JP5412125B2 - 液浸露光用ネガ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

液浸露光用ネガ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、液浸露光用ネガ型レジスト組成物、および該液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
半導体素子の微細化に伴い、露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とするNA=0.84の露光機が開発されている。露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている。
ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光はあらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
近年、含フッ素化合物について、その撥水性、透明性等の特性が着目され、様々な分野での研究開発が活発に行われている。たとえばレジスト材料分野では、現在、ポジ型の化学増幅型レジストのベース樹脂として用いるために、含フッ素高分子化合物に、メトキシメチル基、tert−ブチル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等の酸不安定性基を導入することが行われている。しかし、かかるフッ素系高分子化合物をポジ型レジスト組成物のベース樹脂として用いた場合、露光後にアウトガスが多く生成したり、ドライエッチングガスへの耐性(エッチング耐性)が充分でなかったり等の欠点がある。
最近、エッチング耐性に優れた含フッ素高分子化合物として、環状炭化水素基を含有する酸不安定性基を有する含フッ素高分子化合物が報告されている(たとえば、非特許文献2参照)。
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第5754巻,第119−128頁(2005年).
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第4690巻,第76−83頁(2002年).
液浸露光においては、通常のリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)に加えて、液浸露光技術に対応した特性を有するレジスト材料が求められる。例えば、液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出は、レジスト層の変質、液浸溶媒の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。この物質溶出の量は、レジスト膜表面の特性(例えば親水性・疎水性等)の影響を受けるため、例えばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減され得る。また、液浸媒体が水である場合において、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合には、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が求められる。水追随性が低いと、露光スピードが低下するため、生産性に影響を与えることが懸念される。この水追随性は、レジスト膜の疎水性を高める(疎水化する)ことによって向上すると考えられる。すなわち、レジスト膜表面の疎水性を高めることにより、物質溶出の低減や水追随性の向上等の、液浸露光技術に特有の問題を解決することができると考えられる。
しかしながら、液浸露光においてネガ型レジスト組成物が用いられる場合、ネガ型レジスト組成物のベース樹脂としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ現像液に溶解することが必要であるため、親水性が高いものが用いられている。そのため、レジスト膜に、液浸露光に適した充分な疎水性をベース樹脂によって付与することには限界がある。また、単にレジスト膜を疎水化しても、リソグラフィー特性に対する悪影響がみられ、たとえば解像性や感度の低下、スカム発生量の増大等が生じる傾向がある。
浸漬露光時には疎水性であって、現像時には親水性となる特性を有する材料であれば、これらの問題を解決することができるのではないかと推測される。しかし、このような特性を備える材料は、ほとんど知られていないのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成でき、かつ、リソグラフィー特性も良好な液浸露光用ネガ型レジスト組成物、および該液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、下記一般式(f1−1)又は(f1−2)で表される構成単位を有する含フッ素高分子化合物(F)と、前記含フッ素高分子化合物(F)を除くアルカリ可溶性樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、架橋剤成分(C)とを含有することを特徴とする液浸露光用ネガ型レジスト組成物である。
Figure 0005412125
[式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であり;Xは酸解離性部位を有さない二価の有機基であり、Aarylは置換基を有していてもよい芳香族環式基であり、X01は単結合又は二価の連結基であり、Rはそれぞれ独立してフッ素化炭化水素基である。]
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本明細書および特許請求の範囲において、「構成単位」とは、樹脂成分(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」とは、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は炭素原子数1〜5のアルキル基を意味する。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状、及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「フッ素化アルキル基」とは、アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。
「パーフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。
「脂肪族環式基」とは、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを意味する。
本発明によれば、液浸露光用として好適なネガ型レジスト組成物、および、当該ネガ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供できる。
前進角(θ)、後退角(θ)および転落角(θ)を説明する図である。
≪液浸露光用ネガ型レジスト組成物≫
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、塩基解離性基を有する構成単位を有する含フッ素高分子化合物(F)(以下、(F)成分という。)と、前記含フッ素高分子化合物(F)を除くアルカリ可溶性樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)と、架橋剤成分(C)(以下、(C)成分という。)とを含有することを特徴とする
かかるネガ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ現像液に対して可溶であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が作用して(A)成分と(C)成分との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して不溶となる。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を支持体上に塗布してなるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部がアルカリ現像液に対して不溶となる一方、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶のままであり、これをアルカリ現像することによりネガ型のレジストパターンが形成できる。
<(F)成分>
・構成単位(f1)
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物において、(F)成分は、塩基解離性基を有する構成単位(以下、構成単位(f1)という。)を有する含フッ素高分子化合物(F)である。
本明細書および特許請求の範囲において、「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離しうる有機基である。すなわち、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(たとえば、23℃において、2.38質量%のTMAH水溶液)の作用により解離する。
塩基解離性基がアルカリ現像液の作用により解離すると、親水性基が表れるため、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。つまり、(F)成分は、疎水性の高い「フッ素原子を有する高分子化合物」であるが、同時に、「塩基解離性基」をも有しているため、アルカリ現像液の作用により、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。
したがって、当該(F)成分と、後述の(A)〜(C)成分とを含有することにより、液浸露光時の高い疎水性と、アルカリ現像液に対する優れた溶解性という特性を矛盾させることなく両立し得る優れた液浸露光用ネガ型レジスト組成物を得ることができ、該液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いることにより、浸漬露光時には疎水性であって、現像時にはアルカリ現像液に良好に溶解するレジスト膜を形成することができる。
塩基解離性基としては、上記定義に該当する有機基であれば特に限定されるものではなく、フッ素原子を含むものであってもよく、フッ素原子を含まないものであってもよい。構成単位(f1)中の塩基解離性基以外の部位にフッ素原子が含まれていない場合には、フッ素原子を含む塩基解離性基であることを要する。一方、構成単位(f1)中の塩基解離性基以外の部位にフッ素原子が含まれている場合には、フッ素原子を含む塩基解離性基であってもよく、フッ素原子を含まない塩基解離性基であってもよい。
なお、フッ素原子を含む塩基解離性基は、塩基解離性基における水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基をいう。
構成単位(f1)としては、フッ素原子を含む塩基解離性基であることが好ましい。塩基解離性基がフッ素原子を含んでいる有機基である場合には、アルカリ現像液の作用により該塩基解離性基が解離することにより、フッ素原子も構成単位(f1)中から解離するため、アルカリ現像液に対する親和性がより高くなるためである。
特に、本発明においては、構成単位(f1)として、塩基解離性基にのみフッ素原子が含まれている構成単位であることが好ましい。このような構成単位(f1)を有する(F)成分を含有させることにより、アルカリ現像液に対する溶解性を損なうおそれなく、浸漬露光時には疎水性の高いレジスト膜を形成することができるためである。
フッ素原子を含む塩基解離性基の具体例としては、たとえば、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表される基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、本願発明の効果に優れる、かつ合成が容易である点から、下記一般式(II−1)または(II−4)で表される基が特に好ましい。
Figure 0005412125
[式中、Rはそれぞれ独立してフッ素原子を有する有機基である。]
式(II−1)〜(II−4)中、Rはフッ素原子を有する有機基である。
は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
また、Rにおいて、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましく、1〜5が最も好ましい。
また、Rのフッ素原子を有する有機基は、当該有機基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
としては、たとえば、置換基を有していてもよく有していなくてもよいフッ素化炭化水素基が好ましく挙げられる。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義される。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
すなわち、Rとしては、フッ素化飽和炭化水素基またはフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基であることがより好ましく、フッ素化アルキル基であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、また、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
において、フッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。特に、下記一般式(III−1)又は(III−2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005412125
[式(III−1)中、R41’は無置換の炭素数1〜9のアルキレン基であり、R42’は炭素数1〜9のフッ素化アルキル基である。但し、R41’とR42’との炭素数の合計は10以下である。また、式(III−2)中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、R71〜R73の少なくとも1つはフッ素原子を有するアルキル基である。]
式(III−1)中、R41’としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、特にメチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
42’としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。なかでも、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基が好ましい。
式(III−2)中、R71〜R73のアルキル基としては、エチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R71〜R73のアルキル基のうち、いずれか1つがフッ素化アルキル基であればよく、全てがフッ素化アルキル基で合っても良い。
上記のなかでも、構成単位(f1)の好適なものとしては、たとえば、下記一般式(f1−1)又は(f1−2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412125
[式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であり;Xは酸解離性部位を有さない二価の有機基であり、Aarylは置換基を有していてもよい芳香族環式基であり、X01は単結合又は二価の連結基であり、Rはそれぞれ独立してフッ素原子を有する有機基である。]
一般式(f1−1)又は(f1−2)中、Rは前記と同じである。
本発明において、Rとしては、フッ素化炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基がより好ましく、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFがさらに好ましい。
Rは、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基である。低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「低級アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、Rとしては、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
一般式(f1−1)中、Xは、酸解離性部位を有さない二価の有機基である。なお、「酸解離性部位」とは、当該有機基内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。
Xとしては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられる。
なお、本発明において、「ヘテロ原子を含む基」とは、ヘテロ原子、すなわち炭素原子および水素原子以外の原子を含む基を意味する。たとえば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等を含む基が挙げられる。
具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04(R04はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、または「これらの基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
なかでも、本発明におけるXとしては、ヘテロ原子を含む基として、前記「これらの基」と2価の炭化水素基との組み合わせがより好ましく、具体的には、前記「これらの基」と上記脂肪族炭化水素基との組み合わせ、上記脂肪族炭化水素基と前記「これらの基」と上記脂肪族炭化水素基との組み合わせが特に好ましい。
一般式(f1−2)中、Aarylは置換基を有していてもよい芳香族環式基である。Aarylとして具体的には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
arylにおける芳香族環式基の環骨格としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
arylにおいて、芳香族環式基が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。Aarylの芳香族環式基が有してもよい置換基としては、フッ素原子であることが好ましい。
arylの芳香族環式基としては、置換基を有さないものであってもよく、置換基を有するものでもよく、置換基を有さないものであることが好ましい。
arylにおいて、芳香族環式基が置換基を有するものである場合、置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
01は、単結合又は二価の連結基である。二価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−C(=O)−、又はそれらの組み合わせなどが挙げられ、−O−と炭素数1〜10のアルキレン基との組み合わせが最も好ましい。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜10の環状のアルキレン基が好ましい。
前記一般式(f1−1)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−11)〜(f1−14)で表される構成単位が挙げられる。
また、前記一般式(f1−2)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−21)〜(f1−24)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412125
Figure 0005412125
前記一般式(f1−11)〜(f1−14)又は(f1−21)〜(f1−24)中、RおよびRはそれぞれ前記と同じであり;a1、a2、a3、a5、a7、a9、およびa11〜a13はそれぞれ独立して1〜5の整数を表し;a4、a6、a8、およびa10はそれぞれ独立して0又は1〜5の整数を表し;b1〜b5はそれぞれ独立して0又は1の整数であり;Rは置換基であり、eは0〜2の整数を表す。Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
前記一般式(f1−11)中、a1は1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。
前記一般式(f1−12)中、a2、a3は、それぞれ独立して、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。b1は、0又は1である。
前記一般式(f1−13)中、a4は、0又は1〜3が好ましく、0又は1〜2がより好ましく、0又は1が最も好ましい。a5は、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。Rの置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。eは、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。b2は0であることが好ましい。
前記一般式(f1−14)中、a6は、0又は1〜3が好ましく、0又は1〜2がより好ましく、0又は1が最も好ましい。a7は、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。b3は0であることが好ましい。Rおよびeは、それぞれ前記と同様である。
前記一般式(f1−21)中、a8は、0又は1〜3が好ましく、0又は1〜2がより好ましく、0又は1が最も好ましい。a9は、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。b4は0であることが好ましい。Rおよびeは、それぞれ前記と同様である。
前記一般式(f1−22)中、a10は、0又は1〜3が好ましく、0又は1〜2がより好ましく、0又は1が最も好ましい。a11は、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。b5は0であることが好ましい。Rおよびeは、それぞれ前記と同様である。
前記一般式(f1−23)中、a12は1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。Rおよびeは、それぞれ前記と同様である。
前記一般式(f1−24)中、a13は1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。Rおよびeは、それぞれ前記と同様である。
以下に、上記一般式(f1−11)〜(f1−14)、一般式(f1−21)〜(f1−24)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0005412125
Figure 0005412125
Figure 0005412125
Figure 0005412125
構成単位(f1)としては、前記一般式(f1−11)〜(f1−14)および(f1−21)〜(f1−24)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、前記一般式(f1−11)〜(f1−13)、(f1−21)および(f1−22)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(f1−11)および(f1−22)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
(F)成分中、構成単位(f1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分中、構成単位(f1)の割合は、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜100モル%が好ましく、20〜97モル%がより好ましく、30〜95モル%がさらに好ましく、40〜90モル%が特に好ましく、100モル%であってもよい。構成単位(f1)の割合が前記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、浸漬露光時には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となる特性がより向上する。
・構成単位(f2)
(F)成分は、構成単位(f1)に加えて、アルカ可溶性基を有する構成単位(f2)を有することが好ましい。
本明細書および特許請求の範囲において、「アルカリ可溶性基」とは、塩基性溶液に対して溶解し得る有機基である。すなわち、「アルカリ可溶性基」は、アルカリ現像液(たとえば、23℃において、2.38質量%のTMAH水溶液)に対して溶解する基である。具体的には、フェノール性水酸基と同程度の酸解離定数(pKa)を有する基であって、アルコール性水酸基やカルボキシ基などのアルカリ可溶性を与える基を有する基、すなわち、pKaが小さい基(特に限定されるものではなく、好適には例えばpKaが6〜12の範囲内のもの)をいう。
アルカリ可溶性基としては、上記定義に該当するものであれば特に限定されず、酸性基であってもよく、塩基の作用により塩基解離性基が解離することにより酸性基が生成し、アルカリ現像液等の塩基性溶液に対する溶解性が増大する基であってもよい。
なお、構成単位(f2)におけるアルカリ可溶性基としては、フッ素化されてなる基であることが、疎水性向上の効果も得られるため好ましい。
構成単位(f2)におけるアルカリ可溶性基としては、具体的には、カルボキシ基、結合位置などが特に限定されないアルコール性水酸基、アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられる。
アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基において、電子吸引性基としては、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基において、置換基としてのハロゲン原子は前記ハロゲン原子と同様である。アルキル基は、炭素数が例えば1〜3程度の低級アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基またはエチル基、最も好ましくはメチル基である。具体的には、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が挙げられるが、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
電子吸引性基の数は、1または2であり、好ましくは2である。
構成単位(f2)としては、カルボキシ基を有する構成単位であることが好ましい。なかでも、好適なものとして、下記一般式(f2−1)、(f2−2)又は(f2−3)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412125
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であり;Q’は単結合又は二価の連結基である。AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、rは0又は1の整数であり;Aarylは置換基を有していてもよい芳香族環式基であり、X02は単結合、−(R72’)a0−O−[C(=O)]b0−R82’−、又は−C(=O)−O−R92’−である。]
前記一般式(f2−1)中、Rは前記と同じであり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記式(f2−1)中、Q’は単結合又は二価の連結基である。Q’の二価の連結基としては、式(f1−2)のX01と同様のもの又は2価の芳香族炭化水素基を挙げることができる。2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンから水素原子2個を除いた基が挙げられる。
構成単位(f2)において、Q’としては、単結合又は−C(=O)−O−R−[Rは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。当該アルキレン基はフッ素化されていてもよい。]であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
前記一般式(f2−2)中、Rは前記と同じであり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記一般式(f2−2)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基、2価の芳香族炭化水素基が好ましい。Aにおける2価の芳香族炭化水素基としては、たとえば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等でかつその芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
構成単位(f2)において、Aとしては、エチレン基、フェニル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基、ナフチル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基が特に好ましい。
前記一般式(f2−2)中、Bは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
前記一般式(f2−2)中、Qは、酸素原子を含む2価の連結基であり、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−C(=O)−が好ましく、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−が特に好ましい。
前記一般式(f2−2)中、rは、0又は1の整数である。
前記一般式(f2−3)中、Rは前記と同じであり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記一般式(f2−3)中、Aarylは、前記式(f1−2)におけるAarylと同じである。
前記一般式(f2−3)中、X02は、単結合、−(R72’)a0−O−[C(=O)]b0−R82’−、又は−C(=O)−O−R92’−である。
72’、R82’、およびR92’は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基であり、炭素数1〜5の直鎖または分岐状のアルキレン基、炭素数4〜10の環状のアルキレン基が好ましい。
a0は、0又は1〜5の整数である。b0は、0又は1の整数である。
前記一般式(f2−1)〜(f2−3)で表される構成単位の具体例を以下に示す。
下記一般式(f2−1−1)、(f2−2−1)〜(f2−2−6)および(f2−3−1)〜(f2−3−3)中、Rは前記と同様であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
Figure 0005412125
Figure 0005412125
Figure 0005412125
構成単位(f2)としては、その他、たとえば、下記一般式(f2−4−1)で表される基、下記一般式(f2−4−2)で表される基、又は下記一般式(f2−4−3)で表される基が挙げられる。
Figure 0005412125
[式(f2−4−1)中、Qは2価の連結基又は単結合であり;R50’はフッ素化アルキル基である。式(f2−4−2)中、Q及びR50’はいずれも前記と同じである。式(f2−4−3)中、R51’,R52’はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、又はフッ素化低級アルキル基であり;m,nはそれぞれ独立して0〜5の整数(ただし、m+n≧1)であり;q’は0〜5の整数である。]
式(f2−4−1)中、Qは、2価の連結基又は単結合である。
2価の連結基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンテン基、イソペンテン基、ネオペンテン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。また、Qにおける2価の連結基はヘテロ原子を含んでいてもよく、エーテル基、エステル基、上述のアルキレン基中の水素原子および/又は炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子で置換された基等も挙げられる。これらの中でも、合成のしやすさ等の点で、直鎖状のアルキレン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
50’は、フッ素化アルキル基である。該フッ素化アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。
かかる直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、前記Rの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられ、メチル基が好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記Rの環状のアルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキル基のフッ素化率は、10〜100%が好ましく、30〜100%がより好ましく、50〜100%が特に好ましく、100%、すなわち水素原子がすべてフッ素原子で置換されたものであることが最も好ましい。フッ素化率が10%以上であると、レジスト膜表面の疎水性向上効果に優れる。
上記のなかでも、R50’のフッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。パーフルオロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基が最も好ましい。
式(f2−4−2)中、Q及びR50’は、いずれも、式(f2−4−1)におけるQ及びR50’と同じである。
式(f2−4−3)中、R51’,R52’は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、又はフッ素化低級アルキル基である。
51’,R52’において、炭素数1〜5の低級アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
51’,R52’において、フッ素化低級アルキル基としては、前記R50’の低級アルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
なかでも、R51’,R52’としては、水素原子が好ましく、共に水素原子であることが最も好ましい。
,nは、それぞれ独立して0〜5の整数(ただし、m+n≧1)であり、1〜3の整数であることが好ましく、本発明の効果がより良好なことから、m及びnが共に1であることが最も好ましい。
q’は0〜5の整数であり、より好ましくは0〜3の整数であり、さらに好ましくは0または1であり、最も好ましくは1である。
上記一般式(f2−4−1)〜(f2−4−3)で表される基を有する構成単位(f2)として、主鎖は特に限定されることはなく、主鎖が環状型の構成単位(以下、主鎖環状型構成単位という。)や、アクリル酸エステルから誘導される構成単位が好適なものとして挙げられる。これらの中では後述する構成単位(a1’)が好ましい。
本明細書において、「主鎖環状型構成単位」とは、(F)成分を構成する構成単位が、単環または多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位を有することを意味する。主鎖環状型構成単位を含むことにより、エッチング耐性も向上する。エッチング耐性の向上は、主鎖が環状型であることにより、炭素密度が高くなっているためと推測される。
主鎖環状型構成単位としては、ポリシクロオレフィン(多環式のオレフィン)から誘導される構成単位、後述する構成単位(f3)において挙げたジカルボン酸の無水物含有構成単位等が挙げられる。
これらのなかでも、レジストとした際のエッチング耐性が特に優れることから、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位を主鎖に有することが好ましい。
ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、下記一般式(f2−4’)で表される基本骨格を有する構成単位が好ましい。
Figure 0005412125
[式(f2−4’)中、a’は0又は1である。]
式(f2−4’)中、a’は、0又は1であり、工業上入手が容易であることを考慮すると、0であることが好ましい。
なお、本明細書において、「一般式(f2−4’)で表される基本骨格を有する構成単位」は、一般式(f2−4’)で表される構成単位(すなわちビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)から誘導される構成単位、又はテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセンから誘導される構成単位)であってもよく、また、その環骨格上に置換基を有するものであってもよい。すなわち、「一般式(f2−4’)で表される基本骨格を有する構成単位」には、その環骨格(ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタンまたはテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデカン)を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が、水素原子以外の原子または置換基で置換された構成単位も含まれるものとする。
構成単位(f2)に含まれる好適なものとして、より具体的には、下記一般式(f2−4)で表される構成単位(f2−4)が挙げられる。
Figure 0005412125
[式(f2−4)中、R61〜R64はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、フッ素化アルキル基、前記一般式(f2−4−1)で表される基、前記一般式(f2−4−2)で表される基、又は前記一般式(f2−4−3)で表される基である。ただし、R61〜R64のうち少なくとも一つは、前記一般式(f2−4−1)で表される基、前記一般式(f2−4−2)で表される基、又は前記一般式(f2−4−3)で表される基である。a’は0又は1である。]
一般式(f2−4)で表される構成単位は、前記一般式(f2−4’)で表される基本骨格を有する構成単位において、その環上の特定の位置に、置換基として少なくとも、前記一般式(f2−4−1)で表される基、前記一般式(f2−4−2)で表される基、又は前記一般式(f2−4−3)で表される基を有するものである。
本発明においては、構成単位(f2)として、一般式(f2−4)で表される構成単位を含むことにより、レジスト膜表面の疎水性が向上する。また、リソグラフィー特性も向上する。
式(f2−4)中、a’は、上記式(f2−4’)中のa’と同じである。
式(f2−4)中、R61〜R64は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、フッ素化アルキル基、前記一般式(f2−4−1)で表される基、前記一般式(f2−4−2)で表される基、又は前記一般式(f2−4−3)で表される基である。
61〜R64において、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、前記R50’における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
61〜R64において、フッ素化アルキル基としては、前記R50’のフッ素化アルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
ただし、R61〜R64のうち少なくとも一つは、前記一般式(f2−4−1)で表される基、前記一般式(f2−4−2)で表される基、又は前記一般式(f2−4−3)で表される基であり、前記一般式(f2−4−1)で表される基又は前記一般式(f2−4−3)で表される基であることがより好ましい。
なかでも、R61〜R64のうち、少なくとも1つが前記一般式(f2−4−1)で表される基であって、残りの0〜3個が水素原子および直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基から選択される1種以上のもの;少なくとも1つが前記一般式(f2−4−3)で表される基であって、残りの0〜3個が水素原子および直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基から選択される1種以上のものがさらに好ましい。
そのなかでも、R61〜R64のうちの1つが前記一般式(f2−4−1)で表される基であって、残りの3個が水素原子であるもの;R61〜R64のうちの1つが前記一般式(f2−4−3)で表される基であって、残りの3個が水素原子であるものが特に好ましい。
一般式(f2−4)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(f2−4−1’)で表される構成単位、下記一般式(f2−4−3’)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005412125
式(f2−4−1’)および(f2−4−3’)中、a’は、いずれも上記式(f2−0’)におけるa’と同じである。
式(f2−4−1’)中、mは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1がもっとも好ましい。
nは1〜5の整数が好ましく、1がもっとも好ましい。
式(f2−4−3’)中、q’は、上記式(f2−0−3)におけるq’と同じであり、最も好ましくは1である。
,nは、上記式(f2−0−3)におけるm,nといずれも同じであり、最も好ましくはm及びnが共に1である。
一般式(f2−4)で表される構成単位を誘導するモノマーは、たとえば、米国特許第6420503号公報に開示されている手法により合成できる。
構成単位(f2)としては、前記一般式(f2−1)〜(f2−3)、(f2−4−1’)、および(f2−4−3’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、前記一般式(f2−1)〜(f2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、前記一般式(f2−1)で表される構成単位であることが特に好ましい。
構成単位(f2)として、より具体的には、前記一般式(f2−1−1)、(f2−2−1)〜(f2−2−6)および(f2−3−1)〜(f2−3−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(f2−1−1)で表される構成単位が最も好ましい。
(F)成分中、構成単位(f2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分中、構成単位(f2)の割合は、構成単位(f1)の割合よりも小さいことが好ましい。たとえば、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜40モル%が好ましく、5〜35モル%がより好ましく、10〜33モル%がさらに好ましい。
・他の構成単位
(F)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(f1)、構成単位(f2)以外の構成単位(f3)を有していてもよい。
かかる構成単位としては、特に限定されないが、構成単位(f1)を誘導する化合物またはその前駆体等と共重合可能な化合物から誘導される構成単位が好ましい。かかる構成単位としては、これまで化学増幅型レジスト用のベース樹脂の構成単位として提案されているものが挙げられる。
なお、構成単位(f1)を誘導する化合物として、たとえば、下記一般式(f0−1)又(f0−2)はで表される化合物等が挙げられる。また、構成単位(f1)を誘導する化合物(以下、含フッ素化合物(F0)ということがある。)の前駆体としては、たとえば、下記一般式(f0−1)又(f0−2)中の−O−Rが−O−Hで置換された化合物(カルボン酸化合物)が挙げられる。
Figure 0005412125
[式中、R、X、Aaryl、X01、およびRはそれぞれ前記と同じである。]
具体的には、たとえば、下記一般式(f3−0)で表される構成単位や、後述する(A)成分が有していてもよいものとして挙げた構成単位(a1)、(a2)、(a1’)〜(a3’)等が挙げられる。これらのなかでも、(F)成分が有する構成単位(f1)、(f2)以外の構成単位としては、下記一般式(f3−0)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0005412125
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であり;Q”は単結合又は二価の連結基であり;複数のR301はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり;残りの2つのR301は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数4〜20の1価の脂肪族環式基であるか、あるいは、前記残りの2つのR301は相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂肪族環式基を形成している。]
前記式(f3−0)中、Rは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基である。Rの低級アルキル基およびハロゲン化低級アルキル基としては、上記Rと同様のものを挙げることができる。
前記式(f3−0)中、Q”は単結合又は二価の連結基である。Q”の二価の連結基としては、式(f1−2)のX01と同様のもの又は2価の芳香族炭化水素基を挙げることができる。2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンから水素原子2個を除いた基が挙げられる。
構成単位(f2)において、Q”としては、単結合又は−C(=O)−O−R−[Rは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。当該アルキレン基はフッ素化されていてもよい。]であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
前記式(f3−0)中、複数のR301はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。また、少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、残りの2つのR301は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数4〜20の1価の脂肪族環式基である。あるいは、前記残りの2つのR301もしくは3つのR301は相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の脂肪族環式基を形成していてもよい。
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
また、脂肪族環式基としては、例えば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
301の置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
構成単位(f3)の好適なものとしては、たとえば、下記一般式(f3−1)〜(f3−19)で表される構成単位等が挙げられる。ただし、下記一般式中のRは、いずれも前記Rと同じであり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Figure 0005412125
Figure 0005412125
構成単位(f3)としては、前記一般式(f3−0)で表される構成単位、後述する構成単位(a1’)、構成単位(a2’)、及び構成単位(a3’)からなる群より選択される1以上であることが好ましい。なかでも、構成単位(f3)としては、前記一般式(f3−0)で表される構成単位であることが好ましく、前記一般式(f3−1)〜(f3−8)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、前記一般式(f3−1)〜(f3−4)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、一般式(f3−1)〜(f3−3)からなる群から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
(F)成分中、構成単位(f3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分中、構成単位(f3)の割合は、構成単位(f1)の割合よりも小さいことが好ましい。たとえば、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1モル%以上50モル%未満が好ましく、5〜45モル%がより好ましく、10〜45モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が特に好ましい。
本発明において、(F)成分としては、構成単位(f1)を有する重合体であることが好ましい。
当該重合体としては、構成単位(f1)からなる重合体;構成単位(f1)と構成単位(f2)とからなる共重合体;構成単位(f1)と構成単位(f3)とからなる共重合体;構成単位(f1)、構成単位(f2)、および構成単位(f3)からなる共重合体等が挙げられる。ここで、構成単位(f1)と構成単位(f3)とからなる共重合体としては、構成単位(f1)と構成単位(f3−0)とからなる共重合体;構成単位(f1)と構成単位(a1’)とからなる共重合体;構成単位(f1)と構成単位(a2’)とからなる共重合体;構成単位(f1)と構成単位(a3’)とからなる共重合体等が挙げられる。また、構成単位(f1)、構成単位(f2)、および構成単位(f3)からなる共重合体としては、構成単位(f1)、構成単位(f2)、および構成単位(f3−0)からなる共重合体;構成単位(f1)、構成単位(f2)、および構成単位(a2’)からなる共重合体;成単位(f1)、構成単位(f2)、および構成単位(a3’)からなる共重合体等が挙げられる。
本発明において、(F)成分としては、構成単位(f1)、(f2)および(f3)からなる共重合体、構成単位(f1)と(f2)とからなる共重合体、または構成単位(f1)と(f3)とからなる共重合体であることが好ましく、構成単位(f1)と(f2)とからなる共重合体、または構成単位(f1)、(f2)および(f3)からなる共重合体であることがより好ましい。
特に、(f1)と(f2)からなる共重合体が、アルカリ現像液に対し良好な溶解性を保持したまま、レジスト表面の疎水性の効果を高められるため、好ましい。
また、(f1)に加えて、あるいは(f1)および(f2)に加えて、さらに構成単位(f3−0)、(a2’)、(a3’)を有する場合は、レジスト表面の疎水性効果が高まり、未露光部の膜減りの抑制効果が高まるので好ましい。
(F)成分としては、たとえば下記化学式(F−1)〜(F−15)で表される構成単位の組合せを含むものが好ましく挙げられる。
Figure 0005412125
Figure 0005412125
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、4000〜25000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物における(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が特に好ましく、1〜15質量部が最も好ましい。上記範囲の下限値以上とすることで、当該液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用として好適な疎水性を有するものとなる。上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
(F)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート(V―601))のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
ここで、構成単位(f1)を誘導するモノマーとして、たとえば、前記一般式(f0−1)又(f0−2)で表される含フッ素化合物(F0)が挙げられる。
含フッ素化合物(F0)は、たとえば、下記一般式(f0−1−0)や(f0−2−0)で表されるモノマー(以下、まとめてモノマー(V−1)という。)のカルボキシ基に、フッ素原子を有する塩基解離性基である−R[Rは前記と同じである。]を導入する(カルボキシ基の−O−Hの水素原子をRで置換する)ことにより製造できる。−Rで表される基の導入は、従来公知の方法を利用して行うことができる。たとえば、モノマー(V−1)と、下記一般式(V−2)で表される化合物(V−2)とを反応させることにより、含フッ素化合物(F0)を製造することができる。
Figure 0005412125
[式中、R、X、Aaryl、X01、およびRはそれぞれ前記と同じである。]
モノマー(V−1)と化合物(V−2)とを反応させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、反応溶媒中、塩基の存在下で、モノマー(V−1)および化合物(V−2)を接触させる方法が挙げられる。
モノマー(V−1)、化合物(V−2)としては、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
モノマー(V−1)としては、たとえば、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート、こはく酸モノ((メタ)アクリロイルオキシアルキル)等のアクリル酸エステルから誘導される低分子化合物;アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する高分子化合物等を用いることができる。
化合物(V−2)としては、たとえばフッ素化アルキルアルコール等を用いることができる。
反応溶媒としては、原料である化合物(I)および化合物(II)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
塩基としては、たとえばトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基;水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基等が挙げられる。
縮合剤としては、例えばエチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール等のカルボジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾトリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)等が挙げられる。
また、必要に応じて酸を用いてもよい。酸としては、脱水縮合等で通常用いられるものを使用することができ、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物(II)の添加量は、モノマー(V−1)に対し、およそ1〜3当量が好ましく、1〜2当量がより好ましい。
反応温度は、−20〜40℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
反応時間は、モノマー(V−1)および化合物(II)の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、30〜480分間が好ましく、60〜360分間がより好ましい
その他、(F)成分は、カルボキシ基を有する共重合体(ポリヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等)の親水基に、上述のように、前記一般式(II−1)〜(II−3)で表される基のような−R[Rは前記と同じである。]を導入することによっても製造できる。
<(A)成分>
本発明のネガ型レジスト組成物において、(A)成分としては、たとえば後述する一般式(a1−1−1)で表される、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
(A)成分の好適なものとして具体的には、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1)と、好ましくはヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2)とを含む樹脂(A1)を含むものが好ましく挙げられる。
また、(A)成分の好適なものとしては、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a1’)と、好ましくは、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2’)および/または環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a3’)とを含む樹脂(A2)を含むものも好ましく挙げられる。
ただし、本発明における(A)成分には、前記(F)成分が包含されないものとする。
(樹脂(A1))
本発明において、樹脂(A1)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1)(以下、構成単位(a1)と略記する。)を含む。
また、当該樹脂(A1)は、構成単位(a1)に加え、好ましくは、さらにヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2)(以下、構成単位(a2)と略記する。)を含む。
・構成単位(a1)
樹脂(A1)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1)を含む。
かかる構成単位(a1)において、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に、フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合した基を意味する。
また、「脂肪族環式基を主鎖に有する」とは、該脂肪族環式基の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が、樹脂(A1)の主鎖を構成することを意味する。
本発明においては、(A)成分が構成単位(a1)を含む樹脂(A1)を含むことにより、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が高まって、解像性、レジストパターン形状、ラインエッジラフネス(LER)等のリソグラフィー特性が向上する。また、脂肪族環式基(たとえば、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造など)を主鎖に有することにより、炭素密度が高まってエッチング耐性も向上する。
ここで、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基において、当該ヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換されているものである。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基においては、フッ素化によって、ヒドロキシ基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。
該アルキル基の炭素数は、特に限定されるものではなく、1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、4〜12であることが最も好ましい。
ヒドロキシ基の数は、特に限定されるものではなく、1つであることが好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基としては、なかでもヒドロキシ基が結合した炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す。)に、フッ素化アルキル基および/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。
ここで、当該α位に結合するフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、該フッ素化アルキル基のアルキル基としては、炭素数が1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1であることがより好ましい。
「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」における「脂肪族」とは、芳香族性に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。脂肪族環式基は、単環であっても多環であってもよい。
「単環の脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基であることを意味し、「多環の脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない多環式基であることを意味する。
構成単位(a1)において、脂肪族環式基は、エッチング耐性等に優れることから、多環であることが好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)、および該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等が含まれる。これらの脂肪族環式基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
ここで、「置換基を有する」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の原子または基)で置換されていることを意味する。本発明において、脂肪族環式基としては、脂環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
単環式基としては、シクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等から2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な脂肪族環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、工業上入手しやすいことから、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
これら例示した脂環式基の中でも、後述する構成単位(a1−1)のように、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンから3個の水素原子を除いた基が好ましく、特にノルボルナンから3個の水素原子を除いた基が好ましい。
かかる構成単位(a1)に含まれるものとしては、なかでも下記一般式(a1−1)で表される構成単位(a1−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a1−1)を有することにより、特にアルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、解像性等のリソグラフィー特性も向上する。
Figure 0005412125
[式(a1−1)中、Zはフッ素化されたヒドロキシアルキル基であり、rは0又は1である。]
式(a1−1)中、rは0又は1であり、工業上入手が容易であることから、0であることが好ましい。
また、式(a1−1)中、Zで表される「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、上述と同様である。なかでも、Zとしては、レジストパターン形状に優れ、ラインエッジラフネス(LER)等が低減されることから、下記一般式(a1−1−1)で表される基であることが特に好ましい。
なお、「ラインエッジラフネス(LER)」とは、ライン側壁の不均一な凹凸のことをいう。
Figure 0005412125
[式(a1−1−1)中、R11”,R12”はそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基であり、m”,n”はそれぞれ独立して1〜5の整数であり、qは1〜5の整数である。]
式(a1−1−1)中、R11”,R12”は、それぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、炭素数5以下の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
なかでも、R11”,R12”が共に水素原子であることが好ましい。
qは1〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
m”およびn”は、それぞれ独立して1〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましい。特に、合成上の面において優れていることから、m”およびn”がいずれも1であるものが好ましい。
構成単位(a1)は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1)中の構成単位(a1)の含有割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、50〜90モル%が好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1)を含有することによる効果が向上し、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・構成単位(a2)
樹脂(A1)は、構成単位(a1)に加えて、さらにヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2)を含むことが好ましい。
本発明においては、(A)成分が、構成単位(a2)を含む樹脂(A1)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、(C)成分との架橋性が高まり、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(コントラスト)が大きくなって、ネガ型レジストとしてより充分に機能することができる。
かかる構成単位(a2)としては、たとえば、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a210)(以下、構成単位(a210)と略記する。)、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a220)(以下、構成単位(a220)と略記する。)等が好ましく用いられる。
・構成単位(a210)
本発明において、構成単位(a210)は、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位をいう。
構成単位(a210)としては、前記構成単位(a1)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」において、フッ素化されていないヒドロキシアルキル基、すなわちアルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子がフッ素原子によって置換されていない以外は、前記構成単位(a1)と同様の構成単位が好適なものとして挙げられる。
かかる構成単位(a210)に含まれるものとしては、なかでも下記一般式(a2−1)で表される構成単位(a2−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a2−1)を有することにより、解像性、レジストパターン形状、ラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、良好なコントラストが得られやすく、エッチング耐性も向上する。
Figure 0005412125
[式(a2−1)中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基であり、Yは水素原子又はヒドロキシアルキル基であり、rは0又は1であり、pは1〜3の整数である。]
前記一般式(a2−1)で表される構成単位(a2−1)は、ヒドロキシアルキル基を有するノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造を主鎖に有する構成単位である。
式(a2−1)中、R’,R’は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。低級アルキル基としては、前記式(a1−1−1)中のR11”,R12”で表される低級アルキル基と同様のものが挙げられる。なかでも、R’,R’が共に水素原子であることが好ましい。
Yは、水素原子又はヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基としては、炭素数が10以下の直鎖状または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、炭素数8以下の直鎖状または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3の直鎖状の低級ヒドロキシアルキル基であることがさらに好ましい。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数と結合位置は、特に限定されるものではなく、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
Yとしては、なかでも特に水素原子が好ましい。
rは0または1であり、0が好ましい。
pは1〜3の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
かかる構成単位(a2−1)の具体例としては、下記化学式(a2−1−1)〜(a2−1−7)が挙げられる。
Figure 0005412125
これらの中でも、上記化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−1−3)が好ましい。
構成単位(a210)は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1)中の構成単位(a210)の含有割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、20〜45モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより、アルカリ溶解性が向上し、良好なコントラストが得られやすくなる等の構成単位(a210)を含有することによる効果が向上する。他方、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・構成単位(a220)
構成単位(a220)は、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a220)が水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位(以下、構成単位(a221)と略記する。)の場合、レジストパターンの膨潤抑制効果が高くなる。また、解像性も向上する。さらに、良好なコントラストやエッチング耐性も得られやすくなる。
構成単位(a221)としては、たとえば、後述の樹脂(A2)を構成する「水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2’)」についての説明において例示する構成単位のうち、脂肪族環式基が飽和炭化水素基であるものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのα位に結合している置換基が、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)であるものが最も好ましい。
また、構成単位(a220)が水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位(以下、構成単位(a222)と略記する。)の場合、(A)成分全体の親水性が高くなってアルカリ現像液に対する溶解性が高まり、解像性が向上する。また、レジストパターン形成時の架橋反応の制御性が良好となり、パターン形状や解像性が向上する。さらに、膜密度が向上する傾向があり、これにより、エッチング時の膜減りが抑制でき、耐熱性も向上する傾向がある。
構成単位(a222)としては、たとえば、後述の樹脂(A2)を構成する「環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a3’)」についての説明において例示する構成単位のうち、ヒドロキシアルキル基を有するものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのエステル部にヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、そのなかでもアクリル酸エステルのα位に結合している置換基がフッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)であるものが最も好ましい。
構成単位(a220)は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1)中の構成単位(a220)の含有割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a220)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
なお、構成単位(a220)が、前記構成単位(a221)と前記構成単位(a222)との両方を含む場合、両者の混合割合はモル比で、構成単位(a221):構成単位(a222)=9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましく、6:4〜7:3であることがさらに好ましい。
構成単位(a221)と構成単位(a222)とを、前記混合割合でバランスよく配合することによって良好な露光余裕度が得られる。また、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。さらに、エッチング耐性も向上する。
・他の構成単位
本発明のネガ型レジスト組成物において、(A)成分は、前記の各構成単位(a1)、(a2)以外の構成単位として、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の(A)成分に用いられている構成単位を適宜用いることができる。
ただし、本発明において、樹脂(A1)は、構成単位(a1)及び(a2)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a1)と構成単位(a2)との合計の割合が、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して70モル%以上を占めることを意味し、80モル%以上を占めることがより好ましく、100モル%であってもよい。なかでも、構成単位(a1)と(a2)とからなる樹脂であることが最も好ましい。
本発明において、樹脂(A1)における構成単位(a1)と構成単位(a2)との組み合わせとしては、構成単位(a1)と構成単位(a210)との組み合わせが好ましい。
なかでも、樹脂(A1)としては、前記一般式(a1−1)で表される構成単位(a1−1)と、前記一般式(a2−1)で表される構成単位(a2−1)とを含む樹脂が特に好ましい。
樹脂(A1)としては、たとえば下記化学式(A1−1)〜(A1−4)で表される構成単位の組合せを含むものが好ましく挙げられる。
Figure 0005412125
上記のなかでも、樹脂(A1)としては、前記化学式(A1−1)〜(A1−4)で表される構成単位の組合せから選択される少なくとも一種の組合せを含む樹脂が好ましく、前記化学式(A1−1)で表される構成単位の組合せを含む樹脂が最も好ましい。
本発明において、樹脂(A1)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)は2000〜10000であることが好ましく、3000〜6000であることがさらに好ましく、3000〜5000であることが特に好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより良好なコントラストを得ることができ、上限値以下であることによりレジストパターンの膨潤を抑制することができる。その結果、解像性が向上する。また、パターンの膨潤を抑制できることから、焦点深度幅(DOF)特性の向上効果や、ラインエッジラフネス(LER)の抑制効果を得ることができる。また、上記質量平均分子量をこの範囲とすることは、レジストパターンの膨潤抑制効果も高い点から好ましい。質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分においては、樹脂(A1)を用いる場合、上記樹脂(A1)の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
ただし、樹脂(A1)を用いる場合、(A)成分中に含まれる樹脂(A1)の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
(樹脂(A2))
本発明において、樹脂(A2)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a1’)を含む。
また、当該樹脂(A2)は、構成単位(a1’)に加え、好ましくは、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2’)を含む。
また、当該樹脂(A2)は、構成単位(a1’)に加え、または、構成単位(a1’)と構成単位(a2’)とに加え、好ましくは、さらに環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a3’)を含む。
ここで、本明細書及び特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化低級アルキル基において、ハロゲン原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
・構成単位(a1’)
構成単位(a1’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位である。構成単位(a1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、レジストパターンの膨潤が抑制されて、解像性、パターン形状、LWR等のリソグラフィー特性が向上する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基は、前記構成単位(a1)についての説明において例示したものと同様であり、脂肪族環式基(フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合する前の状態)としては、なかでもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
構成単位(a1’)は、アクリル酸から誘導される構成単位であることが好ましく、特に、アクリル酸エステルのカルボニルオキシ基[−C(O)−O−]の末端の酸素原子(−O−)に上記脂肪族環式基が結合した構造(アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が上記脂肪族環式基で置換されている構造)が好ましい。
構成単位(a1’)としてより具体的には、下記一般式(1)で表される構成単位(a1’−1)が好ましい。
Figure 0005412125
[式(1)中、Rは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であり;s、t、t’はそれぞれ独立して1〜5の整数である。]
式(1)中、Rは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基である。
Rの低級アルキル基又はハロゲン化アルキル基については、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基又はハロゲン化アルキル基と同様である。
本発明において、Rは、水素原子または低級アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
sは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
tは1〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
t’は1〜3の整数であり、1〜2の整数であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
前記一般式(1)で表される構成単位(a1’−1)は、(α−低級アルキル)アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a1’)は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2)中の構成単位(a1’)の含有割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、40〜90モル%が特に好ましく、45〜85モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
・構成単位(a2’)
樹脂(A2)は、構成単位(a1’)に加えて、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2’)を有することが好ましい。
構成単位(a2’)を含む樹脂(A2)をネガ型レジスト組成物に配合すると、この構成単位(a2’)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B)成分から発生する酸の作用によって、(C)成分と反応し、これにより樹脂(A2)がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
「水酸基含有脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基に水酸基が結合している基である。
脂肪族環式基に結合している水酸基の数は、1〜3個が好ましく、1個がさらに好ましい。
脂肪族環式基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂肪族環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基(水酸基が結合する前の状態)の具体例としては、上記構成単位(a1’)の脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
構成単位(a2’)の脂肪族環式基としては、なかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすいことから、好ましい。そのなかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基がより好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
脂肪族環式基には、水酸基以外に、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合していてもよい。
構成単位(a2’)において、水酸基含有脂肪族環式基は、アクリル酸エステルのエステル基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子と結合していることが好ましい。
この場合、構成単位(a2’)において、アクリル酸エステルのα位(α位の炭素原子)には、水素原子に代わって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくは、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基が挙げられる。
これらの説明は、上記構成単位(a1’)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいものは水素原子または低級アルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましい。
構成単位(a2’)の具体例として、例えば下記一般式(2)で表される構成単位(a2’−1)が好ましい。
Figure 0005412125
[式(2)中、Rは前記と同じであり;R”は水素原子、低級アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり;r’は1〜3の整数である。]
Rは、上記一般式(1)におけるRの説明と同様である。
R”の低級アルキル基は、Rの低級アルキル基と同じである。
前記一般式(2)において、R、R”はいずれも水素原子であることが最も好ましい。
r’は1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定されないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
構成単位(a2’)は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2)中の構成単位(a2’)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a2’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
・構成単位(a3’)
樹脂(A2)は、構成単位(a1’)に加えて、または、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)に加えて、さらに、環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a3’)を有することが好ましい。
構成単位(a3’)を含む樹脂(A2)をネガ型レジスト組成物に配合すると、構成単位(a3’)のアルコール性水酸基が、前記構成単位(a2’)の水酸基とともに、(B)成分から発生する酸の作用によって(C)成分と反応する。
そのため、樹脂(A2)が、アルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化しやすくなり、解像性等のリソグラフィー特性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
構成単位(a3’)において、「環式構造を有さない」とは、脂肪族環式基や芳香族基を有さないことを意味する。
構成単位(a3’)は、環式構造を有さないことにより、前記構成単位(a2’)と明らかに区別される。
側鎖にアルコール性水酸基を有する構成単位としては、例えば、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記構成単位(a1’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」におけるヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に直接結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよい。
構成単位(a3’)においては、これらのうち少なくとも一方あるいは両方が存在していることが好ましい。
なお、α位にヒドロキシアルキル基が結合していない場合、α位の炭素原子には、水素原子に代わって、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基が結合していてもよい。
これらについては、一般式(1)中のRの説明と同様である。
構成単位(a3’)としては、下記一般式(3)で表される構成単位(a3’−1)が好ましい。
Figure 0005412125
[式(3)中、R11は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基、またはヒドロキシアルキル基であり;R12は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基であり、かつR11、R12の少なくとも一方はヒドロキシアルキル基である。]
11におけるヒドロキシアルキル基は、炭素数が10以下のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、直鎖状、分岐鎖状であることがより好ましく、炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基であることがさらに好ましく、ヒドロキシメチル基またはヒドロキシエチル基であることが最も好ましい。
水酸基の数、結合位置は、特に限定されるものではなく、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
11における低級アルキル基は、炭素数が10以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキル基であることがさらに好ましく、エチル基、メチル基であることが最も好ましい。
11におけるハロゲン化低級アルキル基は、好ましくは、炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換された基である。
12におけるアルキル基、ヒドロキシアルキル基としては、R11の低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(3)で表される構成単位(a3’−1)として、具体的には、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸から誘導される構成単位(ただし、ここではアクリル酸エステルから誘導される構成単位は含まない。)、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
これらの中で、構成単位(a3’)が、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、膜密度の向上の点から好ましく、中でもα−(ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステルまたはα−(ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a3’)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、架橋効率の点で好ましい。中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステルまたはα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a3’)は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2)中の構成単位(a3’)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a3’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・他の構成単位
樹脂(A2)は、前記の各構成単位(a1’)〜(a3’)以外の構成単位として、共重合可能な他の構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の樹脂成分に用いられている構成単位が使用でき、たとえば、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4’)が挙げられる。
構成単位(a4’)としては、特に限定されるものではなく、任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a4’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
構成単位(a4’)を樹脂(A2)に含有させる場合、樹脂(A2)中の構成単位(a4’)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a4’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
ただし、本発明においては、樹脂(A2)は、特に構成単位(a1’)〜(a3’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここでいう「主成分」とは、構成単位(a1’)〜(a3’)の合計が50モル%以上を占めることを意味し、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。最も好ましくは100モル%、すなわち樹脂(A2)は、構成単位(a1’)、構成単位(a2’)および構成単位(a3’)からなる樹脂であることが好ましい。
樹脂(A2)としては、特に下記式(A2−1)の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
Figure 0005412125
[式中、Rは前記と同じである。]
本発明において、樹脂(A2)の質量平均分子量(Mw)は、2000〜30000であることが好ましく、2000〜10000であることがより好ましく、3000〜8000であることがさらに好ましい。この範囲とすることにより、アルカリ現像液に対する良好な溶解速度が得られ、高解像性の点からも好ましい。当該質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
(A)成分においては、樹脂(A2)を用いる場合、上記樹脂(A2)の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
ただし、樹脂(A2)を用いる場合、(A)成分中に含まれる樹脂(A2)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
本発明に用いられる(A)成分は、例えば国際公開第2004/076495号パンフレットに記載の方法、各構成単位を誘導するモノマーを常法によりラジカル重合する方法等により合成することができる。
また、(A)成分は、樹脂(A1)、樹脂(A2)以外に、従来のネガ型レジスト組成物に用いられている他の高分子化合物(ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂など)等を用いることもできる。
本発明において、ネガ型レジスト組成物中の(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005412125
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、 2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記R”における置換基のうち、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
前記R”における置換基のうち、ハロゲン原子としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記R”における置換基のうち、アルキル基としては、R”において、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
具体的には、直鎖状のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、たとえば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記R”における置換基として、環状のアルキル基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
該環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。後者の例における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
における「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 0005412125
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明において、R”が置換基としてX−Q−を有する場合、R”としては、式:X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
式(b−2)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b7)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 0005412125
[式中、pは1〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、r1は0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、n1〜n5はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数である。]
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 0005412125
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 0005412125
[式中、R41〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換された基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。これらの中でも、フッ素化アルキルスルホン酸イオンが好ましく、炭素数1〜4のフッ素化アルキルスルホン酸イオンがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖状のパーフルオロアルキルスルホン酸イオンが特に好ましい。具体例としては、トリフルオロメチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005412125
[式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。]
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基もしくはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005412125
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005412125
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005412125
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明においては、(B)成分として、置換基を有するアルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。アルキルスルホン酸イオンの好ましい置換基としては、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、フッ素原子、または置換基を有する環状アルキル基であることがより好ましく、フッ素原子、または環に結合した水素原子が酸素原子(=O)で置換されている環状のアルキル基であることがさらに好ましく、フッ素原子、またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であって環に結合した水素原子が酸素原子(=O)で置換されている基であることが特に好ましい。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のネガ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<(C)成分>
(C)成分としては、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤、エポキシ基を有する化合物を用いたものをエポキシ系架橋剤という。
(C)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、及びエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、メラミンとホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
尿素系架橋剤としては、尿素とホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、尿素とホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもビスメトキシメチル尿素が好ましい。
アルキレン尿素系架橋剤としては、下記一般式(C−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005412125
[式(C−1)中、R’とR’はそれぞれ独立に水酸基又は低級アルコキシ基であり、R’とR’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基であり、vは0又は1〜2の整数である。]
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
vは、0又は1〜2の整数であり、好ましくは0又は1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
上記一般式(C−1)で表される化合物は、アルキレン尿素とホルマリンを縮合反応させることにより、また、この生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
アルキレン尿素系架橋剤の具体例としては、例えば、モノ及び/又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化エチレン尿素等のエチレン尿素系架橋剤;モノ及び/又はジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化プロピレン尿素等のプロピレン尿素系架橋剤;1,3−ジ(メトキシメチル)4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジノンなどを挙げられる。
グリコールウリル系架橋剤としては、N位がヒドロキシアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシアルキル基の一方又は両方で置換されたグリコールウリル誘導体が挙げられる。かかるグリコールウリル誘導体は、グリコールウリルとホルマリンとを縮合反応させることにより、また、この生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、エポキシ基を有するものであれば特に限定されず、任意に選択して用いることができる。その中でも、エポキシ基を2つ以上有するものが好ましい。エポキシ基を2つ以上有することにより、架橋反応性が向上する。
エポキシ基の数は、2つ以上であることが好ましく、より好ましくは2〜4つであり、最も好ましくは2つである。
エポキシ系架橋剤として好適なものを以下に示す。
Figure 0005412125
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が最も好ましい。(C)成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、膨潤の少ない良好なレジストパターンが得られる。また、この上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
<(D)成分>
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、環式アミン、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアルコールアミン又はトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でも、トリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも(D)成分としてアルキルアルコールアミンを用いることが好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
<任意成分>
[(E)成分]
本発明のネガ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、サリチル酸が特に好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S)成分]
本発明のネガ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分という。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤;n−ペンチルアルコール、s−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ)、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−プロパノール、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール等の1価アルコールなどを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、(S)成分としては、PGMEA、PGME、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
上述するように、ネガ型レジストの場合には、アルカリ現像液に対して十分な溶解性を要する。一方で、液浸露光用としては、水追随性を向上するために、十分な疎水性を要する。このように、液浸露光に用いられるネガ型レジスト組成物は、疎水性とアルカリ現像液可溶性という、相反する特性が求められている。
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、このアルカリ現像液に対する溶解性と十分な疎水性とをいずれも有することから、液浸露光用として好適に用いられる。
本発明における構成単位(f1)は、塩基解離性基を有する含フッ素有機基である。このため、構成単位(f1)を含む(F)成分は、高い疎水性を有するとともに、塩基性条件下にて、親水性が増大する性質を有する。これは、塩基(アルカリ現像液)の作用により、塩基解離性基が解離し、親水基が生成されるためである。
したがって、(F)成分が(A)成分、(B)成分、および(C)成分とともに配合されている本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜は、アルカリ現像液と接触する前(たとえば浸漬露光時)は高い疎水性を有する一方、アルカリ現像液との接触により親水性が高まり、アルカリ現像液に対しても高い溶解性を維持することができる。特に、塩基解離性基が含フッ素有機基である場合には、アルカリ現像液の作用により、フッ素原子を含む塩基解離性基(フッ素原子を含む疎水性の高い部分)が解離するため、アルカリ現像液に対しより良好に溶解し得るレジスト膜を形成することができる。
このように、浸漬露光時における疎水性が高いことから、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、アルカリ現像時における未露光部の溶解性に優れているにもかかわらず、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合等に求められる水追随性に非常に優れている。
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物においては、(F)成分として、特に、構成単位(f1)と(f2)の両方を含むことにより、構成単位(f1)のみを含む場合よりも、アルカリ現像時の親水性を高めることができ、ネガ型レジスト組成物において重要な、アルカリ現像液に対する溶解性をより効果的に高めることができる。
また、アルカリ現像時に親水性が高まることから、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物によれば、他の含フッ素化合物を添加した液浸露光用ネガ型レジスト組成物よりも、露光部におけるディフェクトを効果的に低減できる。すなわち、液浸露光においては、レジスト膜に対して浸漬露光を行うと、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する。ネガ型の場合は、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、その後、アルカリ現像を行うことにより、未露光部が除去されてレジストパターンが形成される。
このとき、レジスト膜の、浸漬露光により放射線が照射された露光部の表面には、現像後に、水等の浸漬媒体の影響によるディフェクト(ウォーターマークディフェクト等)が生じやすいが、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、現像時に親水性が高まることから、ディフェクトの発生を低減できる。
また、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いることにより、浸漬露光時のレジスト膜中からの物質溶出を抑制することができる。
すなわち、液浸露光は、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光(浸漬露光)を行う工程を有する方法である。液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質((B)成分、(D)成分等)の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出はレジスト層の変質、液浸溶媒の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。
この物質溶出の量はレジスト膜表面の特性(たとえば親水性・疎水性等)の影響を受ける。そのため、たとえばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減されると推測される。
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、フッ素原子を有する(F)成分を含むことから、該(F)成分を含まない場合に比べて、露光および現像を行う前の疎水性が高い。したがって、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物によれば、浸漬露光時の物質溶出を抑制できる。
物質溶出を抑制できることから、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いることにより、液浸露光において、レジスト膜の変質や、液浸溶媒の屈折率の変化を抑制することができる。液浸溶媒の屈折率の変動が抑制されること等により、形状等が良好なレジストパターンを形成することができる。また、露光装置のレンズの汚染を低減でき、そのため、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献することができる。
また、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物により形成されたレジスト膜は、水により膨潤しにくいため、微細なレジストパターンを精度よく形成することができる。
さらに、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、感度、解像性、エッチング耐性等のリソグラフィー特性も良好であり、液浸露光においてレジストとして使用した際に、実用上問題なくレジストパターンを形成できる。例えば、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いることにより、寸法120nm以下の微細なレジストパターンを形成できる。
レジスト膜の疎水性は、水に対する接触角、たとえば静的接触角(水平状態のレジスト膜上の水滴表面とレジスト膜表面とのなす角度)、動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落し始めたときの接触角(転落角)、水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)、転落方向後方の端点における接触角(後退角)、とがある。)等を測定することにより評価できる。たとえばレジスト膜の疎水性が高いほど、静的接触角、前進角、および後退角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
ここで、前進角は、図1に示すように、その上に液滴1が置かれた平面2を次第に傾けていった際に、当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるときの当該液滴1の下端1aにおける液滴表面と、平面2とがなす角度θである。また、このとき(当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるとき)、当該液滴1の上端1bにおける液滴表面と、平面2とがなす角度θが後退角であり、当該平面2の傾斜角度θが転落角である。
本明細書において、前進角、後退角および転落角は以下の様にして測定される。
まず、シリコン基板上に、レジスト組成物溶液をスピンコートした後、110℃の温度条件で60秒間加熱してレジスト膜を形成する。
次に、上記レジスト膜に対して、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(製品名、協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(製品名、協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光および現像を行う前の後退角の測定値が50度以上であることが好ましく、50〜150度であることがより好ましく、50〜130度であることが特に好ましく、53〜100度であることが最も好ましい。該後退角が下限値度以上であると、浸漬露光時の物質溶出抑制効果が向上する。その理由は明らかではないが、主な要因の1つとして、レジスト膜の疎水性との関連が考えられる。つまり、液浸媒体は水等の水性のものが用いられているため、疎水性が高いことにより、浸漬露光を行った後、液浸媒体を除去した際に速やかにレジスト膜表面から液浸媒体を除去できることが影響していると推測される。また、後退角が上限値以下であると、リソグラフィー特性等が良好である。
同様の理由により、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光および現像を行う前の静的接触角の測定値が70度以上であることが好ましく、70〜100度であることがより好ましく、75〜100度であることが特に好ましい。
また、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光および現像を行う前の転落角の測定値が30度以下であることが好ましく、5〜30度であることがより好ましく、5〜25度であることが特に好ましく、5〜23度であることが最も好ましい。転落角が上限値以下であると、浸漬露光時の物質溶出抑効果が向上する。また、転落角が下限値以上であると、リソグラフィー特性等が良好である。
上述の各種角度(動的接触角(前進角、後退角、転落角等)、静的接触角)の大きさは、液浸露光用ネガ型レジスト組成物の組成、たとえば(F)成分の種類や配合量、(A)成分の種類等を調整することにより調整できる。たとえば(F)成分の含有量が多いほど、得られるレジスト組成物の疎水性が高まり、前進角、後退角、静的接触角が大きくなり、転落角が小さくなる。
このように、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、液浸露光においてレジスト材料に求められる種々の特性を充分に備えたものであるから、液浸露光用として好適に用いられる。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、前記本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施すことにより、レジスト膜を形成する。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
レジスト膜の形成後、レジスト膜上にさらに有機系の反射防止膜を設けて、支持体と、レジスト膜と、反射防止膜とからなる3層積層体とすることもできる。レジスト膜上に設ける反射防止膜はアルカリ現像液に可溶であるものが好ましい。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するネガ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
次いで、上記で得られたレジスト膜に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に液浸露光(Liquid Immersion Lithography)を行う。このとき、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fレーザーなどの放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるレジスト組成物は、KrFまたはArFエキシマレーザー、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ上記本発明の液浸露光用レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、特に水による悪影響を受けにくく、感度、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性にも優れることから、本発明においては、液浸媒体として、水が好ましく用いられる。また、水は、コスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好ましい。
次いで、浸漬露光工程を終えた後、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行い、続いて、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液を用いて現像処理する。そして、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、支持体を回転させながら、該支持体表面に水を滴下または噴霧して、支持体上の現像液および該現像液によって溶解した液浸露光用レジスト組成物を洗い流すことにより実施できる。そして、乾燥を行うことにより、レジスト膜(液浸露光用レジスト組成物の塗膜)がマスクパターンに応じた形状にパターニングされたレジストパターンが得られる。
当該(F)成分は、分解する前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、アルカリ現像液の作用により分解すると、親水基であるカルボキシ基が生成し、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する化合物である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、下記実施例において、質量平均分子量(以下、分子量と略記する。)はGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量であり、ポリマー組成は構造式中の各構成単位の割合(モル比)である。
[合成例1] 化合物(1)の合成
窒素雰囲気下0℃で、2−ビニルナフトール46g(269mmol)のアセトン溶液450mlに、炭酸カリウム45g(333 mmol)と、ブロモ酢酸メチル45g(296 mmol)とを加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、反応液をろ過し、得られたろ液を減圧下で溶媒を留去した。その後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去した。得られた粗製生物を再結晶(n−ヘプタン−酢酸エチル)にて精製し、 化合物(1)−1を無色固体として54g得た(収率83%)。
次に、窒素雰囲気下0℃で、化合物(1)−1 54g(222 mmol) のTHF溶液450mlに、25質量%TMAH水溶液200 mlを加え、室温で3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、減圧下でTHF溶媒を留去した。0℃で、得られた反応水溶液に10N塩酸55mlを加え、酸性に調整した後、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去して化合物(1)−2を無色固体として50g得た(収率98%)。
次に、窒素雰囲気下0℃で、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール33g(222mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩51g(266mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)1g(11mmol)のTHF溶液400 mlに、化合物(1)−2を50g(222mmol)を加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、反応液を0℃に冷やし、水を加えて反応を停止した。その後、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を水で2回洗浄した。減圧下で溶媒を留去して得られた粗製生物を再結晶(ヘプタン−酢酸エチル)にて精製し、化合物(1)を無色固体として59g得た(収率74%)。
Figure 0005412125
化合物(1)−1、(1)−2、(1)についてのH−NMRをそれぞれ測定した。
その結果を以下に示す。
Figure 0005412125
化合物(1)−1のスペクトルデータ
H−NMR(CDCl) 7.75−7.60(m,4H,Hc),7.25−7.10(m,2H,Hc),6.85(dd,1H,Hb),5.80(d,1H,Ha),5.30(d,1H,Ha),4.75(s,2H,Hd),3.83(s,3H,He)
化合物(1)−2のスペクトルデータ
H−NMR(DMSO−d6) 13.15(br,1H,He),7.95−7.75(m,4H,Hc),7.30−7.20(m,2H,Hc),6.85(dd,1H,Hb),5.90(d,1H,Ha),5.25(d,1H,Ha),4.75(s,2H,Hd)
化合物(1)のスペクトルデータ
H−NMR(DMSO−d6) 7.86−7.69(m,4H,Hc),7.32(d,1H,Hc),7.23(dd,1H,Hc),6.86(dd,1H,Hb), 5.92(d,1H,Ha),5.33(d,1H,Ha),5.10(s,2H,Hd),5.97(t,2H,He)
[合成例2] 化合物(2)の合成
窒素雰囲気下0℃で、メタクリル酸30g(348mmol)のTHF溶液300mlに、トリエチルアミン61g(600mmol)、ブロモ酢酸メチル64g(418 mmol)を加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた反応物に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去して、化合物(2)−1を無色液体として47g得た(収率85%)。
次に、窒素雰囲気下0℃で、化合物(2)−1 30g(190mmol)のTHF溶液700 mlに、2.38質量%TMAH水溶液700 mlを加え、室温で3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、減圧下でTHF溶媒を留去した。得られた反応水溶液に0℃下10N塩酸50mlを加え、酸性に調整した後、酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去して化合物(2)−2を無色液体として26g得た(収率95%)。
次に、窒素雰囲気下0℃で、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール27g(177mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩37g(195mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.6g(5mmol)のTHF溶液100mlに)化合物(2)−2 17g(118mmol)を加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、反応液を0℃に冷やし、水を加えて反応を停止した。酢酸エチルで3回抽出し得られた有機層を水で2回洗浄した。減圧下溶媒留去して得られた粗製生物をシリカゲルろ過(酢酸エチル)により精製し、化合物(2)を無色液体として19g得た(収率58%)。
Figure 0005412125
化合物(2)−1、化合物(2)−2、化合物(2)についてのH−NMRをそれぞれ測定した。その結果を以下に示す。
Figure 0005412125
化合物(2)−1のスペクトルデータ
H−NMR(CDCl) 6.23(s,1H,Hb),5.67(d,1H,Hb),4.13(s,2H,Hc),3.78(s,3H,Hd),2.00(s,3H,Ha)
化合物(2)−2のスペクトルデータ
H−NMR(CDCl) 6.23(s,1H,Hb),5.67(d,1H,Hb),4.69(s,2H,Hc),2.00(s,3H,Ha)
化合物(2)のスペクトルデータ
H−NMR(CDCl) 6.14(s,1H,Hb),5.80(d,1H,Hb),4.90(s,4H,Hc,Hd),1.92(s,3H,Ha)
<含フッ素高分子化合物の合成>
[実施例1] 含フッ素高分子化合物(F1)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)5.25g(14.57mmol)と、化合物(3)2.78g(17.81mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン45.50gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)4.86mmolを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F1)3.20gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6700であり、分散度(Mw/Mn)は1.26であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=57.8/42.2であった。
Figure 0005412125
[実施例2] 含フッ素高分子化合物(F2)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)5.25g(14.57mmol)と、化合物(4)3.28g(17.81mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン48.34gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)1.29mmolを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F2)1.70gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F2)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は11700であり、分散度(Mw/Mn)は1.27であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=67.0/33.0であった。
Figure 0005412125
[実施例3] 含フッ素高分子化合物(F3)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)5.00g(13.88mmol)と、化合物(3)1.84g(11.80mmol)と、化合物(5)0.65g(9.02mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン42.44gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)1.73mmolを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F3)2.57gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F3)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は11000であり、分散度(Mw/Mn)は1.32であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=53.5/28.6/17.9であった。
Figure 0005412125
[実施例4] 含フッ素高分子化合物(F4)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(2)4.00g(14.48mmol)と、化合物(3)1.51g(9.67mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン31.5gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)1.21mmolを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F4)3.12gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F4)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は15300であり、分散度(Mw/Mn)は1.50であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=61.4/38.6であった。
Figure 0005412125
[実施例5] 含フッ素高分子化合物(F5)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(2)4.00g(14.48mmol)と、化合物(4)1.78g(9.66mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン33.0gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)1.21mmolを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F5)0.82gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F5)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は13900であり、分散度(Mw/Mn)は1.30であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=69.1/30.9であった。
Figure 0005412125
[実施例6] 含フッ素高分子化合物(F6)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)5.00g(13.88mmol)と、化合物(5)0.67g(9.25mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン32.11gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)0.27gを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F6)3.15gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F6)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は14500であり、分散度(Mw/Mn)は1.63であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=73/27であった。
Figure 0005412125
[実施例7] 含フッ素高分子化合物(F7)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)2.38g(6.61mmol)と、化合物(6)0.67g(4.41mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン17.00gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)0.13gを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F7)1.03gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F7)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は8700であり、分散度(Mw/Mn)は1.60であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=68/32であった。
Figure 0005412125
[実施例8] 含フッ素高分子化合物(F8)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)2.81g(7.81mmol)と、化合物(5)0.19g(2.60mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン17.00gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)0.24gを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F8)1.33gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F8)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は10800であり、分散度(Mw/Mn)は1.58であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=80/20であった。
Figure 0005412125
[実施例9] 含フッ素高分子化合物(F9)の合成
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、化合物(1)2.43g(6.74mmol)と、化合物(7)1.00g(2.89mmol)とを入れて、テトラヒドロフラン19.44gを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)0.11gを添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて、80℃で6時間の加熱撹拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である含フッ素高分子化合物(F9)1.23gを得た。
この含フッ素高分子化合物(F9)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は15900であり、分散度(Mw/Mn)は1.58であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=80/20であった。
Figure 0005412125
<レジスト組成物の調製>
[実施例10〜21、比較例1および2]
下記表1および2に示す各成分を混合し、溶解して、ネガ型レジスト組成物を調製した。
Figure 0005412125
Figure 0005412125
表1および2中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記化学式(A1−1)で表される樹脂(プロメラス社製)。なお、樹脂(A)−1において、各構成単位の割合(a1:a2、モル比)、質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)をそれぞれ併記した。
(B)−1:トリフェニルスルホニウムヘプタフルオロ−n−プロパンスルホネート。
(B)−2:下記化学式(B−2)で表される化合物
(C)−1:テトラエトキシメチル化グリコールウリル E−9401(製品名、三和ケミカル社製)。
(F)−1:実施例1で合成された含フッ素高分子化合物(F1)
(F)−2:実施例2で合成された含フッ素高分子化合物(F2)
(F)−3:実施例3で合成された含フッ素高分子化合物(F3)
(F)−4:実施例4で合成された含フッ素高分子化合物(F4)
(F)−5:実施例5で合成された含フッ素高分子化合物(F5)
(F)−6:実施例6で合成された含フッ素高分子化合物(F6)
(F)−7:実施例7で合成された含フッ素高分子化合物(F7)
(F)−8:実施例8で合成された含フッ素高分子化合物(F8)
(F)−9:実施例9で合成された含フッ素高分子化合物(F9)
(D)−1:トリイソプロパノールアミン。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
Figure 0005412125
[a1:a2=60:40(モル比)、Mw:3600、Mw/Mn:1.48]
Figure 0005412125
<疎水性評価>
上記で得られたネガ型レジスト組成物のうち、実施例10〜22、実施例25〜34、および比較例1〜2を用いて、以下の手順で、露光前のレジスト膜表面の転落角、静的接触角、及び動的接触角(後退角及び前進角)(以下、これらをまとめて接触角等という)を測定することにより、レジスト膜の疎水性を評価した。
8インチシリコンウェーハ上に、表1に示す各ネガ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、80℃、60秒間のプレベーク処理を施して、乾燥させることにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
該レジスト膜(露光前のレジスト膜)の表面に、50μLの水を滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて接触角等の測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005412125
表3の結果から、(F)成分を含有する実施例10〜22、および実施例25〜34のネガ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜は、(F)成分を含有しない比較例1および2のネガ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜よりも転落角が小さく、かつ後退角が大きくなっており、疎水性が高くなっていることが確認できた。
<リソグラフィー特性評価>
上記で得られた各ネガ型レジスト組成物のうち、実施例10、実施例13、実施例16〜実施例18、実施例20、実施例26、及び比較例1について、以下のレジストパターン形成方法によりレジストパターンをそれぞれ形成した。
有機系反射防止膜組成物「AR−46」(商品名、ローム・アンド・ハース社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に均一に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚31nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、各例のネガ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行うことにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(製品名、Nikon社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(ハーフトーン)を介して選択的に露光した。
そして、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業社製)で60秒間アルカリ現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、レジスト膜に、ライン幅120nmのラインが等間隔(ピッチ240nm)に配置された、L/Sパターンのレジストパターンが形成された。
このとき、ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm;感度)を求めた。その結果を表4に示す。
これらの結果から、(F)成分を有する本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、液浸露光時に十分な疎水性を有している上に、アルカリ現像液に対する溶解性も良好であり、液浸露光用ネガ型レジスト組成物として非常に好適であることが明らかである。
Figure 0005412125
<疎水性評価2>
上記で得られたネガ型レジスト組成物のうち、構成単位(f2)を有する含フッ素高分子化合物(F3)および(F6)の添加量をふった実施例23、24、および、27を用いて、上記<疎水性評価>と同様にして、転落角と後退角を測定することにより、レジスト膜の疎水性を評価した。接触角等を測定した結果を表5に示す。
<リソグラフィー特性評価2>
上記で得られた各ネガ型レジスト組成物について、上記<リソグラフィー特性評価>と同様にして、レジストパターンを形成した。
その結果、いずれの例においても、レジスト膜に、ライン幅120nmのラインが等間隔(ピッチ240nm)に配置された、L/Sパターンのレジストパターンが形成された。
このとき、ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm;感度)を求めた。その結果を表5に示す。
Figure 0005412125
これらの結果から、含フッ素高分子化合物(F3)および(F6)の添加量を、(A)成分に対して10%まで増加させた場合でも、形成されたレジスト膜の疎水性のみならず、アルカリ現像液に対する溶解性も十分であることがわかった。
すなわち、構成単位(f1)に加えて構成単位(f2)を有する(F)成分を含有していることにより、アルカリ現像液に対する溶解性を損なうことなく、(F)成分の添加量を増大させることができること、すなわち、(F)成分として構成単位(f2)をも有する本発明のレジスト組成物は、液浸露光用として非常に好ましい疎水性と、良好なリソグラフィー特性を兼ね備えるレジス膜を形成し得るものであり、液浸露光用ネガ型レジスト組成物として非常に好適であることが明らかである。
<溶出測定1>
上記で得られたネガ型レジスト組成物のうち、実施例17、22、比較例1、2を用いて、液浸露光時のレジスト膜中の物質の液浸溶媒中への溶出量(物質溶出量)を測定した。
表面にヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコンウェーハ上に、各例のネガ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行うことにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(150μl)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト膜の総接触面積221.56cm)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)により分析して、露光前のレジスト組成物の溶出量(×10−12mol/cm・s)を求めた。測定された物質溶出量を、表6に示す。
Figure 0005412125
この結果、実施例17、22のいずれも、それぞれ比較例1、2と比較して、非常に物質溶出量が少なく、(F)成分を含有させることにより、約85%も物質溶出を抑制し得ることが明らかとなった。
<溶出測定2>
上記で得られたネガ型レジスト組成物のうち、実施例26、30を用いて、液浸露光時のレジスト膜中の物質の液浸溶媒中への溶出量(物質溶出量)を測定した。方法については、上述の溶出測定と同様である。
測定された物質溶出量を、表7に示す。いずれのレジスト組成物も、溶出量が少なく、液浸露光用として良好であることが明らかとなった。
Figure 0005412125
<トップコートレス液浸リソグラフィー特性評価>
<<レジストパターン形成>>
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、該反射防止膜上に、上記実施例26のネガ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で90℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,sigma Dipole−X)により、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して、前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
次いで、110℃60秒間でPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で20秒間の現像処理を行った。
この結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅55nm、ピッチ110nmのラインアンドスペース(L/S)パターンが形成された。なお、感度(Eop)は23mJ/cmであった。
さらに、上記と同様にして、ライン幅50nm、ピッチ100nmのラインアンドスペース(L/S)パターンも形成した。Eopは26mJ/cmであった。
測長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9220)によりL/Sパターンを断面から観測した結果、いずれのL/Sパターンも、未露光部(スペース部)に残渣は見られず、裾引のない良好な矩形形状であった。
以下、他のリソグラフィー特性についても評価を行った。
<<1mJ/cmあたりの寸法変化量>>
55nmL/Sパターン(ライン幅55nmのL/Sパターン)について、露光量を17〜35mJ/cmの間で変化させ、上記と同様にしてパターン形成を行った。より具体的には、1.5mJ/cmごと、計13とおりのパターンを形成し、各パターンのラインの寸法を測定した。横軸を露光量、縦軸を形成されたラインの寸法として、測定結果をプロットし、線形回帰直線の傾きを求めた。得られた傾きの値を上記Eopで割った値の絶対値を求め、これを1mJ/cmあたりの寸法変化量(EL)とした。この値が小さいほど、露光量の変化による影響を受けにくく、良好であるといえる。
50nmL/Sパターン(ライン幅50nmのL/Sパターン)については、露光量を23〜33.6mJ/cmの間で変化させ、1.5mJ/cmごと、計8とおりのパターンを形成し、同様にして、1mJ/cmあたりの寸法変化量を求めた。
<<MEF評価>>
55nmL/Sパターンについて、上記Eopにて、ラインパターンのターゲットサイズを49〜65nm(2nm刻み、計9点)、とするマスクパターンをそれぞれ用いて、ピッチ110nmのL/Sパターンを形成し、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたホールパターンの口径(nm)を測定した。ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたホールパターンの口径(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きを、MEFとして算出した。MEF(直線の傾き)は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを意味する。
50nmL/Sパターンについては、ターゲットサイズを46〜56nm(2nm刻み、計6点)としたピッチ100nmのL/Sパターンを形成し、同様にして、MEF(直線の傾き)を求めた。
<<焦点深度幅(DOF)の評価>>
上記Eopにおいて、焦点を適宜上下にずらして、L/Sパターンを形成し、ラインのターゲット寸法±10%(すなわち、55nmL/Sパターンの場合は、49.5〜60.5nm)の寸法変化率の範囲内で形成できる焦点深度幅(DOF、単位:nm)を求めた。
なお、「DOF」とは、同一の露光量において、焦点を上下にずらして露光した際に、ターゲット寸法に対するずれが所定の範囲内となる寸法でレジストパターンを形成できる焦点深度の範囲、すなわちマスクパターンに忠実なレジストパターンが得られる範囲のことであり、その値が大きいほど好ましい。
Figure 0005412125
寸法変化量(EL)、MEF、及びDOFの測定結果を表8に示す。これらの値は、いずれも良好な値を示しているといえる。
よって、本発明に係る(F)成分を含有するネガ型レジスト組成物は、液浸露光においてトップコート(液浸保護膜)を用いなくても、良好なリソグラフィー特性が得られるということが確認できた。
また、未露光部に残渣を発生させず、矩形性の高いレジストパターンを形成できたことから、良好な現像液溶解性のコントラストを有していることも確認できた。
本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物は、撥水性が高く物質溶出量が少ないため、種々のリソグラフィー特性に与える影響が少なく、良好な特性が得られたと考えられる。
<<微細パターンの形成と形状評価>>
上記のライン幅55nm、ピッチ110nmのL/SパターンのEopよりも高露光量側で形成されたL/Sパターンについて、測長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9220)により断面形状を観測した。なお、高露光量側ではL/Sパターンにおけるスペース寸法がより微細になる(ピッチは110nmのまま)。
その結果、いずれの場合も、現像後の未露光部(スペース部)に残渣は見られず、矩形性の高い良好なL/Sパターンが形成されていた。したがって、スペース寸法が微細になっても、現像時の現像液溶解性(親水性)を十分に発揮でき、液浸露光時の撥水性との両立ができているといえる。
なお、各パターン寸法と、感度との関係を表9に示す。
Figure 0005412125
これらの結果から、本発明の液浸露光用ネガ型レジスト組成物、及び該ネガ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法によれば、液浸露光時に膜表面の疎水性が高く、アルカリ現像液に対する溶解性も良好なレジスト膜を形成でき、かつ、リソグラフィー特性も良好であることが確認できた。
1…液滴、1a…下端、1b…上端、2…平面、θ…前進角、θ…後退角、θ…転落角

Claims (5)

  1. 下記一般式(f1−1)又は(f1−2)で表される構成単位を有する含フッ素高分子化合物(F)と、前記含フッ素高分子化合物(F)を除くアルカリ可溶性樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、架橋剤成分(C)とを含有することを特徴とする液浸露光用ネガ型レジスト組成物。
    Figure 0005412125
    [式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン化低級アルキル基であり;Xは酸解離性部位を有さない二価の有機基であり、Aarylは置換基を有していてもよい芳香族環式基であり、X01は単結合又は二価の連結基であり、Rはそれぞれ独立してフッ素化炭化水素基である。]
  2. 前記含フッ素高分子化合物(F)が、さらに、アルカリ可溶性基を含む構成単位を有する高分子化合物である請求項に記載の液浸露光用ネガ型レジスト組成物。
  3. 前記架橋剤成分(C)が、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、及びエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の液浸露光用ネガ型レジスト組成物。
  4. さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の液浸露光用ネガ型レジスト組成物。
  5. 支持体上に、請求項1〜のいずれか一項に記載の液浸露光用ネガ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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