JP5397499B2 - 風味の改善された大豆飲食品、並びにそれらの製造法 - Google Patents
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Description
上記のように、従来のいずれの方法も、生クリームなどの乳製品を代替しうるような、大豆由来の青臭みがなく濃厚なコク味のある大豆由来素材として十分なものとはいえなかった。本発明は、生クリームなどの乳製品代替物として使用することができる風味の改善された大豆乳化組成物、及びその使用により、大豆由来の青臭みがなく濃厚なコク味のある大豆飲食品を提供することを課題とする。
第2は、乾物あたりの食物繊維含量が10重量%以下である、前記第1の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品である。
第3は、乾物あたりの脂質含量が15重量%以上であってNSIが20〜77の範囲に加工された含脂大豆を用い、
1)該含脂大豆に加水して懸濁液を調製する工程、
2)該懸濁液を固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収する工程、
で得られる、前記第1の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品である。
第4は、回収された不溶性画分をさらに均質化した後、該均質化液を固液分離して食物繊維を除去し、上清を回収して得られる、前記第3の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品である。
第5は、風味改善された大豆飲食品への第1〜第4のいずれかの大豆乳化組成物の使用である。
第6は、第1〜第4のいずれかの大豆乳化組成物を、風味改善の有効成分として用いることを特徴とする、大豆飲食品の風味改善方法である。
第7は、第1〜第4のいずれかの大豆乳化組成物を、風味改善の有効成分として用いることを特徴とする、大豆飲食品の製造方法である。
本発明の大豆飲食品に用いられる大豆乳化組成物は、大豆を由来とし、蛋白質のうち、グリシニンやβ−コングリシニン以外の脂質親和性蛋白質(あるいは別の指標としてリポキシゲナーゼ蛋白質)の割合が特に高く、中性脂質及び極性脂質を多く含む乳化組成物である。すなわち、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、乾物あたりの脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が乾物あたりの蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上、より好ましくは60%以上であることを主要な特徴とするものである。
一般に脂質含量はエーテル抽出法で測定されるが、本発明に用いられる大豆乳化組成物中には中性脂質の他にエーテルで抽出されにくい極性脂質も多く含まれるため、本発明における脂質含量は、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。なお上記の測定法は「クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法」と称するものとする。
本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質含量は乾物あたり25重量%以上、好ましくは30重量%以上である。また蛋白質含量の上限は限定されないが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質の各成分組成はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析することができる。
界面活性剤であるSDSと還元剤であるメルカプトエタノールの作用によって蛋白質分子間の疎水性相互作用、水素結合、分子間のジスルフィド結合が切断され、マイナスに帯電した蛋白質分子は固有の分子量に従った電気泳動距離を示ことにより、蛋白質に特徴的な泳動パターンを呈する。電気泳動後に色素であるクマシーブリリアントブルー(CBB)にてSDSゲルを染色した後に、デンシトメーターを用い、全蛋白質のバンドの濃さに対する各種蛋白質分子に相当するバンドの濃さが占める割合を算出する方法により求めることができる。
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、一般に大豆中のオイルボディにはほとんど含まれないリポキシゲナーゼ蛋白質が特定量以上含まれることが大きな特徴であり、大豆乳化組成物中の全蛋白質あたり少なくとも4%以上含有し、好ましくは5%以上含有するものである。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではリポキシゲナーゼ蛋白質は可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明ではリポキシゲナーゼ蛋白質が原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。
蛋白質中におけるリポキシゲナーゼ蛋白質の割合が高まることによって油脂の乳化状態が安定化されるばかりでなく、グロブリン蛋白質を主体とした通常の大豆蛋白質組成では得られない滑らかな物性の食感を得ることができ、また素材にコクのある風味が付与される。
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、蛋白質の種類の中では脂質親和性蛋白質(Lipophilic Proteins)が一般の大豆素材より多く含まれることが特徴である。脂質親和性蛋白質は、大豆の主要な酸沈殿性大豆蛋白質の内、グリシニン(7Sグロブリン)とβ−コングリシニン(11Sグロブリン)以外のマイナーな酸沈殿性大豆蛋白質群をいい、レシチンや糖脂質などの極性脂質を多く随伴するものである。以下、単に「LP」と略記することがある。
LPは雑多な蛋白質が混在したものであるが故、各々の蛋白質を全て特定し、LPの含量を厳密に測定することは困難であるが、下記LCI(Lipophilic Proteins Content Index)値を求めることにより推定することができる。これによれば、大豆乳化組成物中の蛋白質のLCI値は通常55%以上であり、好ましくは58%以上、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは63%以上、最も好ましくは65%以上である。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではLPは可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明に用いられる大豆乳化組成物の場合、LPが原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。
蛋白質中におけるLPの割合が高まることによって油脂の乳化状態が安定化されるばかりでなく、グロブリン蛋白質を主体とした通常の大豆蛋白質組成では得られない滑らかな物性の食感を得ることができ、また素材にコクのある風味が付与される。
(a) 各蛋白質中の主要な蛋白質として、7Sはαサブユニット及びα'サブユニット(α+α')、11Sは酸性サブユニット(AS)、LPは34kDa蛋白質及びリポキシゲナーゼ蛋白質(P34+Lx)を選択し、SDS−PAGEにより選択された各蛋白質の染色比率を求める。電気泳動は表1の条件で行うことが出来る。
(b) X(%)=(P34+Lx)/{(P34+Lx)+(α+α’)+AS}×100(%)を求める。
(c) 低変性脱脂大豆から調製された分離大豆蛋白のLP含量を加熱殺菌前に上記方法1,2の分画法により測定すると凡そ38%となることから、X=38(%)となるよう(P34+Lx)に補正係数k*=6を掛ける。
(d) すなわち、以下の式によりLP推定含量(Lipophilic Proteins Content Index、以下「LCI」と略する。)を算出する。
本発明に用いられる大豆乳化組成物は通常生クリーム様の性状であり、通常の乾物(dry matter)は20〜30重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水により低粘度の液状としたものや、濃縮加工されてより高粘度のクリーム状としたものであってもよく、また粉末加工されて粉末状としたものであってもよい。
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、例えば水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index、以下「NSI」と称する。)が20〜77、好ましくは20〜70、乾物あたりの脂質含量が15重量%以上の全脂大豆などの含脂大豆に対して、加水して懸濁液を調製する工程の後、該懸濁液を固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収することにより得ることができる。以下、該製造態様について示す。
大豆乳化組成物の原料である大豆としては、全脂大豆あるいは部分脱脂大豆等の含脂大豆を用いる。部分脱脂大豆としては、全脂大豆を圧搾抽出等の物理的な抽出処理により部分的に脱脂したものが挙げられる。一般に全脂大豆中には脂質が乾物あたり約20〜30重量%程度含まれ、特殊な大豆品種については脂質が30重量%以上のものもあり、特に限定されないが、用いる含脂大豆としては、少なくとも脂質を15重量以上、好ましくは20重量%以上含むものが適当である。原料の形態は、半割れ大豆、グリッツ、粉末の形状でありうる。
過度に脱脂され脂質含量が少なすぎると本発明に用いられる脂質に富む大豆乳化組成物を得ることが困難となる。特にヘキサン等の有機溶媒で抽出され、中性脂質の含量が1重量%以下となった脱脂大豆は、大豆の良い風味が損なわれ好ましくない。
そのような加工大豆は、加熱処理やアルコール処理等の加工処理を行って得られる。加工処理の手段は特に限定されないが、例えば乾熱処理、水蒸気処理、過熱水蒸気処理、マイクロ波処理等による加熱処理や、含水エタノール処理、高圧処理、およびこれらの組み合わせ等が利用できる。
例えば過熱水蒸気による加熱処理を行う場合、その処理条件は製造環境にも影響されるため一概に言えないが、おおよそ120〜250℃の過熱水蒸気を用いて5〜10分の間で加工大豆のNSIが上記範囲となるように処理条件を適宜選択すれば良く、加工処理に特段の困難は要しない。簡便には、NSIが上記範囲に加工された市販の大豆を用いることもできる。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
水抽出は含脂大豆に対して3〜20重量倍、好ましくは4〜15重量倍程度の加水をし、含脂大豆を懸濁させて行われる。加水倍率は高い方が水溶性成分の抽出率が高まり、分離を良くすることができるが、高すぎると濃縮が必要となりコストがかかる。また、抽出処理を2回以上繰り返すと水溶性成分の抽出率をより高めることができる。
水抽出後、含脂大豆の懸濁液を遠心分離、濾過等により固液分離する。この際、中性脂質のみならず極性脂質も含めた大部分の脂質を水抽出物中に溶出させず、不溶化した蛋白質や食物繊維質の方に移行させ沈殿側(不溶性画分)とすることが重要である。具体的には含脂大豆の脂質の70重量%以上を沈殿側に移行させる。また抽出の際に上清側にも少量の脂質が溶出するが、豆乳中の脂質のように微細にエマルション化されたものではなく、15,000×g以下、あるいは5,000×g程度以下の遠心分離によっても容易に浮上させ分離することができ、この点で遠心分離機を使用するのが好ましい。なお遠心分離機は使用する設備によっては10万×g以上の超遠心分離を使用することも可能であるし、本発明に用いられる大豆乳化組成物の場合は超遠心分離機を用いなくとも実施が可能である。
また水抽出の際あるいは水抽出後に解乳化剤を添加して豆乳からの脂質の分離を促進させることも可能であり、解乳化剤は特に限定されない。ただし本発明に用いられる大豆乳化組成物を調製する場合は解乳化剤を用いなくとも実施が可能である。
固液分離として遠心分離を用いる場合、二層分離方式、三層分離方式のいずれも使用することができる。二層分離方式の場合は沈殿層である不溶性画分を回収する。また三層分離方式を用いる場合は、(1)浮上層(脂質を含む比重の最も小さいクリーム画分)、(2)中間層(脂質が少なく蛋白質、糖質を多く含む水溶性画分)、(3)沈殿層(脂質と食物繊維を多く含む不溶性画分)、の三層の画分に分けられる。この場合、脂質含量の少ない水溶性画分の中間層(2)を除去又は回収し、不溶性画分として浮上層(1)又は沈殿層(3)を回収するか、あるいは(1)と(3)を合わせて回収するとよい。
得られた不溶性画分が食物繊維を含む場合、例えば上記(3)又は(1)及び(3)の画分である場合、必要により加水し、高圧ホモゲナイザーあるいはジェットクッカー加熱機等による均質化した後、該均質化液をさらに固液分離して上清を回収する工程を経ることにより、食物繊維(オカラ)を除去することもでき、コクのある風味がより濃縮された大豆乳化組成物を得ることができる。該均質化の前後いずれかにおいて必要により加熱処理工程、アルカリ処理工程等を付加することにより蛋白質をより抽出しやすくすることもできる。この場合、乾物あたりの食物繊維含量は10重量%以下であり、5重量%以下がより好ましい。なお、本発明において食物繊維含量は、「五訂増補日本食品標準成分表」(文部科学省、2005)に準じ、酵素−重量法(プロスキー変法)により測定することができる。
本発明に用いられる上記の大豆乳化組成物は、脂質(中性脂質及び極性脂質)及び蛋白質が特定の範囲で含まれ、蛋白質のうち特にLP含量が高く、必要により繊維質も含まれる乳化組成物であり、大豆が本来有する自然な美味しさが濃縮されており、従来の問題とされていた青臭味や収斂味、渋味等の不快味がないか非常に少なく、非常にコクのある風味を有するものである。
通常の大豆粉や分離大豆蛋白に水、油脂を加えて該大豆乳化組成物と類似の組成の乳化組成物にすることは可能であるが、リポキシゲナーゼ蛋白質含量あるいはLCI値を同等なレベルに調整することは困難である。そして本技術により調製された大豆乳化組成物は、このような組み立て製品に比べて格段に風味が良好であり、食品素材としての利用適性が高いことに特徴を有する。
本発明は、かかる粉末状大豆乳化組成物及びそれを利用した大豆含有食品も包含する。
本発明は、上記の大豆乳化組成物を含有する大豆飲食品である。本発明の大豆飲食品とは、牛乳、生クリーム、全脂粉乳などの乳製品が利用される洋菓子用またはパン用原材料、洋菓子類、パン類、デザート類、飲料類、スープ類、ソース類などにおいて、使用される乳製品の一部又は全部が本発明の大豆乳化組成物に置換されたものを意味する。すなわち、本発明の大豆飲食品は、牛乳、生クリーム、全脂粉乳などの乳製品代替物として大豆乳化組成物を含有する飲食品である。
湿熱加熱処理によりNSI 59.4とした大豆粉3.5kgに対して4.5倍量、50℃の水を加えて懸濁液とし、保温しながら30分間攪拌し、水抽出した。このときのpHは6.7であった。3層分離方式の遠心分離を6,000×gにて連続的に行い、(1)浮上層・(2)中間層・(3)沈殿層に分離させた。そして浮上層と沈殿層を合わせた画分6.3kgを回収し、大豆乳化組成物Aを調製した。
製造例1にて調製した大豆乳化組成物Aに対して0.5重量倍の加水を行い、さらに13MPaにて高圧ホモゲナイザーで均質化した後、該均質化液を蒸気直接吹き込み方式で142℃7秒間加熱処理し、連続式遠心分離機にて6,000×gにて不溶性の繊維質を分離除去し、上清画分を得、これを大豆乳化組成物Bとした。
製造例2で調製した大豆乳化組成物B 29.9%、硬化パーム核油(融点34℃)29.9%、果糖ぶどう糖液糖(FC;王子コーンスターチ株式会社製)1.4%、オリゴトース(三菱化学フーズ株式会社製)1.4%、水 37.0%、レシチン 0.2%、ショ糖脂肪酸エステル「リョートーシュガーエステルS−570」(三菱化学フーズ株式会社製) 0.1%、ショ糖脂肪酸エステル「リョートーシュガーエステルS−1670」(三菱化学フーズ株式会社製) 0.1%、ポリリン酸ナトリウム 0.015%を調合し、60℃、15分間予備乳化した。さらに、5Mpaで高圧均質化してから、5℃にて一晩冷却して大豆含有ホイップクリーム原液を調製した。本クリーム原液1kgに対し、グラニュー糖70gを添加し、ホバートミキサーによる高速攪拌にて2分30秒間ホイップした。得られた大豆含有ホイップクリームのオーバーランは159.4%であった。本大豆含有ホイップクリームは、冷涼感のある口溶けで、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
実施例1の大豆乳化組成物Bを、市販の大豆乳化組成物「Soy Supreme Kreme」(サンオプタ社(SunOpta Grains and Foods Group)製、粉末タイプ)を水に分散して、乾物含量が大豆乳化組成物Bと同等の18.2%に調整した分散液に置換して、実施例1同様に大豆含有ホイップクリーム原液を調製した。本クリーム原液1kgに対し、グラニュー糖70gを添加しホバートミキサー高速攪拌にて2分50秒間ホイップした。得られた大豆含有ホイップクリームのオーバーランは155.0%であった。本大豆含有ホイップクリームは、冷涼感のある口溶けであったが、大豆特有の青臭みがやや強く、コク味も弱いもので総合評価は低いものであった。
品温5℃の生クリーム(油脂分30%、高梨乳業株式会社製)1kgにグラニュー糖70gを添加しホバートミキサーによる高速攪拌にて1分30秒間ホイップした。得られたホイップクリームのオーバーランは140.0%であった。本ホイップクリームは、冷涼感のある口溶けで、乳味、コク味とも優れており、総合評価の高いものであった。
(評価基準)
−:まったく感じない ±:ほとんど感じない +:感じる
++:やや強く感じる +++:強く感じる
◎:コクが強く、青臭みがない
○:コクがあり、青臭みもほとんどない
△:コクが弱く、青臭みがある
×:コクがなく、青臭みが強い
製造例2で調製した大豆乳化組成物B 50%、上白糖 11%、ハチミツ(サクラ印純粋ハチミツ)8%を混合、攪拌後、アイスクリーマーを用いて70℃から攪拌、冷却し、フリージングされたアイスクリーム原液を得た。本原液69部に対し、実施例1で得た大豆ホイップクリーム 31部を添加、混合して大豆アイスクリームを得た。本大豆アイスクリームを−20℃、15日保存後風味評価したところ、冷涼感のある軽い食感の口当たりで、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
製造例2で調製した大豆乳化組成物B 50%、上白糖 11%、黒砂糖 7%、水 1%を混合、攪拌後、アイスクリーマーを用いて70℃から攪拌、冷却し、フリージングされたアイスクリーム原液を得た。本原液69部に対し、実施例1で得た大豆ホイップクリーム 31部を添加、混合して大豆アイスクリームを得た。本大豆アイスクリームを−20℃、15日保存後風味評価したところ、冷涼感のある軽い食感の口当たりで、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
実施例2の大豆乳化組成物Bを、市販の大豆乳化組成物「Soy Supreme Kreme」(サンオプタ社(SunOpta Grains and Foods Group)製、粉末タイプ)を水に分散して、乾物含量が大豆乳化組成物Bと同等の18.2%に調整した分散液に置換して、実施例2同様にフリージングされたアイスクリーム原液を得た。本原液69部に対し、比較例1で得た大豆ホイップクリーム 31部を添加、混合して大豆アイスクリームを得た。本大豆アイスクリームを−20℃、15日保存後風味評価したところ、冷涼感のある軽い食感の口当たりであったが、大豆特有の青臭みがやや強く、コク味も弱いもので総合評価は低いものであった。
実施例2の大豆乳化組成物Bを、参考例1の生クリームに代えて、実施例2同様にフリージングされたアイスクリーム原液を得た。本原液69部に対し、参考例1で得たホイップクリーム 31部を添加、混合してアイスクリームを得た。本アイスクリームを−20℃、15日保存後風味評価したところ、冷涼感のある軽い食感の口当たりで、乳味、コク味とも優れており、総合評価の高いものであった。
スイートコーン 30.1%、ローストオニオン(エバラ株式会社製)6.0%、製造例1で調製した大豆乳化組成物A 15.0%、上白糖3.0%、食塩0.3%、コンソメチキン味粉末0.5%、重曹 0.1%、水45.1%、白胡椒 適量を混合し、湯煎で85℃まで加熱して豆乳仕立てのコーンクリームスープを調製した。本スープは、とろみのあるなめらかな食感で、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
実施例4の大豆乳化組成物Aを、無調整豆乳(固形分6.5%、不二製油株式会社製)に代えて、実施例4同様に豆乳仕立てのコーンクリームスープを調製した。本スープは、とろみのあるなめらかな食感であり、大豆特有の青臭みもほとんど感じられなかったが、コク味が弱いものであった。
実施例4の大豆乳化組成物Aを参考例1の生クリームに代えて、実施例4同様にコーンクリームスープを調製した。本スープは、とろみのあるなめらかな食感で、乳味、コク味がある総合評価の高いものであった。
製造例2で調製した大豆乳化物B 90.81%に対し、砂糖 9.08%、豆腐用のにがり(41ブリックス)0.11%を添加、混合してからカップ容器に充填し、95℃、25分間蒸してミルクプリン様の大豆飲食品を得た。本大豆飲食品は、やや弾力のあるなめらかなプリン様の食感で、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
水68.3%に砂糖 9.0%を溶解し、本溶液に対し攪拌しながら製造例2で調製した大豆乳化物B17.5%、2倍濃縮バナナ果汁 5.0%を添加、混合した。次いで、50%クエン酸水溶液を添加してPH6.0に調整した。次に、70℃まで加熱し15Mpaにて高圧均質化してから93℃まで加熱してバナナフレーバー 0.2%を添加し、冷水中で20℃まで冷却した。得られたバナナ風味飲料は、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
水78.4%に砂糖9.0%、水溶性大豆多糖類「ソヤファイブS−ZR100」(不二製油株式会社製)の混合物を添加し、80℃で10分間攪拌、溶解した。本水溶液を20℃まで冷却し、製造例2で調製した大豆乳化物B 10.2%と5倍濃縮白桃透明果汁 2.0%を添加、混合した。次いで、50%クエン酸水溶液を添加してPH3.8に調整した。次に、70℃まで加熱し15Mpaにて高圧均質化してから93℃まで加熱してピーチフレーバー 0.1%を添加し、冷水中で20℃まで冷却した。得られたピーチ風味飲料は、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
ホバートミキサーボールに卵黄200gを入れグラニュー糖30gを添加し、中速攪拌で軽くホイップした。その後、低速攪拌しながら大豆乳化物B300g、薄力粉80gを順次添加した。最後に、別途、卵白220gに対しグラニュー糖100g、トレハロース(林原商事社製)70gを添加し、攪拌起泡させたメレンゲを添加、混合して比重0.29の豆乳スフレ生地を調製した。調製した生地600gを8取り鉄板に流し込み、あらかじめ水でぬらした新聞紙上に載置してオーブンに入れ、ダンパー開にて上火190℃、下火160℃で18分間焼成し、チーズスフレ様豆乳スフレを得た。得られたチーズスフレ様豆乳スフレは、
チーズスフレ様のソフトな口当たりと良好な口溶けを有し、大豆特有の青臭みがなく、コク味がある総合評価の高いものであった。
ホバートミキサーボールに大豆乳化物B280gを入れ、低速攪拌しながら卵黄40g、グラニュー糖35g、コーンスターチ15gを順次添加混合した。さらに、低速攪拌しながらクリームチーズ様食品(商品名:クレメフロマージュ、不二製油株式会社製)320g、卵黄40g、薄力粉20gを添加、混合した。最後に、別途、卵白150gに対しグラニュー糖70g、トレハロース(林原商事社製)30gを添加し、攪拌起泡させたメレンゲを添加、混合して比重0.45の豆乳スフレ生地を調製した。調製した生地30gを直径50mmのアルミカップに流し込み、ダンパー開にて湯煎に入れた状態で上火180℃で30分間オーブン焼成した。得られたチーズスフレ様豆乳スフレは、チーズスフレ様のソフトな口当たりと良好な口溶けを有し、大豆特有の青臭みがなく、チーズ様風味とコク味がある総合評価の高いものであった。
Claims (7)
- 乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品。
- 乾物あたりの食物繊維含量が10重量%以下である、前記請求項1記載の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品。
- 乾物あたりの脂質含量が15重量%以上であってNSIが40〜77の範囲に加工された含脂大豆を用い、
1)該含脂大豆に加水して懸濁液を調製する工程、
2)該懸濁液を遠心分離により固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収する工程、
で得られる、前記請求項1記載の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品。
- 回収された不溶性画分をさらに均質化した後、該均質化液を固液分離して食物繊維を除去し、上清を回収して得られる、前記請求項3記載の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする大豆飲食品。
- 風味改善された大豆飲食品への請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の大豆乳化組成物の使用。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の大豆乳化組成物を、風味改善の有効成分として用いることを特徴とする、大豆飲食品の風味改善方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の大豆乳化組成物を、風味改善の有効成分として用いることを特徴とする、大豆飲食品の製造方法。
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