JP5402060B2 - 電動車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源としてエンジンとモータとを備えた電気自動車の制御装置に関し、特に、ヒルホールド制御時などのインバータの加熱防止技術に関する。
従来、登坂路において車両を停止状態に保たせるヒルホールド制御を行なうことが知られている。このようなヒルホールド制御を、駆動源としてモータを有した車両で行なう場合、モータを、駆動力を発生させた状態で回転させないロック状態とすることから、インバータに発熱が生じる。
そこで、このような場合にインバータを冷却するようにしたものが、例えば、特許文献1などにより知られている。この従来技術では、車両がヒルホールドの状態であると、温度センサからのインバータ温度が車両駆動用のモータジェネレータの負荷率の制限を開始する制限開始温度以上のとき、インバータ装置を冷却するための冷却水の目標流量を最大流量に設定し、ウォーターポンプは目標流量に一致した流量の冷却水を冷媒路に循環させていた。
特開2008−72818号公報
しかしながら、上述の従来の電動車両の制御装置は、例えば、登坂路のヒルホールド時など、運転者のアクセル操作による車両停止状態が継続した場合、モータが回転しないロック状態でトルクを発生し続けると、そのインバータ温度上昇に対して冷却が間に合わない可能性があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、登坂路で停車状態を保つヒルホールド時など、モータがロック状態あるいは極低速回転状態で駆動を続けた場合でも、インバータおよびクラッチの温度上昇を抑制可能な電動車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電動車両の制御装置では、モータと駆動輪との駆動力伝達経路の途中にモータ側と駆動輪側とを断切可能なクラッチを備え電動車両の制御装置であって、モータを駆動させてクラッチを介して駆動輪側にモータトルクが伝達されている状態で、インバータ温度検出手段が検出するインバータ温度が、あらかじめ設定されたインバータ温度閾値を超えた場合には、モータ回転数を上昇させてクラッチのスリップ量を増加させるインバータ温度抑制処理を実行し、一方、クラッチ温度検出手段が検出するクラッチ温度が、あらかじめ設定されたクラッチ温度閾値を越えた場合には、モータ回転数を低下させてクラッチのスリップ量を低下させるクラッチ温度抑制処理を実行する制御手段を備えていることを特徴とする電動車両の制御装置とした。
本発明の電動車両の制御装置にあっては、ヒルホールド制御時など、モータで駆動トルクを出力させる一方、駆動トルクに比べてモータ回転数が上昇しない場合のように、モータやインバータで発熱が生じやすい状況では、インバータ温度が、インバータ温度閾値を超えた場合は、制御手段は、インバータ温度抑制処理を実行する。
このインバータ温度抑制処理により、モータ回転数が上昇されてクラッチのスリップ量が増大され、モータ回転数を上昇させ、インバータの発熱を抑えることができる。
一方、クラッチをスリップさせることで、クラッチ温度検出手段が検出するクラッチ温度が、クラッチ温度閾値を越えた場合、制御手段は、クラッチ温度抑制処理を実行し、モータ回転数を低下させてクラッチのスリップ量を低下させる。これにより、クラッチの出力回転数を変化させずに、クラッチのスリップ量を低下できる。そして、このようにクラッチスリップ量が低下されるため、クラッチの発熱を抑えることができる。
このように、本発明では、ヒルホールド時などに、インバータおよびクラッチの温度上昇抑制可能な電動車両の制御装置を提供することができる。
実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ17にて実行される演算処理の流れの前半部分を示すフローチャートである。 実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ17にて実行される演算処理の流れの後半部分を示すフローチャートである。 実施例1における目標駆動トルクTdを演算するのに用いるマップの一例を示す目標駆動トルク特性図である。 実施例1におけるバッテリー充電量SOCに対する目標充放電量特性(モータトルク)の一例を示す目標充放電量特性図である。 実施例1における最終第2クラッチトルク容量指令値TCL2 から第2クラッチ電流指令値Icl2 を演算するのに用いるマップを示しており、(a)はクラッチトルク容量に対するクラッチ油圧特性図であり、(b)はクラッチ油圧に対する第2クラッチ電流指令値特性図である。 ステップS5における第2クラッチ制御モードCL2MODEを設定する処理の詳細を示すフローチャートである。 第2クラッチCLにおいてスリップ回転数制御を行なう場合の、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i の演算処理の流れを示すフローチャートである。 モータ回転数とインバータ温度との関係を示すインバータ温度特性図である。 ステップS84において、基本第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i_base を演算するのに用いる基本第2クラッチ入力回転数目標値演算マップである。 ステップS87において、第2クラッチ入力回転数目標値の補正に用いる第2クラッチ入力回転数補正値演算マップである。 ステップS20において第1クラッチ電流指令値Icl1 を演算する処理の流れを示すフローチャートである。 ステップS201において第1クラッチストローク目標値xscl1 を演算するのに用いるクラッチ容量−ストローク特性を示すマップである。 ステップS202における第1クラッチ油圧指令値Pcl1の演算処理を詳細に示す制御ブロック図である。 第1クラッチCL1のクラッチ機構部の反力(油圧)−ストローク特性図である。 インバータ温度抑制処理を実行する構成を示すブロック図である。 クラッチ温度抑制処理を実行する構成を示すブロック図である。 実施例1の作動例を示すタイムチャートである。 実施例1との比較作動例を示すタイムチャートである。 実施例2のインバータ温度抑制処理およびクラッチ温度抑制処理の流れの前半部分を示すフローチャートである。 実施例2のインバータ温度抑制処理およびクラッチ温度抑制処理の流れの後半部分を示すフローチャートである。 実施例2におけるインバータ8の発熱特性図である。 実施例2のヒルホールド時のインバータ温度抑制処理の動作例を示すタイムチャートである。 実施例2のステップS2004における第2クラッチCL2のトルク容量減少時に、応答性を高める場合の動作を示すタイムチャートである。 実施例2におけるクラッチ温度上昇抑制処理の動作例を示すタイムチャートである。ある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の電動車両の制御装置は、モータ(MG)と駆動輪(LT,RT)との駆動力伝達経路の途中に設けられ、モータ側と駆動輪側とを断切可能なクラッチ(CL2)と、前記モータと電源との間で電力変換を行なうインバータ(8)と、前記クラッチ(CL2)の温度を検出するクラッチ温度検出手段(16)および前記インバータ(8)の温度を検出するインバータ温度検出手段(14)を含み、車両の状態を検出する車両状態検出手段と、前記車両状態検出手段が検出する車両状態に基づいて、前記モータの駆動力を制御するとともに、前記クラッチの締結状態を制御する制御手段(17)と、を備えた電動車両の制御装置であって、前記制御手段(17)は、前記モータを駆動させて前記クラッチを介して前記駆動輪側にモータトルクが伝達されている状態で、前記インバータ温度検出手段(14)が検出するインバータ温度が、あらかじめ設定されたインバータ温度閾値を超えた場合には、前記モータ回転数を上昇させるとともに、前記クラッチ(CL2)のスリップ量を増加させるインバータ温度抑制処理を実行し、一方、前記クラッチ温度検出手段(16)が検出するクラッチ温度が、あらかじめ設定されたクラッチ温度閾値を越えた場合には、前記モータ回転数を低下させるとともに、前記クラッチ(CL2)のスリップ量を低下させるクラッチ温度抑制処理を実行することを特徴とする電動車両の制御装置である。
図1〜図19に基づき、この発明の最良の実施の形態の実施例1の電動車両の制御装置について説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたパラレルハイブリッド車両(ハイブリッド車両
の一例)を示す全体システム図である。以下、図1に基づいて、駆動系および制御系の構
成を説明する。
実施例1のパラレルハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータ(モータ)MGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、ファイナルギヤFGと、左駆動輪LTと、右駆動輪RTと、を備えている。
実施例1のハイブリッド駆動系は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、準電気自動車走行モード(以下、「準EVモード」という。)と、駆動トルクコントロール発進モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
「EVモード」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。
「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、モータシスト走行モード・走行発電モード・エンジン走行モードの何れかにより走行するモードである。前記「準EVモード」は、第1クラッチCL1が締結状態であるがエンジンEngをOFFとし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。
「WSCモード」は、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時、または、「EVモード」や「HEVモード」からのDレンジ発進時等において、モータジェネレータMGを回転数制御させることで第2クラッチCL2のスリップ締結状態を維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start Clutch」の略である。
エンジンEngは、希薄燃焼可能であり、スロットルアクチュエータによる吸入空気量とインジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するように制御される。
第1クラッチCL1は、エンジンEngとモータジェネレータMGとの間の位置に介装される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて常時締結(ノーマルクローズ)の乾式クラッチが用いられ、エンジンEng〜モータジェネレータMG間の締結/半締結/解放を行なう。この第1クラッチCL1が完全締結状態ならモータトルク+エンジントルクが第2クラッチCL2へと伝達され、解放状態ならモータトルクのみが、第2クラッチCL2へと伝達される。なお、半締結/解放の制御は、油圧アクチュエータに対するストローク制御にて行われる。
モータジェネレータMGは、交流同期モータ構造であり、発進時や走行時に駆動トルク制御や回転数制御を行うと共に、制動時や減速時に回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーのバッテリー9への回収を行なうものである。
第2クラッチCL2は、ノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキであり、クラッチ油圧(押付力)に応じて伝達トルク(クラッチトルク容量)が発生する。この第2クラッチCL2は、自動変速機ATおよびファイナルギヤFGを介し、エンジンEngおよびモータジェネレータMG(第1クラッチCL1が締結されている場合)から出力されたトルクを左右駆動輪LT,RTへと伝達する。
なお、第2クラッチCL2としては、図1に示すように、独立のクラッチをモータジェネレータMGと自動変速機ATの間の位置に設定する以外に、自動変速機ATの各変速段にて締結される摩擦締結要素として用いられるクラッチやブレーキを流用しても良い。また、自動変速機ATと左右駆動輪LT,RTの間の位置に設定しても良い。
自動変速機ATは、有段階の変速段を得る機であり、複数の遊星歯車から構成される。変速機内部のクラッチならびにブレーキをそれぞれ締結/解放し、トルク伝達経路を変えることにより変速する。
実施例1のパラレルハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、第2クラッチ入力回転数センサ6(=モータ回転数センサ)と、第2クラッチ出力回転数センサ7と、インバータ8と、バッテリー9と、アクセルセンサ10と、路面傾斜角度センサ30と、エンジン回転数センサ11と、変速機油温センサ12と、ストロークセンサ13と、インバータ温度センサ14と、第1クラッチ油温センサ15と、第2クラッチ油温センサ16と、統合コントローラ17と、変速機コントローラ18と、クラッチコントローラ19と、エンジンコントローラ20と、モータコントローラ21と、バッテリーコントローラ22と、を備えている。
インバータ8は、直流/交流の変換を行ない、モータジェネレータMGの駆動電流を生成する。バッテリー9は、モータジェネレータMGからの回生エネルギーを、インバータ8を介して蓄積する。
統合コントローラ17は、バッテリー状態、アクセル開度、および車速(変速機出力回転数に同期した値)から目標駆動トルクTdを演算する。そして、その結果に基づき各アクチュエータ(モータジェネレータMG、エンジンEng、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、自動変速機AT)に対する指令値を演算し、各コントローラ18〜22へと送信する。
変速機コントローラ18は、統合コントローラ17からの変速指令を達成するように変速制御を行なう。
クラッチコントローラ19は、第2クラッチ入力回転数センサ6と第2クラッチ出力回転数センサ7と第2クラッチ油温センサ16からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ17からの第1クラッチ油圧指令値と第2クラッチ油圧指令値に対して、クラッチ油圧(電流)指令値を実現するようにソレノイドバルブの電流を制御する。
エンジンコントローラ20は、エンジン回転数センサ11からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ17からのエンジントルク指令値を達成するようにエンジントルク制御を行なう。
モータコントローラ21は、統合コントローラ17からのモータトルク指令値Tmやモータ回転数指令値(第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i )を達成するようにモータジェネレータMGの制御を行なう。
バッテリーコントローラ22は、バッテリー9の充電状態(SOC)を管理し、その情報を統合コントローラ17へと送信する。
次に、実施例1の統合コントローラ17にて実行されるモータ温度抑制処理を含む処理内容を、図2および図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、両図に示す処理内容は、一定のサンプリング周波数で実行されることとする。
ステップS1では、バッテリー充電量SOC、自動変速機ATのシフト位置、第2クラッチCL2の入出力回転数、車速Vsp、第1クラッチストローク計測値xscl1、インバータ温度Temp_INV、第1・第2クラッチ温度Temp_cl1,Temp_cl2といった車両状態を示すデータを受信し、次のステップS2に進む。
ステップS2では、アクセル開度Apoを計測し、ステップS3に進む。
ステップS3では、アクセル開度Apo、車速Vspから目標駆動トルクTdを演算し、ステップS4に進む。なお、詳細については省略するが、目標駆動トルクTdは、例えば、図4に示すようなマップに基づいて演算することができる。
ステップS4では、バッテリー充電量SOCや目標駆動トルクTdおよび車速Vspといった車両状態に基づいて、第1クラッチ制御モードフラグfCL1の判断および設定を行ない、ステップS5に進む。第1クラッチ制御モードフラグfCL1とは、第1クラッチCL1を締結するモード(fCL1=1で、エンジン始動時などのHEVモードWSCモード時に設定される)と、第1クラッチCL1を解放するモード(fCL1=0で、EVモード時に設定される)を備えている。
なお、ここでは、第1クラッチ制御モードフラグfCL1の設定の詳細な説明は省略するが、例えば、低加速での発進といった比較的エンジンEngの効率が良くない走行シーンでは、EVモード走行とするため、第1クラッチCL1は解放(fCL1=0)する。
また、バッテリー充電量SOCがあらかじめ設定された充電量設定値SOCth1以下、あるいは目標駆動トルクTdが、EVモード走行時の最大駆動トルクTdmax以上となった場合に、EVモード走行は困難であるから、HEVモードで走行するために、第1クラッチCL1を半締結または締結(fCL1=1)する。図5に、バッテリー充電量SOCに対する目標充放電量特性(モータトルク)の一例を示す。このように、バッテリー充電量SOCが、基準値よりも低くなれば、目標充放電量が低く設定されて充電され、バッテリー充電量SOCが高くなれば、目標充放電量が高く設定されて放電される。
また、本実施例1では、路面傾斜角度センサ30があらかじめ設定された角度以上の登坂路を検出した場合は、停車時でもエンジンEngを停止することなく、第1クラッチCL1を締結する。
ステップS5では、バッテリー充電量SOC、目標駆動トルクTd、第1クラッチ制御モードフラグfCL1および車速Vspといった車両状態に基づいて、第2クラッチ制御モードCL2MODEの判断および設定を行ない、ステップS7に進む。なお、第2クラッチ制御モードCL2MODEは、第2クラッチCL2を、締結、解放、スリップのいずれの状態に制御するかを決定するもので、その詳細については後述する。
ステップS6では、各クラッチCL1,CL2の制御モードと車両状態とに基づいて、目標駆動トルクTdのエンジンEngとモータジェネレータMGとの分担を決定する。すなわち、エンジンEngの駆動トルク配分量に応じた基本エンジントルク指令値Te_base を決定するとともに、モータジェネレータMGの駆動トルク配分量に応じた基本モータトルク指令値Tm_base を決定し、ステップS7に進む。なお、このトルク配分の方法はさまざま考えられるが、本実施例では、可能な限りモータジェネレータMGに配分し、目標駆動トルクTdに対して不足した分をエンジンEngに配分する。
ステップS7では、インバータ温度Temp_INV、各クラッチ温度Temp_cl1、Temp_cl2、および第2クラッチ出力軸回転数計測値ωcl2oから各クラッチCL1,CL2の入力回転数である第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i および第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を演算する。なお、詳細については後述する。
ステップS8では、第1クラッチCL1のスリップ回転数制御を実行するか否かの判断を行ない。スリップ回転数制御を行なう場合はステップS9に進み、スリップ回転数制御を行なわない場合はステップS11に進む。ここで、第1クラッチスリップ回転数制御の実行(ON)条件は、ステップS4で判断した第1クラッチ状態がスリップまたは締結と設定され、かつステップS7で演算した第1クラッチCL1と第2クラッチCL2の回転数目標値が同値でなく、かつ実際のスリップ回転数(第1クラッチ入力回転数−第1クラッチ出力回転数)絶対値があらかじめ設定された設置値以上となった場合である。それ以外は、スリップ回転数制御をOFFとしてS11へ進む。なお、本発明の特徴であるインバータ温度抑制処理を実行する場合は、第1クラッチCL1のスリップ回転数制御が実行される。
ステップS9では、第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i と第1クラッチ入力回転数計測値ωcl1iとが一致するように回転数制御用エンジントルク指令値Te_FB_ONを演算する。演算方法は様々考えられるが、本実施例1では、PI制御に基づいて、下記の式(1)により演算する。実際の演算はタスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
e_FB_ON={(KPes+KIe)/s}(ωclIi −ωclIi) ・・(1)
ただし、Kpeはエンジン制御用比例ゲイン、KIeはエンジン制御用積分ゲイン、sは微分演算子である。
ステップS10では、回転数制御用第1クラッチトルク容量指令値Tcl1_FB_ONを演算する。基本的には、ステップS6で算出した基本エンジントルク指令値Te_base と同値とする。さらに、ステップS9と同様の処理を行なうように構成したF/B補償器で補正を施してもよい。
ステップS11では、前述した回転数制御用エンジントルク指令値Te_FB_ONを演算するための内部状態変数を初期化する。
ステップS12では、回転数制御を行なわない場合、すなわち第1クラッチCL1を締結する場合、開放する場合、もしくは締結状態→回転数制御(スリップ制御)を行なう場合に場合分けし、クラッチトルク容量指令値Tcl1_FB_OFFを演算する。
(締結する場合)
1−a)TclI_z1 <Te×Ksafeであれば下記の式(2)により求める。
cl1_FB_OFF=TclI_z1 +ΔTcl1LU ・・・(2)
1−b)TclI_z1*≧Te×Ksafeであれば下記の式(3)により求める。
cl1_FB_OFFF=Te×Ksafe ・・・(3)
(開放する場合)
cl1_FB_OFF=0 ・・・(4)
(締結→スリップ状態にする場合)
cl1_FB_OFF=TclI_z1 −ΔTcl1slp ・・・(5)
ただし、Ksafeはクラッチ安全率係数(>1)、ΔTcl1LUはスリップ(または開放)から締結移行時のトルク容量変化率、ΔTcl1slpは締結→スリップ移行時トルク容量変化率、TclI_z1 は最終第1トルク指令値前回値である。
ステップS13では、第2クラッチCL2のスリップ回転数制御(WSC)を実行するか否かの判断を行なう。この場合、ステップS5で設定された第2クラッチ制御モードCL2MODEがスリップのモード(CL2MODE=2)であり、かつ、実際のスリップ回転数(第2クラッチ入力回転数−第2クラッチ出力回転数)の絶対値が、設定値以上となった場合は、スリップ回転数制御をONとしてステップS14へ進む。一方、第2クラッチ制御モードCL2MODEが、解放(CL2MODE=0)または締結(CL2MODE=1)と設定されている場合は、スリップ回転数制御をOFFとしてステップS16へ進む。なお、本発明の特徴であるインバータ温度抑制処理を実行する場合は、第2クラッチCL2のスリップ回転数制御が実行される。
ステップS14では、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i と第2クラッチ入力回転数計測値ωcl2iとが一致するように回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONを演算し、ステップS15に進む。この回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONの演算方法は、様々考えられるが、本実施例1では、下記の式(1)に基づいて、PI制御による演算を行なう。この演算は、本実施例1では、タスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
m_FB_ON={(KpmS+Klm)/s}(ωCL2i*−ωCL2i)・・・(6)
なお、上記式(1)において、Kpmは、モータ制御用比例ゲイン、Klmは、モータ制御用積分ゲインである。
ステップS15では、回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONを演算し、ステップS17に進む。この回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONは、基本的には、目標駆動トルクTdと同値とする。さらに、第1クラッチCL1と同様にフィードバック補償機で補正を行ってもよい。
ステップS16では、前述した回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONならびに回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONを演算するための内部状態変数を初期化し、ステップS18に進む。
ステップS17では、回転数制御を行なわない場合、すなわち、第2クラッチCL2を締結する場合と、解放する場合と、締結状態→回転数制御を行なう(スリップ状態にする)場合とに場合分けしてクラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_OFFを演算し、ステップS18に進む。
ここで、クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_OFFは、締結する場合と、解放する場合と、締結状態から回転数制御を行なう場合とは、それぞれ、下記の式(7)(8)(9)(10)に基づいて求める。
(締結する場合)
<Tcl2_z1 <Td×Ksafeの場合>
cl2_FB_OFF=Tcl2_z1 +ΔTcl2LU ・・・(7)
<Tcl2_z1 Td×Ksafeの場合>
cl2_FB_OFF=Td×Ksafe ・・・(8)
(解放する場合)
Cl2_FB_OFF=0 ・・・(9)
(締結→スリップ状態にする場合)
cl2_FB_OFF=Tcl2_Z1 −ΔTcl2slp ・・・(10)
ただし、上記式(7)〜(10)において、ΔTcl2LUは、スリップ(または解放)→締結移行時のトルク容量変化率、ΔTcl2slpは、締結→スリップ移行時トルク容量変化率、Tcl2_Z1 は、最終第2トルク指令値前回値である。
ステップS18では、以下の条件に基づき最終第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 を決定し、次のステップS19に進む。なお、最終第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 を決定するのにあたり、エンジン始動中でない場合は、下記の式(11)に基づいて決定し、エンジン始動中の場合は、下記の式(12)に基づいて決定する。
cl1 =Tcl1_crank_OFF ・・・(11)
cl1 =Tcl_crank_ON ・・・(12)
ステップS19では、最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 を決定し、ステップS20に進む。この最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 を決定するのにあたり、スリップ回転数制御中の場合は、下記の式(13)により求め、スリップ回転数制御停止の場合は、下記の式(14)により求める。
cl2 =Tcl2_FB_ON ・・・(13)
cl2 =Tcl2_FB_OFF ・・・(14)
ステップS20では、最終第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 から第1クラッチCL1の締結油圧を制御するソレノイドバルブへの第1クラッチ電流指令値Icl1 を演算する。なお、第1クラッチ電流指令値Icl1 の詳細な演算方法については後述する。
ステップS21では、最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 から、第2クラッチCL2にかかる油圧を制御するソレノイドバルブへの第2クラッチ電流指令値Icl2 を演算する。この第2クラッチ電流指令値Icl2 の演算は、予め取得した特性に基づき作成した図6に示すマップに基づいて行なう。これにより、油圧や電流に対してクラッチトルク容量が非線形な特性を有している場合でも、制御対象を線形としてみなすことができるため、前述したような線形制御理論を適用することができる。
ステップS22では、モータトルク指令値Tmを決定し、ステップS23に進む。なお、モータトルク指令値Tmを決定するのにあたり、第2クラッチCL2が回転数制御中の場合は、下記の式(15)に基づいて決定し、第2クラッチCL2回転数制御停止の場合は、下記の式(16)に基づいて決定する。
Tm=Tm_FB_ON ・・・(15)
Tm=Tm_base ・・・(16)
ステップS23では、最終エンジントルク指令値Teを決定し、ステップS24に進む。なお、最終エンジントルク指令値Teを決定するのにあたり、第1クラッチCL1が回転制御中の場合は、下記の式(17)に基づいて決定し、第1クラッチCL1が回転制御停止中の場合は、下記の式(18)に基づいて決定する。
Te=Te_FB_ON ・・・(17)
Te=Te_base ・・・(18)
ステップS24では、ステップS20〜S23で得られた第2クラッチ電流指令値Icl2 、第1クラッチ電流指令値Icl1 、モータトルク指令値Tm、最終エンジントルク指令値Teを各コントローラ18〜22へ送信する。以上で、統合コントローラ17における1回のサンプリング周期で実行される処理の流れを終える。
(第2クラッチ制御モードCL2MODEの設定方法の詳細)
次に、ステップS5の第2クラッチ制御モードCL2MODEの設定方法の詳細について説明する。この第2クラッチ制御モードCL2MODEは、バッテリー充電量SOC、目標駆動トルクTd、第1クラッチ制御モードフラグfCL1および車速Vspといった車両状態から設定する。以下、その詳細を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
S51では、第1クラッチ制御モードフラグfCL1を判別し、第1クラッチ制御モードフラグfCL1が、解放モード(fCL1=0でありエンジン停止)の場合はステップS52に進み、締結モード(fCL1=1でありエンジン始動)の場合はS55へ進む。
S52では、車速Vspがゼロ(停止)か否かを判定し、停止している場合は、ステップS53に進み、それ以外はステップS54に進む。
S53では、第2クラッチ制御モードCL2MODEを締結モード(CL2MODE=1)として、1回の処理を終える。また、S54では、第2クラッチ制御モードCL2MODEをスリップモード(CL2MODE=2)として、1回の処理を終える。
S55では、車速Vspが、あらかじめ設定した設定値Vth1(例えば、エンジンEngが始動できる最低車速)より高いか否かを判定し、設定値Vth1よりも低い場合はステップS56へ進み、設定値Vth1よりも高い場合はステップS58に進む。
ステップS56では、目標駆動トルクTdの符号を判別し、正値の場合にはステップS54へ、負値の場合にはステップS57へ進む。
ステップS57では、第2クラッチ制御モードCL2MODEを解放モード(CL2MODE=0)として、1回の処理を終える。
ステップS58では、前回の第2クラッチ制御モードCL2MODEが締結モード(CL2MODE=1)か否かを判定し、締結モードの場合はステップS53へ進み、それ以外の場合はステップS59へ進む。
ステップS59では、エンジン回転数計測値ωe、第2クラッチスリップ回転数計測値ωcl2slpが以下のスリップ継続条件を満たすか否か判定し、満たす場合はステップS54に進んで、スリップを開始または継続し、スリップ継続条件を満たさない場合には、ステップS53に進んで、スリップを終了して締結モードへ移行する。ここで、スリップ継続条件を満たす場合とは、ωe≠ωcl2i(すなわち、第1クラッチCL1解放またはスリップ)、または、ωcl2slp>ωcl2slpthが成立する場合である。
次に、ステップS7における各クラッチCL1,CL2の入力回転数目標値ωcl1i 、ωcl2i の演算方法の詳細について説明する。
(第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i の演算方法)
まず、第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i の演算方法について説明する。
図1に示すように、第1クラッチCL1の入力側はエンジンEngと直結しているため、少なくともエンジンEngがストールしない回転数に設定する必要があり、また、より低い方が第1クラッチCL1の発熱量は小さくなる。したがって、第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i は、エンジンがストールしない最低回転数ωe_MINと第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i との高い方の値に設定する。
(第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i の演算方法)
次に、第2クラッチCLにおいてスリップ回転数制御を行なう場合の、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i の演算処理の流れを、図8のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS81では、第1クラッチ温度Temp_cl1および第2クラッチ温度Temp_cl2から各クラッチCL1,CL2の上限温度までの差分である第1クラッチ余裕温度Temp_mag_cl1および第2クラッチ余裕温度Temp_mag_cl2を演算する。
ステップS82では、インバータ温度Temp_INVが、あらかじめ設定されたインバータ温度閾値Temp_INV_th以上か否かを判定し、インバータ温度閾値Temp_INV_th以上でステップS83に進み、インバータ温度閾値Temp_INV_th未満でステップS85に進む。なお、インバータ温度閾値Temp_INV_thは、インバータ上限温度以下とし、上限値に対し余裕を持たせることで、さらに目標駆動トルクTdが増加した場合でも対応することができる。
ステップS83では、前回のモータ指令値Tm_z1 から、予めマップとして設定された図9に示すインバータ温度特性に基づいて、インバータ上限温度回転数ωTINV_MAXを演算する。
ステップS84では、インバータ上限温度回転数ωTINV_MAXと第2クラッチ出力軸回転数計測値ωcl2oとの小さい方を下限値とし、基本第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i_base を演算する。実際には、各クラッチ余裕温度Temp_mag_cl1、Temp_mag_cl2の偏差(=Temp_mag_cl2−Temp_mag_cl1)から、図10に示す基本第2クラッチ入力回転数目標値演算マップに基づき演算する。この基本第2クラッチ入力回転数目標値演算マップに示すように、基本第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i_base は、第2クラッチ余裕温度Temp_mag_cl2が小さくなるほど、その値が小さくなる、すなわちロック状態に近づくように設定されている。
ステップS85では、ステップS84における下限値を、第2クラッチ出力軸回転数計測値ωcl2oとし、同様の方法で基本第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i_base を演算する。
ステップS86では、インバータ温度Temp_INVから上限温度までの差分であるインバータ余裕温度Temp_mag_INVを演算する。
ステップS87では、インバータ余裕温度Temp_mag_INVが零の場合に、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i が、非ロック回転数(それ以上回転数を上げてもインバータ温度が下がらない値)ωUN_LOCK以上となるように補正を行なう。実際には、下記のa)b)の条件に基づき、最終的な第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を演算する。
a)ωcl2i_base ≧ωUN_LOCK
ωcl2i =ωcl2i_base
2) ωcl2i_base*<ωUN_LOCK
ωcl2i =ωcl2i_base+ωcl2i_hosei
ただし、ωcl2i_hoseiは第2クラッチ入力回転数補正値であり、例えば図11に示すマップに基づき、インバータ余裕温度Temp_mag_INVから演算する。このマップに示されるように、第2クラッチ入力回転数補正値ωcl2i_hoseiは、インバータ余裕温度Temp_mag_INVが小さいほど大きくなる、すなわちモータ回転数が高まる特性となっている。
次に、ステップS20で行う処理である、第1クラッチ電流指令値Icl1 の演算方法について、図12に基づいて説明する。
ステップS201では、最終第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 から、予め取得したクラッチトルク容量−ストローク特性により作成した図13に示すマップを用いて第1クラッチストローク目標値xscl1 を演算する。
ステップS202では、第1クラッチストローク目標値xscl1 と第1クラッチストローク計測値xscl1とから第1クラッチ油圧指令値Pcl1を、演算する。なお、第1クラッチ油圧指令値Pcl1を演算する詳細については、後述する。
ステップS203では、図15に示すクラッチ機構部の反力(油圧)−ストローク特性の傾き(ダイアフラムスプリングのバネ特性)が設計者の所望する特性となるように、第1クラッチ油圧指令値Pcl1 を補正する。この補正の詳細についても、後述する。
そして、S204では、最終油圧指令値Pcl1_comから、予め取得した特性に基づき作成した図6(b)に示すマップを用いて第1クラッチ電流指令値Icl1 を算出する。
次に、ステップS202における第1クラッチ油圧指令値Pcl1の演算の詳細について説明する。本実施例1では、前述した第2クラッチ回転数制御と同様に、図14の第1クラッチストローク制御系ブロック図に示す2自由度制御手法を採用している。
まず、第1クラッチストローク目標値xscl1 から、下記の式(19)に示すような規範応答伝達特性と、後述する油圧補正後の制御対象伝達特性の逆系からなる位相補償フィルタを用いてフィードフォワード油圧指令値Pcl1_FFを演算する。
cl1_FF/xscl1 =Gcl1_FF(s)
=(Ms+Cs+Kref)ω ref/(s+2ζrefωrefs+ω ref) ・・(19)
ただし、上記式(19)において、Cは第1クラッチ機構部粘性係数、Krefは油圧補正後の制御対象ばね定数、ζrefは第1クラッチ規範応答減衰係数、ωrefは第1クラッチ規範応答固有振動数、Mはクラッチ質量である。
次に、第1クラッチストローク目標値xscl1 から、下記の式(20)に示すような規範応答伝達特性を表すフィルタを用いて第1クラッチストローク規範値xscl1_refを演算する。
scl1_ref/xscl1 =Gref_cl1(s)
=ω ref/s+2ζrefωref・s+ω ref ・・・(20)
次に、第1クラッチストローク規範値xscl1_refと第1クラッチストローク計測値xscl1の偏差xscl1_errから、下記の式(21)に基づきフィードバック油圧指令値Pcl1_FBを演算する。
cl1_FB/xscl1_err=GFB_cl1(s)
=(KPgain_cl1・s+KIgain_cl1+KDgain_cl1・s)/s ・・・(21)
ただし、KPgain_cl1は比例ゲイン、KIgaincl_cl1は積分ゲイン、KDgain_cl1は微分ゲインである。
そして、最後にフィードフォワード油圧指令値Pcl1_FFとフィードバック油圧指令値Pcl1_FBとを加算し、第1クラッチ油圧指令値Pcl1 とする。
次に、ステップS203における第1クラッチ油圧指令値Pcl1 の補正の詳細について説明する。
この補正として、本実施例1では、下記の第1補正方法と、第2補正方法とのいずれかの方法を用いるものとする。
まず、第1補正方法について説明すると、この補正は、図13に示す特性に基づいて作成した第1クラッチストローク計測値xscl1と第1クラッチ油圧推定値Pcl1_estとの関係を示すマップに基づき、第1クラッチストローク計測値xscl1から第1クラッチ油圧推定値Pcl1_estを求める。また、規範ばね特性を用いて演算した反力規範値Pcl1_refを求める。そして、下記の式(22)を用いて第1クラッチ油圧推定値Pcl1_estと反力規範値Pcl1_refとの差分から、油圧補正値Pcl1_hoseiを演算する。
cl1_hosei=Pcl1_ref−Pcl1_est
=Kref・xscl1−fxscl1−P(xscl1) ・・・(22)
ただし、fxscl1−P()は、油圧−ストローク特性を示す関数である。
また、油圧補正値Pcl1_hoseiは、図13に示すスプリング反力特性の傾きを近似したばね定数Kpを求め、下記の式(23)を用いて演算してもよい。
cl1_hosei=Pcl1_ref−Pcl1_est
=Kref・xscl1−K・xscl1 ・・・(23)
なお、上記式(23)を用いて予め各ストローク毎の補正値を演算しておき、マップにしておいてもよい。
以上のようにして算出した油圧補正値Pcl1_hoseiと第1クラッチ油圧指令値Pcl1 とから、下記の式(24)に基づいて最終油圧指令値Pcl1_comを演算する。
cl1_com=Pcl1 −Pcl1_hosei ・・・(24)
次に、第2の補正方法について説明する。
まず、図15に示すように、各ストローク(動作点)毎に原点を結んだ直線の傾きをバネ定数としモデル(マップ)化する。
このようにして求めた制御対象Kpのバネ定数と規範バネ特性Krefから、下記の式(25)に基づき最終油圧指令値Pcl1_comを演算する。
cl1_com=(Kp/Kref)Pcl1 ・・・(25)
次に、統合コントローラ17において、インバータ温度抑制処理およびクラッチ温度抑制処理を実行する構成を、図16、図17のブロック図により簡単に説明する。
インバータ温度抑制処理を実行するのにあたり、回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONおよび回転数制御用エンジントルク指令値Te_FB_ONを演算する構成として、図16に示すように、クラッチ入力回転数目標値演算手段161、モータトルク指令値演算手段162、エンジントルク指令値演算手段163を備えている。
クラッチ入力回転数目標値演算手段161は、第2クラッチ出力回転数センサ7、第2クラッチ油温センサ16、インバータ温度センサ14、第1クラッチ油温センサ15からの入力に基づいて、第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i および第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を演算する。すなわち、ステップS7の処理を実行する部分である。
モータトルク指令値演算手段162は、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i に基づいて、回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONを演算するもので、ステップS14の処理を実行する部分である。なお、回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONは、モータコントローラ21に出力される。
エンジントルク指令値演算手段163は、第1クラッチ入力回転数目標値ωcl1i に基づいて回転数制御用エンジントルク指令値Te_FB_ONを演算するもので、ステップS9の処理を実行する部分である。なお、回転数制御用エンジントルク指令値Te_FB_ONはエンジンコントローラ20に出力される。
また、インバータ温度抑制処理を実行するのにあたり、図17に示すように、回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONおよび回転数制御用第1クラッチトルク容量指令値Tcl1_FB_ONを演算するクラッチトルク容量指令手段171を備えている。
クラッチトルク容量指令手段171は、ステップS10およびS15の処理を実行する部分であり、前述のように、回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONは、本実施例1では、車両状態と運転者操作量に基づいて演算した目標駆動トルクTdと同値とする。また、回転数制御用第1クラッチトルク容量指令値Tcl1_FB_ONも、ステップS6において、目標駆動トルクTdに基づいて算出された基本エンジントルク指令値Te_base と同値とする。
次に、図18および図19に基づいて実施例1の作用を説明する。
図18は、本実施例1の作動例を示しており、図19は、本実施例1において図8に示すインバータ温度およびクラッチ温度に基づく第2クラッチCL2のスリップ制御を実行しない従来技術に相当する比較例の作動例を示している。図18,図19に示す両作動例では、100Nmの走行抵抗が発生する勾配に停車し、その後、図においてt01、t11の時点から、運転者のアクセル操作により駆動トルクと走行抵抗を一致させることにより、停止状態を保持(ヒルホールド)させようとした例を示している。
ここで、図19の比較例では、停車時(t00)には、エンジンEngが停止され、第1クラッチCL1が解放されている。そして、運転者がアクセル操作を行なってヒルホールドの実行を開始したt01の時点から、モータジェネレータMGの出力トルクが立上がり、かつ、第2クラッチCL2のクラッチトルク容量が高まり、モータトルクが左右駆動輪LT,RTに伝達されている。
このヒルホールド実行時には、モータジェネレータMGにおいて、トルクは出力されているが、車両は停車状態に維持され、第2クラッチCL2は、ロックされ第2クラッチ回転数は、0rad/sに維持される。
このようなロック状態では、図示のようにインバータ8の温度が上昇し、図においてt02に示す時点で、インバータ過温度によるトルク制限がかかって、モータジェネレータMGの出力が低下する。このため、その後、t03の時点以降、第2クラッチCL2の回転数が0rad/sから低下し、車両のロールバックが発生している。
それに対し、図18に示す本実施例1の作動例では、車両停止時(t00)において、エンジンEngは停止されることなく、ステップS59の処理に基づいて、ストールしない回転数に設定される。また、モータジェネレータMGの回転数である第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i も、ステップS87の処理に基づいて設定される。なお、t00の時点からt11の時点までは、車両は運転者のブレーキ操作により停止しており、この時点は、両クラッチCL1、CL2は、解放状態となっている。
そして、運転者がアクセル操作を行なって、ヒルホールドを開始した時点t11から、両クラッチ容量が立ち上げられ、第2クラッチCL2を経由して出力されるトルクで、停車状態に維持される。このヒルホールドの開始時点t11からモータジェネレータMGがロック状態となるため、インバータ8の温度が上昇し始める。
そして、インバータ温度Temp_INVが、インバータ温度閾値Temp_INV_th以上となると、ステップS87の処理に基づいて、インバータ余裕温度Temp_mag_INVが0となるのに対応して第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i が上昇される(インバータ温度抑制処理の実行)。これに伴い、モータジェネレータMGの回転数が上昇されるとともに、第2クラッチCL2の滑り量を増大され、インバータ温度Temp_INVが低下する。したがって、このt12以降は、モータジェネレータMGは非ロック状態となる。
一方、このt12の時点から第2クラッチCL2をスリップさせるため、第2クラッチ温度Temp_cl2が上昇を開始する。
その後、第2クラッチ温度Temp_cl2が上昇し、第2クラッチ上限値Temp_cl2thに達すると、ステップS84の処理に基づき、すなわち、第2クラッチ余裕温度Temp_mag_cl2の低下に応じて第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i が低下される(クラッチ温度抑制処理の実行)。よって、t13の時点でモータジェネレータMGの回転数が低下され、第2クラッチCL2は滑りの無いロック状態に戻る。なお、図18に示した例では、モータジェネレータMGのトルクは、一時的に、エンジンEngの駆動力により発電を行なうマイナスのレベルまで低下されている。
したがって、第2クラッチCL2の温度が低下し、一方、インバータ8の温度は、再び上昇を開始する。このように、本実施例1では、インバータ温度Temp_INVが上限値よりも低い、インバータ温度閾値Temp_INV_thを越えて上限値まで達することがないとともに、第2クラッチ温度Temp_cl2が上限値を超えることがない。よって、インバータ温度が上昇してモータジェネレータの出力トルクが低減して、ロールバックが生じるという不具合の発生を抑制できる。
以上説明したように、本実施例1では、以下に列挙する効果を奏する。
a)ヒルホールド時など、モータジェネレータMGで駆動トルクを出力させる一方、停車状態を維持させた場合に、インバータ温度Temp_INVがインバータ温度閾値Temp_INV_thを越えると、インバータ温度抑制処理を実行し、モータジェネレータMGの回転数を上昇せるとともに、第2クラッチCL2をスリップさせ、第2クラッチCL2の出力回転数を0rad/sに維持させるようにした。
よって、インバータ8の発熱を抑えることができ、この発熱を原因としたロールバックの発生を抑制できる。
b)上記インバータ温度抑制処理を実行した際に、第2クラッチ温度Temp_cl2が第2クラッチ上限値Temp_cl2thに達したときには、クラッチ温度抑制処理を実行して、モータジェネレータMGのトルクを低下させ、第2クラッチCL2を締結状態に戻すようにした。
このため、上記a)のように、インバータ温度Temp_INVを抑えながらも、スリップさせる第2クラッチCL2の発熱を抑え、この第2クラッチCL2の耐久性低下や、スリップ過剰によるロールバックの発生などを抑えることができる。
c)インバータ温度抑制処理の実行時に、モータトルクからインバータ温度が過温度とならない回転数であるインバータ上限温度回転数ωTINV_MAXを演算し、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i をインバータ上限温度回転数ωTINV_MAX以上に制御するようにした。
したがって、インバータ温度Temp_INVを、インバータ温度閾値Temp_INV_th以下に保ちながら、第2クラッチCL2の発熱量を低減可能である。
d)登坂路停車時には、エンジンEngを駆動状態に維持し、第1クラッチCL1を締結し、エンジンEngの駆動力も、左右駆動輪LT,RT側へ出力するようにしている。このため、ヒルホールド時に、モータジェネレータMGの出力トルクが、従来と比較して小さくて済み、ロック状態となったときの発熱量が低下されている。
加えて、その後の発進時に、エンジン始動を行なう必要が無く、モータジェネレータMGの出力トルクの全てを車両の加速に用いることができるのに加え、必要に応じ、エンジンEngの出力トルクも車両の加速に用いることができ、高い加速感を得ることが可能である。
(他の実施例)
以下に、他の実施例について説明するが、これら他の実施例は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1あるいは他の実施例と共通する構成については共通する符号を付けることで説明を省略する。
実施例2では、インバータ温度抑制処理が実施例1と異なる。そこで、まず、図20、図21のフローチャートに基づいて、インバータ温度抑制処理の流れを説明する。
ステップS2001では、モータジェネレータMGがロック状態であるか否か判定し、ロック状態の場合はステップS2002に進み、非ロック状態の場合は、1回の処理を終了する。
ステップS2002では、インバータ温度Temp_INVが、あらかじめ設定されたインバータ温度閾値Temp_INV_th以上か否か判定し、越えた場合はステップS2003に進み、越えない場合はステップS2015に進む。
ステップS2003では、ステップS2002においてインバータ温度Temp_INVが、インバータ温度閾値Temp_INV_thを越えた後、さらにあらかじめ設定されたロック回避動作要否判定時間tthが経過したか否か判定し、経過した場合はステップS2004に進み、経過しない場合は1回の処理を終了する。
ステップS2002で用いるインバータ温度閾値Temp_INV_thは、インバータ8の上限温度よりも低く設定されている。すなわち、インバータ8の発熱特性が図22に示すような特性を有し、上限値まで上昇する時定数Xを有する場合、ロック回避動作要否判定時間tth前の時点の温度ΔTjを、インバータ温度閾値Temp_INV_thに設定している。
ステップS2004では、第2クラッチCL2のトルク容量を減少させる指令を出力するとともに、モータジェネレータMGが出力するモータトルクの出力アップを指令し、ステップS2005に進む。
ステップS2005では、モータトルク出力指令値があらかじめ設定されたエンジン始動判定値を越えたか否か判定し、越えた場合はステップS2012に進み、越えない場合はステップS2006に進む。なお、エンジン始動判定値は、モータトルクの最大出力からエンジン始動に必要なトルクを差し引いた値よりも僅かに小さな値に設定されており、ヒルホールド状態を維持しながらエンジン始動を行なうことができる限界値である。
ステップS2006では、モータジェネレータMGの回転を検出したか否か判定し、回転検出時には、ステップS2007に進み、回転を検出しない場合はステップS2004に戻り、さらに、第2クラッチCL2のトルク容量源と、モータトルクアップを行なう。
ステップS2007では、第2クラッチCL2のトルク容量を保持し、モータジェネレータMGの回転数を、非ロック目標回転数に制御し、ステップS2008に進む。
このときの、モータジェネレータMGの回転数である目標入力回転数ωmtの演算方法について説明する。
この目標入力回転数ωmtは、第2クラッチCL2のトルク容量および出力回転数から求めた第2クラッチCL2の温度上昇を防止できる回転数であるクラッチ温度上昇防止回転数ωcl_tempと、モータ非ロック回転数ωm_LOCKOFFとに応じて設定する。
ここで、ωcl_temp≧ωm_LOCKOFFの場合は、ωmt≧ωcl_tempとする。
一方、ωcl_temp<ωm_LOCKOFFの場合は、第2クラッチ温度Temp_cl2に応じ、第2クラッチ温度Temp_cl2があらかじめ設定されたクラッチ過温度閾値Temp_th未満の場合は、ωmt≧ωcl_tempとする。また、第2クラッチ温度Temp_cl2があらかじめ設定されたクラッチ過温度閾値Temp_th以上の場合は、ωmt≦ωcl_tempとする。
ステップS2008では、要求駆動トルクに応じて、第2クラッチCL2のトルク容量を可変制御し、ステップS2009に進む。
ステップS2009では、ステップS2005と同様にモータトルク出力指令値が、エンジン始動判定値を越えたか否か判定し、越えた場合はステップS2012に進み、越えない場合はステップS2010に進む。
ステップS2010では、出力回転がモータ回転数Nmを超えたか否か判定し、越えた場合ステップS2011に進み、越えない場合はステップS2008に戻る。ステップS2011では、インバータ温度抑制処理を終了し、通常制御に復帰し、1回の処理を終了する。
ステップS2012では、モータ回転数指令値(第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i )を、エンジン始動可能な回転数へ上昇させ、エンジン始動要求指令を出力し、ステップS2013に進む。
ステップS2013では、エンジン始動が完了したか否か判定し、完了した場合はステップS2014に進み、完了しない場合はステップS2013の判定を繰り返す。ステップS2014では、インバータ温度抑制処理を終了し、通常制御へ復帰し、1回の処理を終了する。
ステップS2015では、第2クラッチCL2の第2クラッチ温度Temp_cl2がクラッチ温度閾値を越えると、ステップS2016に進み、クラッチ温度閾値未満であれば、1回の処理を終了する。
ステップS2016では、第2クラッチCL2のクラッチ容量を増加させるとともに、モータトルクを低減させる。
なお、実施例2では、実施例1で説明したステップS4の第1クラッチ制御モード判断において、停車時には、実施例1と異なり、登坂路であるか否かにかかわらず、エンジンEngを停止させるとともに、第1クラッチCL1を解放させてEVモードに制御するものとする。
次に、実施例2の作用を図23のタイムチャートに基づいて説明する。
図ではt00の時点で、ヒルホールドを開始し、インバータ8の温度が上昇を開始しているものとする。そして、t21の直前で、インバータ温度Temp_INVが、インバータ温度閾値Temp_INV_th以上となり、さらに、ロック回避動作要否判定時間tthが経過し(ステップS2001→S2002→S2003)、t21の時点で、ステップS2004の処理に基づいて、モータトルクが上昇されるとともに、第2クラッチCL2のトルク容量が低下される。これにより、徐々にトルク出力とクラッチ伝達トルク(クラッチ容量)が近付く。
この結果、モータ回転数Nmが生じたt22の時点で、クラッチ容量が保持される(ステップS2006→S2007)。なお、このときの伝達トルクをX[Nm]とし、また、このとき、駆動軸トルクもX[Nm]となる。
さらに、ステップS2007の処理により、モータジェネレータMGは、回転数制御により目標入力回転数ωmtに向けて上昇される。そして、目標入力回転数ωmt到達した時点t23以降は、ステップS2008の処理に基づいて、要求駆動力に応じてクラッチ容量を制御して駆動力を発生させる。
このように、モータジェネレータMGが、回転することで、インバータ8の発熱が抑制され、温度上昇が抑制される。
さらに、このタイムチャートに示す例では、例えば、路面傾斜が大きいなどを原因として、t23の時点以降のステップS2008の処理に基づいて、要求駆動力に応じて駆動力を発生させた場合に、t24の時点で、モータトルク出力指令値エンジン始動判定値を越えている。この場合、これ以上モータトルクが上昇すると、エンジンEngの始動ができなくなるため、ステップS2012の処理に基づいて、モータ回転数Nmをエンジン始動可能回転数(例えば、1000rpm)に引き上げる。
これにより、エンジンEngが始動され(t25)、これ以降は、エンジントルクを駆動力として用いる。
したがって、モータトルクが高くなり過ぎて、エンジンの始動ができなくなる不具合が生じないとともに、モータジェネレータMGのみでは、ヒルホールドが困難な路面傾斜であっても、ロールバックが生じることを抑制可能であり、かつ、発進時には、ロールバックが生じることなく、運転者の要求に応じて、スムーズに発進することが可能である。
次に、ステップS2004における第2クラッチCL2のトルク容量減少時に、必要に応じ応答性を高める場合の処理について、図24のタイムチャートに基づいて説明する。
このタイムチャートでも、t31の時点で、インバータ温度抑制処理が開始されたとする。これにより、図23のタイムチャートと同様に、モータトルクは、モータジェネレータ回転が生じるまで増加させる。このとき、t31の時点のトルク容量Ttとモータトルクとが、設定値以上乖離していた場合には、トルク容量を、モータトルクの近く(例えば、モータトルク+10Nm程度)まで、トルク容量を引き下げる処理を行ない(t32)、そこからスリップ(モータ回転数上昇)が検出されるまで(t33)、トルク容量を徐々に引き下げる。
したがって、モータジェネレータMGが非固着状態(スリップ状態)となるまでの時間を短縮し、その間のインバータ8の温度上昇を抑えることができる。
次に、図25のタイムチャートに基づいて、第2クラッチCL2の温度が上昇した場合の動作例を説明する。
この場合、t00の時点の停車時には、エンジンEngが停止され、両クラッチCL1,CL2は、解放されている。
次に、t41の時点で運転者がアクセル操作を行ない、第2クラッチCL2が締結されて、運転者はヒルホールド状態を形成する操作を行なっている。これにより、第2クラッチ温度が上昇し、クラッチ温度閾値を越えると、ステップS2016の処理に基づいて、第2クラッチCL2のクラッチ容量が増加されるとともに、モータトルクが低下される(t42の時点)。
したがって、第2クラッチCL2の温度が低下される。
以上、本発明の電動車両の制御装置を、実施例1、実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1,2では、モータジェネレータMGと駆動輪(LT,RT)との間に自動変速機ATを介在させたものを示したが、このような変速機を介在させない構成としてもよい。あるいは、変速機を介在させる場合も、手動変速機や機械式の自動変速機などを用いてもよい。
また、実施例1,2では、モータとして、回生が可能なモータジェネレータMGを示したが、これに限定されるものではなく、力行のみが可能なモータを用いてもよい。
また、実施例1,2では、第1クラッチCL1を設け、エンジンEngとモータジェネレータMGとの間の駆動伝達経路を断接可能としたものを示したが、第1クラッチCL1を設けることなく、エンジンEngとモータジェネレータMGとを常時結合させた構造としてもよい。
また、実施例1,2では、作動例として、ヒルホールド時を示したが、これに限定されず、低速登坂を行なっている場合などにも、インバータ温度抑制処理およびクラッチ温度抑制処理を適用することができる。
実施例1,2では、FRハイブリッド車両を示したが、前輪駆動や四輪駆動タイプのハイブリッド車両へ適用することもできる。あるいは、実施例1,2では、駆動源としてエンジンEngとモータジェネレータMGとを備えたいわゆるハイブリッド車両を示したが、駆動源として、モータあるいはモータジェネレータのみを備えた電動車両に適用することもできる。
6 第2クラッチ入力回転数センサ(車両状態検出手段)
7 第2クラッチ出力回転数センサ(車両状態検出手段)
8 インバータ
9 バッテリー(電源)
10 アクセルセンサ(車両状態検出手段)
11 エンジン回転数センサ(車両状態検出手段)
12 変速機油温センサ(車両状態検出手段)
13 ストロークセンサ(車両状態検出手段)
14 インバータ温度センサ(インバータ温度検出手段)
15 第1クラッチ油温センサ(車両状態検出手段)
16 第2クラッチ油温センサ(クラッチ温度検出手段)
17 統合コントローラ(制御手段)
30 路面傾斜角度センサ(車両状態検出手段)
CL2 第2クラッチ(クラッチ)
LT 左駆動輪
RT 右駆動輪
MG モータジェネレータ(モータ)
emp_cl2 第2クラッチ温度
emp_INV インバータ温度
emp_INV_th インバータ温度閾値
emp_th クラッチ過温度閾値

Claims (1)

  1. モータと駆動輪との駆動力伝達経路の途中に設けられ、モータ側と駆動輪側とを断切可能な第2クラッチと、
    前記モータに第1クラッチを介して駆動力を伝達可能なエンジンと、
    前記モータと電源との間で電力変換を行なうインバータと、
    前記第2クラッチの温度を検出するクラッチ温度検出手段および前記インバータの温度を検出するインバータ温度検出手段を含み、車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
    前記車両状態検出手段が検出する車両状態に基づいて、前記モータの駆動力を制御するとともに、前記第2クラッチの締結状態を制御する制御手段と、
    を備えた電動車両の制御装置であって、
    前記制御手段は、
    停車時に、前記エンジンを停止させるとともに、前記第1クラッチを開放させたEVモードとし、かつ、前記モータを駆動させて前記第2クラッチを介して前記駆動輪側にモータトルクが伝達されている状態で、
    前記インバータ温度検出手段が検出するインバータ温度が、あらかじめ設定されたインバータ温度閾値を超えた場合には、前記モータ回転数を上昇させて前記第2クラッチのスリップ量を増加させるインバータ温度抑制処理を実行し、
    一方、前記クラッチ温度検出手段が検出するクラッチ温度が、あらかじめ設定されたクラッチ温度閾値を越えた場合には、前記モータ回転数を低下させてスリップ量を低下させるクラッチ温度抑制処理を実行し、
    さらに、前記インバータ温度抑制処理の実行時に、前記モータ回転数を上昇させたときのモータトルク指令値が、エンジン始動を行なうことができる限界値としてのエンジン始動判定値を越えたときには、前記第1クラッチを締結させてエンジンを始動させ、一方、前記インバータ温度抑制処理の実行時に、前記モータ回転数を上昇させたときのモータトルク指令値が、エンジン始動を行なうことができる限界値としてのエンジン始動判定値を越えないときには、前記モータ回転が検出された後、前記第2クラッチのトルク容量を保持するとともに、モータの回転数を、それ以上回転数を上げてもインバータ温度が下がらない回転数である非ロック目標回転数に制御することを特徴とする車両のクラッチ制御装置。
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