従来の光アイソレータ付きファイバスタブおよびそれを用いた光レセプタクルおよび光モジュールは例えば特許文献1および2に開示されており、その内部構造を図5、図6で説明する。図5は従来の光アイソレータ付きファイバスタブの要部縦断面図、図6は光モジュールの中央縦断面図である。
フェルール102はセラミックスまたはガラス材から成る。フェルール102は、中央部に光ファイバの外径と同等以上の直径を有する貫通孔127を有し、後端面129側にはザグリ部121を有している。貫通孔127には導光体101として光ファイバのコアと同等の屈折率を有するガラス101が溶融され充填されている。ファイバスタブ103は、これらフェルール102と導光体(ガラス)101とで構成されている。ファイバスタブ103の後端面129は、近端反射による半導体レーザなどの光素子への戻り光を抑制するため、例えば4°〜8°の所定角度に斜め研磨加工されている。そして、後端面129に光アイソレータ素子109が設置されている。
光アイソレータ素子109は、偏光子106、ファラデー回転子107、検光子108から成り、予め偏光子106と検光子108の透過偏波面の角度が45°となるよう光軸周りに回転させて調芯された後、各々接着剤により張り合わされている。また、ファイバスタブ103のザグリ部121に収容されるよう所定の大きさに裁断されており、導光体101の光軸と光アイソレータ素子109の光軸とがほぼ一致するように後端面129に接着固定されている。このとき、偏光子106の透過偏波面は、後端面129の斜め研磨方向に対し垂直または水平となるように接着固定される。
ファイバスタブ103の外周部には、ファラデー回転子107に磁界を印加する円筒型の磁石110が配置される。磁石110の内側のファイバスタブ103のザグリ部121に収容された光アイソレータ素子109を取り囲む位置に接着剤などにより固定されることによって、光アイソレータ素子109が磁石110の磁界によって光アイソレータ111として機能する。
図6は図5の光アイソレータ付きファイバスタブ125を光モジュールに用いたときの縦断面図である。光モジュールは、光軸を中心軸とした同軸型の半導体レーザモジュールで、全体が円筒状の筐体を有するものである。また、プラグフェルール131が接続される光レセプタクル型の場合を示す。LD(レーザダイオード)への配線用リード線およびモニタ用PD(フォトダイオード)等は図示を省略した。
従来の光モジュールは、半導体レーザ112、ヒートシンク113、金属ステム114、レンズ115およびレンズホルダ116からなる光学ユニット100と、光アイソレータ111と光レセプタクル117とから構成されている。
光学ユニット100部分の半導体レーザ112は、ヒートシンク113上にはんだにより搭載される。ヒートシンク113は、金属ステム114の支持部114a上に搭載され、同じくはんだにより固定されている。レンズ115は金属から成るレンズホルダ116に低融点ガラスなどにより固定され、レンズホルダ116は金属ステム114に抵抗溶接されている。
光レセプタクル117部分のファイバスタブ103は金属ホルダ105の第2の貫通孔128に圧入され、金属ホルダ105の後端側には磁石110を固定するための第2のザグリ部133が設けられている。また、ファイバスタブ103の先端側には、セラミックスまたは金属から成るスリーブ118が挿入され、スリーブ18を覆うように金属またはプラスチックなどからなるシェル119が金属ホルダ105に挿入固定され、光レセプタクル117が形成されている。
このような光モジュールは、半導体レーザ112から出射された光がレンズ115により集光され、半導体レーザ112への反射戻り光を防止する光アイソレータ111およびファイバスタブ103の導光体101を介して光コネクタのプラグフェルール131中央部に設置された光ファイバ132の先端に光結合するように組み立てられる。
光モジュールの組立は、レンズ115によって、光ファイバ132の先端位置が焦点になるよう光レセプタクル117の位置を調整し、その後、光レセプタクル117の金属ホルダ105がレンズホルダ116にレーザ溶接等により固定されることによって行なわれる。レンズホルダ116の内周120には、光レセプタクル117を位置調整する際に光アイソレータ111の磁石110が接触しないよう、第3のザグリ部134が形成されている。
しかしながら、図5および図6に示す従来の構造では、ファイバスタブ103の後端面129に光アイソレータ素子109を接着固定する際、光アイソレータ素子109の位置決めを簡単に行なえないという問題があった。すなわち、貫通孔127の中心に合わせて光アイソレータ素子109の光学面が配置されるようにしなければならないが、貫通孔127の中心軸と光アイソレータ素子109の光学面の中心とを合わせて接着し難いという課題がある。
このため、ファイバスタブ103の後端面129に設置固定する光アイソレータ素子109の光学面の面積は、位置ズレを考慮して大きくしておく必要があった。例えば、光アイソレータ素子109に入射されるビーム直径約0.3mmに対し、光アイソレータ109の光学面の寸法を縦0.45mm×横0.45mmより小さくできないという課題があった。
本発明の目的は、上述の課題に鑑みて案出されたものであり、小型光アイソレータ素子を用いた組立が容易な光アイソレータ付きファイバスタブ、光アイソレータ付き光レセプタクルおよび光モジュールを提供することにある。
上記課題に鑑みて本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付きファイバスタブは、円筒形状を成し、中央の貫通孔に導光体が配置されたフェルールの後端面に、偏光子とファラデー回転子とから成る光アイソレータ素子を設置した光アイソレータ付きファイバスタブであって、光アイソレータ素子の設置位置の端を起点とし、前記光アイソレータ素子の幅より少し大きな幅を有するとともに前記後端面に対して傾斜した底面を有する溝が前記貫通孔の開口を横切るように形成され、前記溝内に、前記光アイソレータ素子が前記開口を覆うように設置されていることを特徴とする。
前記光アイソレータ素子は、光軸に垂直な断面形状において平行な2辺を有し、この2辺間距離が前記溝の幅未満とされているとともに、前記2辺と前記溝とが平行になるように前記溝に嵌着されているのが好ましい。
また、前記光アイソレータ素子に磁界を印加する円筒形状の磁石が、前記フェルールの前記後端面に設置されているのが好ましい。
前記導光体は、この導光体に接続される光ファイバのコアとほぼ同等な屈折率を有する弾性変形可能な光学的透明体から成るのが好ましい。
前記貫通孔の内径が前記光ファイバの外径以上であるのが好ましい。
また、本発明の一実施形態に係る光レセプタクルは、上述の光アイソレータ付きファイバスタブと、貫通孔の一方側開口に前記フェルールの先端部が挿入されたスリーブと、前記フェルールの後端側外周面を把持するホルダとを備えたことを特徴とする。
さらに、上記光アイソレータ付き光レセプタクルは、前記フェルールの後端側外周面を把持する前記ホルダの把持部が、前記磁石の一部を収容可能に延設されているのが好ましい。
また、前記磁石の一部を収容可能に延設された前記ホルダの延設部の内径が、前記フェルールを把持する前記ホルダの把持部の内径より小さく、前記把持部と前記延設部との間に形成された段差面に、前記フェルールの後端面が当接されるとともに接着剤により固定されているのが好ましい。
また、本発明の一実施形態に係る光モジュールは、上記光アイソレータ付き光レセプタクルと、前記光アイソレータに光結合されるように配置された光素子を有する光学ユニットとを備えたことを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付きファイバスタブによれば、フェルールの後端面に、貫通孔の直径より大きな幅を有するとともに後端面に対して傾斜した底面を有する溝が貫通孔の開口を横切るように形成され、この溝に光アイソレータ素子が開口を覆うように設置されていることから、光アイソレータ素子を溝の底面に沿って傾斜させて設置することができる。また、光アイソレータ素子は溝に設置されるので、開口を覆う程度の小さな光アイソレータ素子でも十分で、光アイソレータ素子の組立が容易になる。フェルールの後端面は溝を形成するだけであり、フェルールの加工も容易である。
光アイソレータ素子が、光軸に垂直な断面形状において平行な2辺を有し、この2辺間距離が溝の幅未満とされているとともに、2辺と溝とが平行になるように溝に嵌着される場合、光アイソレータ素子の位置決めがさらに容易になるとともに、接着固定時の左右および光軸に対する回転方向へのズレも抑制できる。このため、可能な限り光アイソレータ素子の接合面積を小さくでき、これにより、従来構造に比較して光アイソレータ素子の小型化が可能となる。
光アイソレータ素子に磁界を印加する円筒形状の磁石が、フェルールの後端面に設置される場合、後端面の外周部は傾斜面とする必要がないので、円筒形の磁石を設置し易くなる。
また、導光体は、導光体に接続される光ファイバのコアとほぼ同等な屈折率を有する弾性変形可能な光学的透明体で形成する場合、導光体と光ファイバとの接続部に生じる光ロスが小さく、ファイバスタブの両端面の光学的な研磨加工が不要となる上、光コネクタのプラグフェルール先端がファイバスタブの先端に繰り返し嵌合により突き当てられても導光体に傷がつかない。
貫通孔の内径が光ファイバの外形以上である場合、光ファイバと光学的透明体との間の光ロスを生じ難い。
また、本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付き光レセプタクルによれば、光アイソレータ素子を小型化でき、用いる磁石も小型化することができる上記光アイソレータ付きファイバスタブを備えているので、小型の光レセプタクルとすることができる。
さらに、フェルールの後端側外周面を把持するホルダの把持部が、磁石の一部を収容可能に延設されている場合、半導体レーザなどの光モジュールのレンズホルダ内径に光アイソレータを収容する専用のザグリ部を設ける必要がない。また、ホルダの貫通孔に磁石の一部を挿通固定することで、さらに小型化および低コスト化ができる。
また、ホルダの把持部と延設部との間に形成された段差面に、フェルールの後端面が当接されるとともに接着剤により固定されている場合、ファイバスタブ長を短尺化しても、プラグフェルールがファイバスタブ先端に押圧されることによってファイバスタブが脱落し難くいものとできる。また、ファイバスタブを接着して固定することによって、ファイバスタブを圧入して固定する場合に比してホルダの内径公差を緩和できる。
本発明の一実施形態に係る光モジュールによれば、上記光アイソレータ付き光レセプタクルと、光アイソレータに光結合されるように配置された光素子を有する光学ユニットとを備え、小型で低コストな光モジュールを提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図によって説明する。
図1は、本発明の光アイソレータ付きファイバスタブ25の縦断面図である。本発明に用いられるファイバスタブ3は、フェルール2と導光体1とから構成される。フェルール2はセラミック材またはガラス材から成り、中央部軸方向に貫通孔27を有している。貫通孔27は、内部を通過する光ビームの直径に合わせた丸い孔形状に設けられる。貫通孔27内には光学的に透明な導光体1(以下、光学的透明体1ともいう)が充填される。
ファイバスタブ3の後端面29には、貫通孔27の直径より僅かに大きな幅、例えば貫通孔27の直径0.1255〜0.1265mmに対して、幅0.35〜0.4mmの溝22が中央の貫通孔27を横切るように形成される。溝22は、半導体レーザ12等の光素子への近端反射による戻り光を抑制するため、光軸に垂直な面に対して8°に傾斜させてダイシング加工等により設けられる。傾斜方向は、溝22の幅方向に傾斜させてもよいのであるが、溝22の一端から他端にかけての溝22が形成される方向に傾斜させて設けるとよい。
溝22は、光アイソレータ素子9が設置される位置の端を起点23とし、そこから貫通孔27を横切ってフェルール2の外周面まで設けられる。光アイソレータ素子9は溝22の起点23から溝22の内側の溝22の浅い位置に設置されるので、光アイソレータ素子9のチャッキングが容易であり、接着される溝22の底面部の目視確認も行ないやすい。
光学的透明体1は、ガラスまたは樹脂が用いられるが、ゲル材等から成る弾性変形可能な光学的透明体1を用いるのが好ましい。また、光学的透明体1は、光ファイバのコア部の屈折率1.46とほぼ同等な1.4〜1.5の屈折率を有しているのが好ましい。例えば、ガラス転移温度Tgが−40度以下のエポキシ系のゲル状樹脂等を用いればよい。一般に、光レセプタクル17用途として使用されるファイバスタブ3の先端面24には、光コネクタのプラグフェルール31の先端と当接させるために曲面研磨加工が施されるが、その代わりに、フェルール2の先端面24より光学的透明体1の先端4を表面張力で若干突き出す程度に形成させる。これによって、先端面24を凸曲面に研磨する工程を省略することができる。光学的透明体1は、例えば、直径が光ファイバの径(0.125mm)と同等かそれ以上の直径0.125mm〜0.3mmの貫通孔27に充填される。
溝22の起点23は、光アイソレータ素子9が図3に示すような光軸に垂直な面26において縦0.35mm,横0.35mmの大きさであるとすると、貫通孔27の中心より約0.175mmに位置するように形成されるのが好ましい。入射する光のビーム径が直径約0.3mmとすれば、光アイソレータ素子9はそれより若干大きい縦0.35mm×横0.35mm程度に形成される。この光アイソレータ素子9を溝22に搭載固定する際は、光アイソレータ素子9の横方向以上の幅で形成された溝22の幅方向に横方向を収め、縦方向は傾斜面の起点23を目標に位置決めして設置される。溝22の幅を光アイソレータ素子9の横寸法より少し長く形成すれば、光アイソレータ素子9を、ファイバスタブ3に接着して固定する際に、溝22によって左右および回転方向への位置ズレを生じることがないので、光アイソレータ素子9を小型にすることができ、貫通孔27の開口の略中心に搭載できることになる。
また、溝22を光軸方向に若干掘り下げてから溝22の傾斜面を形成してもよい。この場合も、溝22の起点23が上記の場合と同じ位置になるように溝22が形成される。
光アイソレータ素子9は、偏光子6、ファラデー回転子7、検光子8から成る。そして、偏光子6と検光子8の透過偏波面の角度が45°となるよう予め回転調芯された後、各々接着剤により貼り合わされ、その後所定の大きさに裁断されて個々の光アイソレータ素子9が形成される。光アイソレータ素子9の入出射面は、ファイバスタブ3の溝22の例えば傾斜角8°の面に平行に設置されるので、光軸に対して傾斜角8°の面となる。光アイソレータ素子9の側面は、光アイソレータ素子9を傾斜面に設置した際に、光軸に対して平行になるように形成しておくと、光アイソレータ素子9をコンパクトに収容することができる。また、入射面と側面とが成す角度から、透過偏波面の方向を見分けることができる。
ファラデー回転子7に磁界を印加する円筒型の磁石10は、外径が一般に使用されるファイバスタブ3の外径の最小径である直径1.25mmと同じかそれ以下に設定されるのが好ましい。このような磁石10が、筒の内側に配置される光アイソレータ素子9を取り囲むようにファイバスタブ3の後端面29に接着剤により固定される。そして、光アイソレータ素子9と磁石10とで光アイソレータ11が構成される。
円筒型の磁石10は、光軸と直角な後端面29に接着されるようにすれば、傾斜面に傾斜させて接着される場合に比べてコンパクトに収納されるようにできる。また、接着作業も容易になり、接着強度を確保するのも容易になる。
磁石10の外径をファイバスタブ3の外径以下とすると、磁石10がファイバスタブ3の外周面から外側に突出するのを防ぎ、磁石10およびファイバスタブ3全体を円柱状の一空間内に収容できる。これによって、後述する光モジュールを設計する際、図2に示すように、金属ホルダ5の第2の貫通孔28内にファイバスタブ3とともに磁石10の一部を収容することが可能となり、金属ホルダ5の形状を単純化できる。
このようにして、ファイバスタブ3と光アイソレータ11とで、光アイソレータ付きファイバスタブ25が構成される。本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付きファイバスタブを用いることによって、光レセプタクル17や光モジュールを小型化することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付き光レセプタクル30および光モジュールを示す縦断面図であり、同軸型の半導体レーザモジュールを示している。なお、LD(レーザダイオード)への配線用リード線およびモニタ用PD(フォトダイオード)等の図示は省略する。
本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付き光レセプタクル30は、上述の光アイソレータ付きファイバスタブ25と光レセプタクル17とで構成される。光レセプタクル17は、フェルールの後端部を把持する金属ホルダ5と、フェルールの先端部が挿入されるスリーブ18とを有する。また、スリーブ18の外側を覆いスリーブ18を保護するとともに、後端部をホルダ5に把持されたシェル19が設けられてもよい。
金属ホルダ5は、一般に有底カップ状に形成されており、その底面中央から厚み方向に貫通する第2の貫通孔28を形成するとともに、この第2の貫通孔28に光アイソレータ付きファイバスタブ25の後端面29側が圧入保持可能に構成されている。つまり、ファイバスタブ25の後端面19側が貫通孔28に圧入されることによって、ファイバスタブ25の後端面19側がホルダの貫通孔28内に把持されるようになっている。また、貫通孔28を延設し、この貫通孔28の延設部28bに光アイソレータ11の一部が収容されるようにしてもよい。
金属ホルダ5の材料としてはSUS304等の耐食性と溶接性に優れたステンレス材が用いられるが、鉄、ニッケルなどの溶接が可能な材料を用いても構わない。
スリーブ18は、りん青銅やセラミック材料等からなる円筒を縦方向全体にスリット加工した割りスリーブが用いられ、一方側の開口から光コネクタ用のプラグフェルール31を保持することが可能となる。
シェル19は円筒状に形成され、また、スリーブ18は金属ホルダ5の側壁と離間してその全体が収納され金属ホルダ5に圧入保持可能に構成されている。シェル19の材質としては金属またはプラスチックが用いられる。
そして、スリーブ18の他方の開口にファイバスタブ3が挿入され、また、このスリーブ18を覆うようにシェル19が金属ホルダ5内に挿通固定されて光レセプタクル17を形成している。
本発明の一実施形態に係る光モジュールは、本発明の一実施形態に係る光アイソレータ付き光レセプタクル30と、光学ユニット100とを備えている。光学ユニット100は、内部に光素子12を収納しており、光素子12は光アイソレータ付き光レセプタクル30と光アイソレータ素子9を介して光コネクタ用のプラグフェルール31の光ファイバ32と光結合されている。
光学ユニット100は、半導体レーザ12、ヒートシンク13、金属ステム14、レンズ15およびレンズホルダ16とから構成される。また、光アイソレータ付き光レセプタクル30は上述の光レセプタクル17の後端面29側に光アイソレータ11が取り付けられて構成されている。
半導体レーザ12は、ヒートシンク13上に半田により搭載され、ヒートシンク13は、円柱状の平面に支持部14aを垂直に突出させた金属ステム14上に同じく半田により搭載固定されている。レンズホルダ16は、金属ステム14の円柱面周囲に抵抗溶接可能な材質で円筒状に形成されている。レンズホルダ16は、半導体レーザ12やヒートシンク13を収納可能に形成されるとともに、レンズ15が内周20の半導体レーザ12のレーザ光路の途中に低融点ガラスなどにより固定される。
光アイソレータ11の磁石10は小型化を実現すると共に接着強度を増加するために金属ホルダ5の第2の貫通孔28に一部が挿通固定された状態で保持されていてもよい。そのために、磁石10の外周面の直径はフェルール3の外周面の直径とほぼ同じとされている。また、磁石10は光軸と垂直な後端面29に接着される。そして、第2の貫通孔28として同じ内径の一つの第2の貫通孔28を形成することによって、ファイバスタブ3とともに光アイソレータ11を収容することができる。このような構成にすることで、光レセプタクル17の光軸調芯時にレンズホルダ16の内周面20に第3のザグリ部34を設けなくても磁石10が接触することがなく、小型、低価格化することができると共にファイバスタブ3の溝22と金属ホルダ5の第2の貫通孔28の両方で接着することで接着面積も大きくでき、接着強度を増加させ信頼性を向上した光モジュールを提供できる。
また、半導体レーザ12から出射された光がレンズ15により集光され、半導体レーザ12への反射戻り光を防止する光アイソレータ11および光学的透明体1を介して光コネクタのプラグフェルール31中央部の光ファイバ32先端面へ導入される。光アイソレータ付き光レセプタクル30と光学ユニット100とは、集光された光線の位置に光ファイバ32が位置するよう光レセプタクル17を位置調整した後、光レセプタクル17の金属ホルダ5をレンズホルダ16にレーザ溶接等により固定されることによって組み立てられる。
このとき、光アイソレータ11の外径がレンズホルダ16の内周20に対し充分小さいため、図6の従来例で示したような光アイソレータ111専用の第3のザグリ部134を設ける必要がなく光モジュールとして小型化が可能となる。さらに、光学的透明体1をゲル状樹脂で形成することで、両端面の光学的な研磨加工が不要となる上、光コネクタのプラグフェルール31先端がファイバスタブ3の先端面24に繰り返し嵌合により突き当てられても光学的透明体1に傷がつき難い。
図4は図2のホルダ5の貫通孔28の内径を途中で変えて形成した一実施形態の例を示す縦断面図であり、同軸型の半導体レーザモジュールを示している。すなわち、ホルダ5は、フェルール31を把持する把持部となる貫通孔28aの内径より、磁石10が収容される延設部(貫通孔)28bの内径が小さく、貫通孔28aと貫通孔28bとの間に段差面28cを有するように形成される。そして、段差面28cにファイバスタブ3の後端面29を当接させるとともに、ファイバスタブ3後端面29側の後端部を貫通孔28aの内壁面に接着してある。
光学的透明体1が光ファイバである場合は、レンズ15で集光される光の焦点位置を後端面29の光ファイバのコア部分に持ってくることになるが、光学的透明体1をゲル状樹脂で形成する場合は、光の焦点位置は先端面24側の光ファイバ32のコア部分になるようにする。
ところで、レセプタクル17を小型にするためにファイバスタブ3の全長を短く、例えば2mm以下とする場合、貫通孔28aによるファイバスタブ3の把持力が十分でない場合がある。この場合、ホルダ5に貫通孔28bを設け、互いに内径の異なる貫通孔28aと貫通孔28bとの間にできる段差面28cにファイバスタブ3の後端面29を当接させることによって、プラグフェルール31がファイバスタブ3の先端を押圧しても、ファイバスタブ3が貫通孔28から脱落し難いものとできる。また、従来の圧入して把持固定させる方法に代えて、接着剤による固定法を採用すると、ホルダ5の貫通孔28aの内径精度を緩和できる。例えば、圧入して固定する場合の、10μm以下の加工精度から±20μm以下の加工精度に緩和できる。
以下、本発明の実施例として図1および図2に示す光アイソレータ付きファイバスタブ11と光アイソレータ付き光レセプタクル30を備えた光モジュールを作製した。光モジュールは同軸型からなる光レセプタクル型半導体レーザモジュールとした。
図1において、ファイバスタブ3の後端面29には幅0.4mmの溝22を中央の貫通孔27を横切るようにかつ、底面が光軸に垂直な面に対して8°に傾斜させてダイシング加工により設けた。
ファイバスタブ3は全長が1mm、外径が1.25mmで、軸方向中央部に直径が0.2mmの貫通孔27が設けられたものを用いた。貫通孔27内には光学的透明体1として屈折率が1.48でガラス転移温度Tgが−50℃のエポキシ系のゲル状の熱硬化性樹脂を充填した。熱硬化性樹脂は、ファイバスタブ3の先端面24より表面張力で貫通孔27の開口から若干突き出る程度に充填した。
溝22の傾斜面の起点23は、図3に示すように、貫通孔27の中心より0.175mmの位置とした。
一方、光アイソレータ素子9は、光軸に対する垂直断面26において縦0.35mm×横0.35mmに裁断して形成した。そして、図3に示すように、底面が傾斜角度8°で形成された溝22の底面に起点23と光アイソレータ素子9の側面とが一致するように接着剤によって固着した。なお、偏光子6の透過偏波面は、溝22の延設方向に対し垂直となるようにした。
ファラデー回転子7に磁界を印加するための円筒型磁石10は、外径が1.2mm、内径が0.6mm、長さが1mmのものを使用した。そして、ファイバスタブ3の光軸に対して直角な後端面29の外周部に接着剤により固定した。以上により光アイソレータ付きファイバスタブ25を形成した。
次に、図2に示すように、半導体レーザ12をヒートシンク13上に半田により搭載固定し、ヒートシンク13は、金属ステム14上に同じく半田により搭載固定した。レンズ15はステンレス材から成るレンズホルダ16に低融点ガラスにより固定し、レンズホルダ16は金属ステム14に抵抗溶接した。
光アイソレータ付きファイバスタブ25はファイバスタブ3の後端面29が金属ホルダ5の第2の貫通孔28より飛び出さない位置に圧入固定し、先端側にジルコニア材から成るスリーブ18を挿入した。そして、スリーブ18を覆うようにステンレス材からなるシェル19を被せて、金属ホルダ5に圧入固定することによって光レセプタクル17を形成した。
磁石10の外周面と金属ホルダ5の第2貫通孔28との間の隙間には接着剤を充填して接着強度を補強した。そして、光レセプタクル17に嵌合された光コネクタ側のプラグフェルール31に挿入された光ファイバ32の先端面にレンズ15により集光された光が焦点を結ぶように上記光レセプタクル17を位置調整した後、光レセプタクル17の金属ホルダ5をレンズホルダ16にレーザ溶接固定した。
表1に従来の半導体レーザモジュールと本実施例による半導体レーザモジュールのファイバスタブ3の両端面の研磨時間、光アイソレータ素子9の光軸に対する垂直断面積と磁石10の外径、金属ホルダ5およびレンズホルダ16の内径の光アイソレータ11専用ザグリ部有無、光アイソレータ素子9とファイバスタブ3間の接着部確認可否、ファイバスタブの導光体に生じた傷の有無についてまとめた結果を示す。
本実施例の光モジュールでは、ファイバスタブ3の中央の貫通孔27内の光学的透明体1として弾性変形可能なゲル状の樹脂を採用したことで、両端面の研磨を不要とし、約5分要していた研磨時の作業時間を100%低減できた。また、溝22に接着固定する光アイソレータ素子9の光軸に対する垂直断面26の面積は、従来例の約0.2mm
2に比し、本実施例では約0.12mm
2と、約40%低減できたことで光アイソレータ素子9の取り数を増やし、低価格化できた。
さらに、円筒型磁石10の外径を従来例に比し40%低減したφ1.2mmとし、金属ホルダ5の第2の貫通孔28に挿通してファイバスタブ3の後端面29と第2の貫通孔28に固定することで、接着強度を損ねることなく光アイソレータ11を小型化し、金属ホルダ5の第2のザグリ部33も不要とした。
また、光アイソレータ11の外径をファイバスタブ3の外径より小さくしたことで、光モジュールのレンズホルダ16の内周20に光アイソレータ11を収容する専用の第3のザグリ部34を設ける必要がなく、レンズホルダ16も低価格化することができた。
さらに、磁石10を取り付ける前の光アイソレータ素子9とファイバスタブ3間の接着部は従来例のザグリ部21を有する構造に比し、溝22は目視できる構造のため、接着剤のメニスカスなど充填状態を確認して管理することができ、信頼性を向上することができた。
また、光レセプタクル17に嵌合される光コネクタのプラグフェルール31先端が、ファイバスタブ3の先端と繰り返し突き当てられた際、弾性変形可能なゲル状樹脂からなる光学的透明体1では傷がつかないことを確認できた。