JP2015052724A - 微細凹凸フィルム - Google Patents

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Atsushi Saeki
厚志 佐伯
牧野 伸治
Shinji Makino
伸治 牧野
克宏 小嶋
Katsuhiro Kojima
克宏 小嶋
英子 岡本
Hideko Okamoto
英子 岡本
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Abstract

【課題】反射防止性を有し、傷の視認性を低下させて目立ち難くする表示パネル、タッチパネル及び光学部材に使用できる微細凹凸フィルムを提供する。【解決手段】表面に微細凹凸構造を有する部分1と、複数の平滑な部分2とを有し、全表面積に対する平滑な部分2の面積の割合が10%より大きく50%以下である微細凹凸フィルム40。平滑な部分2の高さが、微細凹凸構造を有する部分1の谷底部と同等高さの位置であることが好ましく、平滑な部分2のひとつあたりの面積が0.01mm2以下であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、表面に微細凹凸形状を有するフィルムに関するものである。
近年、反射防止性、防曇性、防汚性、撥水性等を付与することを目的として、微細凹凸構造を表面に有する機能性フィルム等の成形体が提案されている。特に、Moth−Eye構造と呼ばれる微細凹凸構造は、優れた反射防止性を発現することが知られている。
成形体の表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、材料の表面を直接加工する方法、微細凹凸構造に対応した反転構造を有するスタンパ(鋳型)を用いて、この構造を転写する転写法などがあり、生産性、経済性の点から、後者の方法が優れている。スタンパに反転構造を形成する方法としては、電子線描画法、レーザー光干渉法等が知られているが、近年、より簡便に反転構造を形成する方法として、アルミニウム基材の表面を陽極酸化する方法が注目されている。
アルミニウム基材の表面を陽極酸化することによって形成される陽極酸化アルミナは、アルミニウムの酸化皮膜(アルマイト)であり、周期が可視光の波長以下である複数の凹部(細孔)からなる微細凹凸構造を有する。
また、単に微細凹凸構造を表面に有する成形体は反射防止性に優れるものの、成形体表面の欠け、傷といった成形体の僅かな欠陥が目立つことがあり、微細凹凸構造の間に前記微細凹凸構造よりも高い柱を設ける形成体も提案されている。例えば特許文献1には、微細な突起が周期的に多数形成されたAR格子と、前記突起間に散在し、前記突起の高さよりも高い保護柱とが形成されている構造が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の成形体は、前記微細凹凸構造よりも高い柱を有するため微細凹凸構造は直接接触せず耐傷つき性に優れるものの、最表面として使用した場合に、前記柱自身の表面の欠け、傷といった成形体の欠陥が目立つことがあった。
特許第4262944号公報
本発明は、微細凹凸構造を有する部分と平滑な部分とを有することによって、反射防止性を有し、且つ傷の目立ち難い微細凹凸フィルムを提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、微細凹凸構造を有する部分の谷底部分と同等高さの位置に平滑な部分を有することによって傷の視認性を低下させて目立ち難くすることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の微細凹凸フィルムは、表面に微細凹凸構造を有する部分と平滑な部分とを有し、全表面積に対する平滑な部分の面積の割合が10%より大きく50%未満であることを特徴とする微細凹凸フィルムである。
また、前記平滑な部分の高さが、前記微細凹凸構造を有する部分の谷底部分と同等高さの位置であることを特徴とする微細凹凸フィルムである。
また、前記平滑な部分のひとつあたりの面積が0.01mm以下であることを特徴とする微細凹凸フィルムである。
また、前記微細凹凸構造は、平均高さが80〜500nmであり、周期が20〜400nmである複数の凸部からなることが好ましい。
さらに、前記微細凹凸フィルムを備えた物品、および前記微細凹凸フィルムの製造方法である。
本発明によれば、反射防止性を有し、且つ傷の目立ち難い微細凹凸フィルム、および物品が得られる。
本発明の微細凹凸フィルムの一例の断面模式図である。 本発明の微細凹凸フィルムを製造に用いるスタンパの一例の製造工程の模式図である。 本発明に用いるスタンパの微細凹凸構造の一例の模式図である。 本発明の微細凹凸フィルムを製造に用いるスタンパ表面の一例の断面模式図である。 本発明の微細凹凸フィルムを製造するための装置の一例の模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。なお、図1〜5においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材に毎に縮尺を異ならせてある。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。また、「(共)重合体」は、重合体および共重合体を意味する。
[微細凹凸フィルム]
本発明の微細凹凸フィルムは、表面に微細凹凸構造を有する部分と、複数の平滑な部分とを有し、全表面積に対する平滑な部分の面積の割合が10%より大きく50%以下である。全表面積に対する平滑な部分の面積の割合が10%よりも大きければ、微細凹凸フィルムの傷が目立たなくなる。一方、面積の割合が50%以下であれば、反射防止性能が良好であり、視認性が向上する。好ましくは15%以上40%以下である。
本発明の微細凹凸フィルムは、平滑な部分の高さが、微細凹凸構造を有する部分の谷底部と同等高さの位置であることが好ましい。平滑な部分が微細凹凸構造を有する部分の谷底部と同等高さの位置であることにより、平滑な部分の傷つきを抑えることができる。
また、本発明の微細凹凸フィルムは、平滑な部分のひとつあたりの面積が0.01mm以下であることが好ましい。平滑な部分ひとつあたりの面積は、視認されることのない大きさである点で、0.01mm以下が好ましく、0.0025mm以下がより好ましい。
本発明の微細凹凸フィルムの微細凹凸構造は、平均高さが80〜500nmであり、周期が20〜400nmである複数の凸部からなることが好ましい。微細凹凸構造の周期(図1の凸部41の中心からこれに隣接する凸部41までの間隔P’の平均(平均間隔))が可視光の波長以下の周期、すなわち400nm以下であれば、有効な反射防止機能を発現できる。また、凸部41の高さ(図1の凸部41の先端から隣接する凹部42の底部までの垂直距離H)が80〜500nmであれば、反射率がより低下する。
なお、微細凹凸構造は、微細凹凸フィルム40の表面全体に備わっていてもよく、表面の一部に備わっていてもよい。微細凹凸フィルム40の一方の表面の全面に転写面が備わっていてもよく、一方の表面の一部に備わっていてもよい。また、他方の表面に転写面が備わっていてもよく、備わっていなくてもよい。
本発明の微細凹凸フィルムの平滑な部分は、微細凹凸構造のような高さの凸部を有さない部分である。平滑な部分の高さは微細凹凸構造を有する部分の谷底部と同等の位置にあることが好ましい。具体的には、平滑な部分の高さは微細凹凸構造を有する部分の谷底部からの高さが50nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、0.1nm以下が特に好ましい。
図1の平滑な部分2に示すように、微細凹凸フィルムを断面から見た場合の平滑な部分2の長さは0.1mm以下が好ましく、0.05mm以下がより好ましい。平滑な部分の形状は特に限定されない。
以上説明した本発明の微細凹凸フィルムにあっては、反射防止性を有し、傷の視認性が低く目立ち難い物品を製造できる。
[スタンパの製造方法]
本発明の微細凹凸フィルムの製造方法は、特に制限は無いが、反射防止性能と生産性の観点からアルミニウム基材上に陽極酸化によって微細凹凸構造が形成されたスタンパを用いることが好ましい。
なお、本発明において凹凸構造の「周期」とは、凹凸構造を構成する凹部(または凸部)の中心からこれに隣接する凹部(または凸部)までの間隔の平均(平均間隔)のことである。
<アルミニウム基材>
アルミニウム基材としては、微細凹凸構造を表面に有するスタンパの製造に用いられる、微細凹凸構造が形成される被加工面を有するアルミニウム基材を使用する。被加工面とは、スタンパの表面を成形体本体の表面に転写する際に成形体本体に接触する面である。
アルミニウム基材10の純度は98質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましい。純度が98%質量未満では、陽極酸化した際に、細孔が形成されなかったり、形成されても細孔の形状が垂直でなかったりする傾向がある。このような純度が98質量%未満のアルミニウム基材から製造されるスタンパは、例えば反射防止物品などの製造には好適ではない。
なお、アルミニウム基材は、後述するスタンパの製造に供される前に、機械研磨、羽布研磨、電解研磨などの方法で表面を鏡面化されてもよい。
<スタンパの製造>
本発明では、上述したアルミニウム基材を用い、アルミニウム基材の被加工面の10%より大きく50%未満の領域をマスキング後、該処理面を陽極酸化することで、微細凹凸構造と平滑な面が形成された構造をアルミニウム基材の表面に形成して、スタンパを製造する。
以下、各工程について詳しく説明する。
(マスキング処理)
アルミニウム基材をマスキング処理する方法としては、公知の方法を採用でき、具体的にはインクジェット等が挙げられる。
アルミニウム基材をマスキング処理することで、図4に示すように、アルミニウム基材10のマスキング処理された被加工面に、面積の割合が10%より大きく50%未満であり、ひとつあたりの面積が0.01mm以下である領域17が形成される。面積の割合が10%よりも大きければ、微細凹凸フィルムの傷が目立たなくなる。一方、面積の割合が50%未満であれば、反射防止性能が良好であり、視認性が向上する。面積は、視認されることのない大きさである点で、0.01mm以下が好ましく、0.0025mm以下がより好ましい。
(陽極酸化)
アルミニウム基材の処理面を陽極酸化する方法としては、下記の工程を順に行う方法が好ましい。
第1の酸化皮膜形成工程(a);
アルミニウム基材の処理面を電解液中、陽極酸化して、前記処理面に酸化皮膜を形成する(以下、工程(a)とも記す。)。
酸化皮膜除去工程(b);
酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を処理面に形成する(以下、工程(b)とも記す。)。
第2の酸化皮膜形成工程(c);
細孔発生点が形成されたアルミニウム基材の処理面を電解液中、再度陽極酸化して、細孔発生点に対応した細孔を有する酸化皮膜を被加工面に形成する(以下、工程(c)とも記す。)。
孔径拡大処理工程(d);
細孔の径を拡大させる(以下、工程(d)とも記す。)。
繰り返し工程(e);
必要に応じて、第2の酸化皮膜形成工程(c)と孔径拡大処理工程(d)とを繰り返し行う(以下、工程(e)とも記す。)。
工程(a):
工程(a)では、アルミニウム基材の処理面を電解液中、定電圧下で陽極酸化し、図2(a)に示すように、アルミニウム基材10の処理面に、細孔11を有する酸化皮膜12を形成する。電解液としては、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等が挙げられる。
工程(b):
工程(b)では、工程(a)により形成された酸化皮膜12を除去することにより、図2(b)に示すように、除去された酸化皮膜12の底部(バリア層と呼ばれる)に対応する周期的な窪み、すなわち、細孔発生点13を形成する。陽極酸化の細孔発生点13を形成することで、最終的に形成される細孔の規則性を向上させることができる。
酸化皮膜12を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液によって除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c):
工程(c)では、細孔発生点13が形成されたアルミニウム基材10を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化し、再び酸化皮膜を形成する。これにより、図2(c)に示すように、円柱状の細孔14が形成された酸化皮膜15を形成できる。電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(d):
工程(d)では、工程(c)で形成された細孔14の径を拡大させる細孔径拡大処理を行って、図2(d)に示すように、細孔14の径を図2(c)の場合よりも拡径する。
孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、工程(c)で形成された細孔の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。工程(d)の時間を長くするほど、細孔の径は大きくなる。
工程(e):
工程(e)では、再度、工程(c)を行って、図2(e)に示すように、細孔14の形状を径の異なる2段の円柱状とし、その後、再度、工程(d)を行う。このように工程(c)と工程(d)を繰り返す、繰り返し工程(e)により、図2(f)に示すように、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔14を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成されたスタンパ20が得られる。
工程(c)および工程(d)の条件、例えば、陽極酸化の時間および孔径拡大処理の時間を適宜設定することにより、様々な形状の細孔を形成することができる。よって、スタンパから製造しようとする微細凹凸フィルムの用途等に応じて、これら条件を適宜設定すればよい。また、このスタンパが反射防止膜等の反射防止物品を製造するものである場合には、このように条件を適宜設定することにより、細孔の周期や深さを任意に変更できるため、最適な屈折率変化を設計することも可能となる。
具体的には、同じ条件で工程(c)と工程(d)とを繰り返せば、図3に示すような円錐形状の細孔14が形成される。
工程(e)における繰り返し回数は、回数が多いほどより滑らかなテーパー形状の細孔を形成でき、工程(c)と工程(d)との合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の径が減少する傾向にあり、このようなスタンパから反射防止膜等の反射防止物品を製造した場合、その反射率低減効果は不十分となる可能性がある。
こうして製造されたスタンパ20は、この微細凹凸構造における周期が可視光の波長以下、すなわち400nm以下であると、いわゆるMoth−Eye構造となり、このスタンパの表面構造を転写した微細凹凸フィルムは有効な反射防止機能を発現できる。
周期は、図3に示すように、微細凹凸構造の細孔(凹部)14の中心からこれに隣接する細孔(凹部)14の中心までの間隔(図中のp)の平均である。
細孔(凹部)14の周期は、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が特に好ましい。周期が400nmより大きいと可視光の散乱が起こりやすくなり、スタンパの表面構造を転写した微細凹凸フィルムが十分な反射防止機能が発現しにくくなる傾向にある。細孔(凹部)14の周期は、20nm以上が好ましい。
また、細孔(凹部)14の深さは、80〜500nmが好ましく、100〜400nmがより好ましく、130〜300nmが特に好ましい。細孔(凹部)14の深さが80nm以上であれば、スタンパの表面構造を転写した微細凹凸フィルムの表面、すなわち転写面の反射率が低下する。細孔(凹部)14の深さは、図3に示すように、微細凹凸構造の細孔(凹部)14の開口部から最深部までの距離(図中のDep)である。
なお、細孔(凹部)14の形状としては、図3に示す円錐形状に限定されず、例えば角錐形状、円柱形状、逆釣鐘状などでもよいが、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。 スタンパ20の形状は、平板でもあってもよく、ロール状であってもよい。
また、スタンパ20の微細凹凸構造が形成された表面は、離型が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シラン化合物をコーティングする方法等が挙げられる。
また、マスキングに使用したインクは溶剤等で洗い流すことができる。
上述の製造方法で得られたスタンパからは、直接、微細凹凸フィルムを製造できるが、スタンパを原型として、まずレプリカを作製し、このレプリカから微細凹凸フィルムを製造してもよい。また、このレプリカを原型として再度レプリカを作製してそのレプリカから微細凹凸フィルムを製造してもよい。
レプリカの作製方法としては、例えば、原型上にニッケル、銀等による薄膜を無電界めっき、スパッタ法等により形成し、ついでこの薄膜を電極として電気めっき(電鋳法)を行って、例えばニッケルを堆積させた後、このニッケル層を原型から剥離して、レプリカとする方法等が挙げられる。
以上説明した本発明のスタンパの製造方法にあっては、アルミニウム基材をマスキング処理してからアルミニウム基材を陽極酸化することで、図4に示すような、平滑な部分の面積の割合が10%より大きく50%以下であり、ひとつあたりの面積が0.01mm以下である領域が形成される構造が、アルミニウム基材10の表面に形成されたスタンパ20が得られる。そして、上述の製造方法によって製造されたスタンパの表面の凹凸構造をフィルムの表面に転写することによって、反射防止性を有し、傷の視認性が低く傷が目立ち難い微細凹凸フィルムが得られる。
[微細凹凸フィルムの製造方法]
本発明の微細凹凸フィルムの製造方法は、上述のスタンパの表面に形成された表面構造を、成形体本体の表面に転写する方法である。
スタンパの表面構造を転写して製造された微細凹凸フィルムは、その表面にスタンパの表面構造の反転構造が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
微細凹凸フィルムの製造方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
(1)スタンパと光透過性基材(成形体本体)との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物がスタンパに接触した状態で、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化した後、スタンパを剥離し、光透過性基材の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる表面構造が形成された微細凹凸フィルムを得る(すなわち、光透過性基材の表面にスタンパの表面構造が転写された硬化物を形成する)方法。
(2)スタンパと光透過性基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物にスタンパの表面構造を転写し、スタンパを剥離した後、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化し、光透過性基材の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる表面構造が形成された微細凹凸フィルムを得る(すなわち、光透過性基材の表面にスタンパの表面構造が転写された硬化物を形成する)方法。
以下、(1)の方法について詳細に説明する。
スタンパと光透過性基材とを対向させ、これらの間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填、配置する。この際、スタンパの表面構造が形成された側の面(スタンパの表面)が、光透過性基材と対向するようにする。ついで、充填された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、光透過性基材を介して活性エネルギー線(可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、赤外線等の熱線)を例えば高圧水銀ランプやメタルハライドランプから照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化する。その後、スタンパを剥離する。その結果、光透過性基材の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる表面凹凸構造が形成された微細凹凸フィルムが得られる。この際、必要に応じて、スタンパの剥離後に再度活性エネルギー線を照射してもよい。
活性エネルギー線の照射量は、硬化が進行するエネルギー量であればよく、通常、100〜10000mJ/cmである。
また、例えば図5に示すような製造装置を用いれば、連続して微細凹凸フィルムを製造することができる。図5に示す製造装置30を用いた微細凹凸フィルムの製造方法の一例について説明する。
微細凹凸構造を表面に有するロール状のスタンパ31の表面と、該スタンパ31の表面に沿って移動する帯状の透光透過性基材(成形体本体)32との間に、タンク33から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34を供給する。
スタンパ31と、空気圧シリンダ35によってニップ圧が調整されたニップロール36との間で、透明基材32および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34を光透過性基材32とスタンパ31との間に均一に行き渡らせると同時に、スタンパ31の細孔(凹部)内にも充填する。
スタンパ31を回転させながら、スタンパ31と光透過性基材32との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34が挟まれた状態で、スタンパ32の下方に設置された活性エネルギー線照射装置37を用い、光透過性基材32側から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34を硬化させることによって、光透過性基材32の表面にスタンパ31のマルチ凹凸構造が転写された硬化物38を形成する。
剥離ロール39により、表面に硬化物38が形成された透明基材32をスタンパ31から剥離することで、微細凹凸フィルム40を得る。
光透過性基材(成形体本体)の材料としては、活性エネルギー線の照射を著しく阻害しないものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマー、ガラス、石英、水晶等が挙げられる。
光透過性透明基材の形状は、製造する微細凹凸フィルムに応じて適宜選択でき、例えば、微細凹凸フィルムの用途が反射防止膜等の反射防止物品の場合には、シート状またはフィルム状が好ましい。 光透過性基材の表面は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の改良のために、例えば各種コーティング、コロナ放電処理等が施されていてもよい。
(活性エネルギー線樹脂組成物)
本発明で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含むことができる。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記式(1)の化合物が挙げられる。
11 Si(OR12 ・・・(1)。
ただし、R11、R12は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、下記式(2)の化合物が挙げられる。
21O[Si(OR23)(OR24)O]22 ・・・(2)。
ただし、R21〜R24は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤;微粒子、少量の溶剤を含んでいてもよい。
[微細凹凸フィルムを備える物品]
本発明の微細凹凸フィルムを備える物品は、例えば、タッチパネル、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ、1/2波長板、ローパスフィルター等の対象物の表面に貼り付けて使用される。
物品が立体形状である場合には、予め用途に応じた形状の透明な物品を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として使用することもできる。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対して微細凹凸フィルムを貼り付けてもよいし、前面板そのものを微細凹凸フィルムから構成することもできる。
微細凹凸フィルムの他の用途としては、光学用途(光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子、水晶デバイス等)、細胞培養シート、超撥水性フィルム、超親水性フィルム等が挙げられる。超撥水性フィルムは、自動車や鉄道車両等の窓に貼り付けて使用したり、ヘッドランプ、照明等の着雪防止や着氷防止として使用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<各種測定および評価方法>
(スタンパの細孔、平滑面の寸法)
スタンパの縦断面または表面に白金を1分間蒸着し、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM‐7400F」)を用いて加速電圧:3.00kVの条件でスタンパの表面を観察した。得られた画像から、陽極酸化アルミナからなる微細凹凸構造の細孔(凹部)の周期、および細孔の深さ、平滑面の寸法を10箇所で測定し、平均値を求めた。
(微細凹凸フィルムの凸部、平滑面の寸法)
転写面が形成された微細凹凸フィルムの縦断面または表面に白金を5分間蒸着し、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM‐7400F」)を用いて加速電圧:3.00kVの条件で微細凹凸フィルムの転写面を観察した。得られた画像から、転写面に形成されたスタンパの微細凹凸構造に由来する凸部の周期、および凸部の高さ、平滑な部分の寸法を10箇所で測定し、平均値を求めた。
(反射防止性(反射率)の評価)
微細凹凸フィルムの裏面(スタンパの表面構造が転写されていない面)にアクリル粘着材をつけて黒色アクリル板に貼合せたものをサンプルとし、分光光度計(日立社製、「U‐4100」)を用いて入射角5°、波長380nm〜780nmの範囲で微細凹凸フィルムの表面(スタンパの表面構造が転写された転写面)の相対反射率を測定した。
(耐傷つき性の評価)
微細凹凸フィルムの表面をガーゼで10回強く擦り、ガーゼと微細凹凸フィルムの表面とを強く接触させた。試験前と試験後のサンプルを暗室にて光を照らして正面から確認することで見比べ、傷つきによる外観に変化があるか確認した。変化が見られない場合○、変化が見られる場合を×と評価した。
(品位の評価)
微細凹凸フィルムを暗室にて光を照らして正面から確認することで目視で確認して、平滑な部分が目視で確認され品位に悪影響がないか確認した。平滑な部分が確認できず品位に問題がない場合○、平滑な部分が確認でき品位に問題がある場合を×と評価した。
[実施例1]
<スタンパの製造>
純度99.3質量%のアルミニウム基材にインクジェット装置を用いて、基材の全体の面積に対して15%の割合でインクを均一に分散させ、ひとつあたりの面積が0.0025mm2である領域がマスキングされるよう処理した。
ついで、マスキング処理したアルミニウム基材を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、浴温:16℃、直流:40Vの条件下で30分間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(工程(a))。形成された酸化皮膜を、6質量%のリン酸と1.8質量%のクロム酸混合水溶液中で一旦溶解除去した(工程(b))後、再び工程(a)と同一条件下において、30秒間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(工程(c))。その後、5質量%リン酸水溶液(30℃)中に8分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡径する細孔径拡大処理(工程(d))を施した。さらに工程(c)と工程(d)を繰り返し、これらを合計で5回行い(工程(e))、アルミニウム基材上に陽極酸化アルミナを形成した。次いで、アセトンによりマスキング処理のインクを除去し、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に10分間浸漬し、24時間風乾して、陽極酸化アルミナの表面を離型剤で処理してスタンパを得た。
なお、得られたスタンパの表面を走査電子顕微鏡で観察したところ、図3に示すように、周期p:100nm、深さDep:210nmの円錐状のテーパー状細孔(凹部)からなる微細凹凸構造16が表面に形成されていた。また、ひとつあたりの面積が0.0025mm2の大きさの微細凹凸の無い平滑な部分17が、スタンパ表面全体の面積に対して20%の割合で形成されていた。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製>
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物の45質量部、
6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製)の45質量部、
ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製、「X−22−1602」)の10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「イルガキュア184」)の3質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、「イルガキュア819」)の0.2質量部、
を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
<微細凹凸フィルムの製造>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をスタンパの表面上に数滴垂らし、さらにその上に成形体本体(光透過性基材)として厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、「A−4300」)を押し広げながら被覆した後、フィルム側から積算光量1600mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させた。その後、フィルムとスタンパを剥離して、微細凹凸フィルムを得た。
得られた微細凹凸フィルムの表面(転写面)は、スタンパの表面構造が転写されていた。なお、転写面には、図1に示すような、周期P’:100nm、高さH:190nmの凸部が形成されていた。また、微細凹凸のない平滑な部分が、前記微細凹凸構造を有する部分の谷底と同等高さの位置に、微細凹凸フィルムの表面(転写面)全体の面積に対して15%の割合で、且つひとつあたりの面積が0.0025mmの大きさで形成されていた。
得られた微細凹凸フィルムについて、反射防止性、耐傷つき性、および品位の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
マスキングした面積をスタンパ全体の面積に対して40%とした以外は、実施例1と同様にしてスタンパを製造した。得られたスタンパを用いて実施例1と同様にして微細凹凸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
マスキングひとつあたりの面積を0.081mmとした以外は、実施例1と同様にしてスタンパを製造した。得られたスタンパを用いて実施例1と同様にして微細凹凸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
マスキングした面積をスタンパ全体の面積に対して5%とした以外は、実施例1と同様にしてスタンパを製造した。得られたスタンパを用いて実施例1と同様にして微細凹凸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
マスキングした面積をスタンパ全体の面積に対して60%とした以外は、実施例1と同様にしてスタンパを製造した。得られたスタンパを用いて実施例1と同様にして微細凹凸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
マスキングひとつあたりの面積を0.03mmとした以外は、実施例1と同様にしてスタンパを製造した。得られたスタンパを用いて実施例1と同様にして微細凹凸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
マスキングを実施せずに加工した以外は、実施例1と同様にしてスタンパを製造した。得られたスタンパを用いて実施例1と同様にして微細凹凸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られた微細凹凸フィルムは、反射防止性、耐傷つき性および品位に優れていた。
一方、比較例1で得られた微細凹凸フィルムは平滑な部分の面積が5%と少なかったため耐傷つき性能に劣っていた。
比較例2で得られた微細凹凸フィルムは平滑な部分の面積が60%と多かったため反射防止性能に劣り、平滑な部分が目視で確認でき品位に問題があった。
比較例3で得られた微細凹凸フィルムは平滑な部分ひとつあたりの面積が0.03mmと大きかったため、平滑面が目視で確認でき品位に問題があった。
比較例4で得られた微細凹凸フィルムは陽極酸化の前にマスキング処理を行わなかったため平滑な部分が無く、反射防止性能は良好なものの耐傷つき性能に劣っていた。
1 微細凹凸構造を有する部分
2 平滑な部分
10 アルミニウム基材
11、14 細孔(凹部)
12、15 酸化皮膜
13 細孔発生点
16 微細凹凸構造を有する部分(スタンパ)
17 平滑な部分(スタンパ)
20、30 スタンパ
32 光透過性基材(成形体本体)
38 硬化物
40 微細凹凸フィルム
41 凸部
42 凹部

Claims (6)

  1. 表面に微細凹凸構造を有する部分と、複数の平滑な部分とを有し、全表面積に対する平滑な部分の面積の割合が10%より大きく50%以下である微細凹凸フィルム。
  2. 前記の平滑な部分の高さが、前記微細凹凸構造を有する部分の谷底部と同等高さの位置であることを特徴とする請求項1に記載の微細凹凸フィルム。
  3. 前記平滑な部分のひとつあたりの面積が0.01mm以下であることを特徴とする請求項1から2に記載の微細凹凸フィルム。
  4. 前記微細凹凸構造は、平均高さが80〜500nmであり、周期が20〜400nmである複数の凸部からなる、請求項1から3に記載の微細凹凸フィルム。
  5. 請求項1から4に記載の微細凹凸フィルムを備えた物品。
  6. 表面に微細凹凸構造を有する部分と複数の平滑な部分とを有し、全表面積に対する平滑な部分の面積の割合が10%より大きく50%以下であるスタンパと、光透過性基材とを対向させ、これらの間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、ついで、充填された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、光透過性基材を介して活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化の後、スタンパを剥離する、請求項1から4に記載の微細凹凸フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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