JP2012140001A - モールドおよびその製造方法と、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法 - Google Patents

モールドおよびその製造方法と、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細孔の間隔が180nm以上のものであっても、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を形成できるモールドの製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム基材10の表面に細孔12を有する酸化皮膜14が形成されたモールド18を製造する方法であって、(a)アルミニウム基材10の表面を陽極酸化して酸化皮膜14を形成する工程、(b)工程(a)の後、酸化皮膜14を除去する工程、(c)工程(b)の後、アルミニウム基材10を工程(a)で印加した最高電圧の90%未満の電圧で陽極酸化して酸化皮膜14を形成する工程、(d)工程(c)の後、酸化皮膜14の細孔12の孔径を拡大する工程、(e)工程(c)と工程(d)とを交互に繰り返す工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の細孔からなる微細凹凸構造を表面に有するモールドおよびその製造方法と、該モールドを用いた微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法に関する。
近年、微細加工技術の進歩によって、物品の表面にナノスケールの微細凹凸構造を付与することが可能となった。ナノスケールの微細凹凸構造は、例えば、モスアイ効果と呼ばれる反射防止機能やロータス効果と呼ばれる撥水機能のように、構造由来の特殊な機能が発現することから、産業上の利用が図られている。
物品の表面に微細凹凸構造を付与する技術は様々である。これらのうち、モールドの表面に形成された微細凹凸構造を、物品本体の表面に転写する方法は、簡便かつ少ない工程で物品の表面に微細凹凸構造を付与できるため、工業生産に適している。近年、微細凹凸構造を表面に有するモールドを簡便に製造する方法として、アルミニウム基材を陽極酸化した際に形成される酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)を利用する方法が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
酸化皮膜をモールドの微細凹凸構造として利用する場合、深さムラが少なくモールドとして好適な細孔を形成するために、陽極酸化を二段階に分けて実施する方法(以下、本明細書中では二段酸化法とも記す。)が好まれる。すなわち、下記の工程(1)〜工程(3)を順次行い、モールドに好適な細孔を得る。
(1)アルミニウム基材の表面を陽極酸化し、細孔の深さを考慮せず酸化皮膜を形成する工程。
(2)工程(1)で形成された酸化皮膜の一部またはすべてを除去し、酸化皮膜の底部の形状が反映された窪みを形成する工程。
(3)前記窪みを細孔発生点として利用し、再び陽極酸化して、工程(2)で生じた窪みの配列を保ったまま任意の深さの細孔を形成する工程。
ところで、酸化皮膜における細孔の間隔は、印加する電圧に依存して大きくなる。すなわち、陽極酸化にて印加する電圧を変更するだけで細孔の間隔を制御することができる。例えば、特許文献2においては、工程(1)および工程(3)における陽極酸化をともに80Vで実施することによって、細孔の間隔が約200nmの酸化皮膜が形成されるとしている。
特許第4460020号公報 特許第4368415号公報
一般に、陽極酸化では印加電圧が高いほど電流密度が増大し、酸化皮膜の膜厚や陽極酸化に用いる電解液の温度制御が難しくなる。高い電圧域で電圧を印加して工程(3)にてサブミクロン以下の領域で細孔の深さを均一に揃えるには、工程(1)で形成する酸化皮膜の条件から精査する必要がある。例えば、工程(1)で形成される酸化皮膜の細孔があまりにも不規則に配列していると、工程(2)で生じる細孔発生点の大きさがばらつき、その結果、工程(3)にて局所的な酸化皮膜の成長速度差が生じることとなり、深さムラの遠因となって二段酸化法の利点を損なう。
特許文献2に記載された実施例では、工程(1)にてシュウ酸電解液の濃度を0.05mol/L、温度を3℃に低く設定している。当該の条件では、工程(2)で生じる細孔発生点の大きさがばらつくため、工程(3)で形成される細孔の深さも不均一となり、細孔の深さにムラのあるモールドしか製造することができない。細孔の深さムラが少ないモールドを製造するためには、細孔発生点の大きさのばらつきが少なくなる条件で工程(1)を実施する必要がある。例えば、シュウ酸電解液を使用して細孔の間隔が180nm以上のモールドを製造する場合には、工程(1)において、陽極酸化中のアルミニウム基材の冷却効率を上げる工夫をした上で、電解液の濃度や温度を下げずに90V以上の電圧を印加する必要がある。
しかしながら、このような場合、従来の二段酸化法(例えば特許文献1)に倣って、工程(3)の陽極酸化を工程(1)と同じ電圧で実施すると、酸化皮膜の成長が速いため細孔の深さのムラが顕著になる。細孔の深さムラが顕著なモールドから得られる反射防止物品(反射防止膜等)においては、例えば、反射率曲線が測定箇所によって異なる等、細孔の深さムラが物品の性能に悪影響を及ぼす。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、細孔の間隔が180nm以上のものであっても、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を形成できるモールドの製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、2回目以降の陽極酸化における電圧を、最初の陽極酸化における最高電圧より低い値に設定することで、細孔の間隔が180nm以上のものであっても、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のモールドの製造方法は、アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドを製造する方法であって、下記の工程(a)〜工程(e)を有することを特徴とする。
(a)アルミニウム基材の表面を陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)前記工程(a)で形成された酸化皮膜を除去する工程。
(c)前記工程(b)の後に、アルミニウム基材を前記工程(a)で印加した最高電圧の90%未満の電圧で陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)前記工程(c)の後、細孔の孔径を拡大する工程。
(e)前記工程(c)と前記工程(d)とを交互に繰り返す工程。
前記工程(a)においては、90V以上の電圧で陽極酸化することが好ましい。
前記工程(a)においては、90V未満の電圧で陽極酸化を開始した後、段階的にまたは連続的に電圧を上昇させ、最終的に90V以上の電圧で陽極酸化することが好ましい。
本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造を、物品本体の表面に転写することを特徴とする。
本発明のモールドは、アルミニウム基材と、前記アルミニウム基材の表面に形成された複数の細孔を有する酸化皮膜と、を有し、前記複数の細孔の平均間隔が180nm以上であり、前記複数の細孔の深さのムラが50nm以下であることを特徴とする。
本発明のモールドの製造方法によれば、細孔の間隔が180nm以上のものであっても、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を形成できる。
本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法によれば、凸部の間隔が180nm以上のものであっても、凸部の高さムラが少ない物品が得られる。
アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドの製造工程を示す断面図である。 アルミニウム基材の背面冷却に用いるセルの一例を示す断面図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造装置の一例を示す構成図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の一例を示す断面図である。 実施例2の微細凹凸構造を表面に有する物品の反射率を示す図である。 比較例2の微細凹凸構造を表面に有する物品の反射率を示す図である。
本明細書においては、「細孔」とは、アルミニウム基材の表面の酸化皮膜に形成された微細凹凸構造の凹部のことをいう。
また、「細孔の間隔」は、隣接する細孔同士の中心間距離を意味する。
また、「細孔発生点の大きさのばらつきが少ない」とは、モールドの表面を電子顕微鏡で観察した際に、無作為に選んだ隣接する細孔の中心間距離と細孔の平均間隔との差が30nm以内であることを意味する。
また、「微細凹凸構造」は、凸部または凹部の平均間隔がナノスケールであるの構造を意味する。
また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
また、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
<モールドの製造方法>
本発明のモールドの製造方法は、工程(a)〜工程(e)を有する方法である。
(a)アルミニウム基材の表面を陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)前記工程(a)で形成された酸化皮膜を除去する工程。
(c)前記工程(b)の後に、アルミニウム基材の表面を前記工程(a)で印加した最高電圧の90%未満の電圧で陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)前記工程(c)の後、細孔の孔径を拡大する工程。
(e)前記工程(c)と前記工程(d)とを交互に繰り返す工程。
(工程(a))
工程(a)は、図1に示すように、アルミニウム基材10の表面を電解液中で陽極酸化して、複数の細孔12を有する酸化皮膜14(陽極酸化ポーラスアルミナ)を形成する第一の酸化皮膜形成工程である。
アルミニウム基材10の表面の一部または全部を電解液に浸漬して陽極酸化することによって、電解液に浸漬した部分に酸化皮膜14を形成できる。陽極酸化の初期に形成される酸化皮膜14は、細孔12の位置や大きさが不均一で規則性は皆無であるが、一定の電圧で陽極酸化を継続することによって、酸化皮膜14が厚くなるとともに、徐々に細孔12の配列の規則性が増していく。
アルミニウム基材10の形状は、特に限定されず、板状、円柱状、円筒状等、モールドとして使用可能な形状であればどのような形状であってもよい。
アルミニウム基材10の純度は、99.0質量%超が好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましい。アルミニウム基材10の純度が99.0質量%超であれば、モールドの製造過程において、不純物の金属間化合物が脱落して発生するマクロな凹凸が多くなりすぎない。
アルミニウム基材10としては、公知の研磨方法(機械研磨、羽布研磨、化学研磨、電解研磨等)によって表面が研磨され、少なくとも陽極酸化する部分が鏡面化されたものが好ましい。
電解液としては、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液が挙げられ、酸性水溶液が好ましい。酸性水溶液としては、無機酸類(硫酸、リン酸等)、有機酸類(シュウ酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸等)が挙げられ、硫酸、シュウ酸、リン酸が特に好ましい。これらの酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液の濃度は、酸の種類によって好適な範囲が異なる。例えば、シュウ酸の場合、電解液の濃度は、0.05〜2.0Mが好ましい。また、リン酸の場合、電解液の濃度は0.1〜5.0Mが好ましい。電解液の濃度が濃い方が、細孔12の配列の規則性が向上しやすい傾向にあり、後述する工程(b)〜工程(e)を経た後に深さが均一な細孔が得られやすい。電解液の濃度が上記範囲よりも薄いと、工程(a)にて形成した酸化皮膜を工程(b)にて除去した際に生じる窪み16の大きさがばらつき、工程(c)以降で形成される細孔12の深さムラの遠因となる。電解液の濃度が上記範囲よりも濃いと、酸化皮膜14の形成速度が著しく速くなり、酸化皮膜14の厚さを後述する15μm未満に抑えることが困難となる。
電解液の温度は、10〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましく、10〜35℃がさらに好ましい。電解液の温度が上記範囲内であれば、著しく高い電流密度が流れて細孔12が壊れる「ヤケ」と呼ばれる現象が発生しにくい。加えて、工程(b)で酸化皮膜を除去した際に生じる窪み16の大きさのばらつきが少なくなるので、細孔12の深さムラが抑制され、モールドとして好適な酸化皮膜を形成しやすい。また、窪み16の大きさのばらつきが少なくなると、規則的に配列した細孔12が形成されやすくなる。
工程(a)の陽極酸化における電圧は、90V以上が好ましく、95V以上がより好ましく、100V以上がさらに好ましい。酸化皮膜14の細孔12の平均間隔は電圧に依存して大きくなる。90V以上の電圧で陽極酸化すると、細孔12の平均間隔は180nm以上となり、細孔径が大きくなるため、転写時に離型しやすく、モールドとしての長期使用に好適である。
陽極酸化の方法としては、90V以上の最高電圧を最初から印加する方法であってもよく、90V未満の初期電圧で陽極酸化を開始した後、段階的にまたは連続的に電圧を上昇させ、最終的に90V以上の最高電圧で陽極酸化する方法であってもよい。初期電圧として90V以上を印加した場合にヤケが起こってしまうような条件であっても、90V未満の初期電圧から徐々に上昇させていくことでヤケを抑えることができる点から、後者の方法が好ましい。ここで「初期電圧」とは、工程(a)における開始時の電圧をいう。また、「最高電圧」とは、工程(a)における電圧の最高値をいい、工程(a)の終了時の電圧と一致する。酸化皮膜14の細孔12は、最高電圧に対応する平均間隔で配列する。
最高電圧での陽極酸化の時間は、2分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、5分以上がさらに好ましい。最高電圧での陽極酸化の時間が2分未満の場合、最高電圧に対応した細孔12の平均間隔が発現しない可能性がある。
工程(a)において、90V未満の初期電圧から90V以上の最高電圧まで段階的に上昇させる方法の具体的な一例としては、初期電圧を60Vとして5分間陽極酸化を実施し、その後70Vまで上昇させて5分間陽極酸化を実施し、さらに80Vまで上昇させて5分間陽極酸化を実施し、最後に90Vまで上昇させて10分間陽極酸化を実施する、という方法が挙げられる。
電圧を上昇させる際の上昇速度は、0.05〜5V/sが好ましい。上昇速度が0.05V/s未満では、電圧を上昇させている間に余分な酸化皮膜14が厚く形成されてしまい、終了時の酸化皮膜14の厚さを後述する15μm未満に抑えることが困難となる。上昇速度が5V/sを超えると、流れる電流密度が瞬間的に増大するため、ヤケが生じる可能性がある。
工程(a)においては、アルミニウム基材10の背面に冷媒を流して、表面を間接的に冷却(以下、背面冷却とも記す。)しながら陽極酸化してもよい。ここで「背面」とは、電解液に接触している面(アルミニウム基材10の表面の一部または全部)の裏側に該当する箇所をいう。背面冷却を実施する方法としては、例えば、板状のアルミニウム基材10の背面冷却においては、図2に示すような、アルミニウム基材10の背面に冷媒を接触させるための開口部52が形成されるように冷媒の流路54が形成された専用のセル50に、アルミニウム基材10の背面側が接するようにアルミニウム基材10を固定して陽極酸化する方法等が挙げられる。
90V以上の高い電圧で陽極酸化を実施する際には、反応熱の影響で電解液の温度が上昇し続ける「熱暴走」と呼ばれる現象をともなう場合がある。そのような場合には、背面冷却を実施して表面を冷却することで、熱暴走を抑制することができる。
背面冷却に用いる冷媒としては、簡便かつ安全な点から、脱イオン水が好ましい。
冷媒の温度は、電解液の温度との差が5℃未満であることが好ましく、2℃以下であることがより好ましく、1℃以下であることがさらに好ましい。背面冷却に用いる冷媒の温度が、電解液の温度と5℃以上異なると、背面冷却の影響により反応温度が電解液の温度からずれてしまうおそれがある。
冷媒の流通速度は、0.1m/s以上が好ましく、0.15m/s以上がより好ましく、0.2m/s以上がさらに好ましい。冷媒の流通速度が0.1m/s未満では、熱暴走を抑制できない可能性がある。
工程(a)によって形成される酸化皮膜14の厚さは、15μm未満が好ましく、10μm以下がより好ましい。上述の範囲よりも厚い酸化皮膜14が形成されると、酸化皮膜14を除去した際に、アルミニウム基材10の結晶粒界の段差が、視認できるほど大きくなる。このようなモールドを用いると、結晶粒界の段差も転写されてしまい、得られる物品の外観不良の原因となるおそれがある。
酸化皮膜の厚さは、電解液の濃度、陽極酸化の時間等の条件を適宜設定することによって調整される。
(工程(b))
工程(b)は、図1に示すように、工程(a)で形成された酸化皮膜14を除去する酸化皮膜除去工程である。
酸化皮膜14を除去することによって、酸化皮膜14の底部(バリア層)の形状に対応して形成された窪み16が生じる。工程(a)で形成された細孔12が規則的に配列した酸化皮膜14を除去すると、大きさのばらつきが少なく、規則的に配列した窪み16が形成される。
酸化皮膜14を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液に浸漬する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
また、細孔に高い規則性が求められる場合、工程(b)において工程(a)で形成された酸化皮膜をすべて除去することが好ましいが、本願発明はこれに限定されるものではなく、工程(b)において、工程(a)で形成された酸化皮膜14をすべて除去せず、少なくとも一部を除去してもよい。工程(b)で酸化皮膜の一部を除去する場合、工程(a)で形成された酸化皮膜の90%以上であって、酸化皮膜の厚みが100nm以下となるように、酸化皮膜を除去することが好ましい。
(工程(c))
工程(c)は、図1に示すように、工程(b)の後に、アルミニウム基材10を電解液中で、工程(a)で印加した最高電圧の90%未満の電圧で再度陽極酸化して、複数の細孔12を有する酸化皮膜14を再び形成する第二の酸化皮膜形成工程である。
アルミニウム基材10の表面に窪み16が形成された状態で再度陽極酸化すると、窪み16が細孔発生点として作用し、新たな酸化皮膜14の細孔12は窪み16に対応した位置に発生する。窪み16の大きさのばらつきが少ない場合、細孔12の深さムラが抑制され、モールドとして好適な酸化皮膜を形成することができる。また、窪み16の大きさのばらつきが少なくなると、規則的に配列した細孔12が形成されやすくなる。
電解液の濃度は、酸の種類によって好適な範囲が異なる。例えば、シュウ酸の場合、電解液の濃度は、0.05〜0.3Mが好ましい。また、リン酸の場合、電解液の濃度は0.1〜1.0Mが好ましい。電解液の濃度が上記範囲よりも薄いと、濃度が薄すぎて酸性電解液として作用せず、多孔質な酸化皮膜14ではなく平坦な酸化皮膜が形成されるおそれがある。平坦な酸化皮膜は微細凹凸構造を転写するモールドとしての役割を果たし得ない。電解液の濃度が上記範囲よりも濃いと、酸化皮膜14の形成速度が速くなり、細孔12の深さを調整することが困難となる。
電解液の温度は、10〜25℃が好ましく、10〜17℃がより好ましい。電解液の温度が上記範囲内であれば、細孔の深さを調整しやすく、かつ深さムラが少ない細孔を形成することができる。
工程(c)の陽極酸化における電圧は、工程(a)で印加した最高電圧の90%未満であり、87%以下が好ましく、83%以下がより好ましい。工程(a)で印加した最高電圧の90%以上の電圧で陽極酸化すると、形成される細孔12の深さのムラが顕著になり、このようなモールドを用いた場合、測定箇所によって物品の性能に差がでるおそれがある。細孔12の深さのムラは小さいに越したことはないが、具体的には50nm以下が好ましく、50nm未満がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、25nm以下が特に好ましい。
陽極酸化の時間は、3〜60秒が好ましい。陽極酸化の時間が3秒未満では、最終的に得られる酸化皮膜14の厚さが後述する0.01μmに満たない可能性がある。そのような酸化皮膜14では、細孔12の深さも0.01μmに満たず、モールドとして用いた場合、得られる物品が充分な反射防止性能を示さないおそれがある。陽極酸化の時間が60秒を超えると、最終的に得られる酸化皮膜14の厚さが後述する0.8μmを超えてしまう可能性がある。そのような場合、酸化皮膜14が厚くなる分だけ細孔12も深くなるため、モールドとして用いた場合、離型不良を起こしやすくなるおそれがある。
また、工程(c)においても、工程(a)と同様にアルミニウム基材10の温度を制御してもよい。
(工程(d))
工程(d)は、図1に示すように、工程(c)によって形成された酸化皮膜14の一部を除去して細孔12の孔径を拡大する孔径拡大処理工程である。
孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、酸化皮膜14に形成されている細孔12の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5.0質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。浸漬する時間を長くするほど、細孔12の径は大きくなる。
(工程(e))
工程(e)は、図1に示すように、工程(c)と工程(d)とを交互に繰り返して細孔の深さと形状を調整する繰り返し工程である。
細孔12の孔径を拡大した後に再度陽極酸化すると、孔径が拡大された細孔12の底部から下に延びる、孔径の小さい細孔12がさらに形成される。さらに工程(c)と工程(d)とを交互に繰り返すことによって、細孔12の形状を図1に示すように、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状にでき、その結果、周期的な複数の細孔12からなる酸化皮膜が表面に形成されたモールド18を得ることができる。また、工程(c)と工程(d)の条件、例えば、孔径拡大処理の時間、孔径拡大処理に利用する溶液の温度や濃度を適宜設定することにより、様々な形状の細孔12を形成する酸化皮膜14を形成できる。モールドから生産する物品の用途等に応じて、これら条件を適宜設定すればよい。
工程(c)の回数は、回数が多いほど滑らかなテーパー形状にすることができる点から、工程(e)の前に行った工程(c)も含めて少なくとも3回が好ましい。同じく、工程(d)の回数も、回数が多いほど滑らかなテーパー形状にすることができる点から、工程(e)の前に行った工程(d)も含めて少なくとも3回が好ましい。それぞれの回数が2回以下の場合、非連続的に細孔径が減少する傾向にあり、このようなモールドから反射防止物品(反射防止膜等)を製造した場合、その反射率低減効果が劣る可能性がある。
工程(e)は、工程(c)で終了してもよく、工程(d)で終了してもよい。
工程(c)における陽極酸化を長時間施すほど深い細孔12を得ることができるが、微細凹凸構造を転写するためのモールドとして用いる場合、工程(e)を経て最終的に得られる酸化皮膜14の厚さは、0.01〜0.8μm程度でよい。工程(c)における電圧以外の陽極酸化の条件(電解液の種類、濃度、温度等)も必ずしも工程(a)と一致させる必要はなく、酸化皮膜14の厚さを調整しやすい条件に適宜変更してもよい。
(モールド)
本発明の製造方法によれば、アルミニウム基材10の表面に、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状の細孔12が、深さにムラが少なく、かつ規則的に配列して形成され、その結果、微細凹凸構造を有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)が表面に形成されたモールドを製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、細孔の平均間隔が180nm以上のものであっても、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を有するモールドを製造できる。具体的には、細孔の深さムラが50nm以下のモールドを製造できる。細孔の深さムラは50nm未満が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下がさらに好ましい。
なお、細孔の深さムラは以下のようにして測定される。
まず、モールドの一部を切り取って、その縦断面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡を用いて観察する。断面サンプルを5万倍で二箇所観察し、それぞれの観察範囲で10個の細孔の深さを平均して観察点ごとの細孔の深さを求める。観察点ごとの細孔の深さを比較して、同一サンプル内の細孔の深さムラを求める。
モールドにおける隣接する細孔の平均間隔は、180nm以上かつ600nm以下(すなわち可視光の波長以下)が好ましい。
モールドを反射防止物品(反射防止膜等)の製造に用いる場合、細孔の平均間隔が600nm以下であるとともに、細孔の深さが100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがより好ましい。細孔の深さが100nm未満のモールドを用いた場合、反射防止物品の反射防止性能が充分ではなくなるおそれがある。また、モールドの細孔のアスペクト比(=深さ/平均間隔)は、0.5以上が好ましく、1以上がさらに好ましい。アスペクト比が0.5以上であれば、反射率が低い表面を形成でき、その入射角依存性も充分に小さくなる。
モールドの微細凹凸構造が形成された表面は、離型が容易になるように、離型処理が施されていてもよい。離型処理の方法としては、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系表面処理剤またはフッ素シリコーン系表面処理剤をコーティングする方法等が挙げられる。
(作用効果)
以上説明した本発明のモールドの製造方法にあっては、最初に形成された酸化皮膜を除去した後、生じた窪みを細孔発生点として利用し、最初の陽極酸化で印加した最高電圧の90%未満の電圧で再度陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成しているため、細孔の間隔が180nm以上のものであっても、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を形成できる。
また、本発明のモールドにあっては、複数の細孔の深さのムラが50nm以下であるため、物品本体の表面にモールドの表面構造を転写したときに、凸部の高さムラが少ない物品が得られる。
<物品の製造方法>
本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造を、物品本体の表面に転写する方法である。
モールドの微細凹凸構造(細孔)を転写して製造された物品は、その表面にモールドの微細凹凸構造の反転構造(凸部)が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
モールドの微細凹凸構造を物品本体の表面に転写する方法としては、例えば、モールドと透明基材(物品本体)の間に未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、モールドの微細凹凸構造に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が接触した状態で、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた後にモールドを離型する方法が好ましい。これによって、透明基材の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸構造が形成された物品を製造できる。得られた物品の微細凹凸構造は、モールドの微細凹凸構造の反転構造となる。
(物品本体)
透明基材としては、活性エネルギー線の照射を、該透明基材を介して行うため、活性エネルギー線の照射を著しく阻害しないものが好ましい。透明基材の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ガラス等が挙げられる。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いる方法は、熱硬化性樹脂組成物を用いる方法に比べて加熱や硬化後の冷却を必要としないため、短時間で微細凹凸構造を転写することができ、量産に好適である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の充填方法としては、モールドと透明基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給した後に圧延して充填する方法、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布したモールド上に透明基材をラミネートする方法、あらかじめ透明基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布してモールドにラミネートする方法等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合反応性化合物と、活性エネルギー線重合開始剤とを含有する。上記の他に、用途に応じて非反応性のポリマーや活性エネルギー線ゾルゲル反応性成分が含まれていてもよく、増粘剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、溶剤、無機フィラー等の各種添加剤が含まれていてもよい。
重合反応性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
ラジカル重合性結合を有する単官能モノマーとしては、(メタ)アクリレート誘導体(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等)、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン誘導体(スチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリルアミド誘導体((メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合性結合を有する多官能モノマーとしては、二官能性モノマー(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等)、三官能モノマー(ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等)、四官能以上のモノマー(コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等)、二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するオリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる際に用いる活性エネルギー線の種類に応じて適宜選択することが好ましい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、カルボニル化合物(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等)、硫黄化合物(テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、チオキサントン(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等)、アセトフェノン(ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等)、アシルホスフィンオキサイド(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。活性エネルギー線重合開始剤が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。活性エネルギー線重合開始剤が10質量部を超えると、硬化樹脂が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性成分としては、例えば、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、RSi(OR’)で表されるものが挙げられる。RおよびR’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、xおよびyはx+y=4の関係を満たす整数である。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、RO[Si(OR)(OR)O]で表されるものが挙げられる。R〜Rはそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは3〜20の整数を表す。具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
(製造装置)
微細凹凸構造を表面に有する物品は、例えば、図3に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
表面に微細凹凸構造(図示略)を有するロール状モールド20と、ロール状モールド20の表面に沿って移動する帯状のフィルム42(透明基材)との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を供給する。
ロール状モールド20と、空気圧シリンダ24によってニップ圧が調整されたニップロール26との間で、フィルム42および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を、フィルム42とロール状モールド20との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状モールド20の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状モールド20の下方に設置された活性エネルギー線照射装置28から、フィルム42を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を硬化させることによって、ロール状モールド20の表面の微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層44を形成する。
剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成されたフィルム42をロール状モールド20から剥離することによって、図4に示すような物品40を得る。
活性エネルギー線照射装置28としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化が進行するエネルギー量であればよく、通常、100〜10000mJ/cm程度である。
(物品)
図4に示す物品40は、フィルム42(透明基材)の表面に硬化樹脂層44が形成されたものである。
硬化樹脂層44は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
本発明におけるモールドを用いた場合の物品40の表面の微細凹凸構造は、酸化皮膜の表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部46を有する。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
本発明の製造方法によって製造された物品は、表面の微細凹凸構造によって、反射防止性能、撥水性能等の種々の性能を発揮する。
微細凹凸構造を表面に有する物品がシート状またはフィルム状の場合には、反射防止膜として、例えば、画像表示装置(テレビ、携帯電話のディスプレイ等)、展示パネル、メーターパネル等の対象物の表面に貼り付けたり、インサート成形したりして用いることができる。また、撥水性能を活かして、風呂場の窓や鏡、太陽電池部材、自動車のミラー、看板、メガネのレンズ等、雨、水、蒸気等にさらされるおそれのある対象物の部材としても用いることができる。
微細凹凸構造を表面に有する物品が立体形状の場合には、用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止物品を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として用いることもできる。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対して、微細凹凸構造を表面に有する物品を貼り付けてもよいし、前面板そのものを、微細凹凸構造を表面に有する物品から構成することもできる。例えば、イメージを読み取るセンサーアレイに取り付けられたロッドレンズアレイの表面、FAX、複写機、スキャナ等のイメージセンサーのカバーガラス、複写機の原稿を置くコンタクトガラス等に、微細凹凸構造を表面に有する物品を用いても構わない。また、可視光通信等の光通信機器の光受光部分等に、微細凹凸構造を表面に有する物品を用いることによって、信号の受信感度を向上させることもできる。
また、微細凹凸構造を表面に有する物品は、上述した用途以外にも、光導波路、レリーフホログラム、光学レンズ、偏光分離素子等の光学用途や、細胞培養シートとしての用途に展開できる。
(作用効果)
以上説明した本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法にあっては、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドを用いているため、凸部の間隔が180nm以上のものであっても、凸部の高さムラが少ない物品が得られる。また、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドを用いることによって、このモールドの微細凹凸構造の反転構造を表面に有する物品を一工程で簡便に製造できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各種測定は以下の方法にて行った。
(モールドの細孔の測定)
酸化皮膜が表面に形成されたモールドの一部を切り取って、表面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVで1万倍に拡大して観察した。細孔の平均間隔(ピッチ)は一直線上に並んだ6個の細孔の中心間距離を平均して求めた。同様に異なる3点で拡大観察し、それぞれから算出した細孔の中心間距離を平均して、細孔の平均間隔を決定した。また、無作為に選んだ10組の隣接する細孔の中心間距離を算出し、細孔の平均間隔と比較して細孔発生点の大きさのばらつき具合を判断した。すなわち、隣接する細孔の中心間距離と細孔の平均間隔の差をとったとき、同様に測定した10組の差のばらつきが小さいほど、細孔発生点の大きさのばらつきが少なく、細孔が規則的に配列していることを意味する。
また、モールドの一部を切り取って、その縦断面に白金を1分間蒸着し、同じく電解放出型走査電子顕微鏡を用いて加速電圧3.00kVで観察した。断面サンプルを5万倍で二箇所観察し、それぞれの観察範囲で10個の細孔の深さを平均して観察点ごとの細孔の深さを求めた。観察点ごとの細孔の深さを比較して、同一サンプル内の細孔の深さムラを調査した。
(反射率測定)
モールドの表面の微細凹凸構造を転写したフィルムを準備し、フィルムの裏面(微細凹凸構造が形成されていない側)をつや消し黒色スプレーで塗ってサンプルを作製した。分光光度計(日立製作所社製、U−4000)を用いて、入射角5°でサンプルの表面(微細凹凸構造が形成されている面)に光を当て、波長380nm〜780nmの範囲における正反射率を測定した。1つのサンプルにつき、互いに1cm以上離れた3点で同様の条件で反射率を測定した。
(物品の微細凹凸構造の測定)
モールドの微細凹凸構造を転写したフィルムの表面および縦断面に白金を10分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件で物品の表面および断面を観察した。
物品の表面を1万倍に拡大して観察し、一直線上に並んだ6個の突起の中心間距離を平均して突起の平均間隔(ピッチ)を求めた。また、物品の断面を5万倍で観察し、10本の突起の高さを平均して突起高さを求めた。
〔実施例1〕
純度99.99質量%、厚さ0.3mmのアルミニウム板を30mm×90mmの大きさに切断し、過塩素酸/エタノール混液(体積比=1/4)中で電解研磨し、これをアルミニウム基材として用いた。
(工程(a))
図2に示すセルに、アルミニウム基材の背面側が接するようにアルミニウム基材を固定し、セル内に31℃の冷却水を流通速度0.2m/sで循環させながら、32℃に調整した1.5Mシュウ酸水溶液中に接触しているアルミニウム基材の表面(20mm×50mm)を陽極酸化した。初期電圧60Vで10分間陽極酸化し、続けて70Vで10分間陽極酸化し、80Vで5分間陽極酸化し、90Vで5分間陽極酸化し、最後に100Vで5分間陽極酸化することで、細孔を有する酸化皮膜を形成した。
(工程(b))
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%のリン酸と1.8質量%びクロム酸を混合した70℃の水溶液中に6時間浸漬して、酸化皮膜を溶解除去して、陽極酸化の細孔発生点となる窪みを形成した。
(工程(c))
細孔発生点を有するアルミニウム基材を、17℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬し、80Vで6秒間陽極酸化して、酸化皮膜をアルミニウム基材の表面に再び形成した。
(工程(d))
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、30℃に調整した5質量%リン酸水溶液中に20分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡大する孔径拡大処理を施した。
(工程(e))
前記工程(c)と前記工程(d)をさらに交互に5回繰り返した。すなわち、工程(c)と工程(d)を6回ずつ行った。得られたモールドを脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
〔実施例2〕
工程(a)の100Vでの酸化時間を15分間とし、工程(c)の電解液の温度を16℃、陽極酸化条件を80Vで20秒間とし、工程(d)のリン酸水溶液の温度を32℃、浸漬時間を18分とし、工程(c)の回数および工程(d)の回数をそれぞれ合計5回とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
このようにして得られたモールドを、オプツールDSX(ダイキン化成品販売社製)をデュラサーフHD−ZV(ダイキン化成品販売社製)で0.1質量%に希釈した液に、10分間浸漬して、一晩風乾することによって離型処理した。
離型処理したモールドと、透明基材であるアクリルフィルム(三菱レイヨン製、アクリプレン HBS010)との間に、下記の組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填して、高圧水銀ランプで積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射することによって、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、モールドを剥離し、透明基材と硬化組成物の硬化物からなるフィルムを得た。
このようにして製造したフィルムの表面には微細凹凸構造が形成されており、突起の高さは430〜450nm、突起の平均間隔(ピッチ)は200nmであった。また、製造したフィルムの反射率を測定した。結果を図5に示す。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル:45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:45質量部、
信越化学工業社製x−22−1602(商品名):10質量部、
BASF社製イルガキュア184(商品名):2.7質量部、
BASF社製イルガキュア819(商品名):0.18質量部。
〔実施例3〕
工程(a)における100Vでの陽極酸化の時間を15分間とし、工程(c)における電解液の温度を16℃、陽極酸化条件を85Vで15秒間とし、工程(d)のリン酸水溶液の温度を32℃、浸漬時間を19分とし、工程(c)の回数および工程(d)の回数をそれぞれ合計5回とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
〔実施例4〕
工程(a)において、初期電圧60Vで10分間陽極酸化し、続けて70Vで10分間陽極酸化し、80Vで5分間陽極酸化し、最後に90Vで15分間陽極酸化し、工程(c)における陽極酸化条件を80Vで20秒間とし、工程(d)のリン酸水溶液の温度を32℃、浸漬時間を19分とし、工程(c)の回数および工程(d)の回数をそれぞれ合計5回とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
〔実施例5〕
実施例1と同様のアルミニウム基材を用いて、工程(a)〜工程(e)を下記のように行い、モールドを製造した。
(工程(a))
16℃に調整した0.2Mリン酸水溶液中にアルミニウム基材を浸漬し、浸漬した部分(30mm×60mm)の両面を陽極酸化した。一定の電圧150Vで30分間陽極酸化することで、細孔を有する酸化皮膜を形成した。
(工程(b))
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%のリン酸と1.8質量%びクロム酸を混合した70℃の水溶液中に6時間浸漬して、酸化皮膜を溶解除去して、陽極酸化の細孔発生点となる窪みを形成した。
(工程(c))
細孔発生点を有するアルミニウム基材を、16℃に調整した0.2Mのリン酸水溶液に浸漬し、130Vで40秒間陽極酸化して、酸化皮膜をアルミニウム基材の表面に再び形成した。
(工程(d))
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃に調整した5質量%リン酸水溶液中に20分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡大する孔径拡大処理を施した。
(工程(e))
前記工程(c)と前記工程(d)をさらに交互に4回繰り返した。すなわち、工程(c)と工程(d)を5回ずつ行った。得られたモールドを脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
〔比較例1〕
工程(c)における陽極酸化条件を90Vで10秒とした以外は、実施例2と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
〔比較例2〕
工程(c)における電解液の濃度を0.025M、陽極酸化条件を100Vで6秒間とし、工程(d)におけるリン酸水溶液中の浸漬時間を25分とした以外は、実施例3と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
このようにして得られたモールドを、実施例2と同様の方法で離型処理し、さらに同様の方法でフィルムを製造した。製造したフィルムの表面には微細な凹凸構造が形成されており、突起の高さは410〜470nm、突起の間隔(ピッチ)は200nmであった。また、実施例2と同様に、製造したフィルムの反射率を測定した。結果を図6に示す。
〔比較例3〕
工程(a)において、初期電圧60Vで10分間陽極酸化し、続けて70Vで10分間陽極酸化し、80Vで5分間陽極酸化し、最後に90Vで15分間陽極酸化した以外は、比較例1と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
〔比較例4〕
工程(c)における陽極酸化条件を150Vで40秒とした以外は、実施例5と同様の方法でモールドを製造した。電解液の種類と濃度、陽極酸化の電圧、細孔の平均間隔および深さ、深さのムラを表1に示す。
Figure 2012140001
表1からも明らかなように、実施例1〜5では、細孔の深さムラが少ない酸化皮膜を有するモールドを製造できた。
また、工程(a)における最高電圧が同じでも、工程(c)における電圧によって細孔の深さのムラは大きく変化することがわかった。特に、シュウ酸電解液を使用する場合には、工程(c)における電圧が90V以上と90V未満のものの間で、深さのムラの程度が急激に変化した。また、リン酸電解液を使用する場合には、工程(c)における電圧が150V以上と130V以下のものの間で、深さのムラの程度が急激に変化した。
さらに、図5および図6からも明らかなように、突起の高さが同程度の転写物であっても、突起の高さのムラが大きい図6の場合、反射率の測定点による差異が大きいことがわかった。
本発明のモールドの製造方法および微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品の効率的な量産にとって有用である。
10 アルミニウム基材
12 細孔
14 酸化皮膜
18 モールド
20 ロール状モールド
40 物品
42 フィルム
46 凸部

Claims (5)

  1. アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドを製造する方法であって、
    下記の工程(a)〜工程(e)を有する、モールドの製造方法。
    (a)アルミニウム基材の表面を陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
    (b)前記工程(a)で形成された酸化皮膜を除去する工程。
    (c)前記工程(b)の後に、アルミニウム基材を前記工程(a)で印加した最高電圧の90%未満の電圧で陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
    (d)前記工程(c)の後、細孔の孔径を拡大する工程。
    (e)前記工程(c)と前記工程(d)とを交互に繰り返す工程。
  2. 前記工程(a)において、90V以上の電圧で陽極酸化する、請求項1に記載のモールドの製造方法。
  3. 前記工程(a)において、90V未満の電圧で陽極酸化を開始した後、段階的にまたは連続的に電圧を上昇させ、最終的に90V以上の電圧で陽極酸化する、請求項1に記載のモールドの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造を、物品本体の表面に転写する、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法。
  5. アルミニウム基材と
    前記アルミニウム基材の表面に形成された複数の細孔を有する酸化皮膜と、を有し、
    前記複数の細孔の平均間隔が180nm以上であり、前記複数の細孔の深さのムラが50nm以下である、モールド。
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