JP5419483B2 - 回転照射型粒子線医療装置 - Google Patents
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Description
粒子線医療装置には、患者に対して任意の方向から照射するために回転照射装置(回転ガントリ)が設けられる場合がある。回転ガントリは粒子線照射部を360度回転させ、患者に対して任意の回転角度から荷電粒子ビームを照射できるように構成されている。
このような従来の回転照射型粒子線医療装置として、例えば、ビームを複数方向から照射するため、治療計画装置で予め求められた患部の下部形状に応じて、各照射方向に対応したボーラスを作製しておき、これを照射装置に設けた回転テーブルに設置して切替えて使用する技術が提案されている。回転テーブルの回転軸とビームの軌道中心は偏芯しているので、回転テーブルを回転させることにより、ボーラスを入れ替えてビームの軌道上に配置させ、これによって複数の照射方向に対応したビームのエネルギー分布が形成できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
図1はこの発明の実施の形態1による回転照射型粒子線医療装置の回転ガントリ部の概念図であり、(a)は回転軸の軸方向に見た図を示し、(b)は(a)の矢印b方向から見た部分断面図を示している。また、図3は、粒子線医療装置の照射系の構成を説明する説明図である。
粒子線医療装置の照射装置に送られてきた荷電粒子ビーム(以下、粒子線と略す)は、先ず、電磁石31によってX方向,Y方向同時に回転させて照射野を平坦化させ、散乱体32によって更に散乱させて平坦度を上げ、次に、リッジフィルタ33によってがんの治療厚さに合わせて粒子線のブラッグピークの幅(奥行き方向)を変化させ、レンジシフタ34によってがんの深さに合わせて粒子線のエネルギーを吸収させ到達する距離を微調整し、次に、ブロックコリメータ35により必要な範囲以外の粒子線を遮断し、可変コリメータ36によって複数の可動リーフを移動させて粒子線をがんの形状(平面方向)に合わせて成形し、最後に、ボーラス37によって、粒子線の飛程をがんの末端側(底部)の形状に合わせて調整する。
なお、図3では可変コリメータ36とボーラス37は、形状が理解しやすいように斜視図で表している。
またこの照射装置1は、回転フレーム2の回転軸の軸線と直交方向にも移動可能になっており、患者5に接近させて照射できるようになっている。
したがって、ボーラスは、患者ごとに患部の病巣に対応させて、粒子線治療計画装置によって予め作成される。
図1の場合は、照射方向を垂直方向と水平方向の2方向としているので、垂直方向用のボーラス(A)6aと、水平方向用のボーラス(B)6bとを2個設けている。この2個のボーラス6a,6bが、図1(b)に示すように、回転フレーム2の回転軸の軸線方向に並べて同一平面上に配置されている。そして、回転軸方向にスライド可能に取り付けられ、スライドさせることによって、照射方向に対応して切替えられるように構成されている。
図1(a)に破線で示すように、照射装置1が患者5の垂直上方の位置にあるときは、ボーラス(A)6aが照射軸線上に位置するようにエアシリンダ7を制御する。そして、ボーラス(A)6aを用いて粒子線を患者5の患部に照射し治療を行った後、次に、回転フレーム2を90度回転させて、照射装置1を実線で示すように水平方向に向ける。次に、エアシリンダ7を作動させて、ボーラス(B)6bが粒子線の照射軸線上に位置するようにスライド移動させる。そして、ボーラス(B)6bを用いて粒子線を照射し水平方向からの治療をする。
ボーラス6a,6bの切替操作は、図示しない制御装置からの指令により、予め設定されたプログラムに従って、回転フレーム2の回転に連動させて、遠隔操作により実施される。
なお、このとき、先に図3で説明した可変コリメータ36のビーム貫通部の形状も、粒子線治療計画に従って、照射方向に合わせて変更される。
背景技術の項で説明した特許文献1に示されたような、回転テーブルを用いて複数のボーラスを切り替える場合は、円板状の回転テーブル及びその操作部が占有する領域が広く、ボーラスが搭載された照射ノズルを患者に近づける際や、医師又は作業者が患者に近づく際に、制限される領域が大きい。
、照射ノズルが水平方向にある場合は、垂直方向に駆動機構部が出っ張らないため、図1(a)に一点鎖線で示すように、照射ノズルをより患者に近づけることが可能となる。できるだけ患者に近づける方が粒子線の広がりが少なくなるので、照***度が上がる。
また、医師や作業者が患者にアクセスするスペースも広く確保でき、動きが楽になる。
更に、操作機構が直動機構で、その駆動機構をエアシリンダとしたので、モータによる回転駆動に比べて機構が簡単なため、制御が簡単となり、故障の割合も低くなる。また切替を速くでき、操作音も小さい。
また、エアシリンダ7の取付方向は、図1(b)では、照射装置1の筐体の右側(患者5の足側)としたが、左側としても良い。
また、回転軸方向にスライド移動させてボーラスを切替えるようにしたので、ボーラスの切替え機構部の占有する領域を小さくでき、また、移動による制限領域はスライド方向のみとなって機構部がコンパクト化されるため、医師又は作業者のアクセス空間を広く確保でき、治療作業の自由度が増す。
図2は、この発明の実施の形態2による回転照射型粒子線医療装置の回転ガントリ部の概念図であり、(a)は回転軸の軸方向に見た図、(b)は(a)の矢印b方向から見た部分断面図である。実施の形態1の図1と同等部分は同一符号で示して説明は省略する。相違点は、複数のボーラスの配置及び駆動機構の構成であり、本実施の形態では、複数のボーラス(図2では2個の場合を示す)を、段積みとした点である。以下、図に基づいて説明する。
照射装置1が患者の垂直上方にある状態では、図2(b)に示すように、ボーラス(A)6aが照射軸線上に位置するようにエアシリンダ7を駆動し、ボーラス(B)6bは照射軸線上から外れる位置に退避させている。次に、回転フレーム2を90度回転させて、照射装置1を(a)の実線で示すように水平方向に向け、水平向から照射する場合は、ボーラス(A)6aを退避させ、ボーラス(B)6bを照射軸線上に位置するように、各エアシリンダ7を操作する。
なお、図2では照射位置を2方向としたが、更に照射方向を増やし、それに対応してボーラスの個数を増やしても良い。
また、同形状のものを積み重ねて構成できるので製作が容易となり、照射方向を増やした場合に、段数を変えることによりボーラスの個数を容易に追加できる。
更に、エアシリンダはボーラスに対して個別に設けているので、実施の形態1の場合と比較して小容量のものでよく、制御も簡単となる。
3 ローラ 4 治療台
5 患者 6a ボーラス(A)
6b ボーラス(B) 7 エアシリンダ
31 電磁石 32 散乱体
33 リッジフィルタ 34 レンジシフタ
35 ブロックコリメータ 36 可変コリメータ
37 ボーラス。
Claims (3)
- 加速器で加速された粒子線を導入して治療台上の患者に照射する照射装置と、前記照射装置が搭載され、前記照射装置と共に前記治療台の周りに回転する回転フレームとを備え、前記回転フレームを回転させることにより複数の照射方向から照射可能に構成された回転照射型粒子線医療装置において、
前記照射装置には、照射する前記粒子線の分布を調整するために、前記患者の病巣に合わせ、前記照射方向に対応して作製された複数個のボーラスが、前記照射装置の先端側に設けられ、かつ前記照射装置の先端側には前記回転フレームの回転軸方向に前記複数個のボーラスの駆動機構が配置されており、
複数個の前記ボーラスは、前記駆動機構により前記回転フレームの回転軸方向にスライド可能に取り付けられ、前記照射方向が変えられたとき、変えられた照射方向に対応する前記ボーラスに切替えられ、
前記照射装置の先端側は、前記回転フレームの回転軸の軸線と直交方向に移動可能となっており、患者に接近させて照射できるようにしたことを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。 - 請求項1記載の回転照射型粒子線医療装置において、
複数個の前記ボーラスは、前記回転軸方向に並べて同一平面上に配置され、同時に駆動されて切替えられるようにしたことを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。 - 請求項1記載の回転照射型粒子線医療装置において、
複数個の前記ボーラスは、前記回転軸方向に対して直交方向に段積みして配置され、個別に駆動されて切替えられるようにしたことを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。
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