JP5418812B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
しかし、120度通電時には、実回転速度が目標回転速度に充分に追従せずに、操舵フィーリングの悪化や操舵補助力の不足(アシスト不足)が生じる場合がある。より具体的には、120度通電方式で電動モータを駆動しているときに、高速な操舵が行われ、それに応じて目標回転速度が急増した場合に、実回転速度が目標回転速度に充分に追従しないおそれがある。これは、システムからの油圧負荷によるものである。これにより、実回転速度が180度通電方式への切替閾値に達するのに比較的長い時間を要するか、または切替閾値に達しないおそれがある。その結果、高速操舵時に充分な操舵補助力を確保することができず、操舵フィーリングに、いわゆる「ひっかかり感」を生じ、操舵フィーリングが悪くなる。
上記目標加速度演算手段は、目標回転速度に基づいて(たとえば、目標回転速度を時間微分することにより)、目標回転加速度を演算するものであってもよい。また、上記パワーステアリング装置は、車両の操向のために運転者によって操作される操作部材の操舵速度を検出する操舵速度検出手段をさらに含むものであってもよい。この場合において、上記目標加速度演算手段は、上記操舵速度に応じて目標回転加速度を演算するものであってもよいし、上記目標回転速度に基づいて目標回転加速度を演算するものであってもよい。また、上記パワーステアリング装置は、上記操舵速度検出手段によって検出された操舵速度に応じて上記目標回転速度を設定する目標回転速度設定手段をさらに含むものであってもよい。この場合、目標回転加速度を目標回転速度に基づいて演算すれば、この目標回転加速度は、操舵速度に対応する値を有することになる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るパワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、本パワーステアリング装置1は、車両のステアリング機構2に関連して設けられ、このステアリング機構2に操舵補助力を与えるためのものである。
ステアリング機構2は、車両の操向のために運転者によって操作される操作部材としてのステアリングホイール3と、このステアリングホイール3に連結されたステアリングシャフト4と、ステアリングシャフト4の先端部に油圧制御弁14を介して連結されピニオンギヤ6を持つピニオンシャフト5と、ピニオンギヤ6に噛合するラックギヤ部7aを有し、車両の左右方向に延びた転舵軸としてのラック軸7とを備えている。
ステアリングホイール3が操作されてステアリングシャフト4が回転されると、この回転が、ピニオンギヤ6およびラックギヤ部7aによって、ラック軸7の軸方向X1に沿う直線運動に変換される。この直線運動は、ナックルアーム11のキングピン12まわりの回動に変換され、これにより、左右の転舵輪9,10の転舵が達成される。
油圧制御弁14は、トーションバーに一方方向のねじれが加わった場合には、油路19,20のうちの一方を介してパワーシリンダ15のシリンダ室17,18のうちの一方に作動油を供給するとともに、他方の作動油をリザーバタンク21に戻す。また、トーションバーに他方方向のねじれが加えられた場合には、油路19,20のうちの他方を介して
シリンダ室17,18のうちの他方に作動油を供給するとともに、一方の作動油をリザーバタンク21に戻す。
操舵角センサ13は、ステアリングホイール3の操舵角を検出するようステアリングシャフト4に取り付けられるものであり、出力信号を制御部27に与える。制御部27は、回転位置センサ30から与えられた信号に基づいて、電動モータ24の出力軸の回転速度(実回転速度)を演算する。
ECU25は、操舵角センサ13、回転位置センサ30および車速センサ31から与えられる信号に基づいて、適切な操舵補助力がステアリング機構2に与えられるように電動モータ24の駆動を制御する。
目標回転速度設定部34は、操舵速度演算部29によって求められたステアリングホイール3の操舵速度および車速センサ31により検出された車速に基づいて、電動モータ24の目標回転速度を設定するものであってもよい。
駆動方式切替部38は、実回転速度演算部35により演算された実回転速度ωに基づいて駆動方式を切り替える通常制御部381と、通常制御部381による切替に拘らず、目標加速度演算部40により演算された目標回転加速度αに基づいて最適な通電方式に駆動方式を切り替える最適化制御部382とを含んでいる。
120度通電方式での電動モータ24の駆動時に、駆動信号生成部39から電界効果トランジスタUL,VL,WLに与えられるPWMパルス信号のデューティ(PWMデューティ)は、120度通電演算部36によって演算される。すなわち、120度通電演算部36は、120度通電方式による電動モータ24の駆動時に、目標回転速度設定部34が設定した目標回転速度に応じたPWMデューティを設定するデューティ設定部361を有している。デューティ設定部361は、目標回転速度設定部34が設定した目標回転速度と実回転速度演算部35が演算した実回転速度ωとの偏差に基づいて、PI(Proportional-Integral :比例積分)制御演算を行い、電動モータ24に印加すべき制御電圧値を求め、この制御電圧値に応じたPWMデューティを設定する。
駆動方式切替部38の通常制御部381は、実回転速度演算部35により演算された実回転速度ωに基づいて、駆動方式を切り替える。具体的には、通常制御部381は、下記の通常制御Aと通常制御Bを実行する。
(1)通常制御A
通常制御部381は、120度通電方式での電動モータ24の駆動時において、実回転速度演算部35により演算された実回転速度ωが第1閾値ω1以上の高速域(ω1≦ω)になった時点(すなわち、上記実回転速度ωが増加して第1閾値ω1に達した時点)で、駆動方式を180通電方式に切り替える。
(2)通常制御B
また、通常制御部381は、180度通電方式での電動モータ24の駆動時において、実回転速度演算部35により演算された実回転速度ωが、第1閾値ω1よりも低い第2閾値ω2以下の低速域(ω≦ω2)になった時点(すなわち、上記実回転速度ωが減小して第2閾値ω2に達した時点)で、駆動方式を120度通電方式に切り替える。
また、上記実回転速度ωが第2閾値ω2を超え第1閾値ω1未満である領域が、中速域である。上記中速域は、電動モータ24の負荷が大きい場合には、180度通電方式でないと駆動できないが、電動モータ24の負荷が小さい場合には、120度通電方式で駆動可能である中間領域である。
(1)最適化制御A
最適化制御部382は、120度通電方式での電動モータ24の駆動時において、目標加速度演算部40により演算された目標回転加速度αが、第1閾値α1(>0)以上の急加速域(α≧α1)になった時点(すなわち、目標回転加速度αが増加して第1閾値α1に達した時点であり、後述する図3Aのタイミングチャートのタイミングt1,タイミングt3に相当)で、駆動方式を180通電方式に強制的に切り替える。
(2)最適化制御B
また、最適化制御部382は、180度通電方式での電動モータ24の駆動時において、実回転速度演算部35により演算された回転速度ωが高速域にないこと(ω<ω1)を条件として、目標加速度演算部40により演算された目標回転加速度αが、第2閾値α2(<0)以下の急減速域(α≦α2)にあるとき(すなわち、上記目標回転加速度αが減小して第2閾値α2になっているときであり、後述する図3Aのタイミングチャートのタイミングt7に相当)で、駆動方式を120度通電方式に切り替える。
また、目標加速度演算部40により演算された目標回転加速度αが中加速域にあり、且つ実回転速度演算部35により演算された実回転速度ωが中速域にあるときは、それまで実行していた通電方式を継続する。これは、通常制御部381において、実回転速度ωの増加時と減少時とで駆動方式の切替に適用される閾値ω1,ω2を異ならせて、切替特性にヒステリシスを持たせていることによる。
つまり、中加速域(α2<α<α1)においては、通常制御部381による通電方式切替制御に従う。そして、目標回転速度が急増する急加速域においては、最適化制御部382による通電方式切替制御に従う。また、目標回転速度が急減する急減速域(目標回転加速度αが負の値で、その絶対値が比較的大きい場合)においては、高速域(ω≧ω1)では通常制御部381による通電方式切替制御に従い、中速域(ω2<ω<ω1)および低速域(ω≦ω2)では最適化制御部382による通電方式切替制御に従う。
次いで、180度通電方式での電動モータ24の駆動時に、演算された目標回転加速度αが第1閾値α1未満になるタイミングt2で、120度通電方式に切り替えられている。この切り替えには、最適化制御部382による最適化制御Aおよび通常制御Aが寄与している。すなわち、最適化制御Aの実行条件が不成立となり、且つ実回転速度ωが第1閾値ω1未満であるから、通常制御Aにより選択されている120度通電方式へと切り替えられる。
これに対して、比較形態である図3Bを参照して、通常制御部のみで駆動方式の切替を行う比較形態では、本実施の形態の図3Aでの上記タイミングt3よりも遅れたタイミングt4で、ようやく実回転速度ωが第1閾値ω1に達し、通常制御Aに従って、180度通電方式に切り替えられることになる。このため、比較形態では、素早い切り操舵のときの電動モータ24の負荷の増大に素早く対応できないので、切り操舵のときに運転者がトルク不足を感じて操舵フィーリングが悪くなる。
Claims (3)
- 操舵補助力を発生する油圧ポンプを駆動するための電動モータと、
駆動回路から電動モータへの駆動電流の供給をPWM制御して、電動モータを目標回転速度で回転させるモータ制御装置と、を備え、
上記モータ制御装置は、電動モータの駆動方式を120度通電方式および180度通電方式に択一的に切り替える駆動方式切替手段と、
電動モータの実回転速度を演算する実回転速度演算手段と、
電動モータの目標回転加速度を演算する目標加速度演算手段と、を含み、
上記駆動方式切替手段は、上記実回転速度演算手段により演算された実回転速度に基づいて駆動方式を切り替える通常制御部と、この通常制御部による切替に拘らず、上記目標加速度演算手段により演算された上記目標回転加速度および上記実回転速度演算手段により演算された実回転速度に基づいて、前記通常制御部による駆動方式の選択を強制的に修正して駆動方式を切り替える最適化制御部とを含む
ことを特徴とするパワーステアリング装置。 - 120度通電方式での電動モータの駆動時に、上記目標加速度演算手段により演算された上記目標回転加速度が第1閾値以上になったときには、上記最適化制御部が駆動方式を180度通電方式に切り替えることを特徴とする、請求項1記載のパワーステアリング装置。
- 180度通電方式での電動モータの駆動時に、上記目標加速度演算により演算された上記目標回転加速度が第2閾値以下になったときには、上記実回転速度演算手段により演算された実回転速度が120度通電方式で駆動可能な回転速度の範囲内にあることを条件として、上記最適化制御部が駆動方式を120度通電方式に切り替えることを特徴とする、請求項1または2記載のパワーステアリング装置。
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