようにしてもよい。
(ゲート電極の形成)
基板6上にゲート電極5を形成する(図2(2)参照)。電極材料としては上記で説明したものが用いられる。電極膜を成膜する方法としては、各種の方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等が採用される。成膜時又は成膜後、所望の形状になるよう必要に応じてパターニングを行うのが好ましい。パターニングの方法としても各種の方法を用いうるが、例えばフォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。又、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法、及びこれら手法を複数組み合わせた手法を利用し、パターニングすることも可能である。ゲート電極5の膜厚は、材料によっても異なるが、通常0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。又、ゲート電極と基板を兼ねる場合は上記の膜厚より大きくてもよい。
(絶縁体層の形成)
ゲート電極5上に絶縁体層4を形成する(図2(3)参照)。絶縁体材料としては上記で説明したもの等が用いられる。絶縁体層4を形成するにあたっては各種の方法を用いうる。例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティングなどの塗布法、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット等の印刷法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD法などのドライプロセス法が挙げられる。その他、ゾルゲル法やアルミニウム上のアルマイト、シリコン上の二酸化シリコンのように金属上に酸化物膜を形成する方法等が採用される。
尚、絶縁体層と半導体層が接する部分においては、両層の界面で半導体を構成する分子、例えば上記式(1)で表される化合物の分子を良好に配向させるために、絶縁体層に所定の表面処理を行うこともできる。表面処理の手法は、基板の表面処理と同様のものを用いうる。絶縁体層4の膜厚は、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
(ソース電極及びドレイン電極の形成)
ソース電極1及びドレイン電極3の形成方法等はゲート電極5の場合に準じて形成することができる(図2(4)参照)。
(半導体層の形成)
半導体材料としては上記で説明したように、前記式(1)で表される化合物の一種または複数種の混合物を総量で通常50重量%以上含む有機材料が使用される。半導体層を成膜するにあたっては、各種の方法を用いることができる。スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法、真空蒸着法等の真空プロセスでの形成方法;ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などの溶液プロセスでの形成方法;に大別される。
なお、本願発明の上記式(1)で表される化合物を半導体材料として使用し、半導体層を形成する場合には、溶液プロセスよりも、真空プロセスによって成膜し、有機半導体層を形成する方法がより好ましく、真空蒸着法がさらに好ましい。
有機材料を真空プロセスによって成膜し有機半導体層を得る方法について説明する。
前記有機材料をルツボや金属のボート中で真空下、加熱し、蒸発した有機材料を基板(絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極の露出部)に付着(蒸着)させる方法、すなわち真空蒸着法が好ましく採用される。この際、真空度は、通常1.0×10−1Pa以下、好ましくは1.0×10−3Pa以下である。また、蒸着時の基板温度によって有機半導体膜、ひいては電界効果トランジスタの特性が変化する場合があるので、注意深く基板温度を選択するのが好ましい。蒸着時の基板温度は通常、0〜200℃であり、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは15〜120℃であり、さらに好ましくは25〜100℃であり、特に好ましくは40〜80℃である。また、上記式(1)のX及びXが同一で、硫黄原子又はセレン原子であり、R及びRが同一でメチル基である化合物の場合には、40〜80℃の基板温度で蒸着等により半導体膜を形成することが好ましく、50〜80℃の基板温度で半導体膜を形成することが、特に好ましい。
また、蒸着速度は、通常0.001nm/秒〜10nm/秒であり、好ましくは0.01nm/秒〜1nm/秒である。有機材料から形成される有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μmより好ましくは10nm〜3μmである。
尚、半導体層を形成するための有機材料を加熱、蒸発させ基板に付着させる蒸着方法に代えて、加速したアルゴン等のイオンを材料ターゲットに衝突させて材料原子を叩きだし基板に付着させるスパッタリング法を用いてもよい。
本発明における半導体材料は有機化合物であり、比較的低分子化合物であるため、このような真空プロセスが好ましく用いうる。このような真空プロセスには、やや高価な設備が必要であるというものの、成膜性が良く均一な膜が得られやすいという利点がある。
上記のようにして調製した半導体素子作製用のインクを、基板(絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極の露出部)に塗布する。塗布の方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。
更に、塗布方法に類似した方法として水面上に上記のインクを滴下することにより作製した半導体層の単分子膜を基板に移し積層するラングミュアプロジェクト法、液晶や融液状態の材料を2枚の基板で挟んだり毛管現象で基板間に導入する方法等も採用できる。
この方法により作製される有機半導体層の膜厚は、機能を損なわない範囲で、薄い方が好ましい。膜厚が大きくなると漏れ電流が大きくなる懸念がある。有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
このように形成された半導体層(図2(5)参照)は、後処理によりさらに特性を改良することが可能である。例えば、熱処理により、成膜時に生じた膜中の歪みが緩和されること、ピンホール等が低減されること、膜中の配列・配向が制御できると考えられていること等の理由により、半導体特性の向上や安定化を図ることができる。本発明の電界効果トランジスタの作成時にはこの熱処理を行うことが特性の向上の為には効果的である。本熱処理は半導体層を形成した後に基板を加熱することによって行う。熱処理の温度は特に制限は無いが通常、室温から150℃程度で、好ましくは40から120℃、さらに好ましくは45から100℃である。この時の熱処理時間については特に制限は無いが通常1分から24時間、好ましくは2分から3時間程度である。その時の雰囲気は大気中でもよいが、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下でもよい。
またその他の半導体層の後処理方法として、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や、酸化性あるいは還元性の液体などと処理することにより、酸化あるいは還元による特性変化を誘起することもできる。これは例えば膜中のキャリア密度の増加あるいは減少の目的で利用することが多い。
また、ドーピングと呼ばれる手法において、微量の元素、原子団、分子、高分子を半導体層に加えることにより、半導体層特性を変化させることができる。例えば、酸素、水素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;ナトリウム、カリウム等の金属原子;等をドーピングすることができる。これは、半導体層に対して、これらのガスを接触させたり、溶液に浸したり、電気化学的なドーピング処理をすることにより達成できる。これらのドーピングは半導体層の作製後でなくても、半導体材料の合成時に添加したり、半導体素子作製用のインクを用いて半導体層を作製するプロセスでは、そのインクに添加したり、さらに例えば特許文献2に開示された前駆体薄膜を形成する工程段階などで添加することができる。また蒸着時に半導体層を形成する材料に、ドーピングに用いる材料を添加して共蒸着したり、半導体層を作製する時の周囲の雰囲気に混合したり(ドーピング材料を存在させた環境下で半導体層を作製する)、さらにはイオンを真空中で加速して膜に衝突させてドーピングすることも可能である。
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加あるいは減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(p型、n型)、フェルミ準位の変化等が挙げられる。この様なドーピングは、特にシリコンなどの無機系の材料を用いた半導体素子ではよく利用されているものである。
(保護層)
有機半導体層上に保護層7を形成すると、外気の影響を最小限にでき、又、有機電界効果トランジスタの電気的特性を安定化できるという利点がある(図2(6)参照)。保護層材料としては前記のものが使用される。
保護層7の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を採用できるが、通常100nm〜1mmである。
保護層を成膜するにあたっては各種の方法を採用しうるが、保護層が樹脂からなる場合は、例えば、樹脂溶液を塗布後、乾燥させて樹脂膜とする方法;樹脂モノマーを塗布あるいは蒸着したのち重合する方法;などが挙げられる。成膜後に架橋処理を行ってもよい。保護層が無機物からなる場合は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法等の溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
本発明の電界効果トランジスタにおいては有機半導体層上の他、各層の間にも必要に応じて保護層を設けることができる。それらの層は有機電界効果トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
本発明によれば、有機材料を半導体材料として用いているため比較的低温プロセスでの製造が可能である。従って、高温にさらされる条件下では使用できなかったプラスチック板、プラスチックフィルム等フレキシブルな材質も基板として用いることができる。その結果、軽量で柔軟性に優れた壊れにくい素子の製造が可能になり、ディスプレイのアクティブマトリクスのスイッチング素子等として利用することができる。ディスプレイとしては、例えば液晶ディスプレイ、高分子分散型液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ、ELディスプレイ、エレクトロクロミック型ディスプレイ、粒子回転型ディスプレイ等が挙げられる。
本発明の電界効果トランジスタは、メモリー回路素子、信号ドライバー回路素子、信号処理回路素子などのデジタル素子やアナログ素子としても利用できる。さらにこれらを組み合わせることによりICカードやICタグの作製が可能となる。更に、本発明の電界効果トランジスタは化学物質等の外部刺激によりその特性に変化を起こすことができるので、FETセンサーとしての利用も可能である。
電界効果トランジスタの動作特性は、半導体層のキャリア移動度、電導度、絶縁層の静電容量、素子の構成(ソース・ドレイン電極間距離及び幅、絶縁層の膜厚等)などにより決まる。電界効果トランジスタに用いる半導体材料としては、半導体層を形成した場合のキャリア移動度が高いものほど好ましい。本発明における式(1)の化合物は成膜性が良い。さらにペンタセン誘導体などは、大気中においては大気に含まれる水分などにより分解を生じるなど、不安定で取扱が難しい化合物であるが、本発明の上記式(1)で表される化合物を半導体材料として用いた場合には、半導体層の作製後においても安定性が高く寿命が長いという利点がある。また上記式(1)で表される化合物により形成された半導体層を有するトランジスタは、低い閾値電圧を有することから、実際の使用においては、駆動電圧が低くなり、消費電力が従来のものよりも低下することにより省エネルギー化が可能となり、例えば充電型のバッテリー使用時に、より長時間の駆動が要求される携帯型のディスプレイ等への使用に有効である。また閾値電圧が低くなることによってエネルギーの消費が低減し、さらに閾値電圧の低下によって電極から半導体膜への電荷の注入障壁が低減されることにより、半導体素子及びそれを有する半導体デバイス自体の耐久性の向上にも効果があると期待される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中、部は特に指定しない限り質量部を、また%は質量%を、「化合物No.」は上記表1中の「化合物No.」をそれぞれ表す。
また反応温度は、特に断りのない限り反応系内の内温を記載した。
合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてMS(質量分析スペクトル)、極大吸収(λmax)、及びmp(融点)の各種の測定を行うことによりその構造式を決定した。測定機器は以下の通りである。
MSスペクトル:Shimadzu QP−5050A
吸収スペクトル:Shimadzu UV−3150
合成例1
2,6−ビス(p−メチルフェニル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(化合物No.1)の合成
1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−メチルフェニルエチニル)ベンゼン(39.9g,86mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド150mlに溶解し、NaSH・nHO(20.7g,527mmol)の70%水溶液を加え、140〜150℃で6時間攪拌した。室温まで放冷してメタノール(300ml)を加え、析出固体をろ過により取り出し、メタノール(300ml)、水(300ml)、メタノール(300ml)で順次洗浄した。得られた固体を乾燥後、昇華精製を行ない化合物No.1(23.0g,収率72.1%)を得た。
MS(70eV,EI) m/z=370(M+)
極大吸収:414nm(蒸着膜)
合成例2
2,6−ビス(p−エチルフェニル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(化合物No.2)の合成
合成例1において、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−エチルフェニルエチニル)ベンゼン(39.9g,86mmol)の代わりに、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−エチルフェニルエチニル)ベンゼン(43.3g,86mmol)を用いた以外は同様な処理を行い、化合物No.2(26.1g,収率76.2%)を得た。
MS(70eV,EI) m/z=398(M+)
極大吸収:416nm(蒸着膜)
合成例3
2,6−ビス(p−(n−オクチル)フェニル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(化合物No.11)の合成
合成例1において、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−エチルフェニルエチニル)ベンゼン(39.9g,86mmol)の代わりに1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−(n−オクチル)フェニルエチニル)ベンゼン(3.96g,6.0mmol)を用いた以外は同様な処理を行い、化合物No.11(2.64g,収率77.6%)を得た。
MS(70eV,EI) m/z=566(M+)
合成例4
2,6−ビス(p−メチルフェニル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジセレノフェン(化合物No.21)の合成
Figure 0005428113
窒素雰囲気中、氷水冷却下、セレン粉末(118.5mg,1.5mmol)及びNaBH(56.7mg,1.5mmol)をエタノール(5mL)に溶解し、30分間攪拌した。1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−メチルフェニルエチニル)ベンゼン(232mg,0.5mmol)と無水N−メチルピロリドン(12mL)を加えて室温まで昇温し、190℃で22時間加熱した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(200mL)、アセトン(200mL)、塩化メチレン(200mL)で順次洗浄した。得られた固体を乾燥後、昇華精製することにより、黄色固体として化合物No.21を得た。(109.5mg,47%)
MS(70eV,EI)m/z=464(M+)
極大吸収:432nm(蒸着膜)
合成例5
2,6−ジフェニルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(比較用の化合物No.100)の合成
1,4−ジブロモ−2,5−ビスフェニルベンゼン(6.54g,15mmol)のNMP(N−メチル−2−ピロリドン、30ml)に70%NaSH・nHO(3.60g,92mmol)とヨウ化銅(0.14g,0.8mmol)を加え、内温を140−150℃で3時間反応させた。放冷してトルエン(100ml)を加えて析出固体をろ過により取り出し、トルエン(30ml)、及びメタノール(30ml)で洗浄して乾燥した。得られた化合物を昇華精製して、比較用の下記化合物No.100の化合物(4.37g,収率85%)を得た。
MS(70eV,EI) m/z=342(M+)
Figure 0005428113
合成例6
2,6−ジフェニルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジセレノフェン(比較用の化合物No.101)の合成
窒素雰囲気下、セレン粉末(98.7mg,1.25mmol)、NaBH(47.3mg,1.25mmol)をエタノール(5ml)に溶解し、5℃で30分間攪拌した。1,4−ジブロモ−2,5−ビスフェニルベンゼン(216mg,0.50mmol)とNMP(12ml)を加え内温190℃で20時間加熱した。反応液を水にあけ、析出した固体をろ過により取り出し、メタノール(30ml)、アセトン(30ml)で洗浄して乾燥後、昇華精製して、黄色結晶の化合物101(114mg,収率52%)を得た。
MS(70eV,EI) m/z=436(M+)
Figure 0005428113
実施例1
ヘキサメチレンジシラザン処理を行った300nmのSiO熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー(面抵抗0.02Ω・cm以下)を真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が5.0×10−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、この電極に基板温度約25℃の条件下、化合物No.1を50nmの厚さに蒸着し、半導体層(2)を形成した。次いでこの基板に電極作成用シャドウマスクを取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1.0×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極(1)及びドレイン電極(3)、を40nmの厚さに蒸着し、TC(トップコンタクト)型である本発明の電界効果トランジスタを得た。
なお、本実施例における電界効果トランジスタにおいては、熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁層(4)の機能を有し、nドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート電極(5)の機能を兼ね備えている(図3参照)。
得られた電界効果トランジスタをプローバー内に設置し半導体パラメーターアナライザー4155C(Agilent社製)を用いて半導体特性を測定した。半導体特性はゲート電圧を10Vから−100Vまで20Vステップで走査し、又ドレイン電圧を10Vから−100Vまで走査し、ドレイン電流−ドレイン電圧を測定した。その結果、電流飽和が観測され、得られた電圧電流曲線より、本素子はp型半導体を示し、キャリア移動度は0.31cm/Vsであり、閾値電圧は−20.7Vであった。
実施例2
実施例1で用いた化合物No.1の代わりに、合成例4で得た化合物No.21を用いる以外は実施例1と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを得た。
実施例3
ヘキサメチルジシラザン処理をした300nmのSiO熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー(面抵抗0.02Ω・cm以下)上にレジスト材料を塗布、露光パターニングし、ここにクロムを1nm、さらに金を40nm蒸着した。次いでレジストを剥離して、ソース電極(1)及びドレイン電極(3)を形成させた(チャネル長25μm×チャネル幅2mm×20個であるくし型電極この電極の設けられたシリコンウェハーを真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が5.0×10−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、この電極に基板温度約25℃の条件下、化合物No.1を50nmの厚さに蒸着し、半導体層(2)を形成してBC(ボトムコンタクト)型である本発明の電界効果トランジスタを得た。本実施例における電界効果トランジスタにおいては、熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁層(4)の機能を有し、nドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート層(5)の機能を兼ね備えている(図3を参照)。実施例1と同様に半導体特性を測定した結果、電流飽和が観測され、得られた電圧電流曲線より、本素子はp型半導体を示し、キャリア移動度は0.28cm/Vsであり、閾値電圧は−29.7Vであった。
実施例4
実施例3で用いた化合物No.1の代わりに、合成例2で得た化合物No.2を用いる以外は実施例3と同様の操作により、BC型の電界効果トランジスタを得た。
実施例5
実施例3で用いた化合物No.1の代わりに、合成例3で得た化合物No.11を用いる以外は実施例3と同様の操作により、BC型の電界効果トランジスタを得た。
実施例6
実施例3において、化合物No.1の蒸着時における基板温度を60℃とした以外は実施例3と同様の操作により、BC型の電界効果トランジスタを得た。
実施例7
実施例3において、化合物No.1の代わりに合成例4で得た化合物No.21を用い、さらに該化合物の蒸着時における基板温度を60℃とした以外は実施例3と同様の操作により、BC型の電界効果トランジスタを得た。
比較例1
実施例1の化合物No.1の代わりに、上記合成例5で得た化合物No.100(上記式(1)において、R及びRが水素原子であり、X及びXのいずれもが硫黄原子である化合物)を用いる以外は実施例1と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを得た。
比較例2
実施例1の化合物No.1の代わりに、上記合成例6で得た化合物No.101(上記式(1)において、R及びRが水素原子であり、X及びXのいずれもがセレン原子である化合物)を用いる以外は実施例1と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを得た。
比較例3
実施例3の化合物No.1の代わりに、上記化合物No.101を用いる以外は実施例3と同様の操作により、BC型の電界効果トランジスタを得た。
比較例4
実施例3において、化合物No.1の代わりに上記化合物No.101を用い、さらに該化合物の蒸着時における基板温度を60℃とした以外は実施例3と同様の操作により、BC型の電界効果トランジスタを得た。
上記の実施例2〜7及び比較例1〜4で得られた各電界効果トランジスタは、いずれも実施例1に記載の方法と同様にして半導体特性を測定した。いずれのトランジスタも電流飽和が観測され、得られた電圧電流曲線より、いずれの素子もp型半導体であることを示した。得られた各素子の構造、基板温度、キャリア移動度、及び閾値電圧を、表2〜表4にまとめた。
Figure 0005428113
Figure 0005428113
Figure 0005428113
表2乃至表4の結果を順次、以下にまとめる。
表2の実施例1及び比較例1は、上記式(1)において、X及びXは硫黄原子であるが、R及びRが、前者はメチル、後者は水素原子の化合物を用いたものである。また、実施例2と比較例2は、X及びXはセレン原子であるが、R及びRが、前者はメチル、後者は水素原子の化合物を用いたものである。これらは、いずれもトップコンタクト型のトランジスタである。
表2から明らかなように、実施例1は、比較例1に比べて、約48%も高いキャリア移動度を有しており、さらに閾値電圧は約54%も低減しているため、消費電力などの実用性において、本発明のトランジスタが極めて優れていることが明確である。また、実施例2と比較例2においても同様であり、実施例2はキャリア移動度が240%も高く、また閾値電圧においては約42%の低減が確認された。
またトップコンタクト型のトランジスタにおいては、硫黄原子又はセレン原子を含有する以外は同一の構造式を有する化合物を用いた実施例1と実施例2は、ほぼ同等の性能を示した。
表3は、BC型のトランジスタを作成し、その性能を試験した結果である。実施例3乃至5は、上記式(1)において、X及びXが硫黄原子であり、R及びRが、それぞれメチル、エチル、及びn−オクチルの化合物である。比較例3は、比較例1と同様に、上記式(1)において、X及びXは硫黄原子であるが、R及びRは水素原子の化合物を用いたものである。
キャリア移動度において、実施例3は比較例3に対して5.6倍もの高い数値を示したが、実施例4及び5は比較例3と同等であった。
しかし、閾値電圧では明確な差が見られ、最小でも約12%、最大では約39%もの閾値電圧の低減が確認された。
また、上記式(1)で表される化合物のR及びRのアルキル鎖長が異なる化合物を用いた場合、トランジスタの性能に差が見られた。すなわち、アルキル鎖が短い化合物を用いる程、閾値電圧がより低減することが判明した。但し、上記式(1)において、R及びRが水素原子である化合物を用いた比較例3のトランジスタに対して約13%閾値電圧が低減した。
さらに、メチル誘導体を用いた実施例3のトランジスタと、エチル誘導体を用いた実施例4のトランジスタでは、閾値電圧は同等であるが、キャリア移動度において5.6倍もの差が見られ、メチル誘導体が最も優れていることが判明した。
表3及び表4において、実施例3と実施例6は、同一の化合物を用い、同一のBC型のトランジスタであるが、該基板温度が異なり、前者が25℃、後者が60℃で作成したものである。
実施例6のトランジスタは実施例3のトランジスタに対して、キャリア移動度が約1.8倍向上し、閾値電圧は約51%低減した。これらの結果から、少なくとも、メチル誘導体を用いて半導体層を形成する場合には、基板温度を60℃にすることの優位性が証明され、半導体層を形成する際に、注意深く基板温度を選択することの重要性が明らかとなった。
表4における実施例7は、上記式(1)において、X及びXがセレン原子であり、X及びXがメチル基である化合物を用い、基板温度が60℃で半導体層を形成したBC型のトランジスタであり、比較例は、X及びXがセレン原子であるが、R及びRが水素原子である化合物を用い、基板温度が60℃で半導体層を形成したBC型のトランジスタである。これらの比較から、基板温度60℃で半導体層を形成した場合でも、メチル誘導体の方が、キャリア移動度を大幅に向上し、閾値電圧を低減することが確認された、また、上記式(1)においてX及びXがセレン原子である化合物を用いてBC型基板上に半導体層を形成したトランジスタにおいても優れた特性を有していることが判明した。
実施例9(耐湿熱試験)
上記、実施例3および比較例3で得た、化合物1と化合物100のBC型の電界効果トランジスタをそれぞれ湿度80%温度40℃の湿熱試験機に入れて、初期、1時間後、及び24時間後のキャリア移動度を測定した。結果を表5に示す。初期のキャリア移動度を100%として、移動度の相対値を示した。
Figure 0005428113

結果から明らかなように、アルキル基の無い化合物100を用いたトランジスタにおいては1時間で初期の10%のキャリア移動度しか示さないのに対して、メチル基を有した化合物1を用いたトランジスタでは24時間後でも13%と高い耐久性を実現できた。よってメチル誘導体が湿熱条件化での耐久性の点で優れていることが明確となった。
実施例10(耐熱試験)
上記、実施例3および比較例3で得た、化合物1と化合物100のBC型の電界効果トランジスタをそれぞれ温度120℃の耐熱試験機に入れて、初期、1時間後、及び24時間後のキャリア移動度を測定した。結果を表6に示す。初期のキャリア移動度を100%として、移動度の相対値を示した。
Figure 0005428113

結果から明らかなように、アルキル基の無い化合物100を用いたトランジスタにおいては1時間で初期の28%のキャリア移動度しか示さないのに対して、メチル基を有した化合物1を用いたトランジスタでは84%であった。24時間後でもそれぞれ19%と36%となり、メチル誘導体が高温条件下での耐久性の点で優れている。
以上のように、高温条件下や湿熱条件下においても、アルキル基を有する誘導体は高い耐久性を有することが明確となった。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物により形成されている半導体層を有することを特徴とする電界効果トランジスタ。
    Figure 0005428113

    (式(1)中、X及びX同一であって、硫黄原子又はセレン原子を表す。及びR同一であって、C1−C飽和アルキル基を表す。但し、X及びXのいずれもがセレン原子の場合には、R及びR同一であって、C1−C4の飽和アルキル基を表す。)
  2. 式(1)で表される化合物のR 及びR がC1−C4アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  3. 式(1)で表される化合物のR 及びR が無置換の直鎖C1−C4アルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電界効果トランジスタ。
  4. 式(1)で表される化合物のR 及びR がメチル基又はエチル基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
  5. 式(1)で表される化合物のR 及びR がメチル基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
  6. 半導体層が単層構造を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
  7. 半導体層が式(1)で表される単一の化合物により形成されている単層構造を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
  8. 下記式(2)で表される化合物。
    Figure 0005428113

    (式(2)中、X 及びX は同一であって、硫黄原子又はセレン原子を表す。R 及びR は同一であって、メチル基又はエチル基を表す。)
  9. 式(2)で表される化合物のR 及びR がメチル基である請求項8に記載の化合物。
  10. 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする半導体材料。
    Figure 0005428113

    (式(1)中、X 及びX は同一であって、硫黄原子又はセレン原子を表し、R 及びR は同一であって、C1−C8の飽和アルキル基を表す。但し、X 及びX のいずれもがセレン原子の場合には、R 及びR は同一であって、C1−C4の飽和アルキル基を表す。)
  11. 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物からなる半導体層を基板上に形成する工程を含む、請求項1に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
    Figure 0005428113

    (式(1)中、X 及びX は同一であって、硫黄原子又はセレン原子を表し、R 及びR は同一であって、C1−C8の飽和アルキル基を表す。但し、X 及びX のいずれもがセレン原子の場合には、R 及びR は同一であって、C1−C4の飽和アルキル基を表す。)
  12. 式(1)で表される化合物のR 及びR が、メチル基であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記半導体層の形成を、前記基板の温度を50〜80℃の範囲にして行う、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物の半導体材料としての使用。
    Figure 0005428113

    (式(1)中、X 及びX は同一であって、硫黄原子又はセレン原子を表し、R 及びR は同一であって、C1−C8の飽和アルキル基を表す。但し、X 及びX のいずれもがセレン原子の場合には、R 及びR は同一であって、C1−C4の飽和アルキル基を表す。)
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