JP5410825B2 - 回転慣性質量ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、例えば2部材間に生じる近接離反方向の相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーに関する。
従来、回転慣性質量ダンパーとして、錘質量より桁違いに大きな慣性質量を付与できる装置が知られている。このようなダンパーでは、ダンパーの相対加速度に比例した反力が得られる特徴をもっている。この回転慣性質量ダンパーを大きな相対変位が得られる免震層に設置することによって免震層の変位を抑制する効果が得られ、さらにこのダンパーを付加ばねと直列に配置することで、動吸振機構(TMD)のように共振特性を大幅に改善することができる。しかも、この場合、従来の動吸振機構に比べて、錘質量を大幅に軽量化することができるという利点をも有している。回転慣性質量ダンパーとして、ボールネジ機構によるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図8は、回転慣性質量ダンパーの一例である。図8に示す回転慣性質量ダンパー10は、ダンパーに変位が生じると、ボールネジ11とボールナット12によってフライホイール13(回転錘)が回転する装置であり、ボールネジ11とボールナット12の相対加速度に比例する力が得られる特徴を有している。すなわち、ボールネジ11の軸方向変位xによりフライホイール13をθ回転させたとき、軸方向力F(反力)は(1)式で表せる。ここで、回転する部分全体の回転慣性モーメントをIθ、ボールネジ11のリード(ねじ山のピッチ)をL、フライホイール13を円盤状としたときの外径をD、質量をmとしたときに、x=θL/(2π)の関係がある。ただし、フライホイール13の中央に形成されるねじ穴13aは無視し、回転慣性モーメントIθはフライホイール13のみとする。
Figure 0005410825
(1)式のΨが軸方向の慣性質量に相当し、フライホイール13の形状寸法やボールネジ11のリードにもよるが、フライホイール13の質量mの数100倍〜数1000倍の値が得られるようになっている。また、軸方向力(反力)は相対加速度に比例したものとなっている。
また、図9は、上述した特許文献1に示すボールネジ機構を用いた回転慣性質量ダンパー100を示している。つまり、外周面にネジが形成されているとともに2部材101、102のうち一方の部材101を貫通する状態で配置されるボールネジ103と、そのボールネジ103の先端部に固定されて一方の部材101の外側においてボールネジ103とともに回転可能なフライホイール104と、ボールネジ103の中間部に螺着されてボールネジ103の軸方向に相対変位可能とされるとともに、一方の部材101に対して固定されるボールナット105と、ボールネジ103の基端部を回転自在且つ軸方向に変位不能に支持するとともに、他方の部材102対して固定されるサポートユニット106とを備えた構成となっている。
特開2008−196606号公報
しかしながら、従来の回転慣性質量ダンパーでは、以下のような問題があった。
すなわち、図9に示す特許文献1のボールネジ機構を利用した回転慣性質量ダンパー100では、ボールネジ103とボールナット105との相対的な軸方向変位によりフライホイール104を回転させ、その回転トルクをボールネジ103の軸方向力として作用させるものであって、ボールネジ103およびボールナット105のいずれか一方の回転を拘束し、他方にフライホイールを一体化させることで、相対変位に比例したホイール回転角が生じる機構となっている。
そのため、フライホイールの回転に伴うトルクは、回転拘束端に作用することになる、したがって、従来の回転慣性質量ダンパーにおいては、このトルク反力(ボールネジ軸まわりのトルク)がダンパー接合部をなすボールナットの取付け端(図9でボールナット105と一方の部材101との接合部T)に作用することから、その接合部Tにはねじりに対して十分な耐力と剛性を確保する必要があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ダンパー内でトルクを処理し、固定部にトルクを作用させない回転慣性質量ダンパーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る回転慣性質量ダンパーは、互いに近接離反する方向に相対変位する2部材間に介装されていて、それら2部材間に生じる近接離反方向の相対加速度により力を生じる回転慣性質量ダンパーであって、外周面にネジが形成されるとともに、2部材のうちいずれか一方の部材に基端部が固定されたボールネジと、ボールネジのネジに螺合して回転すると共に、2部材のうち他方の部材に対して回転可能に支持されたボールナットと、ボールナットと共にボールネジの回転中心を回転軸として回転するフライホイールと、ボールナットを保持するハウジングに固定されるとともに、ボールネジに対してネジ軸方向に摺動可能に支持された摺動支持部材とを備え、ボールネジには、摺動支持部材に対してネジ軸方向に変位自在で、且つネジ中心軸を中心とするボールネジの回転を規制するボールスプラインが設けられ、フライホイールは複数の分割フライホイールに分割されており、各分割フライホイールをボールネジの回転軸を中心とした半径方向に移動させる位置調整手段が設けられ、位置調整手段は、ボールネジの回転中心を挟んで対象位置に配置される一対の分割フライホイール同士に螺合される左右ネジであって、その左右ネジの回転によって一対の分割フライホイール同士が互いに近接離反方向に移動する構成をなし、フライホイール全体の重心位置をボールネジの回転中心に保持させることを特徴としている。
本発明では、2部材間に近接離反する方向に相対振動が生じて、ボールネジが軸方向に移動すると、その軸方向の変位量に比例して、ボールネジに螺合するボールナットとともにフライホイールが軸周りに回転する。そして、ボールスプラインによりボールネジの回転が拘束されるので、一方の部材との固定部(ボールネジの基端部)に作用するボールネジ軸まわりのトルクが作用しない。そのため、基端部と一方の部材とを接合するための接合部材に回転力がかからず、接合部材の緩みや振動などの発生を抑制することができる。また、ボールネジとして低トルク型のものを採用することで、入力変位振幅が小さい場合や振動数が高い場合であっても、安定した作動性を確保することができる。さらに、ボールネジやボールスプライン機構をハウジング内に設置しているため、軸芯の精度が確保される。
また、本発明では、フライホイールにより慣性質量が付与されるが、フライホイール全体の重心位置が常に回転中心に保持されるため、その回転に偏心がなく、回転時の振れを抑制することができ、回転慣性質量ダンパーとしての信頼性を高めることができる。そして、複数に分割した分割フライホイールのそれぞれを固定錘体に対してフライホイールの半径方向へ適宜移動させて位置調整することで、フライホイールの重量を変更することなく慣性質量を容易に変化させることができる。そのため、回転慣性質量ダンパーの設置完了後であっても調整用のフライホイールが不要となるので、簡単な作業でダンパーの目標振動数に対して精度よく同調を行うことができる。
また、本発明では、左右ネジを用いて各分割フライホイールを回転中心からそれぞれの重心までの距離が常に同じになるように移動させることができる。そして、2分割だけでなく、4分割やそれ以上とした場合でも、回転中心を挟んで対象位置に配置される一対の分割フライホイール同士は常に対称位置が維持されることから、フライホイール全体の重心が回転中心(ボールネジの芯)で保持することができる。
また、本発明に係る回転慣性質量ダンパーでは、左右ネジには、その右ネジと左ネジの中間位置に左右ネジを回転させるための回転操作部が同軸に固定され、回転操作部は、一対の分割フライホイール同士の離間中央に設けられていることがより好ましい。
本発明では、回転操作部を回転させることで左右ネジを介して分割フライホイールを適宜な位置に移動させて位置調整することができ、例えばマイクロメーターのように精密な寸法距離調整を行うことができる。
本発明の回転慣性質量ダンパーによれば、2部材間に近接離反する方向に相対振動が生じたときに、軸方向に移動するボールネジの回転がボールスプラインによって拘束され、ボールネジの基端部と部材との固定部にボールネジ軸まわりのトルクが生じないことから、ボールネジ軸方向力のみをもつ扱いやすい回転慣性質量ダンパーとすることができる。
本発明の第1の実施の形態による回転慣性質量ダンパーの概略構成を説明するための図である。 図1に示すA−A線矢視図であって、回転操作部が上側に位置する状態の図である。 図2に示すB−B線矢視図である。 位置調整部材の構成を説明するための縦断面図である。 図1に示すC−C線線矢視図である。 回転慣性質量ダンパーの作用を説明するための斜視図である。 本発明の第2の実施の形態による回転慣性質量ダンパーを示す図であって、図2に対応する図である。 従来の慣性質量ダンパーを説明するための図である。 従来の他の慣性質量ダンパーの構成を示す図である。
以下、本発明の第1の実施の形態による回転慣性質量ダンパーについて、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示す本第1の実施の形態による回転慣性質量ダンパー1は、例えば建物の柱梁や床或いはばねなどで互いの近接離反する方向に相対変位する2部材(図示省略)間に介装されて、それら部材間に生じる変位方向の相対加速度に応じた力を生じる装置である。ここで、前記2部材のうち、後述する回転慣性質量ダンパー1のボールネジ2の基端部2bが固定される部材を「一方の部材」とし、ハウジング4が固定される部材を「他方の部材」として、以下説明する。
図1において、符号2はボールネジであり、その外周面には長さ方向略中央から一端側にわたってネジ21が形成されている。ボールネジ2は、図示しない他方の部材に固定されているハウジング4に対して進退可能に挿通された状態で支持されており、ネジ21にはボールナット3が回転可能に螺着されている。ボールナット3は、一端(図1で紙面右端)に回転体5を備え、この回転体5を介してハウジング4に保持されており、ボールネジ2に対して回転可能となっている。
そして、ボールネジ2には、ハウジング4の後述する摺動支持部材43に対してネジ軸方向に変位自在で、且つネジ中心軸を中心とするボールネジ2の回転を規制するボールスプライン23が設けられている。ボールスプライン23は、前記ネジ21が形成されていない軸方向中央より基端部2b側の範囲で軸方向に沿って延びる案内溝であって、摺動支持部材43に係合する構成となっている。
他方の部材に取付部材41を介して固定されるハウジング4は、略中空筒状をなし、一端側(図1で紙面右側)でボールナット3に一体的に固定された回転体5を回転可能に支持する回転支持部材42と、他端側(図1で紙面左側)でボールネジ2を回転拘束しつつ軸方向に摺動可能に支持する摺動支持部材43とを備えている。他方の部材への各取付部材41は、U字状の部材からなり、一端41aがハウジング4の外周面にボルト44で固定されるとともに、他端をなす固定端41bが他方の部材に固定可能となっている(図5参照)。摺動支持部材43は、上述したボールスプライン23の溝を転がるボール(図示省略)が収容されている。
さらに、ボールネジ2は、両端部(先端部2a、基端部2b)がハウジング4から外側に突出しており、そのうちネジ21が形成されている先端部2a側には回転する錘としてのフライホイール6が配置されている。また、ボールネジ2は、ネジ21の基端寄りの位置にはボールナット3のみが螺合しており、ボールナット3に固定される回転体5、回転支持部材42、およびフライホイール6はボールネジ2に固定されず進退可能となっている。そして、ボールネジ2の基端部2bは、図示しない他方の部材に対して図示しない支持部材を介して固定されている。
つまり、上述した2つの部材が互いに近接離反するとき、一方の部材に固定されているボールネジ2が他方の部材にハウジング4を介して固定されているボールナット3に対してその軸線方向に直線運動し、これによりボールナット3がボールネジ2の軸方向へ移動せずに回転運動する構成であって、ボールネジ2の直線運動がボールナット3の回転運動に変換されるようになっている。
また、ボールネジ2のネジ21寄りの所定位置には、ボールネジ2の進退移動をボールナット3に当接させて規制するためのストッパ22が固定されている。つまり、ストッパ22は、ボールネジ2の進退移動量が大きい場合に、ネジ21が形成されていないボールネジ2の軸部がボールナット3の螺合部に進入することを防止するためのものである。
図1乃至図3に示すように、フライホイール6は、略円盤形状の部材が平面視で略半円となるように二分割されてなり、二分割された各フライホイール(以下、「分割フライホイール6A、6B」という)が前記回転体5にボルト71で固定された固定錘体7を介して取り付けられている。この固定錘体7は、平板状をなし、ボールネジ2を貫通させる穴を中心にもち回転体5にボルト71で固定され、二分割した分割フライホイール6A、6Bのそれぞれを適宜な位置で固定させるためのボルト孔72(図3参照)を有している。
図2に示すように、分割フライホイール6A、6Bは、ボールネジ2の回転中心Oを挟んで左右対称位置に配置され、互いに近接離反方向(フライホイール6の半径方向)に後述する位置調整部材8を用いて移動させることによって位置調整可能な構造となっている。
ここで、図2において、実線が双方の分割フライホイール6A、6Bの距離が最大に離れた最外側の位置であって、二点鎖線が互いに双方の距離が最小となった最内側の位置を示している。なお、分割フライホイール6A、6Bのそれぞれには、最内側に位置する際に、ボールネジ2及び後述する位置調整部材8の回転操作部82に対して干渉しないように切欠部6a、6bが形成されている。
具体的に分割フライホイール6A、6Bは、それぞれの移動方向(フライホイール6の半径方向)に延びる長穴61が形成されており、その長穴61に固定ボルト62を挿通させて固定錘体7のボルト孔72(図3参照)に螺合させることで、固定錘体7に固定され、この固定錘体7を介してボールナット3とともに回転するようになっている。つまり、固定ボルト62を緩めることで長穴61の範囲内で、分割フライホイール6A、6Bをフライホイール6の半径方向に移動させることが可能となっている。ここで、固定ボルト62にあっては、遠心力で緩まないように緩み止めネジを採用することが好ましい。
また、図2および図3に示すように、分割フライホイール6A、6Bの前面(図3では左面)には、それぞれ六角ねじ穴付きの締付け反力押さえボルト63が設けられている。この反力押さえボルト63は、分割フライホイール6A、6Bを移動させる際の固定ボルト62を締め付ける作業時に、これら分割フライホイール6A、6Bが固定ボルト62の締結とともに共回りしないように、反力押さえボルト63に六角レンチ等の工具を挿入して押さえるためのものである。
さらに、フライホイール6には、分割フライホイール6A、6Bを互いに近接離反させる方向に移動させるための位置調整部材8(位置調整手段)が設けられている。図4に示すように、位置調整部材8は、左右ネジ81と、左右ネジ81の軸方向中央位置に中心部を挿通させて一体に設けた円盤状の回転操作部82とからなる。そして、各分割フライホイール6A、6Bには、左右ネジ81の右ネジ81Aと左ネジ81Bのいずれか一方に対応するネジ孔64(64A、64B)が形成されている。
位置調整部材8は、左右ネジ81の右ネジ81Aが一方の分割フライホイール(ここでは符号6A)のネジ孔64Aに螺合するとともにし、左ネジ81Bが他方の分割フライホイール(ここでは符号6B)のネジ孔64Bに螺合した状態で、回転操作部82が分割フライホイール6A、6Bの離間中心に配置され、固定錘体7に設けた凹部に挿入されている。位置調整部材8では、回転操作部82を回転させることで左右ネジ81を介して分割フライホイール6A、6Bを適宜な位置に移動させて位置調整することができ、例えばマイクロメーターのように精密な寸法距離調整を行うことができる構成となっている。
このように構成されるフライホイール6は、位置調整部材8の回転操作部82を手動等で適宜な方向に回すことで、二分割した分割フライホイール6A、6Bを近接離反させ、回転中心O(ボールネジ2の芯)から分割フライホイール6A、6Bのそれぞれの重心までの距離を長穴61の範囲内で調整可能であり、これにより、フライホイール全体の重心位置が常に回転中心Oに保持される位置となるように位置調整可能な構成となっている。
さらに、図5に示すように、本実施の形態の回転慣性質量ダンパー1には、フライホイール6の側方及び正面を覆う開閉可能なカバー9(9A、9B)が設けられている。このカバー9は、二分割されており、それぞれが蝶番部材91で連結され、且つ連結材92で係止可能とされてなり、一方のカバー9Aがハウジング4と一体化され、他方のカバー9Bが開閉可能となっている。そのため、他方のカバー9Bを開けてフライホイール6の点検や調整作業を容易に行うことができるようになっている。
次に、このように構成される回転慣性質量ダンパー1における分割フライホイール6A、6Bの位置調整方法について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、回転慣性質量ダンパー1の慣性質量を変更する場合には、先ず分割フライホイール6A、6Bのそれぞれの固定ボルト62、62を緩め、分割フライホイール6A、6Bを固定錘体7に対して移動可能な状態とする。そして、位置調整部材8の回転操作部82を適宜な方向に回して、左右ネジ81を介して分割フライホイール6A、6Bを、固定ボルト62が長穴61内で移動できる範囲でフライホイール6の半径方向に適宜な位置まで移動させる。このとき、両分割フライホイール6A、6Bは、互いに回転中心Oからの距離が等しい対象位置となるように同調して移動する。そして、所定位置に移動させた後、固定ボルト62を締め付けて分割フライホイール6A、6Bと固定錘体7とを固定する。
次に、上述したように分割フライホイールを位置調整することが可能な回転慣性質量ダンパー1の作用について説明する。
図6において、回転操作部82を回転させたときに回転慣性質量ダンパー1の移動しない部分の回転慣性モーメントをIθ0(図示省略)とし、移動する部分(分割フライホイール6A、6B)の各々の回転慣性モーメントをIθiとし、各分割フライホイール6A、6Bの質量をそれぞれm(m、m)とし、回転中心O(ボールネジ2の芯)から各分割フライホイール6A、6Bの重心P1、P2までの距離をe(e、e)とすると、フライホイール全体の回転慣性モーメントIθは、(2)式で表せる。ここで、二分割した各分割フライホイール6A、6Bとは別に設けた移動しない固定錘体7(図1参照)は、回転慣性モーメントIθ0に含まれる。
Figure 0005410825
(2)式において、回転慣性モーメントIθiと比較してm は十分に大きく、回転中心Oからの距離eの二乗に比例することから、分割フライホイール6A,6Bを移動させてeを変化させればIθを大きく変動させることが可能となる。すなわち、図2において、移動可能な回転錘をなす分割フライホイール6A、6Bを最内側(図2で二点鎖線)に寄せた位置(例えば、e=32mm)から最外側(図2で実線)に寄せた位置(例えば、e=47mm)に移動すると、m が2倍以上に増加することから、フライホイール6をわずかに移動するだけで、フライホイール全体の回転慣性モーメントIθを大きく変動させることができる。
このように、本回転慣性質量ダンパー1では、2部材間に相対振動が生じたときに、ボールネジ2がその軸方向に移動して直線運動しつつ、その軸方向の変位量に比例して、ボールネジ2に螺合するボールナット3が回転し、ボールナット3の回転と共に固定錘体7を介して二つの分割フライホイール6A、6Bが軸まわり(ボールネジ軸まわり)に回転する。つまり、本回転慣性質量ダンパー1においては、フライホイール6により慣性質量が付与されるが、フライホイール全体の重心位置が常に回転中心に保持されるため、その回転に偏心がなく、回転時の振れを抑制することができ、回転慣性質量ダンパーとしての信頼性を高めることができる。
そして、複数に分割したそれぞれの分割フライホイール6A、6Bを固定錘体7に対してフライホイール6の半径方向へ適宜移動させて位置調整することで、フライホイール6の重量を変更することなく慣性質量を容易に変化させることができる。
さらに、ボールネジ2の一方の部材側(基端部2b側)にボールスプライン23を設けることで、ボールネジ2が中心軸線を中心にして回転しないで拘束されるため、一方の部材に固定されるボールネジ2の基端部2bに作用するボールネジ軸まわりのトルクをなくすことができる。そのため、基端部2bと一方の部材とを接合するための接合部材に回転力がかからず、接合部材の緩みや振動などの発生を抑制することができる。また、ボールネジ2として低トルク型のものを採用することで、入力変位振幅が小さい場合や振動数が高い場合であっても、安定した作動性を確保することができる。
上述のように本第1の実施の形態による回転慣性質量ダンパーでは、2部材間に近接離反する方向に相対振動が生じたときに、軸方向に移動するボールネジ2の回転がボールスプライン23によって拘束されて、ボールネジ2の基端部2bと部材との固定部に生じるボールネジ軸まわりのトルクが生じないことから、ボールネジ軸方向力のみをもつ扱いやすい回転慣性質量ダンパーとすることができる。
次に、他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態の回転慣性質量ダンパー1Aは、フライホイールを分割していない点で第1の実施の形態とは異なっている。すなわち、フライホイール60は、円形状に一体化された形状をなしている。フライホイール60の円孔部6cの内径寸法は、ボールネジ2の外径寸法より大きくなっている。ここで、図7に示す符号62は回転体5(図1参照)にフライホイール60を固定するための固定ボルトである。
第2の実施の形態による回転慣性質量ダンパー1Aでは、上述した第1の実施の形態のようにフライホイール60全体の回転慣性モーメントを変動させることはできないものの、フライホイール60の重心は常にボールネジ芯となり、偏芯は生じない。また、ボールネジ2の回転がボールスプライン23(図1参照)によって拘束されて、ボールネジ2の基端部2bと部材との固定部にボールネジ軸まわりのトルクが生じないことから、第1の実施の形態と同様に、ボールネジ軸方向力のみをもつという扱いやすさを奏する。
以上、本発明による回転慣性質量ダンパーの第1および第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本第1の実施の形態では円形のフライホイール6を二分割とし、それぞれの分割フライホイール6A、6Bが略半円形状をなしているが、分割数は3分割以上であってもかまわない。要は、フライホイール6全体での重心位置が回転中心Oとなればよいのであって、必ずしも等分に分割した形状であることに限定されることはない。全体の形状も円形に限定されず、はずみ車のように外周を重くする形態とすることも可能である。
また、本第1の実施の形態では、分割した分割フライホイール6A、6Bに長穴61を設け、左右ネジ81を備えた位置調整部材8によって分割フライホイール6A、6Bを移動させているが、このような形態の位置調整手段であることに限定されることはなく、例えば、本実施の形態の左右ネジ81を省略することも可能である。
さらに、本第1の実施の形態では締付け反力押さえボルト63が各分割フライホイール6A、6Bに対して1箇所ずつ設けた構成であって、六角ボルトを採用しているが、これに限定されることはなく、またその位置もとくに制限されることはない。例えば、一対の穴が分割フライホイールの前面に形成されており、その一対の穴のそれぞれに係合可能な突起を備えた工具を使用して、固定ボルト62の締結時に作用する分割フライホイール6A、6Bの回転を抑制するようにしてもよい。
また、ハウジングの固定方法としてU字状の取付部材41を使用せず、一般的なクレビスやボールジョイントを使用してもよい。
さらにまた、本実施の形態ではボールスプライン23のネジ軸方向の形成範囲をネジ21の部分に交わらない範囲としており、このような範囲に設定するのがダンパーの作動上好ましいが、ボールネジ2の軸方向の長さ寸法に制約がある場合には、ボールスプライン23がネジ21に交わる範囲まで延びる長さであってもかまわない。
1、1A 回転慣性質量ダンパー
2 ボールネジ
3 ボールナット
4 ハウジング
5 回転体
6、60 フライホイール
6A、6B 分割フライホイール
7 固定錘体
8 位置調整部材(位置調整手段)
9 カバー
23 ボールスプライン
42 回転支持部材
43 摺動支持部材
61 長穴
62 固定ボルト
63 締付け反力押さえボルト
64、64A、64B ネジ孔
81 左右ネジ
81A 右ネジ
81B 左ネジ
82 回転操作部

Claims (2)

  1. 互いに近接離反する方向に相対変位する2部材間に介装されていて、それら2部材間に生じる近接離反方向の相対加速度により力を生じる回転慣性質量ダンパーであって、
    外周面にネジが形成されるとともに、前記2部材のうちいずれか一方の部材に基端部が固定されたボールネジと、
    該ボールネジのネジに螺合して回転すると共に、前記2部材のうち他方の部材に対して回転可能に支持されたボールナットと、
    該ボールナットと共に前記ボールネジの回転中心を回転軸として回転するフライホイールと、
    前記ボールナットを保持するハウジングに固定されるとともに、前記ボールネジに対してネジ軸方向に摺動可能に支持された摺動支持部材と、
    を備え、
    前記ボールネジには、前記摺動支持部材に対してネジ軸方向に変位自在で、且つネジ中心軸を中心とする前記ボールネジの回転を規制するボールスプラインが設けられ
    前記フライホイールは複数の分割フライホイールに分割されており、
    前記各分割フライホイールを前記ボールネジの回転軸を中心とした半径方向に移動させる位置調整手段が設けられ、
    該位置調整手段は、前記ボールネジの回転中心を挟んで対象位置に配置される一対の前記分割フライホイール同士に螺合される左右ネジであって、その左右ネジの回転によって一対の前記分割フライホイール同士が互いに近接離反方向に移動する構成をなし、前記フライホイール全体の重心位置を前記ボールネジの回転中心に保持させることを特徴とする回転慣性質量ダンパー。
  2. 前記左右ネジには、その右ネジと左ネジの中間位置に該左右ネジを回転させるための回転操作部が同軸に固定され、
    該回転操作部は、一対の分割フライホイール同士の離間中央に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転慣性質量ダンパー。
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