JP5400045B2 - C6〜c16脂肪族ジオールの精製方法 - Google Patents

C6〜c16脂肪族ジオールの精製方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2007年7月30日に出願された米国仮出願第60/962548号の利益を請求する。
発明の分野
本発明は、C6〜C16脂肪族ジオールの精製方法に関する。更に詳しくは、本発明の方法は、C6〜C16脂肪族ジオールとフェノール類及び脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類、ヘミアセタール類並びにそれらの混合物から選ばれた1種又はそれ以上の不純物を含む粗製混合物から精製C6〜C16脂肪族ジオールを分離することに関する。
本発明の方法によって精製された脂肪族ジオールは、可塑剤の製造において及びポリウレタンの製造における連鎖延長剤として有用である。
合成時には、C6〜C16脂肪族ジオール、好ましくはC6〜C16脂環式ジオール、例えばシス/トランス1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールは、典型的には、以下の種の脂肪族化合物:モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類、並びに不純物芳香族フェノールと前記化合物との混合物から選ばれた1種又はそれ以上の不純物を含む。これらの不純物は、ジオールを製造する出発原料中に存在することもあるし;或いはジオールの製造プロセスの間に副生成物として生成することもある。それ自体はオレフィン類のヒドロホルミル化によって生成されるアルデヒドの水素化によって得られるジオールは特にこのような不純物を含有し易い。
前記の市販例において、1,3及び1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体のシス,トランス混合物(以下「シス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノール」と称する)は、典型的には、最初にディールス・アルダー反応で1,3−ブタジエンをアクロレインと反応させて3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドを形成し:その後に3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドを一酸化炭素と水素との混合物(合成ガス又はシンガス)でヒドロホルミル化してシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドを製造し、次いでこれを水素化触媒の存在下でシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールと前述のモノオール、エステル、カルボン酸、ヘミアセタール類及び/又はフェノール不純物のうち1種又はそれ以上を含む粗製脂肪族ジオールへと水素化することによって製造する。好ましくは、粗製脂肪族ジオールを蒸留して、精製シス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノール生成物を回収する。
ジオール合成における種々の工程を分析することによって当業者は種々の不純物の起源を把握できるが、本明細書中に記載した発明はこのような理論に拘束すべきでない。ヒドロホルミル化は通常はロジウム−有機ホスファイト配位子錯体触媒の存在下で行う。副反応として、ホスファイト配位子の不所望な加水分解が不純物フェノール類の形成を引き起こすことがある。不純物脂肪族モノオール類、例えばシクロヘキサンメタノール及びシクロヘキセンメタノールが、中間体モノアルデヒドの水素化、例えばシクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドの水素化の副生成物として形成されることがある。不純物カルボン酸類は、アルデヒド組成物の酸化によって形成されることもあるし、不純物エステル類の加水分解によって生成されることもある。不純物エステル類又はヘミアセタール類は、粗製アルデヒド生成物の蒸留中に存在する重質物(heavies)に由来する可能性がある。
粗製C6〜C16脂肪族ジオールの蒸留では、前記ジオールと共に蒸留されるほど揮発性であり得る不純物は充分には除去されない。更に、蒸留に充分な温度においては、酸性不純物が重質物のクラッキングによる更なる不純物の形成を触媒し、その結果、ジオールの精製を目的とするまさにその蒸留プロセス中に不純物の全量を増加させることがある。酸性不純物も蒸留装置の腐蝕を起こし得る。結果として、1種又はそれ以上の不純物、特に脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類並びに不純物芳香族フェノール類と前記化合物の混合物から選ばれたもので汚染された粗製C6〜C16脂肪族ジオールから精製C6〜C16脂肪族ジオールを分離する方法を発見することが望ましいであろう。
特許文献1は、多環式ジオール類に不純物として含まれるアルデヒド化合物を、多環式ジオール類をアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類化合物の存在下で蒸留することによって、除去することを開示している。
特許文献2は、C3〜C10直鎖又は分岐鎖モノアルコール類を、アルカリ金属水酸化物の存在下で150〜200℃においてアルコールを蒸留して不純物アルデヒド類を除去することによって精製することを開示している。
特許文献3は、一酸化炭素及び水素を用いたオレフィンの触媒的カルボニル化によるカルボニル化合物からなる反応混合物の生成と、それに続く接触水素化による、前記カルボニル化合物の、高沸点エステル類、アセタール類、エーテル類及びアルコールの沸点範囲内に沸点を有する分解生成物で汚染されたアルコール生成物への転化によって得られたアルコール生成物の精製を開示している。この精製は、粗製アルコール生成物を苛性アルカリ水溶液によってスクラブし、その後にスクラブされた生成物を洗浄して前記苛性アルカリ水溶液を除去し、次いで洗浄された生成物を蒸留して精製アルコールを回収することを含む。ポリオール類は水への溶解度がかなり大きいので、かなりの生成物損失が起こる可能性がある。
米国特許第6,632,331号 米国特許第6,117,277号 米国特許第3,359,335号
本発明は、粗製C6〜C16脂肪族ジオールの精製方法を提供する。更に詳しくは、この方法は、前記ジオールに加えて、フェノール類並びに脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類並びにそれらの混合物から選ばれた1種又はそれ以上の不純物を含む粗製C6〜C16脂肪族ジオールを、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下で、精製C6〜C16脂肪族ジオールを得るのに充分な条件下で、1回又はそれ以上蒸留することを含んでなる。
本発明によれば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下において、粗製C6〜C16脂肪族ジオールを蒸留によって精製して精製C6〜C16脂肪族ジオールを回収する方法が提供される。意外なことに、蒸留条件下におけるアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在は、副反応もジオールの破壊も増加させず、逆に、粗製ジオールに比較してかなり改善された純度を有する目的ジオール生成物の効率的な分離及び回収を促進する。更に、本明細書中に記載した主題の蒸留においてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用すると、商業用途に許容され得る純度のジオール生成物を得るのに必要な総蒸留回数を減少させることができる。商用脂肪族ジオールは、酢酸として計算し且つ脂肪族ジオール生成物の重量に基づいた場合に、約500ppm未満の総酸度を含むのが有益である。更に、以下に説明するように、色は典型的には不要な不純物の存在を示すので、商用ジオール生成物は無色又はほとんど無色とならなければならない。更なる利点として、蒸留中の酸の減少は蒸留装置の腐蝕の減少と相関し得る。
本明細書中における元素周期表への言及は、Nomenclature of Inorganic Chemistry:IUPAC Recommendations 2005,Royal Society of Chemistry,2005,ed.N.G.Connelly and T.Damhusに掲載された元素周期表を意味するものとする。また、元素の族への言及は全て、族の番号付けにIUPAC方式を用いてこの元素周期表に表された族に関するものとする。
本明細書中の全ての百分率、好ましい量又は測定値、範囲及びその端点は全て包括的である。即ち、「約10未満」は約10を含む。「少なくとも〜」は「〜又はそれ以上」と等しく、「せいぜい〜」は「〜又はそれ以下」に等しい。本明細書中の数値は、記載した以上の精度ではない。従って、「115」は少なくとも114.6から115.49までを含む。「少なくとも〜」、「〜より大きい」、「〜又はそれ以上」などとして記載したパラメーターから、「せいぜい〜」、「〜まで」、「〜未満」、「〜又はそれ以下」などとして記載したパラメーターまでの全ての範囲は、各パラメーターに関して示した相対的優先度にかかわらず、好ましい範囲である。従って、最も好ましい上限値と組み合わされた有利な下限値を有する範囲は、本発明の実施に好ましい。用語「有利な」は、必要とされるよりも高いが、用語「好ましくは」によって示されるよりも低い優先度を意味するのに用いる。
実施例を除いて又は特に断らない限り、本明細書中の量、百分率、性質、官能価などを表す全ての数値は、全ての場合に用語「約」によって修飾されるものと理解すべきである。当業者ならば、許容限度は装置、条件、用途及び他の変数によって異なるが、それらを適用できる各状況においては必要以上の実験を行わずに決定できることがわかる。場合によっては、1つのパラメーターの変動又は偏差は別の望ましい目標の達成に許容できる。
以下の詳細な説明において、いくつかの化学用語を使用する場合があるが、明確にするためにそれらをここで定義する。炭素数の範囲、例えばC1〜C20を記載する場合には、定義はこれらの数値を好ましい一般的範囲として示す。しかし、以下の記載する具体的な式においては、任意の特定の種の基、例えば「アルキル」又は「アリール」に関する炭素数の範囲はより狭く定義することができる。
用語「〜を含んでなる(comprising)」は「〜を包含する」、「〜を含む」又は「〜を特徴とする」と同義であり、包括的であるか又は制限がなく、追加の列挙されていない要素、材料又は工程を除外しない。用語「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は指定した要素、材料又は工程の他に、列挙していない要素、材料又は工程が場合によっては、その対象の少なくとも1つの基本的且つ新規な特性に許容され得ないほどには著しい影響を及ぼさない量で存在することを示す。用語「〜からなる(consisting of)」は列挙していない要素、材料又は工程が場合によっては目に見える効果を及ぼさない程度に存在するか又は実質的に存在しないことを除いては、記載した要素、材料又は工程のみが存在することを示す。
用語「ヒドロカルビル」は炭素及び水素原子を含んでなり、特に断らない限り、炭素数が1〜約20である一価有機基を意味し、直鎖、分岐鎖、環状の飽和及び不飽和種、例えばアルキル、脂環式、アルケニル、アリール、アルカリール及びアラルキル基を含む。用語「置換ヒドロカルビル」は、以下に開示する1つ又はそれ以上の置換基で置換されたヒドロカルビル基を意味する。
用語「ヒドロカルビレン」は二価ヒドロカルビル基を意味する。
用語「アリール」は単一の芳香環を含むか、或いは融合した又は直接連結された若しくは間接的に連結された(異なる芳香族基が、メチレン又はエチレンのような共通の基を介して結合された)複数の芳香環を含む一価芳香族基を意味する。好ましいアリール基は1つの芳香環、例えばフェニルを含み、好ましくは、特に断らない限り、炭素数が約6〜約20である。閉環芳香族又はアリール構造は、(4δ+2)π電子(ここでδは1又はそれ以上の整数である)を特徴とする共役炭素−炭素二重結合を含む。
用語「アリーレン」は二価アリール基を意味する。
用語「アルカリール」は1個又はそれ以上のアルキル置換基を有する一価アリール基を意味する。用語「アルカリーレン」は、1個又はそれ以上のアルキル置換基を有する二価アリール基を意味する。
用語「脂肪族」は飽和炭素結合を含み且つ1個又はそれ以上の非共役炭素−炭素二重結合を更に含むことができる直鎖又は分岐鎖構造を特徴とする有機化合物を意味する。脂肪族化合物は、全ての炭素結合が飽和されているパラフィン類、及び1個又はそれ以上の非共役C=C二重結合が存在するオレフィン類を含む。好ましくは、特に断らない限り、脂肪族化合物は炭素数が1〜約20である。本発明に関しては、用語「脂肪族」は、以下に定義する「脂環式」化合物も含む。
用語「脂環式」は飽和炭素結合と、場合によっては、1つ又はそれ以上の非共役炭素−炭素二重結合を含む閉環構造を含む脂肪族有機化合物を意味する。好ましくは、特に断らない限り、脂環式化合物は炭素数が4〜約8である。脂環式化合物は前記で定義した芳香族性を有さない。
用語「アルキル」は直鎖、分岐鎖又は環状(脂環式)であることができる飽和一価ヒドロカルビル基を意味する。直鎖又は分岐鎖の場合には、アルキル基は、典型的には、特に断らない限り、炭素数が1〜約20であり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert−ブチルを含む。環状(脂環式)である場合には、アルキル基は炭素含有置換基を除いた炭素数が4〜約8、好ましくは5〜7であり、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。
本明細書中で使用する用語「アルキレン」は直鎖、分岐鎖又は環状二価アルキル基を意味する。
用語「アラルキル」又は「アリールアルキル」は少なくとも1つのアリール基で置換された一価アルキル基を意味する。用語「アラルキレン」は少なくとも1つのアリール基で置換された二価アルキレン基を意味する。
用語「アリール脂環式」は少なくとも1つのアリール基で置換された脂環式基を意味する。アリール脂環式基の一例は「フェニルシクロヘキシル」又は「フェニルシクロペンチル」である。
本明細書中で使用する用語「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビレン」、「アルキル」、「アルキレン」、「アリール」、「アリーレン」、「脂肪族」、「アルカリール」、「アルカリーレン」、「アラルキル」「アラルキレン」、「脂環式」及び「アリール脂環式」のいずれか又は全ては、それらの置換種を含むものとする。用語「置換された」又は用語「それらの置換種」は、一般に、炭素原子、例えばアルキル又はアリール炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子の、非水素部分による置換を意味する。本発明に好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アラルキル及びアルカリール基が挙げられ、前記有機基は炭素数が1〜約8である。
用語「脂肪族モノオール」は1つのヒドロキシル置換基を有する脂肪族化合物を意味する。
用語「脂肪族エステル」は少なくとも1つのエステル置換基(−C(O)OR)[式中、Rは一価ヒドロカルビル基、好ましくはC1〜C20アルキル又はC6〜C20アリールである]を有する脂肪族化合物を意味する。
用語「脂肪族カルボン酸」は少なくとも1つのカルボン酸置換基(−C(O)OH)を有する脂肪族化合物を意味する。
用語「脂肪族ヘミアセタール」は以下の構造:
RHC(OH)2又はRHC(OR’)(OH)
[式中、R及びR’は一価ヒドロカルビル基、好ましくは炭素数1〜20の一価ヒドロカルビル基である]の1つを有する脂肪族化合物を意味する。
用語「脂肪族ラクトン」は閉環の一部としてエステル官能価を有する脂環式化合物を意味する。
用語「フェノール」は1つのH原子がヒドロキシルで置換された芳香族ベンゼン環を含む有機化合物を意味する。
用語「脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類」のいずれの列挙においても、用語「脂肪族」はリスト中の各種を修飾するものと理解すべきである。
広い概念において、本発明は、前記ジオールに加えて、フェノール類、脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類から選ばれた1種又はそれ以上の不純物を含む粗製C6〜C16脂肪族ジオールを、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下で、精製C6〜C16脂肪族ジオールを得るのに充分な蒸留条件下で、1回又はそれ以上蒸留することを含んでなる、粗製C6〜C16脂肪族ジオールの精製方法を提供する。
本発明の好ましい実施態様において、C6〜C16脂肪族ジオールはC6〜C16脂肪族単環式ジオール、より好ましくは1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス/トランス異性体混合物を含む。
本発明の好ましい実施態様において、アルカリ金属化合物はアルカリ金属水酸化物を含み;アルカリ土類金属化合物はアルカリ土類金属水酸化物を含む。より好ましい実施態様において、アルカリ金属化合物は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む。
粗製C6〜C16脂肪族ジオールは、直鎖若しくは分岐鎖構造で配列された又は好ましくは1つの環を有する(単環式)閉環構造(脂環式)で配置された合計6〜16個の炭素原子を含み、前記構造は2つのヒドロキシ置換基を更に含む。直鎖又は分岐鎖構造に関する場合には、本明細書中で使用する「脂肪族」は直鎖又は分岐鎖構造中の各炭素原子が飽和されており(即ち、単結合で4つの他の原子に結合している)且つ、場合によっては、直鎖又は分岐鎖構造が1つ又はそれ以上の孤立した(即ち非共役)オレフィン性不飽和炭素−炭素二重結合(C=C)を含む化合物を意味する。環系に関する場合には、本明細書中で使用する用語「脂肪族」又は「脂環式」は飽和炭素原子及び、場合によっては、1つ又はそれ以上の孤立した(即ち非共役)炭素−炭素二重結合から形成された閉環系を意味する。脂環式構造は(4δ+2)π電子[ここでδは1又はそれ以上の整数である]を特徴とする共役炭素−炭素二重結合を含む単一の閉環芳香族又はアリール構造とは区別される。C6〜C16脂肪族ジオールを特徴付ける2つのヒドロキシ置換基は、それぞれ、異なる炭素原子に結合しているのが有利である。ヒドロキシ置換基は直鎖又は分岐鎖構造の主鎖の炭素原子に直接結合することもできるし、環炭素原子に直接結合することもできる。より好ましくは、ヒドロキシ置換基は、それ自体が直鎖、分岐鎖又は環構造の主鎖炭素原子に結合したアルキル基に結合している。例えば2つの「ヒドロキシメチル」置換基はシクロヘキサン環に結合して、本発明において使用される好ましいC6〜C16脂肪族ジオール、即ち(シス、トランス)―(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールを提供できる。
好ましくは、C6〜C16脂肪族ジオールは、下記式I:
Figure 0005400045
[式中、各R1は、独立して、水素、ヒドロキシ及びC1〜C6一価ヒドロカルビル基、例えばC1〜C6アルキル及びフェニル、好ましくは水素及びC1〜C3アルキル基から選ばれ;各R2は独立して、水素、ヒドロキシ及びC1〜C6ヒドロカルビル基、例えばC1〜C6アルキル及びフェニル、好ましくは水素及びC1〜C3アルキル基から選ばれ;nは0〜6、好ましくは0〜3、より好ましくは2の整数であり;kは0〜6、好ましくは0〜3、より好ましくは2の整数であり;n+kは2より大きく、より好ましくはせいぜい6であり;各mは独立して0〜約3、好ましくは0又は1の整数である]
で表されるC6〜C16単環式脂肪族ジオールを含む。R1及びR2は、本発明の方法を妨げない1つ又はそれ以上の不活性置換基で置換されることができ、その非限定的例としてはヒドロキシ、アルキル、アリール、アラルキル及びアルカリール基が挙げられ、前記有機基は好ましくは炭素数が1〜約8である。好ましくは、不活性置換基はヒドロキシからなる。前述の好ましい式(I)において、R1、R2、m、n、k及び不活性置換基の選択は6〜16の範囲内の組成物中炭素原子総数に限定される。さらにn又はkの一方が0である場合には、2つのサブ基−(CR12m−が互いに直接連結して、m個のサブユニットを有する環を形成する。
6〜C16脂肪族ジオールは、先行文献に記載された任意の常法によって製造できる。好ましくは、C6〜C16単環式脂肪族ジオールは、(1)ディールス・アルダー付加又は縮合反応でジエンを、ホルミル置換オレフィンを含むジエノフィルと反応させて、オレフィン性不飽和単環式カルボキシアルデヒドを生成せしめ;(2)前記オレフィン性不飽和単環式カルボキシアルデヒドを遷移金属有機ホスファイト配位子錯体触媒の存在下で一酸化炭素及び水素(シンガス又は合成ガス)でヒドロホルミル化して、C6〜C16単環式脂肪族ジカルボキシアルデヒドを生成せしめ;(3)前記C6〜C16単環式脂肪族ジカルボキシアルデヒドを水素化触媒の存在下で水素で水素化して、粗製C6〜C16単環式脂肪族ジオールを生成せしめることを含んでなる三段階合成で製造する。このような合成方式は本発明の対象ではないが、それでもなお、適当なジエン、ジエノフィル、配位子、遷移金属、遷移金属配位子錯体ヒドロホルミル化触媒、水素化触媒及び前記反応方式に適当なプロセス条件の説明については米国特許第6252121号を参照し、この米国特許を引用することによって本明細書中に組み入れる。
より好ましくは、米国特許第6252121号を参照すると、C6〜C16脂肪族ジオールは、ディールス・アルダー反応によって、1,3−ブタジエンをアクロレインと反応させて3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドを形成し、その後にロジウム−トリ有機ホスファイト配位子錯体触媒の存在下で前記3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドをシンガスでヒドロホルミル化してシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドを製造し、その後にこれを粗製シス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールへと水素化することによって得られる、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス及びトランス異性体の混合物(「シス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノール」)を含む。4種のシクロヘキサンジメタノール異性体のうち2種を、それぞれ、式IIa(1,3−異性体をトランス異性体として示すが、シス異性体として存在することもできる)及びIIb(1,4−異性体をシス異性体として示すが、トランス異性体としても存在できる):
Figure 0005400045
で示す。有利には、前記異性体組成物は1,3−異性体を約50〜60重量%及び1,4−異性体を約40〜50重量%含む。
1種又はそれ以上の不純物モノオール類、エステル類及びカルボン酸類は、特定の構造に限定するものではないが、それらは脂肪族ジオールの製造に使用される脂肪族化合物に由来するので、一般的に性質は脂肪族である。言うまでもなく、脂肪族モノオールはヒドロキシル(−OH)置換基を1つだけ有する。前述のように、不純物脂肪族モノオール類はC6〜C16ジオールの合成において飽和又は不飽和モノアルデヒド中間体の水素化によって生じ得る。不純物エステル類及びカルボン酸類はそれぞれ、−C(O)OR及び−C(O)OH官能基[式中、Rは一般的には任意の一価ヒドロカルビル基であり、有利にはC1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基である]を特徴とする。不純物カルボン酸類はジオールの前駆体である生成物アルデヒドの酸化によって生じ得る。不純物エステル類は任意のモノオール又はジオールと酸との縮合によって生じ得る。ラクトン類は、酸官能価とアルコール官能価を共に含む中間体化合物又は高沸点化合物の分子内縮合によって生じる環状エステルと見なされる特殊な型の不純物エステル類である。ヘミアセタール類は水和アルデヒドRHC(OH)2又はRHC(OR’)(OH)[式中、R及びR’はそれぞれ前述の一価ヒドロカルビル基を表す]と見なされる。ヘミアセタール類は、アルデヒドによるアルコールのヒドロホルミル化又は単純な縮合中(例えば水素化中)にアルデヒド生成物の加水分解によって生じ得る。これに対して、不純物フェノール類はヒドロキシ置換芳香族化合物と見なされ、その最も可能性の高い発生原因は、ヒドロホルミル化触媒に使用される有機ホスファイト配位子の加水分解である。
粗製ジオール中の又は任意の精製段階におけるC6〜C16脂肪族ジオール及び不純物モノオール(類)、エステル(類)、カルボン酸(類)、ヘミアセタール(類)及びフェノール(類)は、赤外(IR)分光法、1H及び13C核磁気共鳴分光法(NMR)、気相クロマトグラフィー及び質量分析を含む(これらに限定するものではないが)、当業者に知られた従来の分析法によって確認できる。ジオールの総酸度の測定には、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)標準試験法ASTM D 1613−96(ASTM,Conshohocken,PA,1996年,1999年再認可)(引用することによって本明細書中に組み入れる)を使用するのが適当である。(ASTM D 1613−96は酸度をKOH(mg)/サンプル(g)として報告するが、それは56,100で割ることによって酸(当量)/サンプル(g)に変換できる。)粗製ジオール又はその任意の精製段階の色の評価には、標準試験法ASTM D 1209−00(ASTM,West,Conshohocken,2000年)(引用することによって本明細書中に組み入れる)を使用するのが適当である。
他の不純物成分、例えば水、1種若しくはそれ以上のC1〜C8アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど;1種若しくはそれ以上のC5〜C10アルカン、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなど;ジオールの前駆体であるジアルデヒド並びに他の未確認軽質物(lights)、中質物(intermediates)及び重質物(heavies)が、粗製C6〜C16脂肪族ジオール中に存在することがある。本発明に関しては、用語「軽質物」は、一般にジオールとは構造が異なり(例えば溶剤、揮発物)且つジオールの標準沸点よりも50℃超低い標準沸点を有する化合物を意味する。本明細書中で使用する用語「中質物」は、構造がジオールと類似しているが同一ではない化合物、特に、ジオールの標準沸点より低い標準沸点を有するヒドロキシ置換化合物、例えばモノオール類、エノール類、フェノール類及び他の類似しているが未確認の分解物質を意味する。本明細書中で使用する用語「重質物」は、ジオールの標準沸点より高い標準沸点を有する化合物を意味し、重質物の例には二量体、三量体及び種々のエステルがある。ジオールに関しては、用語「標準沸点」は本明細書中では、ジオールの液相と気相が1気圧(101kPa)のジオール蒸気圧において平衡状態に保たれている温度と定義する。
粗製ジオール中の各不純物の濃度は、検討対象となっている特定のC6〜C16脂肪族ジオール及びその製造方法によって異なるであろう。好ましくは、粗製C6〜C16脂肪族ジオールは約60〜約80重量%のC6〜C16ジオール生成物と以下の重量%の1種又はそれ以上の以下の不純物を含む:
モノオール類 約0.5〜10%
エステル類 約1〜5%
カルボン酸類 約0.5〜10%
ヘミアセタール類/ラクトン類 約1〜5%
フェノール類 約1%未満
軽質物 約15〜25%
中質物* 約0.1〜5%
*モノオール類、ヘミアセタール類及びラクトン類以外)
重質物 約0.1〜5%
場合によっては、ジアルデヒド類も約0.1重量%未満の量で存在することがある。
より好ましくは、C6〜C16ジオールは約60〜約80重量%のシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールと以下の典型的な重量%の1種又はそれ以上の以下の不純物を含む:
シクロヘキサンメタノール 約0.5〜5%
シクロヘキセンメタノール 約0.5〜5%
エステル類 約0.1〜5%
カルボン酸類 約0.5〜10%
ヘミアセタール類/ラクトン類 約1〜5%
フェノール類 約1%未満
軽質物 約15〜25%
中質物* 約0.1〜5%
*モノオール類、ヘミアセタール類及びラクトン類以外)
重質物 約0.1〜5%
本発明の精製方法には、精製C6〜C16脂肪族ジオール生成物の分離を改善するために、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在が必要である。本発明は本明細書中に示した理論に限定又は拘束すべきではないが、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属化合物は、存在する可能性があるか又は蒸留の間に形成される可能性があり且つヘミアセタール類の形成を触媒するカルボン酸及び他の酸を含む酸を中和すると考えられる。アルカリ及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下では、ヘミアセタール類の形成及び分解が一緒に抑制又は阻害されると考えられる。更に、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属化合物は、フェノール類を不揮発性アルカリ又はアルカリ土類金属塩に転化できると考えられる。同様に、ラクトン類はヒドロキシ酸の不揮発性アルカリ又はアルカリ土類金属塩に転化されると考えられる。しかし、意外なことに、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在は生成物C6〜C16ジオールの不所望な副反応を触媒しない。
本発明において使用可能なアルカリ金属化合物は、粗製ジオールの酸度を中和する能力を有する、このような無機及び有機アルカリ化合物及び塩の全てを含み、アルカリ金属は、元素周期表の第1族金属を含み、特にリチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウムが挙げられる。適当なアルカリ金属化合物の非限定的例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化硼素ナトリウム、フェニル硼酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二リチウム、フェニル燐酸二ナトリウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、ビスフェノールAの二カリウム塩、ビスフェノールAの二セシウム塩、ビスフェノールAの二リチウム塩、フェノール酸ナトリウム、フェノール酸カリウム、フェノール酸セシウム、フェノール酸リチウム及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい種としては、アルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
本発明において使用可能なアルカリ土類金属化合物は、粗製ジオールの酸度を中和する能力を有するこのような無機及び有機アルカリ土類化合物及び塩の全てを含み、アルカリ土類金属は元素周期表の第2族の金属を含み、特にベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムが挙げられる。適当なアルカリ土類金属化合物の非限定的例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム及びフェニル燐酸マグネシウム並びにそれらの混合物が挙げられる。好ましい種としてはアルカリ土類金属水酸化物の1種又はそれらの混合物が挙げられる。
アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物は、単独で又は2種若しくはそれ以上のこのような化合物の組合せで、固体の形態で或いは水又はC1〜C6アルカノール、より好ましくはメタノール若しくはエタノール又はアルカノール(類)及び/若しくは水の混合物中に溶解させて使用できる。溶液の濃度は特には重要でない。任意の濃度のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を、水若しくはアルカノール又はそれらの混合物中にその溶解限度まで使用できる。好ましくは、濃度は、溶媒並びにアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の総重量に基づき、約1〜約55重量%の範囲である。
本発明の方法に使用するアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の総量は、有利にはジオール中の酸の当量当たり、約0.8当量より多く、好ましくは約1.0当量より多く、より好ましくは約1.2当量より多い。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の総量は、有利にはジオール中の酸の当量当たり、約2.5未満、好ましくは約2.0未満、より好ましくは約1.8当量未満である。1つの最も好ましい実施態様において、ジオール中に存在するアルデヒドと酸素との接触によって更に形成される酸度を全て中和するために、過剰の、即ちジオール中の酸の当量当たり、1.25当量より多く2.50当量までのアルカリ及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用する。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の量は、有利には粗製C6〜C16ジオールの重量に基づき、合計で約100ppmより多く、好ましくは約500ppmより多い。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の量は、有利には粗製C6〜C16ジオールの重量に基づき、合計で約5,000ppm未満、好ましくは約2,000ppm未満である。
一般的なプラクティスとして、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物は、固体又は水溶液若しくはアルコール溶液として、粗製C6〜C16脂肪族ジオールに溶解させる。溶解方法は常法であり、当業者に知られた任意の便利なタイプの添加及び混合を含むことができる。その後、粗製C6〜C16ジオールを第1蒸留カラムに供給し、蒸留に供して、水、アルカン並びに他の揮発物及び低沸点成分を含む軽質物を実質的に除去し、それによって約90〜95%の純度を有する部分精製C6〜C16ジオールを回収する。軽質物を除去するための第1蒸留は設計の点では従来型である。使用するカラムは必ずしも多段カラム又は充填カラムではない。シンプルな還流冷却器を使用するのが有利である。低沸点成分を除去するのに必要があれば、ジオールの標準沸点未満の温度を適用する。C6〜C16脂肪族単環式ジオール、より好ましくはシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールの好ましい精製には、この第1蒸留の温度は、好ましくはカラム底部(塔底)において約80〜約210℃の範囲であり、カラムの頂部(ヘッド)において約20〜約120℃である。第1蒸留は有利には約1気圧(101kPa)又はそれよりわずかに高い圧力において約1〜2psig(6.9〜13.8kPa)の過圧で実施する。低沸点成分は塔頂流又は頂部流として回収する。塔頂は有利には水及び水溶性の低い有機物を含むので、2つの実質的に非混和性の液相が回収されると考えられる。第1蒸留カラムからの塔底流は、1種又はそれ以上の不純物脂肪族モノオール類、エステル類(ラクトン類を含む)、カルボン酸類、ヘミアセタール類及び/又はフェノール類を含む部分精製ジオールのみを含む。部分精製C6〜C16ジオール中の各不純物の濃度は、有利には部分精製ジオールの総重量に基づき、約0.01重量%超〜約2重量%未満、好ましくは約0.1〜約1.0重量%の範囲である。
その後、第1蒸留カラムからの塔底流を第2蒸留カラムに供給し、精製C6〜C16脂肪族ジオールを分離及び回収するのに充分な条件下で蒸留する。第2カラム中の蒸留条件は、一般に、精製すべき特定のC6〜C16ジオール、その標準沸点並びに除去すべき不純物の型及び量によって異なる。第2蒸留カラムは有利には約30〜約100理論段のトレイを含む。このカラムには適当な充填物、例えばガラスビーズ、ステンレス鋼メッシュ、サドルのような任意の形態のセラミックス及び類似した従来の材料を充填できる。第2蒸留カラムは、適当には約15トル(2.0kPa)〜約50トル(6.7kPa)の範囲の大気圧より低い圧力(sub-atmospheric pressure)で実施するのが有利である。適当には、約1:10〜約10:1の範囲の還流比を使用する。C6〜C16脂肪族単環式ジオール、より好ましくはシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールの好ましい蒸留において、カラムの塔底温度は有利には約165〜約250℃であるのに対し、ヘッド温度は有利には約160〜約180℃の範囲である。不純物はヘッド流として採取し、C6〜C16ジオールは、典型的には重質物も含む塔底流として採取する。
ジオールの沸点に基づいて重質物を従来型の仕上げ蒸留において除去して、C6〜C16脂肪族ジオールを塔頂流として純粋な形態で得る。好ましい方法はより低沸点の不純物を前述のようにして除去し、次いで仕上げ蒸留のために残留物を同じカラムに再循還する。この好ましい方法は、本明細書中に記載した本発明に従って蒸留中に本質的に追加の不純物が発生しない場合に可能である。
前述の各蒸留は、回分式又は連続式で実施できる。好ましくは、商業的規模では、連続運転様式を用い、粗製ジオールと所望の量のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属化合物を含む供給材料を一連の蒸留カラムに連続供給する。必要に応じて再循還材料を任意の特定のカラムに供給する。
こうして分離及び精製されたC6〜C16脂肪族ジオールは有利には以下の組成物を以下の重量%で含む:
6〜C16ジオール 99%超
モノオール類 0.1%未満
エステル類 0.1%未満
カルボン酸類 0.1%未満
ヘミアセタール類/ラクトン類 0.1%未満
フェノール類 0.1%未満
軽質物 0.1%未満
中質物* 0.1%未満
*モノオール類及びヘミアセタール類/ラクトン類以外)
重質物 0.1%未満
ジアルデヒド類 0.1%未満
本発明を前述のようにして実施する場合には、各蒸留段階でより純粋な形態のC6〜C16ジオールが、その特定の蒸留段階に供給されたジオールの重量に基づき、約90重量%超、好ましくは約95重量%超、より好ましくは約98重量%超の収率で(有利には較正ガスクロマトグラフィー分析(GC)によって測定される)回収される。GC分析は通常は存在する重質物の量を測定できないことが確認されている。重質物は、通常は、分析されたサンプルの重量とサンプル中に存在するGCによって測定されたジオール及び他の不純物の総重量の重量差として算出される。沸点差に基づいて混合物の成分を分離する任意の標準GCカラムをこの分析に使用できる。
最終蒸留によって回収された精製C6〜C16脂肪族ジオールは、試験法ASTM D 1613−96によって測定した場合に、望ましくは酢酸として計算した総酸度がジオール生成物の重量に基づき約500ppm未満又は約0.05重量%である。更に、試験法ASTM D 1209−00に基づき、精製C6〜C16脂肪族ジオールの色は有利には約10未満にランク付けされる(7又はそれ以下の数がより望ましい)。
本発明を説明するために以下の実施例を示す。実施例は本発明を制限するものと解してはならない。特に断らない限り、全ての百分率は重量%の単位で示す。
比較実験1
シス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールを含む粗製C6〜C16ジオールのサンプルを3段階蒸留によって精製する。粗製C6〜C16ジオールを、米国特許第6252121号明細書に示された合成方式によって、ディールス・アルダー付加反応でブタジエンをアクロレインと反応させて3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドを生成せしめ;3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドをロジウム−トリ有機ホスファイト配位子錯体触媒の存在下で一酸化炭素及び水素でヒドロホルミル化してシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサン−ジカルボキシアルデヒドを生成せしめ、次いでこれをニッケル触媒の存在下で、ガスクロマトグラフィーによって測定された場合に以下の組成:ジオール(75.24%)、水(19.40%)、イソプロパノール(0.51%)、n−ヘプタン(1.00%)、シクロヘキサンメタノール(1.99%)、アルキル化フェノール類を含む中質物(0.29%)、ジアルデヒド類及びラクトン類(0.10%)、ヘミアセタール類(0.98%)を有する粗製脂肪族ジオールへと水素化することによって製造する。重質物は検出できない。酸度は、ASTM D 1613−96によって測定した場合に0.51%である。第1蒸留段階は大気圧蒸留からなり、揮発物及び軽質物を除去する。第1蒸留カラムからの塔底流を高温及び減圧において第2蒸留に供して、より低沸点の不純物を更に除去する。第2蒸留カラムからの残留物を高温及び減圧において第3蒸留に供して、重質物を除去し且つ塔頂流中に精製ジオール生成物を得る。各カラムの蒸留条件を表Iに示す。各カラムは15理論段のトレイを含み、還流比1:10で運転する。これらの蒸留にはアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を用いないことがわかる。
Figure 0005400045
表Iから、各蒸留中にある種の不純物の量が粗製ジオール供給材料に比べて増加することがわかる。この結果は、蒸留自体が不純物を生成する結果、精製ジオール生成物を得るのに3つのカラムの使用が必要となることを示す。より具体的には、第1カラムにおいてはわずか100℃において、蒸留中の不純物形成が認められる。ジアルデヒド類及びラクトン類として確認される種が全ての留分において著しく増加し、蒸留後にはジオール供給材料と比べてより多くが存在することが明白である。粗製ジオール中に存在するジアルデヒド類は特別な処理又は配慮をすることなく蒸留によって容易に除去できるが、中質物及び重質物不純物の開環(splitting)によると考えられる蒸留中における追加ジアルデヒド類の生成は、精製生成物を得る上で問題となる。
表Iからは、シクロヘキサンメタノール、ヘミアセタール類及びアルキル化フェノール類を含む中質物を含む他の不純物も増加するのがわかる。第2蒸留カラムからの塔頂流中の比較的高レベルのジオールは、増加した不純物の除去が必要であるが、目的ジオール生成物の効率損失につながる。第3蒸留後でも、シクロヘキサンカルボン酸によると考えられるジオール生成物の酸度は許容され得ないほど高い。3工程後の全ジオール回収率はわずか81重量%である。更に、回収されたジオールの総酸度は0.44%(又は4400ppm)である。色は、試験法ASTM D 1209−00によって7とランク付けされる。これらの結果は、酸度を商業的に許容され得るレベルまで低下させるには更なる蒸留が必要であることを示している。
実施例1
比較実験1に記載したのと同様にして製造したシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールの混合物を含む粗製C6〜C16ジオールのサンプルを、水酸化カリウム水溶液で処理する。粗製ジオールは、前記シクロヘキサンジメタノール(74.02%)、水(3.8%)、イソプロパノール(12.64%)、n−ヘプタン(2.31%)、軽質物(2.88%)、シクロヘキサンメタノール(1.15%)、3−シクロヘキセン−1−メタノール(0.28%)、ジアルデヒド類(0.03%)、1,3−ヘミアセタール類(1.16%)、中質物(1.05%)及び重質物(0.68%)を含む。粗製ジオールの酸度は、試験法ASTM D 1613−96によって測定した場合に、0.129%(0.021当量/g)である。使用した水酸化カリウムの量は、ジオールサンプルの酸当量当たり1.5当量である。水酸化カリウムを添加した粗製ジオールを次に軽質物の除去に供する。軽質物を大気圧で留去する。その後、軽質物除去カラムからの残留物を第1蒸留カラムに供給し、高温及び減圧で蒸留する。蒸留条件及び結果を表IIに示す。第2蒸留において、主要な塔頂カットを取る前に、2つの小さいヘッドカット(#1及び#2)を取る。第2蒸留カラムからの残留物をカラムに再循還し、仕上げ工程で再蒸留して、表IIに示すような精製シス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールの塔頂流を収集する。
Figure 0005400045
表IIから、前記比較実験1とは異なり、第1蒸留中に更なる不純物は形成されないことがわかる。ジアルデヒド類、ヘミアセタール類及び中質物は蒸留のストレス時に増加しないので、第2の軽質物蒸留工程が省かれる。2回の蒸留からの精製ジオール生成物の全回収率は87%であり、これは前記比較実験よりも優れている。精製ジオール生成物の最終酸度レベルはわずか0.0033%(33ppm)と低いので、比較実験において回収されたジオール生成物よりも優れている。精製ジオール生成物の色は、試験法ASTM D 1209−00によって7とランク付けされ、従って、蒸留をもう1回実施することが必要であるが、比較実験において回収されたジオール生成物に匹敵する。
本発明の実施態様としては以下のものが挙げられる:
1.C6〜C16脂肪族ジオールに加えて、フェノール類並びに脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類並びにそれらの混合物から選ばれた1種又はそれ以上の不純物を含む粗製C6〜C16脂肪族ジオールを、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下で、精製C6〜C16脂肪族ジオールを得るのに充分な蒸留条件下で、1回又はそれ以上蒸留することを含んでなる粗製C6〜C16脂肪族ジオールの精製方法。
2.前記C6〜C16脂肪族ジオールが下記式:
Figure 0005400045
[式中、各R1は、独立して、水素、ヒドロキシ及びC1〜C6一価ヒドロカルビル基、好ましくは水素及びC1〜C3アルキル基から選ばれ;各R2は、独立して、水素、ヒドロキシ及びC1〜C6ヒドロカルビル基、好ましくは水素及びC1〜C3アルキル基から選ばれ;nは0〜6、好ましくは0〜3、より好ましくは2の整数であり;kは0〜6、好ましくは0〜3、より好ましくは2の整数であり;n+kは2より大きく、より好ましくはせいぜい6であり;各mは独立して0〜約3、好ましくは0又は1の整数であり;場合によってはR1及びR2は、ヒドロキシ、アルキル、アリールアラルキル及びアルカリール基を含む1つ又はそれ以上の不活性置換基で置換されることができる(前記有機基は炭素数が好ましくは1〜約8である]
で表されるC6〜C16単環式脂肪族ジオールを含む任意の他の実施態様の方法。
3.前記粗製C6〜C16脂肪族ジオールが約60〜約80重量%のC6〜C16脂肪族ジオールと以下の重量%の1種又はそれ以上の以下の不純物:
モノオール類 0.5〜10%
エステル類 1〜5%
カルボン酸類 0.5〜10%
ヘミアセタール類/ラクトン類 1〜5%
フェノール類 1%未満
軽質物 15〜25%
中質物* 0.1〜5%
*モノオール類、ヘミアセタール類及びラクトン類以外)
重質物 0.1〜5%
を含む任意の他の実施態様の方法。
4.前記粗製C6〜C16脂肪族ジオールがシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールを含む任意の他の実施態様の方法。
5.前記粗製C6〜C16脂肪族ジオールが約60〜約80重量%のシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールと以下の典型的な重量%の1種又はそれ以上の以下の不純物:
シクロヘキサンメタノール 約0.5〜5%
シクロヘキセンメタノール 約0.5〜5%
エステル類 約0.1〜5%
カルボン酸類 約0.5〜10%
ヘミアセタール類/ラクトン類 約1〜5%
フェノール類 約1%未満
軽質物 約15〜25%
中質物* 約0.1〜5%
*モノオール類、ヘミアセタール類及びラクトン類以外)
重質物 約0.1〜5%
を含む任意の他の実施態様の方法。
6.前記アルカリ金属化合物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化硼素ナトリウム、フェニル硼酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二リチウム、フェニル燐酸二ナトリウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、ビスフェノールAの二カリウム塩、ビスフェノールAの二セシウム塩、ビスフェノールAの二リチウム塩、フェノール酸ナトリウム、フェノール酸カリウム、フェノール酸セシウム、フェノール酸リチウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる任意の他の実施態様の方法。
7.前記アルカリ土類金属化合物が水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム及びフェニル燐酸マグネシウム並びにそれらの混合物からなる群から選ばれる任意の他の実施態様の方法。
8.前記アルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸化物を含み且つ前記アルカリ土類金属化合物がアルカリ土類金属水酸化物を含む任意の他の実施態様の方法。
9.アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の量が、ジオール中の酸の当量当たり、0.8当量より多く、好ましくは1.0当量より多く、より好ましくは1.2当量より多く且つ2.5当量未満、好ましくは2.0当量未満、より好ましくは1.8当量未満である任意の他の実施態様の方法。
10.アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の量が、ジオール中の酸の当量当たり、1.25当量より多く2.50当量未満である任意の他の実施態様の方法。
11.アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の量が、粗製C6〜C16ジオールの重量に基づき、合計で約100ppmより多く、好ましくは500ppmより多く且つ5,000ppm未満、好ましくは2,000ppm未満である任意の他の実施態様の方法。
12.第1蒸留を、蒸留カラム中で80〜210℃の塔底温度及び20〜120℃の塔頂温度並びに約1気圧(101kPa)の圧力において、場合によっては1〜2psig(6.9〜13.8kPa)の過圧で、実施して軽質物を除去する任意の他の実施態様の方法。
13.第2蒸留を、蒸留カラム中で165〜250℃の範囲の塔底温度及び160〜180℃の範囲の塔頂温度並びに15トル(2.0kPa)〜50トル(6.7kPa)の範囲の大気圧より低い圧力において、実施する任意の他の実施態様の方法。
14.第2蒸留を30〜100理論段のトレイを含む蒸留カラム中で実施する任意の他の実施態様の方法。
15.第2蒸留を1:10〜10:1の範囲の還流比で実施する任意の他の実施態様の方法。
16.1回又はそれ以上の蒸留を連続運転様式で実施する任意の他の実施態様の方法。
17.前記精製C6〜C16脂肪族ジオールを各蒸留段階で、その特定の蒸留段階に供給されるジオールの重量に基づき、90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは98重量%超の収率で回収する任意の他の実施態様の方法。
18.前記精製C6〜C16脂肪族ジオールが、重量%に基づいて、以下の組成物を:
6〜C16ジオール 99%超
モノオール類 0.1%未満
エステル類 0.1%未満
カルボン酸類 0.1%未満
ヘミアセタール類/ラクトン類 0.1%未満
フェノール類 0.1%未満
軽質物 0.1%未満
中質物* 0.1%未満
*モノオール類及びヘミアセタール類/ラクトン類以外)
重質物 0.1%未満
ジアルデヒド類 0.1%未満
含む任意の他の実施態様の方法。
19.前記精製C6〜C16脂肪族ジオールが、ASTM D 1209−00試験法によって、10未満、好ましくは7又はそれ以下にランク付けされる色を有する任意の他の実施態様の方法。
20.前記精製C6〜C16脂肪族ジオールが、ジオールの重量に基づき、酢酸として計算された500ppm未満の総酸度を有する任意の他の実施態様の方法。
21.前記C6〜C16脂肪族ジオールがシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールを含み且つ前記アルカリ金属化合物が水酸化カリウムを含む任意の他の実施態様の方法。

Claims (18)

  1. 式(I)
    Figure 0005400045
    [式中、各R 1 は、独立して、水素、ヒドロキシ及びC 1 〜C 6 一価ヒドロカルビル基から選ばれ;各R 2 は、独立して、水素、ヒドロキシ及びC 1 〜C 6 ヒドロカルビル基から選ばれ;nは0〜6の整数であり;kは0〜6の整数であり;n+kは2より大きく;各mは独立して0〜3の整数である]
    で表される6〜C16 単環式脂肪族ジオールに加えて、フェノール類並びに脂肪族モノオール類、エステル類、カルボン酸類及びヘミアセタール類並びにそれらの混合物から選ばれた1種又はそれ以上の不純物を含む粗製C6〜C16脂肪族ジオールを、前記ジオール中の酸の当量当たり、1.0当量より多く且つ2.5当量未満のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下で、精製C6〜C16脂肪族ジオールを得るのに充分な蒸留条件下で、1回又はそれ以上蒸留することを含んでなる粗製C6〜C16脂肪族ジオールの精製方法。
  2. 前記粗製C6〜C16脂肪族ジオールが60〜80重量%のC6〜C16脂肪族ジオールと以下の重量%の1種又はそれ以上の以下の不純物:
    モノオール類 0.5〜10%
    エステル類 1〜5%
    カルボン酸類 0.5〜10%
    ヘミアセタール類/ラクトン類 1〜5%
    フェノール類 1%未満
    軽質物 15〜25%
    中質物* 0.1〜5%
    *モノオール類、ヘミアセタール類及びラクトン類以外)
    重質物 0.1〜5%
    を含む請求項1の方法。
  3. 前記粗製C6〜C16脂肪族ジオールがシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールを含む請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記アルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸化物を含み且つ前記アルカリ土類金属化合物がアルカリ土類金属水酸化物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記アルカリ金属化合物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化硼素ナトリウム、フェニル硼酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二リチウム、フェニル燐酸二ナトリウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、ビスフェノールAの二カリウム塩、ビスフェノールAの二セシウム塩、ビスフェノールAの二リチウム塩、フェノール酸ナトリウム、フェノール酸カリウム、フェノール酸セシウム、フェノール酸リチウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記アルカリ土類金属化合物が水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム及びフェニル燐酸マグネシウム並びにそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の量が、ジオールの重量に基づき、100ppmより多く且つ5,000ppm未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 第1蒸留を、蒸留カラム中で80〜210℃の塔底温度及び20〜120℃の塔頂温度並びに1気圧(101kPa)の圧力において、実施して軽質物を除去する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 軽質物の除去後に、第2蒸留を、蒸留カラム中で165〜250℃の範囲の塔底温度及び160〜180℃の範囲の塔頂温度並びに15トル(2.0kPa)〜50トル(6.7kPa)の範囲の大気圧より低い圧力において、実施する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 第2蒸留を30〜100理論段のトレイを含む蒸留カラム中で実施する請求項9に記載の方法。
  11. 第2蒸留を1:10〜10:1の範囲の還流比で実施する請求項9又は10に記載の方法。
  12. 1回又はそれ以上の蒸留を連続運転様式で実施する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記精製ジオールを、各蒸留段階で、蒸留に供給されるジオールの重量に基づき、90%超の収率で回収する請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記精製ジオールが、ジオールの重量に基づき、500ppm未満(0.05重量%未満)の、酢酸として計算された総酸度を示す請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記精製ジオールがASTM D 1209−00試験法によって10未満にランク付けされる色を有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記C6〜C16脂肪族ジオールがシス/トランス−(1,3)(1,4)−シクロヘキサンジメタノールを含み且つ前記アルカリ金属化合物が水酸化カリウムを含む請求項1に記載の方法。
  17. 前記アルカリ金属化合物を、ジオール中の酸の当量当たり1.25当量超〜2.50当量未満の範囲の量で、使用する請求項16に記載の方法。
  18. 前記方法を連続運転様式で実施する請求項16又は17に記載の方法。
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