JP5426188B2 - 熱電変換モジュール及び熱電半導体素子 - Google Patents

熱電変換モジュール及び熱電半導体素子 Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換モジュール及び熱電半導体素子等に関する。詳しくは、光通信モジュール用レーザダイオードの精密温調等に利用されるペルチェ素子熱電変換モジュール、半導体製造プロセスで使用する薬液の精密温調等に利用されるペルチェ素子熱電変換モジュール、赤外線センサーなど各種センサーの冷却に利用される多段式ペルチェ素子熱電変換モジュールならびに廃熱等から発電を行う熱電発電等に利用されるゼーベック素子熱電変換モジュールに関わり、上記利用形態におけるペルチェ素子熱電変換モジュールおよびゼーベック素子熱電変換発電モジュールの耐久性、信頼性の向上に関する。
各種温度制御用に用いられる熱電変換モジュールの一般的な構成を、図1を参照しつつ説明する。
この熱電変換モジュール(ペルチェ素子熱電変換モジュール)80は、セラミック基板11,12または有機系フィルム基板との間に、ビスマス並びにアンチモンとテルルを主成分とするP型熱電素子13aとビスマスとテルルを主成分とするN型熱電素子13bを電気回路的に直列に接続されるように通常ハンダ接合して構成される。多段式の場合は、それぞれの段ごとにP型熱電素子とN型熱電素子が電気回路的に直列に接続されながら、各段が電気的に1つの回路でつながれており、多段式の場合も通常ハンダ接合が用いられている。
ペルチェ素子熱電変換モジュールの性能は、P型及びN型熱電変換素子13a,13bそのものの性能、サイズ、組み込む熱電半導体素子の対数、段数等により決定される。
ゼーベック素子熱電変換モジュールも高温域で使用される場合、素子そのものの材質はペルチェ素子と異なるが、基本的には図1に示す構成と同様である。
図1に示す熱電変換モジュール80に、後述するリード線15もしくは金属性ポスト、あるいは基板上のメタライズの一部に直接ワイヤボンディングされる電力供給部を介して直流電流を印加すると、一方の端面(例えばセラミック基板12)が冷却され、他方の端面(例えばセラミック基板11)が加熱される性質がある。
逆に、図1の熱電変換モジュール80の一方の端面(例えばセラミック基板12)を一定の温度に保たれる水冷板に接触させて冷却し、他方の端面(例えばセラミック基板11)を熱源に接触させて加熱すると、前記電力供給部に電位差を発生するようにしたものが熱電発電モジュールである。
通常、ペルチェ素子熱電変換モジュール80の場合、セラミック基板11の片面に、メッキ等の方法によって熱電半導体素子搭載部(ランド部)111が形成され、それぞれ独立したランド部111にP型熱電半導体素子13aとN型熱電半導体素子13bが一対ずつ搭載される。なお、セラミック基板12の片面にも同様の方法により、熱電半導体素子搭載部(ランド部)121(図1には形状を表示せず)が形成されている。
また、片方の基板(この例ではセラミック基板11)には同様なランド部112が形成されているが、こちらのランド部は接合後、すべての熱電半導体素子13a,13bが電気回路的に直列に配列するような面付けとなっている。
ランド部111,121は前述のように、電流が流れる電気回路の一部となるため、図2に示すように比較的電気抵抗が低い銅が多用される。メッキ法以外の製法、例えばDBCと呼ばれる直接接合法や、活性金属ロウ材を塗布して銅箔を接合する方法などもあり、このような方法で作成されるランド部の一部には銅の代わりにアルミニウムを使用した基板もある。
ランド部111,121が金属銅だけで形成されている場合、酸化の問題(緑青発生等)があるため、通常銅の表面にニッケルメッキ/金メッキが施されている。
半導体装置に使用される大型の熱電変換モジュールの場合は、セラミック板以外の基板も多用され、有機系フィルム基板や、熱交換を行う水冷板上に薄い絶縁層を設けた上に直接ランド部111,121を設けたものなどがある。また、この場合、素子搭載部は接合板と呼ばれる銅製の部材を別部品として製作し、上記セラミック板や有機系フィルムに接着や接合してランド部を形成することもある。
なお、基板の素子搭載面の裏面、すなわち熱電変換モジュールの上下面は、ユーザが使用する面であり、使用目的に応じてカスタム化される。
光通信用熱電変換モジュール80の場合、図3に示すように通電時に冷却される上面12Aがレーザダイオードからの発熱を吸熱するために使用されると共にレーザダイオード自身の固定にも使用されるため、多くの場合ハンダ接合に適したメタライズ層が設けられる。同様に下面11Aはレーザダイオードの熱を外部に放出するため、パッケージと呼ばれる低熱膨張金属からなる筐体へのハンダ接合に適したメタライズ層が設けられる。通常メタライズ層はランド部と同様に銅/ニッケル/金の構成が用いられている。
半導体製造装置に使用される大型の熱電変換モジュールの場合は、前述のように薄い絶縁膜を介して熱交換用の水冷板に直接接合されたもの、有機系フィルム基板に熱伝導性の良いグリースを塗布して熱交換器を押しつけたものなどがある。
また、片方の基板(例ではセラミック基板11)には熱電変換モジュール80に電力を供給または発電モジュールでは電力を取り出すリード線15または金属ポスト(図示せず)を取り付け、あるいは直接ワイヤボンディングするリード部材取り付けランド部112-1,112-2がある(例えば特許文献1参照)。
通常、このリード部材取り付けランド部112-1,112-2にリード線15または金属性ポスト等のリード部材を取り付けた後、もしくはワイヤボンディングエリアに測定端子を接触させて熱電変換モジュールの内部抵抗を測定し、所定の電流値を印加して所望の温度が発生するかどうかの試験が行われる。
近年、この種の熱電変換モジュール80は上述した性質(一方の基板が冷却、他方の基板が発熱)を利用して、光通信に用いるレーザダイオードの精密温調、半導体製造装置内の薬液の精密温調などに多用され、今後は焼却場や工場で発生する廃熱や自動車エンジンの廃熱を利用した熱電発電への応用が期待されている。
これら用途への応用において、例えば図3に示す光通信用ペルチェ素子熱電変換モジュールでは、通常、レーザダイオードとともにパッケージと呼ばれる低熱膨張係数金属のケースに収められ、ケースと熱電変換モジュール間の接合は、放熱側基板の外側(素子搭載面と反対側)11Aに設けられたメタライズ層111aを用いたハンダ接合が多用されている。
また、レーザダイオードは熱電変換モジュールの冷却側基板の外側(素子搭載面の反対側)12Aに設けられたメタライズ層121aを用いて、ハンダ接合により直接取り付けられるか、あるいはヒートスプレッター(低熱膨張係数の金属)を介してハンダ接合される。
一方、半導体装置に使用される熱電変換モジュールの場合、図1に示すように基板の外側にはあえてメタライズ層を設けず、熱伝導性が良いグリース等で接触させた状態で固定される場合もある。
熱電変換モジュールはP型熱電半導体並びにN型熱電半導体と基板のランド部との接合にもハンダが使用されている。
光通信に使用される熱電変換モジュールの組立ハンダは、従来PbSn共晶ハンダ、SnSbハンダが多用されていたが、近年地球環境問題への意識向上から有害物質の使用禁止を盛り込んだ規制(RoHS規制など)が欧州を中心に始まり、これら鉛フリー化の要求からAuSn共晶ハンダが多用されるに至っている。
これは熱電変換モジュール自身鉛フリーであってもパッケージへの接合ハンダも含めた鉛フリー化実現のためには、熱電変換モジュールの組立ハンダをより高温のハンダにする必要があるためである。
SnSbハンダで組み立てられた熱電変換モジュールの場合、パッケージへの取り付けハンダは183℃のPnSn共晶ハンダを使用するか、より融点(液相線温度)の低いハンダの使用を前提としていた。しかし鉛フリーハンダのうち、箔への加工が容易であり、できるだけ融点(液相線温度)の低い取り付けハンダは液相線温度217℃のSnAgCuベースのハンダ材となるため、一気に熱電変換モジュールの組立ハンダが融点280℃のAuSn共晶ハンダが使用されるようになった。
一方、半導体装置に使用される熱電変換モジュールでは、装置内へのハンダ接合のニーズが高くなかったため、光通信用に比べて低融点のBiPb系、BiSn系、PbSn系などのハンダが多用されていたが、最近はRoHS規制の浸透により、現在ではSnAgCuハンダなどへシフトしてきている。
従って、これらペルチェ熱電素子モジュールで多用されるハンダの殆どがSn系のハンダ材料である。
一方、発電用の熱電変換モジュールでは、耐熱性の要求から液相線温度が300℃を越えるハンダが必要であり、このためPb系のハンダ材が多用されている。
熱電変換モジュールの半導体素子の接合用に使用されるハンダ合金のうち、BiやSbは素子構成材料そのものであり、PbもPbTeの合金では熱電材料になることが知られており、CuはBi-Te系熱電材料のドーパントとして作用することが知られている。
このため、ハンダ材が熱電素子と直接接触することは素子の熱電特性が大きく変化し、機械的物性値が大きく変化するため、極力避ける必要がある。
例えば、P熱電半導体素子にSnSbハンダが接触すると、図38の写真11に示すようにハンダ中のSbがP型素子に拡散し、熱電半導体素子の組成がSbリッチな組成に変化すると共に、拡散層とハンダ層の境界付近にはクラックが発生する。このクラックは、熱電変換モジュールのON-OFFの繰り返しやヒートサイクルにより徐々に進展し、最終的に熱電素子を横断するクラックへと進展する可能性がある。このため、拡散層の存在は熱電変換モジュールの性能劣化のみならず信頼性、耐久性にも大きな影響を及ぼす。
このため、通常ハンダ接合面にはニッケル等の拡散防止層が設けられ、ハンダ層との直接接触が起こらないように工夫が施されている。
接合ハンダのPbSnの場合、融点が183℃であるので、上記熱板加熱の場合、230℃程度の加熱で十分な液相状態となり、セラミック基板上のランド部へのハンダのぬれ広がりも得られた。しかもその物性値は、ハンダの引っ張り強度が7500PSI(50MPa)、ヤング率が4.35×106PSI(30GPa)、伸びが37%であり[出典 Indium Corp. HP]、クリープし易い材料であったため、接合時の熱履歴によりセラミック基板に発生した残留歪みも時間の経過と共に暫減する効果も期待できた。
一方、融点が280℃のAuSnハンダでは 上記熱板加熱の場合、330℃の加熱ではハンダの溶融が起こらず、より高温の360℃前後から溶融する。これは空気中への放熱が激しいためと考えられるが、360℃を越えてもセラミック基板上のランド部へのハンダの濡れ広がりは十分とは言えない。また、AuSnハンダの物性値は、引っ張り強度が40000PSI(276MPa)、ヤング率が8.57×106PSI(59GPa)、伸びが2%であり[出典 上記と同じ]、殆どクリープも期待できないハンダである。このため、高温から室温に冷却される際にセラミック基板に残留する歪みも殆ど経時変化せず、長期間ため込まれた状態のままである。
このような接合ハンダの高融点化にともない、熱電半導体素子の接合面近傍にも深刻なダメージが発生する。一つは前述の残留歪みによる熱電半導体素子の接合面近傍に引っ張り力が発生し、熱電半導体素子にクラックを誘発する問題である。この引っ張り力は、特にモジュールの4角の熱電半導体素子で大きく発生する。
2つ目はハンダ構成元素が熱電半導体へ拡散することを防止するために設けているニッケルメッキ自身の熱電半導体への拡散する点である。この熱電半導体へのニッケルの拡散も熱電半導体の機械的強度を低下させ点、応力の集中しやすいメッキ界面に形成される点からメッキ界面クラックの原因になりやすく、その発生を出来るだけ押さえる必要がある。
また、光通信用に使用される熱電変換モジュールの場合、より高温のAuSnハンダが多用されるようになったが、このハンダ材は共晶温度が280℃と高いため、組立時の温度履歴は熱電半導体そのものへのダメージに留まらず、各種メタライズ層へもダメージを及ぼす。
例えば、融点240℃のSnSbハンダでは300℃以下の熱板温度で10秒程度の加熱で、熱電半導体と基板ランド部の接合は十分なぬれ広がりが可能であるのに対して、融点280℃のAuSn共晶ハンダでは350℃以上の熱板温度で30秒前後加熱しないと接合が不十分な状態となる。
このような組立温度はパッケージとハンダ接合を行うためのモジュール外側のメタライズ層を介して加えられるため、最表面のAuメッキの剥がれやニッケルメッキ表面の割れなどを発生し、最終的にパッケージとの接合時にハンダぬれ不良やボイド発生が起こる危険性がある。
また、素子搭載面側でも同様なニッケルの割れや場合によってはランドを取り囲むようにセラミック板にクラックが発生したりする。セラミックのクラックは温度プロファイルの適正化により、ある程度防止可能であるが、メタライズ表面、特にニッケルメッキのクラックは温度プロファイルだけでは防止することは難しい。
このようなニッケルメッキ上に発生するダメージは、前述したハンダと熱電変換素子の接触を引き起こすのみならず、熱電変換モジュールとパッケージ間あるいは熱電変換モジュールとヒートスプレッター間の接合ハンダにメタライズ構成金属である銅の接触も引き起こし、長期信頼性を要求される部品、とりわけ海底ケーブルにも使用される光通信分野では大きな問題となる
特開2003−197982号公報
上述したように、熱電変換モジュールの組立ハンダの高温化にともない、それまであまり問題なら無かった拡散防止層としてのニッケルメッキへのダメージが顕在化し、組立時のボイド発生やぬれ不良が頻発することとなった。これらはニッケルメッキ自身が厚み方向に成長しやすく、元々表面に粒界が存在してクラックを発生し易い性質を有していることに起因している。これら性質を改質する1つの手段として、電気メッキを行う方法がある。
熱電半導体では成形したインゴットをスライス加工して、所望の厚みにカットしてウェハーにした後、切断時の加工痕を化学的に処理してメッキを行う。熱電半導体素子に使用するニッケルメッキ厚みは概ね5μmかそれ以上であり、電気メッキでこれら厚みまでニッケルを成長させると、電流密度がエッジ部ほど高くなるため、非常に不均一な厚み分布となる。このため、メッキ後所望のサイズに細断して熱電半導体素子にする製造方法ではメッキ厚みの異なる熱電半導体素子が形成されてしまう問題がある。
このため電気メッキで析出させるニッケルメッキ厚みが出来るだけ均一になるように、電気メッキ時にスライスした熱電半導体とカウンター電極間に邪魔板を設ける工夫、析出条件の工夫などがなされているが、無電解ニッケルと同程度の均一性のある電気メッキは得られていない。
一方、セラミック基板のランド部形成方法は、通常、セラミック板全面に金属銅を析出させ、所望のランド部が残るようにマスキングを行い、エッチングにより個々のランド部を形成すると共に電気的に独立させた後、ニッケルメッキが施される。このため、ニッケルメッキ層を電気メッキで行うことは困難である。またDBC法や活性ロウ材を用いたプロセスでも、上記メッキ法と同様ランド部が残るようにマスキングを行い、エッチングにより個々のランド部を形成するため、ニッケルメッキ層を電気メッキで行うことは困難である。
その他、セミアディティブ法と呼ばれる特殊工法ではランド部が形成されるようにセラミック板上にメッキレジストを形成し、電気メッキにより、銅メッキとニッケルメッキの析出が行われる。この方法では電気メッキによるニッケル層の形成は可能であるが、通電するためにセラミック板の最表面に設けたメタル層を取り除くソフトエッチング工程で基板最表面を汚染する可能性がある他、個々のランド部の側壁が金属銅のままであるため、拡散防止層としてのニッケルのダメージ以外に接合面の金属汚染の問題が発生する可能性がある。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ニッケルメッキ層へのダメージによるボイドやぬれ不良の発生を抑制できる熱電変換モジュール及び熱電半導体素子等を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る熱電変換モジュールは、第1の基板の表面上に形成された複数の第1の金属成膜層と、第2の基板の表面上に形成された複数の第2の金属成膜層と、前記第1又は第2の基板の裏面上に形成された第3の金属成膜層と、前記複数の第1の金属成膜層の上に第1のハンダによって一端がそれぞれ接合され、前記複数の第2の金属成膜層の上に第2のハンダによって他端がそれぞれ接合された複数対のP型熱電半導体素子及びN型熱電半導体素子とを具備する熱電変換モジュールであって、前記複数対のP型熱電半導体素子及びN型熱電半導体素子が、前記複数の第1の金属成膜層及び前記複数の第2の金属成膜層によって電気的に直列に接続されており、前記第1の基板が、セラミック板、有機系フィルム、及び、前記セラミック板及び前記有機系フィルムを組み合わせた基板の内のいずれかであり、前記第2の基板が、セラミック板、有機系フィルム、及び、前記セラミック板及び前記有機系フィルムを組み合わせた基板の内のいずれかであり、前記複数の第1の金属成膜層、前記複数の第2の金属成膜層、及び、前記第3の金属成膜層の各々が、前記第1又は第2の基板上に形成された銅層と、前記銅層に接して形成された第1のニッケルメッキ層と、前記第1のニッケルメッキ層に接して形成された第1のパラジウム層又は第1の白金層と、前記第1のパラジウム層又は前記第1の白金層に接して形成された第1の金層とを有しており、前記複数対のP型熱電半導体素子及びN型熱電半導体素子の一端及び他端の各々には、前記熱電半導体素子に接して形成された第2のパラジウム層又は第2の白金層と、前記第2のパラジウム層又は前記第2の白金層に接して形成された第2のニッケルメッキ層と、第3のパラジウム層と、第2の金層とがこの順で設けられている。
また、本発明の1つの観点に係る熱電半導体素子は、熱電変換モジュールに用いられる熱電半導体素子であって、前記熱電半導体素子が、P型熱電半導体素子又はN型熱電半導体素子であり、前記熱電半導体素子の一端及び他端の各々には、前記熱電半導体素子に接して形成された第1のパラジウム層又は白金層と、前記第1のパラジウム層又は前記白金層に接して形成されたニッケルメッキ層と、第2のパラジウム層と、金層とがこの順で設けられている。

本発明によれば、ニッケルメッキ層へのダメージによるボイドやぬれ不良の発生を抑制できる熱電変換モジュール及び熱電半導体素子等を提供することができる。
本発明に基づき製造された熱電変換モジュール(以下、モジュールと省略する)の概略構造を示す斜視図である。 通常用いられているセラミック基板のランド部の構造である。 図1に示すランド部のメタライズ構造の詳細を示す断面図である。 図1に示すモジュール80を実装して成る光通信モジュール100の概念断面構成を示す図である。 本発明の実施例1による熱電半導体素子の作製方法を示す模式図である。 本発明の実施例1による熱電半導体素子の作製方法を示すものであり、図5の次の工程を示す模式図である。 本発明の実施例1によるモジュールの組立工程を示す断面図である。 図7に示す組立工程で用いられる組立治具の概略構造を示す模式図である。 ダイシェア試験の方法を説明するための断面図である。 本発明の実施例2によるセラミック基板の作製方法を示す断面図である。 本発明の実施例3による熱電半導体素子の作製方法を示す模式図である。 本発明の実施例3によるモジュールの組立工程を示す断面図である。 3インチ、4インチのアルミナ基板上に面付けされたセラミック基板を示す平面図である。 図13に示すセラミック基板に金属成膜層を形成する工程を示す断面図である。 図12に示すランド部のメタライズ構造の詳細を示す断面図である。 本発明の実施例4による熱電半導体素子の作製方法を示す模式図である。 本発明の実施例4によるモジュールの組立工程を示す断面図である。 図17に示す接合板の作製工程を説明するための模式図である。 本発明の実施例5による熱電半導体素子の作製方法を示す模式図である。 本発明の実施例5によるモジュールの組立工程を示す断面図である。 処理時間とハンダのぬれ広がり直径の関係を示すグラフである。 本発明の実施例8によるセラミック基板のランド部のメタライズ構造の詳細を示す断面図である。 実施例8に対する比較試料のセラミック基板のランド部におけるメタライズ構造の詳細を示す断面図である。 本発明の実施例8によるモジュールの放熱基板側のニッケルメッキ表面状態を示す図である。 図24に示すニッケルメッキ表面にドライエッチング、Pdスパッター、Auスパッターを行った後のモジュールを示す図である。 本発明の実施例9による基板の作製方法を示す断面図である。 本発明の実施例9による熱電半導体素子の作製方法を示す模式図である。 本発明の実施例9によるモジュールの組立工程を示す断面図である。 Pdメッキを実施した本発明品のダイシェア試験後の代表的な破面を示す写真1、比較試料として作製したPdメッキを行わなかった比較試料のダイシェア試験後の代表的な破面を示す写真2である。 比較試料として作製したPdメッキを実施していないP型熱電半導体のニッケルメッキと熱電半導体界面を観察した写真3、Pdメッキを実施した本発明品のP型熱電半導体素子のニッケルメッキと熱電半導体界面を観察した写真4である。 セラミック基板の表見状態から検討した結果を示す写真5、及び写真5の中央部を高倍率で示す写真6である。 本発明品で再コーティングテストした後のハンダの状態(左)と通常のニッケル/金メッキ品で再コーティングしたした後のハンダの状態(右)を示す写真6である。 通常メッキ品の界面にあるニッケルクラックを示すための断面観察の写真7である。 試験基板に300℃×5分熱板加熱を2回行った後、180℃の熱板上でBiSnハンダペレットをのせて溶融させた状態を示す写真である。 Pdメッキが無い比較基板を同一条件で加熱処理し、180℃の熱板上でBiSnハンダペレットをのせて溶融させた状態を示す写真である。 本発明品のハンダぬれ性を示す写真9である。 通常メッキ品のハンダぬれ性を示す写真10である。 P熱電半導体素子とSnSbハンダとの接触によるクラックを示す写真11である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明者は、発明が解決しようとする課題の欄で挙げた問題点に鑑みて、特に、光通信用の精密温調に使用される熱電変換モジュール(ペルチェモジュール)の信頼性、耐久性の観点から鋭意研究を進め、当該熱電変換モジュールの組立に適した熱電変換素子、基板の実用化方法を確立した。
図1は、本発明に基づき製造された熱電変換モジュールの概略構造を示す斜視図である。図3は、図1に示すモジュールの断面図である。
図1及び図3に示すように、このモジュール80は、放熱側のセラミック基板11と吸熱側のセラミック基板12との間に、P型熱電半導体素子13aとN型熱電半導体素子13bを複数対接合した構造を有している。なお、セラミック基板は、ポリイミドなどの有機系フィルムに変更しても良いし、前記セラミック基板及び前記有機系フィルムを組み合わせた基板に変更しても良い。
セラミック基板11の片側の面(素子搭載面)上には、それぞれ、複数の各々独立したランド部111である金属成膜層(メタライズ層ともいう)が基本的に等ピッチで形成されている。セラミック基板11の片側の面(素子搭載面と反対側の面)上には金属成膜層111aが形成されている。
各対のP型熱電半導体素子13aとN型熱電半導体素子13bは、セラミック基板11上にあるそれぞれ対応するランド部111上に配置される。
もう一方のセラミック基板12は、そのランド部121である金属成膜層がP型熱電半導体素子13aとN型熱電半導体素子13bの表面(セラミック基板11のランド部と接合されていない側)に臨むように反転され、該ランド部121内に各対のP型熱電半導体素子13aとN型熱電半導体素子13bが配列されるべく位置合わせされた上でセラミック基板11に対向配置される。セラミック基板12の片側の面(素子搭載面と反対側の面)上には金属成膜層121aが形成されている。
ここで、セラミック基板11のランド部111とセラミック基板12のランド部121は、上述した対向配置状態においてすべての熱電半導体素子が電気的回路的に直列に接続されるように互いに位置がずれた配置で形成されている。
すなわち、図1のモジュール80では、セラミック基板11とこれに対向配置されるセラミック基板12との間に、複数のP型熱電半導体素子13aおよびN型熱電半導体素子13bが縦横に交互に配列され、かつセラミック基板のランド部を介して電気的に直列に接続されている。
通常、セラミック基板11,12とP型半導体素子13a並びにN型半導体素子13bはハンダにより所定の位置に接合される。
接合に使用するハンダは、予めセラミック基板のランド部にディスペンサーにより所定量塗布し、その上に熱電半導体素子を配列する方法がある。
この場合、熱電半導体素子にはその両端にニッケルメッキ層を設け、ニッケル表面の酸化を防止する目的で金メッキやスズメッキが施されている。通常、生産性の観点から熱電半導体のインゴットから、熱電半導体素子の高さに相当する厚みにスライスして熱電半導体ウェハーとし、この状態でメッキ加工を行い、その後細断化して所望の大きさの熱電半導体素子としている。
その他接合ハンダの形成方法として、熱電半導体素子の接合面に予め接合ハンダ層を形成させておく方法がある。この方法でも、生産性の観点から先ず熱電半導体ウェハーを切り出し、ウェハー全体にニッケルメッキ層を設ける。その後、ニッケルメッキの上に所望のハンダ組成のメッキ層を析出させる方法や、ニッケルメッキの後に金メッキを析出させ、リフロー炉等でハンダ層を溶融接合させる方法などがある。これらもすべての工程が完了した後、細断化して所望の大きさの熱電半導体素子とする。
接合のための加熱方法として、セラミック基板のランド部上にP型熱電半導体素子およびN型半導体素子を配列し、その上にセラミック基板を重ね、リフロー炉で加熱溶融する方法、セラミック基板のランド部上にP型熱電半導体素子およびN型半導体素子を配列し、この状態で熱板加熱を行い、セラミック基板に対してP型熱電素子およびN型熱電半導体素子を接合し、その後セラミック基板を重ねて再度熱板加熱して熱電半導体の両側ともセラミック基板に接合する方法などがある。
セラミック基板11にはリード取付ランド部112−1,112−2が形成されており、リード取付ランド部112−1,112−2上には電力供給用のリード線15または端子が取り付けられている。
図2は、図1に示すランド部のメタライズ構造の詳細を示す断面図である。
セラミック基板11の表面上にはランド部111が形成されており、セラミック基板11の裏面上には金属成膜層111aが形成されている。ランド部111及び金属成膜層111aそれぞれは、メタライズ銅層111Aと、その上に形成されたメタライズニッケル層111Bと、その上に形成されたメタライズ金層111Cの積層構造を有している。
図4は、図1に示すモジュール80を実装して成る光通信モジュール100の概念断面構成を示す図である。
この光通信モジュール100は、パッケージ60内部にモジュール80が実装されている。具体的には、パッケージ60の内部底面部にモジュール80の放熱側セラミック基板11の非パターン面が当接するように実装される。また、この状態で、モジュール80の冷却側セラミック基板の非パターン面上には、例えばCuW(銅−タングステン合金)製のヒートスプレッター20を介して、光通信モジュール100の光源であるレーザダイオード30が配置される。
レーザダイオード30は、図示しない制御部から給電を受けて所定の伝送データにより変調されたレーザ光を発生する。このレーザ光は、光ファイバ40に導かれ、該光ファイバ40内を所定の受信回路へ向けて送信される。
ヒートスプレッター20上には、サーミスタ50が設けられる。上記制御部は、このサーミスタ50による検出温度に基づきモジュール80への給電を制御することにより冷却側基板の冷却温度を可変制御する。これにより、レーザダイオード30は目標温度に制御され、常に適正な発振周波数を維持する。
本発明に係わる光通信モジュール100を組み立てる場合、ヒートスプレッター20とモジュール80の冷却側セラミック基板及びレーザダイオード30との間は、例えば、スズアンチモンハンダにより接合される。
ここで、スズアンチモンハンダの融点温度(232℃)は、モジュール80のセラミック基板11,12および熱電半導体素子13a,13b間の接合に用いたハンダの融点温度に比べてはるかに低い。
つまり、本発明に係わる光通信モジュール100においては、モジュール80を、当該モジュール80のハンダ層に溶融等の影響を招来することなくそのパッケージ60内部に組み込み実装できる。
以下、代表的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1)
まず、実施例1について説明する
本実施例では、まず、図5及び図6に示すごとくの工程を経てP型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子を作製した。なお、図5の最後に示すPd/Ni/Auメッキウェハーと図6の最初に示すPd/Ni/Auメッキウェハーは同じ図であり、これは図6が図5の続きであることを示している。
詳細には、まず最初に、図5に示すように、ビスマス/アンチモン/テルルを主成分とするP型熱電半導体およびビスマス/テルルを主成分とするN型熱電半導体を加熱加圧しながらそれぞれのインゴット(熱電半導体ブロック)を作製した。
次に、各インゴットを分割後スライスし、P型とN型のそれぞれの熱電半導体ウェハーを得た。ウェハーサイズは概ね30mm×40mmで、厚みはモジュール性能により概ね0.4mmのものを準備した。
P型半導体ウェハーとN型半導体ウェハーをそれぞれ無機酸の混酸でエッチングし、これらウェハーの全周にわたり電解パラジウムメッキを概ね0.2μm厚さ施した。
その後、無電解ニッケルメッキを概ね5μm厚さ施し、さらに金メッキを0.2〜0.3μm付けて金メッキウェハーを得た。
次に、図6に示すように、この金メッキウェハーより一回り大きいカーボン治具(図示せず)を準備し、厚み概ね30μmのAuSn共晶箔をこの金メッキウェハーの両面に配置して、もう一方のカーボン治具(図示せず)を重ねて還元雰囲気でリフローした。最高到達温度は概ね310℃でハンダ融点以上に曝されている時間は概ね3分であった。回収したAuSnウェハーは両面に20〜30μm厚みのAuSnハンダ層を有していた。
このAuSnウェハーをダイシング治具に固定して細断し、P型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子を得た。細断後のP型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子の素子サイズは0.32mm×0.32mmとした。
上記工程により得たP型半導体素子およびN型半導体を用いたモジュールの組立は、図7に示す如くの一連の工程を経て行った。
まず、図7に示す如く、セラミック基板のランド部にフラックスを塗布した。
用いたセラミック基板は厚みが概ね0.2mmのアルミナ製で、サイズは概ね2.8mm×3.6mm、その片面はP型熱電半導体およびN型熱電半導体を1個ずつ配置できるようにしたランド部が11個形成されている。対応するセラミック基板も厚みが0.2mmのアルミナ製でサイズは概ね2.8mm×2.6mm、その片面は組立後P型熱電半導体およびN型熱電半導体が直列に配列されるように10個のランド部が形成されている。
ランド部の構成は、図2に示す如く、セラミック側から銅のメタライズ層111A、その上にニッケルのメタライズ層111B、更にその上には金層111Cが0.2〜0.3μmメッキされた構造であり、各ランド部の側壁もニッケルのメタライズ層と金のメタライズ層に被われた構造となっている。
セラミック基板の素子搭載面の裏側は、セラミック板の外周部から概ね0.1mm小さめにメタライズされており、全面にわたって銅のメタライズ層、ニッケルのメタライズ層、金のメタライズ層からなるメタライズ構造を有しており、側壁もニッケルのメタライズ層と金のメタライズ層に被われている。
熱電半導体素子の配置位置に素子サイズより一回り大きめの穴の空いた厚み0.3mmの振り込み用のメタルマスクをかぶせ、図5及び図6に示す方法で作製したAuSn熱電半導体素子を配列した。
この状態で振り込み用のメタルマスクを取り除き、組立用の治具に移動した。
図8に示す組立用治具は、下面がSUS製のベースプレートからなり、プレートにはモジュールの位置決め用の突起部が有り、位置合わせされたモジュールの中心に所望の荷重がかけられるように鉛直に移動可能なピストン部(ピストン式重し)がハウジング部に取り付けられている。ベースプレートとハウジング間は熱の放散を防ぐ目的で低熱伝導性の有機材が挟み込まれている。また、モジュールと接触するピストンの先端部にも低熱伝導性のエラストマーが付けられ、ピストンを介しての熱の放散を防止している。
片方のセラミック基板のランド部に熱電半導体素子を配列した図7に示す組立仕掛品を組立治具の位置決めコーナーに配置し、ピストン部を介して80grの重しがかかるようにした。
その後、組立治具ごと360℃に昇温した熱板上に移動し、ハンダ融点である280℃に達した後30秒加熱した。この後、治具ごと100℃の熱板上に移動して徐冷し、モジュール温度が120℃に冷却後、空冷した。
このようにして片方の基板上に素子を配列した組立仕掛品に、図7に示すように、もう一方のセラミック基板を接合した。その方法は、基板の素子搭載面にフラックスを均一に塗布し、先に組み立てた組立仕掛品を上から載せ、組立治具の位置決めコーナーにセットした。
重りは80gとし、同様に360℃の熱板上で30秒加熱した後、徐冷、空冷して金スズモジュールを得た。
比較のため、図5に示すエッチング後に施したPdメッキを省略したP型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子を用いたモジュールも同様の方法で作製した。なお、熱電半導体のインゴットによる物性値が異なることも想定されるので、同一インゴットのスライスウェハーを使用し、Pdメッキ品とはすぐ隣のウェハーを使用した。得られた2種類のモジュールは外見上の違いは確認できなかった。
2種類のモジュールの機械的強度を比較するため、図9に示すダイシェア試験を実施した。ダイシェア試験とは、荷重印加方向にモジュールの長辺側または短辺側が平行になるように放熱側基板を金属ブロック等に固定し、吸熱側の基板の端面に垂直荷重をかけてモジュールが破断する評価方法である(正確には破断する熱電素子には曲げモーメントに近い荷重がかかる)。
Pdメッキを実施した本発明品は、50個のデータで平均18.8N、標準偏差3.2Nであった。一方、Pdメッキを省略した比較サンプルでは50個のデータで平均16.2N、標準偏差3.3Nであった。
このダイシェア強度の差が何に基づいているか比較検討するため、破面の確認を行った。図29に示す写真1はPdメッキを実施した本発明品のダイシェア試験後の代表的な破面である。破面は熱電素子のメッキ界面近くで破断しているが、熱電素子内で破断している。図29に示す写真2は比較試料として作製したPdメッキを行わなかった比較試料のダイシェア試験後の代表的な破面である。比較試料の破面では熱電素子は殆ど残らず、ニッケルメッキと熱電半導体素子の界面で破断している。このことはPdメッキを実施することにより、熱電素子とニッケルメッキ面の密着力が向上していることに対応している。
次に組み立てたモジュールの断面観察を実施した。図30に示す写真3は比較試料として作製したPdメッキを実施していないP型熱電半導体のニッケルメッキと熱電半導体界面を観察した結果である。ニッケルメッキと熱電半導体の界面は2層形成されおり、熱電半導体側にある灰色部はNiが熱電半導体に拡散した領域、ニッケルメッキ側にある黒い層は熱電半導体に施したエッチングの凹凸にニッケルが入り込んだ層であるが、研磨中に熱電半導体が脱粒して空洞になったところである。分析の結果、図29の写真2に示す破面は図30に示す写真3のNiが熱電半導体に拡散した領域〜黒い層で破断していた。
図30に示す写真4はPdメッキを実施した本発明品のP型熱電半導体素子のニッケルメッキと熱電半導体界面を観察した結果である。本発明品では界面近傍に別な層が確認できず均一な状態になっていることが明らかである。このため、ダイシェア試験での破面も界面で破断せず、むしろ熱電半導体内部で破断したと考えられる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する
本実施例では、図5及び図6に示す実施例1と同じ方法で作製したP型熱電半導体素子とN型熱電半導体素子を使用した。なお、素子の高さは概ね0.5mmとし、ダイシングサイズは0.45mmとした。
図10は、セラミック基板の作製方法を示す断面図である。
図10に示すように、組立に使用したセラミック基板は厚み0.2mmの窒化アルミ基板で、素子搭載面側のみメタライズ層を持つ。詳細には、窒化アルミ基板上に銅メッキにより銅を析出させる。その後、銅箔上にドライフィルムを塗布し、このドライフィルムに紫外線を照射することによりドライフィルムの所定位置(ランド部)を感光させる。次いで、ドライフィルムの未硬化部を除去し、銅箔をエッチングすることによりランド部のみに銅を残存させる。その後、ドライフィルムを除去する。
次に、銅のランド部に概ね5μmのニッケルメッキを行った。その後、本発明のPd無電解メッキを概ね0.2μmの厚みで行い、さらにその上に概ね0.05μmの金メッキを施した。なお、比較のために、Pdメッキを実施しなかったセラミック基板も作製した。Pdメッキを行わなかった基板に対しては、金メッキの厚みを0.2〜0.3μmとした。基板の大きさは6.3mm×3.8mmで素子を搭載するランド部は13箇所、そのうち2箇所のランド部は直接ワイヤボンディングするため素子搭載ランドから離れた位置まで延びている。
図10に示す方法で作製されたもう一方のセラミック基板も0.2mm厚みの窒化アルミの片面に12箇所のランド部からなるメタライズ層が形成されている。この基板のメタライズ構成も銅メッキ後、概ね5μm厚みのニッケルメッキをうち、その上に本発明のPd無電解メッキを概ね0.2μm厚みで施し、さらにその上に0.05μmの金メッキを施した。なお、比較のために、Pdメッキを実施しなかったセラミック基板も作製した。基板の大きさは3.6mm×3.8mmである。
次に、図7及び図8に示す実施例1と同様の方法で組み立てた。詳細には、放熱側基板にフラックスを塗布後、P型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子を配列し、図8の組立治具の位置決めコーナーにセットした。約100gの重しをかけた状態で360℃の熱板上に移し、ハンダ融点である280℃を越えてから25秒間加熱した。その後、100の熱板上に移動して徐冷し、モジュール温度が120℃まで冷却後は空冷した。この時点で、基板メタライズは金色から銀色に変化し、最表面の金メッキはPd中に拡散した。
もう一方の吸熱基板側にもフラックスを塗布し、組立仕掛品を上からかぶせた後、同様の手順でハンダ接合を行った。
このようにして作製した本発明品の基板を組み込んだモジュールと比較用のモジュールに対して、ワイヤボンディング性の評価を行った。評価は6個のモジュールそれぞれのランドに対して1本のAuワイヤ(φ25μm)を2nd側として取り付け(100kHzの超音波を10msec印加)、その接合強度を測定する方法で行った。試験は2回実施し、合計12個の結果から平均値と標準偏差として求めた。
本発明品の場合、破断場所はすべて1st側のダイ側の取り付け部起こり、平均8.6g、標準偏差0.6gであった。
比較試料に対しても同様のボンディングテストを行った。その結果、12点中2点で2nd側のモジュールのボンディング表面で破断し、強度の平均6.0g、標準偏差1.1gであった。
この差違をセラミック基板の表見状態から検討した結果を図31の写真5に示す。比較試料のボンディングエリアには蜘蛛の巣状の模様が確認でき、高倍率で中央部を確認すると、図31の写真6に示すようにニッケルメッキの陥没が起こり、これを中心にニッケル金メッキ表面に細かなクラックが発生していることが確認できた。
本発明品のボンディングエリアを同様に電子顕微鏡で確認したが、比較試料で見られたようなメタライズ表面のクラックは一切発生していなかった。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する
まず、図11に示すように、ビスマス/アンチモン/テルルを主成分とするP型熱電半導体およびビスマス/テルルを主成分とするN型熱電半導体を加熱加圧しながらそれぞれのインゴット(熱電半導体ブロック)を作製した。
次に、各インゴットを分割後スライスし、P型とN型のそれぞれの熱電半導体ウェハーを得た。ウェハーサイズは概ね30mm×40mmで、厚みはモジュール性能により概ね0.8mmのものを準備した。
P型半導体ウェハーとN型半導体ウェハーをそれぞれ無機酸の混酸でエッチングし、その後、無電解ニッケルメッキを概ね5μm厚さで施し、さらに金メッキを0.2〜0.3μmの厚さで付けて金メッキウェハーを得た。この状態で、金メッキウェハーをダイシング治具に固定して細断し、P型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子を得た。細断後のP型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子の素子サイズは0.64mm×0.64mmとした。
上記工程により得たP型半導体素子およびN型半導体を用いたモジュールの組立は、図12に示す如くの一連の工程を経て行った。
用いた金スズペーストは市販品で、金属成分中の金の含有量が概ね80重量パーセントの共晶組成の金スズ合金である。このペーストの中には粒径25〜32μmの金スズ粒子とRMAタイプのフラックスが含まれている。
図12に示す金スズペースト塗布工程においては、セラミック基板の素子搭載面に対してランド部の位置と同じ位置に穴を持つ金属製のマスクをかぶせ、この上から金スズペーストをスクイーズした。
均一な厚みになるようにプラスチックヘラで過剰分の金スズペーストを取り除き、概ね50μmの厚みの金スズペーストを塗布した。同様に対向するもう1枚のセラミック基板に対しても金スズペーストを塗布した。
図13は、3インチ、4インチのアルミナ基板上に面付けされたセラミック基板を示す平面図である。図14は、図13に示すセラミック基板に金属成膜層を形成する工程を示す断面図である。本明細書では、個々のセラミック基板で製造工程を説明しているが、図14に示すセラミック基板を用いることも可能である。
図14に示すように、アルミナ基板の両面に銅メッキ層を形成し、銅メッキ層上にドライフィルムを塗布する。次いで、ドライフィルムを紫外線により露光してランド部に相当する領域を硬化させる。次いで、未硬化のドライフィルムを剥離した後、ドライフィルムをマスクとして銅メッキ層をエッチングすることにより、銅メッキ層の不要部分を除去する。次いで、アルミナ基板上のその他の活性金属を除去する。
次いで、ドライフィルムを除去した後に、銅のランド部にニッケルメッキ層を形成し、その上にPdメッキ層を形成し、その上に金メッキ層を形成する。なお、素子搭載面の処理とその反対面の処理を別々に実施しても良い。
次に、アルミナ基板をダイシングにより小片化する。
用いたセラミック基板は厚みが0.3mmのアルミナ製で、サイズは6.0mm×7.2mm、その片面はP型熱電半導体およびN型熱電半導体を1個ずつ配置できるようにしたランド部が19個形成されている。このうち2個のランド部はリード線を取り付けるために基板外周部まで延長されている。対応するセラミック基板も厚みが0.3mmのアルミナ製でサイズは概ね6.0mm×6.2mm、その片面は組立後P型熱電半導体およびN型熱電半導体が直列に配列されるように18個のランド部が形成されている。
図15に示す如く、ランド部のメタライズ構成はセラミック側から銅のメタライズ層、その上に概ね5μmの厚みのニッケルのメタライズ層を設け、その上に概ね0.3μmのPd無電解メッキを行った。最表面には0.025μmの厚みの無電解金メッキである。なお、素子搭載面と反対面のメタライズ構成も搭載面と同じ仕様とした。
比較用の基板は通常用いられているメタライズ構成で作製した。セラミック側から銅のメタライズ層、その上にニッケルのメタライズ層、更にその上には金が0.2〜0.3μmメッキされた構造であり、各ランド部の側壁もニッケルのメタライズ層と金のメタライズ層に被われた構造となっている。
熱電半導体素子の配置位置に素子サイズより一回り大きめの穴の空いた厚み0.3mmの金属製マスクをかぶせ、図11の方法で作製した金メッキを行った熱電半導体素子を配列した。
この状態で振り込み用のメタルマスクを取り除き、組立用の治具に移動した。組立用治具は、図8に示す実施例1と同様のものを用いた。詳細には、下面がSUS製のベースプレートからなり、プレートにはモジュールの位置決め用の突起部が有り、位置合わせされたモジュールの中心に所望の荷重がかけられるように鉛直に移動可能なピストン部がハウジング部に取り付けられている。ベースプレートとハウジング間は熱の放散を防ぐ目的で低熱伝導性の有機材が挟み込まれている。また、モジュールと接触するピストンの先端部にも低熱伝導性のエラストマーが付けられ、ピストンを介しての熱の放散を防止している。
片方のセラミック基板のランド部に熱電半導体素子を配列した組立仕掛品を組立治具の位置決めコーナーに配置し、ピストン部を介して180grの重しがかかるようにした。
その後、組立治具ごと360℃に昇温した熱板上に移動し、ハンダ融点である280℃に達した後30秒加熱した。この後、治具ごと100℃の熱板上に移動して徐冷し、モジュール温度が120℃に冷却後、空冷した。
このようにして片方の基板上に素子を配列した組立仕掛品に、もう一方のセラミック基板を接合した。予め基板の素子搭載面に均一に塗布し金スズペーストの上に、先に組み立てた組立仕掛品をかぶせ、組立治具の位置決めコーナーにセットした。
その後、同様に360℃の熱板上で30秒加熱した後、徐冷、空冷して金スズモジュールを得た。
同様の手順により、比較試料を作製した。その後、使用したフラックスを除去するための洗浄工程を経て、放熱基板側と吸熱基板側のメタライズ面にSnAgCuハンダによるコーティングを行った。コーティングは予めフラックスを塗布し、ハンダゴテで加熱しながらペレットハンダを使用して実施した。コーティング厚みは0.2〜0.3mm厚みになるように行った。
この状態では、本発明品も従来品もコーティングハンダは均一に基板全面に広がっており、差違は認められなかった。その後最終洗浄を行い、再コーティングテストを実施した。
再コーティングは光通信分野ではしばしば実施される工程で、予備ハンダを除去した後フラックスレスの条件下で再度コーティングを行いながらパッケージへの接合を行う方法である。このような工程を取ることにより、フラックス由来の有機物汚染を防止することを目的としている。
図32に示す写真6に本発明品で再コーティングテストした後のハンダの状態と通常のニッケル/金メッキ品で再コーティングしたした後のハンダの状態を示す。両者のハンダコーティング状態は明らかに異なり、本発明品はほぼ均一に基板全面をハンダが被っているのに対して、通常のニッケル/金メッキ仕様ではハンダ厚みにムラを生じている。
このような差異が生じる原因を断面観察により行った。ハンダの厚みムラが生じたニッケル/金のモジュールを切断し、確認した結果、図33の写真7に示すニッケルのクラックが確認できた。一方、本発明品ではこのようなニッケルのクラックは一切確認できなかった。
このことから、このようなニッケル表面に発生したクラックにより、再コーティングのハンダをはじき、図32の写真6に示すようなハンダの厚みムラを発生したものと考えられる。
(実施例4)
次に、実施例4について説明する
図16は、Auメッキ素子の作製工程を示す模式図である。
まず、ビスマス/アンチモン/テルルを主成分とするP型熱電半導体およびビスマス/テルルを主成分とするN型熱電半導体を加熱加圧しながらそれぞれのインゴット(熱電半導体ブロック)を作製した。
次に、各インゴットを分割後スライスし、P型とN型のそれぞれの熱電半導体ウェハーを得た。ウェハーサイズは概ね30mm×40mmで、厚みはモジュール性能により概ね1.8mmのものを準備した。
P型半導体ウェハーとN型半導体ウェハーをそれぞれ無機酸の混酸でエッチングし、その後、先ずPdを概ね0.2μmの厚みで実施し、引き続いて無電解ニッケルメッキを概ね5μmの厚さで施した。その後、あらためてニッケル表面にPdを電解メッキにて概ね0.2μmの厚みで付け、さらにその上に金メッキを概ね0.05μmの厚みで付け、金メッキウェハーを得た。この状態で、金メッキウェハーをダイシング治具に固定して細断し、P型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子を得た。細断後のP型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子の素子サイズは3.2mm×3.2mmとした。比較試料として、Pdメッキを実施せず、金メッキを0.2〜0.3μm付けたP型熱電半導体素子およびN型根電半導体素子を作製した。
上記工程により得たP型半導体素子およびN型半導体を用いたモジュールの組立は、図17および図18に示す一連の如くの工程を経て行った。
図17に示すように、用いたセラミック基板は厚みが1.0mmのアルミナ製で、サイズは57mm×41mm、その片面はP型熱電半導体およびN型熱電半導体を1個ずつ配置できるようにした接合板が41個取り付けられるようにランド部が形成されている。このうち2個のランド部はリード線を取り付けるために基板外周部まで延長されている。対応するセラミック基板も厚みが1.0mmのアルミナ製でサイズは概ね52mm×41mm、その片面は組立後P型熱電半導体およびN型熱電半導体が直列に配列されるように接合板取り付け用ランド部が40個形成されている。
ランド部はアルミナ基板にMoMnペーストを焼成し、その表面をニッケルメッキと金メッキで被覆したメタライズ構成である。また、電極となる接合板は図18に示すように1mmの厚みの銅プレートを9mm×4mmの大きさに打ち抜いた後、ニッケルメッキを概ね2〜4μmの厚さで付け、更にその上にPdメッキを概ね0.1μmの厚さで実施し、最表面に金メッキを概ね0.05μmの厚みで施した。
用いたSnAgCuペーストハンダは市販品を使用した。
図17に示すハンダペースト塗布工程において、セラミック基板の素子搭載面に対してランド部の位置と同じ位置に穴を持つ金属製のマスクをかぶせ、この上からSnAgCuハンダペーストをスクイーズした。
均一な厚みになるようにプラスチックヘラで過剰分のハンダペーストを取り除き、概ね50μmの厚みのハンダペーストを塗布した。同様に対向するもう1枚のセラミック基板に対してもハンダペーストを塗布した。
接合板より一回り大きい振り込み治具に、上記接合板を振り込み、吸熱基板および放熱基板の所定の位置に接合板を配置した。その後、接合板を配置した基板に素子接合用のハンダペーストを塗布した。
素子の配列も接合板と同様の振り込み治具を使用し、P型熱電半導体素子を配列した後、N型半導体素子を放熱基板側の接合板上に配置した。その後、放熱基板を治具内にセットし、その上から吸熱基板側の接合板が素子と重なるようにセットした。この状態で治具から外し、加熱用治具に移した。
リフロー炉は熱風式4ゾーン型で、最高到達温度は250℃、融点以上の加熱時間は大凡3分の条件となるよう送り速度とゾーン温度をセットした。この条件でリフローし、モジュールとした。
得られたモジュールにリード線をSnAgCuハンダで取り付けた後、耐久試験を実施した。
耐久試験は、モジュールの外側に熱電対を市販のエポキシ系接着剤で取り付け、温調器で25℃に温調した絶縁性液体(フッ素系のガルデン)中にモジュールを漬けて反転通電行い、加速的にハンダ疲労を行わせる試験で行った。条件は電流値18Aで実施し、7.5秒ごとに電流の向きを反転させた。この条件でガルデンの温度は大凡55℃、計測されるモジュールの温度は60℃と120℃の温度サイクルとなる。モジュールの初期抵抗に対する抵抗変化率が5%に達したサイクル数を寿命とし、その寿命を比較検証した。
PN熱電半導体にPdメッキを実施せず、また接合板にもPdメッキを行わなかった通常品も合わせて試験した結果を表1に示す。
本発明品を組み込んだモジュールの耐久性は通常品に比較して2倍以上の耐久性を示していることが明らかである。
これら耐久性向上の原因は主にはハンダのぬれ性が改善され接合面に閉じこめられたボイド量が低減できたこと、ならびに熱電半導体素子のメッキ密着性が向上したためである。
(実施例5)
次に、実施例5について説明する
熱電半導体素子の製造工程をすべて乾式法で実施できれば、メッキ工程の省略が可能となる。そのため、熱電半導体インゴットを概ね1.0mmにスライス後、スパッター装置内でPd層、Ni層、Au層の形成を試みた。
図19は、実施例5によるAuメッキ素子の作製方法を示す模式図である。
P型熱電半導体ウェハーおよびN型熱電半導体ウェハーをアルゴンスパッターでドライエッチングし、その後Pdを0.1μm、Niを1μm、Auを0.025μmスパッター法にて積層した。乾式法で問題となるのは、熱電半導体インゴットからスライス加工する際に発生する加工痕(マイクロクラック)が除去できるかである。そのため、Pd/Ni/Auスパッターウェハーを□3.2mmにダイシングし、素子の片側のスパッター層を銅製のプレートにPbSnハンダを用いてハンダ付けした。その後、もう一方のスパッター層に釘の頭状に先端を平らに加工した真鍮製の棒を鉛直にハンダ付けし、熱電半導体とスパッター層の密着力を測定した。その結果、P型熱電半導体素子で60kg/cm2、N型半導体素子で80kg/cm2の密着力が得られた。
この密着力は、湿式法で作製したP型熱電半導体素子の密着力100kg/cm2、N型熱電半導体素子の密着力120kg/cm2に比較すると、約60%程度の値である。
この熱電半導体ウェハーを0.64mm×0.64mmの大きさにダイシングし、P型およびN型の熱電半導体素子を作製、23対の光通信用の微小モジュールを組み立てた。
上記工程により得たP型半導体素子およびN型半導体を用いたモジュールの組立は、図20に示す如くの一連の工程を経て行った。
用いたハンダは市販品のSnSbハンダペーストである。
図20に示すハンダペースト塗布工程においては、セラミック基板の素子搭載面に対してランド部の位置と同じ位置に穴を持つ金属製のマスクをかぶせ、この上からハンダペーストをスクイーズした。
均一な厚みになるようにプラスチックヘラで過剰分のハンダペーストを取り除き、概ね40μmの厚みのハンダペーストを塗布した。同様に対向するもう1枚のセラミック基板に対しても金スズペーストを塗布した。
用いたセラミック基板は厚みが0.3mmのアルミナ製で、サイズは6.0mm×8.2mm、その片面はP型熱電半導体およびN型熱電半導体を1個ずつ配置できるようにしたランド部が24個形成されている。対応するセラミック基板も厚みが0.3mmのアルミナ製でサイズは概ね6.0mm×8.2mm、その片面は組立後P型熱電半導体およびN型熱電半導体が直列に配列されるように23個のランド部が形成されており、リード線取り付け部に対応するコーナー部2箇所には捨てパターンとして素子が載らないランド部がある。
ランド部のメタライズ構成はセラミック側から銅のメタライズ層、その上に概ね5μmの厚みのニッケルのメタライズ層を設け、最表面には0.2〜0.3μmの厚みの無電解金メッキで通常使用されているメタライズ構成のセラミック基板である。なお、素子搭載面と反対面のメタライズ構成も搭載面と同じメタライズ構成とした。
熱電半導体素子の配置位置に素子サイズより一回り大きめの穴の空いた厚み0.3mmの金属製マスクをかぶせ、図19の方法で作製した金メッキを行った熱電半導体素子を配列した。
この状態で振り込み用のメタルマスクを取り除き、組立用の治具に移動した。組立用治具は、図8に示す実施例1と同様のものを用いた。
詳細には、図8に示す組立用治具は、下面がSUS製のベースプレートからなり、プレートにはモジュールの位置決め用の突起部が有り、位置合わせされたモジュールの中心に所望の荷重がかけられるように鉛直に移動可能なピストン部がハウジング部に取り付けられている。ベースプレートとハウジング間は熱の放散を防ぐ目的で低熱伝導性の有機材が挟み込まれている。また、モジュールと接触するピストンの先端部にも低熱伝導性のエラストマーが付けられ、ピストンを介しての熱の放散を防止している。
片方のセラミック基板のランド部に熱電半導体素子を配列した組立仕掛品を組立治具の位置決めコーナーに配置し、ピストン部を介して180grの重しがかかるようにした。
その後、組立治具ごと300℃に昇温した熱板上に移動し、ハンダ融点である240℃に達した後20秒加熱した。この後、治具ごと100℃の熱板上に移動して徐冷し、モジュール温度が120℃に冷却後、空冷した。
このようにして片方の基板上に素子を配列した組立仕掛品に、もう一方のセラミック基板を接合した。予め基板の素子搭載面に均一に塗布したハンダペーストの上に、先に組み立てた組立仕掛品をかぶせ、組立治具の位置決めコーナーにセットした。
その後、同様に300℃の熱板上で20秒加熱した後、徐冷、空冷して金スズモジュールを得た。
本発明品を反転通電試験により、耐久性の評価を行った。
耐久試験は、モジュールの外側に熱電対をPbSnハンダで取り付け、温調器で42℃に温調した絶縁性液体(フッ素系のガルデン)中にモジュールを漬けて反転通電行い、加速的にハンダ疲労を行わせる試験で行った。条件は電流値1.0Aで実施し、7.5秒ごとに電流の向きを反転させた。この条件でガルデンの温度は大凡45℃、計測されるモジュールの温度は40℃と120℃の温度サイクル(ΔT=80℃)となる。モジュールの初期抵抗に対する抵抗変化率が5%に達したサイクル数を寿命とし、その寿命を比較検証した。
本条件でテストした11個のモジュールの寿命は平均で25×103サイクルであった。Pd層を含まない素子を湿式法で製造した同一型式のモジュールの場合、本条件での耐久性は20×103サイクルであり、2割程度寿命が改善していた。
(実施例6)
次に、実施例6について説明する
本実施例では、図19に示すように、実施例5のPdをPtに変更して実施した。
詳細には、P型熱電半導体ウェハーおよびN型熱電半導体ウェハーをアルゴンスパッターでドライエッチングし、その後Ptを0.05μm、Niを1μm、Auを0.025μmの厚さでスパッター法にて積層した。乾式法で問題となるのは、熱電半導体インゴットからスライス加工する際に発生する加工痕(マイクロクラック)が除去できるかである。そのため、Pt/Ni/Auスパッターウェハーを□3.2mmにダイシングし、素子の片側のスパッター層を銅製のプレートにPbSnハンダを用いてハンダ付けした。その後、もう一方のスパッター層に釘の頭状に先端を平らに加工した真鍮製の棒を鉛直にハンダ付けし、熱電半導体とスパッター層の密着力を測定した。その結果、P型熱電半導体素子で70kg/cm2、N型半導体素子で70〜120kg/cm2の密着力が得られた。
この密着力は、湿式法で作製したP型熱電半導体素子の密着力100kg/cm2、N型熱電半導体素子の密着力120kg/cm2に比較すると、約70%程度の値である。
この熱電半導体ウェハーを0.64mm×0.64mmの大きさにダイシングし、P型およびN型の熱電半導体素子を作製、23対の光通信用の微小モジュールを組み立てた。
上記工程により得たP型半導体素子およびN型半導体を用いたモジュールの組立は、実施例5と同様に、図20に示す如くの一連の工程を経て行った。
用いたハンダは市販品のSnSbハンダペーストである。
図20に示すハンダペースト塗布工程においては、セラミック基板の素子搭載面に対してランド部の位置と同じ位置に穴を持つ金属製のマスクをかぶせ、この上からハンダペーストをスクイーズした。
均一な厚みになるようにプラスチックヘラで過剰分の金スズペーストを取り除き、概ね40μmの厚みの金スズペーストを塗布した。同様に対向するもう1枚のセラミック基板に対しても金スズペーストを塗布した。
用いたセラミック基板は厚みが0.3mmのアルミナ製で、サイズは6.0mm×8.2mm、その片面はP型熱電半導体およびN型熱電半導体を1個ずつ配置できるようにしたランド部が24個形成されている。対応するセラミック基板も厚みが0.3mmのアルミナ製でサイズは概ね6.0mm×8.2mm、その片面は組立後P型熱電半導体およびN型熱電半導体が直列に配列されるように23個のランド部が形成されており、リード線取り付け部に対応するコーナー部2箇所には捨てパターンとして素子が載らないランド部がある。
ランド部のメタライズ構成はセラミック側から銅のメタライズ層、その上に概ね5μm厚みのニッケルのメタライズ層を設け、最表面には0.2〜0.3μmの厚みの無電解金メッキで通常使用されているメタライズ構成のセラミック基板である。なお、素子搭載面と反対面のメタライズ構成も搭載面と同じメタライズ構成とした。
熱電半導体素子の配置位置に素子サイズより一回り大きめの穴の空いた厚み0.3mmの金属製マスクをかぶせ、図19の方法で作製した金メッキを行った熱電半導体素子を配列した。
この状態で振り込み用のメタルマスクを取り除き、組立用の治具に移動した。この組立用治具は、図8に示す実施例1と同様のものを用いた。
詳細には、図8に示す組立用治具は、下面がSUS製のベースプレートからなり、プレートにはモジュールの位置決め用の突起部が有り、位置合わせされたモジュールの中心に所望の荷重がかけられるように鉛直に移動可能なピストン部がハウジング部に取り付けられている。ベースプレートとハウジング間は熱の放散を防ぐ目的で低熱伝導性の有機材が挟み込まれている。また、モジュールと接触するピストンの先端部にも低熱伝導性のエラストマーが付けられ、ピストンを介しての熱の放散を防止している。
片方のセラミック基板のランド部に熱電半導体素子を配列した組立仕掛品を組立治具の位置決めコーナーに配置し、ピストン部を介して180grの重しがかかるようにした。
その後、組立治具ごと300℃に昇温した熱板上に移動し、ハンダ融点である240℃に達した後20秒加熱した。この後、治具ごと100℃の熱板上に移動して徐冷し、モジュール温度が120℃に冷却後、空冷した。
このようにして片方の基板上に素子を配列した組立仕掛品に、もう一方のセラミック基板を接合した。予め基板の素子搭載面に均一に塗布したハンダペーストの上に、先に組み立てた組立仕掛品をかぶせ、組立治具の位置決めコーナーにセットした。
その後、同様に300℃の熱板上で20秒加熱した後、徐冷、空冷して金スズモジュールを得た。
本発明品を反転通電試験により、耐久性の評価を行った。
耐久試験は、モジュールの外側に熱電対をPbSnハンダで取り付け、温調器で42℃に温調した絶縁性液体(フッ素系のガルデン)中にモジュールを漬けて反転通電行い、加速的にハンダ疲労を行わせる試験で行った。条件は電流値1.0Aで実施し、7.5秒ごとに電流の向きを反転させた。この条件でガルデンの温度は大凡45℃、計測されるモジュールの温度は40℃と120℃の温度サイクル(ΔT=80℃)となる。モジュールの初期抵抗に対する抵抗変化率が5%に達したサイクル数を寿命とし、その寿命を比較検証した。
本条件でテストした11個のモジュールの寿命は平均で28×103サイクルであった。Pt層を含まない素子を湿式法で製造した同一型式のモジュールの場合、本条件での耐久性は20×103サイクルであり、3割近く寿命が改善していた。
(実施例7)
次に、実施例7について説明する
光通信用23対アルミナ基板を用いて、Auメッキの厚みの検証を行った。セラミック基板は厚みが0.3mmのアルミナ製で、サイズは6.0mm×8.2mm、その片面はP型熱電半導体およびN型熱電半導体を1個ずつ配置できるようにしたランド部が24個形成されている。その素子搭載面と反対の面は、セラミック板の外寸から0.1mmプルバックしたランド部が一面に形成されている。両面ともメタライズ構成は同一で、セラミック側から銅メッキ、ニッケルメッキ、Pdメッキ、Auメッキの4層構造となっている。なお、各ランド部の側面もニッケルメッキ、Pdメッキ、Auメッキに被われた構造である。試験では、ニッケルメッキの厚みを概ね5μm、Pdメッキ厚みを0.2μmで統一し、その上のAuメッキの厚みを0(Auメッキ無し)〜2μmまで変化させた。
この基板をモジュール組立後の経過時間として評価するため、すべての基板を300℃の熱板上で5分間熱処理し、一旦空冷した後、再度300℃の熱板上で5分間加熱処理した。この熱処理は組立温度の熱履歴を模擬している。
その後、120℃±3℃の熱風式の試験炉内に放置し、所定時間経過後のハンダペレットのぬれ広がりの大きさで評価した。評価に使用したハンダは、139℃の融点を持つBiSnハンダのペレットで行った。評価は180℃に保った熱板上にBiSnハンダペレットを1粒載せた試験基板を置き、20分後のハンダの濡れ広がりの大きさを読みとった(図34及び図35の写真参照)。なお、試験では一切フラックスを使用せず、スクラブも行わなかった。
得られた結果を図21に示す。同図から明らかなように、Auメッキが無い場合、加熱により急速にぬれ広がり性が低下し、120℃で24時間放置後にはぬれ性は認められなかった。これはPdがAuに比較すると反応性に富んでいるため、Pd自身が酸化されたものと推定される。従って、セラミック基板のニッケルメッキ上にPdメッキだけを行っていると長期保管性に問題が発生する可能性がある。
また、Pdメッキ上につけるAuメッキの厚みは厚く付けた方が効果的である。
0.025μm以上の厚さでAuメッキを施した場合、120℃で100時間ハンダぬれ性があることが確認された。Auメッキ層の表面の酸化反応でぬれ性が低下すると仮定すると、120℃の寿命に対して20℃の室温では、(120−20)=100℃であるから、2(100/10)=1024倍の寿命が期待できる。つまり、室温保管をした場合、100時間×1024=1×10時間=4166日=11.4年に相当する。
(実施例8)
次に、実施例8について説明する
光通信用アルミナ製の23対基板を準備した。熱電素子を搭載する側のメタライズ構成は図22に示すように、銅、その上に概ね5μmの厚みのニッケルメッキ、その上に0.2μmの厚みのPdメッキ、最表面は0.1μmの厚みのAuメッキを施してある。一方、反対面のメタライズは5μmの厚みのニッケルメッキまでとした。対応する吸熱側基板も、熱電素子搭載側のみ銅、その上に概ね5μmの厚みのニッケルメッキ、その上に0.2μmの厚みのPdメッキ、最表面は0.1μmの厚みのAuメッキを施してある。素子搭載面と反対側のメタライズは、銅メッキの上に概ね5μmのニッケルメッキを施したのみである。
比較サンプルとして、図23に示すように、熱電素子を搭載する側のランド部111、その反対側のランド部ともに、銅メッキ、その上に概ね5μmの厚みのニッケルメッキ、最表面は0.25μmの厚みのAuメッキを施してある通常用いられる基板を準備した。
図12に示す実施例3と同様の方法により、AuSnペーストハンダを用いて、モジュールを組立後、モジュールの外側に設けたニッケルメッキ仕上げのメタライズ面を改質した。図24に示す放熱基板側のニッケルメッキ表面111Bのみが露出するように小窓を設けた治具にモジュールを配置し、スパッター装置内でアルゴンスパッターによりニッケル表面の酸化物層を除去した。その後、フレッシュなニッケル面上にスパッタリングによりPdを0.025μm相当積層し、さらにその上にスパッタリングによりAu層111Cを0.025μm積層した(図25参照)。
このように吸熱側のニッケル面のみPd/Au層を付与したモジュールにリード線を取り付け、CuW製のパッケージにモジュールを取り付けた。使用したハンダはSnAgInBiでハンダ融点はmp=200〜210℃である。その後、超音波によるボイド検査を実施した。本実施例では、パッケージとモジュール放熱基板間のハンダ層には殆どボイドが存在せず、モジュール放熱基板と熱電半導体素子間のハンダ接合部の接合状態も十分確認出来るレベルであった。
一方、比較サンプルをパッケージに取り付けた場合、超音波によるボイド検査でパッケージとモジュール放熱器板間のハンダ層にボイドの発生が見られ、ボイド発生場所の画像が黒く不鮮明となった。また、モジュール放熱基板と熱電半導体素子間のハンダ接合部の接合状態はパッケージと放熱器板間のボイド発生により、画像が黒色化し、判定不能であった。
この状態を再現した結果を、図36の写真9と図37の写真10に示す。
(実施例9)
次に、実施例9について説明する
図26は、実施例9の組立に使用した基板の作製方法を示す断面図である。
50μm厚みのポリイミドフィルム上に35μの銅箔を接合し、その後エッチングにより光通信用23対基板のランド部形成を行った。詳細には、銅箔上にドライフィルムを塗布し、このドライフィルムを紫外線で露光することによりドライフィルムの所定位置(ランド部)を感光し、未硬化部のドライフィルムを除去した後、ドライフィルムをマスクとして銅箔をエッチングすることによりランド部の銅箔を残存させ、ドライフィルムを除去した。
銅のランド部形成後、概ね5μmの厚みのニッケルメッキを析出させ、更にその上にPdメッキを概ね0.1μmの厚みで析出させ、最表面にはAuメッキを概ね0.05μmの厚みで施した。熱電素子搭載面と反対側の面にはメタライズ層を設けず、ポリイミドフィルム状態のままとした。ポリイミド製基板のメタライズが完成後、打ち抜き型により、放熱基板用として6.0mm×8.2mmの大きさに個片化した。
この基板に対応する吸熱基板側も同様に50μmの厚みのポリイミドフィルム上に35μmの厚みの銅箔を接合し、エッチングによりパターニングした。銅のランド部形成後、同様な厚みのニッケルメッキ、Pdメッキ、Auメッキを施した後、打ち抜きにより6.0mm×8.2mmの大きさに個片化した。吸熱基板の素子搭載面の反対面もメタライズ層を一切設けず、ポリイミドフィルム状態のままとした。
比較基板として、光通信用として通常使用されているアルミナ製の基板を準備した。比較基板は0.3mm厚みのアルミナを使用し、素子搭載側のメタライズ構成は、銅の厚みが概ね18μm、その上のニッケルメッキの厚みが4μm、最表面のAuメッキの厚みが0.2〜0.3μmである。熱電素子搭載面の反対面のメタライズ構成も熱電素子搭載面と全く同じである。
モジュールの組立に使用したP型熱電半導体素子およびN型熱電半導体素子は、図27に示す方法で作製した。
詳細には、最初に、ビスマス/アンチモン/テルルを主成分とするP型熱電半導体およびビスマス/テルルを主成分とするN型熱電半導体を加熱加圧しながらそれぞれのインゴット(熱電半導体ブロック)を作製した。
次に、各インゴットを分割後スライスし、P型とN型のそれぞれの熱電半導体ウェハーを得た。ウェハーサイズは概ね30mm×40mmで、厚みはモジュール性能により概ね1mmのものを準備した。
P型半導体ウェハーとN型半導体ウェハーをそれぞれ無機酸の混酸でエッチングし、所定量エッチングしたことを確認後、ウェハー全周に渡り無電解ニッケルメッキを概ね5μmの厚みで施した。その後、スズとアンチモンの合金浴でアンチモンの含有量が概ね3〜5wt%になるように合金メッキを30μmの厚みで析出させた。
このようにして作製したSnSbメッキウェハーをダイシング治具に接着剤を用いて貼り付け、□0.64mmのサイズに個片化した。個片化したP型熱電半導体素子、N型熱電半導体素子を各種溶剤で洗浄後、乾燥してモジュール組立に供した。
モジュール組立は、図28に示すように、基板のランド部に高粘度フラックスを塗布後、熱電半導体素子の配置位置に素子サイズより一回り大きめの穴の空いた厚み0.3mmの金属製マスクをかぶせ、上記方法で作製したSnSb熱電半導体素子を配列した。
この状態で振り込み用のメタルマスクを取り除き、組立用の治具に移動した。この組立用治具は、図8に示す実施例1と同様のものを用いた。
詳細には、図8に示す組立用治具は、下面がSUS製のベースプレートからなり、プレートにはモジュールの位置決め用の突起部が有り、位置合わせされたモジュールの中心に所望の荷重がかけられるように鉛直に移動可能なピストン部がハウジング部に取り付けられている。ベースプレートとハウジング間は熱の放散を防ぐ目的で低熱伝導性の有機材が挟み込まれている。また、モジュールと接触するピストンの先端部にも低熱伝導性のエラストマーが付けられ、ピストンを介しての熱の放散を防止している。
片方のセラミック基板のランド部に熱電半導体素子を配列した組立仕掛品を組立治具の位置決めコーナーに配置し、ピストン部を介して160grの重しがかかるようにした。
その後、組立治具ごと320℃に昇温した熱板上に移動し、ハンダ融点である240℃に達した後15秒加熱した。この後、治具ごと100℃の熱板上に移動して徐冷し、モジュール温度が120℃に冷却後、空冷した。
このようにして片方の基板上に素子を配列した組立仕掛品に、もう一方のセラミック基板を接合した。その方法は、図28に示すように、基板の素子搭載面にフラックスを均一に塗布し、先に組み立てた組立仕掛品を上から載せ、組立治具の位置決めコーナーにセットした。
重りは160gとし、同様に320℃の熱板上で20秒加熱した後、徐冷、空冷してモジュールを得た。
比較サンプルである通常のアルミナ基板を用いた組立も同様の方法で実施した。
本発明品を反転通電試験により、耐久性の評価を行った。
耐久試験は、一度に12個モジュールを直列に接続して評価できる装置で行った。評価は奇数番に本発明品であるポリイミド基板のモジュールを、偶数番に比較サンプルである通常のアルミナ基板のモジュールをセットし、アルミナ基板の外側に熱電対をPbSnハンダで取り付けた。テストはサーキュレータで42℃に温調した絶縁性液体(フッ素系のガルデン)中にモジュールを漬けて反転通電行い、条件は電流値1.0Aで実施し、7.5秒ごとに電流の向きを反転させた。この条件でガルデンの温度は大凡45℃、計測されるモジュールの温度は40℃と120℃の温度サイクル(ΔT=80℃)となる。モジュールの初期抵抗に対する抵抗変化率が5%に達したサイクル数を寿命とし、その寿命を比較検証した。通常のアルミナ基板を使用した比較サンプルは短期間で寿命に達したため、温度条件、電流条件を変更せず、次々と新しい比較サンプルを付け直した。
本条件でテストした6個のポリイミド基板を用いたモジュールの寿命は平均で80×103サイクルであった。一方、Pdメッキを行わなかった通常のアルミナ基板は16〜22×103サイクルであった。
この耐久性の差違は、Pd層を入れたことによりハンダ接合部のボイド発生が低減されたこと、並びにハンダぬれ性が基板材料としてフレキシブルなポリイミドを使用したことにより、基板ランド部と熱電素子間に発生する熱変形変位量が改善されたことによる。
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、実施例1〜9を適宜組み合わせて実施することも可能である。
11,12…セラミック基板
13a…P型熱電半導体素子
13b…N型熱電半導体素子
15…リード線
20…ヒートスプレッター
30…レーザダイオード
40…光ファイバ
50…サーミスタ
60…パッケージ
80…熱電変換モジュール
111,121…ランド部
111a,121a…金属成膜層
111A…メタライズ銅層
111B…メタライズニッケル層
111C…メタライズ金層
112−1,112−2…リード取付ランド部

Claims (10)

  1. 第1の基板の表面上に形成された複数の第1の金属成膜層と、
    第2の基板の表面上に形成された複数の第2の金属成膜層と、
    前記第1又は第2の基板の裏面上に形成された第3の金属成膜層と、
    前記複数の第1の金属成膜層の上に第1のハンダによって一端がそれぞれ接合され、前記複数の第2の金属成膜層の上に第2のハンダによって他端がそれぞれ接合された複数対のP型熱電半導体素子及びN型熱電半導体素子と、
    を具備する熱電変換モジュールであって、
    前記複数対のP型熱電半導体素子及びN型熱電半導体素子が、前記複数の第1の金属成膜層及び前記複数の第2の金属成膜層によって電気的に直列に接続されており、
    前記第1の基板が、セラミック板、有機系フィルム、及び、前記セラミック板及び前記有機系フィルムを組み合わせた基板の内のいずれかであり、
    前記第2の基板が、セラミック板、有機系フィルム、及び、前記セラミック板及び前記有機系フィルムを組み合わせた基板の内のいずれかであり、
    前記複数の第1の金属成膜層、前記複数の第2の金属成膜層、及び、前記第3の金属成膜層の各々が、前記第1又は第2の基板上に形成された銅層と、前記銅層に接して形成された第1のニッケルメッキ層と、前記第1のニッケルメッキ層に接して形成された第1のパラジウム層又は第1の白金層と、前記第1のパラジウム層又は前記第1の白金層に接して形成された第1の金層とを有しており、
    前記複数対のP型熱電半導体素子及びN型熱電半導体素子の一端及び他端の各々には、前記熱電半導体素子に接して形成された第2のパラジウム層又は第2の白金層と、前記第2のパラジウム層又は前記第2の白金層に接して形成された第2のニッケルメッキ層と、第3のパラジウム層と、第2の金層とがこの順で設けられている、
    熱電変換モジュール。
  2. 熱電変換モジュールに用いられる熱電半導体素子であって、
    前記熱電半導体素子が、P型熱電半導体素子又はN型熱電半導体素子であり、
    前記熱電半導体素子の一端及び他端の各々には、前記熱電半導体素子に接して形成された第1のパラジウム層又は白金層と、前記第1のパラジウム層又は前記白金層に接して形成されたニッケルメッキ層と、第2のパラジウム層と、金層とがこの順で設けられている、
    熱電半導体素子。
  3. 請求項1において、前記第1のニッケルメッキ層と、前記第1のパラジウム層又は前記第1の白金層と、前記第1の金層とを液相反応で形成したことを特徴とする熱電変換モジュール。
  4. 請求項1において、前記第1のパラジウム層又は前記第1の白金層と、前記第1の金層とを気相反応で形成したことを特徴とする熱電変換モジュール。
  5. 請求項1、のいずれか一項において、前記第2のパラジウム層の厚み又は前記第2の白金層の厚みが0.025μm以上であることを特徴とする熱電変換モジュール。
  6. 請求項1、のいずれか一項において、前記第2のパラジウム層又は前記第2の白金層が湿式法により形成されたことを特徴とする熱電変換モジュール。
  7. 請求項1、のいずれか一項において、前記第2のパラジウム層又は前記第2の白金層が乾式法により形成されたことを特徴とする熱電変換モジュール。
  8. 請求項1、のいずれか一項において、前記第1のパラジウム層の厚み又は前記第1の白金層の厚みが0.025μm以上であることを特徴とする熱電変換モジュール。
  9. 請求項1、のいずれか一項において、前記第1のパラジウム層又は前記第1の白金層が湿式法により形成されたことを特徴とする熱電変換モジュール。
  10. 請求項1、のいずれか一項において、前記第1のパラジウム層又は前記第1の白金層が乾式法により形成されたことを特徴とする熱電変換モジュール。
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