JP5398409B2 - 光コネクタ - Google Patents
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Description
特に、多心光コネクタとしては、MPO形光コネクタなどが多く用いられる(例えば、特許文献1参照)。光コネクタ(以下、フェルールともいう)の光ファイバ穴に光ファイバを挿入する際には、光ファイバ先端の樹脂被覆を除去して裸光ファイバとし、これを光ファイバ穴に挿入する。また、光ファイバの樹脂被覆を付けたまま穴に挿入する場合もある(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
MPO形光コネクタでは、屈折率整合剤を使用せずに、光ファイバの端面を直接接触させて、空気層によるフレネル反射を防止したPC接続(PC:physical contact)が採用される。
しかしながら、光ファイバの先端が接続端面から突き出すように研磨する工程は複雑であり、接続端面からの光ファイバの突出し量不足、突出し量のばらつき、接続端面の角度不良等によって接続特性が良好でなくなることがある。光コネクタの心数が増えるにつれて、すべての光ファイバで安定した光学的特性を得ることがより難しくなる。
一方、標準的な光コネクタのバネ圧、つまりフェルールを突き当てるための内蔵バネの付勢力は規定されており、光ファイバの突きだし量のバラツキを補償するため接続圧を規定以上に高めることはできない。また、接続圧を過度に高めると、光ファイバを破損するおそれがある。
特に、光ファイバ穴が2次元方向に配列された多心光コネクタでは、光ファイバ穴が一次元方向のみに配列されたものに比較し、接続端面の面積が広くなるので、研磨ムラが生じてこの問題が顕著になる。製造歩留まりも低下するため、良好な接続特性の光コネクタの価格が低下しにくいという問題が発生する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、良好なPC接続状態を安定して実現できる光コネクタを提供することを目的とする。
光フェルールの光ファイバ穴に挿通され、前記光ファイバの樹脂被覆層の少なくとも一部
が前記光ファイバ穴に接着固定され、前記光ファイバの端面が前記光フェルールの接合端
面に露出しており、前記光ファイバ穴は複数形成され、前記樹脂被覆層は、少なくとも一
層よりなり、クラッド層を覆う部分のヤング率が前記光フェルールの構成材料のヤング率
より小さく、前記光ファイバの先端が、前記光フェルールの接合端面から突出しており、
かつPC研磨されていることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる光コネクタは、請求項1において、前記光ファイバ穴の開口
は、前記接合端面に複数列に配列されていることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる光コネクタは、請求項1または2において、前記光フェルー
ルには、2本の位置決め部材挿入穴が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる光コネクタは、請求項1〜3のうちいずれか1項において、
前記光フェルールに形成された光ファイバ穴の内径が126〜129μmであり、前記光
ファイバ穴に挿入される前記光ファイバが、全石英製光ファイバである外径80μmの光
ファイバ裸線の外周に、外径125μmの前記樹脂被覆層が形成されたものであることを
特徴とする。
本発明の請求項5にかかる光コネクタは、請求項4において、前記光ファイバ穴の内径
は、JIS C 5982、あるいは、JIS C 5981の光ファイバ穴の規定に準じていることを特徴と
する。
本発明の請求項6にかかる光コネクタは、請求項1〜5のうちいずれか1項において、
前記樹脂被覆層の少なくともクラッド層を覆う部分のヤング率が1000MPa〜100
00MPaであることを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる光コネクタは、請求項4または5において、前記樹脂被覆層
が、外径110μmの一次被覆層と、その上に形成された外径125μmの着色樹脂層よ
りなることを特徴とする。
この緩衝材の存在により、光ファイバ裸線の先端位置は引っ込み易くなる。つまり、接続圧に対して、光ファイバ裸線の先端は光ファイバ穴に向かって引っ込み易くなる。
従って、接続端面が広く、接続される光ファイバの数が多いため、研磨工程後に、接続端面からの光ファイバの突出量にバラツキがあったとしても、適正な接続圧の下において、全ての光ファイバの突出量が適正化される。これにより、すべての光ファイバの挿入損失を低く抑えることができ、良好なPC接続が維持される。
図1は、本発明の光コネクタの一例の光フェルール(以下、フェルールという場合がある)を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)に示すフェルールの光ファイバ穴に挿通した光ファイバ素線を示す断面図である。図2は図1に示すフェルールを示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図3は、フェルールの要部を拡大した図である。図4は、フェルールの斜視図である。図5は、本発明の光コネクタの一例を示すもので、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
スプリング15は、ハウジング11に反力をとってフェルール12を前方に付勢するものである。
ブーツ17は、光コネクタ20後端付近での光ファイバ16の急激な曲げを防止するものである。
フェルール12は、例えばシリカ充填エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂を用い、一体成形などにより形成することができる。
フェルール本体2は、長方形の接合壁部2aの長辺から延出する上壁部2bおよび下壁部2cと、短辺から延出する側壁部2d、2dとを有する。
接合壁部2aには、光ファイバ素線1が挿入される複数の光ファイバ穴6と、ガイドピン穴7(位置決め部材挿入穴)が形成されている。光ファイバ穴6およびガイドピン穴7は、内部空間2eから接合端面4にわたって形成されており、内部空間2e側の端部内面はテーパ面となっている。
これら複数の光ファイバ穴6とガイドピン穴7は互いに平行に形成されており、各光ファイバ穴6のピッチは等しくなっている。
フェルール12の外形は、前記規格とJIS C 5981で規定されるプラグ(フェルールあるいはMTフェルールともいう)の形状に類似しており、光ファイバ穴6の径は、前記規格(JIS C 5981またはJIS C 5982)に準じて126〜129μmとするのが好ましい。なお、光ファイバ穴径の誤差は前記規格に準ずる。
PC研磨では、接合端面4と光ファイバ素線1を同時に研磨して、フェルール12の接合端面4から、光ファイバ素線1が突出するように研磨する。
なお、光ファイバ先端の研磨形状としては、突き出た光ファイバどうしが直接接触してPC接続する形状であれば良い。例えば、PC研磨の反射減衰量を更に向上させたSPC研磨、AdPC研磨を採用できる。また、フェルール本体は平面研磨してファイバのみを突き出して、凸研磨したフラット平面研磨を採用することもできる。
上壁部2bには、フェルール12の内部空間2eへの接着剤注入などに用いられる窓部2fが形成されている。
ただし、図2は、二次元配列型光コネクタの内部構造を模式的に示す図である。フェルール12の後面側には光ファイバ素線1を導入するための開口部が形成され、上下壁部2b、2cの少なくとも一方に窓部2fが形成されている。
図示例では、幅方向に列をなす複数の開口6aが厚さ方向に、平行多段に形成されている。具体的には、並列した12個の開口6aが平行6段に形成されている。すなわち、開口6aは、6列、形成されている。
光ファイバ穴6の個数や配列形態はこれに限定されず、例えば、12個×2段(24心)、12個×3段(36心)、12個×5段(60心)など、特に限定なく採用できる。
一列あたりの開口6aの個数も、12に限定されず、4個、8個、16個などであってもよい。
図2および図3に示すように、各光ファイバ穴6には光ファイバ素線1が固定されており、これら光ファイバ素線1の端部はフェルール12の接合端面4から突出している。
図4に示すように、この例では、複数の光ファイバテープ心線21がフェルール12に導入されており、各光ファイバテープ心線21のテープ被覆の端部から口出しされた光ファイバ素線1は、同一列の光ファイバ穴6に挿入される。なお、図示例では、光ファイバ素線1は光ファイバテープ心線21を構成するが、単心の光ファイバ素線等を使用してもよい。
光ファイバ裸線8は、全石英製シングルモード光ファイバ、全石英製マルチモード光ファイバなどを使用できる。符号8aは光ファイバ裸線8のコアであり、8bはクラッド層である。
一次被覆層9aのヤング率は、フェルール12を構成する材料のヤング率より小さくされている。
一次被覆層9aのヤング率が高すぎると、後述のように、光ファイバ穴の内部で、光ファイバ素線が固定されて動きにくくなり、光ファイバ先端のバラツキに起因する一部の光ファイバ素線1の損失を低減できないおそれがあるが、ヤング率を上記範囲とすることによって、すべての光ファイバ素線1において、低損失で安定した接続を実現できる。
一次被覆層9aのヤング率が低すぎると、光ファイバ穴の内部で、光ファイバ素線の位置が不安定になり、相手側光コネクタの光ファイバとの間で接続圧を加えた際に、接続が不安定となり損失が増大することがある。
一次被覆層9aのヤング率が高すぎると、上述のように、光ファイバ先端のバラツキに起因する一部の光ファイバ素線1の損失を低減できないおそれがある。
ヤング率を上記範囲とすることによって、すべての光ファイバ素線1において、低損失で安定した接続を実現できる。
図6に示すように、光ファイバ素線1は、着色被覆9bを形成しない構成も可能である。この場合には、樹脂被覆層9全体のヤング率が上記範囲となる。
なお、少なくとも一部が接着固定されるとは、光ファイバ穴の長手方向に沿って光ファイバ全長が接着固定されている場合と、光ファイバの一部のみが接着固定されている場合があることを意味する。
上述のように、光ファイバ素線1は、光ファイバ穴内に延在する部分に、樹脂からなる一次被覆層9aを有する。一次被覆層9の弾性により、接続時の光ファイバ素線1の押圧力(突き当て力)が調整される。
このため、接合端面4からの光ファイバ素線1の突出量が適正化され、良好なPC接続が維持される。
従って、光ファイバ素線1の数が多い場合でも、光損失の増大や接続の切断などのトラブルを防ぎ、安定した光学的特性を維持することができる。例えば、すべての光ファイバ素線1の挿入損失を0.5dB以下にすることができる。
MPO型光コネクタやMT型コネクタ以外の光コネクタ型式としては、MTP、MPX、OGI、HBMT型に採用することができる。
また、本発明は、単心光コネクタに適用しても優れた効果を有する。
単心光コネクタとしては、JIS、IECで規格化されている2.5mm径のSC型フェルール、あるいはSC型フェルールよりも小径のMU型フェルールに用いることができる。このほか、小径の光フェルールを用いる光コネクタ型式としてはLC型光コネクタがある。
これらは、いずれも125μm程度の光ファイバ穴径を有しており、この光ファイバ穴に、上述の構成の外径125μmの樹脂被覆付き光ファイバを挿入することにより、精密研磨を施すことなく良好なPC接続状態を実現することができる。
以下の説明において、図1〜図5に示す光コネクタ20との共通構成については同一符号を付してその説明を省略する。
図7は、本発明の光部品の一例である光ファイバアレイを示すもので、この光ファイバアレイ30は、上述の光ファイバ素線1が導入される複数の光ファイバ導入溝31(光ファイバ挿通部)を有するアレイ基板32と、アレイ基板32との間に光ファイバ素線1を挟み込む蓋部33とを有する。
アレイ基板32と蓋部33の前端面は、光ファイバ素線1の先端が突き合わせ接続可能に位置決め固定される接合端面34となっている。
光ファイバ素線1は、アレイ基板32および蓋部33に、接着剤35によって固定されている。光ファイバ素線1の先端は接合端面34から突出している。
一次被覆層9aのヤング率は、1000MPa〜10000MPaとすることができる。ヤング率をこの範囲とすることによって、すべての光ファイバ素線1において、低損失で安定した接続を実現できる。
一次被覆層9aのヤング率は、アレイ基板32および蓋部33を構成する材料のヤング率より小さくされることが好ましい。
従って、接合端面34からの光ファイバ素線1の突出量が適正化され、良好なPC接続が維持される。
光ファイバ素線1は、コア8a(外径50μm)とクラッド層8b(外径80μm)を有する、全石英製の光ファイバ裸線8の外周に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂からなる一次被覆層9a(外径110μm)を設け、その外周に着色被覆層9b(外径125μm)を設けた構成とした。
一次被覆層9aのヤング率は、表1に示すとおりとした。いずれの実施例においても、一次被覆層9aのヤング率はフェルール12の構成材料のヤング率より低く設定した。
この光コネクタ(フェルール)は、JIS C 5982、JIS C 5981に準じて規定されるプラグ(フェルールあるいはMTフェルールともいう)の外形に類似した樹脂製の角形状とされている。光ファイバ穴6の径は、前記規格に準じて126μm〜129μmとした。光ファイバ穴6にエポキシ樹脂の接着剤を充填して、光ファイバ素線1を光ファイバ穴6の内面に接着した。
なお、光ファイバ素線と光ファイバ穴との隙間は、光ファイバ自体の径に比べて非常に狭く、接着剤の量も微量であるので、接着剤の存在が光ファイバ付き光コネクタの接続特性に及ぼす影響は非常に小さい。
一対の光コネクタ20をPC接続し、光ファイバ素線1の挿入損失を測定した。測定を4回行い、挿入損失の最大値を記録した。代表的な測定結果の一例を表1に示す。
図8は、一次被覆層9aのヤング率をフェルール12の構成材料のヤング率より低く設定した光コネクタ20を用いて挿入損失を測定した結果の一例を示すもので、各光ファイバ素線1の挿入損失の値を示すものである。
表1より、被覆層9のヤング率を1000MPa〜10000MPaとすることによって、挿入損失を低く抑えることができたことがわかる。
例えば、標準的な250μm径の光ファイバ素線(樹脂被覆付き)を光フェルールの光ファイバ穴に挿入する場合には、光ファイバ穴の径を250μm以上にする必要がある。
しかし、標準的な光フェルールの光ファイバ穴径は126〜129μmであるから、250μm径に対応した光ファイバ穴径を有する光フェルールを製造するには、成形金型設備、製造工程、製造条件を大幅に変える必要があり、その結果として製造コストが上昇して製造歩留まりも悪化する。さらに、限られた大きさの光フェルールに光ファイバを高密度実装することができなくなる。
本発明は、樹脂被覆付き光ファイバの外径を125μmとして、光フェルールの標準的な光ファイバ穴に挿入できるようにしたので、成形金型設備、製造工程、製造条件をそのまま使用することができるようになる。これにより、高密度実装が可能であるにもかかわらず、接続特性が良好な光コネクタ、特に多心光コネクタを安価に製造することができるようになる。
Claims (7)
- 複数の光ファイバ穴(6)を2次元配列した接合端面(34)を有する樹脂製の多心光フェルール(12)と、前記複数の光ファイバ穴にそれぞれ接着固定された複数のマルチモード光ファイバ素線とを備え、
前記複数のマルチモード光ファイバ素線のそれぞれは、その樹脂被覆層を含めて前記複数の光ファイバ穴の内径とほぼ同径であり、前記複数の光ファイバ穴のそれぞれに樹脂被覆層を付けたままその内面に接着されており、
前記樹脂被覆層は、少なくとも一層よりなり、
前記樹脂被覆層のうちのクラッド層(8b)を覆う部分(9、9a)は、そのヤング率を前記多心光フェルールの構成樹脂および前記クラッド層の両方より小さい2GPaのウレタンアクリレート系樹脂とされており、
前記複数のマルチモード光ファイバ素線を接着固定した前記多心光フェルールの接合端面に対してPC研磨だけを施して、それらの前記複数のマルチモード光ファイバ素線のそれぞれを前記接合端面から突出させており、
前記複数のマルチモード光ファイバ素線全てについて、その樹脂被覆層の弾性変形を用いて前記接合端面に対する突出量を適正化しPC接続可能とし、前記複数のマルチモード光ファイバ素線の挿入損失を一括して安定的に0.5dB以下とした光コネクタ(20)。 - 前記マルチモード光ファイバ素線は、光ファイバテープ心線を構成するものであってその先端から導出されたものである請求項1に記載の光コネクタ。
- 前記光ファイバ穴は、前記接合端面に複数列に配列されている請求項1または2に記載の光コネクタ。
- 前記光フェルールには、2本の位置決め部材挿入穴(7)が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光コネクタ。
- 前記光フェルールの前記光ファイバ穴の内径が126〜129μmであり、
前記マルチモード光ファイバ素線が、全石英製光ファイバである外径80μmの光ファイバ裸線(8)の外周に、外径125μmの前記樹脂被覆層が形成されたものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光コネクタ。 - 前記光フェルールの前記光ファイバ穴の内径は、JIS C 5982、あるいは、JIS C 5981の光ファイバ穴の規定に準じている請求項5に記載の光コネクタ。
- 前記樹脂被覆層が、外径110μmの一次被覆層(9a)と、その上に形成された外径125μmの着色樹脂層(9b)よりなる請求項5または6に記載の光コネクタ。
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