JP5425516B2 - スタンパ製造用アルミニウム基材およびスタンパの製造方法 - Google Patents

スタンパ製造用アルミニウム基材およびスタンパの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、反射防止物品等の製造に用いられる、微細凹凸構造を表面に有するスタンパの製造方法および該スタンパの製造に用いられるアルミニウム基材に関する。
近年、可視光波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する物品は、反射防止機能、ロータス(Lotus)効果等を発現することから、その有用性が注目されている。特に、モスアイ(Moth−Eye)構造と呼ばれる微細凹凸構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に増大していくことで有効な反射防止機能を発現することが知られている。
微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法としては、下記の方法が知られており、生産性、経済性の点から、(ii)の方法が優れている。
(i)透明基材等の表面を直接加工して微細凹凸構造を表面に有する物品を製造する方法。
(ii)微細凹凸構造に対応した反転構造を有するスタンパを用いて、透明基材等の表面に反転構造を転写する方法。
スタンパに反転構造を形成する方法としては、電子線描画法、レーザー光干渉法等が知られている。近年、より簡便に反転構造を形成できる方法として、アルミニウム基材の表面を陽極酸化する方法が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
アルミニウム基材の表面を陽極酸化することによって形成される陽極酸化アルミナは、アルミニウムの酸化皮膜(アルマイト)であり、周期が可視光の波長以下である複数の細孔からなる微細凹凸構造を有する。
しかし、陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを用いて、例えば反射防止膜(反射防止フィルム、反射防止シートを含む。)等の反射防止物品をはじめとする光学用途の物品を(ii)の方法で製造した場合、下記の問題が生じるため、光学用途に適したものが得られない場合がある。
(1)アルミニウム基材が圧延品である場合、その圧延痕が物品に転写される。
(2)細孔の配列規則性を高める処理により結晶粒界の段差が大きくなり、その段差が物品に転写されて、視認できるほどのマクロな凹凸が形成される。
(3)結晶粒界の段差が小さく、マクロな凹凸が視認できないレベルであっても、結晶面ごとに陽極酸化のされやすさが異なるため、物品に色ムラが生じる。
特開2005−156695号公報
本発明は、転写面に生じるマクロな凹凸や色ムラを視認しにくくすることができるスタンパを得ることができるアルミニウム基材、転写面に生じるマクロな凹凸や色ムラを視認しにくくすることができるスタンパの製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、転写面におけるマクロな凹凸や色ムラは、転写面に適度なヘイズを付与することにより目立たなくなることを見出した。
そこで、本発明者らは、被加工面に露出した金属間化合物の合計の面積が被加工面の面積(100%)に対して0.14%超0.7%以下であり、被加工面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であるアルミニウム基材の被加工面を陽極酸化することにより、周期が可視光の波長以下である複数の細孔からなる微細凹凸構造が被加工面に形成されると同時に、金属間化合物が脱落して転写面に適度なヘイズを付与できる粗い凹凸構造が被加工面に形成されること、そして、このようなスタンパを用いることによって、転写面に実用上問題のないレベルのヘイズを付与でき、転写面におけるマクロな凹凸や色ムラが視認しにくい物品を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のスタンパ製造用アルミニウム基材は、微細凹凸構造を表面に有するスタンパの製造に用いられる、前記微細凹凸構造が形成される被加工面を有するアルミニウム基材であって、前記被加工面には、該被加工面に露出した複数の金属間化合物が存在し、前記被加工面に露出した金属間化合物の合計の面積が、前記被加工面の面積(100%)に対して、0.14%超0.7%以下であり、前記被加工面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であることを特徴とする。
前記被加工面に露出した金属間化合物の平均径は、0.5〜3.0μmであることが好ましい。
アルミニウム基材(100質量%)中、ケイ素の含有量が0.1質量%以下であり、鉄の含有量が0.4質量%以下であり、銅の含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。
本発明のスタンパ製造用アルミニウム基材は、鍛造処理されたものであることが好ましい。
本発明のスタンパ製造用アルミニウム基材の平均結晶粒径は、1mm以下であることが好ましい。
本発明のスタンパの製造方法は、本発明のスタンパ製造用アルミニウム基材の被加工面を陽極酸化することによって、周期が400nm以下である複数の細孔からなる微細凹凸構造を前記被加工面に形成し、かつ前記金属間化合物を脱落させて前記被加工面に粗い凹凸構造を形成することを特徴とする。
前記細孔のアスペクト比(深さ/周期)は、1.0以上であることが好ましい。
本発明のスタンパの製造方法は、前記アルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、前記被加工面に酸化皮膜を形成する第1の酸化皮膜形成工程(a)と、前記酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を前記被加工面に形成する酸化皮膜除去工程(b)と、前記細孔発生点が形成されたアルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化して、前記細孔発生点に対応した細孔を有する酸化皮膜を前記被加工面に形成する第2の酸化皮膜形成工程(c)と、前記細孔の径を拡大させる孔径拡大処理工程(d)とを有することが好ましい。
本発明のアルミニウム基材によれば、転写面に生じるマクロな凹凸や色ムラを視認しにくくすることができるスタンパを得ることができる。
本発明のスタンパの製造方法によれば、転写面に生じるマクロな凹凸や色ムラを視認しにくくすることができるスタンパを製造できる。
本発明のスタンパの製造方法の一例を説明する説明図である。 スタンパの表面に形成された細孔の形状の一例を示す断面図である。 スタンパの表面に形成された細孔の形状の他の例を示す断面図である。 スタンパの表面に形成された細孔の形状の他の例を示す断面図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造装置の一例を示す構成図である。
<アルミニウム基材>
本発明のスタンパ製造用アルミニウム基材(以下、単に「アルミニウム基材」と記す。)は、微細凹凸構造を表面に有するスタンパの製造に用いられる、微細凹凸構造が形成される被加工面を有するアルミニウム基材である。
被加工面とは、スタンパの表面を材料に転写する際に材料に接触する面であり、その一部または全面に微細凹凸構造が形成される面である。
凹凸構造とは、複数の凹部および/または凸部から構成される構造である。
周期とは、凹凸構造の凹部(または凸部)の中心からこれに隣接する凹部(または凸部)の中心までの距離である。
被加工面には、該被加工面に露出した複数の金属間化合物が存在する。金属間化合物は、主にFe−Al系等の鉄系化合物である。
被加工面に露出した金属間化合物の合計の面積は、被加工面の面積(100%)に対して、0.14%超0.7%以下である。
金属間化合物の面積が0.14%超であれば、金属間化合物が適度に存在するようになり、粗い凹凸構造を適度に形成でき、また、スタンパの表面を転写した物品に適度なヘイズを付与できる。なお、アルミニウム基材の結晶粒径を小さくし、かつ細孔のアスペクト比を高くすることで、転写面における色ムラを低減できるが、転写面における凸部のアスペクト比を高くなるため、転写面の耐擦傷性が低下する傾向がある。
金属間化合物の面積が0.7%以下であれば、可視光を散乱する大きさの粗い凹凸構造が多くなりすぎず、物品の透明性の低下が抑えられるため、例えばディスプレイの最表面に反射防止膜として貼り付けた場合、画像の鮮鋭性が低下せず、光学用途に適した物品が得られる。
金属間化合物の面積は、走査電子顕微鏡の反射電子画像より画像解析にて求められる。具体的には、自動画像処理解析システム(ニレコ社製、LUZEX−AP)により画像解析にて視野内の金属間化合物の面積を求め、これを視野の面積で除して被加工面の面積(100%)に対する金属間化合物の合計の面積の割合を算出する。
被加工面に露出した金属間化合物の平均径は、0.5〜3.0μmが好ましい。平均径が0.5μm以上であれば、形成される粗い凹凸構造が可視光の波長よりも大きくなり、スタンパの表面を転写した物品に適度なヘイズを付与できる。平均径が3.0μm以下であれば、スタンパの表面を透明基材等に転写する際の剥離性の低下が抑えられる。
金属間化合物の平均径は、アルミニウム基材の被加工面における任意に選ばれた100個以上の金属間化合物について算出された円相当径の平均値である。被加工面の金属間化合物の観察は走査電子顕微鏡等で行うことができる。円相当径の平均値は、例えば、ニレコ社製、LUZEX−AP等の画像解析ソフトウエアを用いることで求められる。なお、走査電子顕微鏡等でアルミニウム基材の被加工面を観察するに先立っては、アルミニウム基材の被加工面を鏡面研磨しておくことが好ましい。
被加工面の算術平均粗さRaは、0.05μm以下である。算術平均粗さRaが0.05μm以下であれば、スタンパの表面を転写した物品のヘイズが高くなりすぎない。
算術平均粗さRaは、JIS B0601−2001に定義される。
アルミニウム基材の平均結晶粒径は、1mm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、0.05〜200μmがさらに好ましく、1〜150μmが特に好ましい。平均結晶粒径が1mm以下であれば、スタンパにおける結晶粒界が、視認可能なほどのマクロな凹凸となって現れにくく、その結果、転写面にマクロな凹凸や色ムラが生じにくくなる。このようなスタンパは、例えば反射防止物品等の光学用途の物品の製造に適している。平均結晶粒径が0.05μm以上であれば、アルミニウム基材の製造が容易であり、また、結晶粒界をまたいで細孔が形成されにくくなるため、微細凹凸構造の乱れも抑えられる。
平均結晶粒径は、アルミニウム基材の被加工面における任意に選ばれた100個以上の結晶粒について算出された円相当径の平均値である。被加工面の結晶粒の観察は光学顕微鏡などで行うことができ、円相当径の平均値は、例えば、日本ローパー社製のImage−Pro PLUS等の画像解析ソフトウエアを用いることで求められる。なお、光学顕微鏡等でアルミニウム基材の被加工面を観察するに先立っては、アルミニウム基材の被加工面を研磨し、さらにエッチング処理しておくことが好ましい。
アルミニウム基材のアルミニウム純度は、99.5質量%超99.92質量%以下が好ましく、99.7質量%以上99.92質量%以下がより好ましく、99.8質量%以上99.92質量%以下がさらに好ましい。アルミニウム純度が99.5質量%超であれば、可視光を散乱する大きさの粗い凹凸構造が多くなりすぎず、物品の透明性の低下が抑えられるため、例えばディスプレイの最表面に反射防止膜として貼り付けた場合、画像の鮮鋭性が低下せず、光学用途に適した物品が得られる。アルミニウム純度が99.92質量%以下であれば、金属間化合物が適度に存在するようになり、粗い凹凸構造を適度に形成でき、また、スタンパの表面を転写した物品に適度なヘイズを付与できる。なお、アルミニウム基材の結晶粒径を小さくし、かつ細孔のアスペクト比を高くすることで、転写面における色ムラを低減できるが、転写面における凸部のアスペクト比を高くなるため、転写面の耐擦傷性が低下する傾向がある。
アルミニウム基材(100質量%)中に含まれる、製造上不可避的微量成分の含有量としては、ケイ素の含有量が0.1質量%以下であり、鉄の含有量が0.4質量%以下であり、銅の含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。製造上不可避的微量成分の含有量が多すぎると、陽極酸化によって細孔が形成されない部分ができ、スタンパの表面を転写した物品の反射率が十分に低くならない、透明性が低下する等、性能上の問題が発生する場合がある。
アルミニウム基材の製造方法としては、アルミニウムのインゴット(鋳塊)に鍛造処理等を施して、アルミニウムの結晶粒を微細均一化し、ついで板状、円柱状、円筒状等の所望の形状に切断または切削した後、研磨等によって表面を鏡面化する方法が挙げられる。
表面を鏡面化する方法としては、機械研磨、羽布研磨、化学的研磨、電気化学的研磨(電解研磨等)等の方法が挙げられる。
アルミニウム基材の平均結晶粒径を1mm以下とし、被加工面の算術平均粗さRaを0.05μm以下とするには、後述するように、アルミニウムのインゴットに鍛造処理を施して、アルミニウムの平均結晶粒径が1mm以下になるように微細均一化し、所望の形状に加工した後、研磨により被加工面の算術平均粗さRaを0.05μm以下とすることが好ましい。
微細均一化の方法としては、より大きな加工度を素材に与えられる加工方法が採用される。加工方法としては、圧延処理又は鍛造処理が好ましい。ただし、圧延処理の場合、加工方向が一方向に限られるため、インゴットサイズと基材サイズにより加工度に制限がある場合がある。また、加工方向が一方向に限られるために圧延方向に筋状に伸びた不均一な組織が形成されてしまう場合がある。このような不均一な組織を有するアルミニウム基材を用いてスタンパを製造すると、不均一な組織がマクロな模様として現れ、このようなスタンパから形成された転写面にも不均一なマクロな模様が生じてしまう。その結果、さらに不均一な組織を除去するためのさらなる処理が必要となる。
鍛造処理の場合、加工方向を自由に変えることが可能なため、圧延処理よりも大きな加工度を素材に与えることが可能である。よって、より簡便な方法で微細均一組織を得ることができる点で鍛造処理がより好ましい。また上述と同様の理由から、被加工面の算術平均粗さRaを0.05μm以下とするためには、圧延処理がされていない非圧延処理アルミニウム基材、または、圧延処理された後、圧延処理に起因した不均一な組織が除去されたアルミニウム基材を用いることが好ましい。
以下、鍛造処理に関して詳細に説明する。
(鍛造処理)
鍛造処理としては、熱間鍛造が好ましく、熱間鍛造と冷間鍛造との組み合わせがより好ましい。また、鍛造処理後にさらに熱処理を行うことが好ましい。
熱間鍛造:
純度の高いアルミニウムのインゴットは、粗大不均一な組織になりやすく、このインゴットの粗大不均一な組織を破壊し、再結晶により微細均一組織を得るために熱間鍛造を行う。鍛造に供する前に、切断された鋳造素材を加熱炉に装入し、鍛造前に400〜500℃に加熱する。このときの加熱温度は、組織を微細均一にする上で重要である。次に400〜500℃に加熱された素材を自由鍛造によって鍛造品を製造する。このときの加熱温度が500℃を超えると、熱間鍛造時の再結晶粒が粗大化しやくなり、逆に400℃に達しない加熱温度ではインゴットの粗大な組織の痕跡が不均一に残りやすくなるとともに、鍛造時の変形抵抗が大きくなり、鍛造品またはスタンパに割れが発生しやすくなる。加熱保持は、温度の均一化を図るために1時間程度行われる。鍛錬成型比は大きくとった方がインゴットの粗大不均一組織が残りにくく、(1/2U−2S)または(2S−1/2U)を1サイクルとした場合、2サイクル以上が好ましく、3サイクル以上がより好ましく、4サイクル以上がさらに好ましい。ただし、この鍛造サイクル数が多い場合、鍛造品の温度低下が大きくなるため、再結晶温度を下回りやすくなる。熱間鍛造中に350℃を下回った場合、400℃以上に再加熱することが必要である。
冷間鍛造:
冷間鍛造は、熱間鍛造で得られた微細均一組織をさらに微細化するために行う。素材は室温またはそれ以下の温度まで冷却しておく。素材を型鍛造によって上下方向に潰し、鍛造品を製造する。または、自由鍛造によって鍛造品を製造することもできる。冷間鍛造による歪の蓄積は、後の熱処理後に微細組織を得ることを目的としており、鍛錬成型比を割れ等の不具合が発生しない範囲で大きくとった方がより微細組織を得やすい。(1/2U−2S)または(2S−1/2U)を1サイクルとした場合、1サイクル以上3サイクル以下が好ましく、2サイクル以上3サイクル以下がより好ましい。3サイクルを超える鍛錬成型比は、割れが顕著になりやすい。3サイクル以下の鍛錬成型比の場合でも、鍛造により素材が発熱し温度が200℃を超えると、その時点で歪が徐々に解放され熱処理後に微細組織を得られにくくなる。そのため200℃を超えそうになった場合は一時鍛造を中断し空冷や水冷などを行い、歪の解放を制限する必要がある。
熱処理:
熱処理は、鍛造品に蓄積された歪みによる再結晶を起こさせ、均一微細な結晶粒を得るために行う。鍛造品は、加工中に導入された歪みが蓄積している。この歪みを駆動力とし一斉に多数の微細な再結晶粒を発生させ、均一で微細な結晶粒を得ることができる。熱処理温度としては300〜500℃が好ましく、300〜400℃がより好ましい。300℃よりも低い温度の場合、鍛造組織が一部残ったままとなる可能性がある。逆に500℃よりも高い温度の場合、再結晶粒の成長が顕著となり結晶粒が大きくなってしまう。熱処理時間は、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。処理時間が30分未満では再結晶が完了せず鍛造組織が残るという問題がある。
以上説明した本発明のアルミニウム基材にあっては、被加工面に露出する複数の金属間化合物が存在し、該金属間化合物の合計の面積が0.14%超0.7%以下であり、被加工面の算術平均粗さRaが0.05μm以下であるため、金属間化合物がアルミニウム基材の前処理や陽極酸化の際に脱落して複数の比較的大きな穴、すなわち光を散乱する大きさの粗い凹凸構造が適度に形成される。また、被加工面には、陽極酸化によって周期が可視光の波長以下である複数の細孔(微細凹凸構造)も形成される。そして、このようなスタンパを用いることによって、転写面に実用上問題のないレベルのヘイズを付与でき、転写面におけるマクロな凹凸や色ムラが視認しにくい物品を得ることができる。
<スタンパの製造方法>
本発明のスタンパの製造方法は、本発明のアルミニウム基材の被加工面を前処理や陽極酸化することによって金属間化合物を脱落させて被加工面に粗い凹凸構造を形成し、かつ被加工面を陽極酸化することによって周期が可視光の波長以下である複数の細孔からなる微細凹凸構造を被加工面に形成する方法である。
スタンパの製造方法としては、下記の工程を順に行う方法が好ましい。
第1の酸化皮膜形成工程(a);
鏡面化されたアルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、前記被加工面に酸化皮膜を形成する(以下、工程(a)とも記す。)。
酸化皮膜除去工程(b);
酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を被加工面に形成する(以下、工程(b)とも記す。)。
第2の酸化皮膜形成工程(c);
細孔発生点が形成されたアルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化して、細孔発生点に対応した細孔を有する酸化皮膜を被加工面に形成する(以下、工程(c)とも記す。)。
孔径拡大処理工程(d);
細孔の径を拡大させる(以下、工程(d)とも記す。)。
繰り返し工程(e);
必要に応じて、第2の酸化皮膜形成工程(c)と孔径拡大処理工程(d)とを繰り返し行う(以下、工程(e)とも記す。)。
工程(a)〜(e)を有する方法によれば、鏡面化されたアルミニウム基材の被加工面に、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパ形状の細孔が周期的に形成され、その結果、微細凹凸構造を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。
工程(a)の前に、アルミニウム基材の被加工面の酸化皮膜を除去する前処理を行ってもよい。酸化皮膜を除去する方法としてはクロム酸/リン酸混合液に浸漬する方法等が挙げられる。
また、細孔の配列の規則性はやや低下するが、スタンパの表面を転写した材料の用途によっては工程(a)を行わず、工程(c)から行ってもよい。
以下、各工程を詳細に説明する。
(工程(a))
第1の酸化皮膜形成工程(a)では、鏡面化されたアルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で陽極酸化し、図1(a)に示すように、アルミニウム基材10の被加工面に、細孔11を有する酸化皮膜12を形成する。
電解液としては、酸性電解液、アルカリ性電解液が挙げられ、酸性電解液が好ましい。
酸性電解液としては、シュウ酸、硫酸、これらの混合物等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合、シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、陽極酸化時の電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
また、陽極酸化時の電圧を30〜60Vとすることにより、周期が100nm程度の規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。陽極酸化時の電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にあり、周期が可視光の波長より大きくなることがある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象が起こる傾向にあり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合、硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、陽極酸化時の電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
また、陽極酸化時の電圧を25〜30Vとすることにより、周期が63nm程度の規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。陽極酸化時の電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向があり、周期が可視光の波長より大きくなることがある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象が起こる傾向にあり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(a)では、陽極酸化を長時間施すことで形成される酸化皮膜が厚くなり、細孔の配列の規則性を向上させることができるが、その際、酸化皮膜の厚さは2.5μm以上30μm以下が適している。2.5μm未満では前処理を行わずに陽極酸化した場合十分金属間化合物の脱落が行われない場合があり、30μm以上では生産性が低下する。
(工程(b))
工程(a)の後、工程(a)により形成された酸化皮膜12を除去することにより、図1(b)に示すように、除去された酸化皮膜12の底部(バリア層と呼ばれる)に対応する周期的な窪み、すなわち、細孔発生点13を形成する(酸化皮膜除去工程(b))。
形成された酸化皮膜12を一旦除去し、陽極酸化の細孔発生点13を形成することで、最終的に形成される細孔の規則性を向上させることができる(例えば、益田、「応用物理」、2000年、第69巻、第5号、p.558参照。)。
酸化皮膜12を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液によって除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
(工程(c))
細孔発生点13が形成されたアルミニウム基材10を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化し、再び酸化皮膜を形成する(第2の酸化皮膜形成工程(c))。
工程(c)では、工程(a)と同様の条件(電解液濃度、電解液温度、化成電圧等)下で陽極酸化すればよい。
これにより、図1(c)に示すように、円柱状の細孔14が形成された酸化皮膜15を形成できる。工程(c)においても、陽極酸化を長時間施すほど、深い細孔を得ることができるが、例えば反射防止物品などの光学用の物品を製造するためのスタンパを製造する場合には、ここでは0.01〜0.5μm程度の酸化皮膜を形成すればよく、工程(a)で形成するほどの厚さの酸化皮膜を形成する必要はない。
(工程(d))
工程(c)の後、工程(c)で形成された細孔14の径を拡大させる孔径拡大処理を行って、図1(d)に示すように、細孔14の径を図1(c)の場合よりも拡径する(孔径拡大処理工程(d))。
孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、工程(c)で形成された細孔の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。工程(d)の時間を長くするほど、細孔の径は大きくなる。
(工程(e))
再度、工程(c)を行って、図1(e)に示すように、細孔14の形状を径の異なる2段の円柱状とし、その後、再度、工程(d)を行う。このように工程(c)と工程(d)を繰り返す、繰り返し工程(e)により、図1(f)に示すように、細孔14の形状を開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパ形状にでき、その結果、周期的な複数の細孔からなる微細凹凸構造が形成された陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパ20を得ることができる。
工程(c)および工程(d)の条件、例えば、陽極酸化の時間および孔径拡大処理の時間を適宜設定することにより、様々な形状の細孔を形成することができる。よって、スタンパから製造しようとする物品の用途等に応じて、これら条件を適宜設定すればよい。また、このスタンパが反射防止膜等の反射防止物品を製造するものである場合には、このように条件を適宜設定することにより、細孔の周期や深さを任意に変更できるため、最適な屈折率変化を設計することも可能となる。
具体的には、同じ条件で工程(c)と工程(d)とを繰り返せば、図2に示すような略円錐形状の細孔14が形成され、工程(c)と工程(d)の処理時間を適宜変化させることで、図3に示すような逆釣鐘形状の細孔14や、図4に示すような先鋭形状の細孔14等を適宜形成できる。
工程(e)における繰り返し回数は、回数が多いほどより滑らかなテーパ形状の細孔を形成でき、工程(c)と工程(d)との合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の径が減少する傾向にあり、このようなスタンパから反射防止膜等の反射防止物品を製造した場合、その反射率低減効果が劣る可能性がある。
こうして製造されたスタンパは、多数の周期的な細孔が形成された結果、表面に微細凹凸構造を有するものとなる。そして、この微細凹凸構造における細孔の周期が可視光の波長以下、すなわち400nm以下であると、いわゆるMoth−Eye構造となり、有効な反射防止機能を発現する。
周期は、図2に示すように、微細凹凸構造の凹部(細孔)の中心からこれに隣接する凹部(細孔)の中心までの距離(図中のp)である。
周期が400nmより大きいと可視光の散乱が起こるため、十分な反射防止機能は発現せず、反射防止膜等の反射防止物品の製造には適さない。
スタンパが反射防止膜等の反射防止物品を製造するものである場合には、細孔の周期が可視光の波長以下であるとともに、細孔の深さは、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
深さは、図2に示すように、微細凹凸構造の凹部(細孔)の開口部から最深部までの距離(図中のDep)である。
細孔の深さが50nm以上であれば、スタンパの表面の転写により形成された光学用途の物品の表面、すなわち転写面の反射率が低下する。
また、スタンパの細孔のアスペクト比(深さ/周期)は1.0〜4.0が好ましく、1.3〜3.5が好ましく、1.8〜3.5がさらに好ましく、2.0〜3.0が最も好ましい。アスペクト比が1.0以上であれば、反射率が低い転写面を形成でき、その入射角依存性や波長依存性も十分に小さくなる。アスペクト比が4.0より大きいと転写面の機械的強度が低下する傾向がある。
スタンパの形状は、平板でもあってもよく、ロール状であってもよい。
スタンパの微細凹凸構造が形成された表面は、離型が容易になるように、離型処理が施されていてもよい。離型処理の方法としては、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系またはフッ素シリコーン系のシランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
また、以上の説明では、第2の酸化皮膜形成工程(c)の後に孔径拡大処理工程(d)を実施することで、開口部から深さ方向に径が縮小する細孔を形成する場合について例示したが、工程(c)の後に必ずしも工程(d)を行わなくてもよい。その場合には、形成される細孔は円柱状となるが、このようなスタンパにより製造された微細凹凸構造を備える光学用途の物品であっても、この構造からなる層が低屈折率層として作用し、反射を低減する効果は期待できる。
また、本発明の製造方法で得られたスタンパからは、直接、光学用途の物品等の製品を製造できるが、スタンパを原型として、まずレプリカを作製し、このレプリカから光学用途の物品を製造してもよい。また、このレプリカを原型として再度レプリカを作製してそのレプリカから光学用途の物品を製造してもよい。レプリカの作製方法としては、例えば、原型上にニッケル、銀等による薄膜を無電界めっき、スパッタ法等により形成し、ついでこの薄膜を電極として電気めっき(電鋳法)を行って、例えばニッケルを堆積させた後、このニッケル層を原型から剥離して、レプリカとする方法等が挙げられる。
以上説明した本発明のスタンパの製造方法にあっては、本発明のアルミニウム基材の被加工面を陽極酸化しているため、上述したように、アルミニウム基材の被加工面の金属間化合物がアルミニウム基材の前処理や陽極酸化の際に脱落して複数の比較的大きな穴、すなわち光を散乱する大きさの粗い凹凸構造が形成され。また、被加工面には、陽極酸化によって周期が可視光の波長以下である複数の細孔(微細凹凸構造)も形成される。そして、このようなスタンパを用いることによって、転写面に実用上問題のないレベルのヘイズを付与でき、転写面におけるマクロな凹凸や色ムラが視認しにくい物品を得ることができる。
<物品の製造方法>
本発明の製造方法によって得られたスタンパを用いることによって、スタンパの表面の粗い凹凸構造および微細凹凸構造が転写された転写面を有する物品を製造できる。
物品の製造方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
(1)スタンパと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性組成物を配し、活性エネルギー線硬化性組成物がスタンパに接触した状態で、該活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して、該活性エネルギー線硬化性組成物を硬化した後、スタンパを剥離し、透明基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる粗い凹凸構造および微細凹凸構造が形成された物品を得る方法。
(2)スタンパと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性組成物を配し、活性エネルギー線硬化性組成物にスタンパの表面の粗い凹凸構造および微細凹凸構造を転写し、スタンパを剥離した後、該活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して、該活性エネルギー線硬化性組成物を硬化し、透明基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる粗い凹凸構造および微細凹凸構造が形成された物品を得る方法。
以下、(1)の方法について詳細に説明する。
スタンパと透明基材とを対向させ、これらの間に活性エネルギー線硬化性組成物を充填、配置する。この際、スタンパの粗い凹凸構造および微細凹凸構造が形成された側の面(スタンパの表面)が、透明基材と対向するようにする。ついで、充填された活性エネルギー線硬化性組成物に、透明基材を介して活性エネルギー線(可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、赤外線等の熱線)を例えば高圧水銀ランプやメタルハライドランプから照射して、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化する。その後、スタンパを剥離する。その結果、透明基材の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる粗い凹凸構造および微細凹凸構造が形成された物品が得られる。この際、必要に応じて、スタンパの剥離後に再度活性エネルギー線を照射してもよい。
活性エネルギー線の照射量は、硬化が進行するエネルギー量であればよく、通常、100〜10000mJ/cmである。
透明基材の材料としては、活性エネルギー線の照射を著しく阻害しないものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマー、ガラス、石英、水晶等が挙げられる。
透明基材の形状は、製造する物品に応じて適宜選択でき、例えば、反射防止膜等の反射防止物品の場合には、シート状またはフィルム状が好ましい。
透明基材の表面は、活性エネルギー線硬化性組成物との密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の改良のために、例えば各種コーティング、コロナ放電処理等が施されていてもよい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマーを適宜含むものであり、非反応性のポリマーを含むものでもよい。また、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物であってもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
単官能モノマー:(メタ)アクリレート誘導体(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等)、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン誘導体(スチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリルアミド誘導体((メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)等。
二官能性モノマー:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等。
三官能モノマー:ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等。
多官能のモノマー:コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等。
二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等。
ラジカル重合性結合を有するモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、これらの中でもエポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーおよび反応性ポリマーとしては、不飽和ポリエステル類(不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、例えば、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、RSi(OR’)で表されるものが挙げられる。RおよびR’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、xおよびyはx+y=4の関係を満たす整数である。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシランなどが挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、RO[Si(OR)(OR)O]で表されるものが挙げられる。R〜Rはそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは3〜20の整数を表す。
具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、通常、硬化のための重合開始剤を含む。重合開始剤としては、公知のものを用いることができる。
光反応を利用する場合、光開始剤としては、例えば、カルボニル化合物(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等)、硫黄化合物(テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。光開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、チオキサントン(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等)、アセトフェノン(ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等)、アシルホスフィンオキサイド(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物(メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。添加量が0.1質量部以上であれば、重合が進行しやすくなる。添加量が10質量部以下であれば、得られる硬化物が着色したり、機械的強度が低下したりすることがない。
活性エネルギー線硬化性組成物には、上述したもの以外に、帯電防止剤、離型剤、レベリング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶剤等が添加されていてもよい。
このようにして製造された物品は、スタンパの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造が、鍵穴と鍵の関係で転写された転写面を備えている。また、スタンパの表面には、金属間化合物が脱落することによって形成された脱落穴が存在する。よって、このような物品は、微細な細孔が転写されてできた微細な複数の凸部(モスアイ構造)による反射防止機能を備えるとともに、脱落穴が転写されて形成された比較的大きな複数の凸部(粗い凹凸構造)によってヘイズがわずかに高くなり、転写面におけるマクロな凹凸や色ムラが目立たなくなる。
このような物品は、反射防止物品、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子、水晶デバイス等の光学物品としての用途展開が期待でき、特に反射防止フィルム、反射防止膜、立体形状の反射防止体等の反射防止物品としての用途に適している。
反射防止物品としては、例えば、画像表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等)、太陽電池の保護板、透明電極用透明基板等、レンズ、ショーウィンドウ、展示ケース、メーターパネル、メーターカバー、照明の前面板、眼鏡等の表面等に使用される。
画像表示装置に用いる場合は、最表面上にフィルムを貼り付けたり直接最表面を形成する材料上に形成したりしてもよく、また、前面板に形成してもよい。特に像面との距離がほとんどないディスプレイの最表面に直接貼り付ける反射防止膜の場合、本発明におけるレベルのヘイズであれば、画像の鮮鋭性にほとんど影響がないため適している。
上記反射防止物品の場合、凸部の周期が可視光の波長以下の周期であるとともに、凸部の高さは50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることが好ましい。また、凸部のアスペクト比(高さ/周期)は1.0〜4.0が好ましく、1.3〜3.5が好ましく、1.8〜3.5がさらに好ましく、2.0〜3.0が最も好ましい。アスペクト比が1.0以上であれば、反射率が十分に低くなり、その入射角依存性や波長依存性も十分に小さくなる。アスペクト比が4.0より大きいと転写面の機械的強度が低下する傾向がある。
物品の反射率は、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。また、波長依存性(最大反射率と最小反射率との差)は、1.5%以下が好ましく1.0%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。
物品のヘイズは、0.8%超8%未満が好ましく、0.9〜4.0%がより好ましい。ヘイズが0.8%以下では、転写面に生じるマクロな凹凸や色ムラを視認しやすい。ヘイズが8%以上では、画像表示装置に用いた場合、画像の鮮明度が低下する。
物品が反射防止膜である場合、例えば、画像表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等)の像面上に直接貼り付けて使用できる。
物品が立体形状の反射防止体である場合、あらかじめ用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止体を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として使用することもできる。
物品の光学用途以外の用途としては、細胞培養シート、超撥水性フィルム、超親水性フィルム等が挙げられる。超撥水性フィルムは、自動車や鉄道車両等の窓に貼り付けて使用したり、ヘッドランプ、照明等の着雪防止や着氷防止として使用したりできる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(金属間化合物の面積)
アルミニウム基材の被加工面を鏡面に研磨した後、走査電子顕微鏡(日本電子社製、JCM−5700)を用いて10視野以上の反射電子画像を撮影し、自動画像処理解析システム(ニレコ社製、LUZEX−AP)により視野内の金属間化合物の面積を求め、これを視野の面積で除して被加工面の面積(100%)に対する金属間化合物の合計の面積の割合を算出した。
(金属間化合物の平均径)
アルミニウム基材の被加工面を鏡面研磨した後、走査電子顕微鏡で観察し、自動画像処理解析システム(ニレコ社製、LUZEX−AP)により100個以上の金属間化合物の面積を求め、それぞれについて円相当径を算出し、平均値を求めた。
(算術平均粗さRa)
アルミニウム基材の被加工面の算術平均粗さRaは、JIS B0601−2001に準拠した表面粗さ測定器(ミツトヨ社製、サーフテストSJ−401)を用いて測定した。
(平均結晶粒径)
アルミニウム基材の被加工面を研磨し、エッチング処理した後、光学顕微鏡で観察し、画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)により100個以上の結晶粒の面積を求め、それぞれについて円相当径を算出し、平均値を求めた。
(第1の酸化皮膜の厚さ)
第1の酸化皮膜形成工程(a)の直後のアルミニウム基材の縦断面または表面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて加速電圧:3.00kVの条件で酸化皮膜を観察し、酸化皮膜の厚さを10箇所で測定し、平均値を求めた。
(スタンパの細孔の寸法)
陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパの縦断面または表面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて加速電圧:3.00kVの条件で陽極酸化アルミナを観察し、細孔の周期、細孔の深さ、細孔の底部径(表面から98%深さのところの径)を10箇所で測定し、平均値を求めた。
(物品の凸部の寸法)
転写面が形成された物品の縦断面または表面に白金を5分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて加速電圧:3.00kVの条件で転写面を観察し、凸部の周期、凸部の高さを10箇所で測定し、平均値を求めた。
(物品の反射率)
物品の裏面(転写面とは反対側の面)を紙やすりで粗面化した後、艶消し黒色スプレーで塗装した。分光光度計(日立製作所社製、U−4000)を用いて入射角:5°、波長:380〜780nmの範囲で、物品の転写面の相対反射率を測定した。
(物品のヘイズ)
物品のヘイズは、JIS K7361対応のヘイズメータを用いて測定した。
(物品の外観)
物品を蛍光灯の下で持ち、視野角を10゜〜90゜に変化させながら物品の転写面を観察し、下記の基準にて評価した。
(マクロな凹凸)
○:目視で確認できない。
×:目視で段差が確認できる。
(色ムラ)
◎:目視で確認できない。
○:目視でほとんど確認できない。
×:目視でわずかに確認できる。
〔鍛造例1〕
熱間鍛造+冷間鍛造:
アルミニウムのインゴットを430℃に加温した状態で1000tプレス装置により2S、1/2U、2S、1/2Uの熱間鍛造を行い、430℃へ再加熱した状態で2S、1/2U、2S、1/2Uの熱間鍛造を再度行い、室温まで徐冷し、さらに2S、1/2U、2S、1/2Uの冷間鍛造を行った。冷間鍛造中に素材が200℃を超えた場合は鍛造を中断し、冷却の後再び鍛造処理を行った。
〔鍛造例2〕
熱間鍛造:
アルミニウムのインゴットを430℃に加温した状態で1000tプレス装置により1.5S、0.65U、1.5S、0.65U、1.5S、0.65Uの熱間鍛造を行い、430℃へ再加熱した状態で1.5S、0.65U、1.5S、0.65Uの熱間鍛造を再度行った。
〔実施例1〕
純度99.90%のアルミニウムのインゴットを鍛造例1に従って鍛造処理した後、325℃で2時間熱処理を行った。得られたアルミニウム基材を外径:200mm、内径:155mm、長さ:350mmに切断し、これを過塩素酸/エタノール混合溶液中(体積比=1/4)で電解研磨し、被加工面の算術平均粗さRaが0.03μmであり、平均結晶粒径が100μmである円筒状のアルミニウム基材を得た。アルミニウム基材の物性等は表1に示す。
ついで、アルミニウム基材を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、浴温:16℃、直流:40Vの条件下で30分間陽極酸化を行い、酸化皮膜(厚さ:3μm)を形成した(工程(a))。形成された酸化皮膜を、6質量%のリン酸と1.8質量%のクロム酸混合水溶液中で一旦溶解除去した(工程(b))後、再び工程(a)と同一条件下において、30秒間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(工程(c))。その後、5質量%リン酸水溶液(30℃)中に8分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡径する孔径拡大処理(工程(d))を施した。さらに工程(c)と工程(d)を繰り返し、これらを合計で5回行い(工程(e))スタンパを得た。スタンパの形状等は表2に示す。
図2に示すように、周期p:100nm、深さDep:190nm、細孔底部径:40nmの略円錐形状のテーパ状の細孔が形成され、微細凹凸構造を有するロール状のスタンパを得た。スタンパの表面の微細凹凸構造を目視確認したところ、結晶粒界のマクロな凹凸は確認できなかった。
ついで、離型剤(ダイキン工業社製、オプツールDSX(商品名))の0.1質量%溶液にスタンパを10分間ディッピングし、24時間風乾して離型処理を行った。これを図5に示す製造装置30に設置し、以下のようにして物品を製造した。
図5に示すように、ロール状のスタンパ31を冷却水用の流路を内部に設けた機械構造用炭素鋼製の軸芯にはめ込んだ。ついで、下記の組成の活性エネルギー線硬化性組成物33を、タンク35から室温で供給ノズルを介して、ニップロール36とスタンパ31の間にニップされている透明基材32(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、東洋紡社製、A4300(商品名))上に供給した。この際、空気圧シリンダ37によりニップ圧が調整されたニップロール36によりニップされ、スタンパ31の細孔(凹部)内にも活性エネルギー線硬化性組成物33が充填された。
毎分7.0mの速度でスタンパ31を回転させながら、活性エネルギー線硬化性組成物33がスタンパ31と透明基材32の間に挟まれた状態で240W/cmの紫外線照射装置38から紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物33を硬化、賦型した後、剥離ロール39によりスタンパ31から剥離して、微細凹凸構造を表面に有する物品34(透明シート)を得た。得られた結果を表3に示す。
(活性エネルギー線硬化性組成物)
トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル:45質量部、
ヘキサンジオールジアクリレート:45質量部、
信越化学工業社製x−22−1602(商品名):10質量部、
チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184(商品名):2.7質量部、
チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア819(商品名):0.18質量部。
〔実施例2〕
純度99.80%のアルミニウム圧延板(厚さ:0.5mm)を50mm角に切断し、これを過塩素酸/エタノール混合溶液中(体積比=1/4)で電解研磨し、アルミニウム基材を得た(表1)。
ついで、実施例1と同様にしてスタンパを製造し(表2)、離型処理を行った。
離型処理したスタンパの表面に、実施例1の活性エネルギー線硬化組成物を配置し、さらにその上に透明基材であるPETフィルム(東洋紡社製、A4300(商品名))を積層し、活性エネルギー線硬化性組成物がスタンパに接触した状態で、PETフィルムを介して3200mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化組成物を硬化させた。
その後、透明基材および硬化物からなる物品を、スタンパから剥離した。得られた結果を表3に示す。
〔比較例1〕
純度99.97%のアルミニウムのインゴットを鍛造例2に従って鍛造処理した後、380℃で2時間熱処理を行った。得られたアルミニウム基材をA4サイズ、厚さ10mmに切断し、実施例1と同様にして鏡面化してアルミニウム基材を得た(表1)。
工程(c)の陽極酸化を32秒とした以外は実施例1と同様にしてスタンパを製造し(表2)、離型処理を行った。
離型処理したスタンパの表面に、実施例1の活性エネルギー線硬化組成物を配置し、さらにその上に透明基材であるPETフィルム(東洋紡社製、A4300(商品名))を積層し、活性エネルギー線硬化性組成物がスタンパに接触した状態で、PETフィルムを介して3200mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化組成物を硬化させた。
その後、透明基材および硬化物からなる物品を、スタンパから剥離した。得られた結果を表3に示す。
〔比較例2〕
純度99.30%のアルミニウム圧延板(厚さ:0.5mm)を50mm角に切断し、これを過塩素酸/エタノール混合溶液中(体積比=1/4)で電解研磨し、アルミニウム基材を得た(表1)。
ついで、実施例1と同様にしてスタンパを製造し(表2)、離型処理を行った。
離型処理したスタンパの表面に、実施例1の活性エネルギー線硬化組成物を配置し、さらにその上に透明基材であるPETフィルム(東洋紡社製、A4300(商品名))を積層し、活性エネルギー線硬化性組成物がスタンパに接触した状態で、PETフィルムを介して3200mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化組成物を硬化させた。
その後、透明基材および硬化物からなる物品を、スタンパから剥離した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0005425516
Figure 0005425516
Figure 0005425516
本発明の製造方法で得られたスタンパは、反射防止物品等の光学用途の物品の製造に有用である。
10 アルミニウム基材
11 細孔
12 酸化皮膜
13 細孔発生点
14 細孔
15 酸化皮膜
20 スタンパ
30 製造装置
31 スタンパ
32 透明基材
33 活性エネルギー線硬化性組成物
34 物品
35 タンク
36 ニップロール
37 空気圧シリンダ
38 紫外線照射装置
39 剥離ロール

Claims (8)

  1. 微細凹凸構造を表面に有するスタンパの製造に用いられる、前記微細凹凸構造が形成される被加工面を有するアルミニウム基材であって、
    前記被加工面には、該被加工面に露出した複数の金属間化合物が存在し、
    前記被加工面に露出した金属間化合物の合計の面積が、前記被加工面の面積(100%)に対して、0.14%超0.7%以下であり、
    前記被加工面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下である、スタンパ製造用アルミニウム基材。
  2. 前記被加工面に露出した金属間化合物の平均径が、0.5〜3.0μmである、請求項1に記載のスタンパ製造用アルミニウム基材。
  3. アルミニウム基材(100質量%)中、ケイ素の含有量が0.1質量%以下であり、鉄の含有量が0.4質量%以下であり、銅の含有量が0.3質量%以下である、請求項1または2に記載のスタンパ製造用アルミニウム基材。
  4. 鍛造処理されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載のスタンパ製造用アルミニウム基材。
  5. 平均結晶粒径が、1mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のスタンパ製造用アルミニウム基材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のスタンパ製造用アルミニウム基材の被加工面を陽極酸化することによって、周期が400nm以下である複数の細孔からなる微細凹凸構造を前記被加工面に形成し、かつ前記金属間化合物を脱落させて前記被加工面に粗い凹凸構造を形成する、スタンパの製造方法。
  7. 前記細孔のアスペクト比(深さ/周期)が、1.0以上である、請求項6に記載のスタンパの製造方法。
  8. 前記アルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、前記被加工面に酸化皮膜を形成する第1の酸化皮膜形成工程(a)と、
    前記酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を前記被加工面に形成する酸化皮膜除去工程(b)と、
    前記細孔発生点が形成されたアルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化して、前記細孔発生点に対応した細孔を有する酸化皮膜を前記被加工面に形成する第2の酸化皮膜形成工程(c)と、
    前記細孔の径を拡大させる孔径拡大処理工程(d)と
    を有する、請求項6または7に記載のスタンパの製造方法。
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