JP5386797B2 - フレキシブルポリイミドフィルムおよびその製造法 - Google Patents
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Description
このため、近年、耐熱性、耐溶剤性に加え、透明性や柔軟性などの用途に応じた性能を多数併せ持つポリイミドが望まれている。
この着色の問題を解決すべく、脂環式テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを重縮合してなるポリイミド前駆体(ポリアミック酸)をイミド化して得られたポリイミドが報告されている(特許文献1参照)。
この脂環式骨格を有するポリイミドは、比較的着色が少なく透明性に優れているものの、柔軟性に欠けるため脆く、大面積の膜や厚膜などに成形することは困難であった。
しかし、これらのポリイミドについては詳細な成膜化検討は行われていない。
1. 式[1]または[2]で表される繰り返し単位からなり、イミド化率が90%以上であることを特徴とするフレキシブルポリイミドフィルム、
2. 前記式[1]の繰返し単位が、式[3]で表される1のフレキシブルポリイミドフィルム、
3. 前記式[1]および[2]において、mが5である1のフレキシブルポリイミドフィルム、
4. 前記式[3]において、mが5である2のフレキシブルポリイミドフィルム、
5. 前記イミド化率が、95%以上である1〜4のいずれかのフレキシブルポリイミドフィルム、
6. 式[10]または[11]で表される繰返し単位からなるポリアミック酸を、25℃から160〜300℃に2〜10時間かけて昇温した後、160〜300℃で1〜10時間保持して閉環イミド化させることを特徴とする1のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法、
7. 前記式[10]の繰返し単位が、式[12]で表される6のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法、
8. 前記式[10]および[11]において、mが5である6のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法、
9. 前記式[12]において、mが5である7のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法
を提供する。
このような特性を有する本発明のポリイミドフィルムは、例えば、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料などの電子材料、さらに光導波路等の光通信用材料として好適に用いることができる。
上記式[1]〜[3]、および[10]〜[12]において、炭素数1〜10のアルキレン基の具体例としては、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−(CH2)7−、−(CH2)8−、−(CH2)9−、−(CH2)10−、−C(CH3)2−、−CH2C(CH3)2CH2−、−(CH2)2C(CH3)2(CH2)2−等が挙げられる。
炭素数1〜10のハロアルキレン基としては、上記アルキレン基の少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換したものが挙げられ、具体的には、−CF2−、−(CF2)2−、−(CF2)3−、−(CF2)4−、−(CF2)5−、−(CF2)6−、−(CF2)7−、−(CF2)8−、−(CF2)9−、−(CF2)10−、−C(CF3)2−、−CF2C(CF3)2CF2−、−(CF2)2C(CF3)2(CF2)2−等が挙げられる。
アルキレン鎖の繰り返し数を示すmは1〜20の整数を表すが、入手し易さという点から、2〜10の整数が好ましい。
炭素数1〜10のハロアルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換したものが挙げられ、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
なお、以上において、nはノルマルを、iはイソを、sはセカンダリーを、tはターシャリーをそれぞれ表す。
このため、上記各式におけるnは2以上の整数であるが、ポリイミド(ポリアミック酸)の数平均分子量が5000以上となる整数が好ましく、具体的には、8〜180、特に10〜100が好適である。
その具体例としては、1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサン酸、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸などの脂環式テトラカルボン酸およびこれらの酸二無水物、並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物などが挙げられる。
また、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸およびこれらの酸二無水物、並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物なども挙げられる。なお、これらのテトラカルボン酸化合物は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
その具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル −4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ −4,4’−ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノナフタレン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等の脂環式ジアミン化合物およびテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン化合物等が挙げられ、これらのジアミン化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
したがって、本反応における生成物の重合度は、ポリアミック酸溶液の還元粘度換算で、0.05〜5.0dl/g(温度30℃のヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)中、濃度0.5g/dl)が好ましい。
これらの中でも、重合性や着色性の観点からDMAcやNMPが好ましい。なお、上記溶剤は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
重縮合反応の温度は、−20〜150℃、好ましくは−5〜100℃の任意の温度を選択することができる。
この場合、25℃(室温)から160〜300℃に2〜10時間かけて昇温した後、160〜300℃で1〜10時間保持する加熱方法を用いることで、高イミド化率のポリイミド被膜を形成させることができる。特に、25℃(室温)〜250℃に2〜5時間かけて昇温した後、約250℃で1〜5時間保持する加熱方法が最適であり、この手法により、イミド化率がより高く、発泡のないフレキシブルポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドのイミド化率は、十分な柔軟性を発揮させるためには90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、赤外吸収スペクトルでC=Oアミド吸収(1650cm-1付近)が確認されない程度までイミド化されたものが最適である。
以上の手法により基板上に形成されたポリイミド被膜を、温湯中などで剥離した後、常圧または減圧下で50〜100℃で乾燥し、フレキシブルポリイミドフィルムが得られる。
[1]IR
装置:日本分光工業(株)製 JASCO FT/IR−460plus
[2]UV−Vis
装置:日本分光工業(株)製 V−570型 紫外可視分光光度計
[3]TGA
装置:セイコー電子工業(株)製 TG/DTA(示差熱熱量同時測定装置)220U
[4]粘度
装置:東京計器社製 ELD−50(E型粘度計)
[5]膜厚計
装置:OZAKI MFG CO. LTD, PEACOCK, DIAL THIKNESS GAUGE
得られた重合溶液(ポリアミック酸)を、ヒートガンで15分間乾燥したガラス板にキャストし、減圧下(減圧度100〜500Pa)、250℃で3時間加熱(25℃(室温)から昇温2時間、250℃保温1時間)した後、ガラス板を熱水に浸漬してポリイミドフィルムを剥離した。
このフィルムを濾紙に挟んで60℃のオーブン中で3時間乾燥し、無色透明のポリイミドフィルムを得た。フィルムの厚さは15μmであった。
また、1650cm-1付近にC=Oアミド吸収が見られないことから、イミド化がほぼ完全に進行したと判断された。
得られたフィルムのUV−Visスペクトルは、350nmで80%の光透過率を示した(図5参照)。
5%重量減少温度(T5):408.5℃
10%重量減少温度(T10):438.1℃
分解温度(Td):441.1℃
ガラス転移点温度(Tg):258.5℃
ポリアミック酸固有粘度(25℃):0.59(dL/g)(溶媒HMPA)
得られた重合溶液(ポリアミック酸)は未精製のDA5MGを使用したため褐色であった。得られた重合溶液をヒートガンで15分間乾燥したガラス板にキャストし、減圧下(減圧度100〜500Pa)、250℃で3時間加熱(25℃(室温)から昇温2時間、250℃保温1時間)した後、ガラス板を熱水に浸漬してポリイミドフィルムを剥離した。
このフィルムを濾紙に挟んで60℃のオーブン中で3時間乾燥し、無色透明のポリイミドフィルムを得た。フィルムの厚さは18μmであった。
フィルムの赤外吸収スペクトル(図2参照)から1775cm-1と1700cm-1とにイミドカルボニルのC=O伸縮振動、1390cm-1にイミド構造のC−N伸縮振動が確認された。
また、1650cm-1付近にC=Oアミド吸収が見られないことから、イミド化がほぼ完全に進行したと判断された。
得られたフィルムのUV−Visスペクトルは、350nmで85%の光透過率を示した(図6参照)。
5%重量減少温度(T5):403.5℃
10%重量減少温度(T10):432.0℃
分解温度(Td):437.5℃
ポリアミック酸固有粘度(25℃):0.81(dL/g)(溶媒HMPA)
[引張試験方法]
図7に示されるように、接着剤C(アロンアルフア(登録商標)ゼリー状、東亞合成株式会社製)を用いて台紙(印画紙)Dに試験片Bを接着(図7の塗りつぶし部分)し、印画紙Bの長手方向両端部をセロファンテープA(セロテープ(登録商標)、ニチバン株式会社製)で試験チャックに貼り付け(図7の斜線部分)、引張速度:1mm/minで長手方向外側に引っ張った。
B 試験片
C 接着剤
D 台紙(印画紙)
Claims (9)
- 式[1]または[2]で表される繰り返し単位からなり、イミド化率が90%以上であることを特徴とするフレキシブルポリイミドフィルム。
- 前記式[1]の繰返し単位が、式[3]で表される請求項1記載のフレキシブルポリイミドフィルム。
- 前記式[1]および[2]において、mが5である請求項1記載のフレキシブルポリイミドフィルム。
- 前記式[3]において、mが5である請求項2記載のフレキシブルポリイミドフィルム。
- 前記イミド化率が、95%以上である請求項1〜4のいずれか1項記載のフレキシブルポリイミドフィルム。
- 式[10]または[11]で表される繰返し単位からなるポリアミック酸を、25℃から160〜300℃に2〜10時間かけて昇温した後、160〜300℃で1〜10時間保持して閉環イミド化させることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法。
- 前記式[10]の繰返し単位が、式[12]で表される請求項6記載のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法。
- 前記式[10]および[11]において、mが5である請求項6記載のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法。
- 前記式[12]において、mが5である請求項7記載のフレキシブルポリイミドフィルムの製造法。
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